(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079770
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】農産物販売システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230601BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193392
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】521521921
【氏名又は名称】株式会社農社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】奥野 竜平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】遠隔地に農産物を提供して、無人で販売し、かつ消費者が手に取って商品を選ぶことができる農産物販売システムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末2、販売装置3、サービス提供サーバ4及び消費者端末5がネットワーク6を介して接続されている。ユーザ端末2は、商品登録手段21及びコンテナ回収依頼手段22を備える。販売装置3は、コンテナ格納部31及び検知手段32を備え、検知手段32は、ネットワークカメラ33及びコード読取手段34を備える。サービス提供サーバ4は、受付手段41及びコンテナ管理手段42を備え、コンテナ管理手段42は、発送依頼手段43及び通知手段44を備える。消費者端末5は、商品情報取得手段51を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物を少なくとも1つ収容するコンテナのコンテナ識別子と、前記コンテナを配送するコンテナ格納部を入力するユーザ端末と、
複数の前記コンテナを格納する前記コンテナ格納部を有し、前記コンテナが格納された場合に、前記コンテナ識別子により前記コンテナ格納部における前記コンテナの設置状況を検知する販売装置と、
前記ユーザ端末および前記販売装置から送信された前記コンテナ識別子を用いて、前記コンテナ及び前記コンテナ格納部を管理するサービス提供サーバ、がネットワークを介して接続されたことを特徴とする農産物販売システム。
【請求項2】
前記販売装置は、
前記コンテナ識別子を撮像するネットワークカメラと、
前記ネットワークカメラを用いて前記コンテナ識別子を読み取るコード読取手段、
を備え、前記コンテナの設置状況が検知されることを特徴とする請求項1に記載の農産物販売システム。
【請求項3】
前記サービス提供サーバは、前記コンテナ格納部の使用日数、又は、前記コンテナの定額制に応じて課金することを特徴とする請求項1又は2に記載の農産物販売システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末は、
前記販売装置の前記コンテナ格納部から前記コンテナの回収を依頼するコンテナ回収依頼手段、を備え、
前記コンテナ格納部から前記コンテナの回収が行われたことが、前記サービス提供サーバにより通知されることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の農産物販売システム。
【請求項5】
消費者端末を備え、前記サービス提供サーバが、前記販売装置の場所および前記農産物の商品情報を前記消費者端末に配信することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の農産物販売システム。
【請求項6】
前記コンテナは、消費者による商品購入の際に用いる決済用コードが表示されることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の農産物販売システム。
【請求項7】
前記コンテナは、配送業者を用いて、前記販売装置の前記コンテナ格納部に配送されることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の農産物販売システム。
【請求項8】
前記コンテナ格納部は、計量手段を備え、前記コンテナが収容する農産物の個数を概算することを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の農産物販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地に農産物を直送し、無人販売機により販売するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、新鮮で高品質な農産物を生産する小規模農家が存在し、またそのような新鮮で高品質な農産物を求めるユーザも多数存在する。しかしながら、小規模農家により生産された少量ロットの農産物は、既存の流通システムに乗らないため、このような高品質な農産物をユーザが手に入れることが難しいという問題があった。
そこで、小規模農家により生産された少量ロットの農産物を、消費者へ販売する農産物の委託販売システムが知られている(特許文献1を参照)。これは、生産者が販売価格を設定して小売店へ出荷し、小売店ではPOSシステムを利用し、生産者管理、商品管理、販売物品の管理、売上管理、予約管理、販売状況管理等を行うものである。
しかしながら、特許文献1の委託販売システムは、ユーザへの販売は人の手により行われるため、コストが高くなるという問題があった。
【0003】
自動販売機の商品別の収納室から直接、購入者に商品を取り出させる形態をとる農産物の自動販売機が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。これは、販売する農産物の大きさに合わせて、収納室のサイズを変更できるものである。特許文献2の自動販売機によれば、様々な形状の農産物であっても、無人の自動販売機で販売することが可能である。
しかしながら、特許文献2の自動販売機では、収納箱の設置は、商品の提供者自身で行う必要があり、遠隔地にいる生産者が、農産物を提供することは容易ではないという問題があった。
【0004】
遠隔地にいる生産者から、消費者に対して、農産物を販売するサービスとしては、「クックパッドマート」(非特許文献1を参照)のように、予めオンラインで注文した食材を、宅配ボックス等で受け取るシステムが存在する。しかしながら、実際の商品を手に取って選ぶことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-183245号公報
【特許文献2】特開平9-311981号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】クックパッドマート - 毎日が楽しみになる、食材店(https://cookpad-mart.com/)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる状況に鑑みて、本発明は、遠隔地に農産物を提供して、無人で販売し、かつ消費者が手に取って商品を選ぶことができる農産物販売システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の農産物販売システムは、農産物を少なくとも1つ収容するコンテナのコンテナ識別子と、コンテナを配送するコンテナ格納部を入力するユーザ端末と、複数のコンテナを格納するコンテナ格納部を有し、コンテナが格納された場合に、コンテナ識別子によりコンテナ格納部におけるコンテナの設置状況を検知する販売装置と、ユーザ端末および販売装置から送信されたコンテナ識別子を用いて、コンテナ及びコンテナ格納部を管理するサービス提供サーバ、がネットワークを介して接続される。
コンテナ識別子とは、コンテナ毎に割り当てられたID等のことである。コンテナを配送するコンテナ格納部とは、コンテナを配送して設置する、販売装置に設けられた個々の格納部のことである。したがって、ユーザ端末は、当該コンテナを特定するコンテナ識別子と、格納先を入力することで、販売に必要な情報をサービス提供サーバに送信できる。また、ユーザ端末は、コンテナ内に箱詰めされた個々の商品の名称や、個数、販売期間などを入力してもよい。
また、ユーザ端末とは、ユーザが使用するコンピュータ端末のことであり、ノートPC、デスクトップPC、スマートフォン、タブレット端末などであり、ユーザ端末への入力操作や画面出力は、ユーザ端末にインストールされた専用のアプリケーション、又は、ウェブブラウザを用いて行うことができる。
【0009】
販売装置において、コンテナ格納部には、個別にID等が割り当てられており、ユーザは、ユーザ端末を使用して、どの販売装置のどのコンテナ格納部にコンテナを設置するかについて指定できる。コンテナ識別子によるコンテナ格納部におけるコンテナの設置状況の検知は、当該コンテナに表示された1次元又は2次元コードを販売装置に設けられたネットワークカメラなどにより読み取る手法が好適に用いられるが、光学式の読み取り手法には限定されない。例えば、公知のパッシブタイプのICタグなどのRFIDタグ等を、近距離無線通信技術を用いてコンテナ識別子を検出することでもよい。また、非接触で読み取る方式に限られず、コンテナの一部を販売装置の一部に接触させて読み取る方式でもよい。
かかる構成とされることにより、サービス提供サーバにおいては、ユーザ端末および販売装置から送信されたコンテナ識別子を照合することで、コンテナ等の管理ができ、販売装置内におけるコンテナやコンテナ格納部の状況をリアルタイムに管理することができる。
また、「コンテナが格納された場合に、コンテナ識別子によりコンテナ格納部におけるコンテナの設置状況を検知する」とは、コンテナが格納された時や、格納された後に、コンテナの設置状況を検知する場合に限定されず、例えば、コンテナの格納前に、販売装置に設けられた1次元又は2次元コードリーダーなどにより、コンテナ識別子を読み取る構成でもよい。
【0010】
本発明の農産物販売システムにおいて、販売装置は、コンテナ識別子を撮像するネットワークカメラと、ネットワークカメラを用いてコンテナ識別子を読み取るコード読取手段、を備え、コンテナの設置状況が検知されることが好ましい。
ネットワークカメラを備えることにより、コンテナやコンテナ内の商品をリアルタイムに撮影して、撮像画像をネットワークによりサービス提供サーバに送信でき、販売装置の状態を遠隔で管理することが可能となる。ネットワークカメラは、公知のネットワークカメラを幅広く利用できる。また、コード読取手段を備えることにより、コンテナに表示された1次元又は2次元コードをリアルタイムで読み取ることが可能となる。コード読取手段は、例えば、QRコード(登録商標)リーダーに関するアプリケーションなどのことである。コンテナへの1次元又は2次元コードの表示は、当該コードが表示されたシール等を貼り付けてもよいし、コンテナに直接印字してもよい。
また、ネットワークカメラは、コンテナ識別子以外の撮像に用いることも可能である。したがって、ネットワークカメラ及びコード読取手段による検知と併せて、コンテナの設置状況を検知する手法が用いられてもよい。例えば、コンテナの外面上に表示された商品名や生産者名などコンテナを特定するテキスト情報や画像情報、コンテナのサイズ、コンテナ内の商品等を、ネットワークカメラなどで撮像して検知する手法を補完的に用いてもよい。
【0011】
本発明の農産物販売システムにおいて、サービス提供サーバは、コンテナ格納部の使用日数、又は、コンテナの定額制に応じて課金することが好ましい。かかる課金方法を採用することにより、ユーザは低コストで利用でき、かつ、サービス提供者にとって安定した収益化が図られることになる。
コンテナ格納部の使用日数に応じた課金とは、例えば、販売装置において、ユーザが利用するコンテナの設置状況をリアルタイムで検出し、販売装置又は当該データを受信したサービス提供サーバにおいて、当該コンテナが、当該コンテナ格納部に設置された期間(使用日数)を算出し、課金するといったものである。また、コンテナの定額制に応じた課金とは、例えば、サービス提供者からユーザへコンテナが貸与され、貸与された数等に応じて、月額料金を算出し課金するといったものである。
【0012】
本発明の農産物販売システムにおいて、ユーザ端末は、販売装置のコンテナ格納部からコンテナの回収を依頼するコンテナ回収依頼手段を備え、コンテナ格納部からコンテナの回収が行われたことが、サービス提供サーバにより通知されることが好ましい。
回収の依頼とは、少なくともコンテナ識別子を指定して、販売装置に設置されたコンテナの回収を依頼するものであり、回収後の返送先や販売期間、回収条件を指定することもできる。したがって、ユーザは出荷元への返送以外に、例えば、所定の鮮度を満たす商品について、契約先の飲食店などへの転送を依頼することも可能である。また、回収条件としては、販売期間が終了したことや、コンテナ内の商品が完売したことなどを指定できる。
回収の依頼が行われると、サービス提供サーバにおいて回収の依頼に関するデータを受信し、サービス提供者や、サービス提供者により委託を受けた者により、販売装置からコンテナが回収される。ここでのサービス提供者とは、サービス提供者側のスタッフなどのことである。サービス提供者により委託を受けた者とは、例えば、当該サービスを利用するユーザの内、販売装置の管理を引き受けたユーザなどのことである。
サービス提供者により委託を受けた者によりコンテナが回収された場合は、コンテナは、配送業者を通じて生産者に返送される。また、サービス提供者により回収されたコンテナについても、配送業者を通じて、生産者に返送されるが、これとは異なり、例えば、自社ルート配送により集荷及び返送してもよい。また、所定の鮮度を満たす商品について、予め契約したレストランや、子ども食堂などに転送してもよい。
【0013】
本発明の農産物販売システムは、消費者端末を備え、サービス提供サーバが、販売装置の場所および農産物の商品情報を消費者端末に配信することが好ましい。これにより、消費者は、販売場所や商品に関する詳細な情報をリアルタイムで取得でき、利便性や購買意欲を向上させることができる。販売場所の表示は、例えば、リスト表示やマップ表示により行う。また、農産物の商品情報としては、商品の品目や、数量、生産者の氏名、到着(入荷)予定日時、販売予定期間、生産者からのメッセージなどが含まれる。
【0014】
本発明の農産物販売システムにおいて、コンテナは、消費者による商品購入の際に用いる決済用コードが表示されることが好ましい。
決済用コードが表示されることにより、例えば、販売装置に設けられた1次元又は2次元コードリーダーによって、当該決済用コードを読み取り、商品の購入手続きを行うことが可能になる。また、消費者端末を備える場合には、消費者端末に備えられた1次元又は2次元コードリーダーによって、当該決済用コードを読み取り、商品の購入手続きを行ってもよい。
決済用コードは、コンテナが販売装置のコンテナ格納部に設置された状態で、消費者から確認できる位置に表示されることが好ましい。
【0015】
また、本発明の農産物販売システムにおいて、コンテナは、配送業者を用いて、販売装置のコンテナ格納部に配送されることが好ましい。ここで、販売装置のコンテナ格納部に配送とは、販売装置内に区分けされた個々のコンテナ格納部へのコンテナの設置が含まれる。したがって、配送業者にとっては、受取人の不在等のリスクがなく、スムーズな配送が実現できる。このように、配送業者により、搬入されるため、低コストの物流システムに組み込むことができる。
【0016】
さらに、本発明の農産物販売システムにおいて、コンテナ格納部は、計量手段を備え、コンテナが収容する農産物の個数を概算することが好ましい。例えば、コンテナのケースが透明であり、ネットワークカメラでコンテナ外部から農作物の収容状況を監視できる以外に、計量手段を設けることで、コンテナが収容する農産物の個数を概算することができる。リンゴなど1個がある程度の重量であれば計量に影響が出ないが、ミニトマトなど軽量の場合には、パック単位で販売されるため、パック毎の重量を目安にすればよい。
コンテナが収容する農産物の個数を概算できると、例えば、「1パック100g」の商品が「10パック」販売されている場合、計量手段により、入荷当初は重量が「1kg」と検出されるが、1パック売れた場合、「900g」と検出される。したがって、盗難や買い間違えがなく、正常に商品の購入がなされたことを、ネットワークカメラや消費者端末による情報と併せて評価でき、セキュリティを向上できる。なお、買い間違え等が疑われる場合には、サービス提供サーバから消費者端末に、当該購入内容について確認するための通知を行ってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の農産物販売システムによれば、遠隔地に農産物を提供して、無人で販売し、かつ消費者が手に取って商品を選ぶことができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1の農産物販売システムの機能ブロック図
【
図2】実施例1の農産物販売システムのシステム構成図
【
図4】実施例1の農産物販売システムの概略フロー図
【
図5】実施例1の農産物販売システムのデータフロー図
【
図8】実施例2の農産物販売システムの機能ブロック図
【
図10】実施例3の農産物販売システムの機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0020】
図1は、実施例1の農産物販売システムの機能ブロック図を示している。
図2は、実施例1の農産物販売システムのシステム構成図を示している。また、
図3は、実施例1の農産物販売システムの説明図を示している。
図1及び
図2に示すように、農産物販売システム1は、ユーザ端末2、販売装置3、サービス提供サーバ4及び消費者端末5がネットワーク6を介して接続されている。
ユーザ端末2は、商品登録手段21及びコンテナ回収依頼手段22を備える。ユーザ端末2は、商品の提供を行う農産物の生産者20が操作する端末であり、農産物を少なくとも1つ収容するコンテナのコンテナ識別子と、コンテナを配送するコンテナ格納部を入力するものである。
図2に示すように、本実施例では、ユーザ端末2としてノートPCを用いているが、デスクトップPC、スマートフォン、タブレット端末など幅広い端末を利用可能である。なお、ユーザ端末2への操作入力や画面出力は、ユーザ端末2にインストールされた専用のアプリケーションを用いて行うことでもよいし、また、ウェブブラウザを用いて行うことでもよい。
商品登録手段21は、販売対象となる農産物を商品としてコンテナ識別子と関連付けて登録するものである。具体的には、販売する商品名、商品の数、発送先(格納先)、販売期間(設置日数)、販売価格、集荷先などを登録する。
商品登録手段21による商品の登録を行うと、図示しないが、ユーザ端末2において、登録した内容が、コンテナに貼り付けて使用する貼り付け用紙に適した形に自動的に編集され、公知のプリンタ等に出力してプリントアウト可能な状態となる。これにより、ユーザは、システム上に入力後、ワンタッチで、バーコード、生産者紹介、価格などが表示された貼り付け用紙を作製できる。
コンテナ回収依頼手段22は、コンテナについて、販売装置3のコンテナ格納部31からの回収を依頼するものである。回収の依頼においては、回収後の返送先や販売期間、回収条件を指定することもできる。すなわち、商品の販売期間(設置日数)は、前述のように、商品登録手段21により登録することもできるし、商品の登録後においても、コンテナ回収依頼手段22により指定したり、変更したりすることができる。また、返送先の指定においては、ユーザは出荷元の農家への返送以外にも、例えば、契約先のレストランなどの飲食店や学校などへの転送を指示することが可能である。
【0021】
販売装置3は、コンテナ格納部31及び検知手段32を備え、検知手段32は、ネットワークカメラ33及びコード読取手段34を備える。
図2に示す販売装置3は、冷蔵機能を備え、農産物の鮮度を保持した状態で販売することが可能であるが、かかる仕様に限定されず、例えば、冷凍機能を備えるものでもよい。コンテナ格納部31は、複数のコンテナ8を格納するものである。
検知手段32は、コンテナが格納された場合に、コンテナ識別子によりコンテナ格納部におけるコンテナの設置状況を検知するものである。また、検知手段32は、コンテナ格納部におけるコンテナの設置状況をリアルタイムに検知しており、コンテナの撤去や、コンテナの開閉に関する情報も検知する。
ネットワークカメラ33は、コンテナ識別子を撮像するものである。また、ネットワークカメラ33は、コンテナ識別子以外に、コンテナ自体についても撮像し、例えばコンテナ内部の商品の状況について撮像することでもよい。コード読取手段34は、ネットワークカメラ33を用いてコンテナ識別子を読み取るものである。
【0022】
図6は、コンテナの外観図であり、(1)は正面側の外観斜視図、(2)は背面側の外観斜視図を示している。
図6(1)に示すコンテナ8は、半透明のプラスチック素材から成り、蓋部8aとコンテナ本体8bで構成される。ここでは図示しないが、蓋部8aとコンテナ本体8bはストッパを操作することで容易に開閉できる構造である。また、コンテナ8には、ラベル8cが貼付されている。ラベル8cには、商品説明文81、商品画像82及びバーコード83が表示されている。ラベル8cは、コンテナ8に箱詰めする農産物の内容に応じて、生産者20によって作製され、貼付される。なお、ここでは、ラベル8cにはバーコード83が表示されているが、1次元コードに限られず、QRコード(登録商標)などの2次元コードを表示してもよい。ラベル8cに表示されたバーコード83は、バーコードリーダ35により読み取ることができる。バーコードリーダ35としては、コード表示部83に表示されるコードの種類に適合したリーダが用いられる。
【0023】
図6(2)に示すように、コンテナ8の背面側には、2次元コード84が表示されている。2次元コード84としては、QRコード(登録商標)などの公知の2次元コードが利用可能である。したがって、ネットワークカメラ33を用いて2次元コード84を撮像し、コード読取手段34により、2次元コード84からコンテナ識別子を読み取る。後述するが、コンテナ格納部31の奥側には、コンテナ格納部31を撮像できるようにネットワークカメラ33が設けられ、ネットワークカメラ33による撮像は常時行われるため、コンテナ格納部31にコンテナ8を設置するだけで、2次元コード84の読み取りが可能である。ここで販売装置3のコンテナ格納部31とネットワークカメラ33の配置構成について説明する。
【0024】
図7は、販売装置の正面イメージ図を示している。
図7に示すように、販売装置3は、扉部37をスライドさせて開閉でき、内部にはコンテナ格納部31として、コンテナ格納部(3a~3t)が設けられている。また、ネットワークカメラ33として、ネットワークカメラ(33a~33t)が設けられている。コンテナ格納部3aの奥側には、コンテナ格納部3aを撮像できるようにネットワークカメラ33aが設けられている。同様に、コンテナ格納部3bの奥側には、コンテナ格納部3bを撮像できるようにネットワークカメラ33bが設けられ、コンテナ格納部3cの奥側には、コンテナ格納部3cを撮像できるようにネットワークカメラ33cが設けられている。コンテナ格納部(3d~3t)についても同様であり、同じく対応するネットワークカメラ(33d~33t)が設けられている。このように、販売装置3には、コンテナ格納部31の数に応じて、同数のネットワークカメラ33が設けられており、個別にコンテナ8の設置状況を検知することが可能である。
また、かかる構成とは異なり、例えば広角レンズを用いるなどして、1つのネットワークカメラ33で、コンテナ格納部(3a~3t)と、格納された各コンテナ8を撮像する構成でもよい。
【0025】
図1に示すように、サービス提供サーバ4は、受付手段41及びコンテナ管理手段42を備え、コンテナ管理手段42は、発送依頼手段43及び通知手段44を備える。
サービス提供サーバ4は、ユーザ端末2および販売装置3から送信されたコンテナ識別子を用いて、コンテナ8及びコンテナ格納部31を管理する。受付手段41は、ユーザ端末2による商品の登録やコンテナの回収依頼を受け付けるものであり、商品の登録がされた場合、販売対象となる農産物を商品としてコンテナ識別子と関連付けて登録される。コンテナ管理手段42は、検知手段32及び受付手段41から得られたデータに基づいて、コンテナ8及びコンテナ格納部31を管理する。発送依頼手段43は、農産物が箱詰めされたコンテナ8について、引取り、配送、及び、コンテナ格納部31への設置を依頼する。通知手段44は、商品の登録、コンテナ8の到着又は返送に関する情報を、ユーザ端末2及び消費者端末5に通知する。すなわち、サービス提供者又はサービス提供者から委託を受けた者によりコンテナ8が回収されると、通知手段44により、コンテナ格納部31からコンテナ8の回収が行われたことが、ユーザ端末2へ通知される。通知に当たっては、コンテナ8が、生産者20に返送されるのか、或いは提携先へ転送されるのかについても通知される。
【0026】
受付手段41において、商品の登録を受け付けると、発送依頼手段43によるコンテナ8についての引取り、配送、及び、コンテナ格納部31への設置の依頼が自動的に開始するが、ユーザ端末2により、発送依頼手続きの時期を指定してもよい。
【0027】
図1に示すように、消費者端末5は、商品情報取得手段51を備える。商品情報取得手段51は、販売装置の場所、農産物の商品情報の配信を受けるものであり、これにより、消費者は、商品情報をリアルタイムで取得でき、購買意欲を高めることができ、また利便性が向上する。
【0028】
ここからは、実施例1の農産物販売システムがどのように運用されるのかについて説明する。前提として、サービス提供サーバ4は、コンテナ格納部31の使用日数、又は、コンテナ8の定額制に応じて課金する構成となっており、本実施例では、生産者20は、サービス提供者40から、コンテナ8の貸与を受けている。また、かかる構成とは異なり、コンテナ8は段ボール等の使い捨ての容器とし、コンテナ格納部31について、例えば、コンテナ1個を置くことができるスペースの利用権を月額制で販売するといった構成でもよい。なお、生産者20は、実際に農産物の生産を行うといった狭義の意味の生産者(農家)に限られず、これらの生産者から農産物を譲り受けた者や、販売の委託を受けた者も含まれる。
図4は、実施例1の農産物販売システムの概略フロー図を示している。
図4に示すように、まず、生産者20は、販売対象となる農産物を商品として、コンテナ識別子と関連付けて登録する(ステップS01)。ここでは、商品の内容、数、発送先、設置日数、販売価格、集荷先などを登録する。商品の登録が行われると、発送依頼手段43により、発送手続きが進められ、依頼を受けた配送業者70が、ユーザ端末2により指定された集荷先に、指定された期日に赴く。
商品を登録した後、生産者20は、販売用の農産物をコンテナ8に箱詰めし、集荷に訪れた配送業者70に当該コンテナ8を渡して、商品を発送する(ステップS02)。コンテナは、配送業者70により配送される(ステップS03)。配送業者70は、販売装置3にコンテナ8を設置する(ステップS04)。
【0029】
販売装置3にコンテナ8が設置されると、ネットワークカメラ33及びコード読取手段34により、2次元コード84を読取る(ステップS05)。なお、ネットワークカメラ33による撮影は常時行われ、コンテナ8やその周囲の撮影や、コード読取手段34による読取りもリアルタイムで行われ、在庫管理や盗難防止に利用される。
販売装置3において、コンテナ8の到着が検出されると、商品の到着が消費者50及び生産者20に通知される(ステップS06)。具体的には、消費者端末5及び生産者端末2に通知される。これにより、消費者50には、商品購入の動機が与えられ、また生産者20は、商品が販売可能状態になったことを確認できる。
消費者は、販売装置3に設置されたコンテナ8を外観から見るだけでなく、コンテナ8の蓋部8aを開けて、実際に商品を手に取って選ぶことが可能である。消費者20は、気に入った商品があれば、商品を購入する(ステップS07)。商品の購入の際は、例えば、QRコード(登録商標)決済などの、消費者端末5が備える公知のキャッシュレス決済方法を利用して、決済を行う。コンテナ8内の商品の販売期間が終了又は完売となった場合には、販売装置3から販売終了に関するデータがサービス提供サーバ4へ送信され、コンテナ8の回収手続きが開始される(ステップS08)。なお、コンテナ8の回収については、前述のように、コンテナ回収依頼手段22を用いて、ユーザ端末2からコンテナの回収の依頼を行うことも可能である。
【0030】
図5は、実施例1の農産物販売システムのデータフロー図を示している。
図5に示すように、まず、ユーザ端末2から商品に関するデータが送信され(ステップS101)、サービス提供サーバ4は、商品に関するデータを受信する(ステップS102)。サービス提供サーバ4から商品に関するデータが送信され(ステップS103)、販売装置3は、商品に関するデータを受信する(ステップS104)。なお、ここでの商品に関するデータとは、当該コンテナのコンテナ識別子とコンテナ内の商品に関するデータの両方が含まれる。販売装置3において、コンテナの到着が検出されると(ステップS105)、販売装置3からサービス提供サーバ4へ商品到着通知が送信され(ステップS106)、サービス提供サーバ4において商品到着通知を受信する(ステップS107)。
【0031】
サービス提供サーバ4から消費者端末5及びユーザ端末2へ商品到着通知が送信され(ステップS108)、消費者端末5において商品到着通知を受信し(ステップS109)、また、ユーザ端末2においても商品到着通知を受信する(ステップS110)。消費者50により商品が購入される場合は、消費者端末5から商品購入データが送信され(ステップS111)、販売装置3において商品購入データを受信する(ステップS112)。販売装置3は、商品購入を検出すると(ステップS113)、サービス提供サーバ4へ商品購入データを送信し(ステップS114)、サービス提供サーバ4は、商品購入データを受信する(ステップS115)。サービス提供サーバ4は、ユーザ端末2へ商品購入データを送信し(ステップS116)、ユーザ端末2は、商品購入データを受信する(ステップS117)。
なお、ステップS111~S115では、消費者端末5から販売装置3に対して商品購入データが送信される例を示しているが、これとは異なり、コンテナ8に表示された1次元又は2次元コードを消費者端末5が備える公知のコードリーダアプリを用いて読取り、消費者端末5からサービス提供サーバ4に対して商品購入データを送信する構成でもよい。