(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079979
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】非常時照明システム及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20230601BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20230601BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20230601BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230601BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20230601BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20230601BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20230601BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20230601BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20230601BHJP
【FI】
H05B47/155
G08B23/00 510Z
G08B25/00 510H
G08B17/00 L
H05B47/165
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/17
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038859
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2021192703
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(71)【出願人】
【識別番号】300029307
【氏名又は名称】株式会社ジェスコ
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】冨田 仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 政俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 多計夫
(72)【発明者】
【氏名】梅本 雅史
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】今井 大貴
【テーマコード(参考)】
3K273
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】同期信号をやり取りすることなく照明エリアが重複する複数の照明装置の点滅を同期させて光過敏性発作などを防止可能とする。
【解決手段】警報器12(12-1)~12(12-3)は住宅11の部屋等に設置され、火災を検出した場合に火災警報を出力するとともに火災移報信号を送信する。照明装置10(10-1)~10(10-4)は、警報器12(12-1)~12(12-3)からの火災移報信号を受信して避難誘導を促すために点滅を開始する。照明装置10(10-1)は、点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置10(10-2)の点滅を検出して同期させる。例えば、照明装置10(10-1)は、点滅周期Tの消灯時間T2に他の照明装置10(10-2)の点滅における点灯開始を検出した場合、当該点灯開始時点から点滅周期Tだけ遅延して点灯を開始することで、自己の点滅を他の照明装置10(10-2)の点滅に同期させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検出して警報する警報器と、所定エリアを照明する照明装置とを備えた非常時照明システムであって、
前記照明装置は、
前記警報器の警報動作を検出した場合に点滅し、
点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項2】
請求項1記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の前記消灯時間のあいだに前記他の照明装置の点滅における点灯開始を検出した場合、当該点灯開始の検出時点から前記点滅周期だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を前記他の照明装置の点滅に同期させることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項3】
請求項1記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の前記消灯時間のあいだに前記他の照明装置の点滅における点灯終了を検出した場合、当該点灯終了の検出時点から前記消灯時間だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を前記他の照明装置の点滅に同期させることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合、点滅を停止して常時点灯に切替えることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合、点滅を停止して常時点灯に切替えることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、自己の照明エリアに対応する前記警報器から火元を示す火災移報信号を受信した場合、他の照明装置とは異なる火元を示す点滅状態とすることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項7】
請求項6記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、前記火元を示す点滅状態として、他の照明装置の点滅周期の整数倍又は整数分の1の点滅周期で点滅させることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、
照明スイッチの操作により断接される商用交流電源を直流電源に変換する主電源部と、
前記商用交流電源により充電されるバッテリー電源部と、
を備え、
前記照明スイッチの消灯操作による前記商用交流電源の停止中は、前記バッテリー電源部により動作し、前記照明スイッチの点灯操作による前記商用交流電源の供給を検出した場合は、前記主電源部による動作に切替えることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項9】
請求項1乃至3の何れかを引用した請求項8記載の非常用照明システムにおいて、
前記照明装置は、前記バッテリー電源部により動作中かつ点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合は、前記警報器の警報動作に基づく点滅と比較して、点滅の周期における点灯時間の割合を大きくする点滅状態とすることを特徴とする非常時照明システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の非常時照明システムにおいて、
前記照明装置は、前記点滅に代えて明滅することを特徴とする非常時照明システム。
【請求項11】
所定エリアを照明する照明部と、
外部からの信号を受信する受信部と、
照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、
前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
前記受信部で警報器からの火災移報信号を受信した場合に前記照明部の点滅を開始し、
点滅中に前記照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする照明装置。
【請求項12】
所定エリアを照明する照明部と、
外部音を検出する集音部と、
照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、
前記照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
前記照明制御部は、
前記集音部で警報器からの警報音を検出した場合に前記照明部の点滅を開始し、
点滅中に前記照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の照明装置において、
前記照明制御部は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の消灯時間のあいだに前記他の照明装置の点滅における点灯開始又は点灯終了を検出した場合、前記他の照明装置の点滅における次回の点滅開始まで遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を前記他の照明装置の点滅に同期させることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項11又は12記載の照明装置において、
前記照明制御部は、点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合、点滅を停止して常時点灯に切替えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器の警報動作に連動して照明を点滅する非常時照明システム及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間に火災が発生したときの対応として、住宅用火災警報器等と連動する非常時照明システムや照明装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、住宅用火災警報器の警報音を集音し、照明装置に点灯信号を送信するリモコン装置を備える照明システムが開示されている。また、特許文献2には、住宅用火災警報器から無線信号を送信し、無線信号を受信したときに点灯する非常時照明システム及び照明装置が開示されている。
【0004】
このように従来の非常時照明システムにあっては、火災を検出した警報器の動作に連動して照明装置を点灯するものであるが、照明装置の点灯状態は通常時と差異がなく、照明装置だけでは火災の発生に気づけないというおそれがあった。そこで、火災発生を示す点滅動作を行う照明装置が検討されている。また、火災時は避難のため複数の照明装置が点灯し、また、点滅動作を行うことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-204393号公報
【特許文献2】特開2011-221736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の照明装置が点滅動作を行うとき、照明エリアが重複する照明装置の点滅タイミングが異なると、視覚に飛び込んだ光刺激に対する異常反応の症状として知られた光過敏性発作、例えば、てんかん障害などを生じるおそれがあり、点滅のタイミングを同期させることが好適である。
【0007】
しかしながら、複数の照明装置の点滅の同期をとるためには、複数の照明装置それぞれに無線の通信部を設け、同期信号をやり取りすることも考えられるが、構成が複雑化し、コストが増加してしまう問題がある。
【0008】
本発明は、同期信号を通信することなく照明エリアが重複する複数の照明装置の点滅を同期させて光過敏性発作などを防止可能とする非常時照明システム及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(非常時照明システム)
本発明は、火災を検出して警報する警報器と、所定エリアを照明する照明装置とを備えた非常時照明システムであって、
照明装置は、
警報器の警報動作を検出した場合に点滅し、
点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする。
【0010】
(点滅同期制御その1)
照明装置は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯開始を検出した場合、当該点灯開始の検出時点から点滅周期だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる。
【0011】
(点滅同期制御その2)
照明装置は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯終了を検出した場合、当該点灯終了の検出時点から点滅周期の消灯時間だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を前記他の照明装置の点滅に同期させる。
【0012】
(照明スイッチの点灯操作による点滅停止)
照明装置は、点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合、点滅を停止して常時点灯に切替える。
【0013】
(所定時間の経過による点滅停止)
照明装置は、点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合、点滅を停止して常時点灯に切替える。
【0014】
(火元を識別する点滅状態)
照明装置は、自己の照明エリアに対応する警報器から火元を示す火災移報信号を受信した場合、他の照明装置とは異なる火元を示す点滅状態とする。
【0015】
(火元を識別する点滅周期)
照明装置は、火元を示す点滅状態として、点滅周期を他の照明装置の点滅周期の整数倍又は整数分の1の点滅周期で点滅させる。
【0016】
(動作電源の切替)
照明装置は、
照明スイッチの操作により断接される商用交流電源を直流電源に変換する主電源部と、
商用交流電源により充電されるバッテリー電源部と、
を備え、
照明スイッチの消灯操作による商用交流電源の停止中は、バッテリー電源部により動作し、照明スイッチの点灯操作により商用交流電源の供給を検出した場合は、主電源部による動作に切替える。
【0017】
(所定時間経過後の点滅制御)
照明装置は、バッテリー電源部により動作中かつ点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合は、警報器の警報動作に基づく点滅と比較して、点滅の周期における点灯時間時間の割合を大きくする点滅状態とする。
【0018】
(照明装置の明滅)
照明装置は、点滅に代えて明滅する。
【0019】
(第1の照明装置)
本発明は、照明装置であって、
所定エリアを照明する照明部と、
外部からの信号を受信する受信部と、
照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、
照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
照明制御部は、
受信部で警報器からの火災移報信号を受信した場合に照明部の点滅を開始し、
点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする。
【0020】
(第2の照明装置)
本発明は、照明装置であって、
所定エリアを照明する照明部と、
外部音を検出する集音部と、
照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、
照明部を制御する照明制御部と、
を備え、
照明制御部は、
集音部で警報器からの警報音を検出した場合に照明部の点滅を開始し、
点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させることを特徴とする。
【0021】
(点滅同期制御)
照明制御部は、
所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、
点滅中の消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯開始又は点灯終了を検出した場合、他の照明装置の点滅における次回の点滅開始まで遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる。
【0022】
(点滅停止)
照明制御部は、点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合、点滅を停止して常時点灯に切替える。
【発明の効果】
【0023】
(非常時照明システムの効果)
本発明の非常時照明システムにあっては、火災を検出して警報する警報器と、所定エリアを照明する照明装置とを備え、照明装置は、警報器の警報動作を検出した場合に点滅し、点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に当該他の照明装置と点滅を同期させるようにしたため、警報器の火災検出に連動して点滅する照明装置に、照明装置間で同期信号をやり取りすることなく、照明エリアが重複する複数の照明装置で同期した点滅動作が可能となり、光過敏性発作の可能性がある利用者であっても、照明装置の点滅により火災に気づいても発作などを起こすことなく適切に対処可能とする。
【0024】
(点滅同期制御その1の効果)
また、照明装置は、所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、点滅中の消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯開始を検出した場合、当該点灯開始の検出時点から点滅周期だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させることで、照明エリアが重複する複数の照明装置の点滅周期を一致させる同期、即ち、点滅周期における点灯時間と消灯時間を一致させる同期を確実に行うことを可能とする。
【0025】
(点滅同期制御その2の効果)
また、照明装置は、所定の点灯時間と所定の消灯時間とからなる所定の点滅周期で点滅し、点滅中の消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯終了を検出した場合、当該点灯終了の検出時点から点滅周期の消灯時間だけ遅延した後に点滅における点灯を開始して、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させることで、照明エリアが重複する複数の照明装置の点滅周期を一致させる同期、即ち、点滅周期における点灯時間と消灯時間を一致させる同期を確実に行うことを可能とする。この点滅同期制御その2は、前述した点滅同期制御その1に比べ、点滅同期となるまでの時間を短くすることができる。
【0026】
(照明スイッチの点灯操作による点滅停止の効果)
また、照明装置は、点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合、点滅を停止して常時点灯に切替えることで、利用者による照明スイッチの操作により、火災の報知を優先する点滅状態から避難を補助する点灯状態へ移行することが可能となる。
【0027】
(所定時間の経過による点滅停止の効果)
また、照明装置は、点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合、点滅を停止して常時点灯に切替えることで、火災を報知するに十分な時間が経過した後に、自動的に火災の報知を優先する点滅状態から避難を補助する点灯状態へ移行することが可能となる。
【0028】
(火元を識別する点滅による効果)
また、照明装置は、自己の照明エリアに対応する警報器から火元を示す火災移報信号を受信した場合、他の照明装置とは異なる火元を示す点滅状態とすることで、警報器の警報動作に連動して複数の照明装置が点滅した場合、点滅状態の相違から火元を容易に識別可能とする。また、火元を示す点滅状態として、点滅周期を他の照明装置の点滅周期の整数倍又は整数分の1とすることで、照明エリアが重複する他の照明装置との異なる点滅周期での同期を可能とする。
【0029】
(動作電源の切替による効果)
また、照明装置は、照明スイッチの操作により断接される商用交流電源を直流電源に変換する主電源部と、商用交流電源により充電されるバッテリー電源部と、を備え、照明スイッチの消灯操作による商用交流電源の停止中は、バッテリー電源部により動作し、照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合は、主電源部による動作に切替えるようにしたため、警報器の警報動作に連動した点滅中に照明スイッチが点灯操作されて商用交流電源が供給されると、バッテリー電源部による動作から主電源部による動作に切り替わり、照明装置のバッテリーが過剰に消耗するおそれを低減可能とする。
【0030】
(所定時間経過後の点滅制御による効果)
また、照明装置は、バッテリー電源部により動作中かつ点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合は、警報器の警報動作に基づく点滅と比較して、点滅の周期における点灯時間時間の割合を大きくする点滅状態とし、例えば、長時間の点灯とごく短時間の消灯を繰り返すことで、点灯状態と同様の使用感としながら、バッテリー動作中であることを認識させることができ、バッテリー切れによる急な照明装置の消灯を防止することが可能となる。
【0031】
(照明装置の明滅による効果)
また、照明装置は、点滅に代えて明滅するようにしてもよく、点滅動作と同様に、例えば、明滅動作によって睡眠中の利用者に火災の発生を報知可能とする。
【0032】
(第1及び第2の照明装置による効果)
本発明による第1及び第2の照明装置であって、警報器からの火災移報信号の受信又は警報音の検出により、照明装置間で同期信号をやり取りすることなく、照明エリアが重複する複数の照明装置で同期した点滅動作が可能となり、光過敏性発作の可能性がある利用者であっても、照明装置の点滅により火災に気づいても発作などを起こすことなく適切に対処可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】住宅に設置された非常時照明システムの機器構成の一例を示した説明図である。
【
図3】警報器の他の実施形態を示した説明図である。
【
図5】照明エリアが重複する2台の照明装置の点滅同期制御その1を示したタイムチャートである。
【
図6】照明エリアが重複する3台の照明装置の点滅同期制御その1を示したタイムチャートである。
【
図7】照明装置の制御動作を示したフローチャートである。
【
図8】照明エリアが重複する2台及び3台の照明装置についての点滅同期制御その2を示したタイムチャートである。
【
図9】照明装置の他の実施形態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明に係る非常時照明システム及び照明装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0035】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、警報器の火災検出に連動して点滅する照明装置を備えた非常時照明システムに関するものである。
【0036】
ここで、「警報器」とは、一般住宅やグループホームなどの監視領域に設置され、火災に伴い発生する煙、熱、ガス等を検出して警報するものであり、本実施形態にあっては、例えば、住宅に設置される住宅用の火災警報器を含むが概念であり、さらに、複数の警報器が相互に連動信号を無線で送受信して連動警報を出力する無線連動型の警報器を含む概念である。無線連動型の警報器は、複数の警報器により連動グループを構成し、火災を検出して警報動作を行った警報器は、連動グループに属する他の警報器に連動信号を送信して警報動作を行わせ、さらに、照明装置などの他の機器へ火災移報信号を送信するものである。
【0037】
また、「照明装置」とは、所定のエリア(照明エリア)、例えば、照明装置が設置された一般住宅やグループホームの部屋などを照明する装置であり、通常は、照明スイッチの操作により点灯し、また、消灯されるものであるが、本実施形態の照明装置は、例えば、就寝中に火災が発生した場合に、警報器の火災検出動作に連動して点灯し、火災の報知と避難の補助を可能とするものである。
【0038】
本実施形態の照明装置は、警報器の警報動作を検出した場合に、より確実に火災を報知するために点滅し、点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に当該他の照明装置と点滅を同期させ、光過敏性発作などを防止可能とするものである。
【0039】
ここで、「警報器の警報動作を検出した場合に点滅し」とは、警報器が火災を検出して照明装置へ火災移報信号を送信する場合、警報器からの火災移報信号を受信した場合に点滅を開始することを意味する。また、照明装置に外部音を検出する集音部が設けられている場合、警報器からの警報音を検出した場合に点滅を開始することを意味する。
【0040】
また、「点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出して同期させる」とする点滅同期制御には、次のその1とその2がある。
【0041】
「点滅同期制御その1」とは、所定の点灯時間(T1)と所定の消灯時間(T2)からなる所定の点滅周期(T)の所定の消灯時間(T2)のあいだに、照明エリアが重複する他の照明装置の点滅における点灯開始を検出した場合、点灯開始の検出時点から点滅周期(T)だけ遅延(経過)した後に点滅における点灯を開始することで、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる制御となる。
【0042】
また、「点滅同期制御その2」とは、所定の点灯時間(T1)と所定の消灯時間(T2)からなる所定の点滅周期(T)の所定の消灯時間(T2)のあいだに、照明エリアが重複する他の照明装置の点滅における点灯終了を検出した場合、点灯終了の検出時点から点滅周期(T)の消灯時間(T2)だけ遅延(経過)した後に点滅における点灯を開始することで、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる制御となる。
【0043】
また、照明装置は、点滅中に所定の点滅停止条件が成立した場合に、火災を報知するための点滅を停止して避難を補助するための常時点灯に切り替えるものである。
【0044】
ここで、「点滅停止条件」は任意であるが、例えば、照明装置は点滅中に照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合に、点滅を停止して常時点灯に切替えるものである。
【0045】
また、照明装置は、警報器の警報音を検出して点滅を開始した場合、警報器からの警報音の停止を検出した場合に、点滅を停止して常時点灯に切替えるものである。
【0046】
また、照明装置は、点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合に、点滅を停止して常時点灯に切替えてもよい。
【0047】
また、照明装置は、点滅を停止して常時点灯に切替えた場合、消灯中の照明スイッチの操作による常時点灯及び警報器の警報動作に基づく点滅とは異なる点灯状態、例えば、点灯中にごく短時間だけ消灯するパターンなどを繰り返すものである。
【0048】
また、照明装置は、自己の照明エリアに対応する警報器から火元を示す火災移報信号を受信した場合、他の照明装置とは異なる火元を示す点滅状態、例えば、他の照明装置の点滅周期の整数倍又は整数分の1の点滅周期で点滅させるものである。
【0049】
また、照明装置は、照明スイッチの操作により断接される商用交流電源を直流電源に変換する主電源部と、商用交流電源により充電されるバッテリー電源部とを備え、就寝等で照明スイッチの消灯操作による商用交流電源の停止中は、バッテリー電源部により動作し、照明スイッチの点灯操作による商用交流電源の供給を検出した場合は、主電源部による動作に切替えるものである。
【0050】
また、照明装置は、警報器の警報動作を検出した場合に、点滅に代えて明滅するようにしてもよく、明滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の明滅を検出して同期させるものである。ここで、「明滅」とは、明るい点灯と暗い点灯を交互に繰り返すことであり、照明の明るさを周期的に変化させるものである。
【0051】
また、実施形態の照明装置は、構成の相違により第1の照明装置と第2の照明装置に分けられている。第1の照明装置は、所定エリアを照明する照明部と、外部からの信号を受信する受信部と、照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、照明部を制御する照明制御部とで構成されるものであり、照明制御部は、受信部で警報器からの火災移報信号を受信した場合に照明部の点滅を開始し、点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させるものである。
【0052】
また、第2の照明装置は、所定エリアを照明する照明部と、外部音を検出する集音部と、照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出する受光部と、照明部を制御する照明制御部とで構成され、照明制御部は、集音部で警報器からの警報音を検出した場合に照明部の点滅を開始し、点滅中に照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に、当該他の照明装置と点滅を同期させるものである。
【0053】
第1及び第2の照明装置の照明制御部による点滅同期制御は、前述した点滅同期制御その1又はその2の何れか、若しくは両者の併用とする。
【0054】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「警報器」が「無線連動型の住宅用の火災警報器」であり、「照明装置」が「LED光源」を備えたものであり、「照明エリア」が住宅の居間、台所、寝室などの部屋である場合について説明する。
【0055】
[実施形態の具体的内容]
非常時照明システム及び照明装置の実施形態について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.非常時照明システムの概要
b.警報器
b1.警報器の構成
b2.警報制御部
b3.移報通信機能を外付けした警報器
c.照明装置
c1.照明装置の構成
c2.照明装置の動作電源
c3.照明制御部の点滅同期制御
c4.点滅同期制御その1
c5.2台の照明装置の点滅同期制御その1
c6.3台の照明装置の点滅同期制御その1
c7.点滅停止制御
c8.他の点滅停止制御
c9.点滅停止後の点灯制御
c10.所定時間経過後の点滅制御
c11.火元を識別する点滅制御
d.照明装置の制御動作
e.点滅同期制御その2
f.集音部を備えた照明装置の実施形態
g.本発明の変形例
【0056】
[a.非常時照明システムの概要]
非常時照明システムの概要について、より詳細に説明する。本実施形態の非常時照明システムは、例えば、住宅に設置されて火災を監視するものであり、住宅内での設置は任意であるが、例えば、
図1に示すように、住宅11の居間、台所、寝室などの各部屋に、照明装置10(10-1)~10(10-4)と無線連動型の警報器12が設置されている。この内、居間にあっては、2台の照明装置10(10-1),10(10-2)が設置され、照明エリアが重複している。
【0057】
また、住宅11の居間、台所、寝室などの各部屋には警報器12(12-1)~12(12-3)が設置されている。警報器12(12-1)~12(12-3)は、火災を検出して警報動作を行うものであり、連動グループを形成している。連動グループは、警報器12(12-1)~12(12-3)に、固有のグループ番号と警報器番号を登録し、また、警報器12(12-1)~12(12-3)が自己のグループに属する他の警報器の警報器番号を登録したグループ管理情報を記憶することで構成される。連動グループを形成する警報器の数は最大数が決められており、例えば、最大数を15台としている。
【0058】
例えば、居間の警報器12(12-1)が火災を検出した場合、所定の音声メッセージの出力と表示灯の作動により火災が発生した旨を示す警報動作を行うとともに、他の警報器12(12-2),12(12-3)に対し火災を検出した旨を示す火災連動信号を送信して火災警報動作を行わせるものである。
【0059】
このため、警報器12(12-1)~12(12-3)は、連動通信機能を備える。連動通信機能は、第1周波数帯域として通信規格RCR STD-30の426HMz帯を使用し、火災を検出した旨を示す火災連動信号を送信するものであり、火災連動信号にはグループ番号と自己の警報器番号が含まれている。
【0060】
また、警報器12(12-1)~12(12-3)は、照明装置10(10-1)~10(10-4)に対し火災移報信号を送信するため移報通信機能を備える。移報通信機能は、第2周波数帯域として、例えば、通信規格STD-T108の920MHz帯を使用して火災移報信号を照明装置10(10-1)~10(10-4)へ送信する。
【0061】
警報器12(12-1)~12(12-3)の移報通信機能に対応して照明装置10(10-1)~10(10-4)にも移報通信機能が設けられ、通信規格STD-T108の920MHz帯を使用して警報器12(12-1)~12(12-3)から送信されたグループ番号と警報器番号を含む火災移報信号を受信可能としている。
【0062】
[b.警報器]
(b1.警報器の構成)
警報器について、より詳細に説明する。
図2は、警報器の具体的な実施形態を示した説明図である。
図2に示すように、警報器12(12-1)は、火災を検出した場合に、火災信号を含む第1周波数帯域の火災連動信号を他の警報器へ送信するとともに、第2周波数帯域の火災移報信号を照明装置10に送信するものであり、その機能や構成は任意であるが、例えば、警報制御部14、センサ部16、報知部18、操作部20、連動通信部22及び移報通信部26で構成されるものである。他の警報器12(12-2),12(12-3)も同様となる。
【0063】
警報制御部14は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、CPUによるプログラムの実行により所定の警報制御を実行する。
【0064】
センサ部16は、火災に伴う煙、熱、ガス等を検出するものであり、その構成や機能は任意であるが、例えば、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。また、センサ部16として温度検出部を設けてもよい。温度検出部は、温度検出素子として、例えば、サーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧信号となる温度検出信号を出力する。
【0065】
報知部18は、火災警報を音と光により外部に報知するものであり、その構成は任意であるが、例えば、表示灯とスピーカを備えている。表示灯は、例えば、LEDを使用しており、警報器自身で火災を検出した場合は点灯し、他の警報器から火災信号を含む火災連動信号を受信した場合は点滅又は明滅する。
【0066】
操作部20は、例えば、テストスイッチと登録スイッチを備えるものであり、火災を検出していない状態でテストスイッチを操作すると、所定のテスト動作を行ってスピーカから所定のテストメッセージを出力させる。また、テストスイッチは、火災警報出力中には警報停止スイッチとして機能する。登録スイッチを操作すると、所定の登録操作によりグループ番号及び他の警報器の警報器番号を登録したグループ管理情報を生成して不揮発メモリに記憶させる。
【0067】
連動通信部22は、アンテナ24が接続され、他の警報器12(12-2)~12(12-3)との間で、426MHz帯を使用して火災信号を含む火災連動信号の通信動作を行う。移報通信部26は、アンテナ28が接続され、照明装置10(10-1)~10(10-4)との間で、920MHz帯を使用して火災移報信号を含む各種の移報信号の通信動作を行う。
【0068】
(b2.警報制御部)
警報制御部14について、より詳細に説明する。警報制御部14は、センサ部16から出力された煙濃度の検出信号をA/D変換して読み込み、煙濃度が所定の閾値以上の場合に火災を検出とし、火災警報を出力させる制御を行う。
【0069】
また、警報制御部14は、火災警報動作を行った場合に、連動通信部22に指示して生成した火災連動信号を、426MHz帯を使用して他の警報器へ送信させる制御を行う。ここで、火災連動信号には、グループ番号と自己の警報器番号が含まれる。
【0070】
また、警報制御部14は、火災連動信号の送信終了を開始点とする所定時間の間、他の警報器からの火災受信確認信号の受信可能な受信待機状態とし、この受信待機状態で他の全ての警報器から火災受信確認信号を受信できた場合は、火災連動信号の通信動作に成功したことから正常終了させ、一方、他の何れかの警報器から火災受信確認信号を受信できなかった場合は、火災連動信号の通信動作に失敗したことから、火災連動信号を再送させる制御を行う。
【0071】
また、警報制御部14は、連動グループに属する他の警報器が送信した火災連動信号を連動通信部22により受信した場合に、他の警報器での火災検出した旨を示す火災警報を出力する制御を行うとともに、他の警報器の火災連動信号の送信終了を開始時点とする所定時間のあいだに、例えば警報器番号に従って定められた自己の順番のタイミングで、グループ番号と火災を検出した警報器番号を含む火災連動信号の受信を確認した旨を示す火災受信確認信号を所定時間送信する制御を行う。
【0072】
また、警報制御部14は、操作部20のテストスイッチの操作による警報停止制御、センサ部16の煙濃度が閾値以下に下がる火災復旧制御についても、火災連動信号の場合と同様に、連動通信部22により警報停止連動信号及び火災復旧連動信号の送信を行う。
【0073】
また、警報制御部14は、火災が検出された場合に、連動通信部22からの426MHz帯を使用して送信される火災連動信号の送信終了又は送信休止の空タイミングで、移報通信部26に指示し、920MHz帯を使用してグループ番号と火災を検出した警報器番号を含む火災移報信号を照明装置10(10-1)~10(10-4)へ送信する制御を行う。
【0074】
また、警報制御部14は、センサ部16で検出した煙濃度から火災を検出した場合、警報器自身の設置場所が火元であることから、グループ番号と警報器番号に加え、火元を示す識別コードを含む火災移報信号を照明装置10(10-1)~10(10-4)へ送信する。
【0075】
また、警報制御部14は、照明装置10(10-1)~10(10-4)へ火災移報信号の送信終了後に、照明装置10(10-1)~10(10-4)からの火災受信確認信号(ACK)を受信可能な受信待機状態とし、この受信待機状態で火災受信確認信号を受信できた場合は、火災移報信号の通信動作に成功したことから正常終了とし、一方、火災受信確認信号を受信できなかった場合は、火災移報信号の通信動作に失敗したことから、火災移報信号を再送させる制御を行う。
【0076】
(b3.移報通信機能を外付けした警報器)
図3は、警報器12(12-1)の他の実施形態を示した説明図であり、本実施形態の警報器12(12-1)は、移報通信機能を外付けしたことを特徴とする。なお、他の警報器12(12-2),12(12-3)も同様となる。
【0077】
図3に示すように、警報器12(12-1)に対しては別装置として移報通信アダプタ260が設けられ、警報制御部14からの移報端子250に接続されている。移報通信アダプタ260は、例えば、電池電源で動作し、
図2の警報器12(12-1)の移報通信部26と同様に、火災を検出した警報制御部14の指示を受けて、920MHz帯を使用してグループ番号、警報器番号および火元識別コードを含む火災移報信号を照明装置10(10-1~10(10-4)へ送信する制御を行う。
【0078】
このように移報通信アダプタ260を外付けすることで、既存の無線連動型の警報器を僅かな変更で非常時照明システムの警報器として使用可能とする。また、無線連動機能を持たないスタンドアロン型の警報器であっても、移報通信アダプタ260を移報端子に接続することで、非常時照明システムの警報器として使用可能とする。
【0079】
[c.照明装置]
非常時照明システムに設けられた照明装置について、より詳細に説明する。照明装置10(10-1)は、警報器12(12-1)~12(12-3)の火災検出による警報動作を検出した場合に、火災の報知をより確実に行うために照明を点滅させるものであり、併せて、光過敏症発作などの利用者に対する悪影響を防止するため、無線通信により同期信号をやりとりすることなく、照明エリアが重複する他の照明装置の点滅を検出した場合に当該他の照明装置と点滅を同期させるものである。
【0080】
(c1.照明装置の構成)
照明装置10(10-1)の構成や機能は任意であるが、例えば、
図4に示すように、照明制御部30、主電源部32、バッテリー電源部34、充電部36、照明部38、移報通信部40、受光部44で構成される。なお、照明装置10(10-2)~10(10-4)も同様となる。
【0081】
照明制御部30は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたマイクロプロセッサなどのコンピュータ回路で構成され、CPUによるプログラムの実行により所定の照明制御を行うものである。
【0082】
主電源部32は、照明スイッチ46からACライン48を介して供給される商用交流電力を入力して、所定電圧の直流電力に変換して動作電源として出力するものであり、例えば、AC-DCコンバータなどが使用される。なお、照明スイッチ46は、遠隔操作により動作するスイッチ(例えば、リモコンスイッチ)を含むものである。
【0083】
バッテリー電源部34は、2次電池、例えば、リチウムイオン電池を備え、商用交流電力が供給される充電部36により充電され、主電源部30と同じ所定電圧の直流電力を動作電源として出力する。
【0084】
照明部38は、所定エリアを照明する光源モジュールであり、光源の種類は任意であるが、例えば、LEDモジュールが使用され、照明制御部30からの駆動信号により点灯又は消灯し、また、駆動パルス信号により点滅されるものである。
【0085】
移報通信部40は、アンテナ42が接続され、例えば、通信規格STD-T108の920MHz帯を使用して警報器12(12-1)~12(12-3)から送信された火災移報信号を受信し、また、必要に応じて受信確認応答信号(ACK)を警報器12(12-1)~12(12-3)へ送信する。
【0086】
受光部44は、自己の点滅動作を、照明エリアが重複する他の照明装置10(10-2)の点滅動作に同期させるために、他の照明装置10(10-2)の点滅を検出するものであり、フォトダイオードなどの受光素子で受光した点滅光の受光信号を増幅し、点滅検出信号を照明制御部30へ出力する。
【0087】
(c2.照明装置の動作電源)
照明装置10(10-1)の動作電源について、より詳細に説明する。照明スイッチ46が消灯操作された照明装置10(10-1)の消灯状態にあっては、主電源部32に対する商用交流電力の供給は停止していることから、照明制御部30は、動作電源をバッテリー電源部34に切り替える。そのため、照明制御部30、移報通信部40及び受光部44はバッテリー電源部34からの電源供給で動作し、また、照明部38についても、バッテリー電源部34からの電源供給で動作可能としている。
【0088】
この状態で、照明スイッチ46が点灯操作されると、商用交流電力が供給された主電源部32が動作電源を出力し、照明部38に駆動信号を出力して常時点灯として設置しているエリアを照明する。照明制御部30、移報通信部40及び受光部44も主電源部32からの電源供給で動作する。
【0089】
(c3.照明制御部の点滅同期制御)
照明制御部30の点滅同期制御について、より詳細に説明する。照明制御部30は、照明スイッチ46が消灯操作された、例えば、昼間や就寝中はバッテリー電源部34からの電源供給で動作しており、この状態で移報通信部40により警報器12(12-1)~12(12-3)の何れかより送信された火災移報信号の受信を検出すると、照明部38へ駆動パルス信号を出力し、火災を報知するために照明部38の点滅動作を開始させる。
【0090】
駆動パルス信号による照明部38の点滅動作は、所定の点滅周期(T)で行われる。点滅周期は所定の点灯時間(T1)と所定の消灯時間(T2)を合わせた時間(T=T1+T2)となる。ここで、点滅周期(T)の長さは任意であるが、例えば、数秒程度の周期であり、また、点灯時間T1と消灯時間T2は同じとしている(T1=T2)。
【0091】
(c4.点滅同期制御その1)
照明制御部30は、照明エリアが他の1又は複数の照明装置と重複している場合、他の照明装置の点滅を検出した受光部44から出力される点滅検出信号に基づいて、他の照明装置の点滅に自己の点滅を同期させる点滅同期制御を行う。照明制御部30の点滅同期制御は任意であるが、本実施形態では、点滅同期制御その1と点滅同期制御その2があり、ここでは、点滅同期制御その1について、より詳細に説明する。
【0092】
照明制御部30の点滅同期制御その1は、点滅周期(T)の消灯時間(T2)のあいだに、照明エリアが重複している他の照明装置、例えば、
図1の居間に設置された2台の照明装置10(10-1),10(10-2)において、照明装置10(10-1)で他方の照明装置10(10-2)の点滅の点灯開始を検出した場合に、当該点灯開始の検出時点から点滅周期(T)だけ遅延した後に点灯を開始することで、自己の点滅を他の照明装置10(10-2)の点滅に同期させる制御となる。
【0093】
(c5.2台の照明装置の点滅同期制御その1)
図5は、
図1の居間に設置された、照明エリアが重複する2台の照明装置10(10-1),10(10-2)の点滅同期制御その1を示したタイムチヤートであり、
図5(A)は、点滅開始から同期ずれがない場合を示し、
図5(B)は、照明装置10(10-1)か先に点滅を開始して同期ずれがある場合を示し、
図5(C)は、照明装置10(10-2)が先に点滅を開始して同期ずれがある場合を示している。なお、照明装置10(10-1),10(10-2)の火災移報信号の受信タイミングは、信号電波の伝搬経路の相違や照明装置の応答性のばらつきなどに起因して時間的にずれる場合があり、これが同期ずれの要因となる。
【0094】
図5(A)は、時刻t1で照明装置10(10-1),10(10-2)が同時に火災移報信号を受信しており、点灯時間(T1)と消灯時間(T2)の繰り返しとなる点滅周期(T)の点滅はと同期している。
【0095】
図5(B)は、時刻t1で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、続いて、時刻t2で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始しており、同期ずれを起こしている。この場合は、時刻t3からの照明装置10(10-2)の消灯時間T2の間の時刻t4で照明装置10(10-1)の点灯が開始され、照明装置10(10-2)にあっては、受光部44から出力される点滅検出信号により時刻t4の点灯開始が検出される。そこで、照明装置10(10-2)は、それまでの点滅を停止し、照明装置10(10-1)の点灯開始時刻t4から点滅周期(T)だけ遅延した時刻t5で、点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t5以降は、照明装置10(10-2)の点滅が、照明装置10(10-1)の点滅に同期した状態となる。
【0096】
図5(C)は、
図5(B)とは逆に、時刻t1で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、続いて、時刻t2で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始しており、同期ずれを起こしている。この場合は、時刻t3からの照明装置10(10-1)の消灯時間T2の間の時刻t4で照明装置10(10-2)の点灯が開始され、照明装置10(10-1)にあっては、受光部44から出力される点滅検出信号により時刻t4の点灯開始が検出される。そこで、照明装置10(10-1)は、それまでの点滅を停止し、照明装置10(10-2)の点灯開始時刻t4から点滅周期(T)だけ遅延した時刻t5で、点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t5以降は、照明装置10(10-1)の点滅が照明装置10(10-2)の点滅に同期した状態となる。
【0097】
(c6.3台の照明装置の点滅同期制御その1)
図6は、照明エリアが重複する3台の照明装置の点滅同期制御その1を示したタイムチャートであり、例えば、
図1に示した居間と台所は、壁や扉などで区切られない連続した室内空間となる場合あり、3台の照明装置10(10-1)~10(10-3)の照明エリアが重複している。ここで、
図6(A)は、照明装置10(10-1)~10(10-3)の点滅開始から同期ずれがない場合を示し、
図6(B)は、照明装置照明装置10(10-1),10810-2),10(10-3)の順に点滅を開始して同期ずれがある場合を示し、
図6(C)は、逆に照明装置照明装置10(10-3),10(10-2),10(10-1)の順番に点滅を開始して同期ずれがある場合を示している。
【0098】
図6(A)は、時刻t1で照明装置10(10-1)~10(10-3)の3台が同時に火災移報信号を受信しており、点灯時間(T1)と消灯時間(T2)の繰り返しとなる点滅周期(T)の点滅はと同期している。
【0099】
図6(B)は、時刻t1で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t2で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t3で照明装置10(10-3)が火災移報信号を受信して点滅を開始しており、同期ずれを起こしている。
【0100】
この場合は、時刻t4からの照明装置10(10-2)の消灯時間(T2)の間の時刻t6で照明装置10(10-1)の点灯開始が検出され、また、時刻t5からの照明装置10(10-3)の消灯時間(T2)の間の時刻t6で照明装置10(10-1)の点灯開始が検出される。そこで、照明装置10(10-2),10(10-3)は、それまでの点滅を停止し、点灯開始時刻t6から点滅周期(T)だけ遅延した時刻t7で点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t7以降は、照明装置10(10-2),10(10-3)の点滅が照明装置10(10-1)の点滅に同期した状態となる。
【0101】
図6(C)は、
図6(B)とは逆に、時刻t1で照明装置10(10-3)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t2で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t3で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始しており、同期ずれを起こしている。
【0102】
この場合は、時刻t4からの照明装置10(10-2)の消灯時間(T2)の間の時刻t6で照明装置10(10-3)の点灯開始が検出され、また、時刻t5からの照明装置10(10-1)の消灯時間(T2)の間の時刻t6で照明装置10(10-3)の点灯開始が検出される。そこで、照明装置10(10-1),10(10-2)は、それまでの点滅を停止し、点灯開始時刻t6から点滅周期(T)だけ遅延した時刻t7で点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t7以降は、照明装置10(10-1),10(10-2)の点滅が照明装置10(10-3)の点滅に同期した状態となる。
【0103】
このような照明装置の点滅同期制御その1は、照明エリアが重複する照明装置の台数が4台以上となった場合も同様となる。
【0104】
(c7.点滅停止制御)
また、照明制御部30は、照明部38の点滅中に照明スイッチ46の点灯操作により、ACライン48を介して供給される商用交流電源が入力した主電源部32からの動作電源の供給を検出した場合に、照明部38に対する駆動パルス信号の出力を停止して駆動信号の出力に切り替えることで、点滅を停止して常時点灯とする点滅停止制御を行う。
【0105】
照明装置10は、このように、点滅中に火災を知った利用者による照明スイッチ46の点灯操作により点滅を停止して常時点灯とすることで、火災の報知を優先する点滅状態から避難を補助する点灯状態へ移行することが可能となる。
【0106】
(c8.他の点滅停止制御)
また、照明制御部30は、他の点滅停止制御として、点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合に、点滅を停止して常時点灯に切替える点滅停止制御を行うようにしてもよい。これは警報器の警報動作とこれに連動した照明装置の点滅動作により、ある程度の時間が経過すれば就寝中であっても居住者は火災に気づくことから、例えば、数分後に点滅を停止して常時点灯とし、自動的に火災の報知を優先する点滅状態から避難を補助する点灯状態へ移行することを可能とする。なお、所定時間の経過による点滅停止制御は、単独で設けても良いし、他の点滅停止制御と併用しても良い。
【0107】
(c9.点滅停止後の点灯制御)
また、照明制御部30は、照明部38の点滅を停止して常時点灯に切替えた場合、日常的な(消灯中の)照明スイッチ46の点灯操作による常時点灯及び警報器の警報動作に基づく点滅とは異なる態様の点灯状態とする点灯制御を行う。例えば、照明制御部30は、照明部38の点滅を停止して常時点灯に切替えた場合、長時間の点灯とごく短時間の消灯を繰り返すこと、例えば、1分の点灯と1~2秒の消灯を繰り返す点灯制御を行う。これにより通常の常時点灯や火災の報知を優先した点滅状態と区別可能とし、避難を補助する点灯状態である旨を利用者に認識させることを可能とする。
【0108】
(c10.所定時間経過後の点滅制御)
また、照明制御部30は、バッテリー電源部34により動作中かつ点滅の開始から所定時間が経過して点滅中の場合、警報器12の警報動作に基づく点滅と比較して、点滅の周期における点灯時間時間の割合を大きくする点滅状態としても良く、例えば、長時間の点灯とごく短時間の消灯を繰り返すことで、点灯状態と同様の使用感としながら、バッテリー動作中であることを認識させることができ、バッテリー切れによる急な照明装置の消灯を防止することができる。
【0109】
(c11.火元を識別する点滅制御)
また、照明装置10(10-1)の照明制御部30は、自己の照明エリアに対応する警報器、例えば、
図1に示した同じ居間に設置した警報器12(12-1)から火元を示す火災移報信号を受信した場合、火元以外の他の照明装置10(10-3),10(10-4)とは異なる火元を示す点滅状態とする火元識別点滅制御を行う。照明制御部30による火元識別点滅制御の点滅パターンは任意であるが、例えば、火元の点滅周期を火元でない点滅周期の整数分の1又は整数倍し、より具体的には、火元の点滅周期を火元でない点滅周期の1/2又は2倍とする。
【0110】
これにより警報器の警報動作に連動して複数の照明装置が点滅した場合、点滅状態の相違から火元を容易に識別可能とする。また、火元を示す点滅状態として、点滅周期を他の照明装置の点滅周期の整数倍又は整数分の1とすることで、照明エリアが重複する他の照明装置との異なる点滅周期での同期を可能とする。
【0111】
[d.照明装置の制御動作]
照明装置の制御動作について、より詳細に説明する。
図7は、
図4に示した照明装置10(10-1)の制御動作を示したフローチャートであり、照明制御部30による制御動作となる。
【0112】
図7において、照明制御部30は、ステップS1で警報器からの火災移報信号の受信の有無を判別しており、火災移報信号の受信を判別するとステップS2に進み、照明部38の点滅動作を開始する。点滅動作中はステップS3で点滅周期(T)の消灯時間(T2)の間となる消灯中を判別するとステップS4に進み、受光部44から出力される他の照明装置の点滅検出信号から点灯開始の検出を判別するとステップS5に進み、点灯開始の検出時点から点滅周期(T)を遅延して点灯を開始し、これにより自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる。
【0113】
続いて、ステップS6で照明スイッチ46の点灯操作による商用交流電源の供給を、主電源部32からの動作電源の供給から判別するとステップS7に進み、動作電源の供給をバッテリー電源部34から主電源部32に切り替え、続いて、ステップS8で照明部38の点滅動作を停止し、常時点灯に切り替える。
【0114】
続いて、ステップS9に進み、移報通信部40で受信した火災移報信号から火元を判別した場合はステップS10に進み、火元を示す所定の点滅パターンによる常時点灯動作を行う。
【0115】
続いて、ステップS11で、照明スイッチ46の消灯操作による商用交流電源の供給停止を、主電源部32からの動作電源の出力停止から判別し、照明部38に対する駆動信号の出力を停止して照明を消灯するとともに、バッテリー電源部34からの動作電源の供給に切り替え、ステップS1に戻る。
【0116】
[e.点滅同期制御その2]
図4の照明装置10(10-1)の照明制御部30による点滅同期制御その2について、より詳細に説明する。
【0117】
照明制御部30による点滅同期制御その2は、点滅動作中における点滅周期(T)の所定の消灯時間(T2)のあいだに、照明エリアが重複する他の照明装置10(10-2)の点灯終了を検出した場合、点灯終了の検出時点から点滅周期(T)の消灯時間(T2)だけ遅延した後に点灯を開始することで、自己の点滅を他の照明装置の点滅に同期させる制御となる。
【0118】
図8は、照明エリアが重複する2台の照明装置10(10-1),10(10-2)による点滅同期制御その2を示したタイムチャートである。
図8(A)にあっては、時刻t1で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、続いて、時刻t2で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始しており、同期ずれを起こしている。この場合は、時刻t3からの照明装置10(10-1)の消灯時間T2の間の時刻t4で照明装置10(10-2)の点灯が終了し、照明装置10(10-1)にあっては、受光部44から出力される点滅検出信号により時刻t4の点灯終了が検出される。
【0119】
そこで、照明装置10(10-1)は、それまでの点滅を停止し、照明装置10(10-2)の点灯開始時刻t4から点滅周期(T)の消灯時間(T2)だけ遅延した時刻t5で点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t5以降は、照明装置10(10-1)の点滅が照明装置10(10-2)の点滅に同期した状態となる。
【0120】
図8(B)は、照明エリアが重複する3台の照明装置10(10-1),10(10-2),10(10-3)による点滅同期制御その2を示したタイムチャートである。
図8(B)にあっては、時刻t1で照明装置10(10-1)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t2で照明装置10(10-2)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、時刻t3で照明装置10(10-3)が火災移報信号を受信して点滅を開始し、同期ずれを起こしている。
【0121】
この場合は、時刻t4からの照明装置10(10-1)の消灯時間(T2)の間の時刻t5で照明装置10(10-2)が点灯を終了しているが、このとき照明装置10(10-3)の点灯が継続しているため、照明装置10(10-2)の点灯終了はマスクされ、照明装置10(10-1)で点灯終了は検出されない。
【0122】
続いて、時刻t6で照明装置10(10-3)の点灯が終了し、この点灯終了は照明装置10(10-1),10(10-2)で検出される。そこで、照明装置10(10-1),10(10-2)は、それまでの点滅を停止し、点灯開始時刻t6から点滅周期(T)の消灯時間(T2)だけ遅延した時刻t7で点灯時間(T1)の点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始する。これにより時刻t7以降は、照明装置10(10-1),10(10-2)の点滅が照明装置10(10-3)の点滅に同期した状態となる。
【0123】
このような照明装置の点滅同期制御その2は、照明エリアが重複する照明装置の台数が4台以上となった場合も同様となる。また、照明制御部30は、前述した点滅同期制御その1と点滅同期制御その2の両方の制御機能を備えてもよい。この場合には、消灯時間(T2)の間で他の照明装置の点滅による点灯終了又は点灯開始を検出したときに、前者は点滅周期(T)だけ遅延した後に、後者は点滅周期(T)の消灯時間(T2)だけ遅延した後に、点灯から始まる点滅周期(T)の点滅を開始することで、他の照明装置の点滅に同期させることになる。
【0124】
[f.集音部を備えた照明装置の実施形態]
集音部を備えた照明装置の他の実施形態について、より詳細に説明する。
図9は、照明装置10(10-1)の他の実施形態を示した説明図であり、その構成は任意であるが、例えば、照明制御部30、主電源部32、バッテリー電源部34、充電部36、照明部38、受光部44及び集音部50で構成され、
図4の実施形態の移報通信部40は備えていない。なお、照明装置10(10-2)~10(10-4)も同様となる。ここで、主電源部32、バッテリー電源部34、充電部36、照明部38及び受光部44は
図4の実施形態と同様となることから、その説明は省略する。
【0125】
集音部50は、外部音を検出するものであり、その構成や機能は任意であるが、例えば、マイクロホンと音響増幅部で構成され、警報器が警報動作した場合に出力される警報音の検出信号を照明制御部30に出力するものである。
【0126】
集音部50を備えたことに伴い、照明制御部30は、集音部50からの外部音の検出信号より警報器からの警報音を検出した場合に、照明部38に駆動パルス信号を出力して点滅させる点滅制御を行う。
【0127】
また、照明制御部30は、点滅制御中に、集音部50からの外部音の検出信号より警報器からの警報音の停止を検出した場合に、点滅を停止して常時点灯に切替える点滅停止制御を行う。これ以外の点滅同期制御を含む他の制御は、
図4の照明装置10(10-1)と同様になることから、その説明は省略する。
【0128】
このため、
図1の住宅11に設置された照明装置10(10-1)~10(10-4)を、
図9の照明装置10(10-1)の構成とした場合には、警報器12(12-1)~12(12-3)の何れかで火災が検出されると、連動制御により全ての警報器12(12-1)~12(12-3)から警報音が出力され、照明装置10(10-1)~10(10-4)の全てが警報音を検出した場合に点滅動作を開始することになる。また、照明装置10(10-1)~10(10-4)及び警報器12(12-1)~12(12-3)に移報通信部を設ける必要がないことから、装置構成が簡単となり、低コストのメリットがある。
【0129】
[g.本発明の変形例]
本発明による非常時照明システム及び照明装置の変形例について説明する。本発明の非常時照明システム及び照明装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0130】
(移報通信機能)
上記の実施形態は、移報通信部26又は移報通信アダプタ260として、通信規格STD-T108の920MHz帯を例にとるものであったが、これに限定されず任意であり、例えば、通信規格ARIB STD-T66の2.4GHz帯、通信規格RCR STD-33の2.4GHz帯、及び通信規格ARIB STD-T70~72の5GHz帯、あるいは、公知の近距離無線として知られたBluetooth(登録商標)を使用してもよい。
【0131】
(点滅同期制御のデッドロック回避)
上記の実施形態の点滅同期制御その1及びその2にあっては、照明エリアが重複する複数の照明装置の点滅開始時の同期ずれが点滅周期(T)の半周期(T/2)であった場合、点滅周期(T)における照明装置の消灯時間が他の照明装置の点灯時間に一致してマスクされ、消灯時間のタイミングで他の照明装置の点滅による点灯終了又は点灯開始が検出することができず、相互に点滅を同期させることができなくなるデッドロックを起こす。この点滅同期制御のデッドロックを回避するため、例えば、点滅を開始した複数の照明装置は、照明装置ごとに異なる所定時間が経過したタイミングで、点滅周期(T)の消灯を所定時間だけ遅延させて伸ばし、伸ばした消灯時間のあいだに他の照明装置の点滅における点灯終了又は点灯開始を検出した場合に、伸ばした消灯時間を所定の消灯時間(T2)に戻して、他の照明装置と点滅を同期させるようにする。
【0132】
(親子方式)
上記の実施形態は、住宅内に複数の警報器を設置して連動グループを構成する場合、親機/子機の区別が無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、親機と複数の子機を設置して連動グループを形成し、親機および子機に、グループ内で426MHz帯を使用して相互に通信するとともに、920MHz帯を使用して照明装置10へ火災移報信号を送信する機能を持たせるようにしてもよい。
【0133】
(点滅動作の終了方法)
上記の実施形態は、照明スイッチの操作により照明装置の点滅動作を終了させているが、照明装置の点滅動作を終了させる方法はこれに限らない。例えば、音声入力可能なスマートスピーカ等からの信号を受信した場合に、照明装置の点滅動作を終了させるようにしてもよい。また、照明スイッチにスマートスイッチを取り付け、スマートスピーカからの信号を受信した場合に、スマートスイッチが照明スイッチを操作するようにしてもよい。
【0134】
(警報器)
上記の実施形態は、警報器の火災検出に連動して照明装置を点灯させる非常時照明システムを例にとるものであったが、火災検出以外の無線式の警報器、例えば、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器の検出動作に連動して照明装置を点灯させる非常時照明システムとしてもよい。
【0135】
また、上記の実施形態は無線式の警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に備えた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした無線式の警報器であっても良い。
【0136】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0137】
10(10-1)~10(10-4):照明装置
11:住宅
12(12-1)~12(12-3):警報器
14:警報制御部
16:センサ部
18:報知部
20:操作部
22:連動通信部
24,28,42:アンテナ
26,40:移報通信部
30:照明制御部
32:主電源部
34:バッテリー電源部
36:充電部
38:照明部
44:受光部
46:照明スイッチ
48:ACライン
50:集音部
250:移報端子
260:移報通信アダプタ