(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007990
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】荷揚装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20230112BHJP
B66F 7/02 20060101ALI20230112BHJP
B66F 7/28 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B66F9/06 T
B66F7/02 B
B66F7/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111178
(22)【出願日】2021-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】521295206
【氏名又は名称】株式会社OSJ
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】太田 翔史
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA01
3F333AB20
3F333AD06
3F333AF08
3F333DB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業者の労力を軽減することが可能な荷揚装置を提供する。
【解決手段】荷揚装置100は、建築現場において下階FLと上階FUとの間で荷物200を移動させる荷揚作業に用いられるものである。また、荷揚装置100は、基台部10と、支柱部16と、荷台部40と、モータ14と、チェーン30とを備えている。基台部10は、下階FLに設置されている。支柱部16は、基台部10に立設され、下階FLから上階FUに向けて延びるように配置されている。荷台部40は、荷物200が積載され支柱部16における高さ方向に沿って昇降移動可能なように設けられている。モータ14は、荷台部40を昇降移動させるための動力を出力する。チェーン30は、モータ14の動力を荷台部40に伝達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築現場において下方側の領域と上方側の領域との間で荷物を移動させる荷揚作業に用いられるものであり、
前記下方側の領域に設置される基台部と、
前記基台部に立設され、前記下方側の領域から前記上方側の領域に向けて延びるように配置される支柱部と、
荷物が積載され、前記支柱部における高さ方向に沿って昇降移動可能なように設けられた荷台部と、
前記荷台部を昇降移動させるための動力を出力する駆動部と、
前記駆動部の動力を前記荷台部に伝達する動力伝達部とを備えていること、を特徴とする荷揚装置。
【請求項2】
前記荷台部は、前記荷物が積載された状態において、前記荷物を外部から視認可能に構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の荷揚装置。
【請求項3】
前記荷台部は、前記荷物に対して前記上方側の領域からアクセスして取り出し可能に構成されていること、を特徴とする請求項1または2に記載の荷揚装置。
【請求項4】
前記荷台部は、前記支柱部における高さ方向に延びるように形成された背面部と、前記背面部の下端部において前記支柱部から離れる方向に延びるように形成された底面部とを含むこと、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項5】
前記背面部及び前記底面部は、略直交するように接続されていること、を特徴とする請求項4に記載の荷揚装置。
【請求項6】
前記背面部は、長方形状に形成されており、
前記背面部における高さ方向の長さが、幅方向の長さよりも大きいこと、を特徴とする請求項4または5に記載の荷揚装置。
【請求項7】
前記底面部は、長方形状に形成されており、
前記底面部における幅方向の長さが、奥行き方向の長さよりも大きいこと、を特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項8】
前記荷台部に積載される荷物を前記荷台部に対して固定するための固定部材を備えること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項9】
前記駆動部は、モータにより構成されていること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項10】
前記動力伝達部は、チェーンにより構成されていること、を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項11】
前記駆動部の駆動操作又は停止操作を行うための操作部を備えること、を特徴する請求項1~10のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【請求項12】
前記基台部の裏面に、移動用の車輪が複数設けられていること、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の荷揚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷揚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷揚装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、集合住宅やオフィスビル等の多層階の建造物は、下階(下方側の領域)から上階(上方側の領域)に向かって順番に構築される。例えば、RC(Reinforced Concrete)造やSRC(Steel Reinforced Concrete)造の多層階建造物を構築する場合には、まず1階部分のコンクリート造を構築し、その後、2階部分、3階部分と順次構築していくこととなる。
【0004】
上記のような建造物を構築するにあたっては、仮設材を含む様々な材料(以下、これらをまとめて「荷物」という。)が使用される。具体的には、コンクリートの打ち込みに使用する型枠、型枠を組み立てるための支保工、足場等に利用される単管(一般構造用炭素鋼鋼管)や継ぎ手材料(クランプ等)や足場板、及び、その他木枠や金具類といった多種多様な資機材が使用される。そして、上記したとおり下層階から上層階に向かって順番に構築していく場合、これら荷物は、下層階の施工が終わるたびに上層階まで順次持ち上げられていくこととなる。
【0005】
従来、下層階から上層階まで荷物を運搬するには、上層階の床部に設けられた開口部を通じて作業員が手渡しする手法や、本階段や外部足場階段まで水平移動したうえで別搬器により運搬する手法、外部エレベーターまで水平移動したうえで運搬する手法などが用いられていた。しかしながら、いずれの手法も、作業員にかかる負担が大きく、運搬に相当の作業時間を要し、また長い距離を水平移動する場合は間仕切り部の乗り越し作業が生じる等、種々の問題を抱えていた。
【0006】
そこで、これまでにも、荷物を運搬するための種々の改良技術が提案されてきた。例えば、上記特許文献1では、機械を使用して荷物を下階から上階に揚げることが可能な荷揚装置が開示されている。この荷揚装置は、下階と上階とを繋ぐように延びる支柱と、支柱の上部及び下部の各々に取り付けられたスプロケットギアと、スプロケットギアに架け渡されたチェーンと、チェーンに取り付けられ荷物を掛ける為のフックとを備えている。
【0007】
上記の荷揚装置を用いて荷物を下階から上階に運搬する際には、チェーンに取り付けられているフックに荷物をかけ、スイッチを押下することによりチェーンが回転し、荷物が下階から上階に向かって上昇する。その後、上階で待機している作業者が上階に移動した荷物をフックからはずすことにより、荷物の運搬が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された荷揚装置では、チェーンに取り付けられたフックに荷物をかけて上階に運搬するため、重量の大きい荷物をフックに掛けることは作業者の負担になるとともに、複数の荷物を一度に運搬することが困難であるという不都合がある。このため、荷物の運搬に際して、より作業者の労力を軽減することが可能な荷揚装置が望まれている。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、作業者の労力を軽減することが可能な荷揚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0012】
(1)本発明による荷揚装置は、建築現場において下方側の領域と上方側の領域との間で荷物を移動させる荷揚作業に用いられるものであり、前記下方側の領域に設置される基台部と、前記基台部に立設され、前記下方側の領域から前記上方側の領域に向けて延びるように配置される支柱部と、荷物が積載され、前記支柱部における高さ方向に沿って昇降移動可能なように設けられた荷台部と、前記荷台部を昇降移動させるための動力を出力する駆動部と、前記駆動部の動力を前記荷台部に伝達する動力伝達部とを備えていること、を特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、下方側の領域から上方側の領域に移動させたい資材や機材等の荷物を荷台部に積載して、駆動部の動力を利用して荷台部を下方側の領域から上方側の領域に移動させることができる。これにより、容易に荷物を移動(運搬)することができる。その結果、作業者による荷物を下方側の領域から上方側の領域に直接的に移動させる作業が省かれるため、作業者の労力を軽減することができる。
【0014】
(2)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記荷台部は、前記荷物が積載された状態において、前記荷物を外部から視認可能に構成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、荷台部に積載された荷物の状態を外部から適宜確認できる。このため、荷台部からの荷物の脱落等を防止することができるため、作業中の安全性を確保することができる。
【0015】
(3)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記荷台部は、前記荷物に対して前記上方側の領域からアクセスして取り出し可能に構成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、上方の領域で予め待機している作業者が、下方の領域から上方の領域に上がってくる荷台部の荷物を、荷物が上がってくる過程で掴んで荷物を保持したり、取り出したりする作業等を行うことができる。このため、作業効率を向上させることができる。
【0016】
(4)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記荷台部は、前記支柱部における高さ方向に延びるように形成された背面部と、前記背面部の下端部において前記支柱部から離れる方向に延びるように形成された底面部とを含むこと、を特徴とするとよい。このように構成すれば、荷台部の背面部及び底面部の両方に荷物を接触させた状態で積載することにより、荷台部に対して荷物を安定的に積載することができる。
【0017】
(5)この場合において、好ましくは、前記背面部及び前記底面部は、略直交するように接続されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、荷台部の底面部に対して荷物の下面を設置するとともに、荷台部の背面部に対して荷物の側面を接触させて固定することができる。このため、荷台部に対する荷物の安定性を確保することができる。
【0018】
(6)上記背面部を含む荷台部を備える構成において、好ましくは、前記背面部は、長方形状に形成されており、前記背面部における高さ方向の長さが、幅方向の長さよりも大きいこと、を特徴とするとよい。このように構成すれば、例えば長尺物等の荷物を荷台部の背面部に対して容易に積載することができる。
【0019】
(7)上記底面部を含む荷台部を備える構成において、好ましくは、前記底面部は、長方形状に形成されており、前記底面部における幅方向の長さが、奥行き方向の長さよりも大きいこと、を特徴とするとよい。このように構成すれば、幅の広い荷物を荷台部の底面部に対して容易に積載することができる。
【0020】
(8)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記荷台部に積載される荷物を前記荷台部に対して固定するための固定部材を備えること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、固定部材により荷物を荷台部に対して強固に固定することができる。これにより、荷台部が昇降移動している際に荷台部から荷物が脱落することを抑制することができる。
【0021】
(9)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記駆動部は、モータにより構成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、モータの動力を利用して下方側の領域と上方側の領域との間で荷台部を昇降移動させることが可能なため、容易に荷物を移動させることができる。
【0022】
(10)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記動力伝達部は、チェーンにより構成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、駆動部の動力を荷台部に確実に伝達できるため、荷台部の昇降移動をスムーズに行うことができる。また、動力伝達部としてチェーンを用いることによって、メンテナンス性を向上することができる。
【0023】
(11)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記駆動部の駆動操作又は停止操作を行うための操作部を備えること、を特徴するとよい。このように構成すれば、操作部を操作することにより、荷台部の移動操作及び停止操作を容易に行うことができる。例えば、荷台部を昇降移動させたい場合には、操作部における駆動操作を行い、荷台部の昇降移動を停止させたい場合には、操作部における停止操作を行うとよい。このように、荷台部の移動操作及び停止操作を作業者の判断で行うことができる。
【0024】
(12)本発明による荷揚装置において、好ましくは、前記基台部の裏面に、移動用の車輪が複数設けられていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、下方側の領域と上方側の領域との間で荷物を移動させやすい場所に、容易に荷揚装置を移動させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る態様によれば、作業者の労力を軽減することが可能な荷揚装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷揚装置を幅方向の右側から見た全体図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る荷揚装置を奥行方向の手前側から見た全体図である。
【
図4】(a)は荷台部を示す斜視図であり、(b)は荷台部を奥行方向の手前側から見た図である。
【
図5】(a)は荷台部を幅方向の右側から見た図であり、(b)は荷台部を高さ方向の上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る荷揚装置を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0028】
図1~
図5を参照して、本実施形態における荷揚装置について説明する。
【0029】
図1及び2に示すように、本実施形態に係る荷揚装置100は、多層階の建造物を建築する建築現場において、下階FL(下方側の領域)と上階FU(上方側の領域)との間で、建築に必要な資材や基材(以下、総称して荷物200ということもある)を荷台部40に積載して移動させる荷揚作業に用いられるものである。
【0030】
(基台部)
荷揚装置100は、平面的に見て、四角形状の基台部10を備えている。基台部10は、建築現場において下階FLの床面に設置される。基台部10は、金属等の材料により形成されている。
【0031】
基台部10における高さ方向の表面側には、制御ボックス12と、モータ14と、支柱部16とが設けられている。また、基台部10における高さ方向の裏面側には、荷揚装置100を床面に沿って移動させるための四つの車輪18が設けられている。四つの車輪18は、基台部10の四つの角部にそれぞれ設けられている。
【0032】
(制御ボックス)
制御ボックス12には、インバータ、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、及びAVR(自動電圧調整器)等が搭載されている。制御ボックス12は、モータ14に電力を供給するとともに、後述する作業者Wによるフットスイッチ20の操作に応じて、モータ14を駆動及び停止する制御を行うものである。
【0033】
(フットスイッチ)
制御ボックス12には、フットスイッチ20が電気的に接続されている。なお、フットスイッチは、本発明の「操作部」の一例である。フットスイッチ20は、モータ14の駆動操作又は停止操作を行うためのものである。例えば、作業者Wがフットスイッチ20を足で踏むことによりモータ14が駆動し、フットスイッチ20から足を離すことによりモータ14の駆動が停止するように構成されている。フットスイッチ20は、例えば二つ設けられており、一方は下階FLに配置されているとともに、他方は上階FUに配置されているとよい。これにより、下階FL及び上階FUに待機している各作業者Wが荷揚装置100の操作を行うことが可能となる。
【0034】
(モータ)
モータ14は、荷台部40を昇降移動させるための動力を出力する。モータ14は、制御ボックス12と電気的に接続されている。モータ14の端部には、出力軸14aが設けられている。出力軸14aには、出力側スプロケット14bが設けられている。モータ14の出力軸14aが回転駆動することにより、出力側スプロケット14bも回転駆動するように構成されている。
【0035】
(支柱部)
支柱部16は、下階FLから上階FUに向けて延びるように配置されている。支柱部16は、いわゆるリップ溝形鋼等の金属材料により構成されている。支柱部16は、下階FLと上階FUとの間で荷台部40が昇降可能な長さに設定されている。また、支柱部16における奥行方向の奥側には、4つのポール設置金具17が設けられている。4つのポール設置金具17は、支柱部16における高さ方向に沿って等間隔に配置されている。4つのポール設置金具17には、支柱部16における高さ方向に沿って延びるポール等の長尺物が固定される。
【0036】
(スプロケット、チェーン)
図3に示すように、支柱部16における高さ方向の下端部には、入力側スプロケット22、及び二つの下側スプロケット24が配置されている。これらの入力側スプロケット22、及び二つの下側スプロケット24は、それぞれ、ピローブロック25を介して軸支されている。入力側スプロケット22は、モータ14の出力側スプロケット14bとの間でチェーン28が架け渡されており、モータ14の動力(回転力)が入力側スプロケット22に伝達される。入力側スプロケット22に入力された動力は、二つの下側スプロケット24に伝達される。
【0037】
図2に示すように、支柱部16における高さ方向の上端部には、二つの上側スプロケット26が配置されている。二つの上側スプロケット26は、互いに軸支されている。二つの上側スプロケット26は、それぞれ二つの下側スプロケット24との間で二つのチェーン30が架け渡されており、二つの下側スプロケット24が回転するのに伴って、二つの上側スプロケット26が回転する。また、二つのチェーン30が、モータ14の動力を荷台部40に伝達することにより、荷台部40が昇降移動可能となる。
【0038】
(支持部材)
図1に示すように、二つのチェーン30における高さ方向の所定の位置には、支持部材32が配置されている。支持部材32は、荷台部40を昇降移動可能なように支柱部16に対して支持する。支持部材32は、金属等の材料により形成されている。支持部材32は、側面視において、略L字形状を有している。
【0039】
支持部材32は、支柱部16の延びる方向に沿って延びる垂直面部34と、垂直面部34の下端部から奥行方向の手前側に延びる水平面部36とを含む。垂直面部34と水平面部36とは、略直交するように接続されている。
【0040】
(荷台部)
荷台部40は、資材や機材等の荷物200が積載されるものであり、支柱部16における高さ方向に沿って昇降移動可能なように設けられている。荷台部40は、支持部材32に対してネジ等の締結部材により固定されている。荷台部40は、金属等の材料により形成されている。
【0041】
図1、
図4、及び
図5に示すように、荷台部40は、支柱部16における高さ方向に延びるように形成された背面部42と、背面部42の下端部において支柱部16から離れる方向(奥行方向の手前側)に延びるように形成された底面部44とを含む。背面部42、及び底面部44は、略直交するように接続されている。背面部42及び底面部44は、一つの材料により形成することが可能であり、あるいは、複数の材料により形成することも可能である。
【0042】
背面部42は、奥行方向から見て、長方形状に形成されている。背面部42における高さ方向の長さが、幅方向の長さよりも大きい。
図4(a)及び
図5に示すように、背面部42の高さ方向の上端部には、奥行方向の奥側に向かって突出する背面側突出部46が形成されている。背面側突出部46は、荷台部40が上昇する際に、上階FUで待機している作業者Wに意図せず接触して怪我をしてしまうことを抑制することが可能である。
【0043】
底面部44は、高さ方向から見て、長方形状に形成されている。底面部44における幅方向の長さが、奥行き方向の長さよりも大きい。
図4及び
図5に示すように、底面部44の奥行方向の手前側の端部には、高さ方向の上側に向かって突出する底面側突出部48が形成されている。底面側突出部48は、荷台部40に荷物200を積載する際に、荷物200が奥行方向の手前側に意図せず脱落してしまうことを抑制することが可能である。
【0044】
荷台部40は、荷物200が積載された状態において、荷物200を外部から視認可能に構成されている。具体的には、荷台部40において、背面部42及び底面部44が配置されていない方向(奥行方向の手前側、幅方向、高さ方向の上側等)から荷物200を視認可能となっている。
【0045】
荷台部40は、荷物200に対して上階FUからアクセスして取り出し可能に構成されている。具体的には、荷台部40は高さ方向の上側が開放されているため、荷台部40を下階FLから上階FUに上昇させた場合に、荷物200が上がってくる過程で、上階FUで待機している作業者Wが荷物200を掴んで取り出すことが可能である。
【0046】
(固定部材)
図1及び
図2に示すように、荷台部40の背面部42には、荷台部40に積載される荷物200を荷台部40に対して固定するための固定部材50が設けられている。固定部材50の一例としては、チェーン、ゴムバンド、及びワイヤー等が挙げられる。
【0047】
(荷物の運搬方法)
次に、
図1及び
図2を参照して、本実施形態の荷揚装置100を用いた荷物200の運搬方法について説明する。
【0048】
荷物200を下階FLから上階FUに移動する場合には、荷揚装置100の荷台部40を最も下方の位置に移動させる。次に、荷台部40に荷物200を積載し、荷物200の大きさ等に応じて固定部材50により荷物200を荷台部40の背面部42に対して固定する。
【0049】
次に、下階FLに待機している作業者Wは、フットスイッチ20を操作して、モータ14を駆動させる。これにより、モータ14の動力(回転力)が支柱部16に設けられたチェーン30に伝達され、チェーン30が回転駆動する。これに伴い、荷台部40(支持部材32)が下階FLから上階FUに向かって上昇する。
【0050】
その後、荷台部40の底面部44が上階FUの床面とほぼ同じ位置に移動した際に、下階FLの作業者Wは、フットスイッチ20の操作を停止する。最後に、上階FUに待機している作業者Wは、荷台部40から荷物200を取り外すことにより、荷物200の運搬作業が完了する。
【0051】
荷物200を上階FUから下階FLに移動する場合には、荷揚装置100の荷台部40を上階FUの床面と水平な位置に移動させる。次に、荷台部40に荷物200を積載し、荷物200の大きさ等に応じて固定部材50により荷物200を荷台部40の背面部42に対して固定する。
【0052】
次に、上階FUに待機している作業者Wは、フットスイッチ20を操作して、モータ14を駆動させる。これにより、モータ14の動力(回転力)が支柱部16に設けられたチェーン30に伝達され、チェーン30が回転駆動する。これに伴い、荷台部40(支持部材32)が上階FUから下階FLに向かって下降する。
【0053】
その後、荷台部40の底面部44が下階FLの床面とほぼ同じ位置に移動した際に、上階FUの作業者Wは、フットスイッチ20の操作を停止する。最後に、下階FLに待機している作業者Wは、荷台部40から荷物200を取り外すことにより、荷物200の運搬作業が完了する。
【0054】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(12)を得ることができる。
【0055】
(1)上記実施形態による荷揚装置100では、下階FLに設置した基台部10に支柱部16を立設し、支柱部16を下階FLから上階FUに向けて延びるように配置しモータ14の動力をチェーン30を介して荷台部40に伝達させ、荷物200が積載された荷台部40を支柱部16における高さ方向に沿って昇降移動可能とした。これにより、下階FLから上階FUに移動させたい資材や機材等の荷物200を荷台部40に積載して、モータ14の動力を利用して荷台部40を下階FLから上階FUに移動させることができる。これにより、容易に荷物200を移動(運搬)することができる。その結果、作業者Wが荷物200を下階FLから上階FUに直接的に移動させる作業が省かれるため、作業者Wの労力を軽減することができる。
【0056】
(2)上記実施形態による荷揚装置100では、荷物200が積載された状態において、荷物200を外部から視認可能なように荷台部40を構成した。これにより、荷台部40に積載された荷物200の状態を外部から適宜確認できる。このため、荷台部40からの荷物200の脱落等を防止することができるため、作業中の安全性を確保することができる。
【0057】
(3)上記実施形態による荷揚装置100では、荷物200に対して上階FUからアクセスして取り出し可能なように荷台部40を構成した。これにより、上階FUで予め待機している作業者Wが、下方の領域から上方の領域に上がってくる荷台部40の荷物200を、荷物200が上がってくる過程で掴んで荷物を保持したり、取り出したりする作業等を行うことができる。このため、荷揚装置100によれば、荷物の安定的な移送や、作業効率の向上を図ることができる。
【0058】
(4)上記実施形態による荷揚装置100では、支柱部16における高さ方向に延びるように形成された背面部42と、背面部42の下端部において支柱部16から離れる方向に延びるように形成された底面部44とを含む荷台部40を設けた。これにより、荷台部40の背面部42及び底面部44の両方に荷物200を接触させた状態で積載することにより、荷台部40に対して荷物200を安定的に積載することができる。
【0059】
(5)上記実施形態による荷揚装置100では、荷台部40における背面部42及び底面部44を略直交するように接続した。これにより、荷台部40の底面部44に対して荷物200の下面を設置するとともに、荷台部40の背面部42に対して荷物200の側面を接触させて固定することができる。このため、荷台部40に対する荷物200の安定性を確保することができる。
【0060】
(6)上記実施形態による荷揚装置100では、荷台部40の背面部42を長方形状に形成するとともに、背面部42における高さ方向の長さを幅方向の長さよりも大きくした。これにより、例えば長尺物等の荷物200を荷台部40の背面部42に対して容易に積載することができる。
【0061】
(7)上記実施形態による荷揚装置100では、荷台部40の底面部44を長方形状に形成するとともに、底面部44における幅方向の長さを奥行方向の長さよりも大きくした。このように構成すれば、幅の広い荷物200を荷台部40の底面部44に対して容易に積載することができる。
【0062】
(8)上記実施形態による荷揚装置100では、荷台部40に積載される荷物200を荷台部40に対して固定するための固定部材50を設けた。これにより、固定部材50により荷物200を荷台部40に対して強固に固定することができる。これにより、荷台部40が移動している際に荷台部40から荷物200が脱落することを抑制することができる。
【0063】
(9)上記実施形態による荷揚装置100では、本発明の駆動部としてモータ14により構成した。これにより、モータ14の動力を利用して下階FLと上階FUとの間で荷台部40を昇降移動させることが可能なため、容易に荷物200を移動させることができる。
【0064】
(10)上記実施形態による荷揚装置100では、本発明の動力伝達部としてチェーン30により構成した。これにより、モータ14の動力を荷台部40に確実に伝達できるため、荷台部40の昇降移動をスムーズに行うことができる。また、チェーン30を用いることによって、メンテナンス性を向上することができる。
【0065】
(11)上記実施形態による荷揚装置100では、モータ14の駆動操作又は停止操作を行うためのフットスイッチ20を設けた。これにより、フットスイッチ20を操作することにより、荷台部40の移動操作及び停止操作を容易に行うことができる。例えば、荷台部40を昇降移動させたい場合には、フットスイッチ20における駆動操作(スイッチを踏む動作)を行い、荷台部40の昇降移動を停止させたい場合には、フットスイッチ20における停止操作(スイッチから足を離す動作)を行うとよい。このように、荷台部40の移動操作及び停止操作を作業者Wの判断で行うことができる。
【0066】
(12)上記実施形態による荷揚装置100では、基台部10の裏面に移動用の車輪18を4つ設けた。これにより、下階FLと上階FUとの間で荷物200を移動させやすい場所に、容易に荷揚装置100を移動させることができる。
【0067】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0068】
上記実施形態では、駆動部の一例としてモータを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、荷物が積載された荷台部を支柱部における高さ方向に沿って昇降移動させることが可能であれば、モータ以外の駆動部を適用することも可能である。
【0069】
上記実施形態では、動力伝達部の一例として二つのチェーンを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、荷物が積載された荷台部を支柱部における高さ方向に沿って昇降移動させることが可能であれば、チェーンの数を一つ又は三つ以上適用すると良い。これにより、荷物の重量及び移動速度に応じて荷台部を昇降可能な荷揚装置を構成できる。
【0070】
上記実施形態では、荷台部の一例として背面部及び底面部を含む荷台部を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、底面部のみにより構成された荷台部を適用してもよいし、底面部と底面部を取り囲む側面部とが設けられた籠型の荷台部を適用することも可能である。これにより、荷物の大きさや形状に合わせた荷台部を構成できる。
【0071】
上記実施形態では、荷台部の背面部及び底面部を略直交するように接続する例を示したが、本発明ではこれに限られない。例えば、荷台部の背面部と底面部とのなす角度が鈍角又は鋭角であってもよい。これにより、荷物の大きさや形状に合わせた荷台部を構成できる。
【0072】
上記実施形態では、一つの支柱部によって荷揚装置を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、複数の比較的短い支柱部を高さ方向に沿って連結して構成することも可能である。これにより、支柱部を分割することができるため、支柱部を運搬し易くできる。
【0073】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0074】
10 :基台部
14 :モータ(駆動部)
16 :支柱部
18 :車輪
20 :フットスイッチ(操作部)
30 :チェーン(動力伝達部)
40 :荷台部
42 :背面部
44 :底面部
50 :固定部材
100 :荷揚装置
200 :荷物
FL :下階(下方側の領域)
FU :上階(上方側の領域)
W :作業者