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  • 特開-飲料容器の蓋構造及び飲料容器 図1
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  • 特開-飲料容器の蓋構造及び飲料容器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079929
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】飲料容器の蓋構造及び飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/32 20060101AFI20230601BHJP
   B65D 17/34 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B65D17/32
B65D17/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193648
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】512069935
【氏名又は名称】中原 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】中原 祐司
【テーマコード(参考)】
3E093
【Fターム(参考)】
3E093AA02
3E093BB01
3E093BB02
3E093DD01
3E093DD07
(57)【要約】
【課題】容器内に飲み残しや液体が残ることを良好に防止しうる飲料容器の蓋構造を提供する。
【解決手段】飲料容器1の上面を閉鎖する蓋壁部31と、前記蓋壁部31の一部分を開口して形成される飲み口部32と、前記飲み口部32を閉鎖する開口片34と、を備え、前記飲み口部32が前記蓋壁部の輪郭縁に及んで形成されている。飲み口部32が輪郭縁に及んで形成され、側壁に接するように形成されるので、容器内部の飲料を蓋壁部の一部に邪魔されることなくスムーズに流出させることができ、飲み残しを極めて少なくすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の上面を閉鎖する蓋壁部と、
前記蓋壁部の一部分を開口して形成される飲み口部と、
前記飲み口部を閉鎖する開口片と、を備え、
前記飲み口部が前記蓋壁部の輪郭縁に及んで形成されていることを特徴とする飲料容器の蓋構造。
【請求項2】
前記蓋壁部に前記飲み口部の形状に沿って形成されるスコアと、
前記蓋壁部にリベットを介して固定されたタブであり、引き起こし動作で前記スコアを破断して該スコア内側の開口片を押し下げて前記飲み口部を形成するタブと、を有し、
前記スコアの一部が前記蓋壁部の輪郭縁に及んで形成されていることを特徴とする請求項1記載の飲料容器の蓋構造。
【請求項3】
前記飲み口部には、前記蓋壁部の輪郭縁に向けて略ハ字状に広がるテーパ部が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の飲料容器の蓋構造。
【請求項4】
前記飲み口部は、蓋壁部の中央側に形成される開口基部と、該開口基部に接続されて輪郭縁側に形成された前記テーパ部と、を含むことを特徴とする請求項3記載の飲料容器の蓋構造。
【請求項5】
前記開口基部と前記テーパ部との接続部にくびれ部が形成されたことを特徴とする請求項4記載の飲料容器の蓋構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の飲料容器の蓋構造を備えた飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料やアルコール飲料等の飲料容器の蓋構造及び飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、ジュース、茶やコーヒー、ビール等のアルコール飲料に利用されている飲料缶容器では、該容器の上面側を閉鎖する缶蓋の一部分のみが開口するパーシャルオープンエンドが多く用いられている。また、図5図6に示すように、従来の飲料缶容器は、缶蓋101のパネル上にスコア102が刻設されるとともにリベット103を介してタブ104が固定されており、該タブ104を引き起こすことによってスコア102を破断して開口片がパネルにつながったまま内部に押し込まれることによって飲み口105を形成するステイオンタブ式が多く採用されている。
【0003】
従来の飲料缶容器100では、缶蓋101の一部をタブ104により簡易に開口して飲み口105を形成することができる構造であるが、飲み口105を形成した状態では、該飲み口105の端部側に缶蓋101の壁部一部101rが缶周壁側から内部に突出して残る構造であるので、どのように飲料缶容器100を傾けても容器内に液体Lqが残り、飲み残しが生じてしまっていた。
【0004】
一方、特許文献1では、飲み零しや飲み残しを少なくすることを目的とした飲料用缶容器の技術が提案されている。特許文献1の容器では、容器本体の上端部蓋部外周縁に、下唇を当接させる突起を一体的に形成したものであり、下唇を突起に当接させつつ飲み口に上唇をあわせて缶容器を30度程傾けることで缶内の飲料を飲み零すことなく飲み干して缶飲料の飲み残しの防止を図ろうとしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-327625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の缶容器でも従来の飲料用缶容器と同様に、飲み口を形成した状態では、該飲み口の端部側に缶蓋の一部101rが突設状に残存される構造であるから、少量の飲み残しが生じてしまう問題を十分に解決できなかった。
【0007】
このように特許文献1を含む従来の飲料用缶容器では、飲み口の端部側に残る缶蓋の一部によって容器内の液体が完全には流出しにくいものであることから、例え少量でも飲料が残るのがもったいないとともに、非衛生的である上、ゴミ箱等に入れた際に液体がこぼれてゴミ箱や周囲を汚してしまっていた。さらに、缶容器を水で洗っても内部に水が容器内部に残ってしまっていた。よって、空き缶回収後の分別やリサイクル工程、及びゴミ箱やその周辺の清掃等にも手間がかかる等の問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、容器内に飲み残しや液体が残ることを良好に防止しうる飲料容器の蓋構造及び飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る飲料容器の蓋構造は、飲料容器1の上面を閉鎖する蓋壁部31と、前記蓋壁部31の一部分を開口して形成される飲み口部32と、前記飲み口部32を閉鎖する開口片34と、を備え、前記飲み口部34が前記蓋壁部の輪郭縁に及んで形成された飲料容器の蓋構造30から構成される。
【0010】
また、前記蓋壁部31に前記飲み口部32の形状に沿って形成されるスコア33と、前記蓋壁部31にリベット36を介して固定されたタブであり、引き起こし動作で前記スコアを破断して該スコア33内側の開口片34を押し下げて前記飲み口部32を形成するタブ35と、を有し、前記スコア33の一部が前記蓋壁部31の輪郭縁31aに及んで形成されていることとしてもよい。
【0011】
また、前記飲み口部32には、前記蓋壁部31の輪郭縁31aに向けて略ハ字状に広がるテーパ部322が形成されることとしてもよい。
【0012】
また、前記飲み口部32は、蓋壁部31の中央側に形成される開口基部321と、該開口基部321に接続されて輪郭縁側に形成された前記テーパ部322と、を含むこととしてもよい。
【0013】
前記開口基部321と前記テーパ部322との接続部にくびれ部323が形成されたこととしてもよい。
【0014】
また、本発明は、上記記載の飲料容器の蓋構造を備えた飲料容器1から構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飲料容器の上面を閉鎖する蓋壁部と、前記蓋壁部の一部分を開口して形成される飲み口部と、前記飲み口部を閉鎖する開口片と、を備え、前記飲み口部が前記蓋壁部の輪郭縁に及んで形成されることから、飲み口を開口形成した状態では、飲み口から容器内の液体を完全に又はほぼ完全に、スムーズに流出させることができる結果、飲料を飲み残したり、液体が残ったりすることを良好に防止しうる。さらに、容器内に飲料が残らないので飲料後の容器は比較的衛生的であり、空容器の廃棄やリサイクル処理等を手間なくスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態における飲料容器の平面図である。
図2図1の飲料容器のA-A線断面で飲み口部を開口した状態の概略図である。
図3図1の飲料容器の作用説明図である。
図4】従来の飲料缶容器の缶蓋の平面図である。
図5図4の従来の飲料缶容器のB-B線断面概略図であって、該缶容器を傾けた際の液体が残る状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明の飲料容器は、清涼飲料、茶飲料、コーヒー飲料、アルコール飲料等の飲料が入れられる液体容器であり、該容器の上部を閉鎖する蓋壁の一部分のみを簡易に開口して飲み口(注ぎ口)が形成されるものである。
【0019】
図1図2に示すように、本実施形態において、飲料容器1は、中空の容器本体2と、容器本体2の上面を閉鎖する蓋部3と、を備える。
【0020】
本実施形態では、飲料容器1は、例えば、アルミニウム又はスティール製の缶容器の例で説明する。
【0021】
容器本体2は、例えば、アルミニウム板をカップ形状に絞り加工し,さらに側壁21をしごき加工で引延ばして成形されて、有底で上面を開口した中空円筒状に形成されている。容器本体2の側壁21の上端に蓋部3が固定されている。
【0022】
蓋部3は、容器本体2の上面を閉鎖する蓋壁部31の一部分のみ(開口片34)を開口して飲み口部32を形成する蓋部構造30を構成している。
【0023】
本実施形態では、蓋部3は、図1に示すように、例えば、ステイオンタブ式の蓋構造であり、アルミニウム円板を加工して平面視円形状の蓋壁部31が成形されている。蓋壁部31には、飲み口部32を形成するためのスコア33及び開口片34、タブ35、リベット35等が設けられ、容器本体2の上面を閉鎖するように取り付けられて一体化されている。
【0024】
図1に示すように、蓋部3は、容器本体2の上面を閉鎖する蓋壁部31と、該蓋壁部31の一部分に所定の形状で飲み口部32を形成するように刻設されるスコア33と、該スコア33で囲まれる開口片34と、該蓋壁部31の上面側の略中央でリベット36を介して固定されるタブ35と、蓋壁部31の外周縁31aの周囲に設けられる容器本体2の側壁21に巻締め固定されるフランジ部37と、を備えている。
【0025】
蓋壁部31に飲み口部32を形成するためのスコア33は、その一部分が蓋壁部31の輪郭縁31aに及んで形成されている。すなわち、スコア33が破断されて飲み口部32が形成された際に、該飲み口部32の一部が輪郭縁31aに及ぶように形成されている。
【0026】
すなわち、図2に示すように、飲み口部32は、側壁又はフランジ部37と一体化した側壁に接するように形成されている。よって、飲み口部32の端部は側壁面に接するように形成されることとなり、従来のものとは異なり突出された蓋壁部分が無い構造となる。
【0027】
これにより、図3に示すように、飲料容器1を傾けて飲む際に、容器内部の飲料液体が従来のような蓋壁部の一部分が邪魔になることがなく、スムーズに飲み口部32から流出することができる。
【0028】
詳細には、本実施形態では、スコア33は、後述のようなテーパ部322を含む所定の形状の飲み口部32を形成するように蓋壁部31に形成されている。スコア33は、該スコア33で囲む開口片34の一部が蓋壁部31の中央部側で接続されるように形成されている。
【0029】
図1に示すように、飲み口部32は、蓋壁部31の略中央近傍から輪郭縁まで連続的に径方向に開口する形状となっている。飲み口部32は、蓋壁部31の中央側に形成される幅狭部321と、該幅狭部321に接続されて蓋壁部31の輪郭縁側に形成されたテーパ部322と、を含む形状となっている。そして、幅狭部321とテーパ部322との接続部分にはくびれ部323が形成されている。
【0030】
飲み口部32の開口基部321は、テーパ部322の広がった幅よりも比較的狭い幅の第1開口部である。開口基部321は、略円弧状に対向する開口縁を形成するようになっている。開口基部321は、飲料容器1を傾けた際に蓋壁部31の中央部分、すなわち飲み口部32の上部側から液体飲料が外に流れ出る量を調節しうる。
【0031】
飲み口部32のテーパ部322は、蓋壁部31の輪郭縁31aすなわち側壁側に及んで開口された第2開口部である。すなわち飲み口部32は、幅が異なる第1開口部と第2開口部が一体的に形成されている。
【0032】
テーパ部322は、蓋壁部31の輪郭縁に向けて略ハ字状に広がり形成されている。飲み口部32の端部側にテーパ部322が形成されることにより、飲み口部に口をつけて飲料を飲む際に、飲料がスムーズに流れ出て飲みやすいとともに、広がり形状も相俟って、容器内部の飲み残し、液体残りをより良好に防止できる。
【0033】
本実施形態では、飲み口部32にくびれ部が設けられているが、このような形状に限らない。また、飲み口部32の形状は、蓋壁部31の輪郭縁に及ぶように形成されていれば任意の形状でもよい。
【0034】
タブ35は、蓋壁部31にリベット36を介して固定されている。タブ35は、先端部351がスコア33で囲まれた開口片34の上面に臨むように突出している。タブ35の基端部352に指をかけて引き起こし動作することで、先端部351が開口片34を押圧し、スコア33を破断しつつ該開口片34を押し下げて容器内部に折り返し、該蓋壁部31に飲み口部32を開口形成する。
【0035】
次に図を参照しつつ本実施形態の飲料容器1の作用について説明する。飲料容器1の蓋を開けて内部の飲料を飲む際には、タブ35を引き起こし、スコア33を破断して飲み口部32を開口形成すると、該開口された飲み口部32は、前記のように蓋壁部31の輪郭縁に及んで形成され、側壁側に接するように形成される。
【0036】
これにより、図3に示すように、飲料容器1を傾けると、容器内部の飲料液体Lqは蓋壁部31等に邪魔されることなく、スムーズに飲み口部32から外部に流出させることができる。
【0037】
その結果、容器内部の液体Lqをほぼ完全に外部に流出できるので、飲料を飲み残したり、液体が残ったりすることを良好に防止しうる。また、容器内に飲料が残らないので飲料後の容器は衛生的であり、空容器の廃棄やリサイクルの際に液体の残量を確認して手間なくスムーズに行える。
【0038】
なお、飲料容器は、上記実施形態では、ステイオンタブ式の蓋構造の飲料容器の例で説明したが、開口時に開口片が完全に離脱するプルタブ式の蓋構造のものにも適用することとしてもよい。また、蓋壁部にスコアを形成して飲み口部を形成する構造に限らず、例えば、予め飲み口部を形成した蓋壁部に、該蓋壁部とは別部材となる開口片で該飲み口部を閉鎖するような蓋構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の飲料容器の蓋構造及び飲料容器は、例えば、ステイオンタブ式やプルタブ式の缶容器、又は、飲み口がシール等によって閉鎖される紙容器、プラスチック容器その他種々の飲料容器に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 飲料容器
2 容器本体
3 蓋部
31 蓋壁部
32 飲み口部
33 スコア
34 開口片
35 タブ
36 リベット
322 テーパ部
323 くびれ部
図1
図2
図3
図4
図5