(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079779
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】蓋部材及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230601BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D77/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193411
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】掛谷 公一
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】関 圭輔
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LA09
3E067AA12
3E067AB77
3E067AC14
3E067BA21A
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB25B
3E067BB25C
3E067BC07C
3E067CA07
3E067CA24
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA21
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】本開示は、環境負荷の低減とコストの低減とを両立することが可能な蓋部材及び包装体を説明する。
【解決手段】蓋部材は、ベース部と、ベース部上に設けられた開閉部とを備える。ベース部は、相手方に対して付着するように構成された粘着剤層と、粘着剤層に積層された樹脂フィルム層とを含む。開閉部は、ベース部に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成された別の粘着剤層と、別の粘着剤層を覆うように開閉部の最も外側に配置され、且つ、紙系素材で構成された最外層とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部上に設けられた開閉部とを備え、
前記ベース部は、
相手方に対して付着するように構成された粘着剤層と、
前記粘着剤層に積層された樹脂フィルム層とを含み、
前記開閉部は、
前記ベース部に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成された別の粘着剤層と、
前記別の粘着剤層を覆うように前記開閉部の最も外側に配置され、且つ、紙系素材で構成された最外層とを含む、蓋部材。
【請求項2】
前記ベース部は、前記ベース部の最も外側に配置され、且つ、前記別の粘着剤層の粘着力を調節するように構成された剥離ニス層をさらに備える、請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記開閉部は、前記別の粘着剤層と前記最外層との間に配置された別の樹脂フィルム層をさらに含む、請求項1又は2に記載の蓋部材。
【請求項4】
内容物を内部に収容するように構成され、且つ、紙系素材で構成された包材と、
前記包材に設けられた出入口部を覆うように前記包材に取り付けられた、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓋部材とを備える、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓋部材及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体(例えば、水、薬液など)が含浸された衛生シート(例えば、ウエットティッシュなど)を収容する本体の開口部に設けられた蓋部材を開示している。蓋部材は、紙系素材によって形成されており、基部と、基部に対して繰り返し開閉可能に取り付けられた蓋部とを備える。基部及び蓋部は、プレス加工によって立体的な形状に加工されており、基部の立ち上がり壁と蓋部の側壁とのそれぞれに突出部が形成されている。
【0003】
衛生シートを使用しない時には、蓋部が基部を覆って突出部同士が係合することにより、本体の開口部が蓋部材によって閉塞される。これにより、本体内の気密性が高まり、衛生シートの乾燥が抑制される。一方、開口部から衛生シートを取り出す時には、突出部同士の係合を解除して、蓋部を基部に対して押し上げることにより、本体の開口部が開放される。これにより、開口部から衛生シートが露出し、使用者が衛生シートを本体から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、環境に配慮して、蓋部材を構成する材料として、プラスチック材料等に代えて紙系素材を利用することを提案している。しかしながら、特許文献1の蓋部材は、紙系素材で構成された原反材料が打抜加工及びプレス加工され、立体形状に成型されることによって形成される。そのため、蓋部材の製造コストが増加する懸念がある。また、特許文献1の蓋部材が立体的な成形体であるため、嵩張ってしまう。そのため、蓋部材の運搬コストが増加する懸念がある。
【0006】
そこで、本開示は、環境負荷の低減とコストの低減とを両立することが可能な蓋部材及び包装体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
蓋部材の一例は、ベース部と、ベース部上に設けられた開閉部とを備える。ベース部は、相手方に対して付着するように構成された粘着剤層と、粘着剤層に積層された樹脂フィルム層とを含む。開閉部は、ベース部に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成された別の粘着剤層と、別の粘着剤層を覆うように開閉部の最も外側に配置され、且つ、紙系素材で構成された最外層とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る蓋部材及び包装体によれば、環境負荷の低減とコストの低減とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、蓋部材が閉じた状態における包装体の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線における部分断面図である。
【
図3】
図3は、開口部が露出するように蓋部材が部分的に剥離された状態における包装体の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線における部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0011】
図1及び
図2を参照して、包装体1の構成について説明する。包装体1は、包材10と、蓋部材20とを含む。
【0012】
包材10は、内容物2を収納するように構成されている。内容物2は、液体(例えば、水、薬液など)が含浸された衛生シート(例えば、ウエットティッシュなど)であってもよいし、食品(例えば、ハム)であってもよいし、医薬品(例えば、貼付剤)であってもよい。
【0013】
包材10は、
図1に例示されるように、全体として直方体形状を呈していてもよい。包材10の主面(
図1の例では上面)には、出入口部OP1が設けられている。蓋部材20の最初の開封前において、出入口部OP1は、切れ目線(ハーフカット線)によって構成されていてもよい。この場合、出入口部OP1を構成する切れ目線の内側の部分は、包材10から完全には分離されていない。出入口部OP1は、
図1に例示されるように楕円形を呈していてもよいし、他の形状(例えば、矩形状、長円状、多角形状、スリット状など)を呈していてもよい。
【0014】
包材10は、
図2に例示されるように、基材層11と、接着剤層12と、内層13とを含んでいる。包材10は、基材層11と、接着剤層12と、内層13とが包材10の外側から内側に向けてこの順に積層されて構成されている。
【0015】
基材層11は、例えば、紙系素材によって構成されていてもよい。紙系素材は、環境への配慮のため、FSC(登録商標)認証、PEFC認証、SGEC認証などの認証を取得した紙系素材であってもよい。紙系素材は、例えば、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などであってもよい。基材層11の表面(包材10の外表面)には、内容物2の商品名などがインキを用いて印刷されていてもよい。インキとしては、環境への配慮のため、バイオマスインキが用いられてもよい。
【0016】
接着剤層12は、基材層11と内層13とを接着するように構成されている。接着剤層12は、例えば、ドライラミネート用接着剤であってもよい。
【0017】
内層13は、例えば、プラスチックフィルムであってもよい。プラスチックフィルムは、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどであってもよい。プラスチックフィルムは、2軸延伸されたものであってもよいし、1軸延伸されたものであってもよいし、未延伸のものであってもよい。
【0018】
蓋部材20は、
図1に例示されるように、包材10に設けられた出入口部OP1を覆うように包材10に取り付けられている。蓋部材20は、
図2に例示されるように、ベース部30と、開閉部40とを含む。
【0019】
ベース部30は、粘着剤層31と、樹脂フィルム層32と、剥離ニス層33とを含む。ベース部30は、粘着剤層31と、樹脂フィルム層32と、剥離ニス層33とがこの順に積層されて構成されている。ベース部30には、出入口部OP2が設けられている。蓋部材20の最初の開封前において、出入口部OP2は、切れ目線(ハーフカット線)によって構成されていてもよい。出入口部OP2は、出入口部OP1と同等の形状を呈していてもよいし、出入口部OP1と重なり合うように位置していてもよい。
【0020】
粘着剤層31は、包材10に対して付着するように構成されている。粘着剤層31を構成する材料は、例えば、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系粘着剤であってもよいし、天然ゴム等のゴム系粘着剤であってもよい。粘着剤層31は、その他の添加剤を含んでいてもよい。当該その他の添加剤は、例えば、粘着付与剤、可塑剤等であってもよい。粘着付与剤は、例えば、エステルガム、ロジン、クマロン等であってもよい。可塑剤は、例えば、ポリブテン、ジオクチルフタレート、ヒマシ油等であってもよい。樹脂フィルム層32は、粘着剤層31に対してラミネートによって積層されたものであってもよい。樹脂フィルム層32は、内層13を構成するプラスチックフィルムと同様の素材によって構成されていてもよい。
【0021】
剥離ニス層33は、後述する粘着剤層41の粘着量を調節するように構成されている。剥離ニス層33は、ベース部30の最外層を構成している。剥離ニス層33は、例えば、樹脂フィルム層32の表面の所定領域に剥離ニスが塗布されることで形成されてもよい。
図2の例では、剥離ニス層33は、樹脂フィルム層32の表面のうち出入口部OP2を除く領域に形成されている。すなわち、剥離ニス層33のうち出入口部OP2に対応する中央部には、貫通孔33bが設けられている。
【0022】
開閉部40は、ベース部30上に設けられている。開閉部40は、基端部40aと、主部40bと、先端部40cとを含んでいる。開閉部40は、主部40b及び先端部40cがベース部30に対して繰り返し開閉するように構成されている。
【0023】
基端部40aには、切込線CLが形成されている。
図1の例では、開閉部40の幅方向に並ぶ複数の切込線CLが基端部40aに形成されており、各切込線CLは、開閉部40の基端部40aから主部40bに向かう方向において突出する略C字形状を呈している。この場合、開閉部40を先端部40cから剥離していったときに、開閉部40に過剰な力が加わらない限りは、切込線CLよりも基端部40a側がベース部30から剥離しなくなる(
図3参照)。すなわち、切込線CLは、開閉部40の剥離を所定位置で停止させる要に構成されている。
【0024】
開閉部40は、
図2に例示されるように、粘着剤層41(別の粘着剤層)と、樹脂フィルム層42(別の樹脂フィルム層)と、粘着剤層43と、最外層44とを含む。開閉部40は、粘着剤層41と、樹脂フィルム層42と、粘着剤層43と、最外層44とがこの順に積層されて構成されている。
【0025】
粘着剤層41は、ベース部30(
図2の例では剥離ニス層33)に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成されている。粘着剤層41を構成する材料は、粘着剤層31と同様であってもよい。
図2に例示されるように、粘着剤層41は、ベース部30のうち出入口部OP2を除く領域においては、剥離ニス層33に付着している。一方、粘着剤層41は、ベース部30のうち出入口部OP2に対応する中央部においては、樹脂フィルム層32に付着している。
【0026】
開閉部40のうち先端部40cに対応する領域には、粘着剤層41が設けられていなくてもよい。あるいは、粘着剤層41が開閉部40の全体に設けられている場合には、開閉部40のうち先端部40cに対応する領域に別の樹脂フィルム等が付着されていてもよい。これらのように、先端部40cにおいて粘着剤層41の粘着力を減ずる加工(いわゆる、「糊殺し」)をすることによって、先端部40cがベース部30に付着しなくなる。そのため、使用者が先端部40cを摘まんで適度な力で引きあげることで、主部40bを容易にベース部30から剥離することができるようになる。
【0027】
樹脂フィルム層42は、粘着剤層41に対してラミネートによって積層されたものであってもよい。樹脂フィルム層42は、内層13を構成するプラスチックフィルムと同様の素材によって構成されていてもよい。
【0028】
粘着剤層43は、樹脂フィルム層42に対して付着するように構成されている。最外層44は、粘着剤層43に対してラミネートによって積層されたものであってもよい。最外層44は、基材層11と同様の素材によって構成されていてもよい。基材層11と同様に、最外層44の表面(蓋部材20の外表面)には、内容物2の商品名などがインキを用いて印刷されていてもよい。インキとしては、環境への配慮のため、バイオマスインキが用いられてもよい。
【0029】
以上に説明した包装体1において、最初の開封後の蓋部材20の状態について、
図3及び
図4を参照して説明する。利用者が先端部40cを摘まんで先端部40c及び主部40bを引きあげることで、切込線CLによって停止するまで、開閉部40(先端部40c及び主部40b)がベース部30から剥離する。
【0030】
この際、ベース部30のうち出入口部OP2に対応する中央部において、粘着剤層41が樹脂フィルム層32に直接付着しているので、開閉部40がベース部30から剥離するのに伴い、出入口部OP1,OP2を構成する切れ目線の内側部分Pが開閉部40と一体化した状態で包材10及びベース部30から引き離される。これにより、基材層11、接着剤層12及び内層13のうち出入口部OP1に対応する部分に、貫通孔11b,12b,13bがそれぞれ形成される。また、粘着剤層31及び樹脂フィルム層32のうち出入口部OP2に対応する部分に、貫通孔31b,32bがそれぞれ形成される。使用者は、こうして形成された貫通孔11b,12b,13b,31b,32b(出入口部OP1,OP2)から内容物2を取り出すことができる。
【0031】
一方、開閉部40の粘着剤層41に付着した内側部分Pは、基材層11、接着剤層12及び内層13のうち出入口部OP1の内側部分11a,12a,13aと、粘着剤層31及び樹脂フィルム層32のうち出入口部OP2の内側部分31a,32aとによって構成される。すなわち、内側部分Pは、出入口部OP1,OP2に対応する形状を呈している。
【0032】
剥離された状態の開閉部40(先端部40c及び主部40b)を閉じる際には、内側部分Pが出入口部OP1,OP2内に位置するように、開閉部40をベース部30に近接させる。これにより、出入口部OP1,OP2が内側部分Pによって閉塞され、且つ、粘着剤層41が剥離ニス層33に付着する。その結果、包材10が蓋部材20によって封止され、包材10の内容物2の状態が維持される。なお、粘着剤層41はベース部30に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成されているので、蓋部材20の開閉動作を繰り返すことで、使用者が、包材10の内容物2を必要なタイミングで間欠的に取り出すことができる。
【0033】
[作用]
以上の例によれば、開閉部40がベース部30に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成されているので、蓋部材20を立体的に加工することを要しない。しかも、開閉部40の最外層44が紙系素材で構成されているので、他の素材(例えば、プラスチック等)が用いられている場合と比較して、環境への負荷が少ない。したがって、以上の例の蓋部材20によれば、環境負荷の低減とコストの低減とを両立することが可能となる。しかも、蓋部材20において、付着及び剥離が繰り返し行われる開閉部40の粘着剤層41は、包材10に付着することがない。そのため、包材10が紙系素材で構成されている場合であっても、開閉部40の開閉の際に紙の繊維が破れて粘着剤層41に付着することがない。したがって、粘着剤層41の粘着力を維持することが可能となる。
【0034】
以上の例によれば、ベース部30は、粘着剤層41の粘着力を調節するように構成された剥離ニス層33をさらに含みうる。この場合、粘着剤層41を構成する材質等に応じて粘着剤層41の粘着力が変化したとしても、粘着力が剥離ニス層33によって適宜調整される。そのため、開閉部40の意図しないベース部30からの剥離を抑制することが可能となると共に、使用者が過度に力を入れることなく開閉部40をベース部30に対して開閉することが可能となる。
【0035】
以上の例によれば、開閉部40は、粘着剤層41と最外層44との間に配置された樹脂フィルム層42を含みうる。この場合、内容物2が液体を含んでいたとしても、樹脂フィルム層42によって液体の透過が妨げられる。そのため、紙系素材で構成された最外層44への液体の染みこみを防止することが可能となる。また、一般に、樹脂フィルムは紙よりも強度が高い、そのため、開閉部40が樹脂フィルム層42を含むことにより、開閉部40が繰り返しベース部30に対して開閉された場合であっても、開閉部40の破損を抑制することが可能となる。
【0036】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。例えば、内容物2の種類、量などに応じて、包材10及び蓋部材20を構成する各層の素材、厚さなどを変更してもよいし、当該各層を増減してもよい。内容物2が液体を含まない場合には、最外層44への液体の染みこみの懸念がないことから、蓋部材20が樹脂フィルム層42及び粘着剤層43を含んでいなくてもよい。
【0037】
[他の例]
例1.蓋部材の一例は、ベース部と、ベース部上に設けられた開閉部とを備える。ベース部は、相手方に対して付着するように構成された粘着剤層と、粘着剤層に積層された樹脂フィルム層とを含む。開閉部は、ベース部に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成された別の粘着剤層と、別の粘着剤層を覆うように開閉部の最も外側に配置され、且つ、紙系素材で構成された最外層とを含む。この場合、開閉部がベース部に対して付着及び剥離が繰り返し行えるように構成されているので、蓋部材を立体的に加工することを要しない。しかも、開閉部の最外層が紙系素材で構成されているので、他の素材(例えば、プラスチック等)が用いられている場合と比較して、環境への負荷が少ない。したがって、例1の蓋部材によれば、環境負荷の低減とコストの低減とを両立することが可能となる。しかも、例1の蓋部材において、付着及び剥離が繰り返し行われる開閉部の別の粘着剤層は、相手方に付着することがない。そのため、例えば、相手方が紙系素材で構成されている場合であっても、開閉部の開閉の際に紙の繊維が破れて別の粘着剤層に付着することがない。したがって、別の粘着剤層の粘着力を維持することが可能となる。
【0038】
例2.例1の蓋部材は、ベース部の最も外側に配置され、且つ、別の粘着剤層の粘着力を調節するように構成された剥離ニス層をさらに備えていてもよい。この場合、別の粘着剤層を構成する材質等に応じて別の粘着剤層の粘着力が変化したとしても、粘着力が剥離ニス層によって適宜調整される。そのため、開閉部の意図しないベース部からの剥離を抑制することが可能となると共に、使用者が過度に力を入れることなく開閉部をベース部に対して開閉することが可能となる。
【0039】
例3.例1又は例2の蓋部材において、開閉部は、別の粘着剤層と最外層との間に配置された別の樹脂フィルム層をさらに含んでいてもよい。この場合、相手方の内容物が液体を含んでいたとしても、別の樹脂フィルム層によって液体の透過が妨げられる。そのため、紙系素材で構成された最外層への液体の染みこみを防止することが可能となる。また、一般に、樹脂フィルムは紙よりも強度が高い、そのため、開閉部が別の樹脂フィルム層を含むことにより、開閉部が繰り返しベース部に対して開閉された場合であっても、開閉部の破損を抑制することが可能となる。
【0040】
例4.包装体の一例は、内容物を内部に収容するように構成され、且つ、紙系素材で構成された包材と、包材に設けられた出入口部を覆うように包材に取り付けられた、例1~例3のいずれかの蓋部材とを備える。この場合、例1の蓋部材と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1…包装体、2…内容物、10…包材、20…蓋部材、30…ベース部、31…粘着剤層、32…樹脂フィルム層、33…剥離ニス層、40…開閉部、41…粘着剤層(別の粘着剤層)、42…樹脂フィルム層(別の樹脂フィルム層)、44…最外層、OP1,OP2…出入口部。