(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079722
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】散気管サポート及び水槽
(51)【国際特許分類】
C02F 3/20 20230101AFI20230601BHJP
【FI】
C02F3/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193322
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】時重 剛尚
【テーマコード(参考)】
4D029
【Fターム(参考)】
4D029AA01
4D029AB05
4D029BB10
(57)【要約】
【課題】構成及び形状が簡易であり、安価であると共に、運搬が容易であり、また堅牢で耐久性に優れた散気管サポートと、この散気管サポートを用いて散気管を配設した水槽とを提供する。
【解決手段】散気管サポート1は、塩ビ製の筒状体2と、該筒状体2の筒軸方向の途中において、筒状体2を直径方向に貫く貫通パイプ3と、筒状体2内に充填されたコンクリート4とを有する。散気管サポート1を水槽底面8上に載置し、貫通パイプ3に散気管10を挿通させることにより水槽底面8に沿って散気管10が配設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の筒状体と、
該筒状体を直径方向に貫く合成樹脂製の貫通パイプと、
該筒状体内かつ貫通パイプ外に充填されたコンクリート又はモルタルと
を備え、該貫通パイプ内が散気管の差し込み孔となっている散気管サポート。
【請求項2】
前記筒状体の両端に合成樹脂製のエンドプレートが設けられている請求項1の散気管サポート。
【請求項3】
前記散気管サポートの一方の端面にゴムプレートが設けられている請求項1又は2の散気管サポート。
【請求項4】
貫通パイプが1本設けられている請求項1~3のいずれかの散気管サポート。
【請求項5】
2本の貫通パイプが、筒状体の軸心線方向の位置を異ならせて、かつ2本の貫通パイプの方向が直交方向となるように設けられている請求項1~3のいずれかの散気管サポート。
【請求項6】
前記合成樹脂は塩化ビニル樹脂である請求項1~5のいずれかの散気管サポート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかの散気管サポートが水槽底面に載置され、該散気管サポートの前記貫通パイプに散気管が挿通されている水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散気管を有する水槽と、散気管を水槽内に配置するためのサポートとに関する。
【背景技術】
【0002】
曝気槽、排水槽等の水槽に敷設される散気管を支持する手段としては、第1に、水槽を形成するコンクリート打設前に、床面から一部が突出するように金属製のアングル材を埋設しておき、コンクリートを打設してモルタル仕上げをした後、コンクリート表面に仕上げ塗装、あるいは必要に応じて耐薬品塗装を施し、その後、突出部位にUボルトを連結して散気管を固定する手段がある。第2に、床面のコンクリート打設前に、金属製プレートを、それを支持する固定棒と共に埋設しておき、上記と同様に、コンクリートの打設、モルタル仕上げ、仕上げ塗装等を施した後に、棒状部材をコンクリート床面に固定された金属製プレートに溶接して、この棒状部材にアングル材を連結し、該アングル材にUボルトを連結して散気管を固定する手段がある。
【0003】
上記の支持手段にあっては、多数のアングル材が突出しているため、コンクリートの打設作業時に、各アングル材を養生する必要があり、作業性を損なうという問題がある。また、床面に仕上げ塗装(耐薬品塗装)を行う際にも、突出しているアングル材が邪魔になり作業を行い難いという問題がある。また、コンクリート打設作業に間に合うタイミングで、床面に金物(アングル材等)を埋設する必要があるため、水槽自体の土木工事スケジュールを十分考慮した上で作業手配を行わなければならず、手間がかかる。
【0004】
また、上記第2の手段の場合には、溶接作業が必要であり、作業コストが高い。
【0005】
特許文献1には、上記の問題点を解決するものとして、水槽の床面上に載置され、水槽内に貯留される液体による浮力に抗して、支持対象である前記流体配管を所定の位置で支持する重量部材と、前記重量部材に設けられ、前記流体配管を固定連結するための配管連結部材を、任意の高さに位置調整して取り付け可能な取り付け部材とを具備する流体配管用支持部材と、この支持部材を用いた散気管設置構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の支持部材では、配管連結部材が金属製であり、腐食などがあるので、耐久性に劣る。また、構造がやや複雑であり、コスト高であると共に、運搬も容易ではない。
【0008】
本発明は、特許文献1の支持部材よりも構成及び形状が簡易であり、安価であると共に、運搬が容易であり、また堅牢で耐久性に優れた散気管サポートと、この散気管サポートを用いて散気管を配設した水槽とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次を要旨とする。
【0010】
[1] 合成樹脂製の筒状体と、
該筒状体を直径方向に貫く合成樹脂製の貫通パイプと、
該筒状体内かつ貫通パイプ外に充填されたコンクリート又はモルタルと
を備え、該貫通パイプ内が散気管の差し込み孔となっている散気管サポート。
【0011】
[2] 前記筒状体の両端に合成樹脂製のエンドプレートが設けられている[1]の散気管サポート。
【0012】
[3] 前記散気管サポートの一方の端面にゴムプレートが設けられている[1]又は[2]の散気管サポート。
【0013】
[4] 貫通パイプが1本設けられている[1]~[3]のいずれかの散気管サポート。
【0014】
[5] 2本の貫通パイプが、筒状体の軸心線方向の位置を異ならせて、かつ2本の貫通パイプの方向が直交方向となるように設けられている[1]~[3]のいずれかの散気管サポート。
【0015】
[6] 前記合成樹脂は塩化ビニル樹脂である[1]~[5]のいずれかの散気管サポート。
【0016】
[7] [1]~[6]のいずれかの散気管サポートが水槽底面に載置され、該散気管サポートの前記貫通パイプに散気管が挿通されている水槽。
【発明の効果】
【0017】
本発明の散気管サポートは、塩ビなどのプラスチック製の筒状体と、該筒状体内に充填されたコンクリート又はモルタルとによって構成されており、構成が簡易であり、材料コストが安く、製造も容易である。さらに、金属部材を用いていないので、耐腐食性に優れ、耐久性が良好である。
【0018】
本発明の散気管サポートは、外観形状が略円柱状であり、持ち運び等の運搬が容易である。
【0019】
本発明の散気管サポートは、水槽の底部に載置されるようにして設置されるものであり、散気管の配置位置(レイアウト)の変更があっても、それに合わせて設置位置を自在に変えることができる。
【0020】
本発明の散気管サポートを用いた場合、散気管の設置工事日数を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る散気管サポートを用いて散気管を設置した水槽内部の底部付近の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1,2を参照して実施の形態について説明する。
【0023】
散気管サポート1は、塩ビ(塩化ビニル樹脂)製の筒状体2と、該筒状体2の筒軸方向の途中において、筒状体2を直径方向に貫く貫通パイプ3と、筒状体2内かつ貫通パイプ3外に充填されたコンクリート4とを有する。筒状体2は、この実施の形態では円筒形である。筒状体2の一端(図の上端)にはエンドプレート5が設けられ、他端にはエンドプレート6(
図1では図示略)が設けられている。
【0024】
この散気管サポート1は、貫通パイプ3及びエンドプレート5が塩ビ用接着剤によって結合一体化された筒状体2内(且つ貫通パイプ3外)にコンクリート4を充填し、コンクリートが硬化した後、ゴムプレート7付きのエンドプレート6を接着剤によって取り付けることにより製作される。ただし、この製作手順は一例であり、これ以外の製作手順によって製作されてもよい。
【0025】
この散気管サポート1は、曝気槽等の水槽の底面8上にゴムプレート7を介して載置される。この際、筒状体2の軸心方向を上下方向とする。散気管サポート1は、適宜の間隔をおいて必要な数だけ水槽底面8上の所要位置に配置される。散気管サポート1の貫通パイプ3に散気管10を挿通することにより、散気管10が水槽底面8に沿って、水槽底面8から所定距離上方に配設される。
【0026】
この散気管サポート1を用いた散気管を配設した構成にあっては、散気管サポート1を水槽底面8上に載置するようにしており、水槽底面8のライニングを損傷することがない。また、設置施工時に溶接作業が不要であり、施工が容易であると共に、施工日数も短い。また、施工終了後に散気管の配置パターンを変更する必要が生じた場合であっても、散気管サポート1を別位置に動かしたり、散気管サポート1の向きを変えたりすることにより、散気管配置パターンを変更することができる。
【0027】
この散気管サポート1は、金属材料を用いていないので、水槽内の水が腐食性の高い水である場合であっても、長期にわたって劣化せず、耐久性に優れる。
【0028】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とすることができる。
【0029】
例えば、上記実施の形態では、貫通パイプ3は1本だけ設けられているが、2本以上設けられてもよい。2本の貫通パイプを設ける場合、一方の貫通パイプを他方の貫通パイプよりも下方かつ平面視において双方の貫通パイプが直交するように設けてもよい。このようにした散気管サポートは、散気管を直交状に配置する場合に用いることができる。
【0030】
上記実施の形態では、筒状体内にコンクリートが充填されているが、モルタルが充填されてもよい。
【0031】
上記実施の形態の散気管サポート1は、ゴムプレート7を底面に貼り付けているが、ゴムプレート7は別体とされてもよい。ゴムプレートの代りに樹脂プレートを用いてもよい。また、ゴムプレートを用いることなく散気管サポート1を水槽底面に直接に載置してもよい。ただし、ゴムプレートを用いるのが好ましい。
【0032】
上記実施の形態では筒状体等は塩ビ製とされているが、塩ビ以外のプラスチック(合成樹脂)製とされてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 散気管サポート
2 筒状体
3 貫通パイプ
4 コンクリート
5,6 エンドプレート
7 ゴムプレート
8 水槽底面
10 散気管