(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079875
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】給湯装置の機能ユニット
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20230601BHJP
F24H 9/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H9/06 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193559
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晴彦
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
3L037AB07
3L037CA03
3L037CB03
(57)【要約】
【課題】パイプシャフトの開口部に設けられた枠体に容易に並べて設置することができる給湯装置の機能ユニットを提供すること。
【解決手段】箱状のケース(10)内に機能部品が収容された給湯装置(1)の機能ユニット(
2)であって、燃料ガス管と水道管が配管されるパイプシャフト(PS)の開口部に固定された複数の区画を有する枠体(5)に、取付金具(11)を介してケース(10)が固定されることによりパイプシャフト(PS)内に設置される給湯装置(1)の機能ユニット(2)において、ケース(10)は、天面部(10a)又は底面部(10b)とパイプシャフト(PS)の奥側となる後面部(10d)とを接続する傾斜部(10g)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のケース内に機能部品が収容された給湯装置の機能ユニットであって、燃料ガス管と水道管が配管されるパイプシャフトの開口部に固定された複数の区画を有する枠体に、取付金具を介して前記ケースが固定されることにより前記パイプシャフト内に設置される給湯装置の機能ユニットにおいて、
前記ケースは、天面部又は底面部と前記パイプシャフトの奥側となる後面部とを接続する傾斜部を有することを特徴とする給湯装置の機能ユニット。
【請求項2】
前記ケースを前記枠体の所定の区画に設置するために、前記ケース又は前記ケースに装着された前記取付金具を前記枠体に設けられた係合部に係合させた状態で、前記係合部を支点として前記ケースを前記パイプシャフトの奥側に回動させて所定の位置に移動させる際に、前記ケースと前記枠体との干渉を防ぐように前記傾斜部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置の機能ユニット。
【請求項3】
前記ケースは、幅方向の長さが奥行方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置の機能ユニット。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記ケースの前記天面部と前記後面部とを接続するように形成され、
前記枠体の前記区画の下辺部に設けられた前記係合部に、前記ケースの前記底面部又は前記ケースに装着された前記取付金具を載置して係合させることを特徴とする請求項2に記載の給湯装置の機能ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅のパイプシャフトに設置される給湯装置の機能ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば集合住宅の共用通路に面するパイプシャフト又はパイプスペースと呼ばれる収容スペース内には、燃料ガス管及び上水道管が配管されると共に、給湯装置が設置されている。この給湯装置が燃料ガスを燃焼させて上水を加熱する燃焼式給湯装置である場合には、パイプシャフトの外に排出される燃焼排気が共用通路にいる人に直接当たらないように、給湯装置がパイプシャフトの上部に設置される。通常、パイプシャフトの開口部には、この開口部を開閉する扉又はパネルを支持するための金属製の枠体が固定され、この枠体に給湯装置が固定される。
【0003】
給湯装置をパイプシャフトの上部に設置するために、重量物である給湯装置を持ち上げて枠体に例えばビスによって固定することは、作業者の負担が大きく、容易な作業ではない。そのため、例えば特許文献1のように、枠体の上辺部分に仮止めしたビスに、傾けた姿勢の給湯装置の上部を引掛けて吊り下げ、このビスを支点に給湯装置を奥側に回動させて所定の位置に移動させ、複数のビスで固定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このパイプシャフトには、例えば燃料電池の発電時の発熱を利用する熱源機(発電ユニット)と、貯湯槽と、バックアップ用の燃焼式給湯装置(燃焼ユニット)を有する貯湯式の給湯装置が設置される場合がある。この場合にも、燃焼ユニットはパイプシャフトの上部に設置される。そして、発電ユニットは、例えば発電時の排気のために、パイプシャフトの上部に燃焼ユニットと並べて設置される。
【0006】
燃焼ユニットと発電ユニットのような給湯装置の機能ユニットは、パイプシャフトの開口部の上部に収まるようにパイプシャフトの幅方向にサイズを小さくすると共に奥行方向に大きくして、機能部品の搭載に必要なサイズを夫々確保している。重量物であり、且つ奥行方向に大きくしたため重心が奥側に移動した機能ユニットを並べて枠体に固定することができるように、枠体は、中段部を仕切る横桟と、この横桟と枠体の上辺部とを連結する縦桟によって強化され、上部が2つに区画されている。
【0007】
機能ユニットには固定金具が夫々装着され、パイプシャフトの前方から枠体の所定の区画に挿入されて、固定金具を介して枠体に例えばビスによって固定される。このとき、特許文献1のように支点を中心に回動させる場合、機能ユニットは、サイズが奥行方向に大きくされたこと及び横桟が設けられたことにより、横桟と干渉して回動させることができず、枠体に容易に並べて設置することができない。
【0008】
本発明の目的は、パイプシャフトの開口部に設けられた枠体に容易に並べて設置することができる給湯装置の機能ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の給湯装置の機能ユニットは、箱状のケース内に機能部品が収容された給湯装置の機能ユニットであって、燃料ガス管と水道管が配管されるパイプシャフトの開口部に固定された複数の区画を有する枠体に、取付金具を介して前記ケースが固定されることにより前記パイプシャフト内に設置される給湯装置の機能ユニットにおいて、前記ケースは、天面部又は底面部と前記パイプシャフトの奥側となる後面部とを接続する傾斜部を有することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、給湯装置の機能ユニットは、ケースの後面部から天面部又は底面部に接続する部分に傾斜部を備えている。これにより、ケースの後面部の上下方向の長さがケースの前面部側よりも短くなり、ケースが後面側ほど上下方向に細くなる形状になる。従って、持ち上げられた給湯装置の機能ユニットは、前側又は後側に傾いている姿勢でも枠体の所定の区画に挿入し易くなる。それ故、作業者は給湯装置の機能ユニットを枠体に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が軽減される。
【0011】
請求項2の発明の給湯装置の機能ユニットは、請求項1の発明において、前記ケースを前記枠体の所定の区画に設置するために、前記ケース又は前記ケースに装着された前記取付金具を前記枠体に設けられた係合部に係合させた状態で、前記係合部を支点として前記ケースを前記パイプシャフトの奥側に回動させて所定の位置に移動させる際に、前記ケースと前記枠体との干渉を防ぐように前記傾斜部が形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、係合部を支点にしてケースを回動させた場合に、傾斜部によってケースと枠体が干渉しないようにすることができる。従って、傾いた姿勢で枠体の所定の区画に挿入された給湯装置の機能ユニットが、係合部を支点にしてパイプシャフトの奥側に回動可能なので、作業者は給湯装置の機能ユニットを枠体に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が一層軽減される。
【0012】
請求項3の発明の給湯装置の機能ユニットは、請求項1の発明において、前記ケースは、幅方向の長さが奥行方向の長さよりも短いことを特徴としている。
上記構成によれば、ケースの長さが短い方向が幅方向なので、限られた幅のパイプシャフトの開口部に給湯装置の機能ユニットを並べて設置し易くすることができる。
【0013】
請求項4の発明の給湯装置の機能ユニットは、請求項2の発明において、前記傾斜部は、前記ケースの前記天面部と前記後面部とを接続するように形成され、前記枠体の前記区画の下辺部に設けられた前記係合部に、前記ケースの前記底面部又は前記ケースに装着された前記取付金具を載置して係合させることを特徴としている。
上記構成によれば、ケースが前側に傾いた姿勢で所定の区画に挿入され、係合部に載置、係合させる。このとき、取付金具の下端が区画の下辺部より低い位置にある場合に係合部に係合させることができるので、給湯装置の機能ユニットを持ち上げる高さを低くすることができ、係合部を支点にしてパイプシャフトの奥側に回動させることができる。従って、作業者は給湯装置の機能ユニットを枠体に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が一層軽減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給湯装置の機能ユニットによれば、パイプシャフトの開口部に設けられた枠体に容易に並べて設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係るパイプシャフトに設置された給湯装置の説明図である。
【
図2】パイプシャフトの開口部に設置された枠体の説明図である。
【
図3】発電ユニットに取付金具を装着する説明図である。
【
図4】枠体の所定の区画に挿入される発電ユニットを示す側面図である。
【
図5】係合部に係合させた状態を示す要部拡大断面図である。
【
図7】所定の位置に設置された発電ユニットを示す側面図である。
【
図8】後面部下部に傾斜部を有する発電ユニットの回動を示す側面図である。
【
図9】
図8の発電ユニットを係合部に係合させた状態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
例えば集合住宅には、
図1に示すように燃料ガス管、水道管等が配管されるパイプシャフト又はパイプスペースと呼ばれるスペースが設けられている。パイプシャフトPSは、例えば共用通路に臨むように設けられ、パイプシャフトPS内に給湯装置が設置される。尚、図中の矢印F,L,Uは夫々パイプシャフトPSの前方、左方、上方を示す。
【0018】
このパイプシャフトPSに設置する給湯装置として、複数の機能ユニットによって構成された給湯装置1が設置される場合がある。例えば、機能ユニットとして、燃料電池の発電時の発熱を利用する熱源機(発電ユニット2)と、貯湯槽3と、バックアップ用の燃焼式給湯装置(燃焼ユニット4)を有する貯湯式の給湯装置1が設置される。この給湯装置1は、発電ユニット2によって加熱された湯水を貯湯槽3に貯湯し、この貯湯された湯水を調温して給湯する。貯湯槽3に貯湯された湯水の熱量が不足している場合には、燃焼ユニット4で加熱して給湯する。
【0019】
燃焼ユニット4の燃焼排気は、パイプシャフトPSの前方の共用通路に向けて排出される。このとき、共用通路にいる人に燃焼排気が直接当たらないように、燃焼ユニット4はパイプシャフトPSの上部に設置される。パイプシャフトPSの共用通路側の開口部には、この開口部を開閉するための図示外の扉を支持するために金属製の枠体5が固定されており、この枠体5に燃焼ユニット4が固定される。燃焼ユニット4の底部には、燃料ガスの配管、湯水の配管、通信ケーブル等が接続される。
【0020】
発電ユニット2は、発電時の排気のため、及び底部への燃料ガスの配管等の接続のために、燃焼ユニット4と並べて枠体5に固定されてパイプシャフトPSの上部に設置される。燃焼ユニット4と発電ユニット2は、パイプシャフトPSの上部に収まるように、パイプシャフトPSの幅方向(左右方向)にサイズを小さくすると共に、奥行方向(前後方向)のサイズを幅方向よりも大きくして、機能部品の搭載に必要なサイズを夫々確保している。貯湯槽3は、発電ユニット2と燃焼ユニット4の後側に設置される。
【0021】
図2に示すように、枠体5は、パイプシャフトPSの開口部に沿うように形成された外枠5aと、外枠5aの上下方向中段部を仕切る横桟5bと、横桟5bと外枠5aの上辺部とを連結する縦桟5cを有する。重量物であり、且つ奥行方向に大きくしたため重心が後側に移動した発電ユニット2と燃焼ユニット4を並べて支持するために、枠体5は、横桟5bと縦桟5cによって強化され、上部が2つに区画されている。外枠5aの上辺部には、機能ユニットをビス固定するための上部固定片5dが区画毎に配設されている。
【0022】
図1、
図3、
図4に示すように、発電ユニット2は、奥行方向の長さDが幅方向の長さWよりも長い箱状のケース10を有し、ケース10内に燃料電池セルスタックや排熱回収装置のような機能部品が収容されている。このケース10は、天面部10aと底面部10bと、共用通路に臨む前面部10cと、パイプシャフトPSの奥側となる後面部10dと、左右の側面部10e,10fと、天面部10aと後面部10dとを接続する傾斜部10gを有する。底面部10bには、配管等を接続するための複数の接続部12が配設されている。燃焼ユニット4も同様に、バーナ、熱交換器のような機能部品が収容された奥行方向の長さが幅方向よりも長い箱状のケース20を有し、このケース20にも天面部と後面部とを接続する傾斜部20gが形成されている。
【0023】
図3に示すように、発電ユニット2のケース10には取付金具11が固定される。取付金具11は、底面部10bの複数の接続部12と干渉しないように形成された門型の上部取付金具13と、下部取付金具14を有する。上部取付金具13がケース10に装着されて例えば複数のビスによって固定され、下部取付金具14が下方から上部取付金具13に装着され、複数のビスによって固定される。
【0024】
上部取付金具13は、左右の側面部前端から幅方向外側に延びる前側面フランジ13aと、左右の側面部後端から幅方向内側に延びる後側面フランジ13bと、上面部前端から上方に延びる前上面突起13cと、上面部後端から下方に延びる図示外の後上面フランジを有する。ケース10は、前面部10c側でケース10の外周を1周するように、天面部10aと側面部10e,10fと底面部10bに形成されたケースフランジ部10hを有する。後側面フランジ13bと図示外の後上面フランジが、このケースフランジ部10hに後方から当接した状態で、ケース10に上部取付金具13が固定される。
【0025】
下部取付金具14は、上部取付金具13の下端部を連結するように、且つ発電ユニット2を所定の区画に設置したときに横桟5bと発電ユニット2の間の隙間を塞ぐように形成されている。この下部取付金具14は、ケース10の底面部10bに形成されている複数の接続部12に干渉しないように、下部取付金具14の上下方向中段から後方に延びる2つの突出部14aを有する。取付金具11と同様の構造の取付金具21が燃焼ユニット4にも固定される。
【0026】
次に、枠体5の所定の区画への機能ユニットの設置、固定について、発電ユニット2を例にして説明する。
図4に示すように、取付金具11が固定された発電ユニット2は、作業者によって持ち上げられて、上側ほど前方に出るように前側に傾いた姿勢にされる。そして、この発電ユニット2が、枠体5の上部の所定の区画内に、パイプシャフトPSの前方から奥側に向かって発電ユニット2の後部から挿入される。そして、
図5に示すように、下部取付金具14と、この下部取付金具14の突出部14aが、この区画の下辺部に相当する横桟5bに当接するまでパイプシャフトPSの奥側に移動され、突出部14aを横桟5bに載置、係合させる。
【0027】
このとき、作業者がパイプシャフトPSの前方で重量物である発電ユニット2を支えるためには、発電ユニット2の重心GがパイプシャフトPSの前方にあることが好ましい。そのため、
図4のように発電ユニット2を傾けることによって、下部取付金具14と突出部14aが横桟5bに当接するまで発電ユニット2の重心GをパイプシャフトPSの前方に残すことができる。その上、発電ユニット2を傾けることによってケース10の底面部10bに設けられた複数の接続部12が後側ほど上方に移動するので、これら接続部12が横桟5bとの衝突により傷つくこと、破損することを防止できる。
【0028】
底面部10bに複数の接続部12を備えた発電ユニット2を配設可能なように、区画の上下方向の長さL0は、ケース10の上下方向の長さL1よりも長い。しかし、傾いた姿勢のケース10の鉛直方向の長さL2が区画の上下方向の長さL0よりも長くなる場合には、発電ユニット2をこの区画に挿入できない。そのため、傾いた姿勢のケース10の鉛直方向の長さL2が区画の上下方向の長さL0よりも短くなるように、ケース10に傾斜部10gが形成され、傾いた姿勢の発電ユニット2をこの区画に挿入することができる。
【0029】
また、傾斜部10gにより、ケース10は、後面部10dの上下方向の長さL3がケース10の上下方向の長さL1よりも短くなり、後面部10d側ほど上下方向のサイズが小さくなる形状になる。同様に、燃焼ユニット4は、ケース20に傾斜部20gを有する。従って、持ち上げられた給湯装置1の機能ユニットは、傾いた姿勢で枠体5の所定の区画に挿入し易くなる。それ故、作業者は給湯装置1の機能ユニットを枠体5に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が軽減される。
【0030】
図5のように、前側に傾いた姿勢の発電ユニット2が挿入された区画の下辺部の横桟5bには、下部取付金具14の後面側及び突出部14aの下面側が当接する。下部取付金具14の近傍に接続部12が無い場合には、突出部14aを省略して、下部取付金具14の後面側及びケース10の底面部10bを横桟5bに当接、係合させてもよい。傾いた姿勢のケース10に装着されている取付金具11の下端が区画の下辺部である横桟5bより低い位置にある場合に、横桟5bを係合部として発電ユニット2を係合させることができる。それ故、挿入時には発電ユニット2を持ち上げる高さを、取付金具11も含めて発電ユニット2が所定の区画に配設された最終的な高さよりも低くすることができ、作業者の負担が軽減される。
【0031】
次に、
図6に示すように、下部取付金具14及び突出部14aが係合した横桟5b(係合部)を支点にして、発電ユニット2のケース10をパイプシャフトPSの奥側に回動させる。この回動時には、支点を中心とし、且つ区画の上下方向の長さL0を半径とした弧A1の内側に収まるようにケース10が回動される。作業者は、ケース10に形成された傾斜部10gによって、枠体5の上辺部に干渉せずにケース10を回動させることができる。
【0032】
回動時には発電ユニット2が横桟5bに支えられているので、作業者は発電ユニット2を容易に回動させることができ、発電ユニット2の重心Gが回動によりパイプシャフトPS内に移動しても、発電ユニット2を支持する作業者の負担が軽減される。発電ユニット2を奥側に回動させた後は、取付金具11の前側面フランジ13aが枠体5の外枠5a及び縦桟5cに係合するので、それ以上の発電ユニット2の奥側へ回動が規制される。
【0033】
次に、
図7に示すように、取付金具11が枠体5の区画内に収まるように、発電ユニット2を持ち上げてパイプシャフトPSの奥側に移動させる。そして、取付金具11の前側面フランジ13a及び前上面突起13cと枠体5が夫々係合した状態で例えば複数のビスによって固定される。図示を省略するが、発電ユニット2と同様に、燃焼ユニット4は、ケース20に形成された傾斜部20gを利用して、所定の区画に挿入されて横桟5bを支点にして回動された後、パイプシャフトPSの奥側に移動させて枠体5に固定される。そして、枠体5に固定された発電ユニット2と燃焼ユニット4の接続部12に、配管等が夫々接続される。
【0034】
例えば
図8に示すように、発電ユニット2のケース10の底面部10bと後面部10dを接続するように傾斜部10gが形成されてもよい。この場合、後方に傾けた姿勢で発電ユニット2が持ち上げられて枠体5の所定の区画に挿入され、例えば
図9に示すように外枠5aの上辺部に断面L字状に設けられた上部固定片5dを、取付金具11の前上面突起13cに挿通させて係合させる。
【0035】
そして、前上面突起13cと上部固定片5dとの係合部を支点にして、
図8に示すように、パイプシャフトPSの奥側に発電ユニット2が回動され、枠体5に固定される。この回動時に、支点を中心とし、区画の上下方向の長さL0を半径とした弧A2の内側に収まるようにケース10が回動されて枠体5の横桟5bに干渉することがないように傾斜部10gが形成されている。傾斜部10gにより、ケース10が区画の下辺部に相当する横桟5bと干渉することなく発電ユニット2を挿入、回動させることができる。
【0036】
上記給湯装置1の機能ユニット(発電ユニット2,燃焼ユニット4)の作用、効果について説明する。
給湯装置1の発電ユニット2は、パイプシャフトPSの開口部に固定された複数の区画を有する枠体5に、取付金具11を介してケース10が固定されることにより、パイプシャフトPS内に設置される。このケース10は、天面部10aと後面部10dを接続する、又は底面部10bと後面部10dを接続する傾斜部10gを有する。これにより、ケース10の後面部10dの上下方向の長さL3がケース10の前面部10c側の上下方向の長さL1よりも短くなり、ケース10が後面部10d側ほど上下方向に細くなる形状になる。燃焼ユニット4も同様に、ケース20が傾斜部20gを有する。従って、持ち上げられた給湯装置1の機能ユニットは、前側又は後側に傾いた姿勢で枠体5の所定の区画に挿入し易くなる。それ故、作業者は給湯装置1の機能ユニットを枠体5に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が軽減される。
【0037】
作業者は、発電ユニット2のケース10を枠体5の所定の区画に設置するために、ケース10又はケース10に装着された取付金具11を、枠体5に設けられた係合部(横桟5b又は上部固定片5d)に係合させた状態で、係合部を支点としてパイプシャフトPSの奥側にケース10を回動させて所定の位置に移動させる。このとき、ケース10と枠体5の係合部と反対側の部位(上部固定片5dが配設された外枠5aの上辺部又は横桟5b)との干渉を防ぐように傾斜部10gが形成されている。枠体5の所定の区画に傾いた姿勢で挿入された発電ユニット2は、係合部を支点にして傾斜部10gによってケース10と枠体5が干渉しないようにパイプシャフトPSの奥側に回動可能であり、燃焼ユニット4も同様に回動可能である。従って、作業者は、給湯装置1の機能ユニットを枠体5の所定の区画に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が一層軽減される。
【0038】
ケース10,20は、夫々幅方向の長さWが奥行方向の長さDよりも短いので、限られた幅のパイプシャフトPSの開口部に給湯装置1の機能ユニットを並べて設置し易くすることができる。
【0039】
ケース10の天面部10aと後面部10dとを接続するように傾斜部10gが形成され、枠体5の区画の下辺部に相当する横桟5bを係合部として、ケース10の底面部10b又はケース10に装着された取付金具11を載置して係合させる。これにより、ケース10が前側に傾いた姿勢で所定の区画に挿入されて係合部に載置され、係合させることができる。このとき、傾いた姿勢のケース10に装着されている取付金具11の下端が横桟5bより低い位置の場合に、機能ユニットを横桟5bに係合させることができる。それ故、給湯装置1の機能ユニットを持ち上げる高さを低くすることができ、横桟5b(係合部)を支点にしてパイプシャフトPSの奥側に回動させることができる。従って、作業者は給湯装置1の機能ユニットを枠体5に容易に並べて設置することができ、作業者の負担が一層軽減される。
【0040】
ヒートポンプ式熱源機とバックアップ用の燃焼式熱源機を夫々機能ユニットとする貯湯式の給湯装置においても、上記と同様にパイプシャフトPSの枠体5に設置するように構成することができる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。