(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079972
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】ガス輸送装置
(51)【国際特許分類】
F04B 45/047 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
F04B45/047 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011282
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】110144450
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】陳世昌
(72)【発明者】
【氏名】楊啓章
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】蔡長諺
(72)【発明者】
【氏名】郭俊毅
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA11
3H077BB10
3H077CC01
3H077CC09
3H077DD06
3H077DD14
3H077EE02
3H077EE40
3H077FF06
3H077FF22
3H077FF36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】逆流を防止し、一方向の気流を生成する大流量のガス輸送装置を提供する。
【解決手段】排気カバー、排気端、収容空間、吸気カバー及び吸気端を含むハウジングと、円形の形態であり、前記収容空間内に順次積み重ね設置された排気板、弁ディス及び第一プレートを含む弁体と、円形の形態であり、前記弁体に積み重ねられ、第二プレート、筐体及びアクチュエータ要素を含むアクチュエータと、を含むガス輸送装置である。これにより、前記アクチュエータが駆動されると、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体は流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体は流路を閉じるように作動する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気カバー、排気端、収容空間、吸気カバー及び吸気端を含み、前記ハウジングの上部に前記排気カバーが設置され、前記排気カバーが前記排気端を有し、前記ハウジングの下部に前記吸気カバーが設置され、前記吸気カバーが前記吸気端を有し、前記収容空間が前記吸気端及び前記排気端に連通しており、かつ前記排気カバー及び前記吸気カバーが前記収容空間の上下両側に覆う、ハウジングと、
円形の形態であり、前記収容空間内に順次積み重ね設置された排気板、弁ディス及び第一プレートを含み、表面が凹んで深さを形成した凹部を有し、前記弁ディスが前記排気板と前記第一プレートとの間に位置し、かつ前記弁ディスと前記第一プレートの前記凹部が間隔を保持することで、前記弁ディスが前記間隔で変位して流路制御を形成し、前記排気板が複数の排気穴を有し、前記第一プレートが複数の第一貫通穴を有し、前記弁ディスが複数の弁穴を有し、かつ前記弁穴と前記第一貫通穴がずれて設置され、前記弁穴と前記排気穴が対応して設置されている、弁体と、
円形の形態であり、前記弁体に積み重ねられ、第二プレート、筐体及びアクチュエータ要素を含み、前記第二プレートが前記弁体の前記第一プレートに積み重ね設置され、前記第二プレートが複数の第二貫通穴を有し、前記第二貫通穴が前記第一貫通穴に対応しており、前記筐体が前記第二プレートに積み重ね設置され、前記アクチュエータ要素が前記筐体に積み重ね設置されている、アクチュエータと、
を含み、
これにより、前記アクチュエータが駆動されると、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体が流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体が流路を閉じるように作動することを特徴とする、ガス輸送装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ要素が、吸気板と、圧電シートと、絶縁筐体と、導電筐体とを含み、
前記吸気板が複数の吸気穴を有し、前記吸気板の平面において前記吸気穴の位置により、前記吸気穴に囲まれた作動領域及び前記吸気穴の周囲にある固定領域を定義し、
前記圧電シートが前記吸気板の前記作動領域に設置され、
前記絶縁筐体が前記吸気板の前記固定領域に設置され、
前記導電筐体が前記絶縁筐体に設置され、
前記弁体内に前記第一貫通穴、前記弁穴及び前記排気穴が、前記吸気穴に囲まれた前記作動領域の下に位置し、前記圧電シートが前記吸気板を動かす時、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体が流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体が流路を閉じるように作動することを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項3】
前記間隔と前記第一プレートの厚さとの比が1:2から2:3であり、前記間隔が40~70μmであり、前記弁ディスがポリイミドフィルムであり、前記弁ディスの厚さが0.4~0.6μmであることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項4】
前記弁穴の穴径が前記排気穴の穴径より大きいまたは等しく、前記第一貫通穴の穴径が前記第二貫通穴の穴径と同じであることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項5】
前記吸気穴が漸減形状であることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項6】
前記吸気穴の数が偶数であり、前記吸気穴の数が48または52であることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項7】
前記吸気穴の前記吸気板の平面における配列形状が矩形、正方形、円形のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項8】
前記作動領域が円形であり、前記圧電シートが円形であることを特徴とする、請求項2に記載のガス輸送装置。
【請求項9】
前記排気板、前記第一プレート、前記第二プレートがいずれも金属板であり、前記アクチュエータ要素の前記圧電シートが20~22kHzの作動周波数を維持することを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【請求項10】
前記排気穴の穴径が100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μmのいずれかまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のガス輸送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス輸送装置、特に大流量のガス輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在各分野において、医薬、コンピュータ科学技術、印刷、エネルギーなどの工業を問わず、製品は精緻化及び微小化の方向に発展しており、マイクロポンプ、噴霧器、インクジェットヘッド、工業用印刷装置などの製品に含まれる流体を輸送するためのポンプは、そのキー要素であるため、どのように革新的な構造でその技術的なボトルネックを突破するかは、発展の重要な内容である。
【0003】
科学技術の日進月歩に伴い、流体輸送装置の応用もますます多様化しており、例えば、工業応用、生医学応用、医療保健、電子放熱など、さらに最近人気のあるウェアラブル装置にもその影が見られ、従来のポンプは、装置の微小化、流量の極大化という傾向があることが分かる。
【0004】
しかし、現在ガス輸送装置は、流量の極大化という傾向があり、その主な構造設計は逆流を防止し、一方向の流量を生成することであり、そこで、大流量のガス輸送装置をどのように構成するかは、本発明の研究開発の主要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、排気板、弁ディス、第一プレート、第二プレート及び円形のアクチュエータ要素の順に積み重ね、組み合わせて使用するガス輸送装置を提供することにあり、弁ディス、第一プレート及び第二プレートの構造からなる弁体により、気流が順方向である場合、弁体が流路を開くように動作し、気流が逆方向である場合、弁体が流路を閉じるように動作し、これにより、逆流を防止し、一方向の気流を生成し、大流量のガス輸送装置を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の広義の実施形態は、排気カバー、排気端、収容空間、吸気カバー及び吸気端を含むハウジングであって、前記ハウジングの上部に前記排気カバーが設置され、前記排気カバーが前記排気端を有し、前記ハウジングの下部に前記吸気カバーが設置され、前記吸気カバーが前記吸気端を有し、前記収容空間が前記吸気端及び前記排気端に連通しており、かつ前記排気カバー及び前記吸気カバーが前記収容空間の上下両側に覆うハウジングと、円形の形態であり、前記収容空間内に順次積み重ね設置された排気板、弁ディス及び第一プレートを含む弁体であって、表面が凹んで深さを形成した凹部を有し、前記弁ディスが前記排気板と前記第一プレートとの間に位置し、かつ前記弁ディスと前記第一プレートの前記凹部が間隔を保持することで、前記弁ディスが前記間隔で変位して流路制御を形成し、前記排気板が複数の排気穴を有し、前記第一プレートが複数の第一貫通穴を有し、前記弁ディスが複数の弁穴を有し、かつ前記弁穴と前記第一貫通穴がずれて設置され、前記弁穴と前記排気穴が対応して設置されている弁体と、円形の形態であり、前記弁体に積み重ねられ、第二プレート、筐体及びアクチュエータ要素を含むアクチュエータであって、前記第二プレートが前記弁体の前記第一プレートに積み重ね設置され、前記第二プレートが複数の第二貫通穴を有し、前記第二貫通穴が前記第一貫通穴に対応しており、前記筐体が前記第二プレートに積み重ね設置され、前記アクチュエータ要素が前記筐体に積み重ね設置されているアクチュエータと、を含むガス輸送装置である。これにより、前記アクチュエータが駆動されると、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体が流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体が流路を閉じるように作動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明のガス輸送装置の外観模式図である。
【
図1B】本発明のガス輸送装置の分解模式図である。
【
図1C】本発明のガス輸送装置の第二の実施形態の外観模式図である。
【
図2A】本発明のガス輸送装置のガス輸送装置本体の外観模式図である。
【
図2B】第一視点からの本発明のガス輸送装置のガス輸送装置本体の分解模式図である。
【
図2C】第二視点からの本発明のガス輸送装置のガス輸送装置本体の分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。
【0009】
本発明はガス輸送装置100を提供し、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B及び
図2Cを参照し、ガス輸送装置100は、排気カバー11、排気端111、収容空間121、吸気カバー13及び吸気端131を含むハウジング12を含む。ハウジング12の上部に排気カバー11が設置され、排気カバー11は排気端111を有する。ハウジング12の下部に吸気カバー13が設置され、吸気カバー13は吸気端131を有する。収容空間121は、吸気端131及び排気端111に連通しており、かつ排気カバー11及び吸気カバー13は収容空間121の上下両側を覆う。排気カバー11、ハウジング12、吸気カバー13が円形または方形の構造であってもよいが、これに限定されるものではなく、他の実施形態では、排気カバー11、ハウジング12、吸気カバー13をその設計要求に応じて調整することもできることに注意すべきである。
【0010】
説明の便宜のために、以下の実施形態では、排気カバー11、ハウジング12、吸気カバー13が円形であることを例として説明する。上記排気カバー11、ハウジング12及び吸気カバー13は円形のボックス体であり、排気端111、吸気端131及び収容空間121を有し、排気端111と吸気端131は、それぞれハウジング12の対向する両側に位置し、かつ収容空間121に連通している。
【0011】
図1A、
図1B及び
図2Aから
図2Cに示すように、弁体2は円形の形態であり、前記収容空間121内に順次積み重ね設置された排気板21、弁ディス22及び第一プレート23を含み、第一プレート23は、表面が凹んで深さを形成した凹部232を有し、前記弁ディス22は前記排気板21及び前記第一プレート23の凹部232との間に位置し、かつ前記弁ディス22と前記第一プレート23の前記凹部232は間隔Gを保持することで、前記弁ディス22は、前記間隔Gで変位して流路制御を形成し、前記排気板21は複数の排気穴211を有し、前記第一プレート23は複数の第一貫通穴231を有し、前記弁ディス22は複数の弁穴221を有し、かつ前記弁穴221と前記第一貫通穴231はずれて設置され、前記弁穴221と前記排気穴211は対応して設置されている。
【0012】
弁体2は、収容空間121内に順次積み重ね設置された排気板21、弁ディス22、第一プレート23を含み、かつ弁ディス22は排気板21と第一プレート23との間に位置し、かつ本実施形態では、排気板21、第一プレート23はいずれも金属板であり、弁ディス22は、厚さ約0.4~0.6マイクロメートル(μm)、最も好ましくは0.5マイクロメートル(μm)の可撓性フィルムであり、本実施形態では、弁ディス22がポリイミドフィルム(Polyimide Film)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0013】
上記排気板21は複数の排気穴211を有し、第一プレート23は複数の第一貫通穴231を有し、弁ディス22は複数の弁穴221を有し、弁穴221と第一貫通穴231の位置が互いにずれていることで、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じることができ、弁穴221と排気穴211の位置は互いに対応しており、かつ弁穴の穴径d2は排気穴の穴径d1より大きいまたは等しく、このような排気穴211の穴径設計により、弁体2が流路を開く時、大流量の気流が弁穴221から、排気穴211を経て速やかに排出される。また、第一プレート23は、表面が凹んで形成された深さの凹部232を有し、弁ディス22は第一プレート23の下に覆い、これによって、弁ディス22と第一プレート23の凹部232が間隔Gを保持し、この間隔Gと第一プレート23の厚さとの比は1:2から2:3であり、約40~70マイクロメートル(μm)であり、本実施形態では、最も好ましくは60マイクロメートル(μm)である。このような弁体2の設計により、弁ディス22が第一プレート23の方向に向かって偏在する時、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じることができ、弁体2は流路を閉じるように動作し(
図3Bに示すように)、弁ディス22が排気板21の方向に向かって偏在する時、弁ディス22は間隔Gにおいて気流を振動させることができ、かつ気流(矢印で示される経路)は弁穴221を通って排気穴211を経て速やかに排出され、弁体2は流路を開くように動作する(
図3Cに示すように)。この弁体2の設計により、逆流を防止して一方向気流の大流量制御の作用を生じる。
【0014】
図3Aを参照し、アクチュエータ3は円形の形態であり、前記弁体2に積み重ねられ、第二プレート31、筐体32及びアクチュエータ要素33を含み、前記第二プレート31は前記弁体2の前記第一プレート23に積み重ね設置され、前記第二プレート31は複数の第二貫通穴311を有し、前記第二貫通穴311は前記第一貫通穴231に対応している。前記筐体32は前記第二プレート31に積み重ね設置され、前記アクチュエータ要素33は、前記筐体32に積み重ね設置され、これにより、前記アクチュエータ3が駆動されると、前記第一貫通穴231と前記弁穴221がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体2は流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体2は流路を閉じるように作動する。
【0015】
弁体2とアクチュエータ3との組み合わせがガス輸送装置本体5と呼ばれることに注意すべきであり、本発明実施形態では、ガス輸送装置本体5を円形のハウジング12の収容空間121内に収容し、円形の排気カバー11及び吸気カバー13で覆い、封止口122を密封するが、これに限定されるものではなく、ガス輸送装置本体5は方形のハウジング12に収容することもできる(
図1Cに示すように)。なお、封止口122を密封する材質がエポキシ樹脂または封止口122を密封することができる他の任意の材質であることに注意すべきである。
【0016】
また、アクチュエータ3は、第二プレート31、筐体32、アクチュエータ要素33を含み、上記第二プレート31は第一プレート23に固設され、かつ第二プレート31の厚さは第一プレート23よりも大きく、第二プレート31は複数の第二貫通穴311を有し、第二貫通穴311の数、位置、穴径はすべて、第一貫通穴231に対応しており、本実施形態では、第二貫通穴311の穴径は、第一貫通穴231の穴径と同じである。第二プレート31に、ワイヤで電気的に接続するための接点(図示せず)が設置されてもよい。本実施形態では、第二プレート31は金属板である。
【0017】
上記筐体32は第二プレート31に位置決め設置され、アクチュエータ要素33は筐体32に位置決め設置されている。上記アクチュエータ要素33は吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334を含む。
【0018】
上記吸気板331は複数の吸気穴3311を有し、吸気穴3311は吸気板331の平面においてある形状に沿って配列設置され、本実施形態では、吸気穴3311は円形に沿って配列され、吸気板331は、吸気穴3311の配列形状により、吸気穴3311に囲まれた作動領域3312及び吸気穴3311の周囲に位置する固定領域3313を定義する。上記吸気穴3311は漸減形状であり、吸気効率を向上させることができ、入りやすい出にくくガスの逆流を防止するという効果を有し、かつ吸気穴3311の数は偶数であり、一実施形態では、吸気穴3311の数は48であり、別の実施形態では、吸気穴3311の数は52であり、これに限定されない。なお、上記吸気穴3311の配列形状は、矩形、正方形、円形などであってもよい。
【0019】
上記圧電シート332の形状は円形であり、圧電シート332は吸気板331の作動領域3312に設置され、圧電シート332は吸気板331の作動領域3312に対応している。本実施形態では、吸気穴3311が円形に配列されている時、作動領域3312は円形に定義され、圧電シート332も円形であり、かつ上記のように、吸気穴3311の配列形状は、矩形、正方形、円形などであってもよく、作動領域3312は、吸気穴3311の配列に応じてその形状が変化し、圧電シート332もその形状に対応している。
【0020】
上記絶縁筐体333は吸気板331の固定領域3313に設置され、導電筐体334は絶縁筐体333に設置されている。上記導電筐体334は電極3341及びピン3342を有し、電極3341は圧電シート332と電気的に接触しており、ピン3342は外部ワイヤに接続され、吸気板331自体も導電材料であり、圧電シート332と電気的に接触しており、かつ筐体32の接点は別のワイヤに接続されて、アクチュエータ要素33の駆動ループを完成させることができ、このように、本発明のガス輸送装置100は2本のワイヤにより駆動信号を送信することができ、一方のワイヤは導電筐体334のピン3342を介して、駆動信号を電極3341から圧電シート332に送信し、他方のワイヤは筐体32の接点を介して、筐体32が吸気板331に密着接触し、吸気板331が圧電シート332に密着することで、駆動信号を圧電シート332に送信し、これによって、圧電シート332は駆動信号(駆動電圧及び駆動周波数)を受信して変形し、さらにアクチュエータ要素33に上下変位するための駆動を発生させる(
図3Bから
図3Cに示すように)。
【0021】
上記アクチュエータ要素33の形状は円形の形態であり、本発明の具体的な実施形態では、アクチュエータ要素33の形状が円形であるため、本発明は同一の装置の周辺寸法において、アクチュエータ要素33は円形の外観設計を採用し、その構成要素である吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334も対応して円形を採用する。
【0022】
さらに
図1A、
図1B、
図2Aから
図2C、
図3Aから
図3C及び
図4を参照し、上記排気板21、弁ディス22、第一プレート23、第二プレート31及びアクチュエータ要素33は、ハウジング12の収容空間121内に順次積み重ね収容され、吸気カバー13及び排気カバー11によってハウジング12の上下に固定され、収容空間121がカバーされてガス輸送装置100が構成され、アクチュエータ要素33は、吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334の順に筐体32に積み重ね固設され、アクチュエータ要素33、筐体32、第二プレート31の間に吸気チャンバ322を形成する。また、第一プレート23の第一貫通穴231及び第二プレート31の第二貫通穴311は、いずれも吸気板331の作動領域3312の垂直投影領域の下に位置し、作動領域3312に垂直に対応している。
【0023】
本発明の具体的な実施形態では、
図3Aから
図3Cに示すように、圧電シート332が駆動信号(駆動電圧及び駆動周波数)を受信すると、逆圧電効果により電気エネルギーから機械エネルギーに変換され、駆動電圧の大きさに応じて圧電シート332の変形量を制御し、及び駆動周波数を操作することで圧電シート332の変形周波数を制御し、圧電シート332の変形によりアクチュエータ要素33にガスの輸送を開始させる。
【0024】
さらに
図3Bを参照し、駆動信号を受信した後、圧電シート332は変形し始め、吸気板331を動かして上向きに曲げ、このとき、吸気チャンバ322の容積が大きくなり、負圧が形成されて、弁ディス22が上向きに吸引されかつ第一プレート23の第一貫通穴231を閉じ、このとき、
図4に示すように、吸気カバー13の吸気端131側のガスは、アクチュエータ要素33内に吸い込まれ、吸気チャンバ322内に入る。さらに
図3Cを参照し、圧電シート332は駆動信号を受信して再び変形し、吸気板331を動かして下向きに曲げ、吸気チャンバ322を圧縮し、このとき、
図4に示すように、ケース11の吸気端131側のガスは、アクチュエータ要素33内に吸い込まれると同時に、吸気チャンバ322内部のガスが推進されて、それぞれ第二プレート31の第二貫通穴311及び第一プレート23の第一貫通穴231を通って下向きに輸送され、これによって、運動エネルギーがアクチュエータ要素33から下向きに伝達されて間隔Gに伝達される時、運動エネルギーにより弁ディス22を推進して変位させることができ、弁ディス22が第一貫通穴231から離脱して排気板21に当接し、さらに流路を開くように動作し、ガスを弁穴221を通って排気板21の排気穴211に下向きに輸送し、さらに排気穴211を通って、最後に排気カバー11の排気端111からガスを排出する(
図4に示すように)。その後、また
図3Bに示すように、圧電シート332は吸気板331を動かして上向きに曲げ、吸気チャンバ322の容積を増加させる時、吸気チャンバ322内に負圧状態が形成されることで、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じて、ガスが弁穴221及び第一貫通穴231、第二貫通穴311を通って吸気チャンバ322に逆流することを回避し、かつ収容空間121のガスが吸気チャンバ322に入る時、収容空間121のガス圧はガス輸送装置100外部のガス圧よりも低くなり、ガス輸送装置100外のガスは吸気端131を通って収容空間121に入る(
図4に示すように)。圧電シート332が駆動信号を受信して再び変形し、アクチュエータ要素33を再び動かして下向きに変位させる時、前記のように、吸気チャンバ322内のガスが下向きに導送され、最後に排気端111から排出され、駆動信号により前記ステップを継続することで、ガスを吸気端131から速やかに導入し、排気端111から排出することができ、大流量の効果を達成する。
【0025】
上記排気板21、弁ディス22、第一プレート23で弁体2を構成し、弁体2の流体の総流量は、排気穴211、弁穴221、第一貫通穴231の穴径または数に応じて設計・実現することができ、以下の表1に示す排気穴211の穴径と数及び弁穴221、第一貫通穴231の数の関係表を参照して、ガス輸送装置100が大流量を達成する最良の効果を実現する。
【0026】
【0027】
なお、本発明の具体的な実施形態では、排気板21、弁ディス22、第一プレート23で弁体2を構成し、設計上に弁ディス22が厚さ約0.4~0.6マイクロメートル(μm)の可撓性フィルムであり、かつ弁ディス22と第一プレート23の凹部232との間に保持される間隔Gが約40~70マイクロメートル(μm)の範囲内であることから、アクチュエータ要素33の圧電シート332が20~22キロヘルツ(kHz)の作動周波数、最も好ましくは21キロヘルツ(kHz)の作動周波数を維持し、30マイクロメートル(μm)の波長での圧差の振動を維持し、3マイクロメートル(μm)の弁ディス22を排気板21の凹部232に設置することによって保持された40~70マイクロメートル(μm)の範囲内の間隔Gと合わせることにより、この間隔G内で振動して粗密波を形成し、一方向に導流し、逆流を防止することができる最良の効果が得られ、これによって最大流量が得られ、空気の流れに伴う弁体2による圧力降下を最小化することは、弁性能を最大化するには重要である。
【0028】
上記のように、本発明に提供されるガス輸送装置は、排気板、弁ディス、第一プレート、第二プレート及び円形のアクチュエータ要素の順に積み重ね、組み合わせて使用し、弁ディス、第一プレート及び第二プレートの構造で弁体を構成し、弁体内に第一貫通穴、弁穴及び排気穴は、いずれも吸気穴に囲まれた作動領域の下に位置し、圧電シートが吸気板を動かす時、ガスを速やかに下向きに導送することができ、さらに、第一貫通穴と弁穴との間の位置ずれ処理により、気体の逆流を回避し、大流量及び気体の逆流を回避する構造を有し、気流が順方向である場合、弁体が流路を開くように動作し、気流が逆方向である場合、弁体が流路を閉じるように動作し、これにより逆流を防止し、一方向の気流を生成し、ガスの輸送量を増加させ、ガスの流量を大幅に増やし、大流量のガス輸送装置を構成することができ、産業上の利用可能性が極めて高い。
【0029】
本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0030】
100... ガス輸送装置
11... 排気カバー
111... 排気端
12... ハウジング
121... 収容空間
122... 封止口
13... 吸気カバー
131... 吸気端
2... 弁体
21... 排気板
211... 排気穴
22... 弁ディス
221... 弁穴
23... 第一プレート
231... 第一貫通穴
232... 凹部
3... アクチュエータ
31... 第二プレート
311... 第二貫通穴
32... 筐体
322... 吸気チャンバ
33... アクチュエータ要素
331... 吸気板
3311... 吸気穴
3312... 作動領域
3313... 固定領域
332... 圧電シート
333... 絶縁筐体
334... 導電筐体
3341... 電極
3342... ピン
5... ガス輸送装置本体
d1... 排気穴の穴径
d2... 弁穴の穴径
G... 間隔
【外国語明細書】