(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079983
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】育毛用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9728 20170101AFI20230601BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20230601BHJP
A61K 36/06 20060101ALI20230601BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61Q7/00
A61K36/06 Z
A61P17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062079
(22)【出願日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2021192605
(32)【優先日】2021-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】愛水 哲史
【テーマコード(参考)】
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA072
4C083AA082
4C083AA112
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD532
4C083AD572
4C083CC37
4C083CC38
4C083CC39
4C083EE22
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC11
4C087CA09
4C087NA14
4C087ZA92
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効性と品質安定性、さらには生体安全性にすぐれ毛サイクルを調整している毛乳頭細胞に活力を与え、毛サイクルが正常化する効果を発揮する育毛用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、トルラスポラ属(Torulaspora)酵母の抽出物を有効成分とする育毛用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルラスポラ属(Torulaspora)酵母の抽出物を有効成分とする育毛用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体安全性にすぐれ、毛乳頭細胞賦活効果を有する育毛用組成物の配合可能な有効成分に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加齢、ストレス又は紫外線等の様々な要因により、頭皮がダメージを受け、男性だけでなく女性も毛髪のトラブルを抱える人が増加しており、これに対応して様々な毛髪化粧料が提案されている。従来、毛髪のトラブルとして、男性型脱毛症(壮年性脱毛症)や女性型脱毛症(女性に生じた男性型脱毛症)の研究が行われ、これらの脱毛症に男性ホルモンが関与していることが明らかとなり、毛髪トラブルの改善剤として様々な抗男性ホルモン剤が提案されている。
【0003】
以上のような頭皮の老化、不健全化を防ぎ、かつ、若々しい状態に保持するため、さらには、上述した頭皮ダメージや抜け毛のメカニズムの研究に基づいて、様々な育毛・養毛剤、脱毛抑制剤(育毛剤等と称する)が提案されている。育毛・養毛の効果を発揮する有効成分として、例えば、ミノキシジルやアデノシンが知られており、これらの成分を配合した育毛剤等が提案されているものの、さらに、天然物由来の育毛用成分が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、トルラスポラ属(Torulaspora)酵母の抽出物或いはその乾燥物又は濃縮物が、毛乳頭細胞賦活効果を有し、育毛用組成物の成分として有用であることを新たに見出した。
【0005】
従来、トルラスポラ属酵母又はその培養物が食品や皮膚外用剤への利用の可能性があることは特許文献1~2により知られていたが、酵母抽出物が毛乳頭細胞賦活効果を有し、育毛用組成物の成分として有用であることは知られていなかった。
【特許文献1】特開平06-078754号
【特許文献2】特開2009-029788号
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トルラスポラ属(Torulaspora)酵母の抽出物或いはその乾燥物又は濃縮物を有効成分とする育毛用組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生体安全性にすぐれ、かつ、すぐれた毛乳頭細胞賦活効果を有する育毛用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
また、本発明において、トルラスポラ属の酵母としては、例えば、トルラスポラ デルブルッキィ(Torulaspora delbruekii)「シノニム:Saccharomyces delbruekii」、トルラスポラ・グロボサ(Torulaspora globosa)、Torulaspora franciscae、Torulaspora pretoriensis等が挙げられる。
【0009】
酵母を培養する際の炭素源は、特に限定はなく、炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、ラフィノース、キシロース等が挙げられる。また、炭素源に加えて、窒素源を添加することでも良く、例えば、窒素源としては、アミノ酸やペプトン等が挙げられる。
【0010】
酵母の培養温度は、20℃~50℃の範囲で、好ましくは25℃~40℃の範囲である。また、pHは、3.0~8.0の範囲で、好ましくは、4.0~7.0の範囲である。
【0011】
酵母抽出物は、酵母培養液をろ過して調整することができる。また、培養した酵母を酸やアルカリで菌体成分を可溶化する加水分解法、酵母菌体内にあるタンパク質分解酵素などを利用する自己消化法(例えば、40℃~55℃で培養)、タンパク質分解酵素等の酵素剤を利用する酵素法、これらを組み合わせた方法により得られた酵母処理物をろ過して酵母抽出物を調製してもよい。
【0012】
酵母抽出物の濃縮物は、酵母の培養液、或いは加水分解方法、酵母の自己消化法又は酵素法にて得られる液を、減圧濃縮器等で濃縮することで得ることが出来る。
【0013】
また、酵母抽出物の乾燥物は、酵母の培養液又はその濃縮液を、真空乾燥法、スプレードライ法などにより乾燥することで得ることができる。
【0014】
また、酵母抽出物の乾燥物は、化学安定性、低吸湿性を目的として、賦形剤を加えた乾燥物としても良い。賦形剤は、澱粉、ブドウ糖、結晶セルロース、乳糖、デキストリン等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、等の糖アルコールなどを用いることができるが、酵母抽出物と混合して乾燥粉末化できるものであればいずれの物質でもよい。
【0015】
本発明に係る酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物の配合量は、その固形分として、清浄用毛髪化粧料の場合は、0.002~20.0重量%の範囲である。また、育毛用組成物の場合は、固形分量として、0.0001~10.0重量%の範囲である。
【0016】
また、本発明に係る酵母の抽出物或いはその乾燥物又は濃縮物と、他の育毛用成分を併用することで、育毛の相乗効果を得ることが示唆される。例えば、育毛・養毛効果の相乗効果が期待できる成分としては、ミノキシジル、シプロテロンアセテート、ペンタデカン酸グリセリド、6-アミノベンジルプリン(サイトプリン)、アデノシン、トランス-3,4'-ジメチル3-ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン)、センブリエキス、クジンエキス、ヒノキチオール、感光素、パントテン酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸誘導体(ニコチン酸アミド等)、塩化カルプロニウム、女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロン等)、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、l-メントール、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、チオキソロン、カンファー、レゾルシン、タマサキツヅラフジ根の抽出物、タマサキツヅラフジから得られるビス型アルカロイド、甘草エキス、マイマイ花エキス、カミツレエキス、ローヤルゼリー発酵物、ハスの種子発酵物、イチョウエキス、パルダルコ樹皮エキス、ゲンチアナエキス、オタネニンジンエキス、豆乳発酵液、アッケシソウエキス、タケノコ皮エキス、葛根エキス、ゴボウエキス、ミツイシコンブエキス、チョウジエキス、コラーゲン、アミノ酸類、及びビタミン類等が挙げられ、それらのいずれか1種又は2種以上を配合してもよい。
【0017】
さらに、本発明に係る酵母の抽出物或いはその乾燥物又は濃縮物を含む育毛用組成物(医薬部外品、医薬品も含む)には、上述の成分のほかに、通常、育毛・養毛料や育毛剤(医薬部外品も含む)に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、乳化剤又は乳化助剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料、その他の生理活性成分等を必要に応じて適宜配合することができる。また、天然物由来の他の生理活性成分と組み合わせて皮膚外用組成物に配合することも何ら差し支えない。
【0018】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0019】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0020】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0021】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0022】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0023】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0024】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0025】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0026】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0027】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0028】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0029】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0030】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、アブラナ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0031】
イネ科の植物由来成分としては、特に、イネ葉加水分解物、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、発芽玄米加水分解物、米発酵液、清酒由来の酒粕抽出物、マダケ又はモウソウチクのタケノコ皮抽出物、ハトムギ種子発酵物が好ましい。また、アブラナ科植物としては、特に、ハクガイ、オウガイ又はコクガイの種子の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物が好ましい。また、ツバキ科植物由来成分としては、特に、緑茶(やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき等)及び紅茶(ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶等)が好ましい。バラ科植物由来成分としては、ダマスクバラの花の抽出物、モモの花、葉又は未成熟果実の抽出物、イチゴの花抽出物、サクラの花又は葉の抽出物が好ましい。また、ボタン科植物由来成分としては、ボタンの根又は花、シャクヤクの花の抽出物が好ましい。また、ヒユ科植物由来成分としては、特に、アッケシソウ抽出物が好ましい。また、アマモ科植物由来成分としては、特に、アマモ又はコアマモの抽出物が好ましい。マメ科植物由来成分としては、特に、白大豆又は黒大豆の抽出物又はその加水分解物或いは豆乳発酵液、アズキ抽出物、アカツメクサ抽出物、クズ根抽出物が好ましい。また、キク科植物由来成分としては、特に、ゴボウ根抽出物、ヒマワリ新芽抽出物、ハゴロモソウ抽出物、アルニカ抽出物又はカミツレ花抽出物が好ましい。アオイ科植物由来成分としては、ハイビスカス、ムクゲ又はフヨウの発酵物が好ましい。リンドウ科植物由来成分としては、ゲンチアナ抽出物が好ましい。また、シソ科植物としては、アオジソ抽出物、ムラサキシキブ果実抽出物が好ましい。ハス科植物由来成分としては、特に、ハスの花又はハス種子抽出物或いはハス種子発酵物が好ましい。ウリ科植物由来成分としては、特に、ヘチマ抽出物が好ましい。ウコギ科植物由来成分としては、オタネニンジンの抽出物又は発酵物が好ましい。ナス科植物由来成分としては、ナス(長ナス、水ナス、米ナス、賀茂ナス等)の抽出物が挙げられる。ノウゼンカズラ科植物由来成分としては、パウダルコ樹皮抽出物が好ましい。マタタビ科植物由来成分としては、未成熟のキウイ抽出物が好ましい。クワ科植物由来成分としては、ソウハクヒ抽出物、マルベリー果実抽出物、イチジクの果実又は樹皮の抽出物が好ましい。クロウメモドキ科植物由来成分としては、ナツメ果実抽出物が好ましい。また、アヤメ科植物由来成分としてはサフランが好ましい。キキョウ科植物由来成分としては、ヒカゲノツルニンジンの根の抽出物又は加水分解物が好ましい。ウルシ科植物由来成分としては、特に、マンゴ果実抽出物が好ましい。フクギ科植物由来成分としては、特に、マンゴスチン果実抽出物が好ましい。また、バレンシ科植物由来成分としては、チェリモヤ果実抽出物が好ましい。ミカン科植物由来成分として、温州ミカン、ベルガモット果実抽出物、グレープフルーツ又は晩白柚の果実(未成熟果実も含む)の抽出物、グレープフルーツ又はハッサク等の植物に含まれるフラボノイド及びその配糖体を含む抽出物、或いはサンショウ種子抽出物が好ましい。ユリ科植物由来成分としては、ホンカンゾウ、ヤブカンゾウ、カサブランカ、マドンナリリー、又はササユリの抽出物が好ましい。ベンケイソウ科植物由来成分としては、特に、イワベンケイ(紅景天)の抽出物又は発酵物が好ましい。モクセイ科植物由来成分としては、特に、ジャスミンの花抽出物が好ましい。ヒノキ科植物としては、特に、セイヨウネズ果実抽出物が好ましい。フトモモ科植物由来成分としては、特に、グアバ葉抽出物が好ましい。ラン科植物としては、特に、シランの根(白及)の抽出物が好ましい。ヒルガオ科植物由来成分としては、サツマイモの抽出物又はその発酵物或いは甘藷焼酎粕の抽出物又はその発酵物が好ましい。コンブ科海藻由来成分としては、特に、コンブ抽出物が好ましく、ミリン科海藻由来成分としてはカタメンキリンサイ抽出物が好ましく、特に、アオサ科海藻由来成分としてはアナアオサ抽出物が好ましい。フノリ科海藻由来成分としては、特に、フノリ抽出物が好ましい。
【0032】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0033】
製造例1.酵母抽出物の調製(1)
滅菌したXP液体培地2000gに、予め培養しておいたトルラスポラ デルブリュッキー(Torulaspora delbrueckii)の前培養液40g添加し、25℃で攪拌しながら3日間培養した後、加熱殺菌した。得られた培養殺菌液を濾過して、1923gの酵母培養液を得た(固形分濃度1.27%)。
【0034】
試験例1.毛乳頭細胞賦活効果試験
ヒト毛乳頭細胞HFDPCを、TMTPGM-250培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1の抽出物を試料溶液として培地に添加し、同条件でさらに3日間培養した。ここで、製造例1の抽出物は、培地全量に対して溶液濃度としての終濃度が2.0%となるように培地に添加した。次に、培地を除去し、0.03%のMTTを添加して37℃に1時間保持した後、生成したホルマザンをイソプロパノールで抽出し、マイクロプレートリーダー(Model 680、バイオラッド社製)を用いて波長570-630nmでMTT値を測定した。また、比較対照として、試料溶液に代えて同濃度のPBS(-)を添加した試料無添加の場合(コントロール)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたMTT値に対する各試料添加時のMTT値の相対値を求め、毛乳頭細胞MTT活性率(%)とした。
【0035】
【0036】
表1に示すように、製造例1の抽出物は、毛乳頭細胞賦活効果を発揮することが確認され、これにより、生体内において、毛サイクルを調整している毛乳頭細胞に活力を与え、毛サイクルが正常化する効果が示唆される。
【0037】
試験例2.育毛因子合成効果の評価試験
ヒト毛乳頭細胞HFDPCを、TMTPGM-250培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、試料含有培地を添加し、同条件でさらに2日間培養した。培養上清を回収し、その上清中の育毛関連因子の量をHuman Growth Factor Antibody Array(abcam ab134002)のプロトコルに従い、化学発光測定による評価を行った。ここで、比較対照として、試料溶液に代えて同濃度のPBS(-)を添加した試料無添加の場合(コントロール)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られた各スポットの化学発光の値を100とした時の相対値を求め、各育毛因子の相対分泌量(%)とした。
【0038】
【0039】
表2に示すように、本発明に係る抽出物は、育毛因子である線維芽細胞増殖因子-7(fibroblast growth factor-1: FGF-7)、インスリン様成長因子-1(Insulin-like growth factor-1:IGF-1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Factor:SCF)、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Facto:VEGF)及び血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor:PDGF)の合成を促進することを確認した。FGF-7、IGF-1、SCF及びVEGFは毛周期を成長期へ移行させる因子であることから、本発明に係る抽出物は、これらの因子を促進することで、毛髪を成長させる効果が示唆される。また、PDGFは、毛髪の幹細胞を活性化し、発毛を促進させる因子であることから、本発明に係る抽出物は、発毛促進に寄与することが示唆される。
【0040】
処方例1.育毛料
[成分] 部
アデノシン 1.0
製造例1の抽出物 1.0
1,3-ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 3.0
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛用組成物を得た。
【0041】
処方例2.育毛料
処方例1の成分中、アデノシンに代えて、ミノキシジルを用いるほかは処方例1と同様にして育毛料を得た。
【0042】
処方例3.育毛料
処方例1の成分中、アデノシンに代えて6-ベンジルアミノプリンを用いるほかは処方例1と同様にして育毛料を得た。
【0043】
処方例4.育毛料
[成分] 部
l-メントール 0.8
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
製造例1の抽出物 2.0
大豆レシチン 0.2
1,3-ブチレングリコール 2.0
1,2-ペンタンジオール 3.0
エタノール 10.0
タマサキツヅラフジ抽出物 0.01
ニンジン抽出物 0.1
タケノコ皮エキス 3.0
褐藻エキス 3.0
ローヤルゼリー発酵エキス 3.0
ゴボウエキス 3.0
葛根エキス 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0044】
処方例5.育毛用クリーム
[成分] 部
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
製造例1の抽出物 1.0
センブリエキス 0.3
タマサキツヅラフジ抽出物 0.01
褐藻エキス 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
水添レシチン 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
キレート剤 0.1
防腐剤 0.1
香料 0.1
色素 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0045】
処方例6.育毛用シャンプー
[成分] 部
N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
製造例1の抽出物 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ニコチン酸アミド 1.0
コラーゲン 1.0
アマモエキス 5.0
アッケシソウエキス 5.0
葛根エキス 5.0
ゴボウエキス 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
1,2-ヘキサンジオール 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0046】
実施例7.ヘアリンス
[A成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.0
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の抽出物 2.0
ゴボウエキス 1.0
カッコンエキス 1.0
1,3-ブチレングリコール 3.0
1,2-ペンタンジオール 1.0
精製水 全量が100部となる量