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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007992
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】エレベーターの昇降路内浸水抑制装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
B66B13/30 N
B66B13/30 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111183
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】大串 侑
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307BA03
3F307CA24
3F307CD08
(57)【要約】
【課題】乗場に流れ込んだ水が昇降路に浸入することをより確実に抑制することができるエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を得る。
【解決手段】このエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、吸水することによって膨張する機能である吸水膨張機能を有し、吸水して膨張することによって、乗場扉3と乗場敷居6との間の隙間である扉敷居隙間7を塞ぐ扉敷居隙間閉塞装置8を備え、扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場扉3に設けられた扉側閉塞部材801を有し、扉側閉塞部材801は、吸水膨張機能を有する扉側膨張部803を含み、扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水することによって膨張する機能である吸水膨張機能を有し、吸水して膨張することによって、乗場扉と乗場敷居との間の隙間である扉敷居隙間を塞ぐ扉敷居隙間閉塞装置を備えているエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【請求項2】
前記扉敷居隙間閉塞装置は、前記乗場扉に設けられた扉側閉塞部材を有し、
前記扉側閉塞部材は、前記吸水膨張機能を有する扉側膨張部を含み、
前記扉側膨張部が吸水して膨張することによって、前記扉側閉塞部材が前記乗場敷居に接触して前記扉敷居隙間を塞ぐ請求項1に記載のエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【請求項3】
前記扉敷居隙間閉塞装置は、前記乗場敷居に設けられた敷居側閉塞部材を有し、
前記敷居側閉塞部材は、前記吸水膨張機能を有する敷居側膨張部を含み、
前記敷居側膨張部が吸水して膨張することによって、前記敷居側閉塞部材が前記乗場扉に接触して前記扉敷居隙間を塞ぐ請求項1または請求項2に記載のエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【請求項4】
前記扉敷居隙間閉塞装置よりも昇降路側に設けられ、前記扉敷居隙間を塞ぐ前記扉敷居隙間閉塞装置が前記昇降路側に移動することを制限する移動制限装置をさらに備えている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【請求項5】
前記扉敷居隙間閉塞装置は、前記乗場敷居に設けられた敷居側閉塞部材を有し、
前記敷居側閉塞部材は、前記吸水膨張機能を有する敷居側膨張部を含み、
前記敷居側膨張部が吸水して膨張することによって、前記敷居側閉塞部材が前記乗場扉に接触して前記扉敷居隙間を塞ぐとともに、前記扉側閉塞部材が昇降路側に移動することを前記敷居側閉塞部材が制限する請求項2に記載のエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【請求項6】
前記吸水膨張機能を有し、吸水して膨張することによって、前記乗場扉と三方枠の縦枠との間の隙間である扉縦枠隙間の下部を塞ぐ扉縦枠隙間閉塞装置をさらに備えている請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のエレベーターの昇降路内浸水抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗場に流れ込んだ水が昇降路に浸入することを抑制するエレベーターの昇降路内浸水抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗場敷居と、乗場敷居に設けられ、吸水することによって膨張する膨張部材とを備えているエレベーターの昇降路内浸水抑制装置が知られている。乗場敷居の上面における乗場扉よりも乗場側の部分には、膨張部材用溝が形成されている。膨張部材は、膨張部材用溝に挿入されている。
【0003】
降雨などによって乗場に水が流れ込んだ場合には、乗場に流れ込んだ水が乗場敷居の膨張部材用溝に達する。乗場に流れ込んだ水が乗場敷居の膨張部材用溝に達することによって、膨張部材用溝に挿入された膨張部材が水を吸収して膨張する。膨張した膨張部材は、乗場敷居の上面から上方に延びる。これにより、乗場に流れ込んだ水が膨張部材によってせき止められる。したがって、乗場に流れ込んだ水が乗場敷居を乗り越えることが抑制される。その結果、乗場に流れ込んだ水が昇降路に浸入することが抑制される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-302362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大量の水が乗場に流れ込んだ場合には、乗場に流れ込んだ水は、膨張した膨張部材を乗り越えてしまう。これにより、乗場に流れ込んだ水が乗場敷居を乗り越えて昇降路に浸入してしまうという問題点があった。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乗場に流れ込んだ水が昇降路に浸入することをより確実に抑制することができるエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、吸水することによって膨張する機能である吸水膨張機能を有し、吸水して膨張することによって、乗場扉と乗場敷居との間の隙間である扉敷居隙間を塞ぐ扉敷居隙間閉塞装置を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置によれば、乗場に流れ込んだ水が昇降路に浸入することをより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターを示す正面図である。
図2図1のエレベーターの要部を示す側面図である。
図3図2の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。
図4】実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。
図5図4の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。
図6】実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。
図7図6の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。
図8】実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。
図9図8の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターを示す正面図である。エレベーターは、乗場出入口1が形成された乗場三方枠2と、乗場出入口1を開閉する一対の乗場扉3と、それぞれの乗場扉3に設けられた複数のシュー4と、乗場5に設けられた乗場敷居6とを備えている。
【0011】
乗場出入口1は、エレベーターの利用者が通過する出入口である。乗場出入口1は、エレベーターが設置されている建物のそれぞれの階の壁に1個ずつ形成されている。
【0012】
乗場三方枠2は、一対の縦枠201と、一対の縦枠201に渡って設けられた上枠202とを有している。一対の縦枠201は、乗場出入口1の間口方向Aに互いに離れて配置されている。一対の縦枠201のそれぞれは、高さ方向Bに延びるように配置されている。高さ方向Bは、水平面に対して垂直な方向である。上枠202は、一対の縦枠201のそれぞれの上端部に接続されている。
【0013】
それぞれの乗場扉3は、乗場出入口1の間口方向Aに移動する。また、それぞれの乗場扉3は、互いに反対方向に移動する。それぞれの乗場扉3が移動することによって、乗場出入口1が開閉される。
【0014】
それぞれの乗場扉3に複数のシュー4が設けられている。それぞれのシュー4は、乗場扉3から下方に延びるように配置されている。
【0015】
複数のシュー4は、乗場出入口1の間口方向Aについて、間隔をおいて配置されている。したがって、間口方向Aについて互いに隣り合う一対のシュー4の間には、空間が形成されている。
【0016】
図2は、図1のエレベーターの要部を示す側面図である。図3は、図2の乗場5に水が流れ込んだ状態を示す図である。乗場敷居6の上面には、敷居溝601が形成されている。敷居溝601は、乗場出入口1の間口方向Aに延びるように配置されている。シュー4は、敷居溝601に上方から挿入されている。シュー4が敷居溝601に上方から挿入されることによって、乗場扉3が乗場出入口1の奥行方向Cに移動することが制限される。
【0017】
高さ方向Bについて、乗場扉3と乗場敷居6との間には、隙間が形成されている。乗場扉3と乗場敷居6との間に形成された隙間を扉敷居隙間7とする。
【0018】
実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、扉敷居隙間閉塞装置8を備えている。扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場扉3に設けられた扉側閉塞部材801を有している。
【0019】
扉側閉塞部材801は、乗場扉3の下端部に取り付けられている。したがって、扉側閉塞部材801は、乗場扉3の移動にともなって乗場出入口1の間口方向Aに移動する。扉側閉塞部材801は、乗場出入口1の奥行方向Cについて、シュー4よりも乗場5の近くに配置されている。言い換えれば、扉側閉塞部材801は、奥行方向Cについて、シュー4よりも昇降路9から離れて配置されている。なお、扉側閉塞部材801は、奥行方向Cについて、シュー4よりも昇降路9の近くに配置されてもよい。また、扉側閉塞部材801は、奥行方向Cについてシュー4よりも乗場5の近くの領域、および、奥行方向Cについてシュー4よりも昇降路9の近くの領域の両方に配置されてもよい。奥行方向Cは、間口方向Aおよび高さ方向Bの両方に対して垂直な方向である。扉側閉塞部材801は、間口方向Aの全域に渡って扉敷居隙間7に設けられている。
【0020】
扉側閉塞部材801は、弾性変形可能な止水部802と、吸水することによって膨張する機能である吸水膨張機能を有する扉側膨張部803とを含んでいる。
【0021】
止水部802を構成する材料としては、例えば、ゴムまたは樹脂が挙げられる。扉側膨張部803を構成する材料としては、例えば、高分子ポリマーが挙げられる。
【0022】
止水部802は、乗場扉3の下端部に取り付けられている。具体的には、止水部802は、乗場扉3の下面に取り付けられている。
【0023】
止水部802は、扉敷居隙間7に設けられている。止水部802の形状は、扉敷居隙間7が塞がれる形状と、扉敷居隙間7が開く形状との間で変化する。止水部802は、乗場出入口1の間口方向Aの全域に渡って扉敷居隙間7に設けられている。したがって、止水部802が扉敷居隙間7を塞ぐ場合に、間口方向Aの全域に渡って扉敷居隙間7が塞がれる。
【0024】
扉側膨張部803は、止水部802に取り付けられている。なお、扉側膨張部803は、乗場扉3の下端部に取り付けられてもよい。扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側膨張部803が止水部802を乗場敷居6に向かって押す。これにより、止水部802が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0025】
扉側閉塞部材801が止水部802を有しているので、扉側閉塞部材801の形状は、扉敷居隙間7が塞がれる形状と、扉敷居隙間7が開く形状との間で変化する。また、扉側閉塞部材801が止水部802を有しているので、扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。また、扉側閉塞部材801が止水部802を有しているので、扉側閉塞部材801が扉敷居隙間7を塞ぐ場合に、乗場出入口1の間口方向Aの全域に渡って扉敷居隙間7が塞がれる。
【0026】
扉敷居隙間閉塞装置8が扉側閉塞部材801を有しているので、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水膨張機能を有している。また、扉敷居隙間閉塞装置8が扉側閉塞部材801を有しているので、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水して膨張することによって扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0027】
降雨などによって水が乗場5に流れ込んだ場合には、乗場5に流れ込んだ水が扉敷居隙間7に流れ込む。扉敷居隙間7に流れ込んだ水は、扉側膨張部803に接触する。扉側膨張部803に接触した水は、扉側膨張部803に吸収される。吸水した扉側膨張部803は膨張する。
【0028】
扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、止水部802は、扉敷居隙間7が開く形状から扉敷居隙間7が塞がれる形状に変化する。言い換えれば、扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。さらに言い換えれば、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水して膨張することによって、扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0029】
扉側閉塞部材801が扉敷居隙間7を塞ぐことによって、扉敷居隙間7に入り込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。
【0030】
以上説明したように、実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、扉敷居隙間閉塞装置8を備えている。扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水膨張機能を有している。扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水して膨張することによって、扉敷居隙間7を塞ぐ。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水して膨張することによって、扉敷居隙間7を塞ぐ。これにより、扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場扉3とともに、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制する。したがって、大量の水が乗場5に流れ込んだ場合であっても、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制することができる。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0031】
また、扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場扉3に設けられた扉側閉塞部材801を有している。扉側閉塞部材801は、吸水膨張機能を有する扉側膨張部803を含んでいる。扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が扉敷居隙間7を塞ぐ。これにより、扉側閉塞部材801は、乗場扉3とともに、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制する。したがって、大量の水が乗場5に流れ込んだ場合であっても、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制することができる。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。また、水が乗場5に流れ込んでいない場合には、扉側閉塞部材801が乗場扉3ととも移動する。これにより、エレベーターの利用者が扉側閉塞部材801に当たることが抑制される。したがって、扉側閉塞部材801が乗場扉3から外れることを抑制することができる。
【0032】
なお、実施の形態1では、扉側閉塞部材801が止水部802と扉側膨張部803とを含んでいる構成について説明した。しかしながら、扉側閉塞部材801は、止水部802を有さず、扉側膨張部803のみを有する構成であってもよい。この場合であっても、扉側膨張部803が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801が乗場敷居6に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0033】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。図5は、図4の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。なお、図4および図5では、シュー4が省略されている。
【0034】
実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置では、扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場扉3に設けられた扉側閉塞部材801と、乗場敷居6に設けられた複数の敷居側閉塞部材804とを有している。それぞれの敷居側閉塞部材804は、敷居溝601に配置されている。
【0035】
実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置における扉側閉塞部材801の構成は、実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置における扉側閉塞部材801の構成と同様である。
【0036】
それぞれの敷居側閉塞部材804は、シュー4に当たらないように、敷居溝601の側面に取り付けられている。この例では、敷居溝601における乗場出入口1の奥行方向Cを向く一対の側面のそれぞれには、凹部602が形成されている。それぞれの敷居側閉塞部材804は、それぞれの凹部602に配置されている。なお、敷居側閉塞部材804は、敷居溝601の側面に限らず、敷居溝601の底面に取り付けられてもよい。
【0037】
それぞれの敷居側閉塞部材804は、乗場扉3が乗場出入口1を閉じている場合におけるシュー4が配置される領域に対して乗場出入口1の間口方向Aにずれるように配置されている。したがって、乗場扉3が乗場出入口1を閉じている場合に、それぞれの敷居側閉塞部材804は、シュー4に対向しない。なお、それぞれの敷居側閉塞部材804は、乗場出入口1の間口方向Aの全域に渡って敷居溝601に配置されてもよい。
【0038】
それぞれの敷居側閉塞部材804は、吸水膨張機能を有する敷居側膨張部805を含んでいる。敷居側膨張部805を構成する材料としては、例えば、高分子ポリマーが挙げられる。
【0039】
敷居側膨張部805の形状は、扉敷居隙間7が塞がれる形状と、扉敷居隙間7が開く形状との間で変化する。敷居側閉塞部材804が敷居側膨張部805を有しているので、敷居側閉塞部材804の形状は、扉敷居隙間7が塞がれる形状と、扉敷居隙間7が開く形状との間で変化する。また、敷居側閉塞部材804が敷居側膨張部805を有しているので、敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、敷居側閉塞部材804が乗場扉3に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0040】
扉敷居隙間閉塞装置8が敷居側閉塞部材804を有しているので、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水膨張機能を有している。また、扉敷居隙間閉塞装置8が敷居側閉塞部材804を有しているので、扉敷居隙間閉塞装置8は、吸水して膨張することによって扉敷居隙間7を塞ぐ。
【0041】
図5では、扉側膨張部803が膨張した扉側閉塞部材801と敷居側膨張部805が膨張した敷居側閉塞部材804との間に隙間が示されている。しかしながら、敷居側膨張部805が膨張した敷居側閉塞部材804は、扉側膨張部803が膨張した扉側閉塞部材801における昇降路9側の面に接触する。これにより、敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、敷居側閉塞部材804は、扉側閉塞部材801が昇降路9側に移動することを制限する。
【0042】
実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置におけるその他の構成は、実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置の構成と同様である。
【0043】
以上説明したように、実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置では、扉敷居隙間閉塞装置8は、乗場敷居6に設けられた敷居側閉塞部材804を有している。敷居側閉塞部材804は、吸水膨張機能を有する敷居側膨張部805を含んでいる。敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、敷居側閉塞部材804が乗場扉3に接触して扉敷居隙間7を塞ぐ。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、敷居側閉塞部材804が扉敷居隙間7を塞ぐ。これにより、敷居側閉塞部材804は、乗場扉3とともに、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制する。したがって、大量の水が乗場5に流れ込んだ場合であっても、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制することができる。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0044】
また、敷居側閉塞部材804は、敷居溝601に設けられている。これにより、エレベーターの利用者が敷居側閉塞部材804に当たることが抑制される。したがって、敷居側閉塞部材804が乗場敷居6から外れることを抑制することができる。
【0045】
また、敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、敷居側閉塞部材804は、扉側閉塞部材801が昇降路9側に移動することを制限する。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、扉側閉塞部材801が昇降路9側に流されることが抑制される。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0046】
なお、実施の形態2では、扉敷居隙間閉塞装置8が、扉側閉塞部材801と敷居側閉塞部材804とを有している構成について説明した。しかしながら、扉敷居隙間閉塞装置8が、扉側閉塞部材801を有さず、敷居側閉塞部材804を有している構成であってもよい。
【0047】
また、実施の形態2では、敷居側膨張部805のみを含んでいる敷居側閉塞部材804の構成について説明した。しかしながら、敷居側閉塞部材804は、敷居側膨張部805と、敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、扉敷居隙間7を塞ぐ止水部とを含んでいる構成であってもよい。
【0048】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。図7は、図6の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。図6および図7では、一対の縦枠201のうちの一方の縦枠201が示されている。乗場出入口1の奥行方向Cについて、一対の縦枠201と乗場扉3との間のそれぞれには、隙間が形成されている。それぞれの縦枠201と乗場扉3との間に形成された隙間のそれぞれを扉縦枠隙間10とする。
【0049】
実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、扉縦枠隙間閉塞装置11を備えている。扉縦枠隙間閉塞装置11は、それぞれの縦枠201に設けられた一対の縦枠側閉塞部材111を有している。
【0050】
それぞれの縦枠側閉塞部材111は、それぞれの縦枠201の下部における昇降路9側の面に取り付けられている。この例では、それぞれの縦枠201の下部における昇降路9側の面には、凹部203が形成されている。それぞれの縦枠側閉塞部材111は、それぞれの凹部203に配置されている。
【0051】
それぞれの縦枠側閉塞部材111は、吸水膨張機能を有する縦枠側膨張部112を含んでいる。縦枠側膨張部112を構成する材料としては、例えば、高分子ポリマーが挙げられる。
【0052】
縦枠側膨張部112の形状は、扉縦枠隙間10の下部が塞がれる形状と、扉縦枠隙間10の下部が開く形状との間で変化する。縦枠側閉塞部材111が縦枠側膨張部112を有しているので、縦枠側閉塞部材111の形状は、扉縦枠隙間10の下部が塞がれる形状と、扉縦枠隙間10の下部が開く形状との間で変化する。また、縦枠側閉塞部材111が縦枠側膨張部112を有しているので、縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、縦枠側閉塞部材111が乗場扉3に接触して扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。
【0053】
扉縦枠隙間閉塞装置11が縦枠側閉塞部材111を有しているので、扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水膨張機能を有している。また、扉縦枠隙間閉塞装置11が縦枠側閉塞部材111を有しているので、扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水して膨張することによって扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。
【0054】
降雨などによって水が乗場5に流れ込んだ場合には、乗場5に流れ込んだ水が扉縦枠隙間10の下部に流れ込む。扉縦枠隙間10の下部に流れ込んだ水は、縦枠側膨張部112に接触する。縦枠側膨張部112に接触した水は、縦枠側膨張部112に吸収される。吸水した縦枠側膨張部112は膨張する。
【0055】
縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、縦枠側膨張部112は、扉縦枠隙間10の下部が開く形状から扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ形状に変化する。言い換えれば、縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、縦枠側閉塞部材111が乗場扉3に接触して扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。さらに言い換えれば、扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水して膨張することによって、扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。
【0056】
縦枠側閉塞部材111が扉縦枠隙間10の下部を塞ぐことによって、扉縦枠隙間10の下部に入り込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。
【0057】
実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置におけるその他の構成は、実施の形態1または実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置の構成と同様である。
【0058】
以上説明したように、実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、扉縦枠隙間閉塞装置11を備えている。扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水膨張機能を有している。扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水して膨張することによって、扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、扉縦枠隙間閉塞装置11は、吸水して膨張することによって、扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。これにより、扉縦枠隙間閉塞装置11は、乗場扉3とともに、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制する。したがって、大量の水が乗場5に流れ込んだ場合であっても、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制することができる。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0059】
また、扉縦枠隙間閉塞装置11は、縦枠201に設けられた縦枠側閉塞部材111を有している。縦枠側閉塞部材111は、吸水膨張機能を有する縦枠側膨張部112を含んでいる。縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、縦枠側閉塞部材111が乗場扉3に接触して扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。この構成によれば、水が乗場5に流れ込んだ場合に、縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、縦枠側閉塞部材111が扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ。これにより、縦枠側閉塞部材111は、乗場扉3とともに、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制する。したがって、大量の水が乗場5に流れ込んだ場合であっても、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することを抑制することができる。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。また、縦枠側閉塞部材111が縦枠201に設けられている。これにより、エレベーターの利用者が縦枠側閉塞部材111に当たることが抑制される。したがって、縦枠側閉塞部材111が縦枠201から外れることを抑制することができる。
【0060】
なお、実施の形態3では、縦枠側膨張部112のみを含んでいる縦枠側閉塞部材111の構成について説明した。しかしながら、縦枠側閉塞部材111は、縦枠側膨張部112と、縦枠側膨張部112が吸水して膨張することによって、扉縦枠隙間10の下部を塞ぐ止水部とを含んでいる構成であってもよい。
【0061】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置を備えたエレベーターの要部を示す側面図である。図9は、図8の乗場に水が流れ込んだ状態を示す図である。実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、扉敷居隙間閉塞装置8と、移動制限装置12とを備えている。
【0062】
扉敷居隙間閉塞装置8は、複数の扉側閉塞部材801と、複数の敷居側閉塞部材804とを有している。それぞれの扉側閉塞部材801は、乗場扉3の下端部に取り付けられている。複数の扉側閉塞部材801は、シュー4よりも乗場5の近くの領域、および、シュー4よりも昇降路9の近くの領域の両方に配置されている。
【0063】
それぞれの扉側閉塞部材801は、扉側膨張部803のみを含んでいる。なお、扉側閉塞部材801は、実施の形態1に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置の扉側閉塞部材801のように、止水部802を含んでいる構成であってもよい。
【0064】
実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置における敷居側閉塞部材804の構成は、実施の形態2に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置における敷居側閉塞部材804の構成と同様である。
【0065】
移動制限装置12は、高さ方向Bに移動する制限部材121と、制限部材121を高さ方向Bに移動させる駆動装置122とを有している。
【0066】
制限部材121は、乗場敷居6よりも昇降路9側に配置されている。したがって、制限部材121は、扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804よりも昇降路9側に配置されている。制限部材121は、制限部材121の上端部が乗場敷居6の上面から上方に突出する制限位置と、制限部材121の上端部が乗場敷居6の上面から上方に突出しない収納位置との間で移動する。この例では、制限部材121の位置が制限位置である場合に、制限部材121の上端部は、乗場扉3に達する。
【0067】
制限部材121の位置が制限位置である場合に、扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804が昇降路9側に移動すること制限部材121が制限する。
【0068】
駆動装置122は、制限部材121を支持する浮き部材123と、浮き部材123が内側に配置された貯水槽124とを含んでいる。乗場敷居6には、乗場敷居6の上面と下面とに渡って貫通孔603が形成されている。この例では、貫通孔603は、敷居溝601の底面と乗場敷居6の底面とに渡って形成されている。敷居溝601に流れ込んだ水は、貫通孔603を通過して落下する。貯水槽124は、貫通孔603の下端部の下方に配置されている。これにより、貫通孔603を通過して落下した水は、貯水槽124に溜められる。
【0069】
浮き部材123は、水に浮く材料から構成されている。この例では、浮き部材123の内側には、空気が満たされている空間が形成されている。貯水槽124に水が溜められることによって、浮き部材123が水によって押し上げられて、浮き部材123が上昇する。浮き部材123が上昇することによって、制限部材121が収納位置から制限位置に移動する。
【0070】
降雨などによって水が乗場5に流れ込んだ場合には、乗場5に流れ込んだ水が扉敷居隙間7に流れ込む。扉敷居隙間7に流れ込んだ水は、扉側膨張部803および敷居側膨張部805に接触する。扉側膨張部803および敷居側膨張部805に接触した水は、扉側膨張部803および敷居側膨張部805に吸収される。吸水した扉側膨張部803および敷居側膨張部805は膨張する。
【0071】
扉側膨張部803および敷居側膨張部805が吸水して膨張することによって、扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804は、扉敷居隙間7を塞ぐ。扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804が扉敷居隙間7を塞ぐことによって、扉敷居隙間7に入り込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することが抑制される。
【0072】
扉敷居隙間7に入り込んだ水の一部は、貫通孔603を通過して落下する。貫通孔603から落下した水は、貯水槽124に溜められる。これにより、浮き部材123が上昇し、制限部材121が収納位置から制限位置に移動する。その結果、扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804が昇降路9側に移動すること制限部材121が制限する。
【0073】
実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置におけるその他の構成は、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置の構成と同様である。
【0074】
以上説明したように、実施の形態4に係るエレベーターの昇降路内浸水抑制装置は、移動制限装置12を備えている。この構成によれば、乗場5に水が流れ込んだ場合に、敷居側閉塞部材804が乗場扉3とともに扉敷居隙間7を塞ぎ、扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804が昇降路9側に移動することを移動制限装置12が制限する。したがって、扉敷居隙間7を塞ぐ扉側閉塞部材801および敷居側閉塞部材804が水の流れによって昇降路9に流されることが抑制される。その結果、乗場5に流れ込んだ水が昇降路9に浸入することをより確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 乗場出入口、2 乗場三方枠、3 乗場扉、4 シュー、5 乗場、6 乗場敷居、7 扉敷居隙間、8 扉敷居隙間閉塞装置、9 昇降路、10 扉縦枠隙間、11 扉縦枠隙間閉塞装置、12 移動制限装置、111 縦枠側閉塞部材、112 縦枠側膨張部、121 制限部材、122 駆動装置、123 浮き部材、124 貯水槽、201 縦枠、202 上枠、203 凹部、601 敷居溝、602 凹部、603 貫通孔、801 扉側閉塞部材、802 止水部、803 扉側膨張部、804 敷居側閉塞部材、805 敷居側膨張部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9