(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079910
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】全館空調システム、及び、その制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20230601BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20230601BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230601BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20230601BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230601BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230601BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230601BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230601BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F11/64
F24F11/46
F24F11/77
F24F11/70
G06N20/00
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193612
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 義記
(72)【発明者】
【氏名】阪口 敬司
(72)【発明者】
【氏名】古門 健
(72)【発明者】
【氏名】川本 聡真
(72)【発明者】
【氏名】東 和幸
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB07
3L260AB14
3L260AB15
3L260BA03
3L260BA04
3L260BA06
3L260BA13
3L260BA71
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA17
3L260EA22
3L260FB67
3L260FC02
(57)【要約】
【課題】複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる全館空調システムなどを提供する。
【解決手段】全館空調システム10は、空調装置21と、空調装置21によって温度調整された空気を施設90内の複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送するために施設90内に配置された複数の機器を含む搬送装置23と、制御装置80と、を備え、制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度を取得し、複数の機器の配置情報を用いずに、取得された部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置と、
前記空調装置によって温度調整された空気を施設内の複数の部屋のそれぞれに搬送するために前記施設内に配置された複数の機器を含む搬送装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の部屋のそれぞれの部屋温度を取得し、
前記複数の機器の配置情報を用いずに、取得された前記部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の制御値に従って、前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度が前記複数の部屋のそれぞれの目標温度に近づくように、前記空調装置及び前記搬送装置を制御する
全館空調システム。
【請求項2】
前記強化学習モデルは、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の前記制御値に従って、前記制御装置が前記空調装置及び前記搬送装置を制御したときの、前記部屋温度と前記目標温度との差を報酬として用いて強化学習される
請求項1に記載の全館空調システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記空調装置及び前記搬送装置の消費電力が小さくなるように、前記空調装置及び前記搬送装置を制御する
請求項1又は2に記載の全館空調システム。
【請求項4】
前記強化学習モデルは、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の前記制御値に従って、前記制御装置が前記空調装置及び前記搬送装置を制御したときの、前記空調装置及び前記搬送装置の消費電力を報酬として用いて強化学習される
請求項3に記載の全館空調システム。
【請求項5】
さらに、前記複数の部屋のそれぞれに搬送される空気を加湿する加湿装置を備え、
前記制御装置は、
前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度及び前記複数の部屋のうち少なくとも1つの部屋である第1部屋の部屋湿度を取得し、
取得された前記部屋温度及び取得された前記部屋湿度を前記強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置、前記搬送装置及び前記加湿装置の制御値に従って、前記第1部屋の前記部屋湿度が前記第1部屋の目標湿度に近づくように、前記空調装置、前記搬送装置及び前記加湿装置を制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項6】
前記強化学習モデルは、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置、前記搬送装置及び前記加湿装置の前記制御値に従って、前記制御装置が前記空調装置、前記搬送装置及び前記加湿装置を制御したときの、前記部屋湿度と前記目標湿度との差を報酬として用いて強化学習される
請求項5に記載の全館空調システム。
【請求項7】
さらに、前記複数の部屋のそれぞれの空気を換気する換気装置を備え、
前記制御装置は、
前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度及び前記複数の部屋のうち少なくとも1つの部屋である第2部屋の二酸化炭素濃度を取得し、
取得された前記部屋温度及び取得された前記二酸化炭素濃度を前記強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置、前記搬送装置及び前記換気装置の制御値に従って、前記第2部屋の前記二酸化炭素濃度が低くなるように、前記空調装置、前記搬送装置及び前記換気装置を制御する
請求項1~6のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項8】
前記強化学習モデルは、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置、前記搬送装置及び前記換気装置の前記制御値に従って、前記制御装置が前記空調装置、前記搬送装置及び前記換気装置を制御したときの、前記二酸化炭素濃度を報酬として用いて強化学習される
請求項7に記載の全館空調システム。
【請求項9】
全館空調システムの制御方法であって、
前記全館空調システムは、
空調装置と、
前記空調装置によって温度調整された空気を施設内の複数の部屋のそれぞれに搬送するために前記施設内に配置された複数の機器を含む搬送装置と、
を備え、
前記制御方法は、
前記複数の部屋のそれぞれの部屋温度を取得する取得ステップと、
前記複数の機器の配置情報を用いずに、取得された前記部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の制御値に従って、前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度が前記複数の部屋のそれぞれの目標温度に近づくように、前記空調装置及び前記搬送装置を制御する制御ステップと、を含む
全館空調システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全館空調システム、及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置により、複数の部屋を空調する全館空調システムが提案されている。このような全館空調システムとして、特許文献1には、短時間で部屋温度を目標温度に到達させることができる空調システムが開示されている。この全館空調システムにおいては、複数の部屋のそれぞれに空気を搬送するためのダンパなどの複数の機器が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の全館空調システム(空調システム)では、複数の部屋を空調するために、施工時において、複数の部屋と複数の機器の配置との対応関係を設定するという複雑な施工手順が求められる場合がある。
【0005】
本発明は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる全館空調システム、及び、その制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る全館空調システムは、空調装置と、前記空調装置によって温度調整された空気を施設内の複数の部屋のそれぞれに搬送するために前記施設内に配置された複数の機器を含む搬送装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の部屋のそれぞれの部屋温度を取得し、前記複数の機器の配置情報を用いずに、取得された前記部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の制御値に従って、前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度が前記複数の部屋のそれぞれの目標温度に近づくように、前記空調装置及び前記搬送装置を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係る全館空調システムの制御方法は、全館空調システムの制御方法であって、前記全館空調システムは、空調装置と、前記空調装置によって温度調整された空気を施設内の複数の部屋のそれぞれに搬送するために前記施設内に配置された複数の機器を含む搬送装置と、を備え、前記制御方法は、前記複数の部屋のそれぞれの部屋温度を取得する取得ステップと、前記複数の機器の配置情報を用いずに、取得された前記部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、前記強化学習モデルから出力された前記空調装置及び前記搬送装置の制御値に従って、前記複数の部屋のそれぞれの前記部屋温度が前記複数の部屋のそれぞれの目標温度に近づくように、前記空調装置及び前記搬送装置を制御する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の全館空調システム、及び、その制御方法は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る全館空調システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る全館空調システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、全館空調システムの動作例1のフローチャートである。
【
図4】
図4は、全館空調システムの動作例2のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る全館空調システムの概略構成を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る全館空調システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、全館空調システムの動作例3のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る全館空調システムの概略構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係る全館空調システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、全館空調システムの動作例4のフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態3の変形例に係る全館空調システムの概略構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3の変形例に係る全館空調システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態1)
[構成]
以下、実施の形態に係る全館空調システム10の構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る全館空調システム10の概略構成を示す図である。
図2は、本実施の形態に係る全館空調システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、全館空調システム10は、1台の空調装置21を用いて、施設90内の複数の部屋90a~90cの温度調整を行うことができるシステムである。複数の部屋の数は特に限定されない。全館空調システム10は、全館空調装置20と、複数の温度センサ60a~60cと、制御装置80とを備える。全館空調装置20、及び、複数の温度センサ60a~60cのそれぞれは、制御装置80と通信する機能を有する。
【0015】
全館空調装置20は、施設90の外から取り入れた空気、または、施設90の中から取り入れた空気を温度調整して複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送することにより、複数の部屋90a~90cの部屋温度を制御する。全館空調装置20は、空調装置21と、搬送装置23とを備える。
【0016】
空調装置21は、いわゆるエアーコンディショナであり、制御装置80の制御に基づいて、施設90の外から取り入れた空気、または、施設90の中から取り入れた空気の温度を調整する。
【0017】
搬送装置23は、制御装置80の制御に基づいて、空調装置21によって温度調整された空気を施設90内の複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送する。
図1が示すように、搬送装置23は、施設90内に配置された装置である。搬送装置23は、複数の機器を含む。本実施の形態においては、複数の機器とは、複数の搬送ファン23a及び23bと、複数のVAV(Variable Air Volume)ダンパ24a~24cとである。搬送装置23は、部屋90aに対応して搬送ファン23aを、部屋90b及び90cに対応して搬送ファン23bを、1つの部屋に対応して1つのVAVダンパを備える。
【0018】
つまり、本実施の形態においては、搬送ファン23a及びVAVダンパ24aは部屋90aに空気を搬送するように配置され、搬送ファン23b及びVAVダンパ24bは部屋90bに空気を搬送するように配置されている。同様に、搬送ファン23b及びVAVダンパ24cは部屋90cに空気を搬送するように配置されている。また、
図1が示すように、複数のVAVダンパ24a~24cのそれぞれは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに接続されるダクトに配置されている。
【0019】
複数の温度センサ60a~60cは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに1つずつ配置され、当該温度センサが配置された部屋の中の部屋温度を計測する。複数の温度センサ60a~60cのそれぞれは、通信機能を有し、計測された部屋温度を示す温度データを制御装置80に送信することができる。
【0020】
制御装置80は、全館空調装置20を制御する制御装置である。
【0021】
制御装置80は、操作受付部81と、制御部82と、記憶部83と、通信部84とを備える。
【0022】
操作受付部81は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース部である。例えば、操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける目標温度(言い換えれば、設定温度)を指示する操作を受け付ける。操作受付部81は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、タッチパネル以外に、ハードウェアボタンを含んでもよい。なお、図示されないが、制御装置80は、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備えてもよい。また、操作受付部81及び表示部は、GUI(Graphical User Interface)を構成してもよい。
【0023】
制御部82は、通信部84に制御信号を送信させることにより、全館空調装置20を制御する。制御部82は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0024】
記憶部83は、制御部82が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部83は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0025】
通信部84は、制御装置80が局所通信ネットワークを介して、全館空調装置20、及び、複数の温度センサ60a~60cのそれぞれと通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部84によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても、特に限定されない。
【0026】
上記の通り、複数の機器を含む搬送装置23は、施設90内に配置されている。本実施の形態に係る制御装置80(制御部82)は、施設90内で複数の機器が配置された位置などを示す複数の機器の配置情報を用いずに、全館空調装置20(ここでは、空調装置21及び搬送装置23)を制御する。換言すると、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれと複数の機器のそれぞれの配置との対応関係を示す情報を用いずに、全館空調装置20を制御する。
【0027】
本実施の形態においては、制御部82は、機械学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0028】
この強化学習モデルは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度を入力とし、空調装置21及び搬送装置23の制御値を出力とするモデルである。強化学習モデルは、強化学習により構築されたモデルである。本実施の形態においては、強化学習モデルは、深層強化学習(DQN:Deep Q-Network)等などのアルゴリズムによって学習される。
【0029】
また、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、制御装置80が空調装置21及び搬送装置23を制御したときの、部屋温度と目標温度との差を報酬として用いて強化学習されるモデルである。
【0030】
以下、詳細な動作例について説明する。
【0031】
[動作例1]
まずは、全館空調システム10の動作例1について説明する。
図3は、全館空調システム10の動作例1のフローチャートである。
【0032】
まず、制御装置80の操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける目標温度を指示する操作を受け付ける(ステップS10)。目標温度は、記憶部83に記憶される。なお、複数の部屋のそれぞれの目標温度は、ユーザにとって、快適な温度である。
【0033】
次に、通信部84は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに設置された温度センサ60a~60cから、当該部屋の現在の部屋温度を示す温度データを取得する(ステップS12)。取得された温度データは統合されて複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在の部屋温度を示す温度情報として記憶部83に記憶される。
【0034】
次に制御部82は、記憶されている温度情報と、強化学習モデルとを用いて、全館空調装置20(空調装置21及び搬送装置23)の制御値を決定する(ステップS14)。この全館空調装置20の制御値は、温度情報が示す部屋温度が強化学習モデルの入力として用いられることで、強化学習モデルから出力された値である。ここで、表1を用いて、この強化学習モデルの入力及び出力について説明する。
【0035】
【0036】
本実施の形態においては、入力として複数の温度センサ60a~60cのそれぞれによって取得された複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が用いられる。さらに、出力として、空調装置21によって空気が加熱又は冷却される程度を示す熱量と、複数の搬送ファン23a及び23bのそれぞれによって搬送される風量と、複数のVAVダンパ24a~24cのそれぞれの開閉の程度を示す開度と、が用いられる。
【0037】
さらに、制御装置80(制御部82)は、決定された制御値(つまりは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値)に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御する(ステップS16)。なお、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。上記の通り、目標温度とは、ユーザにとって快適な温度である。よって、換言すると、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0038】
さらに、ステップS16の処理が行われ所定の期間が経過した後、制御部82は、強化学習モデルの学習を行う(ステップS18)。なお、所定の期間とは例えば、数分~数十分だが、これに限られない。
【0039】
上記の通り、取得された温度情報が示す部屋温度を強化学習モデルの入力として用いることで、強化学習モデルから空調装置21及び搬送装置23の制御値が出力される。ここでは、制御部82が、この制御値に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御したときの部屋温度と目標温度との差を報酬として用いて、強化学習モデルが学習される。より具体的には、表1が示すように、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささを報酬として強化学習モデルの学習を行う。強化学習においては、この報酬が最大化するように、つまりは、部屋温度と目標温度との差が小さくなるように、強化学習モデルが学習される。
【0040】
ステップS18が終了すると、動作例1は終了する。ここでさらに、ステップS10からステップS18までの処理が繰り返し行われてもよい。
【0041】
このように処理が繰り返し行われることで、制御部82は、強化学習モデルの学習を繰り返し行うこととなる。上記の通り、強化学習モデルにおいては、報酬が最大化するように、繰り返し学習される。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21及び搬送装置23を制御することで、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度にさらに近づきやすくなる。つまり、繰り返し学習された強化学習モデルが用いられることで、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度がより快適な温度となるように、空調装置21及び搬送装置23を制御することができる。
【0042】
以上まとめると、制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋のそれぞれの目標温度に近づくように、つまりは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、全館空調装置20を制御する。
【0043】
このとき、制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、全館空調装置20を制御する。
【0044】
よって、複数の部屋90a~90cを空調するために、施工時に、施工者が複数の部屋90a~90cと複数の機器の配置との対応関係を設定するという複雑な施工手順が必要とならない。従って、施工者の施工の労力を低減することができる。さらに、施工者が上記対応関係を誤って設定したことによる「複数の部屋90a~90cの空気を適切に加熱又は冷却することができない」などの全館空調システム10の不具合も起こり難い。
【0045】
以上まとめると、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる。
【0046】
さらに、以下では、動作例2について説明する。
【0047】
[動作例2]
次に、全館空調システム10の動作例2について説明する。
【0048】
動作例2では、制御装置80は、以下のように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。制御装置80は、動作例1と同様に複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、かつ、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、制御を行う。
【0049】
また、動作例2においては、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、制御装置80(制御部82)が空調装置21及び搬送装置23を制御したときの、以下を報酬として強化学習されるモデルである。動作例2においては、強化学習モデルは、部屋温度と目標温度との差、並びに、空調装置21及び搬送装置23の消費電力を報酬として用いて強化学習される。
【0050】
図4は、全館空調システム10の動作例2のフローチャートである。
【0051】
動作例2においては、動作例1と同様に、
図4が示すステップS10及びステップS12が行われる。
【0052】
次に制御部82は、記憶されている温度情報と、強化学習モデルとを用いて、全館空調装置20(空調装置21及び搬送装置23)の制御値を決定する(ステップS14)。この全館空調装置20の制御値は、温度情報が示す部屋温度が強化学習モデルの入力として用いられることで、強化学習モデルから出力された値である。ここで、表2を用いて、この強化学習モデルの入力出力及び報酬について説明する。
【0053】
【0054】
表2が示すように、本変形例においては、強化学習モデルの入力及び出力は、動作例1の表1で示された入力及び出力と同様である。ただし、報酬として、部屋温度と目標温度との差、並びに、空調装置21及び搬送装置23の消費電力を報酬として用いて強化学習される。
【0055】
さらに、制御装置80(制御部82)は、決定された制御値(つまりは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値)に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御する(ステップS16a)。なお、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、かつ、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。つまり、動作例2では、制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、かつ、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、全館空調装置20を制御する。
【0056】
さらに、ステップS16aの処理が行われ所定の期間が経過した後、制御部82は、強化学習モデルの学習を行う(ステップS18a)。なお、所定の期間とは例えば、数分~数十分だが、これに限られない。
【0057】
上記の通り、取得された温度情報が示す部屋温度を強化学習モデルの入力として用いることで、強化学習モデルから空調装置21及び搬送装置23の制御値が出力される。ここでは、制御部82が、この制御値に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御したときの部屋温度と目標温度との差、並びに、空調装置21及び搬送装置23の消費電力を報酬として用いて、強化学習モデルが学習される。より具体的には、表2が示すように、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、並びに、空調装置21及び搬送装置23の消費電力の小ささを報酬として強化学習モデルの学習を行う。強化学習においては、この報酬が最大化するように、つまりは、部屋温度と目標温度との差が小さく、かつ、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、強化学習モデルが学習される。
【0058】
ステップS18aが終了すると、動作例2は終了する。ここでさらに、ステップS10からステップS18aまでの処理が繰り返し行われてもよい。
【0059】
このように処理が繰り返し行われることで、制御部82は、強化学習モデルの学習を繰り返し行うこととなる。上記の通り、強化学習モデルにおいては、報酬が最大化するように、繰り返し学習される。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21及び搬送装置23を制御することで、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度にさらに近づきやすくなる。また、このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21及び搬送装置23を制御することで、空調装置21及び搬送装置23の消費電力をより小さくすることができる。
【0060】
また、動作例2では、制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0061】
動作例2が示すように、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができ、さらに、消費電力を抑制することができる。
【0062】
なお、ここでは、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、かつ、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、空調装置21及び搬送装置23を制御した。つまり、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくよう制御されるモードと、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるよう制御されるモードとが両立する。しかし、これに限られず、制御部82は、一方のモードが優先されるように、空調装置21及び搬送装置23を制御してもよい。例えば、操作受付部81が一方のモードの優先を指示する操作を受け付け、受け付けられた操作に従って、一方のモードが優先されるように、制御部82が空調装置21及び搬送装置23を制御してもよい。
【0063】
[効果など]
本実施の形態に係る全館空調システム10は、空調装置21と、空調装置21によって温度調整された空気を施設90内の複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送するために施設90内に配置された複数の機器を含む搬送装置23と、制御装置80とを備える。制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度を取得する。制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、取得された部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御する。制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0064】
動作例1が示すように、本実施の形態に係る制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、空調装置21及び搬送装置23を制御する。よって、複数の部屋90a~90cを空調するために、施工時に、施工者が複数の部屋90a~90cと複数の機器の配置との対応関係を設定するという複雑な施工手順が必要とならない。さらに、制御装置80は、強化学習モデルに基づいて、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。換言すると、制御装置80は、強化学習モデルに基づいて、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0065】
つまり、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる。
【0066】
動作例1のように、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、制御装置80が空調装置21及び搬送装置23を制御したときの、部屋温度と目標温度との差を報酬として用いて強化学習される。
【0067】
このような強化学習モデルから出力された制御値に従って、制御装置80(制御部82)が空調装置21及び搬送装置23を制御する。これにより、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋のそれぞれの目標温度により近づきやすくなる。つまりは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度がより快適な温度となり易くなる。
【0068】
このため、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、より快適な温度となるように制御することができる。
【0069】
動作例2のように、制御装置80は、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなるように、空調装置21及び搬送装置23を制御する。
【0070】
これにより、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができ、さらに、消費電力を抑制することができる。
【0071】
動作例2のように、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、制御装置80が空調装置21及び搬送装置23を制御したときの空調装置21及び搬送装置23の消費電力を報酬として用いて強化学習される。
【0072】
このような強化学習モデルから出力された制御値に従って、制御装置80(制御部82)が空調装置21及び搬送装置23を制御することにより、空調装置21及び搬送装置23の消費電力が小さくなりやすくなる。
【0073】
このため、本実施の形態に係る全館空調システム10は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができ、さらに、消費電力をより抑制することができる。
【0074】
本実施の形態に係る全館空調システム10は、空調装置21と、空調装置21によって温度調整された空気を施設90内の複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送するために施設90内に配置された複数の機器を含む搬送装置23と、を備える。全館空調システム10の制御方法は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度を取得する取得ステップを含む。当該制御方法は、複数の機器の配置情報を用いずに、取得された部屋温度を強化学習モデルの入力として用いて、強化学習モデルから出力された空調装置21及び搬送装置23の制御値に従って、空調装置21及び搬送装置23を制御する制御ステップを含む。制御ステップでは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23が制御される。
【0075】
動作例1が示すように、本実施の形態に係る制御方法では、複数の機器の配置情報を用いずに、空調装置21及び搬送装置23が制御される。よって、複数の部屋90a~90cを空調するために、施工時に、施工者が複数の部屋90a~90cと複数の機器の配置との対応関係を設定するという複雑な施工手順が必要とならない。さらに、この制御方法では、強化学習モデルに基づいて、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21及び搬送装置23が制御される。換言すると、この制御方法では、強化学習モデルに基づいて、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、空調装置21及び搬送装置23が制御される。
【0076】
つまり、本実施の形態に係る制御方法は、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度となるように制御することができる。
【0077】
(実施の形態2)
[構成]
以下、実施の形態2に係る全館空調システム10aの構成について説明する。
【0078】
図5は、本実施の形態に係る全館空調システム10aの概略構成を示す図である。
図6は、本実施の形態に係る全館空調システム10aの機能構成を示すブロック図である。
【0079】
全館空調システム10aは、さらに、複数の湿度センサ61b及び61cと加湿装置50とを備える点が、全館空調システム10とは異なる。つまり、全館空調システム10aは、全館空調装置20と、複数の温度センサ60a~60cと、複数の湿度センサ61b及び61cと、制御装置80と、加湿装置50とを備える。複数の湿度センサ61b及び61cのそれぞれと加湿装置50とは、制御装置80と通信する機能を有する。
【0080】
加湿装置50は、全館空調装置20によって搬送される空気の湿度を調整する装置である。ここでは、加湿装置50は、施設90の内の空気の湿度を上昇させる。
【0081】
複数の湿度センサ61b及び61cは、複数の部屋90b及び90cのそれぞれに1つずつ配置され、当該湿度センサが配置された部屋の中の部屋湿度を計測する。複数の湿度センサ61b及び61cのそれぞれは、通信機能を有し、計測された部屋湿度を示す湿度データを制御装置80に送信することができる。また、複数の湿度センサ61b及び61cのそれぞれが配置された部屋が、第1部屋に相当し、本実施の形態においては、2つの第1部屋は、それぞれ部屋90b及び90cに相当する。なお、湿度センサが配置される第1部屋は、少なくとも1個あればよい。
【0082】
本実施の形態においては、制御部82は、機械学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値に従って、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。
【0083】
この強化学習モデルは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度及び2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度を入力とし、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値を出力とするモデルである。
【0084】
また、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値に従って、制御装置80が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御したときの、以下を報酬として用いて強化学習されるモデルである。本実施の形態においては、強化学習モデルは、部屋温度と目標温度との差、及び、部屋湿度と目標湿度との差を報酬として用いて強化学習されるモデルである。
【0085】
[動作例3]
次に、全館空調システム10aの動作例3について説明する。
【0086】
図7は、全館空調システム10aの動作例3のフローチャートである。
【0087】
まず、制御装置80の操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける目標温度、及び、2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度を指示する操作を受け付ける(ステップS20)。目標温度及び目標湿度は、記憶部83に記憶される。なお、2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度は、ユーザにとって、快適な湿度である。
【0088】
次に、通信部84は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに設置された温度センサ60a~60cから、当該部屋の現在の部屋温度を示す温度データを取得する(ステップS22)。取得された温度データは統合されて複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在の部屋温度を示す温度情報として記憶部83に記憶される。また、ステップS22では、通信部84は、2つの第1部屋のそれぞれに設置された湿度センサ61b及び61cから、当該部屋の現在の部屋湿度を示す湿度データを取得する。取得された湿度データは統合されて2つの第1部屋のそれぞれの現在の部屋湿度を示す湿度情報として記憶部83に記憶される。
【0089】
次に制御部82は、記憶されている温度情報及び湿度情報と、強化学習モデルとを用いて、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値を決定する(ステップS24)。空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値は、温度情報が示す部屋温度及び湿度情報が示す部屋湿度が強化学習モデルの入力として用いられることで、強化学習モデルから出力された値である。ここで、表3を用いて、この強化学習モデルの入力及び出力について説明する。
【0090】
【0091】
本実施の形態においては、入力として複数の温度センサ60a~60cのそれぞれによって取得された複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が用いられる。また、入力として複数の湿度センサ61b及び61cのそれぞれによって取得された2つの第1部屋(部屋90b及び90c)のそれぞれの部屋湿度が用いられる。さらに、出力として、空調装置21によって空気が加熱又は冷却される程度を示す熱量と、複数の搬送ファン23a及び23bのそれぞれによって搬送される風量とが用いられる。また出力として、複数のVAVダンパ24a~24cのそれぞれの開閉の程度を示す開度と、加湿装置50によって空気が加湿される程度を示す加湿量とが用いられる。
【0092】
さらに、制御装置80(制御部82)は、決定された制御値(つまりは、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値)に従って、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する(ステップS26)。なお、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。上記の通り、目標温度とは、ユーザにとって快適な温度である。よって、換言すると、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。
【0093】
さらに、制御部82は、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度に近づくように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。上記の通り、目標湿度とは、ユーザにとって快適な湿度である。よって、換言すると、制御部82は、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が快適な湿度となるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。
【0094】
さらに、ステップS26の処理が行われ所定の期間が経過した後、制御部82は、強化学習モデルの学習を行う(ステップS28)。なお、所定の期間とは例えば、数分~数十分だが、これに限られない。
【0095】
上記の通り、取得された温度情報が示す部屋温度及び湿度情報が示す部屋湿度を強化学習モデルの入力として用いることで、強化学習モデルから空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値が出力される。ここでは、制御部82が、この制御値に従って、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御したときの以下を報酬として用いて、強化学習モデルが学習される。報酬とは、部屋温度と目標温度との差、及び、部屋湿度と目標湿度との差である。より具体的には、表3が示すように、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、及び、部屋湿度と目標湿度との差の小ささを報酬として強化学習モデルの学習を行う。強化学習においては、この報酬が最大化するように、つまりは、部屋温度と目標温度との差が小さくなるように、かつ、部屋湿度と目標湿度との差の小さくなるように強化学習モデルが学習される。
【0096】
ステップS28が終了すると、動作例3は終了する。ここでさらに、ステップS20からステップS28までの処理が繰り返し行われてもよい。
【0097】
このように処理が繰り返し行われることで、制御部82は、強化学習モデルの学習を繰り返し行うこととなる。上記の通り、強化学習モデルにおいては、報酬が最大化するように、繰り返し学習される。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御することで、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度にさらに近づきやすくなる。つまり、繰り返し学習された強化学習モデルが用いられることで、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度がより快適な温度となるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御することができる。
【0098】
また、このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御することで、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度にさらに近づきやすくなる。つまり、繰り返し学習された強化学習モデルが用いられることで、制御部82は、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が快適な湿度となるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御することができる。
【0099】
また、動作例3では、制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。
【0100】
動作例3が示すように、本実施の形態に係る全館空調システム10aは、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度及び湿度となるように制御することができる。
【0101】
なお、ここでは、制御部82は、以下のように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御した。制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、かつ、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度に近づくように制御を行った。つまり、2つのモードが両立するように制御が行われている。2つのモードうち1つのモードとは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくよう制御されるモードである。2つのモードうち他の1つのモードとは、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度に近づくように制御されるモードである。しかし、これに限られず、制御部82は、一方のモードが優先されるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御してもよい。例えば、操作受付部81が一方のモードの優先を指示する操作を受け付け、受け付けられた操作に従って、一方のモードが優先されるように、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御してもよい。
【0102】
なお、動作例3においては、制御部82は、部屋温度が目標温度に近づくように、かつ、部屋湿度が目標湿度に近づくように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御した。しかしながら、これに限られない。例えば、動作例3において、さらに、制御部82は、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の消費電力が小さくなるように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御してもよい。これにより、本実施の形態に係る全館空調システム10aは、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度及び湿度となるように制御することができ、さらに、消費電力を抑制することができる。また、この場合、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の消費電力の小ささ、並びに、部屋湿度と目標湿度との差の小ささを報酬として強化学習モデルの学習を行うとよい。
【0103】
さらに、この場合でも、強化学習モデルの学習が繰り返し行われるとよい。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御することで、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の消費電力をより小さくすることができる。
【0104】
[効果など]
本実施の形態に係る全館空調システム10aは、さらに、複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される空気を加湿する加湿装置50を備える。制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度及び複数の部屋90a~90cのうち少なくとも1つの部屋である第1部屋の部屋湿度を取得する。制御装置80は、取得された部屋温度及び取得された部屋湿度を強化学習モデルの入力として用いて、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値に従って、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。制御装置80は、部屋の部屋湿度が第1部屋の目標湿度に近づくように、空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。
【0105】
これにより、動作例3が示すように、本実施の形態に係る全館空調システム10aは、複雑な施工手順を要さず、かつ、快適な温度及び湿度となるように制御することができる。
【0106】
動作例3のように、強化学習モデルは、制御値に従って、制御装置80が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御したときの、部屋湿度と目標湿度との差を報酬として用いて強化学習される。制御値とは、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50の制御値である。
【0107】
このような強化学習モデルから出力された制御値に従って、制御装置80(制御部82)が空調装置21、搬送装置23及び加湿装置50を制御する。これにより、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度により近づきやすくなる。つまりは、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度がより快適な湿度となり易くなる。
【0108】
このため、本実施の形態に係る全館空調システム10aは、複雑な施工手順を要さず、かつ、より快適な温度及び湿度となるように制御することができる。
【0109】
(実施の形態3)
[構成]
以下、実施の形態3に係る全館空調システム10bの構成について説明する。
【0110】
図8は、本実施の形態に係る全館空調システム10bの概略構成を示す図である。
図9は、本実施の形態に係る全館空調システム10bの機能構成を示すブロック図である。
【0111】
全館空調システム10bは、複数の湿度センサ61b及び61cと加湿装置50とに替えて、二酸化炭素センサ62aと換気装置30とを備える点が、全館空調システム10とは異なる。つまり、全館空調システム10bは、全館空調装置20と、複数の温度センサ60a~60cと、二酸化炭素センサ62aと、制御装置80と、換気装置30とを備える。二酸化炭素センサ62a及び換気装置30のそれぞれは、制御装置80と通信する機能を有する。
【0112】
換気装置30は、制御装置80の制御に基づいて、施設90の外の空気を施設90内に取り入れて全館空調装置20に搬送する装置である。換気装置30は、例えば、熱交換換気装置である。
【0113】
二酸化炭素センサ62aは、部屋90aに1つ配置され、部屋90aの中の二酸化炭素濃度を計測する。二酸化炭素センサ62aは、通信機能を有し、計測された二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素データを制御装置80に送信することができる。また、二酸化炭素センサ62aが配置された部屋が、第2部屋に相当し、本実施の形態においては、第2部屋は部屋90aに相当する。また、二酸化炭素センサ62aが配置される第2部屋は、少なくとも1つあればよい。なお、部屋の二酸化炭素濃度が高くなると、倦怠感、頭痛、又は、耳鳴りなどの人体に有害な影響を与える。このため、二酸化炭素濃度を低減することで部屋の空気質を高めることができる。
【0114】
本実施の形態においては、制御部82は、機械学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値に従って、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。
【0115】
この強化学習モデルは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度及び第2部屋の二酸化炭素濃度を入力とし、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値を出力とするモデルである。
【0116】
強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値に従って、制御装置80が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御したときの、以下を報酬として用いて強化学習されるモデルである。本実施の形態においては、この強化学習モデルは、部屋温度と目標温度との差、及び、二酸化炭素濃度を報酬として用いて強化学習されるモデルである。
【0117】
[動作例4]
次に、全館空調システム10bの動作例4について説明する。
【0118】
図10は、全館空調システム10bの動作例4のフローチャートである。
【0119】
まず、動作例1と同様に、制御装置80の操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける目標温度を指示する操作を受け付ける(ステップS10)。目標温度は、記憶部83に記憶される。
【0120】
次に、通信部84は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに設置された温度センサ60a~60cから、当該部屋の現在の部屋温度を示す温度データを取得する(ステップS32)。取得された温度データは統合されて複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在の部屋温度を示す温度情報として記憶部83に記憶される。また、ステップS32では、通信部84は、第2部屋に設置された二酸化炭素センサ62aから、第2部屋の現在の二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素データを取得する。取得された二酸化炭素データは第2部屋の現在の二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素情報として記憶部83に記憶される。
【0121】
次に制御部82は、記憶されている温度情報及び二酸化炭素濃度情報と、強化学習モデルとを用いて、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値を決定する(ステップS34)。空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値は、温度情報が示す部屋温度及び二酸化炭素情報が示す二酸化炭素濃度が強化学習モデルの入力として用いられることで、強化学習モデルから出力された値である。ここで、表4を用いて、この強化学習モデルの入力及び出力について説明する。
【0122】
【0123】
本実施の形態においては、入力として複数の温度センサ60a~60cのそれぞれによって取得された複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が用いられる。また、入力として二酸化炭素センサ62aによって取得された第2部屋(部屋90a)の二酸化炭素濃度が用いられる。さらに、出力として、空調装置21によって空気が加熱又は冷却される程度を示す熱量と、複数の搬送ファン23a及び23bのそれぞれによって搬送される風量とが用いられる。また、出力として、複数のVAVダンパ24a~24cのそれぞれの開閉の程度を示す開度と、換気装置30によって取入れられる空気の量を示す取入量とが用いられる。
【0124】
さらに、制御装置80(制御部82)は、決定された制御値(つまりは、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値)に従って、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する(ステップS36)。なお、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。上記の通り、目標温度とは、ユーザにとって快適な温度である。よって、換言すると、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が快適な温度となるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。さらに、制御部82は、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。上記の通り、二酸化炭素濃度を低減することで部屋の空気質を高めることができる。よって、換言すると、制御部82は、第2部屋の空気質を高めるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。
【0125】
さらに、ステップS36の処理が行われ所定の期間が経過した後、制御部82は、強化学習モデルの学習を行う(ステップS38)。なお、所定の期間とは例えば、数分~数十分だが、これに限られない。
【0126】
上記の通り、取得された温度情報が示す部屋温度及び二酸化炭素情報が示す二酸化炭素濃度を強化学習モデルの入力として用いることで、強化学習モデルから空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値が出力される。ここでは、制御部82が、この制御値に従って、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御したときの以下を報酬として用いて、強化学習モデルが学習される。報酬とは、部屋温度と目標温度との差、及び、二酸化炭素濃度である。より具体的には、表4が示すように、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、及び、二酸化炭素濃度の低さを報酬として強化学習モデルの学習を行う。強化学習においては、この報酬が最大化するように、つまりは、部屋温度と目標温度との差が小さくなるように、かつ、二酸化炭素濃度が低くなるように強化学習モデルが学習される。
【0127】
ステップS38が終了すると、動作例4は終了する。ここでさらに、ステップS10からステップS38までの処理が繰り返し行われてもよい。
【0128】
このように処理が繰り返し行われることで、制御部82は、強化学習モデルの学習を繰り返し行うこととなる。上記の通り、強化学習モデルにおいては、報酬が最大化するように、繰り返し学習される。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することで、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度にさらに近づきやすくなる。つまり、繰り返し学習された強化学習モデルが用いられることで、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度がより快適な温度となるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することができる。また、このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することで、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなりやすくなる。つまり、繰り返し学習された強化学習モデルが用いられることで、制御部82は、第2部屋の空気質がより高められるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することができる。
【0129】
また、動作例4では、制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。
【0130】
動作例4が示すように、本実施の形態に係る全館空調システム10bは、複雑な施工手順を要さず、かつ、空気質が高く快適な温度となるように制御することができる。
【0131】
なお、ここでは、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、かつ、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなるように空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御した。つまり、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくよう制御されるモードと、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなるように制御されるモードとが両立する。しかし、これに限られず、制御部82は、一方のモードが優先されるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御してもよい。例えば、操作受付部81が一方のモードの優先を指示する操作を受け付け、受け付けられた操作に従って、一方のモードが優先されるように、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御してもよい。
【0132】
なお、動作例4においては、制御部82は、部屋温度が目標温度に近づくように、かつ、二酸化炭素濃度が低くなるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御した。しかしながら、これに限られない。例えば、動作例4において、さらに、制御部82は、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の消費電力が小さくなるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御してもよい。これにより、本実施の形態に係る全館空調システム10bは、複雑な施工手順を要さず、かつ、空気質が高く快適な温度となるように制御することができ、さらに、消費電力を抑制することができる。また、この場合、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の消費電力の小ささ、並びに、二酸化炭素濃度の低さを報酬として強化学習モデルの学習を行うとよい。
【0133】
さらに、この場合でも、強化学習モデルの学習が繰り返し行われるとよい。このような強化学習モデルの出力である制御値に従って、制御部82が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することで、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の消費電力をより小さくすることができる。
【0134】
[効果など]
本実施の形態に係る全館空調システム10bは、さらに、複数の部屋90a~90cのそれぞれの空気を換気する換気装置30を備える。制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度及び複数の部屋90a~90cのうち少なくとも1つの部屋である第2部屋の二酸化炭素濃度を取得する。制御装置80は、取得された部屋温度及び取得された二酸化炭素濃度を強化学習モデルの入力として用いて、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値に従って空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。制御装置80は、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなるように、空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御する。
【0135】
これにより、動作例4が示すように、本実施の形態に係る全館空調システム10bは、複雑な施工手順を要さず、かつ、空気質が高く快適な温度となるように制御することができる。
【0136】
動作例4のように、強化学習モデルは、制御値に従って、制御装置80が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御したときの、二酸化炭素濃度を報酬として用いて強化学習される。制御値は、強化学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23及び換気装置30の制御値である。
【0137】
このような強化学習モデルから出力された制御値に従って、制御装置80(制御部82)が空調装置21、搬送装置23及び換気装置30を制御することにより、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなりやすくなる。つまりは、第2部屋の空気質がより高められやすくなる。
【0138】
このため、本実施の形態に係る全館空調システム10bは、複雑な施工手順を要さず、かつ、空気質がより高くより快適な温度となるように制御することができる。
【0139】
(実施の形態3の変形例)
以下、実施の形態3の変形例に係る全館空調システム10cの構成について説明する。
【0140】
図11は、本実施の形態の変形例に係る全館空調システム10cの概略構成を示す図である。
図12は、本実施の形態の変形例に係る全館空調システム10cの機能構成を示すブロック図である。全館空調システム10cは、全館空調装置20と、複数の温度センサ60a~60cと、複数の湿度センサ61b及び61cと、二酸化炭素センサ62aと、制御装置80と、加湿装置50と、換気装置30とを備える。
【0141】
なお、本変形例においては、制御部82は、機械学習モデルから出力された空調装置21、搬送装置23、加湿装置50及び換気装置30の制御値に従って、空調装置21、搬送装置23、加湿装置50及び換気装置30を制御する。簡単のため、空調装置21、搬送装置23、加湿装置50及び換気装置30を被制御装置と記載する場合がある。なお、強化学習モデルは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度、第2部屋の二酸化炭素濃度、及び、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度を入力とし、被制御装置の制御値を出力とするモデルである。
【0142】
なお、本変形例においては、強化学習モデルは、強化学習モデルから出力された被制御装置の制御値に従って、制御装置80(制御部82)が被制御装置を制御したときの、以下を報酬として用いて強化学習されるモデルである。この強化学習モデルは、部屋温度と目標温度との差、二酸化炭素濃度、及び、部屋湿度と目標湿度との差を報酬として用いて強化学習されるモデルである。
【0143】
本変形例に係る制御部82は、上記の温度情報、二酸化炭素情報、及び、湿度情報と、強化学習モデルとを用いて、被制御装置の制御値を決定する。この被制御装置の制御値は、温度情報が示す部屋温度、湿度情報が示す部屋湿度及び二酸化炭素情報が示す二酸化炭素濃度が強化学習モデルの入力として用いられることで、強化学習モデルから出力された値である。
【0144】
ここで、表5を用いて、この強化学習モデルの入力及び出力について説明する。
【0145】
【0146】
本変形例においては、入力として複数の温度センサ60a~60cのそれぞれによって取得された複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が用いられる。また、入力として複数の湿度センサ61b及び61cのそれぞれによって取得された2つの第1部屋(部屋90b及び90c)のそれぞれの部屋湿度が用いられる。また、入力として二酸化炭素センサ62aによって取得された第2部屋(部屋90a)の二酸化炭素濃度が用いられる。さらに、出力として、空調装置21によって空気が加熱又は冷却される程度を示す熱量と、複数の搬送ファン23a及び23bのそれぞれによって搬送される風量と、複数のVAVダンパ24a~24cのそれぞれの開閉の程度を示す開度とが用いられる。また、出力として、加湿装置50によって空気が加湿される程度を示す加湿量と、換気装置30によって取入れられる空気の量を示す取入量とが用いられる。
【0147】
さらに、制御装置80(制御部82)は、決定された制御値(つまりは、強化学習モデルから出力された被制御装置の制御値)に従って、被制御装置を制御する。なお、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度が複数の部屋90a~90cのそれぞれの目標温度に近づくように、被制御装置を制御する。
【0148】
さらに、制御部82は、被制御装置の制御値に従って、2つの第1部屋のそれぞれの部屋湿度が2つの第1部屋のそれぞれの目標湿度に近づくように、被制御装置を制御する。さらに、制御部82は、被制御装置の制御値に従って、第2部屋の二酸化炭素濃度が低くなるように、被制御装置を制御する。
【0149】
また、本変形例においては、制御装置80は、複数の機器の配置情報を用いずに、被制御装置を制御する。
【0150】
よって、本変形例に係る全館空調システム10cは、複雑な施工手順を要さず、かつ、空気質が高く快適な温度及び湿度となるように制御することができる。
【0151】
また、表5が示すように、制御部82は、部屋温度と目標温度との差の小ささ、部屋湿度と目標湿度との差の小ささ、及び、二酸化炭素濃度の低さを報酬として強化学習モデルの学習を行うとよい。
【0152】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
【0153】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0154】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。また、上記実施の形態及び変形例において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
【0155】
また、上記実施の形態のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0156】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0157】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0158】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0159】
例えば、本発明は、コンピュータによって実行される全館空調システムの制御方法として実現されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0160】
また、上記実施の形態では、全館空調システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。全館空調システムは、例えば、制御装置に相当する単一の装置として実現されてもよいし、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。全館空調システムが複数の装置によって実現される場合、全館空調システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0161】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0162】
10、10a、10b、10c 全館空調システム
21 空調装置
23 搬送装置
30 換気装置
50 加湿装置
80 制御装置
90 施設
90a、90b、90c 部屋