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特開2023-79774多孔質炭素材料およびその製造方法、多孔質炭素材料の前駆体、ならびに多孔質炭素材料を用いた電極材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079774
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】多孔質炭素材料およびその製造方法、多孔質炭素材料の前駆体、ならびに多孔質炭素材料を用いた電極材料
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/05 20170101AFI20230601BHJP
   H01G 11/34 20130101ALI20230601BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230601BHJP
【FI】
C01B32/05
H01G11/34
H01G11/86
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193399
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 成之
(72)【発明者】
【氏名】堂浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉川 幸治
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA16
4G146AC04A
4G146AC10A
4G146AC10B
4G146AC27A
4G146AD11
4G146AD23
4G146BA11
4G146BB04
4G146BC23
4G146BC33A
4G146BC33B
5E078BA12
5E078BA65
5E078BB02
5E078BB05
(57)【要約】
【課題】簡単な作業工程で製造でき、高比表面積の多孔質炭素材料、およびその製造方法と、当該多孔質炭素材料を用いた電極材料を提供する。
【解決手段】組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液との合成反応により、前駆体を調製し、当該前駆体を焼成することによって多孔質炭素材料を製造する方法であって、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素含有官能基を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質にする多孔質炭素材料の製造方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液との合成反応により、前駆体を調製し、当該前駆体を焼成することによって多孔質炭素材料を製造する方法であって、
酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素含有官能基を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質にすることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
【請求項2】
酸素を含む有機化合物としてテレフタル酸を用いる請求項1に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法によって得られる多孔質炭素材料であって、
比表面積が2400m/g以上となされた多孔質炭素材料。
【請求項4】
窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、20%以上となされた請求項1ないし3の何れか一に記載の多孔質炭素材料。
【請求項5】
焼成することで多孔質炭素材料として調製することができる前駆体であって、
組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、
酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液と、
の合成反応により得られ、
EDS分析によるデータを結晶構造データベースと照合することにより、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定されたことを特徴とする多孔質炭素材料の前駆体。
【請求項6】
請求項3または4に記載の多孔質炭素材料を含む電極材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い比表面積値を得ることができる多孔質炭素材料およびその製造方法と、その多孔質炭素材料を用いた電極材料とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気二重層キャパシタの分極性電極として、表面積が大きく導電性に優れている点から活性炭等の多孔質材料が用いられている。
【0003】
そこで、従来より、このような活性炭に変わるものとして、本発明者等は、三次元網目構造に構成された金属錯体を合成した後、それを焼成することによって、電解質イオンの吸脱着を容易に行うことをできるようにした多孔性金属錯体の焼成体を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-135196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の多孔性金属錯体の焼成体の場合、活性炭に替わる電極材料として有効な性能を発揮するものの、本来の性能を発揮させるために幾つかの工夫をすることで、さらに高性能となることの知見を得て、本発明者等は新たな発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、簡単な作業工程で製造でき、高比表面積の多孔質炭素材料、およびその製造方法と、当該多孔質炭素材料を用いた電極材料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法は、組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液との合成反応により、前駆体を調製し、当該前駆体を焼成することによって多孔質炭素材料を製造する方法であって、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素含有官能基を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質にするものである。
【0008】
上記多孔質炭素材料の製造方法において、酸素を含む有機化合物としてテレフタル酸を用いるものであってもよい。
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る多孔質炭素材料は、上記の製造方法によって得られる多孔質炭素材料であって、比表面積が2400m/g以上となされたものである。
【0010】
上記多孔質炭素材料は、窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、20%以上となされたものであってもよい。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の前駆体は、焼成することで多孔質炭素材料として調製することができる前駆体であって、組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液と、の合成反応により得られ、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定されたものである。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の電極材料は、上記多孔質炭素材料を含むものである。
【0013】
上記多孔質炭素材料の製造方法において、組成に酸素を含む有機化合物としては、酸素含有官能基を有する芳香族炭化水素化合物を使用することができる。具体的には、カルボキシル基を有する芳香族炭化水素化合物や、アルデヒド基を有する芳香族炭化水素化合物を使用することができる。カルボキシル基を有する芳香族炭化水素化合物としては、単数または複数のベンゼン環に、単数または複数のカルボキシル基が設けられたものを使用することができる。単数のベンゼン環に、単数または複数のカルボキシル基が設けられた芳香族炭化水素化合物としては、例えば、安息香酸、または、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、または、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、または、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸等を使用することができる。前駆体の合成や、合成された前駆体の元素比率を考慮すると、ベンゼンジカルボン酸を使用することが好ましく、テレフタル酸を使用することがより好ましい。複数のベンゼン環に、単数または複数の官能基が設けられた芳香族炭化水素化合物としては、例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4-ビスフェニルジカルボン酸、4,4-スチルベンジカルボン酸を使用することができる。アルデヒド基を有する芳香族炭化水素化合物としては、単数または複数のベンゼン環に、単数または複数のアルデヒド基が設けられたものを使用することができる。単数のベンゼン環に、単数または複数のアルデヒド基が設けられた芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、1,3,5-ベンゼントリカルボアルデヒド、1,2,4-ベンゼントリカルボアルデヒドを使用することができる。複数のベンゼン環に、単数または複数のアルデヒド基が設けられた芳香族炭化水素化合物としては、例えば、2,6-ナフタレンジカルボアルデヒドを使用することができる。
【0014】
上記多孔質炭素材料の製造方法において、上記した組成に酸素を含む有機化合物を溶解する有機溶媒としては、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、メタノール、エタノール、DMSO(ジメチルスルホキシド:C2H6SO)、DMF(ジメチルホルムアミド:C3H7NO)、DMA(ジメチルアセトアミド:C4H9NO)、DEF(N,N-ジエチルホルムアミド)などを用いることができる。これらは、単独溶媒であってもよいし、複数種類を混合した混合溶媒であってもよい。この有機溶媒5~500mlに、上記した組成に酸素を含む有機化合物0.05~0.5gを溶解することで、有機リガンド液が調製される。
【0015】
上記多孔質炭素材料の製造方法において、酢酸亜鉛は、上記有機リガンド液の組成に酸素を含む有機化合物と配位結合して前駆体を合成可能な化合物として用いられる。ここで、酢酸亜鉛は、当該酢酸亜鉛の他に、酢酸亜鉛二水和物、などを含む。酢酸亜鉛を用いた場合、当該酢酸亜鉛は、弱酸性であるため、前駆体を合成する際の反応が穏やかになり、粒子の核成長が緩やかに進行する効果がある。逆に、硝酸亜鉛などの強酸を用いてしまうと、前駆体を合成する際の反応が激しくなり、粒子の核成長が早く、粒子径が小さくなってしまい、前駆体の回収が困難になる。それに比べて酢酸亜鉛を用いた場合は、大きな粒子径の前駆体が取れるので、安定的に回収し易くなる。また、酢酸亜鉛は、その組成に炭素元素が含まれているが、硝酸亜鉛は含まれていない。このように亜鉛元素に対して炭素元素が少なすぎると、後に前駆体を焼成した際に、亜鉛元素や酸素元素が分解されず、酸化亜鉛が生成されてしまうことになり、目的とする細孔の形成ができなくなってしまう。このような理由から、酢酸亜鉛を用いる。
【0016】
上記多孔質炭素材料の製造方法において、酢酸亜鉛を溶解する溶媒としては、上記有機リガンド液に使用されているものと同じものが使用される。この有機溶媒10~200mlに、上記した酢酸亜鉛0.1~0.8gを溶解することで、酢酸亜鉛溶液が調製される。
【0017】
組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液と、の合成反応により、前駆体が調製される。
この際、合成に使用する、組成に酸素を含む有機化合物、酢酸亜鉛、これらを溶解する有機溶媒、の各材料としては、合成反応によって得られる前駆体のEDS分析によるデータを結晶構造データベースと照合することにより、当該前駆体の構造を特定し、その構造から酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下となるものを使用する。この値が0.25未満の場合、後述する酸素含有官能基が脱離した跡に、十分な細孔を形成して多孔質化を図ることができなくなる。この値が0.5を超えるものは、物として実質的に確認できないが、あまりこの数値が高すぎると、効果が飽和してしまうことが考えられる。
【0018】
また、酢酸亜鉛に関しても、EDS分析による亜鉛元素/炭素元素の比率が0.1<Zn/Cとすることで、後述する亜鉛元素が離脱した跡に、十分な細孔を形成して多孔質化を図ることができる。この酢酸亜鉛を使用しているので、得られる前駆体は、純ケイ素の回折角度のピーク(2θ)が28.2°、47.12°、55.9°に測定される条件で、X線回折した際、9.92°、11.47°、11.88°、16.52°、24.25°(何れのピークも誤差±0.3°)に相当する少なくとも5つの、亜鉛元素に由来する回折角度のピークが現れる前駆体が調製されることとなる。
さらに、得られる前駆体は、例えば、酢酸亜鉛、NMP、テレフタル酸を用いて合成することで、上記5つの回折角度のピークを有したものとなるが、前駆体の状態では、多孔質ではない鱗片状の状態で調製される。この前駆体は、比表面積が15m/g以下となり、前駆体の状態では多孔質に形成されていない。
【0019】
上記前駆体は、焼成することによって多孔質炭素材料とされる。この際、焼成は、前駆体を1000℃で焼成した際に検出されるX線回折の回折角度のピークが検出されなくなるまで、当該前駆体を高温で焼成する。すなわち、上記前駆体は、酢酸亜鉛溶液を用いて合成しているので、当該前駆体を700℃程度の温度で焼成すると、前駆体に入り込んでいた酸化亜鉛や亜鉛が、当該前駆体に残ってしまい、長時間焼成しても、回折角度のピークとして検出される。確認したピークは、31.7°、34.3°、36.2°、47.45°、56.5°(何れのピークも誤差±0.3)である。しかし、亜鉛の沸点である907℃以上の温度で焼成させると、酸化亜鉛を分解し、亜鉛を蒸発させることができるので、前駆体に入り込んでいた酸化亜鉛や亜鉛を消失させ、上記したピークも無くなり、当該酸化亜鉛や亜鉛が入り込んでいた跡に、細孔が形成され多孔質になる。この際、亜鉛の沸点である907℃以上で焼成すれば、確実に細孔を形成して多孔質にすることができる。したがって、1000℃で焼成すれば、前駆体に入り込んでいた酸化亜鉛や亜鉛を消失させることができる。また、1000℃で焼成すれば、前駆体の酸素含有官能基が脱離して、さらに細孔が形成されてより一層多孔質になる。したがって、焼成条件としては、1000℃以上で行えば良いが、亜鉛の沸点以上の1000℃の温度であっても、回折データをワイドレンジで確認すると亜鉛が残存している場合があるので、残存している亜鉛が蒸発するためには30分程度の時間が必要とされる。そのため、1000℃で、時間としては、残留する亜鉛を蒸発させて酸素含有官能基を脱離させることができる条件であれば、特に限定されるものではなく、亜鉛を蒸発させた後、酸素含有官能基を確実に脱離させることを考慮すると30分~8時間、好ましくは5時間~8時間、または前駆体1g当たり3.84時間~61.6時間の焼成を行うことがよい。
【0020】
焼成は、不活性ガス雰囲気(窒素ガスもしくはアルゴンガス雰囲気)にて行うものであってもよい。この際、不活性ガス雰囲気は、0.1~1.0リットル/分のガス流量で焼成雰囲気を置換しながら行うものであってもよい。また、焼成時に所定の温度から5~10℃/分程度の昇温速度で昇温して所定温度にして焼成を行うものであってもよい。さらに、焼成は、減圧雰囲気下で行うものであってもよい。焼成する炉は、炉心管タイプ、ボックス炉、ロータリーキルン炉などを用いることができる。
【0021】
このようにして構成された多孔質炭素材料は、組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる亜鉛イオン溶液と、の合成反応により、当該合成反応によって得られる前駆体のEDS分析によるデータを結晶構造データベースと照合することにより、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された、三次元網目構造で骨格形成がされた前駆体を調製し、この前駆体に取り込まれている酸化亜鉛や亜鉛や酸素が無くなるまで焼成することにより、酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させ、当該酸化亜鉛や亜鉛や酸素が入り込んでいた跡に、細孔を形成して多孔質化を図ることができる。しかも、酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させることができる高温で焼成するため、余計な不純物等も同時に消失させることができるので、焼成後の水洗の必要も無くすことができ、焼成工程後に得られた焼成体をそのまま使用することができることとなり、簡単な作業工程で多孔質炭素材料を得ることができる。
【0022】
しかも、このようにして構成された多孔質炭素材料は、元々、三次元網目構造で骨格形成された前駆体から、酸化亜鉛や亜鉛や酸素の部分を消失させて、当該酸化亜鉛や亜鉛や酸素が入り込んでいた跡に、細孔を形成しているため、静電容量の高い高性能な電極材料とすることができる。また、このようにして形成される細孔は、上記酸化亜鉛や亜鉛や酸素が抜けた跡に形成されるものが多くなるため、IUPACで定義されるメソ孔(2~50nm)を多く形成できることとなり、全比表面積に占めるメソ孔の比表面積の割合を20%以上にすることができる。さらに、このメソ孔は、多孔質ではない前駆体の状態から、酸化亜鉛や亜鉛や酸素の部分を消失させる1000℃の高温で、かつ、上記した長時間の焼成を行うことで、指数関数的またはn次関数(n>1)的に酸化亜鉛や亜鉛や酸素を消失させて、その跡に細孔を形成することができるので、比表面積を2500m/g以上とし、そのうち、メソ孔の比表面積を1400m/g以上とした超高性能な多孔質炭素材料を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によると、組成に酸素を含む有機化合物を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる亜鉛イオン溶液との合成反応によって得られる前駆体のEDS分析によるデータを、結晶構造データベースと照合することにより、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素元素を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質化を図った多孔質炭素材料を得ることができる。このようにして構成された多孔質炭素材料は、酢酸亜鉛に由来する酸化亜鉛および亜鉛や、酸素を含む有機化合物に由来する酸素を消失させて当該酸化亜鉛や亜鉛や酸素の跡に細孔を形成した高比表面積の多孔質炭素材料となるため、静電容量の高い高性能な電極材料とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る前駆体のEDS分析の回折データと、その回折データと照合した結晶構造データベースの回折データを示し、(b)は実施例2に係る前駆体のEDS分析の回折データと、その回折データと照合した結晶構造データベースの回折データを示している。
図2】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1および実施例2に使用する前駆体ならびに純ケイ素の粉末X線回折の回折データを示すグラフである。
図3】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1および実施例2に使用する前駆体ならびに酸化亜鉛の焼成工程の各温度における粉末X線回折の回折データを示すグラフである。
図4】(a)は本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時の粉末X線回折の回折データを示し、(b)は実施例2に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時、1000℃で3時間後、1000℃で5時間後の、各粉末X線回折の回折データを示している。
図5】(a)は本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時、1000℃で3時間後、1000℃で5時間後の、各粉末X線回折の回折データを示し、(b)は実施例2に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時、1000℃で3時間後、1000℃で5時間後の、各粉末X線回折の回折データを示している。
図6】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の比較例1に使用する前駆体ならびに酸化亜鉛の焼成工程の各温度における粉末X線回折の回折データを示すグラフである。
図7】(a)は本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の比較例1に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時、1000℃で3時間後、1000℃で5時間後の、各亜鉛部分の粉末X線回折の回折データを示し、(b)は同炭素部分の各粉末X線回折の回折データを示している。
図8】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1および実施例2に係る前駆体の焼成工程の各温度における重量変化を示すグラフである。
図9】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例1および実施例2に使用する前駆体の焼成工程の各温度における比表面積の変化を示すグラフである。
図10】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の比較例1に使用する前駆体の焼成工程の各温度における比表面積の変化を示すグラフである。
図11】本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法の実施例2に係る前駆体の焼成温度が1000℃に到達した時、1000℃で30分後、1000℃で1時間後の、各粉末X線回折のワイドレンジの回折データを示している。
図12】本発明に係る多孔質炭素材料を使用した電極試験片による静電容量、および活性炭を使用した電極試験片による静電容量の測定試験の結果を示すグラフである。
図13】本発明に係る多孔質炭素材料を使用した電極試験片による各電流値での静電容量と、活性炭を使用した電極試験片による各電流値での静電容量との比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0026】
[実施例1,2、比較例1]
(前駆体の調製)
酢酸亜鉛・二水和物をNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させたものを亜鉛イオン溶液として調製した。
4,4-スチルベンジカルボン酸をNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させたものを有機リガンド液として調製した。
テレフタル酸をNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に溶解させたものを有機リガンド液として調製した。
質量比にて、4,4-スチルベンジカルボン酸/酢酸亜鉛・二水和物=4.9となるように、上記亜鉛イオン溶液と、上記有機リガンド液とを混合し、合成反応により実施例1に係る前駆体を得た。
質量比にて、テレフタル酸/酢酸亜鉛・二水和物=3.0となるように、上記亜鉛イオン溶液と、上記有機リガンド液とを混合し、合成反応により実施例2に係る前駆体を得た。
【0027】
(前駆体のO/Cの元素比率)
上記した実施例1および実施例2の各前駆体を、下記装置によりEDS分析を行い、図1に示すように、このデータを結晶構造データベースと照合して前駆体の構造単位を特定した。実施例1はC1610Zn、実施例2はCZnと特定でき、その構造からO/Cの元素比率を求めた。その結果、実施例1はO/C=0.25、実施例2はO/C=0.5であることを確認した。
また、上記した実施例1および実施例2の各前駆体は、図2に示すように、純ケイ素の回折角度のピーク(2θ)が28.2°、47.12°、55.9°に測定される条件で、X線回折した際、9.92°、11.47°、11.88°、16.52°、24.25°(何れのピークも誤差±0.3°)に相当する少なくとも5つの、亜鉛元素に由来する回折角度のピークが現れる前駆体であることも確認した。
測定機種:JEM-2100F(日本電子株式会社製)
測定条件:加速電圧200kV
【0028】
(前駆体の焼成)
上記の方法で調製した実施例1および実施例2の前駆体を、それぞれ焼成して多孔質炭素材料を得た。
【0029】
上記前駆体の焼成条件は、窒素ガス雰囲気にて、ガス流量0.2リットル/分、室温25℃から昇温速度10℃/分で昇温し、1000℃到達後、その温度で5時間の焼成を行った。
【0030】
(焼成過程でのX線回折)
上記の前駆体から多孔質炭素材料を得るまでの焼成工程において、当該焼成工程の途中でサンプリングを行い、各焼成工程における実施例1および実施例2の各多孔質炭素材料のX線回折を行った。測定機種、測定条件などは下記の通りである。結果を図3ないし図5に示す。また、比較例1として、組成に酸素元素を含まないsigma‐aldrich社製商品名「BasoliteZ1200」を使用して同様のX線回折を行った。図3に対応する結果を図6に、図5に対応する結果を図7(b)に示す。図7(a)は亜鉛部分の回折データを示している。なお、図1および図6において、対照物質として酸化亜鉛の測定データを併記する。
測定機種:smart Lab SE (株式会社リガク社製)、多目的高温装置
測定条件:サンプルを0.02g、白金ホルダーにセットし、Smart Lab SEの多目的高温ユニットに組み込む。昇温プログラムは、窒素ガス雰囲気(0.2リットル/分)のもと、10℃/分で昇温し、50℃、100℃、150℃、…、1100℃と50℃ずつ、その各温度に到達すると、X線の測定を開始する。測定角度の範囲は2θ=2°~40°
スキャンスピード10°/min
X線源;Cu(Kα)
【0031】
(焼成過程での示唆熱分析および熱重量分析)
上記の前駆体から多孔質炭素材料を得るまでの焼成工程において、当該焼成工程の途中でサンプリングを行い、各焼成工程における実施例1および実施例2の各多孔質炭素材料の示唆熱分析および熱重量分析を行った。測定機種、測定条件などは下記の通りである。結果を図8に示す。
示唆熱分析
測定機種:DTG-60 (株式会社島津製作所)
測定条件:サンプルを5mg程度、白金ホルダーにセットし、窒素ガス雰囲気(0.2リットル/分)のもと、10℃/分で昇温し、30~38度(2θ)において、低角側から酸化亜鉛の反射面(ミラー指数)(100)、(002)、そして(101)面が確認できなくなるまで高温にして焼成した。
熱重量分析
測定機種:上と同じ
測定条件:上と同じ
【0032】
(窒素吸脱着測定(比表面積/細孔分布測定))
上記X線回折や示唆熱分析とは別に、多孔質炭素材料を焼成する前にあらかじめ前駆体を複数個に分けておき、焼成工程の各段階で一つ毎に取り出して焼成工程の経過測定用サンプルとした。
上記の方法で調製した前駆体と、焼成後の多孔質炭素材料と、その焼成工程のサンプルとは、それぞれを200℃で24時間減圧乾燥させ、室温雰囲気中で多孔質炭素材料および各サンプルに吸着した水分を脱着させた後、当該多孔質炭素材料および各サンプルのそれぞれの粉末0.02gをサンプル管に入れ、液体窒素雰囲気下で比表面積/細孔分布測定装置(BELLSORP-mini II:マイクロトラックベル株式会社製)によって窒素吸脱着等温曲線を測定した。また、同装置の解析プログラム(I型(ISO9277)BET自動解析)により比表面積を算出した。さらに、得られた窒素吸脱着等温線をBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法により処理してIUPACで定義されているメソ孔(2~50nm)のサイズの比表面積を算出した。また、全比表面積に占めるメソ孔の比表面積の割合を算出した。
前駆体から多孔質炭素材料を得るまでの各工程における比表面積の変化を表1および図9に示す。なお、表1において、対照物質として活性炭(クラレケミカル社製:YP50F)の測定データを併記する。また、比較例1として、組成に酸素元素を含まないsigma‐aldrich社製商品名「BasoliteZ1200」を使用して同様の比表面積の測定を行った。図9に対応する結果を図10に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(焼成過程の考察)
図9の結果から、前駆体の状態では多孔質ではなかったが、1000℃以下では、温度の上昇に伴って指数関数的に比表面積が増加していることが確認できる。また、この比表面積の増加に伴って、図3および図4に示すように、亜鉛のピークの減少や図8に示すように亜鉛元素の質量の減少が確認できることから、酸化亜鉛の還元と亜鉛の昇華とともに多孔質化して比表面積が増加していることが確認できる。
また、1000℃を超えた時点で、図4に示すように亜鉛に関するピークは略無くなり、1000℃の持続時間が長くなるに連れて、図5に示すように、-C-O、>C=O、-COO結合に起因して存在していたピークが減少してC-C、C=C結合に起因するピークのみに集束していくことが確認できる。また、この-C-O、>C=O、-COO結合に起因して存在していたピークが減少することと引き換えに、図9に示すように、比表面積が増加していることから、1000℃以上の焼成では、酸素含有官能基が脱離した跡に細孔が形成され、それによって比表面積が増加していることが確認できる。
なお、図4では、亜鉛に関するピークは略無くなっているが、図11に示すように、ワイドレンジで確認した場合、実施例2に示す多孔質炭素材料は、亜鉛のピークが確認できるが、30分経過すれば、確認されなくなった。このことから1000℃で30分以上の加熱時間を維持すれば、酸化亜鉛の還元と亜鉛の昇華に起因する比表面積の増加を確実に図ることができる。ただし、酸素含有官能基の脱離に起因する比表面積の増加については、図9に示すように、5時間焼成した場合でも、勾配は緩やかだが上昇傾向にあるので、1000℃で約8時間程度の焼成を維持すれば、酸素含有官能基の脱離に起因する比表面積の増加を確実に図ることができる。
因みに、組成に酸素元素を含まない比較例1の前駆体の場合、図7(a)に示すように、1000℃の段階で亜鉛のピークが残っているが、3時間後以降は略確認されなくなる。また、組成に酸素元素を含まないため、図7(b)に示すように、C-C、C=C結合に起因するピークのみが確認されるだけである。それを裏付けるように、比表面積の変化は、図10に示すように、多孔質状態から一旦熱収縮して比表面積が減少するが、そこから亜鉛の昇華によって細孔が形成されて多孔質化するが、1000℃を超えて以降は、上記した亜鉛のピークが消える3時間後には略比表面積の増加も横ばいとなり、酸素元素の脱離による細孔の形成は確認されない。なお、比較例1の前駆体は、1000℃以降の比表面積の増加だけをみると、実施例1よりも増加しているが、これは、元々多孔質であった前駆体が熱収縮していたためで、酸素の脱離による細孔の形成によるものではないことは、上記した図7(b)からも明らかである。
【0035】
(三電極法による電極試験片の作製)
実施例2で得られた多孔質炭素材料を活物質として用い、当該活物質と、導電助剤(アセチレンブラック)と、結着剤(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))とを、8:1:1の重量比で混練した。この混練物をチタンメッシュに塗布乾燥させて電極試験片を調製した。この電極試験片を作用極とし、Ag/AgClを参照電極とし、白金を対極とし、1M希硫酸を電解液として三電極法による三極セルを構成した。
【0036】
(電極試験片の容量測定)
上記で調製したそれぞれの電極試験片の活物質重量あたり、50mA/gとなるように定電流を流して、参照電極に対して電位を0~0.8Vまで充電し、到達後、0.8~0Vまで放電し、その放電電気量から静電容量を算出した。静電容量は、電気化学計測器(VSP300 Biologic社製)を用いて測定した。また、比較対象として、実施例2で得られた多孔質炭素材料を、活性炭(クラレケミカル社製:YP50F)に変更して調製した電極試験片を用いて同様の測定を行った。その結果を表2および図12に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
(電気容量維持率の測定)
上記の容量測定を、50、100、200、500、1000、2000、5000mA/gでそれぞれ行い、各電流密度における容量をプロットした。結果を図13に示す。
【0039】
以上の結果から、本発明に係る多孔質炭素材料は、電極材料として、従来の活性炭を大きく上回る静電容量を得ることができ、電極材料として非常に高性能であることが確認できた。
【0040】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液との合成反応により、前駆体を調製し、当該前駆体を焼成することによって多孔質炭素材料を製造する方法であって、
酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素含有官能基を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質にすることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法によって得られる多孔質炭素材料であって、
窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、20%以上となされ、比表面積が2400m 2 /g以上となされた多孔質炭素材料。
【請求項3】
請求項に記載の製造方法によって得られる多孔質炭素材料であって、
比表面積が2400m2/g以上となされた多孔質炭素材料。
【請求項4】
請求項1に記載の製造方法によって得られる多孔質炭素材料であって、
窒素吸脱着等温線より得られた結果をBJH法により算出して得られる、全比表面積に占めるメソ孔(2~50nm)の比表面積の割合が、20%以上となされた多孔質炭素材料。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか一に記載の多孔質炭素材料を含む電極材料。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法は、テレフタル酸を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる酢酸亜鉛溶液との合成反応により、前駆体を調製し、当該前駆体を焼成することによって多孔質炭素材料を製造する方法であって、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素含有官能基を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質にするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
以上述べたように、本発明によると、テレフタル酸を有機溶媒に溶解してなる有機リガンド液と、酢酸亜鉛を有機溶媒に溶解してなる亜鉛イオン溶液との合成反応によって得られる前駆体のEDS分析によるデータを、結晶構造データベースと照合することにより、酸素元素/炭素元素の比率が、0.25以上0.5以下の構造に特定された前駆体を調製し、当該前駆体を焼成する際、1000℃以上の温度を所定時間以上維持することにより、酸素元素を脱離させてその跡に細孔を形成して多孔質化を図った多孔質炭素材料を得ることができる。このようにして構成された多孔質炭素材料は、酢酸亜鉛に由来する酸化亜鉛および亜鉛や、酸素を含む有機化合物に由来する酸素を消失させて当該酸化亜鉛や亜鉛や酸素の跡に細孔を形成した高比表面積の多孔質炭素材料となるため、静電容量の高い高性能な電極材料とすることができる。