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特開2023-79990ノズル加熱装置および流体充填システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079990
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】ノズル加熱装置および流体充填システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20230601BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073266
(22)【出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0167570
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 大 寧
(72)【発明者】
【氏名】朴 智 慧
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD03
3E172EA13
3E172EA23
3E172EA35
3E172EA49
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素を充填するノズルの結氷を効果的に抑制することができるノズル加熱装置および流体充填システムを提供する。
【解決手段】本発明のノズル加熱装置700は、充填流体を供給するノズル600の周縁を覆うように備えられる加熱カバーと、加熱カバーに備えられ、ノズル600を誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部とを含むことにより、ノズル600の結氷を抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填流体を供給するノズルの周縁を覆うように備えられる加熱カバーと、
前記加熱カバーに備えられ、前記ノズルを誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部と
を含む、ことを特徴とするノズル加熱装置。
【請求項2】
前記誘導加熱部は、前記ノズルに誘導電流を印加する誘導加熱コイルを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のノズル加熱装置。
【請求項3】
前記ノズルの温度を測定する温度センサと、
前記温度センサにより測定された前記ノズルの温度に基づいて、前記誘導加熱コイルに印加される電源を選択的に制御する制御部と
を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のノズル加熱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ノズルの温度が既に設定された基準温度よりも高いと、前記誘導加熱コイルに印加される電源を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載のノズル加熱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記誘導加熱コイルに印加された電源の電源供給時間が既に設定された基準時間を超過すると、前記誘導加熱コイルへの電源供給を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載のノズル加熱装置。
【請求項6】
前記誘導加熱コイルと前記ノズルとの間に備えられる保護層を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のノズル加熱装置。
【請求項7】
前記加熱カバーは、
前記ノズルの周縁の一部を覆うように備えられる第1カバー部材と、
前記ノズルの周縁の他の一部を覆うように備えられ、前記第1カバー部材と互いに協調して前記ノズルの周縁を全体的に囲むリング形状をなすように提供される第2カバー部材とを含み、
前記誘導加熱部は、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材にそれぞれ個別的に備えられる、ことを特徴とする請求項1に記載のノズル加熱装置。
【請求項8】
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材は、選択的に分離可能に提供される、ことを特徴とする請求項7に記載のノズル加熱装置。
【請求項9】
前記第1カバー部材の一端および前記第2カバー部材の一端がそれぞれ回転可能に連結される連結部を含み、
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材は、前記連結部を中心に互いに接近および離隔する方向に回転する、ことを特徴とする請求項7に記載のノズル加熱装置。
【請求項10】
前記加熱カバーを前記ノズルに拘束する拘束部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のノズル加熱装置。
【請求項11】
前記ノズルは、
被対象体に備えられるレセプタクルに連結可能に備えられるノズルボディと、
前記ノズルボディに連結され、前記レセプタクルの周縁面に選択的に拘束されるグリップ部と、
前記ノズルボディ、前記グリップ部、および前記レセプタクルの周縁を囲むように備えられるノズルカバーと
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のノズル加熱装置。
【請求項12】
被対象体に備えられるレセプタクルに連結可能に備えられ、充填流体を供給するノズルと、
前記ノズルおよび前記レセプタクルの周縁を覆うように備えられる加熱カバーと、
前記加熱カバーに備えられ、前記ノズルおよび前記レセプタクルを誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部と
を含む、ことを特徴とする流体充填システム。
【請求項13】
前記誘導加熱部は、前記ノズルおよび前記レセプタクルに誘導電流を印加する誘導加熱コイルを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の流体充填システム。
【請求項14】
前記ノズルの温度を測定する温度センサと、
前記温度センサにより測定された前記ノズルの温度に基づいて、前記誘導加熱コイルに印加される電源を選択的に制御する制御部と
を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の流体充填システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記ノズルの温度が既に設定された基準温度よりも高いと、前記誘導加熱コイルに印加される電源を遮断する、ことを特徴とする請求項14に記載の流体充填システム。
【請求項16】
前記制御部は、前記誘導加熱コイルに印加された電源の電源供給時間が既に設定された基準時間を超過すると、前記誘導加熱コイルへの電源供給を遮断する、ことを特徴とする請求項14に記載の流体充填システム。
【請求項17】
前記誘導加熱コイルと前記ノズルとの間に備えられる保護層を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の流体充填システム。
【請求項18】
前記加熱カバーは、
前記ノズルの周縁の一部を覆うように備えられる第1カバー部材と、
前記ノズルの周縁の他の一部を覆うように備えられ、前記第1カバー部材と互いに協調して前記ノズルの周縁を全体的に囲むリング形状をなすように提供される第2カバー部材とを含み、
前記誘導加熱部は、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材にそれぞれ個別的に備えられる、ことを特徴とする請求項12に記載の流体充填システム。
【請求項19】
前記第1カバー部材の一端および前記第2カバー部材の一端がそれぞれ回転可能に連結される連結部を含み、
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材は、前記連結部を中心に互いに接近および離隔する方向に回転する、ことを特徴とする請求項18に記載の流体充填システム。
【請求項20】
前記加熱カバーを前記ノズルまたは前記レセプタクルに拘束する拘束部を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の流体充填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル加熱装置および流体充填システムに係り、より具体的には、水素を充填するノズルの結氷を効果的に抑制することができるノズル加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両(Fuel Cell Electric Vehicle、FCEV)は、燃料電池スタックにおいて酸素と水素の電気化学的な反応により電気エネルギーを生産し、動力源として使用する。
【0003】
燃料電池車両は、燃料と空気を外部から供給し、電池の容量に関係なく発電し続けることができるため、効率が高く、汚染物質がほぼ排出されないという利点により、持続的な研究開発が行われている。
【0004】
燃料電池車両には、水素タンクが備えられ、水素タンクには、水素貯蔵システムの水素充填ラインに沿って水素が貯蔵される。水素タンクに貯蔵された水素は、水素供給ラインに沿ってレギュレータを介して減圧された後、燃料電池スタックに供給され、電気エネルギーを生成するのに用いられる。
また、燃料電池車両には、水素ガスを供給するノズルと連結される一種のコネクタとして水素充填用レセプタクル(receptacle)が備えられる。
【0005】
しかしながら、従来は、水素の急速充填時、水素の非常に低い充填温度(例えば、-40℃~-33℃)により、ノズルとレセプタクルの連結部位(レセプタクル周辺)に結氷現象が発生するという問題があり、結氷現象により、水素充填の完了後にレセプタクルからノズルを適時に分離できなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、近年、水素充填時にレセプタクルの結氷を抑制するための多様な研究が行われているが、未だに不十分であり、それに対する開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-162155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、水素を充填するノズルの結氷を効果的に抑制することができるノズル加熱装置および流体充填システムを提供することを目的とする。
特に、本発明の実施形態は、水素充填時にノズルおよびレセプタクルの結氷を抑制し、水素充填の完了後にレセプタクルからノズルを容易に分離できるようにすることを目的とする。
【0009】
また、本発明の実施形態は、ノズルおよびレセプタクルの結氷を迅速且つ効果的に除去し、使用上の便利性を提供できるようにすることを目的とする。
また、本発明の実施形態は、ノズルおよびレセプタクルの結氷による耐久性の低下を最小化できるようにすることを目的とする。
【0010】
また、本発明の実施形態は、ノズルの過熱を防止し、安全性および信頼性を向上できるようにすることを目的とする。
実施形態が解決しようとする課題は、これに限定されず、以下に説明する課題を解決するための手段や実施形態から把握可能な目的や効果も含まれるといえる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した本発明の目的を達成するための本発明の好ましい実施形態によると、ノズル加熱装置は、充填流体を供給するノズルの周縁を覆うように備えられる加熱カバーと、前記加熱カバーに備えられ、前記ノズルを誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部とを含む。
これは、水素を充填する前記ノズルの結氷を効果的に抑制するためのものである。
【0012】
すなわち、従来は、水素の急速充填時、水素の非常に低い充填温度(例えば、-40℃~-33℃)により、前記ノズルとレセプタクルの連結部位(レセプタクル周辺)に結氷現象が発生するという問題があり、結氷現象により、水素充填の完了後に前記レセプタクルから前記ノズルを適時に分離できなくなるという問題がある。
【0013】
しかしながら、本発明の実施形態は、前記ノズルの周縁を覆うように前記誘導加熱部を備え、前記誘導加熱部によって前記ノズルが誘導加熱されるようにすることにより、前記ノズルと前記レセプタクルの連結部位での結氷を効果的に抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0014】
何よりも、本発明の実施形態は、前記ノズルを間接的に加熱(例えば、熱伝導による加熱)することではなく、前記ノズル自体(結氷部位)を直接加熱(誘導加熱)することにより、前記ノズルと前記レセプタクルの連結部位に発生した結氷をさらに速く且つ効果的に除去するという有利な効果を得ることができる。
【0015】
前記ノズルは、求められる条件および設計仕様に応じて多様な構造として提供されることができる。
一例として、前記ノズルは、前記レセプタクルに連結可能に備えられるノズルボディと、前記ノズルボディに連結され、前記レセプタクルの周縁面に選択的に拘束されるグリップ部と、前記ノズルボディ、前記グリップ部、および前記レセプタクルの周縁を囲むように備えられるノズルカバーとを含むことができる。
【0016】
前記誘導加熱部としては、前記ノズルを誘導加熱可能な多様な誘導加熱エレメントを用いることができる。
本発明の好ましい実施形態によると、前記誘導加熱部は、前記ノズルに誘導電流を印加する誘導加熱コイルを含むことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ノズル加熱装置は、誘導加熱コイルと前記ノズルとの間に備えられる保護層を含むことができる。
このように、前記誘導加熱コイルと前記ノズルとの間に前記保護層を備えることにより、前記誘導加熱コイル(または加熱カバー)の接触に応じた前記ノズルおよび車両の表面損傷を抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ノズル加熱装置は、前記ノズルの温度を測定する温度センサと、前記温度センサにより測定された前記ノズルの温度に基づいて、前記誘導加熱コイルに印加される電源を選択的に制御する制御部とを含むことができる。
【0019】
好ましくは、前記制御部は、前記ノズルの温度が既に設定された基準温度よりも高いと、前記誘導加熱コイルに印加される電源を遮断することができる。
このように、前記ノズルの温度が前記基準温度よりも高いと、前記誘導加熱コイルに印加される電源を遮断することにより、前記ノズルの過熱を抑制することができるため、前記ノズルの損傷を抑制し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0020】
より好ましくは、前記制御部は、前記誘導加熱コイルに印加された電源の電源供給時間が既に設定された基準時間を超過すると、前記誘導加熱コイルへの電源供給を遮断することができる。
【0021】
このように、二重の安全構造により、前記ノズルの温度に基づいて前記誘導加熱コイルへの電源供給可否を制御するとともに、前記誘導加熱コイルへの電源供給時間に基づいて前記誘導加熱コイルへの電源供給可否を制御することにより、前記ノズルの過熱をさらに効果的に抑制し、安全性および信頼性をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によると、前記加熱カバーは、前記ノズルの周縁の一部を覆うように備えられる第1カバー部材と、前記ノズルの周縁の他の一部を覆うように備えられ、前記第1カバー部材と互いに協調して前記ノズルの周縁を全体的に囲むリング形状をなすように提供される第2カバー部材とを含むことができ、前記誘導加熱部は、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材にそれぞれ個別的に備えられることができる。
【0023】
好ましくは、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材は、選択的に分離可能に提供されることができる。
このように、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材が選択的に分離されるようにすることにより、前記加熱カバーを前記ノズルに容易に脱付着させることができ、使用上の便利性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ノズル加熱装置は、前記加熱カバーを前記ノズルに拘束する拘束部を含むことができる。
このように、前記拘束部を介して前記加熱カバーが前記ノズルに拘束されるようにすることにより、前記ノズルに対する前記加熱カバーの離脱を抑制し、前記誘導加熱部による誘導加熱効果を安定的に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0025】
本発明の好ましい他の分野によると、流体充填システムは、被対象体に備えられるレセプタクルに連結可能に備えられ、充填流体を供給するノズルと、前記ノズルおよびレセプタクルの周縁を覆うように備えられる加熱カバーと、前記加熱カバーに備えられ、前記ノズルおよび前記レセプタクルを誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部とを含む。
本発明の好ましい他の分野によると、前記誘導加熱部は、前記ノズルおよび前記レセプタクルに誘導電流を印加する誘導加熱コイルを含むことができる。
【0026】
本発明の好ましい他の分野によると、前記流体充填システムは、前記ノズルの温度を測定する温度センサと、前記温度センサにより測定された前記ノズルの温度に基づいて、前記誘導加熱コイルに印加される電源を選択的に制御する制御部とを含むことができる。
【0027】
本発明の好ましい他の分野によると、前記制御部は、前記ノズルの温度が既に設定された基準温度よりも高いと、前記誘導加熱コイルに印加される電源を遮断することができる。
【0028】
本発明の好ましい他の分野によると、前記制御部は、前記誘導加熱コイルに印加された電源の電源供給時間が既に設定された基準時間を超過すると、電源を遮断することができる。
【0029】
本発明の好ましい他の分野によると、前記流体充填システムは、前記誘導加熱コイルと前記ノズルとの間に備えられる保護層を含むことができる。
本発明の好ましい他の分野によると、前記加熱カバーは、前記ノズルの周縁の一部を覆うように備えられる第1カバー部材と、前記ノズルの周縁の他の一部を覆うように備えられ、前記第1カバー部材と互いに協調して前記ノズルの周縁を全体的に囲むリング形状をなすように提供される第2カバー部材とを含むことができ、前記誘導加熱部は、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材にそれぞれ個別的に備えられることができる。
【0030】
本発明の好ましい他の分野によると、前記流体充填システムは、前記第1カバー部材の一端および前記第2カバー部材の一端がそれぞれ回転可能に連結される連結部を含むことができ、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材は、連結部を中心に互いに接近および離隔する方向に回転することができる。
本発明の好ましい他の分野によると、前記流体充填システムは、前記加熱カバーを前記ノズルまたは前記レセプタクルに拘束する拘束部を含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施例によれば、水素を充填するノズルの結氷を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係る流体充填システムを説明するための図である。
図2】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置であって、制御部を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置であって、加熱カバーの変形例を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置であって、加熱カバーの変形例を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置であって、誘導加熱部の変形例を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係るノズル加熱装置であって、拘束部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
但し、本発明の技術思想は、説明する一部の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されてもよく、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施形態にその構成要素のうち1つ以上を選択的に結合、置換して用いてもよい。
【0034】
また、本発明の実施形態で用いる用語(技術および科学的用語を含む)は、明らかに特に定義して述べない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に一般的に理解される意味として解釈してよく、辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈してもよい。
また、本発明の実施形態で用いる用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0035】
本明細書において、単数形は、特に言及しない限り、複数形を含んでもよく、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも1つ(または1個以上)」と記載される場合、A、B、Cにより組み合わせ可能な全ての組み合わせのうち1つ以上を含んでもよい。
【0036】
本発明の実施形態の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いてもよい。
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されることはない。
【0037】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」、または「接続」されると記載する場合、その構成要素は、前記他の構成要素に直接的に連結、結合、または接続される場合だけでなく、その構成要素と前記他の構成要素との間にまた他の構成要素により「連結」、「結合」、または「接続」される場合を含んでもよい。
【0038】
また、各構成要素の「上(上方)または下(下方)」に形成または配置されると記載する場合、上(上方)または下(下方)は、2つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、1つ以上のまた他の構成要素が2つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(上方)または下(下方)」と表現される場合、1つの構成要素を基準に、上側方向だけでなく、下側方向の意味を含んでもよい。
【0039】
図1図7を参照すると、本発明の実施形態に係る流体充填システム10は、被対象体に備えられるレセプタクル100に連結可能に備えられ、充填流体を供給するノズル600と、ノズル600およびレセプタクル100の周縁を覆うように備えられる加熱カバー710と、加熱カバー710に備えられ、ノズル600およびレセプタクル100を誘導加熱(induction heating)する誘導加熱部720と、を含む。
【0040】
参考に、本発明に係る流体充填システム10は、求められる条件および設計仕様に応じて多様な被対象体に多様な充填流体を充填するために用いられることができ、被対象体および充填流体の種類により本発明が制限または限定されるものではない。
【0041】
なお、本発明において、被対象体とは、車両のように移動が可能な対象体と、地上に固定される貯蔵設備のように移動が不可能な対象体を全て含むものと定義される。
【0042】
また、本発明において、充填流体とは、気相流体および液相流体のうち何れか1つであるか、気相流体と液相流体が混合された混合流体を全て含むものと定義される。
【0043】
以下では、本発明の実施形態に係る流体充填システム10が燃料電池車両20(乗用車または商用車)(被対象体)に水素(充填流体)を充填するために用いられる例を挙げて説明することにする。
【0044】
図1を参照すると、燃料電池車両20には、水素を供給するためのノズル600が連結されるレセプタクル100が備えられることができる。
レセプタクル100としては、ノズル600と通常の結合構造(例えば、雄雌結合構造)で連結(結合)可能な多様なレセプタクル100が用いられることができ、レセプタクル100の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
例えば、レセプタクル100は、誘導加熱可能な金属素材からなることができる。
【0045】
燃料電池車両20には、水素が貯蔵される水素タンク200が備えられ、水素タンク200には、マニホールド300が連結される。
一例として、燃料電池車両20には、3個の水素タンク200が備えられることができ、マニホールド300は、3個の水素タンク200と共通に連結される。本発明の他の実施形態によると、燃料電池車両に4個以上または2個以下の水素タンクが備えられることができ、水素タンクの個数および配列形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0046】
マニホールド300は、水素の流動経路を分岐可能な多様な構造に形成されることができ、マニホールド300の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。一例として、マニホールド300には、水素供給ライン24と連結される第1ポート(図示せず)、3個の水素タンク200と連結される第2ポート(図示せず)~第4ポート(図示せず)、および水素充填ライン22と連結される第5ポート(図示せず)が形成されることができる。
【0047】
燃料電池車両20は、レセプタクル100とマニホールド300を連結する水素充填ライン22を含むことができる。ノズル600を介してレセプタクル100に供給された水素は、水素充填ライン22とマニホールド300を経て水素タンク200に充填される。
【0048】
また、燃料電池車両20は、水素タンク200に貯蔵された水素を燃料電池スタック550に供給する水素供給ライン24を含む。
より具体的に、水素供給ライン24は、燃料電池車両20に備えられる燃料電池スタック550とマニホールド300を連結するように構成され、水素タンク200に貯蔵された水素は、マニホールド300および水素供給ライン24を経て燃料電池スタック550に供給される。
【0049】
参考に、燃料電池スタック550は、燃料(例えば、水素)と酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応により電気を生産可能な多様な構造に形成されることができる。
【0050】
一例として、燃料電池スタック550は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)(図示せず)と、反応気体を均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を行うガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)(図示せず)と、反応気体および冷却水の気密性と適正締結圧を維持するためのガスケットおよび締結器具(図示せず)と、反応気体および冷却水を移動させる分離板(bipolar plate)(図示せず)と、を含む。
【0051】
より具体的に、燃料電池スタック550において、燃料である水素と酸化剤である空気(酸素)が分離板の流路を介して膜電極接合体のアノード(anode)とカソード(cathode)にそれぞれ供給されるが、水素はアノードに供給され、空気はカソードに供給される。
【0052】
アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に構成された電極層の触媒により水素イオン(proton)と電子(electron)に分解され、そのうち、水素イオンだけが選択的にカチオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達され、それと同時に、電子は導体であるガス拡散層と分離板を介してカソードに伝達される。
【0053】
カソードにおいては、電解質膜を介して供給された水素イオンと分離板を介して伝達された電子が、空気供給装置によりカソードに供給された空気中の酸素と出会って水を生成する反応を起こす。この際に起こる水素イオンの移動に起因して外部導線を介した電子の流れが発生し、かかる電子の流れにより電流が生成される。
【0054】
また、水素供給ライン24上には、燃料電池スタック550に供給される水素を減圧するレギュレータ400と、燃料電池スタック550に供給される水素の供給量を調節する水素供給装置(FPS:Fuel Processing System)500とが備えられることができる。
【0055】
より具体的に、レギュレータ400は、マニホールド300と燃料電池スタック550との間に配置されるように水素供給ライン24に連結され、水素供給ライン24に沿って供給される高圧(例えば、700bar)の水素は、レギュレータ400を通過することで減圧(例えば、16bar)された状態で、燃料電池スタック550に供給されることができる。
【0056】
水素供給装置500は、レギュレータ400と燃料電池スタック550との間に配置されるように水素供給ライン24に連結され、燃料電池スタック550に供給される水素の供給量を調節する。また、燃料電池スタック550への水素供給は、水素供給装置500により選択的に許容または遮断されることができる。
【0057】
図2および図4を参照すると、ノズル600は、レセプタクル100に結合され、レセプタクル100を介して燃料電池車両20に水素(充填流体)を供給する。
【0058】
一例として、ノズル600は、水素充填所の充填設備(図示せず)に貯蔵された水素を燃料電池車両20に供給することができる。
ノズル600は、レセプタクル100に選択的に分離可能に結合可能な多様な構造として提供されることができ、ノズル600の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0059】
一例として、ノズル600は、レセプタクル100に連結可能に備えられるノズルボディ610と、ノズルボディ610に連結され、レセプタクル100の周縁面に選択的に拘束されるグリップ部620と、ノズルボディ610、グリップ部620、およびレセプタクル100の周縁を囲むように備えられるノズルカバー630と、を含むことができる。
【0060】
ノズルボディ610は、雄雌結合構造でレセプタクル100に連結されることができる。ノズルボディ610がレセプタクル100に連結された状態においては、ノズルボディ610とレセプタクル100が連通することができ、ノズルボディ610の内部に沿って供給される水素がレセプタクル100に流入されることができる。
レセプタクル100と同様に、ノズル600は、誘導加熱可能な金属素材からなることができる。
【0061】
グリップ部620は、ノズルボディ610とレセプタクル100の連結状態を選択的に拘束可能な多様な構造に形成されることができ、グリップ部620の構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0062】
一例として、グリップ部620は、ノズルボディ610に回転可能に連結され、レセプタクル100の周縁面に支持されるグリッパ622と、ノズルボディ610に対するグリッパ622の回転を弾性的に支持する弾性部材624とを含むことができる。
【0063】
例えば、ノズルボディ610には、周縁方向(レセプタクル100の円周方向)に沿って離隔するように複数のグリッパ622が回転可能に備えられることができ、各グリッパ622の一端がレセプタクル100の外面に互いに接近または離隔する方向に回転することで、ノズル600とレセプタクル100の連結状態が拘束または解除されることができる。
【0064】
好ましくは、レセプタクル100の周縁面には、陥没した収容溝102が形成されることができ、各グリッパ622がレセプタクル100の外面に接近する方向に回転すると、各グリッパ622の一端が収容溝102に収容されることができる。このように、レセプタクル100の外周面に収容溝102を形成し、グリッパ622の一端が収容溝102に収容されるようにすることにより、グリッパ622による拘束状態を安定的に維持することができるため、ノズル600とレセプタクル100の連結状態をさらに堅固に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0065】
弾性部材624としては、ノズルボディ610に対するグリッパ622の回転を弾性的に支持可能な通常のスプリングが用いられることができ、弾性部材624の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0066】
一例として、弾性部材624は、グリッパ622の一端がレセプタクル100の外面に接近(拘束)する方向に回転するように弾性力を提供することができる。
【0067】
グリッパ622の作動構造は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができる。一例として、複数のグリッパ622は、ノズル600に備えられた操作レバー(図4の602を参照)を解除操作することで、レセプタクル100の外面から離隔する方向に回転し、レセプタクル100に対する拘束を解除することができる。その反面、操作レバー602の解除操作を中断すると、弾性部材624の弾性力により、グリッパ622が初期位置(レセプタクル100の外面に接近する方向に回転した位置)に復帰することができる。
【0068】
ノズルカバー630は、ノズル600およびレセプタクル100の周縁を囲むように備えられる。
ノズルカバー630は、ノズル600およびレセプタクル100の周縁を囲むことが可能な多様な構造として提供されることができ、ノズルカバー630の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0069】
参考に、本発明において、ノズルカバー630がノズル600およびレセプタクル100の周縁を囲むとは、ノズルカバー630がノズル600およびレセプタクル100の周縁を全体的に囲むように形成されるか、ノズル600およびレセプタクル100の周縁の一部を部分的に囲むように形成されることを全て含むものと定義される。
【0070】
好ましくは、ノズルカバー630は、ノズル600とレセプタクル100の結合部位の周縁を全体的に囲む中空構造(例えば、中空の円筒形状)に形成される。
【0071】
加熱カバー710および誘導加熱部720は、ノズル600を加熱するためのノズル加熱装置700を構成するように備えられる。
より具体的に、加熱カバー710は、充填流体を供給するノズル600の周縁を覆うように備えられる。
【0072】
ここで、加熱カバー710がノズル600の周縁を覆うように備えられるとは、加熱カバー710がノズル600の周縁面(外表面)に密着するか、周縁面から所定間隔(例えば、誘導加熱が可能な間隔)を置いて離隔して配置されることを全て含むものと定義される。
【0073】
加熱カバー710は、ノズル600の周縁を囲むことが可能な多様な構造および材質からなることができ、加熱カバー710の構造および材質により本発明が制限または限定されるものではない。
【0074】
一例として、加熱カバー710は、概して中空の円筒形状に形成されることができ、ノズル600およびレセプタクル100の周縁を全体的に囲むように提供されることができる。本発明の他の実施形態によると、加熱カバー710がノズル600およびレセプタクル100のうち少なくともいずれか1つの周縁を部分的に囲むように構成することもできる。
【0075】
以下では、加熱カバー710がプラスチックのようなリジッド(rigid)な材質からなる例を挙げて説明することにする。本発明の他の実施形態によると、加熱カバーは、フレキシブルな材質(例えば、ゴムまたはシリコーン)からなることもできる。
【0076】
誘導加熱部720は、ノズル600を誘導加熱(induction heating)するように加熱カバー710に備えられる。
誘導加熱部720としては、ノズル600を誘導加熱可能な多様な誘導加熱エレメントが用いられることができ、誘導加熱部720の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0077】
本発明の好ましい実施形態によると、誘導加熱部720は、ノズル600に誘導電流を印加する誘導加熱コイル722を含むことができる。
より具体的に、誘導加熱コイル722に電源が印加されると、誘導加熱コイル722で発生した磁場により、導電性材質(例えば、金属)からなるノズル600で渦電流が発生し、ノズル600で渦電流が発生することに応じた抵抗(電気抵抗)により、ノズル600が自体的に加熱されることができる。この際、ノズル600の温度は、誘導加熱コイル722に印加される電源の周波数を調節(周波数の高低を調節)して選択的に調節することができる。
【0078】
誘導加熱コイル722は、求められる条件および設計仕様に応じて多様な構造に形成されることができ、誘導加熱コイル722の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0079】
一例として、図2を参照すると、誘導加熱コイル722は、加熱カバー710の主壁に沿って螺旋(helical)状に形成されることができる。
これとは異なり、図6のように、誘導加熱コイル722’をノズル600の長さ方向に沿って直線状に配置することもできる。
参考に、誘導加熱コイル722への電源供給は、通常の電源供給線を介して行われるか、または携帯用電池を用いて行うことができる。
【0080】
このように、本発明の実施形態は、ノズル600の周縁を覆うように誘導加熱部720を備え、誘導加熱部720によってノズル600が誘導加熱されるようにすることにより、ノズル600およびレセプタクル100の結氷を効果的に抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0081】
何よりも、本発明の実施形態は、ノズル600を間接的に加熱(例えば、熱伝導による加熱)することではなく、ノズル600自体(結氷部位)を直接加熱(誘導加熱)することにより、ノズル600およびレセプタクル100に発生した結氷をさらに速く且つ効果的に除去するという有利な効果を得ることができる。
【0082】
特に、本発明の実施形態は、ノズル600の結氷部位で熱が直接発生して加熱されるようにすることにより、ノズル600の周辺を熱いホットパックなどで包んでノズル600の結氷を除去する方式(熱伝導)や、ノズル600の周辺に熱い空気を吹き込んでノズル600の結氷を除去する方式に比べ、ノズル600(レセプタクル)の結氷を除去するのに必要な時間を顕著に短縮するという有利な効果を得ることができる。さらに、本発明の実施形態は、空気圧縮機、ヒータ、および各種バルブなどを備えなくてもよいため、構造を簡素化することができ、空間活用性および設計自由度を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0083】
また、本発明の実施形態は、誘導加熱部720は加熱されず、誘導加熱部720(加熱カバー)の内部に位置するノズル600が誘導加熱されるようにすることにより、使用者の身体が誘導加熱部720(加熱カバー)に接触するとしても、誘導加熱部720の過熱による事故(火傷)を防止することができる。
【0084】
本発明の好ましい実施形態によると、ノズル加熱装置700は、誘導加熱コイル722とノズル600との間に備えられる保護層730を含むことができる。
【0085】
一例として、保護層730は、誘導加熱コイル722を覆うように加熱カバー710の内面(ノズル600の外面と向き合う面)に備えられることができる。
【0086】
保護層730としては、スポンジまたは織物などが用いられることができ、保護層730の種類および特性により本発明が制限または限定されるものではない。
【0087】
このように、誘導加熱コイル722とノズル600との間に保護層730を備えることにより、誘導加熱コイル(または加熱カバー)の接触に応じたノズル600および車両の表面損傷を抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0088】
図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態によれば、ノズル加熱装置700は、ノズル600の温度を測定する温度センサ810と、温度センサ810により測定されたノズル600の温度に基づいて、誘導加熱コイル722に印加される電源を選択的に制御する制御部800とを含むことができる。
【0089】
温度センサ810としては、ノズル600の温度をセンシング可能な通常のセンサ(例えば、接触式センサまたは非接触式センサ)が用いられることができ、温度センサ810の種類およびセンシング方式により本発明が制限または限定されるものではない。
好ましくは、ノズル600の温度測定の正確度を高めることができるように、温度センサ810は、離隔して複数備えられることができる。
【0090】
制御部800は、温度センサ810によりセンシングされたノズル600の温度に基づいて、誘導加熱コイル722に印加される電源を制御する。ここで、誘導加熱コイル722に印加される電源を制御するとは、電源供給部820を介して誘導加熱コイル722に印加される電源をオン/オフ(ON/OFF)するものと理解することができる。
【0091】
制御部800は、中央処理装置(CPU)またはメモリおよび/またはストレージに格納された命令語に対する処理を実行する半導体装置であってもよい。メモリおよびストレージは、種々の揮発性または不揮発性ストレージ媒体を含むことができる。例えば、メモリは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むことができる。
【0092】
好ましくは、制御部800は、ノズル600の温度が既に設定された基準温度よりも高いと、誘導加熱コイル722に印加される電源を遮断することができる。
【0093】
例えば、基準温度は、40℃と定義することができ、温度センサ810により測定されたノズル600(例えば、ノズル表面)の温度が40℃を超過すると、制御部800は、誘導加熱コイル722に印加される電源を遮断することができる。誘導加熱コイル722に印加される電源が遮断された状態においては、ノズル600の誘導加熱が中断されることができる。
【0094】
このように、ノズル600の温度が基準温度よりも高いと、誘導加熱コイル722に印加される電源を遮断することにより、ノズル600の過熱を抑制することができるため、ノズル600の損傷を抑制し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0095】
より好ましくは、制御部800は、誘導加熱コイル722に印加された電源の電源供給時間が既に設定された基準時間を超過すると、誘導加熱コイル722への電源供給を遮断することができる。
【0096】
一例として、基準時間は、10秒と定義することができ、誘導加熱コイル722への電源供給時間が10秒を経過すると、制御部800は、誘導加熱コイル722に印加される電源を遮断することができる。ノズル600の追加加熱が求められる場合には、再び電源供給スイッチ(図示せず)を操作し、10秒単位で誘導加熱コイル722に電源を供給することができる。
【0097】
このように、二重の安全構造により、ノズル600の温度に基づいて誘導加熱コイル722への電源供給可否を制御するとともに、誘導加熱コイル722への電源供給時間に基づいて誘導加熱コイル722への電源供給可否を制御することにより、ノズル600の過熱をさらに効果的に抑制し、安全性および信頼性をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0098】
本発明の好ましい実施形態によると、防爆安全性を考慮し、誘導加熱コイル722への電源供給(ノズルの誘導加熱)は、水素充填が完了した状態(ノズルでの水素の移動が遮断された状態)で行われることが好ましい。
【0099】
前述および図示した本発明の実施形態においては、加熱カバー710がただ1つのカバー部材で構成された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、複数のカバー部材を用いて加熱カバーを構成することもできる。
【0100】
図4を参照すると、加熱カバー710は、ノズル600の周縁の一部を覆うように備えられる第1カバー部材712と、ノズル600の周縁の他の一部を覆うように備えられ、第1カバー部材712と互いに協調してノズル600の周縁を全体的に囲むリング形状をなすように提供される第2カバー部材714とを含むことができ、誘導加熱部720は、第1カバー部材712および第2カバー部材714にそれぞれ個別的に備えられることができる。
【0101】
以下では、加熱カバー710が2個のカバー部材(第1カバー部材および第2カバー部材)を含む例を挙げて説明することにする。本発明の他の実施形態によると、加熱カバーが3個以上のカバー部材を含むこともできる。
【0102】
一例として、第1カバー部材712および第2カバー部材714は、それぞれ概して半円形状を有するように形成されることができ、第1カバー部材712および第2カバー部材714は、互いに協調してノズル600の周縁を全体的に囲むリング形状をなすように結合されることができる。
【0103】
好ましくは、第1カバー部材712および第2カバー部材714は、選択的に分離可能に提供されることができる。
ここで、第1カバー部材712および第2カバー部材714が選択的に分離可能であるとは、ノズル600を基準に第1カバー部材712および第2カバー部材714が選択的に結合および分離可能であると理解することができる。
【0104】
このように、第1カバー部材712および第2カバー部材714が選択的に分離されるようにすることにより、加熱カバー710をノズル600に容易に脱付着させることができ、使用上の便利性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0105】
参考に、第1カバー部材712および第2カバー部材714の結合状態(リング形状をなすように結合された状態)は、通常の締結部材を用いて拘束することができ、第1カバー部材712および第2カバー部材714の結合状態を拘束する締結部材の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0106】
図5を参照すると、本発明の好ましい実施形態によると、加熱カバー710は、第1カバー部材712と、第2カバー部材714と、第1カバー部材712の一端および第2カバー部材714の一端がそれぞれ回転可能に連結される連結部716とを含んで一種の洗濯挟み(clothespin)のような構造として提供されることができ、第1カバー部材712および第2カバー部材714は、連結部716を中心に互いに接近および離隔する方向に回転することができる。
【0107】
第1カバー部材712および第2カバー部材714が連結部716を中心に互いに離隔する方向に回転すると、第1カバー部材712と第2カバー部材714との間が互いに離れることで、第1カバー部材712と第2カバー部材714との間にノズル600を出入りさせることができる。
【0108】
好ましくは、連結部716に対する第1カバー部材712および第2カバー部材714の回転は、スプリングのような弾性部材(図示せず)により弾性的に支持されることができる。
【0109】
前述および図示した本発明の実施形態においては、加熱カバー710がリジッドなリング形状に形成された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、加熱カバーをノズルの周縁に巻くことが可能なパック(pack)または腹帯形態に形成することもできる。
【0110】
図7を参照すると、加熱カバー710’は、ノズル600の周縁を囲むことが可能な平たいパック形態に形成されることができ、加熱カバー710’の内部には、誘導加熱コイル722が概してジグザグ形状をなすように備えられることができる。
好ましくは、ノズル加熱装置700は、加熱カバー710’をノズル600に拘束する拘束部740を含むことができる。
【0111】
拘束部740としては、ノズル600の周縁を囲むように配置された加熱カバー710’をノズル600に拘束可能な多様な拘束部材が用いられることができ、拘束部740の種類および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0112】
一例として、拘束部740は、加熱カバー710’の一端に備えられる第1ベルクロ(登録商標)部742(例えば、雌ベルクロ(登録商標)部)と、加熱カバー710’の他の一端に備えられ、第1ベルクロ(登録商標)部742が付着される第2ベルクロ(登録商標)部744(例えば、雄ベルクロ(登録商標)部)とを含むことができる。
【0113】
本発明の他の実施形態によると、弾性バンド(例えば、リング形状の弾性バンド)またはその他の部材を用いて拘束部を構成することもできる。
このように、拘束部740を介して加熱カバー710’がノズル600に拘束されるようにすることにより、ノズル600に対する加熱カバー710の離脱を抑制し、誘導加熱部720による誘導加熱効果を安定的に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0114】
上述したように、本発明の実施形態によると、水素を充填するノズルの結氷を効果的に抑制するという有利な効果を得ることができる。
特に、本発明の実施形態によると、水素充填時にノズルおよびレセプタクルの結氷を抑制し、水素充填の完了後にレセプタクルからノズルを容易に分離できるという有利な効果を得ることができる。
【0115】
また、本発明の実施形態によると、ノズルおよびレセプタクルの結氷を迅速且つ効果的に除去し、使用上の便利性を提供するという有利な効果を得ることができる。
【0116】
また、本発明の実施形態によると、ノズルおよびレセプタクルの結氷による耐久性の低下を最小化するという有利な効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態によると、ノズルの過熱を防止し、安全性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0117】
以上、実施形態を中心に説明したが、これは、単に例示にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば、本実施形態の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、以上に例示していない種々の変形および応用が可能であることは明らかである。例えば、実施形態に具体的に示された各構成要素は変形して実施できるものである。そして、このような変形および応用と関わる相違点は、添付の請求範囲で規定される本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0118】
10 流体充填システム
20 燃料電池車両
22 水素充填ライン
24 水素供給ライン
100 レセプタクル
102 収容溝
200 水素タンク
300 マニホールド
400 レギュレータ
500 水素供給装置
550 燃料電池スタック
600 ノズル
602 操作レバー
610 ノズルボディ
620 グリップ部
622 グリッパ
624 弾性部材
630 ノズルカバー
700 ノズル加熱装置
710、710’ 加熱カバー
712 第1カバー部材
714 第2カバー部材
716 連結部
720 誘導加熱部
722、722’ 誘導加熱コイル
730 保護層
740 拘束部
742 第1ベルクロ部
744 第2ベルクロ部
800 制御部
810 温度センサ
820 電源供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7