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  • 特開-経口組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000008
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20221222BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20221222BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20221222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 36/8962 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20221222BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P3/02
A61P15/10
A61P43/00 111
A61K36/8962
A61P43/00 121
A61K31/36
A61K31/522
A23L2/52
A23L2/00 F
A61K125:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100564
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】東福 伶奈
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】谷川 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD07
4B018MD18
4B018MD55
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF01
4B117LC04
4B117LE01
4B117LG07
4B117LK06
4B117LP01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA01
4C086CB07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC75
4C088AB88
4C088AC12
4C088BA08
4C088MA02
4C088MA16
4C088MA52
4C088NA05
4C088ZA81
4C088ZC21
4C088ZC41
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】
液体における分離が抑制された組成物、栄養補給用組成物、滋養強壮用組成物、男性機能向上用組成物、勃起不全改善用組成物、NO産生促進用組成物を提供する。
【解決手段】
ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、効率よく栄養補給させること、滋養強壮作用を向上させること、男性機能を向上させること、勃起不全を改善させること、NO産生を促進させることができる。さらに、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、液体における層分離を抑制することができる。
【選択図】
なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
温度25℃における粘度が750~10000mPa・sであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する高まり等を背景に種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。また、健康志向と同様に安全志向の高い昨今、安全な素材を用いることが好まれており、日常的に食されているニンニクのような素材やその抽出物が有する有用な機能をより活用することが望まれている。たとえば、ニンニクやその抽出物は健康食品の素材として一般に使用されており、癌の予防や治療(特許文献1、2)や口臭病の予防(特許文献3)等の機能性について広く研究されている。
【0003】
一方、近年、健康食品の剤型として、ソフトカプセルの需要が高まっている。ソフトカプセルは中身が液状のため、摂取後、比較的早く溶けて吸収されるため、効率的な栄養補給が可能であり、食品に用いられる様々な素材が有する有用な機能や効果を発揮させることができる。また、ソフトカプセルは被膜で覆われているため、味、においをマスキングすることができ、服用されやすい。しかし、ソフトカプセルは、その内容物が分散液である場合、内容物に含まれる素材や成分によっては液体への分散性が悪かったり、層分離が生じたり、結晶が生じ、外観が損なわれて商品価値が低下するだけではなく、摂取者にも不快感を与える等の問題があった。また、液体への分散性が悪かったり、層分離を生じると、内容物の物性を安定させることができないために(例えば、内容物の表面張力が変化、移動し、ソフトカプセルの被膜を均一に保つことができなくなる)、内容物の分散性の向上や、層分離の抑制のために他の成分を組み合わせて配合しなければいけなくなったり、それに伴ってソフトカプセルを大きくしなければいけない等の問題があった。ソフトカプセルの内容物の分散性を向上させる方法として、従来、反応モノグリセライドと蒸留モノグリセライドとモノエステル体含有量50%以上のジグリセリン脂肪酸エステルを混合する方法が採用されている(特許文献4)。また、ソフトカプセルの内容物の層分離を抑制する方法として、従来、ヘプロニカートとビタミンEに、さらに、不飽和脂肪酸及び/又はクエン酸トリエチルを混合する方法が採用されている(特許文献5)。しかし、これらの方法では、生体内での有効成分の溶出に難があり、有効成分の効果が生体内で十分に発揮されず、十分に栄養を補給できないおそれがあることが知られている。また、分散性や分散安定性、層分離の抑制が未だ不十分であるため、分散性が良く、層分離を生じないソフトカプセルが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-206573号公報
【特許文献2】特開2006-206572号公報
【特許文献3】特開2004-123630号公報
【特許文献4】特開2009-242334号公報
【特許文献5】特開2005-126396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ニンニク抽出物の有効利用を目的として、汎用性の高いニンニク抽出物含有経口組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、ニンニク抽出物の有効利用を目的として、ニンニク抽出物を含有する、栄養補給用組成物、滋養強壮用経口組成物、男性機能向上用組成物、勃起不全改善用組成物、NO産生促進用組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、ニンニク抽出物の有効利用を目的として、液体における層分離の抑制されたニンニク抽出物含有経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、上記課題を解決するために種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を組み合わせることにより、効率よく栄養補給させること、滋養強壮作用を向上させること、男性機能を向上させること、勃起不全を改善させること、NO産生を促進させること、及び、液体における層分離を抑制させることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成された発明である。
【0007】
本発明の概要は、以下の通りである。
[1]ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする組成物。
[2]ニンニク抽出物とカフェインとセサミンとを含有することを特徴とする組成物。
[3]粘性組成物であることを特徴とする[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[4]温度25℃における粘度が750~10000mPa・sであることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]温度25℃における粘度が1000~6000mPa・sであることを特徴とする、[1]乃至[3]のいずれかに記載の組成物。
[6]ソフトカプセル内容物であることを特徴とする、[1]乃至[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]栄養補給用組成物であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]滋養強壮向上用組成物であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の組成物。
[9]男性機能向上用組成物であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の組成物。
[10]勃起不全改善用組成物であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の組成物。
[11]NO産生促進用組成物であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれかに記載の組成物。
[12][1]乃至[11]のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とするソフトカプセル。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、効率よく栄養補給させること、滋養強壮作用を向上させること、男性機能を向上させること、勃起不全を改善させること、NO産生を促進させることができる。さらに、本発明によれば、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、液体における層分離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例3~5のNO産生量のグラフを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
[ニンニク抽出物]
本発明の組成物は、ニンニク抽出物を含有することを特徴とする。ニンニク抽出物は、ユリ科ネギ属(Allium sativum L.)の球根(鱗茎)から抽出して得られる抽出物である。本発明のニンニク抽出物は、たとえば、ニンニクの搾汁、ニンニクから抽出された抽出液であってもよいし、これらの搾汁又は抽出液を濃縮した濃縮液、これらの搾汁又は抽出液を希釈した希釈液、これらの搾汁又は抽出液を乾燥して得られる乾燥粉末(搾汁物粉末、抽出物粉末)であってもよいし、これらの搾汁又は抽出液に精製の処理を施したものであってもよい。ニンニク抽出物は、スコルジン、アリシン、ビタミンなどを含む。本発明の組成物におけるニンニク抽出物の配合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。
【0012】
(スコルジン)
スコルジンは、ニンニクに含まれる硫黄化合物であり、ニンニクの球根の抽出物にも含まれ、スコルヂン、スコルジニン、スコルヂニン、オキソアミジン、加工ダイサンとも呼ばれる。スコルジンは、高血圧、血栓、動脈硬化等を予防する効果を有する。本発明で用いるニンニク抽出物は、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、スコルジンを含有するものが好ましい。本発明で用いるニンニク抽出物に含有されるスコルジンの配合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、ニンニク抽出物の乾燥質量に対して0.45質量%以上であることが好ましく、4.5質量%以上であることがより好ましく、9質量%以上であることが特に好ましい。
【0013】
[カフェイン]
カフェインは、プリン環を有するプリンアルカロイドの一種であり、コーヒー豆、カカオ、茶葉等に含まれる成分である。本発明で用いるカフェインは、無水物、水和物のいずれであってもよい。本発明で用いるカフェインは、例えば、カフェインを含有する植物抽出物をそのまま使用したり、カフェインを含有する植物抽出物を濃縮又は精製したものであってもよいし、化学合成等によって得られる結晶物であってもよい。カフェインを含有する植物抽出物は、特に限定されないが、例えば、コーヒー豆、カカオ、茶葉、ガラナ、コーラ等から水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルなどの溶媒で公知の方法を用いて抽出できる。なお、カフェインは、種々の形態で市販されており、市販されているカフェインを用いてもよい。カフェインは、主に中枢神経の興奮を引き起こすことが知られており、眠気覚ましの効果を期待されて、医薬品や食品に含有されている。また、カフェインは、抗炎症、利尿作用等の効果を有する。
【0014】
本発明の組成物におけるカフェインの配合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。
【0015】
本発明の組成物におけるニンニク抽出物に対するカフェインの配合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、ニンニク抽出物の配合量を1とした場合、1:0.01~50であることが好ましく、1:0.05~10であることがより好ましく、1:0.1~5であることが特に好ましい。
【0016】
[セサミン]
セサミンは、リグナンの誘導体の一種であり、ゴマリグナンに含まれる成分である。本発明で用いるセサミンは、例えば、セサミンを含有する植物をそのまま使用したり、セサミンを含有する植物の搾汁液、抽出液であってもよいし、これらに希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施したものであってもよいし、化学合成等によって得られる結晶物であってもよい。セサミンを含有する植物抽出物は、特に限定されないが、例えば、ゴマ、サンショウ、イチョウ等から水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルなどの溶媒で公知の方法を用いて抽出できる。なお、セサミンは、種々の形態で市販されており、市販されているセサミンを用いてもよい。セサミンは、肝機能改善や、高血圧、高コレステロール等を予防する効果を有する。
【0017】
本発明の組成物におけるセサミンの合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の向上の観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。
【0018】
本発明の組成物におけるセサミンの配合量は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の向上の観点から、ニンニク抽出物の配合量を1とした場合、1:0.001~50であることが好ましく、1:0.0.005~10であることがより好ましく、1:0.01~5であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の組成物は、ニンニク抽出物と共に、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を配合すればよいが、NO産生促進作用が高く、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上、及び、勃起不全改善効果が高い観点から、カフェインとセサミンのいずれも配合することが好ましい。
【0020】
本発明の組成物におけるニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種との配合量(総量)は、特に制限されないが、効率のよい栄養補給、滋養強壮作用の向上、男性機能の向上、勃起不全の改善、NO産生の促進、及び、液体における層分離の抑制の観点から、組成物全体に対して、1~95%であることが好ましく、7.5~75%であることがより好ましく、15~60%であることが特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物は、液体で提供されることが好ましく、粘性を有する液体(粘性組成物)であることが、後述する液体における層分離抑制の観点から好ましい。液体における層分離の抑制の観点から、25℃における粘度が500~20000mPa・sであることが好ましく、750~10000mPa・sであることがより好ましく、1000~6000mPa・sであることがさらに好ましく、1000~4500mPa・sであることが特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、ハードカプセル状、ソフトカプセル状、粉末状、顆粒状、粒状、液状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、ゲル状、カプレット状、チュアブル状、スティック状、ゼリー状等を挙げることができる。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水、湯、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料(粉末飲料)やティーバッグ(本発明の粉末状又は顆粒状の組成物を不織布に充填し、水、湯によって抽出して摂取するものを意味する。)、食品添加剤を例示することができる。これらの中でも、製造性及び摂取のしやすさの観点から、錠状、ハードカプセル状、ソフトカプセル状、粉末状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、ゲル状、ゼリー状、ティーバッグの形態が好ましく、液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、ゲル状がより好ましく、さらに、液体へ分散性の良さの観点から、ペースト状が特に好ましい。
【0023】
本発明の組成物が液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、ゲル状の場合、本発明の組成物をソフトカプセルに含有して使用することができる。ソフトカプセルの製造方法としては、内容物として本発明の組成物を用いること以外は、従来公知のソフトカプセルの製造方法に従えばよい。そのような製造法としては、カプセル皮膜シートを用いて、ロータリー式充填機で内容物を封入し、カプセル製剤を成型する方法、又は滴下法によりシームレスカプセルを製造する方法等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物は、一般的な食品、食品添加剤等の他、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、医薬品(医薬部外品を含む)として用いることができる。
【0025】
本発明の経口組成物は、効率のよい栄養補給作用、優れた滋養強壮作用、男性機能向上作用、勃起不全改善作用、NO産生促進作用を有する。また、本発明によれば、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を摂取することにより、NO産生を促進させることができるため、滋養強壮用組成物、男性機能向上用組成物、勃起不全改善用組成物を提供することができる。
【0026】
(滋養強壮)
滋養強壮とは、栄養を補給することで、栄養分を体に蓄え、強い身体をつくることであり、虚弱体質の改善や肉体疲労の改善・回復、食欲不振の改善・回復、健康増進のために行われ、自然治癒力を高めて身体のバランスを正常化させることである。滋養強壮が求められる具体的な例としては、例えば、男性機能の向上、病中・病後や産前・産後の体力の向上、病中病後の体力の向上等が挙げられる。
【0027】
男性機能の障害の一種である勃起不全(ED)は、(1)緊張過多、ストレス、人間関係、不安等の心理的な問題や、神経症、躁鬱病等の精神的な問題に起因する機能性ED、(2)血管、神経、内分泌環境等に起因し、加齢、喫煙、高血圧、糖尿病等の生活習慣病や、心不全、動脈硬化等のほか、前立腺癌、直腸癌の手術、抗圧剤、向精神薬、消化性潰瘍治療剤等の薬物が原因で起こることもある器質性ED、(3)機能性と器質性の両方が原因の混合性EDに分類され、EDと生活習慣とは密接に関わっている。
【0028】
EDの発症には、血管内皮細胞や神経細胞に発現しているNO合成酵素(血管内皮細胞においては内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)、神経細胞においては神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS))により、アルギニンからシトルリンに変換される際に放出されるNO(一酸化窒素)が大きく関わっている。性的刺激によって中枢神経系が活性化し、海綿体神経終末や血管内皮細胞からNOが放出され、このNOが陰茎動脈や陰茎海綿体の仕切りに当たる海綿体小柱の平滑筋細胞に浸透してグアニル酸シクラーゼを活性化させ環状グアノシン一リン酸(cGMP)濃度を上昇させる。そして、cGMPにより陰茎動脈が弛緩し、陰茎海綿体への血液流入が増大し、陰茎の静脈が圧迫される結果、勃起が起こる。したがって、NO産生量が増加すれば、勃起不全が改善され、男性機能が改善され、滋養強壮につながる。
【0029】
本発明の組成物は、いわゆる健康食品や医薬品、医薬部外品等の滋養強壮用組成物、男性機能向上用組成物、勃起不全改善用組成物、NO産生促進用組成物として用いることができ、かかる滋養強壮用組成物、男性機能向上用組成物、勃起不全改善用組成物、NO産生促進用組成物としては、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種とを含有し、滋養強壮、男性機能向上、勃起不全改善、及び/又はNO産生促進に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに、滋養強壮、男性機能向上、勃起不全改善、及び/又はNO産生促進の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の組成物は、製品の包装などに、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種とが、滋養強壮、男性機能向上、勃起不全改善、及び/又はNO産生促進の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
【0030】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「栄養の補給」、「栄養補給に」、「滋養強壮をサポートする」、「男性機能の改善に」、「男性機能の回復に」、「勃起不全の改善に」、「活力あふれる毎日を」、「体力の向上をサポート」、「疲労回復に」等を表示したものを例示することができる。また、いわゆる医薬部外品においては、「元気な毎日のため」、「活力向上」、「活力をケア」等を表示したものを例示することができる。本発明の組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができる。
【0031】
本発明の組成物は、必要に応じて、ニンニク抽出物、カフェイン、セサミン以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。ニンニク抽出物、カフェイン、セサミン以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13、ビタミンB15、ビタミンB17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)などのビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル類;タウリン、ニンニク以外に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチンなどのフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲンなどのタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物などを挙げることができる。本発明の組成物がソフトカプセルの場合、カプセル用皮膜として、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多価アルコール(グリセリン、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等)等を挙げることができる。ソフトカプセルの内容液は、さらに水を含んでいてもよい。ソフトカプセルの内容液の賦形剤としては、特に制限されないが、白糖、D-マンニトール、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロースのほか、ベニバナ油(サフラワー油)、アマニ油、ブドウ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、ひまわり油、大豆油、椿油、とうもろこし油、パーム油、パーム核油、綿実油、米油、オリーブ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、マスタードオイル、ココナッツオイル、ヘンプシードオイル、ティーシードオイル、中鎖脂肪酸油などの植物性油脂、牛、乳、豚、魚(いわし、さば、さめ、さんま、たらなど)から得られる動物性油脂、及び、これらの硬化油、分別油、エステル交換油脂等が挙げられる。
【0032】
以下、本発明の組成物について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。本発明の組成物が経口の場合、「経口用組成物」、「経口剤」、「飲食用組成物」、「飲食用剤」、「飲食品」、「ソフトカプセル」のいずれにも当てはまり、本発明の効果を得ることができる「滋養強壮用組成物」、「男性機能向上用組成物」、「勃起不全改善用組成物」、「NO産生促進用組成物」のいずれにも当てはまる。
【実施例0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
<試験1:液体における分離抑制>
ニンニク抽出物としてスコルジンを90%含有するニンニク抽出物を用いた。
セサミンとしてゴマ油(セサミン0.5%含有)を用いた。
表1に記載の組成となるように、各成分を混合撹拌し、サンプル100gを調製した。得られた被験物質をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に30g充填し、25℃で静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を使用し、M4号ローターを用いて20℃、12rpmで1分間回転させた後に粘度を測定した。
【0035】
得られた被験物質を25℃で静置した後、層分離するまでの時間を確認し、分散性を以下の基準で評価した。
・分散性の評価基準(点数)
静置後、3分以内に層分離した:×
静置後、2時間以内に層分離した:△
静置後、20時間以内に層分離した:○
静置後、20時間を超えても層分離しなかった:◎
【0036】
【表1】
【0037】
その結果を表1に示す。表1に示されるように、ニンニク抽出物を及びセサミンを含有し、25℃における温度25℃における粘度が1000~4500mPa・sである実施例1、2は、液体における層分離が抑制された組成物であった。
【0038】
<試験2:NO産生促進>
ニンニク抽出物としてスコルジンを90%含有するニンニク抽出物を用いた。
カフェインとして無水カフェイン(ナカライテスク製)を用いた。
セサミンとしてセサミン(東京化成工業製)を用いた。
表2に記載する組成となるように、各成分を混合し、サンプルを調製した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をコラーゲンコートした24ウェルプレートに5.0×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%COインキュベーター内で、24時間培養した。その後、培地を除去し、サンプル含有培地を500μL/well添加し、37℃、5%COインキュベーター内で24時間培養した。その後、培地を除去し、PBSで2回洗浄し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを回収し、ReverTra Ace(登録商標)qPCR RT Master Mix(東洋紡製)を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型として、eNOS遺伝子のプライマー(タカラバイオ製)を用いて、Rotor-Gene SYBR Green PCR Kit(QIAGEN製)により定量リアルタイムPCRを行い、eNOS遺伝子のmRNA発現量を測定した。内在性コントロールとして、ACTINβのプライマー(QIAGEN製)を用いて、ACTINβのmRNA発現量を測定した。
【0039】
【表2】
【0040】
その結果を図1に示す。図1に示されるように、本発明の実施例3、4に係る、ニンニク抽出物と、カフェイン又はセサミンを含有する場合、比較例1~3に係る、ニンニク抽出物、カフェイン又はセサミンのいずれか一つのみを含有する場合に比べて、eNOS遺伝子のmRNA発現量が増加した。したがって、ニンニク抽出物と、カフェイン又はセサミンの組み合わせは、NO産生促進作用に優れることから、効率のよい栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び/又は勃起不全改善に有用である。また、本発明の実施例5に係る、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンを含有する場合、実施例3、4に係る、ニンニク抽出物と、カフェイン又はセサミンを含有する場合に比べて、mRNA発現量がさらに増加した。したがって、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンの組み合わせは、効率のよい栄養補給、滋養強壮、男性機能向上、勃起不全改善、及び/又はNO産生促進に極めて有用である。
【0041】
以下に本発明の種々の態様の例を挙げるが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。
【0042】
[処方例1~6]
(ソフトカプセル)
下記表3に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を混合してソフトカプセルの内容物を製造した(1カプセルあたり300mg)。得られたソフトカプセルの内容物は、温度25℃における粘度が750~6000mPa・sであった。続いて、ソフトカプセルの内容物を、常法に従って、ゼラチン製のカプセル被膜(1カプセルあたり150mg)で被包し、ソフトカプセルを製造した。得られたソフトカプセルは、内容物が分離しなかった。また、得られたソフトカプセルを摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0043】
【表3】
【0044】
[処方例7~9]
(粉末(飲料用))
下記表4に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を混合して粉末(飲料用)を製造した。得られた粉末(飲料用)3gを100mLの水と混合し、摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0045】
【表4】
【0046】
<処方例10~12>
(顆粒)
下記表5に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を配合した後、流動層造粒機に投入し、気流で数分間混合し、これに水300mLを1分間に30mL噴霧して造粒を行った。得られた造粒物を30メッシュの篩いで選別し、顆粒を製造した。得られた顆粒を摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0047】
【表5】
【0048】
<処方例13~15>
(錠剤)
下記表6に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を配合した後、打錠装置を用いて成形し、錠剤を製造した(1粒あたり250mg)。得られた錠剤を摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0049】
【表6】
【0050】
<処方例16~18>
(ハードカプセル)
下記表7に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を配合した後、ゼラチンを含む被膜に充填し、ハードカプセルを製造した(1粒あたり内容物200mg、皮膜80mg)。得られたハードカプセルを摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0051】
【表7】
【0052】
<処方例19~21>
(飲料)
下記表8に示す処方に従い、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を混合して飲料を製造し、500mLの容器に充填した。得られた飲料を摂取したところ、NO産生促進効果が高いことから、栄養補給、滋養強壮、男性機能向上及び勃起不全改善に優れるものであった。
【0053】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、効率よく栄養補給させ、滋養強壮作用を向上させ、男性機能を向上させ、勃起不全を改善させ、NO産生を促進させることができる。また、本発明によれば、ニンニク抽出物と、カフェイン及びセサミンから選ばれる少なくとも1種を含有することにより、液体における分離を抑制させることができる。
図1