(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079902
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】タグ取付け構造及びパレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193598
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 瑛
(72)【発明者】
【氏名】古川 大貴
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA05
3E063EE01
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】タグの取付け作業が容易になるタグ取付け構造及びパレットを提供する。
【解決手段】タグ取付け部20において、収容部22は、部材本体21の内部に形成され、タグ30を収容可能である。開口部23は、部材本体21の上面部51に形成され、タグ30が収容部22に出し入れ可能となるように収容部22に連通する。収容部22の収容空間24は、タグ30が、開口部23から収容部22に挿入された直後の状態の第1姿勢と、開口部23から抜け出ることができない第2姿勢との間で、上面部51に垂直な軸回りに回転しながら移行することを許容する。規制部25は、タグ30が第1姿勢から第2姿勢に移行することを許容するが、タグ30が第2姿勢から第1姿勢に移行することを規制する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物載置面を有する部材において、非接触方式による自動認識が可能なタグを取付けるための構造であって、
部材本体と、
前記部材本体の内部に形成され、前記タグを収容可能な収容部と、
前記部材本体の表面に形成され、前記タグが前記収容部に出し入れ可能となるように前記収容部に連通する開口部と、を備え、
前記収容部は、
前記タグが、前記開口部から前記収容部に挿入された直後の状態の第1姿勢と、前記開口部から抜け出ることができない第2姿勢との間で、前記表面に垂直な軸回りに回転しながら移行することを許容する収容空間と、
前記タグが前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行することを許容するが、前記タグが前記第2姿勢から前記第1姿勢に移行することを規制する規制部と、を有する、
タグ取付け構造。
【請求項2】
前記開口部の端部において作業者の指が挿入可能であり、前記指が前記タグの側面の一部を押すことによって前記タグを前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行させることができる開口凹部をさらに備えている、
請求項1に記載のタグ取付け構造。
【請求項3】
前記タグが前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で移行するときに、前記タグの側面の一部を回転中心として支持する支持部をさらに備えている、
請求項2に記載のタグ取付け構造。
【請求項4】
前記タグが前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で移行するときに、前記タグの側面の一部をガイドするガイド部をさらに備えている、
請求項1~3のいずれかに記載のタグ取付け構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の前記タグ取付け構造と、
複数の筒状桁及び上面デッキと、を備え、
前記タグ取付け構造は、前記筒状桁の上半部に形成されている、
パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに設けられた収容部にタグを取付けるためのタグ取付け構造、及びパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波を利用した自動認識技術(RFID:Radio Frequency Identification)が乗車券等において実用化されている。こうしたRFIDをパレットに利用することにより、パレット自体の管理、パレットの載置物の管理等の物流管理について効率化を図ることができる。RFIDを利用したパレットには、パレット自体の情報や載置物の情報などについて無線通信で読み書き可能なICタグが装着される。
【0003】
特許文献1に記載のパレット1では、IDタグ10が、2個のパレット構成体3の荷載置部2間に配置されている。IDタグ10は、一方のパレット構成体3に対して、ブラケット9を介して取付けられている。具体的には、IDタグ10はブラケット9にリベット12により固定され、ブラケット9はパレット構成体3の荷載置部2にブラインドリベット11により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のタグ取付け構造では、タグをタグ収容部に挿入して固定する作業に手間がかかる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タグの取付け作業が容易になるタグ取付け構造及びパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するためのタグ取付け構造は、荷物載置面を有する部材において、非接触方式による自動認識が可能なタグを取付けるための構造である。前記タグ取付け構造は、部材本体と、収容部と、開口部とを備えている。
【0008】
前記収容部は、前記部材本体の内部に形成され、前記タグを収容可能である。
【0009】
前記開口部は、前記部材本体の表面に形成され、前記タグが前記収容部に出し入れ可能となるように前記収容部に連通する。
【0010】
前記収容部は、収容空間と、規制部とを有する。
【0011】
前記収容空間は、前記タグが、前記開口部から前記収容部に挿入された直後の状態の第1姿勢と、前記開口部から抜け出ることができない第2姿勢との間で、前記表面に垂直な軸回りに回転しながら移行することを許容する。
【0012】
前記規制部は、前記タグが前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行することを許容するが、前記タグが前記第2姿勢から前記第1姿勢に移行することを規制する。
【0013】
上記の目的を達成するためのパレットは、前記タグ取付け構造と、複数の筒状桁及び上面デッキと、を備えている。
【0014】
前記タグ取付け構造は、前記筒状桁の上半部に形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタグ取付け構造及びパレットによれば、タグの取付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るパレットの模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のパレットに装着されるタグ取付け部の表側を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のタグ取付け部の裏側を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のタグ取付け部に取付けられる前のタグの位置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のタグが同上の収容部内で第1姿勢を取っている状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、同上のタグが同上の収容部内で第1姿勢を取っている状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、同上のタグが同上の収容部内で第1姿勢から第2姿勢に移行している途中の状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、同上のタグが同上の収容部内で第1姿勢から第2姿勢に移行している途中の状態を裏側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のタグが同上の収容部内で第2姿勢を取っている状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、同上のタグが同上の収容部内で第2姿勢を取っている状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、同上のタグが同上の収容部内で第2姿勢を取っている状態を裏側から見た平面図である。
【
図12】
図12は、同上のタグが同上の収容部内で第2姿勢を取っている状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、同上のタグが同上の収容部内で第2姿勢を取っている状態において、開口部をキャップで閉じた状態を示す平面図である。
【
図14】
図14Aは、同上のキャップの表側を示す斜視図である。
図14Bは、同上のキャップの裏側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)パレット
パレット10は、載置面に荷物(図示せず)が載置される板状の部材であり、荷物の運搬や保管に用いられる。パレット10は、例えば、合成樹脂材料により構成されている。
【0018】
図1に示すように、パレット10は、パレット本体としての平面四角形状をなす上面デッキ11及び下面デッキ12と、両者を連結する筒状桁13とによって本体が構成されている。上面デッキ11の上面が載置面として機能する。筒状桁13は、各デッキの中央にある中間桁13a、両端にある一対の端桁13bとからなる。
【0019】
パレット10の中間桁13aの中央付近には、上面デッキ11側に開口し、タグ取付け部20(後述)を収容する収容部(図示せず)が設けられている。具体的には、収容部は、中間桁13aの上半部に形成されている。このようにタグ取付け部20がパレット10の筒状桁13に設けられることになるので、パレット10の内部のスペースを有効活用できる。
【0020】
(2)タグ
タグ30は、非接触方式による自動認識が可能な四角箱形状の部材であり、具体的には
図4~6に示すように細長い直方体状である。さらに具体的には、タグ30はICタグであり、その内部にはICチップ、アンテナ、電源電池等が収容されている。
【0021】
(3)タグ取付け部
(3-1)概略説明
タグ取付け部20は、パレット10にタグ30を取付けるための構造である。タグ30は、ホルダなしでタグ取付け部20に脱着される。
【0022】
タグ取付け部20は、パレット10へ一体に成形されている。タグ取付け部20は、合成樹脂材料により構成される。
【0023】
タグ取付け部20は、
図2及び
図3に示すように、部材本体21を有している。部材本体21は、タグ取付け部20を構成する部材である。部材本体21は、概ね直方体であり、表面としての上面部51と、底面部52と、環状仕切り壁53とを主に有している。部材本体21は、収容部22を有している。収容部22は、部材本体21の内部に形成され、タグ30を収容可能な収容空間24を実現している。部材本体21は、開口部23を有している。開口部23は、部材本体21の上面部51に形成され、タグ30が収容部22に出し入れ可能となるように収容部22に連通している。なお、開口部23の縁には、後述するキャップ81を受けるための受け部が形成されていている。
【0024】
(3-2)詳細説明
以下の部材本体21の説明では、例えば
図5の上下方向を「前後方向」とし、
図5の左右方向を「左右方向」として、
図5の上側を「後側」として、
図5の下側を「前側」とし、
図5の右側を「右側」とし、
図5の左側を「左側」として説明する。
【0025】
開口部23は、
図2に示すように、タグ30の形状に合わせて、前後方向に長く延びる概ね長方形状である。
【0026】
収容空間24は、タグ30が、開口部23から収容部22に挿入された直後の状態の第1姿勢と、開口部23から抜け出ることができない第2姿勢との間で、上面部51に垂直な軸回りに回転しながら移行することを許容する。
【0027】
タグ30の第1姿勢とは、
図5に示すように、タグ30が平面視において開口部23に沿って配置されており、前後方向に長く延びた姿勢である。第1姿勢におけるタグ30の後側端部を第1端部30aとし、前側端部を第2端部30bとする。タグ30の第2姿勢とは、
図9に示すように、タグ30が平面視において開口部23に交差するように配置されており、左右方向に長く延びた姿勢である。つまり、第2姿勢は第1姿勢に対して平面視で回転した位置である。第2姿勢では、タグ30の第1端部30aは右側に位置して、第2端部30bは左側に位置している。この第2姿勢においてタグ30の第1端部30a及び第2端部30bの上側には上面部51が存在するので、タグ30は上方に移動できない。なお、この実施形態では、第1姿勢と第2姿勢の間の回転角度は90度である。
【0028】
図6に示すように、底面部52は、タグ30を受けるための部分であり、開口部23に沿って前後方向に長く延びている。つまり、底面部52の左右両側には、下方に開いた空間が確保されている。第1姿勢ではタグ30は全体が底面部52の上に載っており、第2姿勢ではタグ30は長手方向中間部分のみが底面部52の上に載っている。
【0029】
収容部22の左右両側の側面は、タグ30が底面部52に載置された状態で時計回りに回転可能となるように、開口している。さらに詳細には、収容部22の右側縁には、第1開口部61(
図2参照)が形成されている。収容部22の左側の縁には、第2開口部64(
図3参照)が形成さている。
【0030】
図2に示すように、第1開口部61の前側には、縦リブ62が設けられている。さらに、第1開口部61の前側部分の上部には、タグ保持垂下リブ63が形成されている。縦リブ62は、平面視L字形状であり、環状仕切り壁53とタグ保持垂下リブ63及び底面部52を連結している。なお、
図5、
図7において、縦リブ62は大体の位置が破線で示されている。
【0031】
収容部22は、規制部25を有している。規制部25は、タグ30が第1姿勢から第2姿勢に移行することを許容するが、タグ30が第2姿勢から第1姿勢に移行することを規制する部材である。具体的には、規制部25は、開口部23の後側部分から右側に離れた位置に設けられている。詳細には、規制部25は、上面部51から下方かつ前側に延びた弾性体であり、さらに具体的には板片である。規制部25の先端部25aの下縁は、
図12に示すように、自由状態において、収容空間24内でタグ30の上面より下側の位置にある。規制部25は、上下方向に若干の弾性変形が許容されており、それにより規制部25の先端部25aの高さ位置は変更可能である。
【0032】
規制部25の先端部25aは、先端に向かって厚みを増すように延びる傾斜下面を有しており、傾斜下面には長手方向に延びる複数の溝が形成されている。さらに規制部25の先端部25aの左側の側面には、
図11に示すように、右斜め下方に延びる傾斜面(面取り部)25bが形成されている。これにより、タグ30が第1姿勢から第2姿勢に移行するときにタグ30が規制部25の先端部25aを容易に押し上げることができる。
【0033】
(4)タグ取付け操作
最初に、
図4~
図6に示すように、作業者は、タグ30を開口部23から収容部22の収容空間24に挿入する。これにより、タグ30は底面部52に受けられて、第1姿勢を取る。次に、
図7及び
図8に示すように、作業者はタグ30を時計回りに回転させる。これにより、タグ30は回転しながら第1姿勢から第2姿勢に移行する。第2姿勢において、
図9~
図12に示すように、タグ30は規制部25によって第2姿勢から第1姿勢に移行することを規制されている。その結果、タグ30が収容部22から外れにくくなっている。このように、タグ30を挿入及び回転するだけの操作によって、タグ30を収容部22の収容空間24において固定できる。つまり、タグ30を挿入してから、タグ30を持ち直さずに一連の動作で回転するだけで、収容部22内の所定の位置にタグ30を固定できる。
【0034】
具体的には、第1姿勢から第2姿勢に移行する途中で、タグ30は規制部25の先端部25aの左側の側面(具体的には、傾斜面25b)に当接するが、そのまま先端部25aを押し上げて回転を続ける。それに対して、第2姿勢から第1姿勢に移行させようとする力が加わった場合は、タグ30は規制部25の先端部25aの先端面(前側を向く端面)に当接するので、回転が行われない。言い換えると、規制部25は、第2姿勢を取っているタグ30が反時計回りに回転することを規制している。この結果、タグ30が第1姿勢に戻ることが生じにくく、つまり、タグ30がタグ取付け部20から脱落しにくい。
【0035】
(5)収容部の詳細説明
(5-1)開口凹部
収容部22は、開口部23の端部に形成された開口凹部26を有している。具体的には、開口凹部26は、開口部23の後側端部の左側に連続して形成されており、開口部23の一部を構成している。開口凹部26は、作業者の指が上から挿入可能であり、指がタグ30の第1端部30aの側面を右側に押すことによってタグ30を第1姿勢から第2姿勢に移行させることができる。したがって、タグ30を装着する作業の操作性が向上している。
【0036】
開口凹部26は、平面視において半円形状である。開口凹部26の底面は、
図6に示すように、指のように先端が丸い円柱状のものを受ける湾曲傾斜面であり、底面は右側に行くにしたがって低くなっている。開口凹部26の底面の右側縁は、底面部52より高い位置で、かつタグ30の上面より低い位置に設けられている。上記のように開口凹部26が深く形成されており、さらに傾斜を有しているので、取付けやすく、水抜けが向上している。
【0037】
(5-2)縦リブ
縦リブ62は、タグ30が第1姿勢と第2姿勢との間で移行するときに、タグ30の側面の一部を回転中心として支持する支持部として機能する。具体的には、
図7及び
図8に示すように、タグ30の第1端部30aが右側に押されるのに対して、縦リブ62はタグ30が押される位置より前側における右側の側面に当接するように配置されているので、タグ30の右側の側面の一点が縦リブ62によって支持される。したがって、タグ30の回転動作が安定してスムーズになる。
【0038】
(5-3)ガイド部
収容部22は、タグ30が第1姿勢と第2姿勢との間で移行するときに、タグ30の側面の一部をガイドするガイド部29をさらに有している。具体的には、ガイド部29は、開口部23の左側に離れて設けられたリブである。さらに具体的には、ガイド部29は、開口部23の前側部分の左側に離れた位置から後側に向かって湾曲しながら延びている。ガイド部29は、上面部51の桟より垂下したリブに形成されている。なお、ガイド部29は、そのためタグ30の上側部分のみをガイドする上下方向長さを有している。なお、
図2、
図5、
図7、
図9、
図10、
図13において、ガイド部29は、大体の位置が破線で示されている。
【0039】
タグ30を第1姿勢から第2姿勢に移行させる操作において、タグ30は、第2端部30bの上端左側角部及び上端左側縁部がガイド部29によってガイドされる。したがって、タグ30の回転動作が安定してスムーズになる。
【0040】
(5-4)タグ位置決めリブ
収容部22は、さらに、タグ位置決めリブ57を有している。タグ位置決めリブ57は、収容空間24内において、開口部23から右側に離れた位置に設けられている。具体的には、タグ位置決めリブ57は、平面視でL字形状であり、左側つまり開口部23側を向く第1直線リブ57aと、後側を向く第2直線リブ57cと、両者の角に形成された斜めリブ57bとを有している。斜めリブ57bは、
図8及び
図11に示すように、タグ30が第1姿勢から第2姿勢に移行するときに、タグ30の第1端部30aをガイドする。なお、斜めリブ57bは、タグ30の上側部分のみをガイドする上下方向長さを有している。
【0041】
(5-5)第1回り止めリブ及び第2回り止めリブ
収容部22は、さらに、第1回り止めリブ73及び第2回り止めリブ74を有している。第1回り止めリブ73は、開口部23の前後方向中心より前側の部分の右側に設けられ、左右方向に延びている。具体的には、第1回り止めリブ73は、縦リブ62と環状仕切り壁53とを連結している。第2回り止めリブ74は、開口部23の前後方向中心より後側の部分の左側に形成されている。タグ30は、第1回り止めリブ73及び第2回り止めリブ74によって、第2姿勢からさらに時計回りに回転することが規制されている。なお、第1回り止めリブ73及び第2回り止めリブ74は、タグ30の上下方向全体を支持する上下方向長さを有している。なお、
図2、
図5、
図7、
図9、
図10、
図13において、第1回り止めリブ73及び第2回り止めリブ74は、大体の位置が破線で示されている。
【0042】
(5-6)タグ嵌合解除孔
上面部51には、タグ嵌合解除孔71が形成されている。タグ嵌合解除孔71は、開口部23の前後方向中間付近から右側に離れて設けられている。
【0043】
タグ嵌合解除動作は下記の通りである。つまり、例えば
図9、
図10、
図11及び
図12の状態から、治具(マイナスドライバー等、図示せず)をタグ嵌合解除孔71に挿入して、さらに開口部23側から規制部25の下方へ指等を入れて、次に規制部25の下方から上方へタグ30を押し上げながら、先に述べた治具で、タグ30の第1端部30aを反時計回り方向へ押すことで、タグ30と規制部25の嵌合を解除できる。
【0044】
(5-7)タグ取外し孔
上面部51には、タグ取外し孔72が形成されている。タグ取外し孔72は、開口部23の前後方向中間位置及びその前側から左側に離れて設けられている。
【0045】
タグ取外し動作は下記の通りである。つまり、
図5及び
図6の状態から、作業者が治具(マイナスドライバー等)を、タグ取外し孔72、更に、タグ嵌合解除孔71も利用し、第1姿勢にあるタグ30の下側に治具を当てて押し上げることで、タグ30を収容空間24及び開口部23から上方に取り出せる。
【0046】
(5-8)第2姿勢におけるタグ支持構造の説明
第2姿勢において、タグ30は、タグ保持垂下リブ63や他の垂下リブ83(
図12)によって上方への移動を規制され、タグ位置決めリブ57の第1直線リブ57aによって右側への移動を規制され、ガイド部29によって左側への移動を規制されている。さらに、第2姿勢において、タグ30は、第1回り止めリブ73及び第2回り止めリブ74によって時計回りに回転することが規制され、規制部25によって反時計回りに回転することが規制されている。
【0047】
このようにして、タグ30は、第2姿勢において、収容部22の収容空間24に確実に保持されている。
【0048】
(6)キャップ
キャップ81は、タグ30を収容空間24内で第2姿勢に固定した後に、
図13に示すように、開口部23を閉じるための部材である。キャップ81は、弾性変形可能な薄板部材である。キャップ81は、合成樹脂材料からなる。
図14A及び
図14Bに示すように、キャップ81は開口部23に対応する形状を有している。キャップ81は、複数の開口孔81a~81cを有している。キャップ81は、さらに、取外し用の治具が挿入される治具挿入部81dを有している。
【0049】
キャップ81の取付け時には、作業者は、キャップ81の前側端を開口部23の前側縁に合わせて、次に後側端を上から押してキャップ全体を開口部23に嵌合させる。
【0050】
キャップ81の取り外す時には、作業者は、キャップ81の治具挿入部81dに治具(図示せず)の先端を挿入してこじ開けるようにしてキャップ81を取り外す。
【0051】
2.変形例
(1)タグ取付け部の変形例
タグ取付け部は、荷物載置面以外の面、例えば、裏面、側面などに設けられてもよく、その場合、開口部は裏面、側面において開口している。
【0052】
(2)タグ取付け部が装着される部材の変形例
タグ取付け部は、台車、かご車、大型容器などに装着されてもよい。
【0053】
タグ取付け部は、パレットと別部材での取付けであってもよく、またはパレットに溶着で固定されてもよい。
【0054】
(3)規制部の変形例
規制部は複数設けられてもよい。規制部は、開口部の対角付近の2か所に設けられていてもよい。
【0055】
規制部は、弾性変形しない突起と、突起に設けられた弾性変形可能な係合部とから構成されてもよい。
【0056】
規制部は、回転止め用のロック部材であってもよい。この場合は、タグを第2姿勢にした状態でロック部材によってタグを回り止め状態にする。
【0057】
(4)収容部の変形例
収容部において、タグの回転角度は平面視において45~135度の範囲に設定されてもよい。また、タグの回転軸は表面に対して斜めであってもよい。
【0058】
収容部におけるリブの数、位置及び形状は特に限定されない。
【0059】
タグが第1姿勢と第2姿勢の間で移行するときにタグをガイドする構造の構造、数、位置などは特に限定されない。
【0060】
第2姿勢を取っているタグを保持する部分の構造、数、位置などは特に限定されない。
【0061】
支持部、ガイド部は、それぞれ省略されてもよい。
【0062】
(5)開口凹部の変形例
開口凹部は平面視で長方形でもよい。
【0063】
開口凹部は、開口部の端部だけではなく、開口部の左縁全領域に設けられていてもよい。
【0064】
3.態様
以上説明した実施形態及び変形例の記載から理解されるように、第一の態様のタグ取付け構造は、下記の構成を備える。
【0065】
つまり、第一の態様に係るタグ取付け構造(20)は、荷物載置面を有する部材において、非接触方式による自動認識が可能なタグ(30)を取付けるための構造である。タグ取付け構造(20)は、部材本体(21)と、収容部(22)と、開口部(23)とを備えている。
【0066】
収容部(22)は、部材本体(21)の内部に形成され、タグ(30)を収容可能である。
【0067】
開口部(23)は、部材本体(21)の表面(51)に形成され、タグ(30)が収容部(22)に出し入れ可能となるように収容部(22)に連通する。
【0068】
収容部(22)は、収容空間(24)と、規制部(25)とを有する。
【0069】
収容空間(24)は、タグ(30)が、開口部(23)から収容部(22)に挿入された直後の状態の第1姿勢と、開口部(23)から抜け出ることができない第2姿勢との間で、表面(51)に垂直な軸回りに回転しながら移行することを許容する。
【0070】
規制部(25)は、タグ(30)が第1姿勢から第2姿勢に移行することを許容するが、タグ(30)が第2姿勢から第1姿勢に移行することを規制する。
【0071】
第一の態様のタグ取付け構造(20)では、タグ取付け操作として、最初にタグ(30)は開口部(23)から収容部(22)に挿入されて、第1姿勢を取る。次にタグ(30)は回転しながら第1姿勢から第2姿勢に移行させられる。第2姿勢において、タグ(30)は規制部(25)によって第2姿勢から第1姿勢に移行することを規制されているので、タグ(30)が収容部(22)から外れにくくなっている。このように、タグ(30)を挿入及び回転するだけの操作によって、タグ(30)を部材本体(21)に装着できる。
【0072】
第二の態様のタグ取付け構造(20)は、第一の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0073】
つまり、タグ取付け構造(20)は、開口部(23)の端部において作業者の指が挿入可能であり、指がタグ(30)の側面の一部を押すことによってタグ(30)を第1姿勢から第2姿勢に移行させることができる開口凹部(26)をさらに備えている。
【0074】
第二の態様のタグ取付け構造(20)では、タグ(30)を第1姿勢から第2姿勢に移行させる操作において、作業者は指を開口凹部(26)に入れて、次にタグ(30)の側面の一部を押すことでタグ(30)を回転させる。したがって、タグ(30)を装着する作業の操作性が向上している。
【0075】
第三の態様のタグ取付け構造(20)は、第二の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0076】
つまり、タグ取付け構造(20)は、タグ(30)が第1姿勢と第2姿勢との間で移行するときに、タグ(30)の側面の一部を回転中心として支持する支持部(62)をさらに備えている。
【0077】
第三の態様のタグ取付け構造(20)では、タグ(30)を第1姿勢から第2姿勢に移行させる操作において、タグ(30)は側面の一部が支持部(62)によって回転中心として支持される。したがって、タグ(30)の回転動作が安定してスムーズになる。
【0078】
第四の態様のタグ取付け構造(20)は、第一~第三のいずれかの態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0079】
つまり、タグ取付け構造(20)は、タグ(30)が第1姿勢と第2姿勢との間で移行するときに、タグ(30)の側面の一部をガイドするガイド部(29)をさらに備えている。
【0080】
第四の態様のタグ取付け構造(20)では、タグ(30)を第1姿勢から第2姿勢に移行させる操作において、タグ(30)は側面の一部がガイド部(29)によってガイドされる。したがって、タグ(30)の回転動作が安定してスムーズになる。
【0081】
第五の態様のパレットは、下記の構成を備える。
【0082】
つまり、第五の態様に係るパレット(10)は、第一~第四のいずれかの態様に記載のタグ取付け構造(20)と、複数の筒状桁(13)及び上面デッキ(11)と、を備えている。
【0083】
タグ取付け構造(20)は、筒状桁(13)の上半部に形成されている。
【0084】
第五の態様のパレット(10)では、タグ取付け構造(20)は筒状桁(13)に形成されているので、パレット内部のスペースを有効活用できる。
【0085】
また、パレット(10)が溶着タイプの場合は、上半部と下半部を溶着しているが、その場合には、樹脂を溶かしたバリが発生し、後加工にて除去している。一方、タグ取付け構造(20)は筒状桁(13)の上半部に形成されているので、バリの影響を受けることがない。つまり、バリ除去しなくとも、問題無くタグ取付けが可能になる。
【符号の説明】
【0086】
10 パレット
20 タグ取付け部
21 部材本体
22 収容部
23 開口部
24 収容空間
25 規制部
30 タグ