(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080042
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】時間ドメインIQMM推定を備えるトランシーバ
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20230601BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04L27/26 310
H04B1/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022188919
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】17/537,400
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】スチェス エス クンチャム
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB07
5K060CC04
5K060FF06
5K060HH01
5K060HH39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】時間ドメインIQMM推定を備えるトランシーバを提供する。
【解決手段】トランシーバにおいて、補助レシーバ104は、アナログ回路要素112に、スイッチネットワーク134と、ミキサ136とを、デジタル回路要素110に、IQ不一致(IQMM)推定回路144を含む。スイッチネットワークは、トランスミッタ102の出力に結合されるように適合される。スイッチネットワークは、差動対の相補信号を選択的にスワップする。ミキサは、スイッチネットワークに結合され、スイッチネットワークの出力信号をダウンコンバートする。IQMM推定回路は、ミキサに結合され、ミキサの出力信号に基づいてトランスミッタのIQMMを推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバ回路であって、
トランスミッタとレシーバとを含み、
前記トランスミッタが、IQ不一致(IQMM)補正回路と、電力増幅器とを含み、
前記電力増幅器が、前記IQMM補正回路に結合された入力と、出力とを含み、
前記レシーバが、前記電力増幅器の前記出力に結合され、前記レシーバが、
前記電力増幅器の前記出力に結合されたスイッチネットワークと、
ミキサと、
前記ミキサと前記IQMM補正回路との間に結合されたIQMM推定回路と、
を含み、
前記スイッチネットワークが
第1の入力、第2の入力、第1の出力、及び第2の出力と、
前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合された第1のスイッチと、
前記第1の入力と前記第2の出力との間に結合された第2のスイッチと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合された第3のスイッチと、
前記第2の入力と前記第1の出力との間に結合された第4のスイッチと
を含み、
前記ミキサが、前記スイッチネットワークの前記第1の出力と前記第2の出力との間に結合される、
トランシーバ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のトランシーバ回路であって、
前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、前記第3のスイッチ、及び前記第4のスイッチが、
対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第1のスイッチが閉であり、前記第2のスイッチが開であり、前記第3のスイッチが閉であり、前記第4のスイッチが開であるように結合され、
非対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第1のスイッチが開であり、前記第2のスイッチが閉であり、前記第3のスイッチが開であり、前記第4のスイッチが閉であるように結合される、
トランシーバ回路。
【請求項3】
請求項2に記載のトランシーバ回路であって、前記IQMM推定回路が、前記対称ダウンコンバージョンに基づいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバに対する第1のIQMM推定を計算するように構成される、トランシーバ回路。
【請求項4】
請求項3に記載のトランシーバ回路であって、前記IQMM推定回路が、前記非対称ダウンコンバージョンに基づいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバに対する第2のIQMM推定を計算するように構成される、トランシーバ回路。
【請求項5】
請求項4に記載のトランシーバ回路であって、前記IQMM推定回路が、前記第1のIQMM推定及び前記第2のIQMM推定に基づいてトランスミッタIQMM推定を計算するように構成される、トランシーバ回路。
【請求項6】
請求項5に記載のトランシーバ回路であって、前記IQMM補正回路が、前記トランスミッタIQMM推定に基づいて、送信されるべき信号を改変するように構成される、トランシーバ回路。
【請求項7】
レシーバであって、
トランスミッタの出力に結合されるように適合され、差動対の相補信号を選択的にスワップするように構成されたスイッチネットワークと、
前記スイッチネットワークに結合され、前記スイッチネットワークの出力信号をダウンコンバートするように構成されたミキサと、
前記ミキサに結合され、前記ミキサの出力信号に基づいて前記トランスミッタのIQ不一致(IQMM)を推定するように構成されるIQMM推定回路と、
を含む、レシーバ。
【請求項8】
請求項7に記載のレシーバであって、前記スイッチネットワークが、
第1の入力、第2の入力、第1の出力、及び第2の出力と、
前記第1の入力と前記第1の出力との間に結合された第1のスイッチと、
前記第2の入力と前記第1の出力との間に結合された第2のスイッチと、
前記第2の入力と前記第2の出力との間に結合された第3のスイッチと、
前記第2の入力と前記第1の出力との間に結合された第4のスイッチと、
を含む、レシーバ。
【請求項9】
請求項8に記載のレシーバであって、前記ミキサが、前記ミキサの前記出力信号の対称ダウンコンバージョンを実施するように構成される、レシーバ。
【請求項10】
請求項9に記載のレシーバであって、前記対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第1のスイッチが閉であり、前記第2のスイッチが開であり、前記第3のスイッチが閉であり、前記第4のスイッチが開である、レシーバ。
【請求項11】
請求項9に記載のレシーバであって、前記ミキサが、前記ミキサの前記出力信号の非対称ダウンコンバージョンを実施するように構成される、レシーバ。
【請求項12】
請求項11に記載のレシーバであって、前記非対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第1のスイッチが開であり、前記第2のスイッチが閉であり、前記第3のスイッチが開であり、前記第4のスイッチが閉である、レシーバ。
【請求項13】
請求項11に記載のレシーバであって、前記IQMM推定回路が、
前記対称ダウンコンバージョンに基づいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバに対する第1のIQMM推定を計算するように構成され、
前記非対称ダウンコンバージョンに基づいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバに対する第2のIQMM推定を計算するように構成される、
レシーバ。
【請求項14】
請求項13に記載のレシーバであって、前記IQMM推定回路が、前記第1のIQMM推定及び前記第2のIQMM推定に基づいてトランスミッタIQMM推定を計算するように構成される、レシーバ。
【請求項15】
IQ不一致(IQMM)推定のための方法であって、
第1の受信信号の対称ダウンコンバージョンに基づいて、トランスミッタ及びレシーバに対する第1のIQMM推定を計算することと、
第2の受信信号の非対称ダウンコンバージョンに基づいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバに対する第2のIQMM推定を計算することと、
前記第1のIQMM推定及び前記第2のIQMM推定に基づいてトランスミッタIQMM推定を計算することと、
前記トランスミッタによって送信されるべき信号を改変するために、前記トランスミッタIQMM推定を適用することと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記第1の受信信号の前記対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第1の受信信号を局部発振器信号と混合することを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記対称ダウンコンバージョンを実施することが、
差動対の第1の信号をミキサの第1の入力へ渡すようにスイッチネットワークを構成することと、
前記差動対の第2の信号を前記ミキサの第2の入力へ渡すように前記スイッチネットワークを構成することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記第2の受信信号の前記非対称ダウンコンバージョンを実施するために、前記第2の受信信号を前記局部発振器信号と混合することを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記非対称ダウンコンバージョンを実施することが、
前記差動対の前記第1の信号を前記ミキサの前記第2の入力へ渡すように前記スイッチネットワークを構成することと、
前記差動対の前記第2の信号を前記ミキサの前記第1の入力へ渡すように前記スイッチネットワークを構成することと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号が、直交周波数多重(OFDM)パケットを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワイヤレス通信デバイスは、音声信号、マルチメディア信号、データ信号、及びその他の情報の通信を提供するために広く用いられている。幾つかのワイヤレス通信デバイスにおいて、デジタルベースバンド回路が複雑なベースバンドデータのデータストリームをトランスミッタに提供する。送信されたベースバンドデータは、実部(同相(I))成分と虚部(直交(Q))成分とによって表される直交トランスミッタ信号で搬送され得る。トランスミッタにおいて、トランスミッタ信号の同相成分及び直交成分は、並列な同相成分及び直交成分回路経路に沿って処理される。同相及び直交経路において提供される信号処理は、デジタルアナログ変換、混合、フィルタリング、電力増幅等を含み得る。同相信号及び直交信号は変調されて、送信されるアナログ無線周波数(RF)信号を提供する。理想的には、同相成分及び直交成分はトランスミッタにおける並列な回路経路に沿って処理され、一方の経路に沿った回路要素は、他方の並列経路に沿った対応する回路要素と完全に同一であるか又は「一致」する。
【発明の概要】
【0002】
一例において、トランシーバ回路がトランスミッタとレシーバとを含む。トランスミッタはIQ不一致(IQMM)補正回路及び電力増幅器を含む。電力増幅器は入力及び出力を含む。入力はIQMM補正回路に結合される。レシーバは電力増幅器の出力に結合される。レシーバは、スイッチネットワーク、ミキサ、及びIQMM推定回路を含む。スイッチネットワークは電力増幅器の出力に結合される。スイッチネットワークは、第1の入力、第2の入力、第1の出力、第2の出力、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、及び第4のスイッチを含む。第1のスイッチは、第1の入力と第1の出力との間に結合される。第2のスイッチは、第1の入力と第2の出力との間に結合される。第3のスイッチは、第2の入力と第2の出力との間に結合される。第4のスイッチは、第2の入力と第1の出力との間に結合される。ミキサは、スイッチネットワークの第1の出力と第2の出力との間に結合される。IQMM推定回路は、ミキサ及びIQMM補正回路に結合される。
【0003】
別の例において、レシーバが、スイッチネットワーク、ミキサ、及びIQMM推定回路を含む。スイッチネットワークは、トランスミッタの出力に結合されるように適合される。スイッチネットワークは、差動対の相補信号を選択的にスワップするように構成される。ミキサはスイッチネットワークに結合され、スイッチネットワークの出力信号をダウンコンバートするように構成される。IQMM推定回路は、ミキサに結合され、ミキサの出力信号に基づいてトランスミッタのIQMMを推定するように構成される。
【0004】
更なる例において、IQMM推定のための或る方法が、第1の受信信号の対称ダウンコンバージョンに基づいて、トランスミッタ及びレシーバに対する第1のIQMM推定を計算することと、第2の受信信号の非対称ダウンコンバージョンに基づいて、トランスミッタ及びレシーバに対する第2のIQMM推定を計算することとを含む。トランスミッタIQMM推定が、第1のIQMM推定及び第2のIQMM推定に基づいて計算される。トランスミッタIQMM推定は、トランスミッタによって送信される信号を改変するために適用される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
種々の例の詳細な説明について、添付の図面を参照する。
【0006】
【
図1】トランスミッタIQ不一致(IQMM)を推定するための対称及び非対称ダウンコンバージョンを含む例示のトランシーバのブロック図である。
【0007】
【
図2】対称及び非対称ダウンコンバージョンにおいて用いるためのスイッチネットワークを含む例示の補助レシーバの一部に対するブロック図である。
【0008】
【
図3】対称及び非対称ダウンコンバージョンにおける使用に適した例示のスイッチネットワークに対する概略図である。
【0009】
【
図4】
図1のトランシーバの種々のデータ改変動作を示す。
【0010】
【
図5】対称及び非対称ダウンコンバージョンに基づくトランスミッタIQMM推定を含むトランスミッタIQMM補正のための方法のフローチャートである。
【0011】
図において、(機能及び/又は構造が)同じ又は類似の特徴に対して同じ参照番号が用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
IEEE802.11規格に準拠した通信システムにおいて、直交周波数分割多重(OFDM)サブキャリアは、送信のため直交振幅変調(QAM)を用いて変調される。QAMは、同相(I)信号及び直交(Q)信号、及び関連する並列処理経路を用いる。送信された信号の品質は、エラーベクトル振幅(EVM)と呼ばれるパラメータを用いて評価される。EVMは、無線周波数(RF)非線形性、IQ不一致(IQMM)、位相雑音(IPN)等、様々なトランスミッタ障害を網羅している。
【0013】
IQMMは、並列の同相及び直交チャネル処理経路における利得又は位相の差(不一致)である。-28dBのEVM目標を満たすために、IQMMの信号対雑音比(SNR)の目標は45dBである。IQMMに対する補償を提供するために、補償されるべきIQMMの量は、トランスミッタに結合された補助レシーバにおいて推定される。IQMMの測定には様々な問題及び制限がある。幾つかの例において、低電力動作を促進するために、IQMMが時間ドメインにおいて測定される。IEEE802.11ベースの通信を実装するために用いられる周波数帯域は、他のワイヤレス技術(例えば、BLUETOOTH、ZIGBEE、等)と共有されるため、IQMM推定は、連続波トーンではなくODFMパケットを用いて実施され得る。トランスミッタの出力に結合された補助レシーバは、トランスミッタIQMMの測定のために、送信された信号のダウンコンバージョンを提供する。しかしながら、補助レシーバは、受信した信号に自機のIQMMを付加し、トランスミッタIQMMの測定は、補助レシーバの周波数依存IQMM(IQFD)の影響を受けないものとする。
【0014】
本明細書に説明されるトランシーバ(トランスミッタ及び関連する補助レシーバ)の例において、時間ドメインIQMM推定は、間接的適合アルゴリズムを用いて実施される。対称及び非対称ダウンコンバージョンは、トランスミッタIQMM及び補助レシーバIQMMをトランスミッタ-補助レシーバループIQMMから分離するために用いられる。非対称ダウンコンバージョン(共役生成)は、補助レシーバのミキサを駆動する差動線をスワップする(即ち、ミキサ入力において、I又はQ信号の一方を反転させる)ことによって実施される。IQMM推定は、補助レシーバのIQMM及びIQFDの影響を受けない。推定では2回の反復が用いられる。第1の反復は、通常(対称)ダウンコンバージョン(+I及び+Q)を用いてトランスミッタ-補助レシーバループIQMMを推定する。第2の反復は、非対称ダウンコンバージョン(+I及び-Q、又は-I及び+Q)を用いてトランスミッタ-補助レシーバループIQMMを推定し、補助レシーバ入力は、元の信号の共役であり、結果のトランスミッタIQMMは、第1の反復の複素共役である。
【0015】
図1は、トランスミッタIQMMを推定するための対称及び非対称ダウンコンバージョンを含む例示のトランシーバ100のブロック図である。トランシーバ100は、トランスミッタ102、補助レシーバ104、局部発振器114、及びカプラ116を含む。補助レシーバ104はカプラ116を介してトランスミッタ102に結合される。補助レシーバ104は、トランスミッタ102によって送信された信号のフィードバックを提供するために用いられる。トランシーバ100は、OFDM変調信号を用いる等、無線ピア間の動作データ交換の間に、実用的なマルチキャリア信号、即ち、動作モードで用いられ得る信号に対して機能する。
【0016】
OFDM信号(例えば、OFDMデータシンボル)は、PANネットワーク、WLANネットワーク(例えば、802.11x WiFi)、WANネットワーク(例えば、4G及びLTEセルラーネットワーク)、WiMAXネットワーク、モバイルWiMAXネットワーク、ADSL及びVDSLネットワーク、DVB-T及びDVB-Hネットワーク、及びUWBネットワーク等の、ワイヤレス応用例におけるデータ通信をサポートするために用いられ得る。用いられる変調方式は、例えば、位相偏移変調(PSK)、振幅偏移変調(ASK)、又は直交振幅変調(QAM)を含み得る。
【0017】
トランシーバ100は、トランスミッタデジタル回路要素106及びトランスミッタアナログ回路要素108を含む。トランスミッタデジタル回路要素106は、コンステレーションマッパー118、逆高速フーリエ変換(IFFT)回路120、ガードインターバル(GI)及びウィンドウ回路122、及びIQMM補正回路124、及びデジタルアナログ変換器(DAC)126を含む。トランスミッタアナログ回路要素108は、ベースバンドフィルタ128、ミキサ130、及び電力増幅器132を含む。
【0018】
コンステレーションマッパー118は、TBITSとして示されるデジタル信号を受信し(例えば、プロセッサから受信し)、そこから、並列I及びQ経路での処理のため、変調されたI信号及び変調されたQ信号を生成する。コンステレーションマッパー118は、コンステレーションテーブルを用いて各ベクトルを、それ自体がシンボルコンステレーションに対応し得る一つ又は複数の事前選択されたシンボルアルファベットのメンバである、送信シンボルにマッピングし得る。IFFT回路120は、コンステレーションマッパー118から受信した周波数ドメイン信号を時間ドメインI及びQ信号に変換する逆フーリエ変換を実装する。GI及びウィンドウ回路122及びIQMM補正回路124は、IFFT回路120から受信した時間ドメイン信号を処理する。
【0019】
GI及びウィンドウ回路122は2つのタスクを実施する。GI及びウィンドウ回路122はガードインターバルを挿入してマルチ経路に起因するシンボル間干渉を防止する。GI及びウィンドウ回路122はまた、ウィンドウイングを用いて、シンボル境界において漸進的な振幅の立ち上がり及び立ち下がりを生成することによって帯域外周波数におけるエネルギーを低減する。
【0020】
IFFT回路120は直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)モジュールを更に含み得、OFDMAモジュールは、IFFT処理の前に、異なる変調ストリームを異なるサブキャリアグループにマッピングする。幾つかの実装において、IFFT回路120は、一つ又は複数の周波数範囲に関連する一つ又は複数の時間ドメイン信号を生成するため、コンステレーションマッパー118の出力に対してIFFTを実施し得る。幾つかの実装において、IFFT回路120は、20MHz、40MHz、80MHz、又は160MHz等の一つ又は複数のFFT帯域周波数を用いるように構成され得る。幾つかの実装において、IFFT回路120は、変調されたデータストリームに対して、異なるFFT帯域幅に従って異なるIFFTを実施し得る。
【0021】
IQMM補正回路124の出力が、ベースバンドフィルタ128に結合されたDAC126に結合される。DAC126及びベースバンドフィルタ128はIQMM補正回路124から受信した時間ドメイン信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を送信用にシェイピングする。IQMM補正回路124は、IQMM推定回路144からトランスミッタ102のIQMM(θとして示される)のデジタル時間ドメイン複素表現を受け取るように示されている。トランスミッタIQMMの推定は本明細書に説明されている。IQMM推定回路144は、補助レシーバ104におけるデジタルフィルタ142の出力からYI及びYQとして示されるI及びQ時間ドメイン信号と、トランスミッタ102におけるGI及びウィンドウ回路122の出力からXI及びXQとして示される時間ドメインI及びQ信号を受信し、トランスミッタ102のIQMMの推定を計算する。従って、トランスミッタ102のIQMMの開示された推定及び補償は周波数ドメインではなく時間ドメインにおいて実施される。
【0022】
トランスミッタ-補助レシーバループ全体(トランスミッタ102及び補助レシーバ104を含む)に対するIQMMは下記のように推定され得る。
ここで、θはトランスミッタ-補助レシーバループ全体に対するIQMMであり、
xは、障害及び補正前のトランスミッタベースバンド信号であり、
x
nは、xのn番目のサンプルであり、
Nは、パケット長であり、
y
RXは、IQMM障害を持つ送信された信号であり、受信され、ベースバンドにダウンコンバートされ、
y
RXnは、y
RXのn番目のサンプルである。
【0023】
トランシーバ100において、IQMM推定回路144は、トランスミッタ-補助レシーバループ全体のIQMMではなくトランスミッタ102のIQMMを推定し、トランスミッタ102のIQMMを、IQMM補正に用いるためにIQMM補正回路124に渡す。これ以降に説明するように、トランスミッタ-補助レシーバループのIQMMからトランスミッタIQMMを抽出するために、対称及び非対称ダウンコンバージョンが用いられる。従って、トランシーバ100において、送信された信号に適用されるIQMM補償は補助レシーバ104のIQMMの対象ではない。
【0024】
IQMM推定回路144によって提供されるIQMMの推定及びIQMM補正回路124によって実施されるIQMMの補正は、ハードウェアHW又はファームウェアFW(ソフトウェア)において実装され得る。HW実装において、フィールドプログラマブルアレイ(FPGA)又は特定用途向けIC(ASIC)が用いられ得る。FW実装において、FWとして格納された命令を実行するプロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)が用いられ得る。
【0025】
ベースバンドフィルタ128はミキサ130に結合される。ミキサ130は、I及びQ経路用のアップコンバーティングミキサを含む。ミキサ130は、局部発振器114から90度シフトされた局部発振器信号を受信し、これらの局部発振器信号をベースバンドフィルタ128から受信したI及びQ信号と混合する。局部発振器114は、意図されたトランスミッタ出力信号のキャリア周波数と同じ又は非常に近い周波数を提供し得る。アップコンバージョンは、アナログ信号を対応する周波数帯域にアップコンバートして送信する。
【0026】
局部発振器114は位相ロックループ(PLL)を含み得る。ミキサ130によって生成されるアップコンバートされた信号は組み合わされ(例えば、付加され)、電力増幅器132に提供される。電力増幅器132は低雑音増幅器を含み得、電力増幅器132の出力がアンテナ(図示せず)に結合されるように適合され得る。
【0027】
カプラ116は、トランスミッタ102と補助レシーバ104との間にあり、電力増幅器132の出力からの信号を補助レシーバ104のI及びQ経路にループバックする。トランスミッタ102と同様に、補助レシーバ104はI及びQ信号を並列I及びQ経路において処理する。カプラ116は、或る程度の信号減衰を有するアナログ構成要素であり、概して線形受動構成要素を含み、これは信号に位相を付加する場合もあり付加しない場合もある。例えば、カプラ116はRFキャパシタ又は抵抗器を含み得る。
【0028】
補助レシーバ104は、トランスミッタ102によって送信されたRF信号を、カプラ116を介して受信する。例えば、受信した信号はOFDMサブキャリアのグループを含み得る。補助レシーバ104はデジタル回路要素110及びアナログ回路要素112を含む。アナログ回路要素112は、スイッチネットワーク134、ミキサ136、ベースバンドフィルタ138、及びアナログデジタルコンバータ(ADC)140を含む。デジタル回路要素110は、デジタルフィルタ142、FFT回路146、BCCデコーダ148、及びIQMM推定回路144を含む。デジタル回路要素110及びアナログ回路要素112の種々の構成要素はI及びQ処理経路の両方に対して提供され得る。例えば、スイッチネットワーク134はI経路及びQ経路に対して別々のスイッチ回路を提供し得、ミキサ136はI経路及びQ経路に対して別々の混合回路等を含み得る。
【0029】
スイッチネットワーク134は、カプラ116に結合され、トランスミッタ102からループバックされたI及びQ信号を受信する。スイッチネットワーク134は、カプラ116から受信した差動I及びQ信号をミキサ136に接続するスイッチを含む。スイッチネットワーク134のスイッチは、ミキサ136において対称ダウンコンバージョンを実施するために受信した信号を渡すように設定され得るか又はミキサ136において非対称ダウンコンバージョンを実施するために受信した信号を渡すように設定され得る。トランシーバ100において、受信した信号に対して対称及び非対称ダウンコンバージョンが繰り返し実施され、対称及び非対称ダウンコンバージョンの結果が処理されて、トランスミッタ102のIQMMが推定される。
【0030】
ミキサ136は、局部発振器114から受信した90度シフトされた局部発振器信号をスイッチネットワーク134から受信したI及びQ信号と混合して、I及びQ信号をダウンコンバートする。ベースバンドフィルタ138及びADC140はダウンコンバートされた信号をフィルタリングし、信号をデジタルデータシーケンスに変換する。ADC140は、デジタルフィルタ142に結合される。FFT回路146は、デジタルフィルタ142から受信した時間ドメインI及びQ信号を周波数ドメイン信号に変換する。BCCデコーダ148はデコードされたビットストリームを出力する。
【0031】
図2は、スイッチネットワーク134を含む補助レシーバ104の一部に対するブロック図である。スイッチネットワーク134はカプラ116に結合された入力134A及び134Bを含む。スイッチネットワーク134の出力134C及び134Dはミキサ136に結合される。
図2において、ミキサ136のうちのミキサ210が参照として示されている。スイッチネットワーク134は、スイッチ202、スイッチ204、スイッチ206、及びスイッチ208を含む。202の第1の端子が134Aに結合され、202の第2の端子が134Cに結合される。204の第1の端子が134Aに結合され、204の第2の端子が134Dに結合される。206の第1の端子が134Bに結合され、206の第2の端子が134Dに結合される。208の第1の端子が134Bに結合され、208の第2の端子が134Cに結合される。カプラ116の出力は、I及びQ信号を搬送する差動対を形成する。スイッチネットワーク134は、ダウンコンバージョンのために信号をミキサ210に渡す。スイッチネットワーク134は、ミキサ210において非対称ダウンコンバージョンを実施するために、差動対の信号をスワップするように構成され得る。スイッチネットワーク134は、対称ダウンコンバージョンを実施するために、差動対の信号を(スワップすることなく)渡すように構成され得る。更に具体的には、ミキサ210において対称ダウンコンバージョンを実施するために、スイッチ202及びスイッチ206は閉であり、スイッチ204及び208は開であり、ミキサ210において非対称ダウンコンバージョンを実施するために、スイッチ204及びスイッチ208は閉であり、スイッチ202及び206は開である。
【0032】
図3は、対称及び非対称ダウンコンバージョンにおける使用に適した例示のスイッチネットワーク300の概略図である。スイッチネットワーク300はスイッチネットワーク134の一実装である。スイッチネットワーク300はミキサ310に結合される。ミキサ310はミキサ210の一実装である。スイッチネットワーク300は、トランジスタ302、トランジスタ304、トランジスタ306、及びトランジスタ308を含む。トランジスタ302はスイッチネットワーク134のスイッチ202に対応する。トランジスタ304はスイッチネットワーク134のスイッチ204に対応する。トランジスタ306はスイッチネットワーク134のスイッチ206に対応する。トランジスタ308はスイッチネットワーク134のスイッチ208に対応する。対称ダウンコンバージョンを実施するために、トランジスタ302及びトランジスタ306はオンにされ、トランジスタ304及びトランジスタ308はオフにされる。非対称ダウンコンバージョンを実施するために、トランジスタ304及びトランジスタ308はオンにされ、トランジスタ302及びトランジスタ306はオフにされる。
【0033】
図4は、トランシーバ100のトランスミッタ-補助レシーバループにおける種々のデータ改変動作を図示する。送信されるべきデータ(x
IN)が、IQMM補正ブロック402に提供される。IQMM補正ブロック402はIQMM補正回路124に対応する。IQMM補正ブロック402のIQMM補正出力(y
corr)は、Tx IQMMブロック404によって表されるトランスミッタIQMMによって損傷され、DAC126、ベースバンドフィルタ128、ミキサ130、及び/又は電力増幅器132のいずれかにおいて非理想性を表し得る。IQMM損傷送信データは、y
BBとして標示される。y
BBは、複合ミキサブロック406においてアップコンバートされて、送信信号y
TXを生成する。利得及び回転ブロック408によって表されるように利得及び/又は回転がI及びQ信号y
TXに適用されて、信号y
rotを生成する。利得及び回転は、局部発振器114からI及びQ経路に対するミキサ136へのクロック経路におけるトレース長、構成要素遅延/減衰等の差に起因し得る。例えば、同じ発振器信号がI及びQ経路ミキサに提供されるが、クロック信号の配路における差によってダウンコンバージョンにおける利得又は回転に差が生じ得る。
【0034】
複合ミキサ入力ブロック410において、yrotのI及びQ信号を搬送する差動対の信号はスイッチネットワーク134において切り替えられて、ミキサ136の入力を生成する。複合ミキサ入力ブロック410において、対称ダウンコンバージョンのための信号は、(y×cos);(y×sin)として表される。非対称ダウンコンバージョンのための信号は、(y×cos);(-y×sin)又は(-y×cos);(y×sin)として表され、ここで、-yは、スイッチネットワーク134において差動対の信号をスワップすることによるI又はQ信号の反転を表す。補助レシーバ104におけるIQMM障害は、AuxRx IQMMブロック412によって表され、補助レシーバ104によって損傷されたループバックデータはyRXとして標示される。補助レシーバ104のIQMM推定回路144に対応するIQ推定ブロック414は、トランスミッタ-補助レシーバのIQMM及びトランスミッタのIQMMをviとして推定する。viは、Tx IQMMブロック404に対して補償する際に用いるために、IQMM補正ブロック402に提供される。
【0035】
図4に関して、理想的なy
BBは、下記により表され得る。
y
BB=Re{x}+j・Im{x} (2)
実際には、IQMMが補正されない場合、ベースバンド信号y
BBは下記のように破損する。
y
BB=Re{x}・ae
jφ+j・Im{x} (3)
式:
RF信号y
TXは下記により表され得る。
Tx IQMM は下記のように推定され得る.
v=β/α (8)
【0036】
トランスミッタ-補助レシーバループ(対称ダウンコンバージョンを用いる)を介するv(IQMM)の推定は、下記のように表され得る(トランスミッタ-補助レシーバ利得(A)及び回転(θ)を想定している)。
G=Ae
jθ (9)
y
rot=y
Tx・G (10)
補助レシーバ入力信号は下記により表され得る。
v
loop(トランスミッタ-補助レシーバループのIQMM)は下記により表され得る。
β
RXβ
TX
*<<α
RXα
TXであるので、下記となる。
【0037】
トランスミッタ-補助レシーバループ(非対称ダウンコンバージョンを用いる)を介するvの推定は、下記のように表され得る(トランスミッタ-補助レシーバ利得(A)及び回転(θ)を用いる)。
G=Ae
jθ (17)
y
rot=y
Tx
*・G (18)
補助レシーバ入力信号は下記により表され得る。
v
loopは、下記により表され得る。
β
RXβ
TX
*<<α
RXα
TXであるので、下記となる。
【0038】
トランスミッタIQMMを下記のように計算する。
最終的な計算-1
対称及び非対称ダウンコンバージョンを用いる2つのv IQMM推定を下記のように考える。
t
1を考えると下記のようになる。
t
2を考えると下記のようになる。
t
3を考えると下記のようになる。
注:t
3は純粋な虚数である。
【0039】
最終的な計算-2
及び
従って、下記のようになる。
ここで、
である。t
4を考えると下記のようになる。
【0040】
最終的な計算-3
最後に、|α
TX|及びarg(α
TX)の両方を用いて、v
TX(トランスミッタIQMM)が下記のように決定され得る。
【0041】
このトランスミッタIQMMは、その後、IQMM補正ブロック402によって適用され得、Tx IQMM404の結果として適用されるIQMMを相殺し、その結果、補正されたyBBが式(2)の理想値又はその近くになるようにする。
【0042】
図5は、対称及び非対称ダウンコンバージョンに基づくトランスミッタIQMM推定を含むトランスミッタIQMM補正のための方法500に対するフローチャートである。便宜上、順次に示されているが、示された行為の少なくともいくつかが、異なる順序で実施され得及び/又は並列に実施され得る。また、いくつかの実装は、示された行為のいくつかのみを実施し得る。方法500の動作はトランシーバ100によって実施され得る。方法400の計算は、IQMM推定回路144のハードウェアによって実施され得、及び/又は、IQMM推定回路144のプロセッサによって実施されるファームウェアによって実施され得る。
【0043】
ブロック502において、トランスミッタ102は、通常動作の過程で一つ又は複数のOFDMパケットを送信する。OFDMパケットの送信は、或る程度の量のIQMM補正を適用することを含み得る。初期の動作において、OFDMパケットに適用されるIQMM補正はゼロ又はデフォルト値に設定され得る。OFDMパケットはカプラ116を介して補助レシーバ104にループバックされる。
【0044】
ブロック504において、補助レシーバ104は対称ダウンコンバージョン用に構成される。I及びQ信号の両方について、スイッチネットワーク134は、スワップ無しに(即ち、反転無しに)OFDMパケットを搬送する差動対の信号を渡すように構成される。スイッチネットワーク134において(I及びQ信号の両方について)、スイッチ202及びスイッチ206は閉であり、スイッチ204及びスイッチ208は開である。ミキサ136は、スイッチネットワーク134から受信した信号をダウンコンバートする。ダウンコンバートされた信号は、ベースバンドフィルタ138によってフィルタリングされ、ADC140によってデジタル化され、デジタルフィルタ142によって更にフィルタリングされる。
【0045】
ブロック506において、IQMM推定回路144は、式(9)~(16)に従って対称ダウンコンバートされたOFDMパケットに基づいてトランスミッタ102及び補助レシーバ104のIQMMを計算する。
【0046】
ブロック508において、トランスミッタ102は、通常動作の過程で、一つ又は複数のOFDMパケットを送信する。OFDMパケットは、カプラ116を介して補助レシーバ104にループバックされる。
【0047】
ブロック510において、補助レシーバ104は非対称ダウンコンバージョン用に構成される。I及びQ信号の1つに対して、スイッチネットワーク134は、OFDMパケットを搬送する差動対の信号をスワップする(即ち、信号を反転して渡す)ように構成される。スイッチネットワーク134において(I又はQ信号の1つについて)、スイッチ204及びスイッチ208は閉であり、スイッチ202及びスイッチ206は開である。ミキサ136は、スイッチネットワーク134から受信した信号をダウンコンバートする。ダウンコンバートされた信号は、ベースバンドフィルタ138によってフィルタリングされ、ADC140によってデジタル化され、デジタルフィルタ142によって更にフィルタリングされる。
【0048】
ブロック512において、IQMM推定回路144は、式(17)~(24)に従って非対称ダウンコンバートされたOFDMパケットに基づいてトランスミッタ102及び補助レシーバ104のIQMMを計算する。
【0049】
ブロック514において、IQMM推定回路144は、ブロック506において対称ダウンコンバージョンを用いて計算されたトランスミッタ102及び補助レシーバ104のIQMMと、ブロック512において非対称ダウンコンバージョンを用いて計算されたトランスミッタ102及び補助レシーバ104のIQMMとに基づいて、トランスミッタ102のIQMMを(式(25)~式(45)に従って)計算する。幾つかの例において、計算されたIQMMは、トランスミッタ102になお存在する未補正のIQMMの尺度であり、OFDMパケットの送信の間に適用されるIQMM補正への調整を表す。
【0050】
ブロック516において、IQMM補正回路124は、ブロック414において計算されたトランスミッタのIQMMに基づいて、IQMM補正を適用して、トランスミッタ102によって送信されるべき信号を調整する(信号の利得及び位相を調整する)。IQMMを適用することは、IQMMに基づいて反転画像信号を生成することと、送信されるべき信号に反転画像信号を付加することとを含み得る。
【0051】
ブロック518において、トランスミッタは、ブロック516のIQMM補正を適用することによって信号(例えば、OFDMシンボルの別のセット)を送信する。
【0052】
本明細書に説明されるような、トランスミッタ、及びトランスミッタによって実装されるIQMM推定方法は、他の解決策に比べて多くの利点を提供する。IQMM推定は、振幅変調検出器方法に影響を与える局部発振器リークレベルに依存しない。連続波パルスのような特殊な較正パターンを用いると、レーダが誤ってトリガされて放射仕様に違反する恐れがある。IQMM推定は、特殊な較正パターンではなくOFDM信号を用いるため、非動作送信に対して時間及び電力を割り当てることなく、動作パケットに亘って実装され得る。IQMM推定は、比較的小型で安価な回路要素を用いて時間ドメインにおいて動作する。対照的に、周波数ドメインにおけるIQMM推定は、大きい(例えば、時間ドメイン回路要素に比べて10倍以上大きい)FFT回路要素を用い、かなりの電力を消費する。他の時間ドメイン解決策に比べ、本明細書に説明されるIQMM推定は補助レシーバIQFDの影響を受けない。
【0053】
本明細において、用語「結合する」は、本明細書の説明と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが或る行為を実施するよう制御デバイスBを制御するための信号を生成する場合、(a)第1の例では、デバイスAがデバイスBに直接接続によって結合され、(b)第2の例では、デバイスAが、介在する構成要素Cを介してデバイスBに結合され、ただし、その際、介在構成要素CはデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更せず、そのため、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスBがデバイスAによって制御される。
【0054】
或るタスク又は機能を実施するように「構成された」デバイスは、製造時に製造者によって、その機能を実施するように構成され(例えば、プログラム及び/又はハードワイヤードされ)得、及び/又は、それらは、それらの機能及び/又は他の付加的な又は代替的な機能を実施するように、製造後にユーザにより構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、又はハードウェア構成要素、及びデバイスの相互接続の構成及び/又はレイアウトを介してもよく、又はそれらの組み合わせを介してもよい。
【0055】
或る構成要素を含むと説明される回路又はデバイスが、代わりに、それらの構成要素に結合されるように適合されて、説明された回路要素又はデバイスを形成してもよい。例えば、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、一つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は一つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流電源等)を含むとして説明される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含んでもよく、受動要素及び/又は供給源の少なくとも幾つかに結合されるように適合されてもよく、そのため、製造時又は製造時以降の時点のいずれかで、例えば、エンドユーザ及び/又は第三者によって、説明された構造を形成する。
【0056】
本明細書において、特定のトランジスタを用いることが説明されているが、他のトランジスタ(又は同等デバイス)が代わりに用いられてもよい。例えば、回路をほとんど又はまったく変更せずにp型金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ(「MOSFET」)が、n型MOSFETの代わりに用いられ得る。また、他のタイプのトランジスタ(例えば、バイポーラ接合トランジスタ(BJT))も用いられ得る。
【0057】
本明細書に説明される回路は、構成要素交換の前に利用可能な機能と少なくとも部分的に類似した機能を提供するために、追加又は異なる構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示されている構成要素は概して、特に明記しない限り、図示された抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために直列又は並列に結合された任意の一つ又は複数の要素を表す。例えば、本
明細書に単一の構成要素として図示され説明される抵抗器又はキャパシタは、代わりに、単一の抵抗器又はキャパシタと同じ2つのノード間に直列に結合された、それぞれ複数の抵抗器又はキャパシタであり得る。
【0058】
特許請求の範囲内で、説明した実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
【外国語明細書】