(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079970
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】スイッチング回路、インバータ回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230601BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001472
(22)【出願日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2021193360
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山野上 耕一
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA02
5H770AA05
5H770BA02
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770DA44
5H770EA23
5H770GA03
5H770GA04
5H770GA13
5H770GA14
5H770GA17
5H770HA02Y
5H770JA06X
5H770JA09X
5H770JA11X
5H770JA13X
5H770LA08X
5H770QA06
(57)【要約】
【課題】 高い周波数で、高い電力変換効率を有するスイッチング回路を提供する。
【解決手段】 スイッチング回路110は、負荷手段Rとスイッチ手段Mとの間に配設されたインダクタLと、スイッチ手段Mと電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段D1と、第一のキャパシタC1と、直列に配設された第一の整流手段D1と第一のキャパシタC1に、インダクタLを介して並列に接続された第二の整流手段D2と、第二のキャパシタC2と、第一の整流手段D1と第一のキャパシタC1の接続部と、第二のキャパシタC2と第二の整流手段D2との接続部との間に配設された第三の整流手段D3と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される電力を断続して負荷手段を駆動するスイッチング回路であって、該スイッチング回路に内蔵されるスイッチ手段へ印加される電圧と、当該スイッチ手段を流れる電流との間に時間差を設けてスイッチング損失を低減するソフトスイッチング方式のスイッチング回路において、
前記負荷手段と前記スイッチ手段との間に配設されたインダクタと、
前記スイッチ手段と前記電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段と、第一のキャパシタと、
直列に配設された前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタに、前記インダクタを介して並列に接続された第二の整流手段と、第二のキャパシタと、
前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタの接続部と、前記第二のキャパシタと前記第二の整流手段との接続部との間に配設された第三の整流手段と、を有することを特徴とするスイッチング回路。
【請求項2】
請求項1のスイッチング回路であって、
前記第一の整流手段は、前記第一のキャパシタの電荷が前記スイッチ手段に短絡するのを防ぎ、
前記第三の整流手段は、前記インダクタの短絡を防ぐ。
【請求項3】
請求項2のスイッチング回路であって、
前記第二の整流手段は、前記第二のキャパシタの電荷を前記電源に還流する。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1のスイッチング回路であって、
前記負荷手段は抵抗性負荷であって、
前記スイッチ手段は、片側スイッチングモードのみで駆動されるスイッチング素子から成る。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1のスイッチング回路であって、
前記負荷手段は誘導性負荷であって、
更に、フライホイール電流を流すための整流素子を有する。
【請求項6】
請求項5のスイッチング回路であって、
前記インダクタは2分割され、分割された接続点に前記誘導性負荷の一方の端が接続され、前記誘導性負荷の他方の端が電源又はアースに接続され、
2分割された前記インダクタに前記整流素子の一方の端が直列に接続され、前記整流素子の他方の端が電源又はアースに接続される。
【請求項7】
請求項1~請求項3のいずれか1のスイッチング回路であって、
前記負荷手段は誘導性負荷であって、
更に、フライホイール電流を流すためのスイッチング素子を有する。
【請求項8】
請求項7のスイッチング回路であって、
前記インダクタは2分割され、分割された接続点に前記誘導性負荷の一方の端が接続され、前記誘導性負荷の他方の端が電源又はアースに接続され、
2分割された前記インダクタに前記スイッチング素子の一方の端が直列に接続され、前記スイッチング素子の他方の端が電源又はアースに接続される。
【請求項9】
インバータ回路であって、
トップインバータスイッチとボトムインバータスイッチとを有するハーフブリッジインバータと、
前記トップインバータスイッチのオン・オフ時に、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路と、
前記ボトムインバータスイッチのオン・オフ時に、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路と、
前記インバータ回路は、更に前記トップインバータスイッチ、前記ボトムインバータスイッチのオン遷移時にZCS動作を行う、前記トップインバータスイッチと負荷手段との間に接続されたトップ側インダクタと、前記ボトムインバータスイッチと負荷手段との間に接続されると共に、前記トップ側インダクタに接続されるボトム側インダクタを備え、
前記トップ側補助回路は、
前記トップインバータスイッチと電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段と、第一のキャパシタと、
直列に配設された前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタに、前記トップ側インダクタを介して並列に接続された第二の整流手段と、第二のキャパシタと、
前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタの接続部と、前記第二のキャパシタと前記第二の整流手段との接続部との間に配設された第三の整流手段と、を有することを特徴とするインバータ回路。
【請求項10】
3相インバータである請求項9のインバータ回路
【請求項11】
請求項9又は請求項10のインバータ回路であって、
前記ボトム側補助回路は、
前記ボトムインバータスイッチと電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段と、第一のキャパシタと、
直列に配設された前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタに、前記ボトム側インダクタを介して並列に接続された第二の整流手段と、第二のキャパシタと、
前記第一の整流手段と前記第一のキャパシタの接続部と、前記第二のキャパシタと前記第二の整流手段との接続部との間に配設された第三の整流手段と、を有する。
【請求項12】
請求項9~請求項11のいずれか1のインバータ回路であって、
更に、前記トップインバータスイッチ、前記ボトムインバータスイッチの何れが主スイッチとなるかを検出する検出手段と、主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とする補助回路遮断手段とを備える。
【請求項13】
請求項12のインバータ回路であって、
前記検出手段を構成する入力端子と、前記補助回路遮断手段を制御する出力端子と、を有するフリップフロップを備える。
【請求項14】
請求項12のインバータ回路であって、
前記検出手段が、
前記トップ側インダクタ、前記ボトム側インダクタの接続部と、負荷との間に接続される抵抗と、
前記抵抗の両端に接続され、前記抵抗の負荷側の電位と接続部側の電位とを比較する一対のコンパレータであって、前記負荷側の電位が前記接続部側の電位よりも低い際に出力を発生する第1コンパレータと、前記負荷側の電位が前記接続部側の電位よりも高い際に出力を発生する第2コンパレータと、から成り、
前記補助回路遮断手段が、
前記第1コンパレータ、前記第2コンパレータの出力により、主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とする第1スイッチと、第2スイッチから成る。
【請求項15】
請求項10のインバータ回路であって、
U相制御入力信号、V相制御入力信号、W相制御入力信号を比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づき、主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とする補助回路遮断手段と、を備える。
【請求項16】
請求項15のインバータ回路であって、
前記比較手段は、
W相制御入力信号とU相制御入力信号を比較するU相制御用のコンパレータと、
U相制御入力信号とV相制御入力信号を比較するV相制御用のコンパレータと、
V相制御入力信号とW相制御入力信号を比較するW相制御用のコンパレータと、から成り、
前記補助回路遮断手段は、
前記U相制御用のコンパレータの出力に基づき、U相の主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とするU相の補助回路遮断手段と、
前記V相制御用のコンパレータの出力に基づき、V相の主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とするV相の補助回路遮断手段と、
前記W相制御用のコンパレータの出力に基づき、W相の主スイッチ側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作可能とし、主スイッチでは無い側の前記トップ側補助回路又は前記ボトム側補助回路を動作不能とするW相の補助回路遮断手段と、から成る。
【請求項17】
請求項9のインバータ回路を備えて一体となしたパワーモジュール。
【請求項18】
請求項17のパワーモジュールであって、
前記トップインバータスイッチに接続された前記トップ側インダクタと、前記ボトムインバータスイッチに接続された前記ボトム側インダクタは、出力端子を構成する金属板の一部であり、延在方向が略直交するように形成された一対の延在片から成る。
【請求項19】
請求項18のパワーモジュールであって、
前記延在片は一定幅であり、前記出力端子を構成する前記金属板の両側端から延在している。
【請求項20】
インバータ回路であって、
トップインバータスイッチとボトムインバータスイッチとを有するハーフブリッジインバータと、
前記トップインバータスイッチに接続されたトップ側インダクタと、前記ボトムインバータスイッチに接続されたボトム側インダクタとを備え、
前記トップインバータスイッチに接続された前記トップ側インダクタと、前記ボトムインバータスイッチに接続された前記ボトム側インダクタは、出力端子を構成する金属板の一部であり、延在方向が略直交するように形成された一対の延在片から成る。
【請求項21】
請求項20のインバータ回路であって、
前記延在片は一定幅であり、前記出力端子を構成する前記金属板の両側端から延在している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非共振でZCS/ZVS動作を行うスイッチング回路、インバータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の航続距離改善、及び、ハイブリッド車両の燃費改善には搭載するインバータに高い電力変換効率が求められる。また、モータ効率向上の為にインバータの動作周波数であるキャリアの高周波化が必要である。これと同時に、発生する電磁ノイズを低く抑えてEMC性能を改善するとともに、ノイズ対策にかかるコストの削減が望まれる。
特許文献1は、ZCS動作を行うインバータ回路を開示している
特許文献2は、フィリップフロップを用いるインバータ回路を開示している。
【0003】
図27は3相インバータの出力回路1相分を表したもので、誘導性負荷をハイサイド側に接続し、電源電圧48V、駆動周波数50KHz、Duty50%に設定し、貫通防止の為所定のデッドタイムが設定してある。
負荷がハイサイド側にあり、電流方向はハーフブリッジへの流れ込み方向となる。その為、ボトムスイッチ160側MOSFET が主スイッチとなり、トップスイッチ150側はフライホイール回路動作を行う。
図28はボトムスイッチのオン時のトップスイッチ、及び、ボトムスイッチの電圧・電流・損失をシミュレーションした結果を示す。
(条件)
・ボトムオン動作解析
・電源電圧48V
・負荷インダクタンス10uH
・負荷抵抗0.15 Ω (48V 0 .15Ω=320A、Duty50% 駆動であるので160A相当)
・ゲート抵抗2.2 Ω
・固定定数回路(配線インダクタンス=0)
【0004】
ボトムスイッチ160がオンする直前の状態は、負荷インダクタンスによる負荷電流≒160Aがトップスイッチ150を経由して電源方向へ流れている。この時ボトムスイッチ160がオンするから、トップスイッチ150のボディダイオード及び外付けショットキーダイオードの順方向電流によるホットキャリアが消滅する時間≒6ns の間、大きなリカバリ電流が上下スイッチを流れる。
トップスイッチ側はS-D間電圧が小さいことから損失は小さく、ボトムスイッチ側で大きな電力損失が発生する。キャリア消滅後は トップスイッチ側MOSFETのD-S容量を充電しながら上下MOSFETのD-S間電圧が指数関数的に増加(減少)して、この電圧が出力端子電圧波形となる。
また、上記リカバリ電流は、そのまま電源電流に大きな高調波リップルとなって流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-220913号公報
【特許文献2】特開2015-76989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図29はボトムスイッチのオフ時のトップスイッチ、及び、ボトムスイッチの電圧・電流・損失をシミュレーションした結果を示す。
ボトムスイッチ160がオフする直前の状態は、負荷インダクタンスによる負荷電流≒160Aがボトムスイッチ160を経由してGND方向へ流れている。
この時ボトムスイッチ160がオフするから、負荷電流は誘導成分によって電流値が保持されたままで、ボトムスイッチ160の電流減少分がトップスイッチ150の電流として増加していく。
【0007】
トップ側スイッチとボトム側スイッチのS-D間電圧とドレイン電流と損失との関係を示す。このように、トップ側スイッチは初期状態がオフであるから電圧の増加に対する電流の増加が遅れる為比較的損失が小さいが、ボトム側スイッチは負荷電流の160Aを維持したままS-D間電圧が増加するので、大きな損失を発生する。
以上の各スイッチング動作による損失と、電力変換効率は以下となる。
ボトムスイッチ側MOSFET損失 (1個分) 11.872W
ボトム側リカバリ低減ショットキーダイオード損失= 266uW
トップスイッチ側MOSFET損失 (1個分) 4.122W
トップ側リカバリ低減ショットキーダイオード損失= 373.8mW
負荷電力= 3.6757KW
電源電力= 3.7235KW
効率= 98.71%
【0008】
スイッチング損失を低減して、効率を向上させる手法として一般的には共振(部分共振)によってZVS、ZCS動作を行い、スイッチ素子の電圧と電流の位相に差を設けることで V × I 損失を低下させる方法がある。しかし、この方法は構造が複雑でタイミング制御が難しいといった難点がある。更に、従来のZCS、ZVSのインバータ回路では、ZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーはそのまま消費しているため、効率を高めることができなかった。
【0009】
本発明の目的は、高い周波数で、高い電力変換効率を有し、発生する電磁ノイズを低く抑えてEMC性能を改善したスイッチング回路、インバータ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスイッチング回路(110)は、電源(E)から供給される電力を断続して負荷手段(R)を駆動するスイッチング回路であって、該スイッチング回路に内蔵されるスイッチ手段(M)へ印加される電圧と、当該スイッチ手段(M)を流れる電流との間に時間差を設けてスイッチング損失を低減するソフトスイッチング方式である。そして、前記負荷手段(R)と前記スイッチ手段(M)との間に配設されたインダクタ(L)と、前記スイッチ手段(M)と前記電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段(D1)と、第一のキャパシタ(C1)と、直列に配設された前記第一の整流手段(D1)と前記第一のキャパシタ(C1)に、前記インダクタ(L)を介して並列に接続された第二の整流手段(D2)と、第二のキャパシタ(C2)と、前記第一の整流手段(D1)と前記第一のキャパシタ(C1)の接続部と、前記第二のキャパシタ(C2)と前記第二の整流手段(D2)との接続部との間に配設された第三の整流手段(D3)と、を有する。
【0011】
本発明に係るインバータ回路はトップインバータスイッチ(50)とボトムインバータスイッチ(60)とを有するハーフブリッジインバータと、前記トップインバータスイッチ(50)のオン・オフ時に、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路(20T)と、前記ボトムインバータスイッチ(60)のオン・オフ時に、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路(20B)と、を備える。前記インバータ回路は、更に前記トップインバータスイッチ(50)、前記ボトムインバータスイッチ(60)のオン遷移時にZCS動作を行う、前記トップインバータスイッチ(50)と負荷手段(LU)との間に接続されたトップ側インダクタ(L3)と、前記ボトムインバータスイッチ(60)と負荷手段(L1)との間に接続されると共に、前記トップ側インダクタ(L3)に接続されるボトム側インダクタ(L4)を備える。そして、前記トップ側補助回路(20T)は、前記トップインバータスイッチ(50)と電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段(D1)と、第一のキャパシタ(C1)と、直列に配設された前記第一の整流手段(D1)と前記第一のキャパシタ(C2)に、前記トップ側インダクタ(L3)を介して並列に接続された第二の整流手段(D2)と、第二のキャパシタ(C2)と、前記第一の整流手段(D1)と前記第一のキャパシタ(C1)の接続部と、前記第二のキャパシタ(C2)と前記第二の整流手段(D2)との接続部との間に配設された第三の整流手段(D3)と、を有する。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のスイッチング回路では、スイッチ手段(M)をZCSでオンさせるために用いられたインダクタ(L)のエネルギーが、スイッチ手段(M)のオン中に第一のキャパシタ(C1)に蓄えられる。そして、第一のキャパシタ(C1)のエネルギー(電圧)で、スイッチ手段(M)をZVSでオフし、スイッチ手段(M)のオフ中に、第一のキャパシタ(C1)のエネルギーを電源側に還流させ、第一のキャパシタ(C1)を完全に放電させる。従来のZCS、ZVSのインバータ回路では、ZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーはそのまま消費していたのに対して、請求項1のインバータ回路ではZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーを電源側に還流するため、高い効率を発揮することができる。
【0013】
請求項2のスイッチング回路は、第一の整流手段(D1)は、第一のキャパシタ(C1)の電荷がスイッチ手段(M)に短絡するのを防ぎ、第三の整流手段(D3)は、インダクタ(L)の短絡を防ぐことができる。
【0014】
請求項3のスイッチング回路は、第二の整流手段(D2)は、第二のキャパシタ(C2)の電荷を電源(E)に還流できる。
【0015】
請求項4のスイッチング回路は、負荷手段は抵抗性負荷(R)であって、スイッチ手段は、片側スイッチングモードのみで駆動される片側スイッチのスイッチング素子(M)から成る。両側スイッチングモードを用いないため、構造が簡易である。
【0016】
請求項5のスイッチング回路は、負荷手段は誘導性負荷(L1)であって、フライホイール電流を流すための整流素子(DF)を有する。請求項5のインバータ回路では、フライホイール電流を整流素子(DF)に流すため制御構成が簡易である。
【0017】
請求項6スイッチング回路は、インダクタは2分割(L3、L4)され、分割された接続点に誘導性負荷(L1)の一方の端(OUT)が接続され、誘導性負荷(L1)の他方の端(VB)が電源又はアースに接続され、2分割されたインダクタ(L3、L4)に整流素子(DF)の一方の端(アノード)が直列に接続され、整流素子(DF)の他方の端(カソード)が電源又はアースに接続される。請求項6のインバータ回路では、フライホイール電流を整流素子(DF)に流すため制御構成が簡易である。
【0018】
請求項7のスイッチング回路は、負荷手段は誘導性負荷(L1)であって、更に、フライホイール電流を流すためのスイッチング素子(M1)を有する。請求項7のインバータ回路では、フライホイール電流をスイッチング素子(M1)に流すため、整流素子を用いるよりも低損失である。
【0019】
請求項8のスイッチング回路は、インダクタは2分割(L3、L4)され、分割された接続点に誘導性負荷(L1)の一方の端(OUT)が接続され、誘導性負荷の他方の端(VB)が電源又はアースに接続され、2分割されたインダクタ(L3、L4)にスイッチング素子(M1)の一方の端(ドレイン又はソース)が直列に接続され、スイッチング素子の他方の端(ソース又はドレイン)が電源又はアースに接続される。請求項8のインバータ回路では、フライホイール電流をスイッチング素子(M1)に流すため、整流素子を用いるよりも低損失である。
【0020】
請求項9のインバータ回路は、主スイッチオン遷移ときにフライホイールスイッチと成る反対側のインバータスイッチに流れるスイッチリカバリ電流(エネルギー)をトップ側インダクタ(L3)とボトム側インダクタ(L4)に蓄積させ、次のスイッチオフ時の動作で電源へ回生させるので電力変換効率が向上できる。また、スイッチリカバリ電流をトップ側インダクタ(L3)とボトム側インダクタ(L4)に蓄えることで抑え、低ノイズ化が実現できる。
【0021】
請求項9のインバータ回路では、トップスイッチ(50)及びボトムスイッチ(60)をZCSでオンさせるために用いられた負荷手段(LU)のエネルギーが、トップスイッチ及びボトムスイッチのオン中に第1のコンデンサ(C1)に蓄えられる。そして、第一のコンデンサ(C1)のエネルギー(電圧)で、トップスイッチ及びボトムスイッチをZVSでオフし、トップスイッチ及びボトムスイッチのオフ中に、第一のコンデンサ(C1)のエネルギーを電源側に還流させ、第一のコンデンサ(C1)を完全に放電させる。従来のZCS、ZVSのインバータ回路では、ZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーはそのまま消費していたのに対して、請求項9のインバータ回路ではZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーを電源側に還流するため、高い効率を発揮することができる。
【0022】
請求項10のインバータ回路は、3相インバータである。3相モータを高周波でも低い損失で駆動できる。
【0023】
請求項11のインバータ回路は、ボトム側補助回路(20B)は、ボトムインバータスイッチ(60)と電源又はアースとの間に直列に配設された第一の整流手段(D1)と、第一のキャパシタ(C1)と、直列に配設された第一の整流手段(D1)と第一のキャパシタ(C1)に、ボトム側インダクタ(L4)を介して並列に接続された第二の整流手段(D2)と、第二のキャパシタ(C2)と、第一の整流手段(D1)と第一のキャパシタ(C1)の接続部と、第二のキャパシタ(C2)と第二の整流手段(D2)との接続部との間に配設された第三の整流手段(D3)と、を有する。請求項11のインバータ回路は、インバータスイッチに流れるスイッチリカバリ電流(エネルギー)をトップ側インダクタ(L3)とボトム側インダクタ(L4)に蓄積させ、次のスイッチオフ時の動作で電源へ回生させるので電力変換効率が向上できる。
【0024】
請求項12のインバータ回路は、トップインバータスイッチ(50)、ボトムインバータスイッチ(60)の何れが主スイッチとなるかを検出する検出手段(70)と、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作不能とする補助回路遮断手段(SW1、SW2)とを備える。請求項12のインバータ回路は、トップインバータスイッチ、ボトムインバータスイッチの両側スイッチングモードを用いながら、適切にインバータスイッチに流れるスイッチリカバリ電流(エネルギー)をトップ側インダクタ(L3)とボトム側インダクタ(L4)に蓄積させ、次のスイッチオフ時の動作で電源へ回生させるので電力変換効率が向上できる。
【0025】
請求項13のインバータ回路は、検出手段を構成する入力端子(D、CLK)と、補助回路遮断手段を制御する出力端子(Q、Qバー)と、を有するフリップフロップ(A3)を備える。このため、請求項13のインバータ回路は、電流負荷がインバータ回路からの流れだし方向か、流れ込み方向かを判断し主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作不能とすることができる。
【0026】
請求項14のインバータ回路は、検出手段(70)が、トップ側インダクタ(L3)、ボトム側インダクタ(L4)の接続部(CN)と、負荷(LU)との間に接続される抵抗(R22)と、抵抗の両端に接続され、負荷側の電位が接続部側の電位よりも低い際に出力を発生する第1コンパレータ(CPT)と、負荷側の電位が接続部側の電位よりも高い際に出力を発生する第2コンパレータ(CPB)と、から成る。補助回路遮断手段が、第1コンパレータ、第2コンパレータの出力により、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とする第1スイッチ(SW1)と、第2スイッチ(SW2)から成る。請求項14のインバータ回路は、電流負荷がインバータ回路からの流れだし方向か、流れ込み方向かを判断し主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作不能とすることができる。請求項14のインバータ回路は、検出手段(70)が、抵抗(R22)と、第1コンパレータ(CPT)と第2コンパレータ(CPB)と、から成るため、構成が簡易である。
【0027】
請求項15のインバータ回路は、U相制御入力信号、V相制御入力信号、W相制御入力信号を比較する比較手段(CPU2、CPV2、CPW2)と、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とする補助回路遮断手段(SW1、SW2)と、を備える。請求項15のインバータ回路は、U相制御入力信号、V相制御入力信号、W相制御入力信号から主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作不能とすることができる。請求項15のインバータ回路は、負荷電流を抵抗に流すことなく補助回路を遮断できるので、抵抗損失が無く効率が高い。
【0028】
請求項16のインバータ回路は、比較手段(80)が、W相制御入力信号とU相制御入力信号を比較するU相制御用のコンパレータ(CPU2)と、U相制御入力信号とV相制御入力信号を比較するV相制御用のコンパレータ(CPV2)と、V相制御入力信号とW相制御入力信号を比較するW相制御用のコンパレータ(CPW2)と、から成る。補助回路遮断手段が、U相制御用のコンパレータの出力に基づき、U相(110U)の主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするU相の補助回路遮断手段(SW1U、SW2U)と、V相制御用のコンパレータの出力に基づき、V相(110V)の主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするV相の補助回路遮断手段(SW1V、SW2V)と、W相制御用のコンパレータの出力に基づき、W相(110W)の主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするW相の補助回路遮断手段(SW1W、SW2W)と、から成る。請求項16のインバータ回路は、U相制御入力信号、V相制御入力信号、W相制御入力信号から主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路(20T)又はボトム側補助回路(20B)を動作不能とすることができる。請求項16のインバータ回路は、負荷電流を抵抗に流すことなく補助回路を遮断できるので、抵抗損失が無く効率が高い。
【0029】
請求項17のインバータ回路であって、トップインバータスイッチ(122)に接続されたトップ側インダクタ(L3)と、ボトムインバータスイッチ(118)に接続されたボトム側インダクタ(L4)は、出力端子(124)を構成する金属板の一部であり、延在方向が略直交するように形成された一対の延在片(124A、124B)から成る。請求項14のインバータ回路は、トップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であるため、廉価に構成できると共に、機械強度が高く、信頼性が高い。両延在片124A、124Bには、延在方向に対して渦巻き状に磁束が発生するが、延在方向が略直交するように形成されているため、磁束が干渉し合わない。
【0030】
請求項18のインバータ回路は、延在片(124A、124B)は一定幅であり、出力端子(124)を構成する金属板の両側端(124L、124R)から延在している。請求項15のインバータ回路は、トップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であるため、廉価に構成できると共に、機械強度が高く、信頼性が高い。
【0031】
請求項19のインバータ回路は、トップインバータスイッチ(50、122)とボトムインバータスイッチ(60、118)とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ(50)に接続されたトップ側インダクタ(L3)と、ボトムインバータスイッチ(60)に接続されたボトム側インダクタ(L4)とを備え、トップインバータスイッチ(122)に接続されたトップ側インダクタL3と、ボトムインバータスイッチ(118)に接続されたボトム側インダクタ(L4)は、出力端子(124)を構成する金属板の一部であり、延在方向が略直交するように形成された一対の延在片(124A、124B)から成る。請求項16のインバータ回路は、トップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であるため、廉価に構成できると共に、機械強度が高く、信頼性が高い。両延在片124A、124Bには、延在方向に対して渦巻き状に磁束が発生するが、延在方向が略直交するように形成されているため、磁束が干渉し合わない。
【0032】
請求項20のインバータ回路は、延在片(124A、124B)は一定幅であり、出力端子(124)を構成する金属板の両側端(124L、124R)から延在している。請求項17のインバータ回路は、トップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であるため、廉価に構成できると共に、機械強度が高く、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1(A)はMOFFET(M)のソース側が接地されている本発明の第1実施形態に係るスイッチング回路の回路例であり、
図1(B)はMOFFET(M)のソース側に抵抗性負荷Rが接続されている第1実施形態に係るスイッチング回路の回路例である。
【
図2】
図2(A)はMOFFET(M)のソース側が接地されている第2実施形態に係るスイッチング回路の回路例であり、
図2(B)はMOFFET(M)のソース側に誘導性負荷L1が接続されている第2実施形態に係るスイッチング回路の回路例である。
【
図3】1つのインダクタで構成した第2実施形態の係るスイッチング回路の回路例である。
【
図4】
図4(A)はMOSFET(M1)側がフライホイール回路動作し、MOSFET(M2)が主スイッチとして作用する第3実施形態のスイッチング回路の回路構成であり、
図4(B)はMOSFET(M2)側がフライホイール回路動作し、MOSFET(M1)が主スイッチとして作用する第3実施形態のスイッチング回路の回路構成である。
【
図6】第4実施形態のインバータ回路を流れる電流の説明図
【
図8】第5実施形態のインバータ回路の回路図であり主スイッチオン動作中の電流方向を示す。
【
図9】第5実施形態のインバータ回路の回路図であり主スイッチオン動作中の電流方向を示す。
【
図10】第5実施形態のインバータ回路の回路図であり主スイッチオン動作中の電流方向を示す。
【
図11】第5実施形態のインバータ回路の回路図であり主スイッチオフ動作中の電流方向を示す。
【
図12】トップ側、ボトム側のドレイン電流、D-S間電圧、ドレイン損失を示す。
【
図13】トップ側のドレイン電流、D-S間電圧、ドレイン損失、ノード電圧を示す。
【
図14】トップ側、ボトム側のドレイン電流、D-S間電圧、ドレイン損失、コンデンサC2電流を示す。
【
図17】従来技術のインバータ回路と第5実施形態のインバータ回路における立下がり波形を示す。
【
図18】従来技術のインバータ回路と第5実施形態のインバータ回路における立上がり波形を示す。
【
図19】第5実施形態のインバータ回路の回生動作を示す回路図
【
図20】第5実施形態のインバータ回路により構成されるパワーモジュールを示す模式図
【
図21】第5実施形態の第1改変例に係るインバータの回路図
【
図22】第5実施形態の第2改変例に係るインバータの回路図
【
図24】第6実施形態に係るインバータのU、V、W相出力電流と、U、V、W相制御信号とを示す。
【
図25】第6実施形態に係るインバータのU、V、W相出力電流と、U、V、W相制御信号とを示す。
【
図26】第6実施形態に係るインバータのU、V、W相出力電流と、U、V、W相制御信号とを示す。
【
図28】従来技術のインバータ回路で、ボトムスイッチのオン時のトップスイッチ、及び、ボトムスイッチの電圧・電流・損失をシミュレーションした結果を示す。
【
図29】従来技術のインバータ回路で、ボトムスイッチのオフ時のトップスイッチ、及び、ボトムスイッチの電圧・電流・損失をシミュレーションした結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図1(A)はMOFFET(M)のソース側が接地されている回路例であり、
図1(B)はMOFFET(M)のソース側に抵抗性負荷Rが接続されている回路例である。
【0035】
第1実施形態に係るスイッチング回路110は、電源Eから供給される電力を断続して負荷手段(抵抗性負荷)Rを駆動する。スイッチ手段は、片側スイッチングモードのみで駆動されるスイッチング素子(MOSFET)Mから成る。スイッチング回路110は、該スイッチング回路に内蔵されるスイッチ手段Mへ印加される電圧と、当該スイッチ手段Mを流れる電流との間に時間差を設けてスイッチング損失を低減するソフトスイッチング方式である。即ち、スイッチング回路110は、制御回路手段10からのゲート信号で、電流がゼロ(ZCS)のタイミングでスイッチ手段(MOSFET)Mをオンし、電圧がゼロ(ZVS)のタイミングでMOSFET(M)をオフさせる。
【0036】
図1(A)に示される第1実施形態のスイッチング回路110は、抵抗性負荷RとMOSFET(M)との間に配設されたインダクタLと、MOSFET(M)と電源E(又は、アース(
図1(B))との間に直列に配設された第1ダイオードD1と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1と第1コンデンサC1に、インダクタLを介して並列に接続された第2ダイオードD2と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部との間に配設された第3ダイオードD3と、を有する。
【0037】
抵抗性負荷Rの入力端子VBは、電源E、第1コンデンサC1、第2ダイオードD2のカソード側に接続されている。抵抗性負荷Rの出力端子OUTは、インダクタLと第2コンデンサC2との接続部に接続されている。
【0038】
第1ダイオードD1は、第1コンデンサC1の電荷がMOSFET(M)に短絡するのを防ぐように、第1ダイオードD1のアノード側がMOSFET(M)のドレイン側に接続されている。
第2ダイオードD2は、第2コンデンサC2の電荷を電源Eに還流する。第2ダイオードD2のカソード側が電源E(又は、アース(
図1(B))に接続され、アノード側が第2コンデンサC2側に接続されている。
第3ダイオードD3は、インダクタLの短絡を防ぐ。第3ダイオードD3のアノード側は第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部に接続され、カソード側は第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部に接続される。
【0039】
[スイッチ素子Mのオン動作]
スイッチ素子Mがオフである時に、インダクタLに左向きの電流が流れている時間は短時間「1usec以下」である。従って、通常スイッチ素子Mがオンする直前のインダクタLの電流はゼロである。
インダクタLは前回のオフ動作で左側に+の電圧を発生させながら負荷電流を流している。インダクタLからの電流がゼロ(ZCS)のタイミングでスイッチ手段(MOSFET)Mがオンするので、インダクタLの電流は初期値0であるので、所定の立ち上がり時間(時定数)を持って増加して行く。これによってスイッチ素子Mのドレイン電圧が0になった以降にドレイン電流が増加する。
【0040】
インダクタLの挙動に着目すると、スイッチ手段Mがオンした瞬間にキャパシタC1-整流手段D3-キャパシタC2-インダクタLの経路で流れる第一の電流と、電源Eから負荷手段Rを介して流れる第二の電流を合計した電流が流れる。第一の電流はキャパシタC1、キャパシタC2の充電に伴って短時間の内に減少するが、インダクタLは、この減少した電流を維持するように作用して右端にマイナス方向の電圧を発生する。従ってOUT端子はGNDレベル以下のマイナス電圧となり、電源Eの電圧とかかるマイナス電圧とをキャパシタC1とキャパシタC2で分圧するように作用する。
【0041】
なお、第一のキャパシタ(コンデンサ)C1、第二のキャパシタ(コンデンサ)C2が充電された後、第一のキャパシタC1の下端電圧が0Vとなるように第一のキャパシタC1、第二のキャパシタC2の容量が調整されている。第二のキャパシタC2は、第一のキャパシタC1を、上端電圧を電源電圧に、下端電圧を0Vに設定するための役割を果たす。第一のキャパシタC1の下端電圧が0Vとなることで、後述するスイッチ素子MのZVSが実現される。
【0042】
[スイッチ素子Mのオフ動作]
上述したオン動作によって、第一のキャパシタ(コンデンサ)C1は電源Eの電圧と略等しい電圧に充電されている。スイッチ素子Mがオフする直前にインダクタLには負荷電流が流れており、該スイッチ素子MがオフしてインダクタLの電流が減少しようとすると、インダクタLはそれ以前の電流値を保持しようとして左端にプラス方向の電圧を生じる必要がある。しかし、前述のキャパシタC1の下端が0Vとなっているので、かかるプラス方向の電圧は発生することなく、インダクタLの左端の電圧は0Vのままで、整流手段D1を介してキャパシタC1へ電流が流れC1を逆方向に充電しながらスイッチ素子Mのドレイン電圧が上昇していく。この電圧はスイッチ素子Mのドレイン電圧であって、かかる電圧の上昇時間よりもスイッチ素子Mの遮断時間の方が早い為、スイッチ素子MのZVS動作が実現される。
【0043】
スイッチ素子MがZVSでオフするとドレイン電流は0Aになるが、ドレイン電圧は、第一のキャパシタC1の下端の電圧と略等しい0Vからスタートし、電源側に回生電流を流しながら第一のキャパシタC1が放電する。第一のキャパシタC1が完全に放電すると、インダクタLの電流は、第一の整流手段(ダイオード)D1、第三の整流手段D3、第二の整流手段D2を介して短時間だけ電源Eに還流する。
【0044】
負荷手段Rによって、OUT端子が電源Eの電圧となっている状態の時に、第二のキャパシタC2を放電し、第二のキャパシタC2の充電電圧を0Vにする作用をし、これによって、次回のスイッチ素子Mがオンした際に、第一のキャパシタC1の下端が0Vになる動作をさせることができる。仮に、第二の整流手段D2が無い場合、第二のキャパシタC2は上端がプラスに充電されたままとなるので、スイッチ素子Mがオンしても、第一のキャパシタC1-第三の整流手段D3-第二のキャパシタC2の経路で電流を流すことができない。
【0045】
第1実施形態のスイッチング回路では、スイッチ手段MをZCSでオンさせるために用いられたインダクタLのエネルギーが、スイッチ手段Mのオン中に第一のキャパシタC1に蓄えられる。そして、第一のキャパシタC1のエネルギー(電圧)で、スイッチ手段MをZVSでオフし、スイッチ手段Mのオフ中に、第一のキャパシタC1のエネルギーを電源側に還流させ、第一のキャパシタC1を完全に放電させる。従来のZCS、ZVSのインバータ回路では、ZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーはそのまま消費していたのに対して、第1実施形態のスイッチング回路ではZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーを電源側に還流するため、高い効率を発揮することができる。
【0046】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図2(A)はMOFFET(M)のソース側が接地されている回路例であり、
図2(B)はMOFFET(M)のソース側に誘導性負荷L1が接続されている回路例である。
【0047】
第2実施形態に係るスイッチング回路110は、電源Eから供給される電力を断続して誘導性負荷L1を駆動する。
スイッチング回路110は、該スイッチング回路に内蔵されるスイッチ手段(MOSFET)Mへ印加される電圧と、当該MOSFET(M)を流れる電流との間に時間差を設けてスイッチング損失を低減するソフトスイッチング方式である。即ち、スイッチング回路110は、制御回路手段10からのゲート信号で、電流がゼロ(ZCS)のタイミングでスイッチ手段(MOSFET)Mをオンし、電圧がゼロ(ZVS)のタイミングでMOSFET(M)をオフさせる。
【0048】
図2(A)に示される第2実施形態のスイッチング回路110は、誘導性負荷L1とMOSFET(M)との間に配設されたインダクタL4と、MOSFET(M)と電源E(又はアース(
図2(B))との間に直列に配設された第1ダイオードD1と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1と第1コンデンサC1に、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部との間に配設された第3ダイオードD3と、フライホイール電流を流すための整流素子(フライホイールダイオード)DFと、を有する。
【0049】
誘導性負荷L1の入力端子VBは、電源E、第1コンデンサC1、第2ダイオードD2のカソード側に接続されている。誘導性負荷L1の出力端子OUTは、インダクタL3、インダクタL4との接続部に接続されている。
【0050】
第1ダイオードD1は、第1コンデンサC1の電荷がMOSFET(M)に短絡するのを防ぐように、第1ダイオードD1のアノード側がMOSFET(M)のドレイン側に接続されている。第2ダイオードD2は、第2コンデンサC2の電荷を電源Eに還流する。第2ダイオードD2のカソード側が電源Eに接続され、アノード側が第2コンデンサC2側に接続されている。第3ダイオードD3は、インダクタL3、インダクタL4の短絡を防ぐ。第3ダイオードD3のアノード側は第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部に接続され、カソード側は第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部に接続される。フライホイールダイオードDFは、アノード側がインダクタL3に直列に接続され、カソード側が電源又はアース、誘導性負荷L1の入力端子VBに接続される。
【0051】
2分割されたインダクタL3、インダクタL4の接続点に誘導性負荷L1の出力端子OUTが接続され、誘導性負荷L1の入力端子VBが電源Eに接続される。
図2(B)の回路例では、誘導性負荷L1の接地端子GNDがアースに接続される。
【0052】
[スイッチオン動作]
フライホイールダイオードDFはフライホイール回路動作をするものとする。MOSFET(M)がオフである時に、誘導性負荷L1の電流は減少しているので、誘導性負荷L1は電流を維持する為に下側に+の電圧を発生ながら負荷電流が流れている。
【0053】
前述の電流の方向と値はフライホイールダイオードDFの順方向に流れながら維持されている。続いてMOSFET(M)がオンするので、フライホイールダイオードDFに逆回復電流が流れて、インダクタL3の電流は急速に反転するとともに、インダクタL4の電流は初期値が0であるので所定の立ち上がり時間(時定数を持って増加していく→これによってMOSFET(M)のドレイン電圧が0Vになった以降にドレイン電流が増加することになってMOSFET(M)のオン遷移時におけるZCS動作が実現される。また、フライホイールダイオードDF側リカバリ電流(エネルギー)は電流となってインダクタL3及びインダクタL4へ蓄積されて次項以降の動作で電源へ回生されるので電力変換効率が向上できる。
【0054】
インダクタL3の挙動に着目して、インダクタL3はMOSFET(M)のオン動作時にフライホイールダイオードDFの大きなリカバリ電流が流れるが、リカバリ電流の消滅に伴って急激に電流が減少する。すると、インダクタL3はそれまでの電流を維持する為に上部がマイナスとなる極性で大きな電圧を発生する。これによって、コンデンサC2とコンデンサC1はそれぞれダイオードD1、ダイオードD3を介してコンデンサC2の左がプラス、コンデンサC1の上部がプラスに充電されて、先のリカバリエネルギーは両コンデンサに蓄積される。このようにしてインダクタL3の上部には大きなマイナスサージ電圧が発生するが、この電圧がフライホイールダイオードDFの耐圧を超えない為には、コンデンサC1とコンデンサC2の容量設定が重要になる。
尚、コンデンサC1とコンデンサC2が充電された後のコンデンサC1下端電圧は0VとなるようにコンデンサC1とコンデンサC2の比率が設定され、後述のMOSFETのオフ動作時のZVSを実現する。
【0055】
[主スイッチオフ動作]
前述のオン時の動作によってコンデンサC1は電源電圧に略等しい電圧Eに充電されている。従ってMOSFET(M)がオフするとドレイン電流は0Aになるが、ドレイン電圧は誘導性負荷L1の電流が減少することによる誘導性負荷L1下端の電圧上昇に伴って、コンデンサC1下端の電圧と略等しい0Vからスタートし、電源側へ回生電流を流しながらコンデンサC1が放電する。この動作中にフライホイールダイオードDFはオフ期間中にあるので コンデンサC1電流がフライホイールダイオードDFとインダクタL3,インダクタL4,ダイオードD1を介して還流することが無く電力損失にならないようにしてある。コンデンサC1が完全に放電すると上記誘導性負荷L1のフライホイール電流はダイオードD1、ダイオードD3、ダイオードD2を介して短時間の間電源へ還流するが直後にインダクタL3の上部の電圧がフライホイールダイオードDFのオン電位に達するから、この後はフライホイールダイオードDFを介して電源へ還流するので上記ダイオードD1、ダイオードD3、ダイオードD2の電力損失は小さく抑えられる。
【0056】
図2(A)、
図2(B)中に示す分割したインダクタL3,インダクタL4を用いず、一つのインダクタLとした
図3に示す回路構成でもZVS/ZCS動作は可能である。
インダクタL3を排して1つのインダクタLとした場合の
図3に示すスイッチング回路の動作の説明が以下になされる。
誘導性負荷として、DCモータを公知のPWM駆動する際、DCモータのブラシノイズを低減する為、負荷と並列にコンデンサCを挿入する場合が多い。その際、MOSFET(M)がオンしてフライホイール整流手段であるフライホイールダイオードDFのリカバリ電流がインダクタLを流れ、フライホイールダイオードDFのリカバリ電流の原因となっているホットキャリア(正孔)の減少に伴って電流値が減少しようとした際にインダクタLはそれまでの電流を保持しようとして上端にマイナスの電圧を発生し、この電圧がコンデンサC2とコンデンサC1で分圧されて、コンデンサC1の下端電圧をGND電位(0V)にすることによって、その後のMOSFET(M)がオフする際のZVS動作を実現する点は、前述した通りである。しかしながら、負荷と並列のコンデンサCがある場合には、上記マイナスの電圧の発生が抑制されて十分に電圧が下がらないから、コンデンサC1の下端の電圧は0Vにならない。また、この時の電圧はコンデンサCの容量値によって大きく影響を受ける。
そのため、コンデンサCの容量値に影響を受けず、一定の上記マイナス電圧を発生させるためにはLを
図2中に示されるようにL3とL4に分割することが有効になる。
【0057】
これによって、上記マイナスの電圧値が安定するから、コンデンサC1の下端の電圧を0Vにすることができるとともに、フライホイールダイオードDFの下端電圧を正確に制御できるから、フライホイールダイオードDFの逆耐圧を超えることが無いといった優れた効果がある。
【0058】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図4(A)はMOSFET(M1)側がフライホイール回路動作し、MOSFET(M2)が主スイッチとして作用する回路構成である。
図4(B)はMOSFET(M2)側がフライホイール回路動作し、MOSFET(M1)が主スイッチとして作用する回路構成である。
【0059】
[回路構成]
第3実施形態に係るスイッチング回路110は、電源Eから供給される電力を断続して誘導性負荷L1を駆動する。
スイッチング回路110は、該スイッチング回路に内蔵されるスイッチ手段(MOSFET)M2へ印加される電圧と、当該MOSFET(M2)を流れる電流との間に時間差を設けてスイッチング損失を低減するソフトスイッチング方式である。即ち、
図4(A)に示される第3実施形態のスイッチング回路110は、制御回路手段10からのゲート信号で、電流がゼロ(ZCS)のタイミングでMOSFET(M2)をオンし、電圧がゼロ(ZVS)のタイミングでMOSFET(M2)をオフさせる。
【0060】
図4(A)に示される第3実施形態のスイッチング回路110は、誘導性負荷L1とMOSFET(M2)との間に配設されたインダクタL4と、MOSFET(M2)と電源E(又はアース(
図4(B))との間に直列に配設された第1ダイオードD1と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1と第1コンデンサC1に、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部との間に配設された第3ダイオードD3と、フライホイール電流を流すためのスイッチング素子(MOSFET(M1))と、を有する。
【0061】
誘導性負荷L1の入力端子VBは、電源E、第1コンデンサC1、MOSFET(M1)のドレイン側に接続されている(誘導性負荷L1の接地端子GNDはアースに接続されている(
図4(B))。誘導性負荷L1の出力端子OUTは、インダクタL3、インダクタL4との接続部に接続されている。
【0062】
第1ダイオードD1は、第1コンデンサC1の電荷がMOSFET(M2)に短絡するのを防ぐように、第1ダイオードD1のアノード側がMOSFET(M2)のドレイン側に接続されている。
第2ダイオードD2は、第2コンデンサC2の電荷を電源Eに還流する。第2ダイオードD2のカソード側が電源Eに接続され、アノード側が第2コンデンサC2側に接続されている。
第3ダイオードD3は、インダクタL3、インダクタL4の短絡を防ぐ。第3ダイオードD3のアノード側は第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部に接続され、カソード側は第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部に接続される。
MOSFET(M1)は、ソース側がインダクタL3に直列に接続され、ドレイン側が誘導性負荷L1の入力端子VBに接続される。
【0063】
2分割されたインダクタL3、インダクタL4の接続点に誘導性負荷L1の出力端子OUTが接続され、誘導性負荷L1の入力端子VBが電源Eに接続される。
【0064】
[主スイッチオン動作]
図4(A)に示すように、誘導性負荷L1があってMOSFET(M2)が主スイッチとして作用し、MOSFET(M1)はフライホイール回路動作をするものとする。MOSFET(M2)がオフである時に、誘導性負荷L1の電流は減少しているので、誘導性負荷L1は電流を維持する為に下側に+の電圧を発生ながら負荷電流が流れている。
【0065】
次にMOSFET(M1)はデッドタイム分だけ先行してオフになるが、前述の電流の方向と値は維持されている。遅れてMOSFET(M2)がオンするので、MOSFET(M1)にボディダイオード逆回復電流が流れて、インダクタL3の電流は急速に反転するとともに、インダクタL4の電流は初期値が0であるので所定の立ち上がり時間(時定数を持って増加していく→これによってMOSFET(M2)のドレイン電圧が0Vになった以降にドレイン電流が増加することになって主スイッチオン遷移時におけるZCS動作が実現される。また、MOSFET(M1)側スイッチリカバリ電流(エネルギー)は電流となってインダクタL3及びインダクタL4へ蓄積されて次項以降の動作で電源へ回生されるので電力変換効率が向上できる。
【0066】
インダクタL3の挙動に着目して、インダクタL3はMOSFET(M2)のオン動作時にMOSFET(M1)の大きなリカバリ電流が流れるが、リカバリ電流の消滅に伴って急激に電流が減少する。すると、インダクタL3 はそれまでの電流を維持する為に上部がマイナスとなる極性で大きな電圧を発生する。これによって、コンデンサC2とコンデンサC1はそれぞれダイオードD1、ダイオードD3を介してコンデンサC2の左がプラス、コンデンサC1の上部がプラスに充電されて、先のリカバリエネルギーは両コンデンサに蓄積される。このようにしてインダクタL3の上部には大きなマイナスサージ電圧が発生するが、この電圧がMOSFET(M1)の耐圧を超えない為には、コンデンサC1とコンデンサC2の容量設定が重要になる。
尚、コンデンサC1とコンデンサC2が充電された後のコンデンサC1下端電圧は0VとなるようにコンデンサC1とコンデンサC2の比率が設定されて後述のMOSFET(M2)側MOSFETのオフ動作時のZVSを実現する。
【0067】
[主スイッチオフ動作]
前述のオン時の動作によってコンデンサC1は電源電圧に略等しい電圧Eに充電されている。従って主スイッチであるMOSFET(M2)側MOSFETがオフするとドレイン電流は0Aになるが、ドレイン電圧は誘導性負荷L1の電流が減少することによる誘導性負荷L1下端の電圧上昇に伴って、コンデンサC1下端の電圧と略等しいので0Vからスタートし、電源側へ回生電流を流しながらコンデンサC1が放電する。この動作中にMOSFET(M1)はデッドタイム期間中にあるので コンデンサC1電流がMOSFET(M1)とインダクタL3,インダクタL4,ダイオードD1を介して還流することが無く電力損失にならないようにしてある。コンデンサC1が完全に放電すると上記誘導性負荷L1のフライホイール電流はダイオードD1、ダイオードD3、ダイオードD2を介して短時間の間電源へ還流するが直後にインダクタL3の上部の電圧がMOSFET(M2)のソース電位に達するから、この後はMOSFET(M1)を介して電源へ還流するので上記ダイオードD1、ダイオードD3)、ダイオードD2の電力損失は小さく抑えられる。
以上のようにして主スイッチMOSFET(M2)のオフ動作は電流がゼロになってから電圧が立ち上がるZVS動作を実現しスイッチング損失を抑制している。
【0068】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態に係るインバータ回路の回路図である。
第4実施形態に係るインバータ回路110は、U相コイルLU、V相コイルLV、W相コイルLWを備える3相モータの駆動用である。第4実施形態に係るインバータ回路110は、U相コイルLU駆動用のU層インバータ回路110U、V相コイルLV駆動用のV層インバータ回路110V、W相コイルLW駆動用のW層インバータ回路110Wから成る。U層インバータ回路110U、V層インバータ回路110V、W層インバータ回路110Wは同一の構成から成る。
【0069】
[回路構成]
第4実施形態に係るスイッチング回路110のU層インバータ回路110Uは、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ50のオン・オフ時に、制御回路手段10からのゲート信号で、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路20Tと、ボトムインバータスイッチ60のオン・オフ時に、制御回路手段10からのゲート信号で、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路20Bと、を備える。
【0070】
U層インバータ回路110Uは、更にトップインバータスイッチ50、ボトムインバータスイッチ60のオン遷移時にZCS動作を行う、トップインバータスイッチ50と負荷手段(U相コイルLU)との間に接続されたトップ側インダクタL3と、ボトムインバータスイッチ60とU相コイルLUとの間に接続されると共に、トップ側インダクタL3に接続されるボトム側インダクタL4を備える。
【0071】
そして、トップ側補助回路20Tは、トップインバータスイッチ50とアースとの間に直列に配設された第1ダイオードD1と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1と第1コンデンサC1に、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部との間に配設された第3ダイオードD3と、を有する。
【0072】
そして、ボトム側補助回路20Bは、ボトムインバータスイッチ60と電源Eとの間に直列に配設された第1ダイオードD1と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1と第1コンデンサC1に、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部との間に配設された第3ダイオードD3と、を有する。
【0073】
2分割されたインダクタL3とインダクタL4との接続部に接続されたU層インバータ回路110Uの出力端子OUTは、誘導性負荷U相コイルLUの一端側に接続され、誘導性負荷U相コイルLUの他端は、誘導性負荷V相コイルLV、誘導性負荷W相コイルLWの他端に接続されている。
【0074】
ボトム側補助回路20Bで、第1ダイオードD1は、第1コンデンサC1の電荷がMOSFET(M2)に短絡するのを防ぐように、第1ダイオードD1のアノード側がMOSFET(M2)のドレイン側に接続されている。
第2ダイオードD2は、第2コンデンサC2の電荷を電源Eに還流する。第2ダイオードD2のカソード側が電源Eに接続され、アノード側が第2コンデンサC2側に接続されている。
第3ダイオードD3は、インダクタL3、インダクタL4の短絡を防ぐ。第3ダイオードD3のアノード側は第1ダイオードD1と第1コンデンサC1の接続部に接続され、カソード側は第2コンデンサC2と第2ダイオードD2との接続部に接続される。
MOSFET(M1)は、ソース側がインダクタL3に直列に接続され、ドレイン側が電源Eに接続される。
【0075】
回路動作
[電流方向検出回路]
図5中の電流方向検出回路70が電流方向を検出する。電流方向検出回路70は、MOSFET(M2)がオンになったタイミングで出力端子のレベルに応じて、負荷電流が流れ出し方向か或いはインバータ回路への流れ込み方向なのかを判別する。誘導性負荷(U相コイル)LUの電流方向は図示右方向のときは、誘導性負荷LUはこの方向の電流が減少するのを阻止する為に誘導性負荷LU左側の電圧レベルが“ L ”となる。この場合は、トップスイッチ側MOSFET(M1)が主スイッチとなりボトムスイッチ側MOSFET(M2)はフライホイールスイッチとなる。従ってボトムスイッチZCS/ZVS回路20Bは不要であるので、スイッチSW1をオフにして回路素子を遮断してある(ボトムスイッチZCS/ZVS回路20BとトップスイッチZCS/ZVS回路20Tが同時に接続されていると意図しない回路動作となって損失が増加する) 。
同様に誘導性負荷LUの電流方向が左方向の場合にはトップ側スイッチのZCS/ZVS回路20TがスイッチSW2をオフで遮断される。
【0076】
第4実施形態のインバータ回路でスイッチSW1、SW2が必要となる理由
図6中に示すように負荷電流の方向が誘導性負荷LUを左方向に流れる場合、トップスイッチ側MOSFET(M1)がフライホイールスイッチ、ボトムスイッチ側MOSFET(M2)が主スイッチなる。この時、ボトムスイッチ側MOSFET(M2)がオンするとインダクタL3の上端にマイナス電圧を発生し、下端にプラス電圧を発生する。しかし、トップスイッチZCS/ZVS回路が接続されていると
図6中に示す方向の電流が流れて、インダクタL3の上端はマイナス電圧にならない。従って負荷電流方向に応じて、SW1又はSW2を制御して、フライホイール側のZCS/ZVS回路を遮断しておく必要がある。
【0077】
[主スイッチオン動作]
図5に示すように、誘導性負荷LUがあってMOSFET(M2)がスイッチSW1のオンで主スイッチとして作用し、MOSFET(M1)はスイッチSW2をオフでフライホイール回路動作をするものとする。MOSFET(M2)がオフである時に、誘導性負荷LUの電流は減少しているので、誘導性負荷LUは電流を維持する為に左側に+の電圧を発生ながら負荷電流が流れている。
【0078】
次にMOSFET(M1)はデッドタイム分だけ先行してオフになるが、前述の電流の方向と値は維持されている。遅れてMOSFET(M2)がオンするので、MOSFET(M1)にボディダイオード逆回復電流が流れて、インダクタL3の電流は急速に反転するとともに、インダクタL4の電流は初期値が0であるので所定の立ち上がり時間(時定数を持って増加していく→これによってMOSFET(M2)のドレイン電圧が0Vになった以降にドレイン電流が増加することになって主スイッチオン遷移時におけるZCS動作が実現される。また、MOSFET(M1)側スイッチリカバリ電流(エネルギー)は電流となってインダクタL3及びインダクタL4へ蓄積されて次項以降の動作で電源へ回生されるので電力変換効率が向上できる。
【0079】
インダクタL3の挙動に着目して、インダクタL3はMOSFET(M2)のオン動作時にMOSFET(M1)の大きなリカバリ電流が流れるが、リカバリ電流の消滅に伴って急激に電流が減少する。すると、インダクタL3 はそれまでの電流を維持する為に上部がマイナスとなる極性で大きな電圧を発生する。これによって、コンデンサC2とコンデンサC1はそれぞれダイオードD1、ダイオードD3を介してコンデンサC2の左がプラス、コンデンサC1の上部がプラスに充電されて、先のリカバリエネルギーは両コンデンサに蓄積される。このようにしてインダクタL3の上部には大きなマイナスサージ電圧が発生するが、この電圧がMOSFET(M1)の耐圧を超えない為には、コンデンサC1とコンデンサC2の容量設定が重要になる。
尚、コンデンサC1とコンデンサC2が充電された後のコンデンサC1下端電圧は0VとなるようにコンデンサC1とコンデンサC2の比率が設定されて後述のMOSFET(M2)側MOSFETのオフ動作時のZVSを実現する。
【0080】
[主スイッチオフ動作]
前述のオン時の動作によってコンデンサC1は電源電圧に略等しい電圧Eに充電されている。従って主スイッチであるMOSFET(M2)側MOSFETがオフするとドレイン電流は0Aになるが、ドレイン電圧は誘導性負荷LUの電流が減少することによる誘導性負荷LU左端の電圧上昇に伴って、コンデンサC1下端の電圧と略等しいので0Vからスタートし、電源側へ回生電流を流しながらコンデンサC1が放電する。この動作中にMOSFET(M1)はデッドタイム期間中にあるので コンデンサC1電流がMOSFET(M1)とインダクタL3,インダクタL4,ダイオードD1を介して還流することが無く電力損失にならないようにしてある。コンデンサC1が完全に放電すると上記誘導性負荷LUのフライホイール電流はダイオードD1、ダイオードD3、ダイオードD2を介して短時間の間電源へ還流するが直後にインダクタL3の上部の電圧がMOSFET(M2)のソース電位に達するから、この後はMOSFET(M1)を介して電源へ還流するので上記ダイオードD1、ダイオードD3、ダイオードD2の電力損失は小さく抑えられる。
以上のようにして主スイッチMOSFET(M2)のオフ動作は電流がゼロになってから電圧が立ち上がるZVS動作を実現しスイッチング損失を抑制している。
【0081】
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態に係るインバータ回路の回路図である。
第5実施形態に係るインバータ回路は、第4実施形態と同様にU相コイルL1、図示されないV相コイル、W相コイルを備える3相モータの駆動用である。
図7中には、第5実施形態に係るU相コイルL1駆動用のU層インバータ回路110のみを示すが、他のV層インバータ回路、W層インバータ回路は同一の構成から成る。
【0082】
[回路構成]
第5実施形態に係るスイッチング回路のU層インバータ回路110は、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ50のオン・オフ時に、制御回路手段A1、A2からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路20Tと、ボトムインバータスイッチ60のオン・オフ時に、制御回路手段A1、A2からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路20Bと、を備える。
【0083】
U層インバータ回路110は、更にトップインバータスイッチ50、ボトムインバータスイッチ60のオン遷移時にZCS動作を行う、トップインバータスイッチ50と負荷手段(U相コイルL1)との間に接続されたトップ側インダクタL3と、ボトムインバータスイッチ60とU相コイルL1との間に接続されると共に、トップ側インダクタL3に接続されるボトム側インダクタL4を備える。
【0084】
そして、トップ側補助回路20Tは、トップインバータスイッチ50とアースとの間に直列に配設された第1ダイオードD1(D1c,D1d)と、第1コンデンサC1cと、直列に配設された第1ダイオードD1(D1c,D1d)と第1コンデンサC1cに、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2(D2c,D2d)と、第2コンデンサC2cと、第1ダイオードD1(D1c,D1d)と第1コンデンサC1cの接続部と、第2コンデンサC2cと第2ダイオードD2(D2c,D2d)との接続部との間に配設された第3ダイオードD3(D3c,D3d)と、を有する。
【0085】
そして、ボトム側補助回路20Bは、ボトムインバータスイッチ60と電源Eとの間に直列に配設された第1ダイオードD1(D1a,D1b)と、第1コンデンサC1と、直列に配設された第1ダイオードD1(D1a,D1b)と第1コンデンサC1に、インダクタL3、L4を介して並列に接続された第2ダイオードD2(D2a,D2b)と、第2コンデンサC2と、第1ダイオードD1(D1a,D1b)と第1コンデンサC1の接続部と、第2コンデンサC2と第2ダイオードD2(D2a,D2b)との接続部との間に配設された第3ダイオードD3(D3a,D13)と、を有する。ボトム側補助回路20Bは、更に、電圧の変動を抑える抵抗R5,コンデンサC6を備える。
【0086】
2分割されたインダクタL3とインダクタL4との接続部に誘導性負荷U相コイルL1の一端側が接続され、誘導性負荷U相コイルL1の他端は、電源に接続されている。抵抗R3は、誘導性負荷U相コイルL1中の抵抗分を表している。
【0087】
ボトム側補助回路20Bで、第1ダイオードD1(D1a,D1b)は、第1コンデンサC1の電荷がMOSFET(M2)に短絡するのを防ぐように、第1ダイオードD1(D1a,D1b)のアノード側がMOSFET(M2)のドレイン側に接続されている。
第2ダイオードD2(D2a,D2b)は、第2コンデンサC2の電荷を電源Eに還流する。第2ダイオードD2(D2a,D2b)のカソード側が電源Eに接続され、アノード側が第2コンデンサC2側に接続されている。
第3ダイオードD3(D3a,D3b)は、インダクタL3、インダクタL4の短絡を防ぐ。第3ダイオードD3(D3a,D3b)のアノード側は第1ダイオードD1(D1a,D1b)と第1コンデンサC1の接続部に接続され、カソード側は第2コンデンサC2と第2ダイオードD2(D2a,D2b)との接続部に接続される。
MOSFET(M1)は、ソース側がインダクタL3に直列に接続され、ドレイン側が電源Eに接続される。
【0088】
回路動作
[電流方向検出回路]
図7中の電流方向検出回路70が電流方向を検出する。電流方向検出回路70は、ボトムスイッチ60がオンになったタイミングで出力端子のレベルに応じて、負荷電流が流れ出し方向か或いはインバータ回路への流れ込み方向なのかを判別する。具体的には、フリップフロップA3のクロック端子CLKはボトムスイッチ60側のMOSFETのゲートドライバーの入力信号であって、クロックの立ち上がり(ボトムMOSFETのオンタイミング)においてデータ端子Dと接続した出力端子が“ L ”であった場合には誘導性負荷L1の電流方向は図示右方向となり、誘導性負荷L1はこの方向の電流が減少するのを阻止する為に誘導性負荷L1左側の電圧レベルが“ L ”となる。この場合は、トップスイッチ側MOSFETが主スイッチとなりボトムスイッチ側MOSFETはフライホイールスイッチとなる。従ってボトムスイッチZCS/ZVS回路20Bは不要であるので、MOSFETM4をオフにして回路素子を遮断してある。(ボトムスイッチZCS/ZVS回路20BとトップスイッチZCS/ZVS回路2OTが同時に接続されていると意図しない回路動作となって損失が増加する)。即ち、第4実施形態のインバータ回路と同様な理由で、第5実施形態のインバータ回路は電流方向検出回路70を必要とする。
同様に誘導性負荷L1の電流方向が左方向の場合にはトップ側スイッチのZCS/ZVS回路20Tが遮断される。
【0089】
[主スイッチオン動作]
図8に示すように、誘導性負荷L1が電源側にあってボトムスイッチ60が主スイッチとして作用し、トップスイッチ50はフライホイール回路動作をするものとする。ボトムスイッチ側MOSFETがオフである時に、誘導性負荷L1の電流は減少しているので、誘導性負荷L1は電流を維持する為に左側に+の電圧を発生ながら負荷電流が流れている。
【0090】
次に
図9と
図12を参照して、トップスイッチ側MOSFETはデッドタイム分だけ先行してオフになるが、前述の電流の方向と値は維持されている。遅れてボトムスイッチ側MOSFETがオンするので、トップ側リカバリ対策ダイオードD5と各MOSFETのボディダイオード逆回復電流が流れて、インダクタL3の電流は急速に反転するとともに、インダクタL4の電流は初期値が0であるので所定の立ち上がり時間(時定数を持って増加していく→これによってボトムスイッチ側MOSFETのドレイン電圧が0Vになった以降にドレイン電流が増加することになって主スイッチオン遷移時におけるZCS動作が実現される。また、トップ側スイッチリカバリ電流(エネルギー)は電流となってインダクタL3及びインダクタL4へ蓄積されて次項以降の動作で電源へ回生されるので電力変換効率が向上できる。
【0091】
インダクタL3の挙動に着目して、
図12、
図13中に示されるようにインダクタL3はボトムスイッチ側MOSFETのオン動作時にトップ側スイッチの大きなリカバリ電流が流れるが、リカバリ電流の消滅に伴って急激に電流が減少する。すると、インダクタL3 はそれまでの電流を維持する為に上部(ノード n012)がマイナスとなる極性で大きな電圧を発生する(
図10、
図12)。これによって、コンデンサC2とコンデンサC1はそれぞれダイオードD1(D1a,D1b)、ダイオードD3(D3a,D3b)を介してコンデンサC2の左がプラス、コンデンサC1の上部がプラスに充電されて、先のリカバリエネルギーは両コンデンサに蓄積される。このようにして
図13中に示されるようにノードn012には約70V大きなマイナスサージ電圧が発生するが、この電圧がトップ側スイッチの耐圧を超えない為には、コンデンサC1とコンデンサC2の容量設定が重要になる。
尚、コンデンサC1とコンデンサC2が充電された後のコンデンサC1下端電圧は0VとなるようにコンデンサC1とコンデンサC2の比率が設定されて後述のボトムスイッチ側MOSFETのオフ動作時のZVSを実現する。
電源電圧を48Vとし、トップ側スイッチの耐圧を(48V+70V≒120V)とした場合の関係式は以下となる。
(48V+70V) × C1/(C1+C2) = 48V
【0092】
[主スイッチオフ動作]
前述のオン時の動作によってコンデンサC1は電源電圧に略等しい48Vに充電されている。従って主スイッチであるボトムスイッチ側MOSFETがオフするとドレイン電流は0Aになるが、ドレイン電圧は誘導性負荷L1の電流が減少することによる誘導性負荷L1左端の電圧上昇に伴って、コンデンサC1下端の電圧と略等しいので0Vからスタートし、電源側へ回生電流を流しながらコンデンサC1が放電する。この動作中にトップ側スイッチはデッドタイム期間中にあるので コンデンサC1電流がトップスイッチ側MOSFETとインダクタL3,インダクタL4,ダイオードD1(D1a,D1b)を介して還流することが無く電力損失にならないようにしてある。コンデンサC1が完全に放電すると上記誘導性負荷L1のフライホイール電流はダイオードD1(D1a,D1b)、ダイオードD3(D3a,D3b)、ダイオードD2(D2a,D2b)を介して短時間の間電源へ還流するが直後にノードn012の電圧がトップスイッチ側MOSFETのソース電位に達するから、この後はトップ側スイッチを介して電源へ還流するので上記ダイオードD1(D1a,D1b)、ダイオードD3(D3a,D3b)、ダイオードD2(D2a,D2b)の電力損失は小さく抑えられる。
以上のようにして
図14に示す如く主スイッチのオフ動作は電流がゼロになってから電圧が立ち上がるZVS動作を実現しスイッチング損失を抑制している。
図14中のコンデンサC2の電流の盛り上がり部分C2upは電源側に回生される電流を示している。
【0093】
以上の各スイッチング動作による損失と、電力変換効率は以下となる。
ボトムスイッチ側MOSFET損失 (1個分) 3.9488 W
ボトム側リカバリ低減ショットキーダイオードD5損失= 15.25u W
トップスイッチ側MOSFET損失 (1個分) 3.7975 W
トップ側リカバリ低減ショットキーダイオードD7損失= 262.54 mW
負荷電力= 3.6925 KW
電源電力= 3.7231KW
効率= 99.178
【0094】
結果的に従来技術の高速ハードスイッチング回路として電力損失を63.72%低減可能になった。
(その他参考値)
ZCS/ZVS 回路部品損失
M4=4 54.2mW
D2a=6 99.92mW
D2b=6 99.92mW
D3a=7 90.63mW
D3b=7 90.63mW
D1a=6 89.04mW
D1b=6 89.04mW
L3=1 .3214W
L4=1 .3376W
【0095】
[出力電圧/入力電流のノイズ解析]
図15は出力電圧波形のFFT解析結果である。
従来技術のノイズピークの包絡線よりも大幅に第5実施形態のインバータ回路が下がっていることが分かる。
図16は電源電流波形のFFT解析結果である。
従来技術のノイズピークの包絡線よりも大幅に第5実施形態のインバータ回路が下がっていることが分かる。
【0096】
[
図27に示す従来技術のインバータ回路と第5実施形態のZCS/ZVSにおける立上がり/立下がり波形、電源電流波形の比較]
図17、
図18に従来技術のインバータ回路と第5実施形態のZCS/ZVSの発生するノイズ差の原因を、そのスイッチング波形から表される。
図17は立下がり波形を示し、上側は出力電圧の立下がりを表し、下側は電源電流の立下がりを表す。上側の出力電圧の立下がりで、従来技術のインバータ回路は急峻に波形が立下がっているのに対して、第5実施形態のZCS/ZVSでは緩やかに立下がっている。下側の電源電流の立下において、従来技術のインバータ回路は短時間に変化するスパーク状のリカバリ電流が発生している。このリカバリ電流は、電力損失となるとともに大きなノイズの原因となる。
【0097】
図18は立上がり波形を示し、上側は出力電圧の立上がりを表し、下側は電源電流の立上がりを表す。上側の出力電圧の立上がりで、従来技術のインバータ回路は急峻に波形が立上がっているのに対して、第5実施形態のZCS/ZVSでは緩やかに立上がっている。下側の電源電流の立下において、従来技術のインバータ回路では急峻に波形が立上がっているのに対して、第5実施形態のZCS/ZVSでは緩やかに立上がっている。
【0098】
第5実施形態のインバータ回路では、上述したように、主スイッチオン遷移ときにフライホイールスイッチと成る反対側のMOSFETに流れるスイッチリカバリ電流(エネルギー)は電流となってインダクタL3及びインダクタL4へ蓄積され、次のスイッチオフ時の動作で電源へ回生されるので電力変換効率が向上できる。また、スイッチリカバリ電流をインダクタL3及びインダクタL4に蓄えることで抑え、低ノイズ化が実現できる。
【0099】
第5実施形態のインバータ回路では、トップスイッチ50のMOSFET及びボトムスイッチ60のMOSFETをZCSでオンさせるために用いられたインダクタL1のエネルギーが、トップスイッチ50のMOSFET及びボトムスイッチ60のMOSFETのオン中にコンデンサC1に蓄えられる。そして、コンデンサC1のエネルギー(電圧)で、トップスイッチ50のMOSFET及びボトムスイッチ60のMOSFETをZVSでオフし、トップスイッチ50のMOSFET及びボトムスイッチ60のMOSFETのオフ中に、コンデンサC1のエネルギーを電源側に還流させ、コンデンサC1を完全に放電させる。従来のZCS、ZVSのインバータ回路では、ZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーはそのまま消費していたのに対して、第5実施形態のインバータ回路ではZCS、ZVS動作の為に使われたエネルギーを電源側に還流するため、高い効率を発揮することができる。
【0100】
なお、上述した実施形態では、スイッチング素子としてMOSFETを例示したが、スイッチング素子としてはSiC等種々のパワーエレクトロニクス用スイッチング素子を用いることができる。また、各ダイオードはMOSFETから構成される公知の理想ダイオードデバイスとしても良い。
【0101】
図19は、第5実施形態のインバータ回路の回生動作を示す回路図である。
車載用の3相インバータは、モータ側からの電力を回生して蓄電池を充電する。減速回生動作が必要となる。従来技術のZCS、ZVS式のインバータ回路は、回生動作を行うとき、ZCS、ZVSでのスイッチのオン、オフが適正に行えなくなり、回生時効率が大きく低下した。これに対して、第5実施形態のインバータ回路では、MOSFETのオン時にZCS、オフ時にZVSを行えるため、回生動作においても効率が低下しない。
【0102】
図20は、第5実施形態のインバータ回路により構成されるハーフブリッジパワーモジュール210を示す模式図である。パワーモジュール210は、-側入力端子112と、+側入力端子114と、出力端子124とを有する。-側入力端子112には、周辺回路120と、SiC、MOSFET等のボトムインバータスイッチ122が取り付けられている。+側入力端子112には、周辺回路116と、トップインバータスイッチ118が取り付けられている。出力端子124とボトムインバータスイッチ122とは、出力端子と一体に形成されたボトム側インダクタL4を介して接続されている。出力端子124とトップインバータスイッチ118とは、出力端子と一体に形成されたトップ側インダクタL3を介して接続されている。上記部品が基板130上に配置された状態でモールドされ、パワーモジュール210を構成する。
【0103】
トップインバータスイッチ118に接続されたトップ側インダクタL3と、ボトムインバータスイッチ122に接続されたボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であり、延在方向が略直交するように形成された一対の延在片124A、124Bから成る。トップ側インダクタL3は
図17中のインダクタL3を構成し、ボトム側インダクタL4はインダクタL4を構成する。両延在片124A、124Bには、延在方向に対して渦巻き状に磁束が発生するが、延在方向が略直交するように形成されているため、磁束が干渉し合わない。延在片124A、124Bは一定幅であり、出力端子124を構成する金属板の両側端124R、124Lから延在している。延在片124A、124Bの長さLnは7.5mmであり、5nHのインダクタンスを持つ。
【0104】
第5実施形態のパワーモジュール210のトップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4は、出力端子124を構成する金属板の一部であるため、廉価に構成できると共に、機械強度が高く、信頼性が高い。
【0105】
[第5実施形態の第1改変例]
図21は、第5実施形態の第1改変例に係るインバータ回路の回路図である。
第5実施形態の第1改変例に係るインバータ回路は、第5実施形態と同様にU相コイルLU、図示されないV相コイル、W相コイルを備える3相モータの駆動用である。
【0106】
[回路構成]
第5実施形態の第1改変例に係るスイッチング回路のU層インバータ回路110Uは、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ50のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路20Tと、ボトムインバータスイッチ60のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路20Bと、を備える。
【0107】
[電流方向検出回路]
図21中の電流方向検出回路70が電流方向を検出する。電流方向検出回路70は、ボトムスイッチ60がオンになったタイミングで出力端子のレベルに応じて、負荷電流が流れ出し方向か或いはインバータ回路への流れ込み方向なのかを判別する。具体的には、フリップフロップA4のクロック端子CLKはボトムスイッチ60側のMOSFETのゲートドライバーの入力信号であって、クロックの立ち上がり(ボトムMOSFETのオンタイミング)においてデータ端子Dと接続した出力端子が“ L ”であった場合には誘導性負荷LUの電流方向は図示右方向となり、誘導性負荷LUはこの方向の電流が減少するのを阻止する為に誘導性負荷LU左側の電圧レベルが“ L ”となる。この場合は、トップスイッチ側MOSFETが主スイッチとなりボトムスイッチ側MOSFET(60)はフライホイールスイッチとなる。従ってボトムスイッチZCS/ZVS回路20Bは不要であるので、スイッチSW1をオフにして回路素子を遮断してある。(ボトムスイッチZCS/ZVS回路20BとトップスイッチZCS/ZVS回路2OTが同時に接続されていると意図しない回路動作となって損失が増加する)。
同様に誘導性負荷LUの電流方向が左方向の場合にはトップ側スイッチのZCS/ZVS回路20TがスイッチSW2で遮断される。
【0108】
[第5実施形態の第2改変例]
図22は、第5実施形態の第2改変例に係るインバータ回路の回路図である。
第5実施形態の第2改変例に係るインバータ回路は、第5実施形態と同様にU相コイルLU、図示されないV相コイル、W相コイルを備える3相モータの駆動用である。
【0109】
[回路構成]
第5実施形態の第2改変例に係るインバータ回路のU層インバータ回路110Uは、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ50のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路20Tと、ボトムインバータスイッチ60のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路20Bと、を備える。
【0110】
[電流方向検出手段]
図22中の電流方向検出回路70が電流方向を検出する。電流方向検出回路70が、トップ側インダクタL3、ボトム側インダクタL4の接続部CNと、負荷LUとの間に接続される抵抗R22と、抵抗R22の両端に接続され、負荷LU側の電位が接続部CN側の電位よりも低い、即ち、負荷電流が負荷LU側に流れ出し、抵抗R22での電圧降下により負荷LU側の電位が接続部CN側の電位よりも低い際に出力を発生する第1コンパレータCPTと、負荷LU側の電位が接続部CN側の電位よりも高い、即ち、負荷電流がインバータ側に流れ込み、抵抗R22での電圧降下により負荷LU側の電位が接続部CN側の電位よりも高い際に出力を発生する第2コンパレータCPBと、から成る。第1コンパレータCPTの出力(H=オン)によりスイッチSW2がオンし、トップ側補助回路20Tを動作可能とし、第2コンパレータCPBのオフにより、スイッチSW1がオフし、ボトム側補助回路20Bを動作不能とする。
【0111】
第2コンパレータCPBの出力(H=オン)によりスイッチSW1がオンし、ボトム側補助回路20Bを動作可能とし、第1コンパレータCPTのオフにより、スイッチSW2がオフし、トップ側補助回路20Tを動作不能とする。第5実施形態の第2改変例に係るインバータ回路110は、電流負荷がインバータ回路からの流れだし方向か、流れ込み方向かを判断し主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作不能とすることができる。第5実施形態の第2改変例に係るインバータ回路は、検出手段70が、抵抗R22と、第1コンパレータCPTと第2コンパレータCPBと、から成るため、構成が簡易である。
【0112】
[第6実施形態]
図23は、第6実施形態に係るインバータ回路の回路図である。
第6実施形態のインバータ回路は、第5実施形態と同様にU相コイルLU、図示されないV相コイル、W相コイルを備える3相モータの駆動用である。
【0113】
[回路構成]
第6実施形態に係るスイッチング回路のU層インバータ回路110Uは、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60とを有するハーフブリッジインバータと、トップインバータスイッチ50のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うトップ側補助回路20Tと、ボトムインバータスイッチ60のオン・オフ時に、制御回路手段10からの信号で、ZVS/ZCS動作を行うボトム側補助回路20Bと、を備える。
【0114】
[制御回路手段]
制御回路手段10は、10KHz~100KHzの固定されたキャリア周波数の鋸波を発生する鋸波発振器12を備える。制御回路手段10には120°位相の異なるU、V、W相制御信号が入力される。U相制御信号(U相制御入力信号)は、U相出力用コンパレータCPUで鋸波と比較され、U相出力用コンパレータCPUからはU相制御信号の正弦波に即したオン、オフのデューティ変調された矩形波が出力される。U相出力用コンパレータCPUからの矩形波は、遅延手段14Bを介してボトムインバータスイッチ60のオン・オフを行い、ノット回路NT1及び遅延手段14Tを介してトップインバータスイッチ50のオン・オフを行う。遅延手段14B、遅延手段14Tは、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60と間のデッドタイムを設け、トップインバータスイッチ50とボトムインバータスイッチ60が同時にオンに成ることを防ぐ。V相出力用コンパレータCPV、W相出力用コンパレータCPWは上記U相出力用コンパレータCPUと同様な動作を行う。モータのトルクを高める際には、U、V、W相制御信号の正弦波振幅が大きくされ、モータの回転を高める際には、U、V、W相制御信号の周波数が高められる。U、V、W相制御信号の正弦波の周波数はモータの回転速度での50Hz~100Hz程度である。
【0115】
[比較手段]
図23中の比較手段80が電流方向を検出する。
比較手段80が、W相制御入力信号とU相制御入力信号を比較するU相制御用のコンパレータCPU2と、U相制御入力信号とV相制御入力信号を比較するV相制御用のコンパレータCPV2と、V相制御入力信号とW相制御入力信号を比較するW相制御用のコンパレータCPW2と、から成る。
【0116】
図24は、U、V、W相出力電流とU、V、W相制御信号とを示す。U、V、W相出力電流はU、V、W相制御信号に対して位相が180°遅れている。U、V、W相出力電流の正弦波のプラス側の振幅はU相コイルLUに流れる出力電流が右方向(負荷電流が負荷LU側に流れ出している)を表し、正弦波のマイナス側の振幅はU相コイルLUに流れる出力電流が左方(負荷電流がインバータ側に流れ込んでいる)を表す。U相制御用のコンパレータCPU2で、W相制御入力信号とU相制御入力信号とが比較され、図中鎖線で挟んだタイミングでW相制御入力信号(2点鎖線)がU相制御入力信号(実線)よりも大きい間、U相出力電流の振幅がプラス側になっている。U相出力電流の振幅がプラス側になる間、U相制御用のコンパレータCPU2からオン信号が出力され、U相110Uの主スイッチ側のトップ側補助回路20TのスイッチSW2Uがオンされ、ノット回路NT2を介してオン信号の反転されたオフ信号がボトム側補助回路20BのスイッチSW1Uがオフされる。一方、U相出力電流の振幅がマイナス側になる間、U相制御用のコンパレータCPU2から出力がオフされ、U相110Uの主スイッチ側のトップ側補助回路20TのスイッチSW2Uがオフされ、ノット回路NT2を介してオフ信号の反転されたオン信号でボトム側補助回路20BのスイッチSW1Uがオンされる。
【0117】
図25は、U、V、W相出力電流とU、V、W相制御信号とを示す。V相制御用のコンパレータCPU2で、U相制御入力信号とV相制御入力信号とが比較され、図中鎖線で挟んだタイミングでU相制御入力信号(実線)がV相制御入力信号(一点鎖線)よりも大きい間、V相出力電流の振幅がプラス側になっている。V相出力電流の振幅がプラス側になる間、V相制御用のコンパレータCPV2からオン信号が出力され、V相110Vの主スイッチ側のトップ側補助回路20TのスイッチSW2Vがオンされ、ノット回路NT4を介してオン信号の反転されたオフ信号がボトム側補助回路20BのスイッチSW1Vがオフされる。
【0118】
図26は、U、V、W相出力電流とU、V、W相制御信号とを示す。W相制御用のコンパレータCPW2で、V相制御入力信号とW相制御入力信号とが比較され、図中鎖線で挟んだタイミングでV相制御入力信号(一点鎖線)がW相制御入力信号(二点鎖線)よりも大きい間、W相出力電流の振幅がプラス側になっている。W相出力電流の振幅がプラス側になる間、W相制御用のコンパレータCPW2からオン信号が出力され、W相110Wの主スイッチ側のトップ側補助回路20TのスイッチSW2Wがオンされ、ノット回路NT6を介してオン信号の反転されたオフ信号がボトム側補助回路20BのスイッチSW1Wがオフされる。
【0119】
第6実施形態のインバータ回路110は、補助回路遮断手段が、U相制御用のコンパレータCPU2の出力に基づき、U相110Uの主スイッチ側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするU相の補助回路遮断手段(スイッチ)SW1U、SW2Uと、V相制御用のコンパレータCP2の出力に基づき、V相110Vの主スイッチ側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするV相の補助回路遮断手段SW1V、SW2Vと、W相制御用のコンパレータCPW2の出力に基づき、W相110Wの主スイッチ側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路又はボトム側補助回路を動作不能とするW相の補助回路遮断手段SW1W、SW2Wと、から成る。第6実施形態のインバータ回路は、U相制御入力信号、V相制御入力信号、W相制御入力信号から主スイッチを検出して、主スイッチ側のトップ側補助回路2OT又はボトム側補助回路20Bを動作可能とし、主スイッチでは無い側のトップ側補助回路20T又はボトム側補助回路20Bを動作不能とすることができる。第6実施形態のインバータ回路は、負荷電流を抵抗に流すことなく補助回路を遮断できるので、抵抗損失が無く効率が高い。
【0120】
上述した実施形態で、スイッチSW1,SW2,SW1U,SW2U等は半導体スイッチング素子から成る。
【符号の説明】
【0121】
10 制御回路手段
20T トップ側補助回路
20B ボトム側補助回路
50 トップインバータスイッチ
60 ボトムインバータスイッチ
C1 第一のキャパシタ
C2 第二のキャパシタ
D1 第一の整流手段
D2 第二の整流手段
D3 第第3の整流手段
L インダクタ
L1 負荷手段
L3 トップ側インダクタ
L4 ボトム側インダクタ