(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079865
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】読取装置、検査装置、読取システムおよび読取装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20230601BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230601BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
G02B3/00 A
G02B3/00 B
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193542
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】霜田 修一
【テーマコード(参考)】
4M118
5C051
【Fターム(参考)】
4M118AA09
4M118AB01
4M118FA08
4M118GA03
4M118GA05
4M118GD02
5C051AA01
5C051DA03
5C051DA09
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB28
5C051DC02
5C051DC04
5C051DC07
(57)【要約】
【課題】読取装置の画質の向上に有利な技術を提供する。
【解決手段】主走査方向に沿って配列された複数の画素を含むセンサと、複数のレンズブロックと、を備える読取装置であって、前記複数のレンズブロックのそれぞれは、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズを含み、前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズは、前記センサに結像する使用レンズと、前記センサに結像しない不使用レンズと、を含み、前記複数のレンズブロックのそれぞれの前記使用レンズは、前記主走査方向に沿って配されており、前記複数のレンズブロックは、前記主走査方向に沿って互いに離間して配されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に沿って配列された複数の画素を含むセンサと、
複数のレンズブロックと、を備える読取装置であって、
前記複数のレンズブロックそれぞれは、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズを含み、
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズは、前記センサに結像する使用レンズと、前記センサに結像しない不使用レンズと、を含み、
前記複数のレンズブロックのそれぞれの前記使用レンズは、前記主走査方向に沿って配されており、
前記複数のレンズブロックは、前記主走査方向に沿って互いに離間して配されていることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
主走査方向に沿って配列された複数の画素を含むセンサと、
複数のレンズブロックと、を備える読取装置であって、
前記複数のレンズブロックそれぞれは、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズを含み、
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズは、前記センサに光を導く使用レンズと、前記センサに光を導かない不使用レンズと、を含み、
前記複数のレンズブロックのそれぞれの前記使用レンズは、前記主走査方向に沿って配されており、
前記複数のレンズブロックは、前記主走査方向に沿って互いに離間して配されていることを特徴とする読取装置。
【請求項3】
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズのうち1つのロッドレンズが、前記使用レンズとして機能することを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズが、前記主走査方向と交差する方向に配列されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズが、前記主走査方向に配列されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズの数が、3個以上、かつ、20個以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記不使用レンズの光入射面または光出射面が、遮光されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記不使用レンズが、前記使用レンズに対して一部に欠損が生じていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項9】
前記複数のロッドレンズは、屈折率分布型レンズであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項10】
前記複数のレンズブロックを収容する収容部が設けられたフレームを備えており、
前記フレームは、前記センサに対する前記複数のレンズブロックの位置を固定することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項11】
前記フレームに複数の前記収容部が設けられており、
複数の前記収容部それぞれに、前記複数のレンズブロックが1つずつ配されていることを特徴とする請求項10に記載の読取装置。
【請求項12】
前記収容部に、前記複数のレンズブロックのそれぞれの光軸方向の位置を決定するための突き当て部が配され、
前記光軸方向の正射影において、前記不使用レンズのうち少なくとも一部が、前記突き当て部に重なる領域に配されていることを特徴とする請求項10または11に記載の読取装置。
【請求項13】
前記収容部に、前記複数のレンズブロックのそれぞれの光軸方向の位置を決定するための突き当て部が配され、
前記複数のレンズブロックのそれぞれは、前記複数のロッドレンズを結合する結合部材を含み、
前記光軸方向の正射影において、結合部材のうち少なくとも一部が、前記突き当て部に重なる領域に配されていることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項14】
前記使用レンズは、被写体像を前記センサに縮小結像することを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の読取装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の読取装置と、
前記読取装置で取得した画像情報を用いて被写体の状態を検査する検査部と、
を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項16】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の読取装置と、
前記読取装置で取得した画像情報を記憶媒体に記憶する記憶装置と、
を含むことを特徴とする読取システム。
【請求項17】
主走査方向に沿って配列された複数の画素を含むセンサと、
複数のレンズブロックと、を備える読取装置の製造方法であって、
光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズを含むロッドレンズアレイを前記複数のレンズブロックに分割する第1工程と、
前記複数のレンズブロックを前記センサの対応する位置に配置する第2工程と、を含み、
前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれるロッドレンズは、前記センサに結像する使用レンズと、前記センサに結像しない不使用レンズと、を含み、
前記第2工程において、
前記複数のレンズブロックの前記使用レンズは、前記主走査方向に沿って配されており、
前記複数のレンズブロックは、前記主走査方向に沿って互いに離間して配されることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、検査装置、読取システムおよび読取装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光軸に直交する方向に屈折率分布を持った光ファイバを多数直線状に配列した、正立等倍像を形成するレンズアレイが示されている。このように正立等倍像を結ぶレンズアレイを用いた場合は、隣接する2つのレンズの像はセンサ上において互いに重畳するが、センサ上の同じ位置に同じ像を結ぶため重畳しても問題は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるようなレンズアレイを読取装置に適応した際に、近接する複数のレンズによって合成される像の重なりは、被写界深度を浅くする原因になり、得られる画像の画質の低下につながりうる。特に、特許文献1に示されるようなレンズアレイを、被写界深度を深くするために縮小光学系に適用すると、隣接する2つのレンズによってセンサ上に結ばれる像の位置が互いにずれてしまう(被写体上の同じ位置の像がセンサ上の別の位置に結ばれる)。その結果、センサ上で異なる画像同士が重畳することとなり、センサ上に鮮明な被写体の像が結ばれなくなってしまう。
【0005】
本発明は、読取装置の画質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る読取装置は、主走査方向に沿って配列された複数の画素を含むセンサと、複数のレンズブロックと、を備える読取装置であって、前記複数のレンズブロックのそれぞれは、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズを含み、前記複数のレンズブロックのそれぞれに含まれる前記複数のロッドレンズは、前記センサに結像する使用レンズと、前記センサに結像しない不使用レンズと、を含み、前記複数のレンズブロックのそれぞれの前記使用レンズは、前記主走査方向に沿って配されており、前記複数のレンズブロックは、前記主走査方向に沿って互いに離間して配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によって、読取装置の画質の向上に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る読取装置の構成例を示す斜視図。
【
図5】本実施形態の読取装置が組み込まれた検査装置および読取システムの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1(a)、1(b)~
図5(a)、5(b)を参照して、本開示の実施形態による読取装置について説明する。
図1(a)は、本実施形態の読取装置100の構成例を示す斜視図、
図1(b)は、読取装置100に用いられるレンズブロック101の平面図、
図2は、読取装置100の平面図および断面図である。
【0011】
読取装置100は、主走査方向151に沿って配列された複数の画素を含むセンサ102と、複数のレンズブロック101と、を備える。複数のレンズブロック101のそれぞれは、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズ110をそれぞれ含む。複数のレンズブロック101のそれぞれに含まれる複数のロッドレンズ110は、センサ102に結像する使用レンズ111と、センサ102に結像しない不使用レンズ112と、を含む。使用レンズ111は、センサ102に光を導くレンズといえる。また、不使用レンズ112は、センサ102に光を導かないレンズといえる。複数のレンズブロック101のそれぞれの使用レンズ111は、主走査方向151に沿って配されている(具体的には符号152で示す仮想線上に配置されている。)。別の言い方をすれば、主走査方向と平行な1つの直線状(仮想線上)に配置されている。また、複数のレンズブロック101は、主走査方向151に沿って互いに離間して配されている。尚、この複数のレンズブロック101が主走査方向151に沿って互いに離間している状態とは、主走査方向151と平行な直線上において、レンズブロック101が離間している状態のことである。つまり、主走査方向151において互いに隣り合うレンズブロック101同士が主走査方向151と垂直な副走査方向から見た場合に重なっていたとしても、主走査方向151において離間されていればよい。
【0012】
複数のロッドレンズを備えるロッドレンズアレイを、ロッドレンズが主走査方向に沿うように配した場合、互いに隣接するロッドレンズの出射光の一部が、センサ102上で重なり合う。複数のロッドレンズによって合成される像の重なりは、画質の低下の原因になりうる。
【0013】
そこで、本実施形態において、
図1(a)~2に示されるように、センサ102に結像する使用レンズ111は、主走査方向151に沿って互いに離間して配される。これによって、近接する複数のロッドレンズによって合成される像の重なりを抑制する。
図1(a)、2には、使用レンズ111が結像するイメージサークル121が示されている。イメージサークル121の領域は、使用レンズ111の焦点距離fと、使用レンズ111の光出射面からセンサ102までの距離と、使用レンズ111の開口角によって定義される。開口角とは、屈折率分布型レンズである使用レンズ111の光軸の一端に入射可能な光線と光軸とがなす角度の最大値である。
【0014】
例えば、被写界深度を深くするためにロッドレンズアレイを縮小光学系に適用すると、隣接する2つのレンズによってセンサ上に結ばれる像の位置が互いにずれてしまう(被写体上の同じ位置の像がセンサ上の別の位置に結ばれる)。その結果、センサ上で異なる画像同士が重畳することとなり、センサ上に鮮明な被写体の像が結ばれなくなってしまう。一方、本実施形態の読取装置100は、それぞれの使用レンズ111が結像するイメージサークル121は、互いに離間して配されている。つまり、使用レンズ111が被写体像をセンサ102に縮小結像する縮小光学系に適用した場合であっても、被写界深度が深く、かつ、画質の低下が抑制された読取装置100を実現することが可能になる。ここでいう縮小光学系による倍率Mは、
0.05≦M≦0.80 ・・・ (1)
の関係を満たしていることが望ましい。式(1)の下限を下回ると、得られる画像が粗くなってしまうため好ましくない。この式(1)の下限は、0.10以上であってもよいし、さらに、0.18以上であってもよい。一方、式(10)の上限を上回った場合、被写界深度が浅くなってしまう。したがって、式(1)の上限は、被写界深度の深さを考慮して、より好ましくは0.70以下、或いは0.40以下であってもよい。
【0015】
図1(a)~2に示される構成では、複数のレンズブロック101のそれぞれに含まれる複数のロッドレンズ110が、主走査方向151と交差する方向(例えば、副走査方向)に配列されている。また、複数のレンズブロック101のそれぞれに含まれる複数のロッドレンズ110のうち1つのロッドレンズ110が、使用レンズ111として機能する。一方、複数のレンズブロック101のそれぞれに含まれる複数のロッドレンズ110のうち使用レンズ111以外のロッドレンズ110が、不使用レンズ112として機能する。
【0016】
不使用レンズ112は、ロッドレンズ110に適当な加工を行うことによって、センサ102に結像しない、または、結像し難くなるようにしてもよい。例えば、ロッドレンズ110の光出射面または光入射面の少なくとも一部を遮光することによって、不使用レンズ112とすることができる。また、例えば、不使用レンズ112となるロッドレンズ110の光出射面または光入射面に、遮光材が塗布されていてもよいし、遮光テープが貼られていてもよい。また、不使用レンズ112が、使用レンズ111に対して一部に欠損が生じていてもよい。例えば、不使用レンズ112となるロッドレンズ110の光入射面が、研磨などによって凸凹状に粗くなっていてもよい。ロッドレンズ110に入射した光が、光入射面で散乱しロッドレンズ110の側壁などに向かうことによって、センサ102に結像し難くなる。また、ロッドレンズ110の光出射面または光入射面が、光軸の法線方向から傾いていてもよい。光出射面が傾いている場合、出射光がセンサ102に向かわないように、ロッドレンズ110の光出射面を傾ければよい。また、ロッドレンズ110の光入射面が傾いている場合、入射光は、ロッドレンズ110の側壁などで吸収され、センサ102に結像し難くなる。また、不使用レンズ112となるロッドレンズ110の光入射面と光出射面との間が連続していなくてもよい。
【0017】
図1(b)に示されるように、それぞれのレンズブロック101は、光軸と交差する方向に沿って配列された複数のロッドレンズ110を含むロッドレンズアレイを分割することによって形成されてもよい。例えば、ロッドレンズアレイに配されたロッドレンズ110の一部に上述の結像し難くなる加工を実施する。次いで、加工されていない使用レンズ111の位置に応じて、適当な位置でロッドレンズアレイを切断し、形成された複数のレンズブロック101をセンサ102の対応する位置に配置することによって、読取装置100を製造することができる。例えば、ロッドレンズ110が結像し難くなる加工の精度が低い場合であっても、加工後のロッドレンズアレイから使用レンズ111として機能するロッドレンズをピックアップし、適当な長さに切断することによってレンズブロック101を得ることができる。ロッドレンズアレイから分割されたレンズブロック101は、
図1(b)に示されるように、一体構造の結合部材115中にロッドレンズ110が配された構成を有する。結合部材115は、レンズブロック101のそれぞれにおいて複数のロッドレンズ110を結合する。結合部材115は、例えば、ロッドレンズ110とは異なる材質の樹脂によって一体的に形成されうる。結合部材115は、黒など適当な色に着色されていてもよい。
【0018】
ここで、レンズブロック101のうち、
図1(a)に示されるように読取装置100に組み込まれた際に、レンズブロック101に配されたロッドレンズ110に光が入射する面を光入射面と呼ぶ。また、レンズブロック101のうち、センサ102の側に配され、使用レンズ111からセンサ102に光が出射される面を光出射面と呼ぶ。このとき、レンズブロック101のうち光入射面と光出射面との間の面を側壁と呼ぶ。レンズブロック101の側壁は、ロッドレンズ110の光軸と、ロッドレンズ110が配列する方向の2つの軸によって構成される面と平行であることが望ましい。また、レンズブロック101の側壁と光入射面とは、垂直になっていることが望ましい。同様に、レンズブロック101の側壁と光出射面とは、垂直になっていることが望ましい。
【0019】
読取装置100において、レンズブロック101を用いずに、複数のロッドレンズを所定の間隔を開けて配置することが考えられる。しかしながら、φ1.0mm程度のロッドレンズを所定の間隔で光軸を揃えて配置するためには高い精度が求められ、コストアップの原因にもなりうる。一方、本実施形態では、ロッドレンズアレイを分割することによってレンズブロック101が形成されうる。さらに、読取装置100は、複数のレンズブロック101を収容する収容部202が設けられたフレーム201を備えている。それぞれのレンズブロック101は、センサ102に対する複数のレンズブロック101の位置を固定するフレーム201に固定される。これらの工程によって、高い精度でレンズブロック101に配された使用レンズ111を、容易にかつ高精度に所定の位置に配することができる。
【0020】
また、レンズブロック101に配される使用レンズ111および不使用レンズ112は、同じ材質のロッドレンズ110である。したがって、複数のロッドレンズを所定の間隔を開けて配置した場合と比較して、温度などの環境変化があっても、熱膨張率の違いなどによってロッドレンズが意図しない方向に傾くなどの影響が生じ難い。
【0021】
例えば、
図2に示されるように、フレーム201に複数の収容部202が設けられており、複数の収容部202のそれぞれに、複数のレンズブロック101のそれぞれが1つずつ配されていてもよい。換言すると、収容部202が、複数のレンズブロック101のそれぞれレンズブロックごとに独立して配されていてもよい。収容部202にレンズブロック101を挿入することで、使用レンズ111の軸合わせを容易に行うことができる。また、収容部202には、複数のレンズブロック101のそれぞれの光軸方向の位置を決定するための突き当て部203が配されうる。突き当て部203にレンズブロック101を突き当てることによって、使用レンズ111とセンサ102との間の距離を容易に調整することができる。つまり、ロッドレンズ110の光軸方向の正射影において、結合部材115のうち少なくとも一部が、突き当て部203に重なる領域に配されうる。
図2に示される構成では、レンズブロック101とセンサ102との間に突き当て部203が配される例が示されているが、これに限られることはない。読取装置100の構成に応じて、例えば、レンズブロック101のセンサ102と反対の側(被写体の側)に突き当て部203が配されていてもよい。また、突き当て部203は、結合部材115を越えて、不使用レンズ112が配される位置まで延びていてもよい。つまり、ロッドレンズ110の光軸方向の正射影において、不使用レンズ112のうち少なくとも一部が、突き当て部203に重なる領域に配されていてもよい。
【0022】
不使用レンズ112は、
図1(a)、2に示される構成において、上述のような結像し難くなる加工が実施されていなくてもよい。例えば、使用レンズ111と隣り合う不使用レンズ112のイメージサークルが、センサ102上に配されない場合、不使用レンズ112に遮光のための加工などが施されなくてもよい。また、例えば、イメージサークルの端部は、画像が暗くなり、また、収差の影響なども発生しうる。したがって、不使用レンズ112のイメージサークルが使用レンズ111のイメージサークル121と重なってしまっても、重なった領域から出力される信号を使用せずに画像を生成することが考えられる。さらに、例えば、
図1(a)に示されるように、使用レンズ111のイメージサークル121が、センサ102の副走査方向よりも大きい場合が考えられる。この場合、不使用レンズ112のイメージサークルが使用レンズ111のイメージサークル121と重なってしまっても、重なった領域がセンサ102の上にない場合が考えられる。このような場合においても、ロッドレンズ110に上述のような結像し難くなる加工を施すことなく、ロッドレンズアレイを適当な大きさに切断し、フレーム201の収容部202にレンズブロック101として収容する。これらの工程によって、精度よく読取装置100の光学系を製造することができる。
【0023】
図3、4は、上述の読取装置100の変形例を示す図である。読取装置100の複数のレンズブロック101のそれぞれに含まれる複数のロッドレンズ110が、主走査方向151に沿って配列されていてもよい。この構成を有する場合、不使用レンズ112として、ロッドレンズ110に対して上述のような結像し難くなる加工が施されたレンズが使用されうる。
【0024】
図3、4に示される構成において、1つのレンズブロック101に配される使用レンズ111の数は1つに限られるものではない。使用レンズ111のイメージサークル121の大きさと、レンズブロック101の主走査方向151の大きさと、に応じて、2つ以上のロッドレンズ110が、使用レンズ111として機能してもよい。この場合、2つの互いに隣接する使用レンズ111のイメージサークル121は、重なっていなくてもよい。また、2つの互いに隣接する使用レンズ111のイメージサークル121の端部が重なっている場合、センサ102のイメージサークル121が重なった領域から出力される信号を使用せずに画像を生成してもよい。
【0025】
図4に示されるように、ロッドレンズ110の光軸方向の正射影において、結合部材115のうち少なくとも一部が、突き当て部203に重なる領域に配されることによって、レンズブロック101の光軸方向の位置が決定されうる。また、
図4に示されるように、突き当て部203は、結合部材115を越えて、不使用レンズ112が配される位置まで延びていてもよい。つまり、ロッドレンズ110の光軸方向の正射影において、不使用レンズ112のうち少なくとも一部が、突き当て部203に重なる領域に配されていてもよい。不使用レンズ112は、センサ102に結像する必要がない。そのため、不使用レンズ112の光入射面または光出射面と、突き当て部203と、が、重なっていてもよい。この構成を用いた場合、突き当て部203をより大きくすることが可能になる。つまり、レンズブロック101をフレーム201の収容部202に収容する際の安定性が向上し、使用レンズ111の光軸方向の位置や配置の精度を、より容易に高めることが可能になる。
図2に示される構成においても、収容部202の主走査方向151(符号152)と交差する方向の端部に、ロッドレンズ110の光軸方向の正射影で、不使用レンズ112と重なるように、突き当て部203が設けられていてもよい。
【0026】
図1(a)~4に示される構成において、レンズブロック101に配されるロッドレンズ110の数は5個であるが、これに限られることはない。ロッドレンズ110の数は、4個以下であってもよいし、6個以上であってもよい。しかしながら、ロッドレンズアレイを切断する工程数や、ハンドリングが容易なサイズの観点から、レンズブロック101に配されるロッドレンズ110の数は、3個以上であってもよいし、さらに、5個以上であってもよい。また、
図1(a)、2に示される構成において、レンズブロック101に配されるロッドレンズ110の数が多くなると、レンズブロック101の主走査方向151と交差する副走査方向の大きさが大きくなり、また、不使用レンズ112の数が相対的に多くなる。
図3、4に示される構成においても、レンズブロック101に配されるロッドレンズ110の数が多くなると、不使用レンズ112の数が相対的に多くなる可能性がある。つまり、ロッドレンズアレイから適当な数のレンズブロック101を取得可能であり、コスト面でも有利になることから、レンズブロック101に配されるロッドレンズ110の数は、20個以下であってもよいし、さらに、10個以下であってもよい。
【0027】
以上、説明したように、本実施形態において、ロッドレンズアレイを用いた場合の近接する複数のレンズによって合成される像の重なりに起因する画質の低下を抑制した読取装置100が得られる。また、複数のロッドレンズを所定の間隔を開けて配置する場合と比較して、使用レンズ111を精度よく配置できる。さらに、環境変化にも強い読取装置100が実現できる。
【0028】
次いで、本実施形態の読取装置100の応用例として、読取装置100が組み込まれた検査装置および読取システムについて説明する。
図5(a)は、読取装置100が組み込まれた検査装置500について説明する図である。
図5(b)は、読取装置100が組み込まれた読取システム510について説明する図である。
【0029】
読取装置100は、
図5(a)、5(b)に示されるように、照明装置131によって照明された被写体550(被照明体)の画像情報を取得してもよい。つまり、読取装置100は、被写体550を照明するための照明装置131をさらに含んでいてもよい。
【0030】
被写体550が、
図5(a)、5(b)に示されるように大きさ(高さ)に差がある場合、撮像に際して深い被写界深度が求められる。したがって、センサ102に結像する使用レンズ111が主走査方向151に沿って互いに離間して配され、被写界深度が深い縮小光学系に適用可能な光学系を備える読取装置100は、高さが異なる被写体550に対してピントを合わせることが可能になる。
【0031】
大きさが異なる被写体550に対してピントを合わせられる読取装置100は、例えば、
図5(a)に示されるような、検査装置500に適用することができる。検査装置500は、読取装置100と、読取装置100で取得した画像情報を用いて被写体550の状態を検査する検査部501と、を含みうる。ここで状態とは、特定の項目(例えば、サイズや色味など)に対してあらかじめ設けた判定基準に対しての被写体550についての良否状態でもよいし、印刷物の画像品位の状態でもよいし、印刷物の発色状態でもよい。例えば、検査部501は、被写体550が所定の状態にあるか否かの良否を検査してもよいし、被写体550の大きさや色などに応じて類別する検査を行ってもよい。また、検査装置500は、
図5(a)に示されるような、被写体550を搬送するための搬送装置502を備えていてもよい。検査装置500は、例えば、複数のレンズブロック101およびライン状のセンサ102(例えば、
図5(a)の紙面と交差する方向に延びるラインセンサ)を備え、搬送装置502上を移動する被写体550を検査する検査装置であってもよい。大きさが異なる被写体550に対してピントを合わせられる読取装置100によって、検査装置500での検査の精度を高めることが可能になる。
【0032】
また、大きさが異なる被写体550に対してピントを合わせられる読取装置100は、例えば、
図5(b)に示されるような、読取システム510に適用することができる。読取システム510は、読取装置100と、読取装置100によって取得された画像情報に基づいて記憶媒体に記憶を行う記憶装置511と、を含む。読取システム510は、複写機やプリンタ、ハードディスクやメモリにデータを記憶するデータ記憶装置などを含む。読取システム510は、上述の検査装置500のように被写体550を移動させながら撮像を行ってもよいし、読取装置100が移動することによって被写体550を撮像してもよい。被写体550が、
図5(b)に示されるように、凸凹している場合であっても、センサ102に結像する使用レンズ111が主走査方向151に沿って互いに離間して配され、被写界深度が深い縮小光学系に適用可能な光学系を備える読取装置100を備える読取システム510は、被写体550の表面にピントが合った像を記憶することができる。
【0033】
記憶装置511が、読取装置100が読み取った画像情報などを、電子データとしてハードディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶してもよい。この場合、記憶装置511が、ハードディスクやメモリなどの記憶媒体を内包していてもよい。また、記憶装置511が、記憶装置511の外部に配されたクラウド上にあるストレージデバイスなどの記憶媒体に読取装置100が読み取った画像情報などを転送する通信装置を備えていてもよい。
【0034】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
100:読取装置、101:レンズブロック、102:センサ、110:ロッドレンズ、111:使用レンズ、112:不使用レンズ、151:走査方向