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特開2023-80052医薬品容器用ガラス管、およびガラス管の製造方法
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  • 特開-医薬品容器用ガラス管、およびガラス管の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080052
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】医薬品容器用ガラス管、およびガラス管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 4/20 20060101AFI20230601BHJP
   C03B 17/04 20060101ALI20230601BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20230601BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20230601BHJP
   A61J 1/06 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
C03C4/20
C03B17/04
C03C3/091
A61J1/05 310
A61J1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189895
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】21211119
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン トラツキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー トリンクス
【テーマコード(参考)】
4C047
4G062
【Fターム(参考)】
4C047AA02
4C047AA05
4C047AA27
4C047BB01
4C047FF10
4G062AA03
4G062BB01
4G062CC10
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB03
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
4G062EB03
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062ED01
4G062EE01
4G062EE02
4G062EE03
4G062EF01
4G062EG01
4G062EG02
4G062EG03
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FB02
4G062FB03
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH12
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM17
4G062NN29
4G062NN34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医薬品容器用ガラス管を製造する間の、ガラス組成物に由来する凝縮物の問題を解消する。
【解決手段】医薬品容器用ガラス管であって、a.)350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97であり、且つb.)ISO4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μgcm-2未満、0.7μgcm-2未満、または0.5μgcm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品容器用ガラス管であって、前記ガラス管は内部表面と外部表面とを有し、前記ガラス管は内径diと外径doとを有し、前記ガラス管はその長手方向軸に沿った長さlaを有し、前記ガラス管は第1の端部と第2の端部とを有し、前記ガラス管は中央の区域、第1の位置および第2の位置を有し、前記中央の区域は長手方向軸に沿って0.5laの位置を中心として5diの距離にわたり、前記第1の位置は前記第1の端部から15mmの距離にあり、且つ前記第2の位置は前記第2の端部から15mmの距離にあり、前記ガラス管は第1の中間の位置と第2の中間の位置とを有し、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から10diの距離にあり、且つ前記第2の中間の位置は前記第2の端部から10diの距離にあり、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から最大で75mmの距離にあり、前記第2の中間の位置は前記第2の端部から最大で75mmの距離にあり、前記ガラス管は前記第1の位置と前記第1の中間の位置との間に第1の近傍部を有し、
前記第1の端部は第1の閉端部へと成形されており、好ましくは前記第1の近傍部はランプ環がなく、
a.) 前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ
b.) 前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、または0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ
c.) 前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である、前記ガラス管。
【請求項2】
d) 前記ガラス管の中央の区域が、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.4μg cm-2未満、0.3μg cm-2未満、または0.25μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する、
請求項1に記載のガラス管。
【請求項3】
e.) 前記第1の近傍部が、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.3μg cm-2未満の差が観察される、
請求項1または2に記載のガラス管。
【請求項4】
ガラス組成物を含み、前記ガラス組成物は揮発性成分、例えば塩化物、硫酸塩、およびそれらの組み合わせのリストから選択される清澄剤を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項5】
ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき5mol%~20mol%のホウ素酸化物を含むガラスのリストから選択されるガラス組成物を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項6】
ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき、60~85mol%のSiO2、5~20mol%のB23、2~10mol%のAl23、0~2mol%のFe23、2~10mol%のNa2O、0~5mol%のK2O、0~2mol%のBaO、0~2mol%のCaO、および0~10mol%のTiO2を含むガラス組成物を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項7】
前記ガラス管が、
・ 内径5.0~49.0mm、好ましくは9.0~26mm、および/または
・ 外径6.0~50mm、好ましくは8.0~30mm、および/または
・ ガラス壁厚0.5~2.0mm、好ましくは0.6~1.5mm、および/または
・ 長さla 125~5000mm、好ましくは500~3000mm、より好ましくは1000~2000mm
を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項8】
前記第2の端部が、第2の閉端部へと成形および/または封止され、好ましくは前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部は平底である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項9】
前記ガラス管が、前記第2の位置と前記第2の中間の位置との間に第2の近傍部を有し、
前記第2の端部は、第2の閉端部へと成形され、好ましくは前記第2の閉端部の前記第2の近傍部はランプ環がなく、
a.) 前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ/または
b.) 前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ/または
c.) 前記第2の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、好ましくは0.99~1.01である、
請求項1から8までのいずれか1項に記載のガラス管。
【請求項10】
e.) 前記第2の閉端部の前記第2の近傍部が、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.3μg cm-2未満の差が観察される、
請求項9に記載のガラス管。
【請求項11】
医薬品容器、好ましくは容量1~150ml、好ましくは2~40ml、より好ましくは3~30ml、さらにより好ましくは4~20mlを有する医薬品容器を製造するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載のガラス管の使用。
【請求項12】
医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階
c.) 前記ガラス管を、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階、
d.) 前記第1の端部を第1の閉端部へと成形する段階、
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階、および
f.) 任意に、前記第2の端部を第2の閉端部へと成形および/または封止する段階
を含む前記方法。
【請求項13】
前記ガラス管の内部表面での揮発性成分の凝縮物の減少を、以下の手段の1つ:
・ ドライアイスとも称される固体の二酸化炭素を、好ましくは1つ以上のドライアイスペレットの形態で、成形されたガラス管の内側に設置すること、
・ 成形されたガラス管の内側で、液体窒素を蒸発させること、
・ 成形されたガラス管の内側に反応混合物を設置し、前記反応混合物が反応し、且つ/または前記反応混合物の反応を開始し、且つ/または前記反応混合物を反応させて、前記反応混合物が反応の間にガス、例えばCO2、N2、O2および/またはH2のリストから選択されるガスを放出すること
により、成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することによって行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の方法によって得ることができる、または得られた製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品容器用ガラス管、およびガラス管の製造方法に関する。前記ガラス管は低いアルカリ浸出性によって特徴付けられ、且つランプ環がない。
【背景技術】
【0002】
医薬品容器用ガラス管は公知であり、且つ医療分野において広く見出される。
【0003】
医薬品容器用ガラス管の典型的な製造方法は、ガラス溶融物を必要とし、それが例えば引き抜きによってガラス管へと成形される。成形されたガラス管を、2つの開端部を有するより大きな部分へと切断する。例えば、医薬品容器を提供するための製造後プロセスの間に、前記開端部の一方または両方を例えば熱間成形を介して閉じることができる。
【0004】
医薬品容器用ガラス管およびその製造に関連して、当該技術分野において公知のいくつかの問題がある。医薬品容器の内部およびその中に保持される製品が、製造の間に凝縮物によって影響され得ることが記載されている。
【0005】
医薬品容器、例えばアンプルおよびバイアルにおいて、ガラス組成物に由来する凝縮物が観察および検出されている。
【0006】
上記の問題は、いくつかの理由により顧客の不満をみちびく。
【0007】
いくつかの場合においては、容器内で保持される医薬品の視覚的評価が損なわれることが医療関係者によって報告された。例えば、光に鈍感な医薬品成分のためには、製品の腐敗についての迅速な最終チェックを可能にする無色の容器が好まれ且つ望ましい。
【0008】
医薬品容器内の凝縮物の存在は、特に医薬品成分の経口投与または静脈内投与に際して、患者にとっての害すら引き起こすことがある。同様に、ガラス組成物に由来する凝縮物の存在は、医薬品の品質および薬効を阻害することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、当該技術分野において公知の問題を解決し、医薬品容器用ガラス管を製造する間の望ましくない作用を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
それらの課題は、特許請求の範囲の対象によって、および以下に記載する対象によって解決される。
【0011】
発明の要約
第1の態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管であって、前記ガラス管は内部表面と外部表面とを有し、前記ガラス管は内径diと外径doとを有し、前記ガラス管はその長手方向軸に沿った長さlaを有し、前記ガラス管は第1の端部と第2の端部とを有し、前記ガラス管は中央の区域、第1の位置および第2の位置を有し、前記中央の区域は長手方向軸に沿って0.5laの位置を中心として5diの距離まで延在し、前記第1の位置は前記第1の端部から15mmの距離にあり、且つ前記第2の位置は前記第2の端部から15mmの距離にあり、前記ガラス管は第1の中間の位置と第2の中間の位置とを有し、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から10diの距離にあり、且つ前記第2の中間の位置は前記第2の端部から10diの距離にあり、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から最大で75mmの距離にあり、前記第2の中間の位置は前記第2の端部から最大で75mmの距離にあり、前記ガラス管は前記第1の位置と前記第1の中間の位置との間に第1の近傍部を有し、
前記第1の端部は第1の閉端部へと成形されており、好ましくは前記第1の近傍部はランプ環がなく、
a.) 前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ/または
b.) 前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、または0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ/または
c.) 前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である、
前記ガラス管に関する。
【0012】
従って、本発明は、当該技術分野において公知の問題に煩わされない医薬品容器用ガラス管を提供する。内部表面上での低減されたアルカリ浸出性はさらに、医薬品容器内のより少ない凝縮物を提供し且つ確立する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、医薬品容器を製造するための本発明によるガラス管の使用であって、前記医薬品容器が好ましくは1~150ml、2~40ml、3~30ml、または4~20mlの容量を有する、前記使用に関する。
【0014】
第3の態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階
c.) 前記ガラス管を、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階、
d.) 前記第1の端部を第1の閉端部へと成形する段階、
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階、および
f.) 任意に、前記第2の端部を第2の閉端部へと成形および/または封止する段階
を含む前記方法に関する。
【0015】
本発明者らは、前記方法が当該技術分野において公知の問題に煩わされない医薬品容器用ガラス管の製造を可能にすることを確立した。
【0016】
定義および方法
医薬品容器は、円筒状の中空のガラス製品、例えばガラスバイアル、ガラスアンプル、ガラスカートリッジまたはガラスシリンジを含み且つそれらに関する。
【0017】
「ランプ環」は、熱間成形後の医薬品容器用ガラス管の内部表面上に堆積された凝縮した揮発性材料の環に関する。特に、ランプ環は、第1の閉端部へと成形された第1の端部を有するガラス管において生じることがある。対策が講じられない場合、通常、特に端部が閉端部へと成形される場合、例えば熱間成形の間、またはその直後に、典型的には閉端部の近傍でランプ環が発生する。いくつかの場合においては、ランプ環はホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウムおよび/または他の揮発性材料で形成される。
【0018】
「アルカリ浸出性」は一般に、ガラス材料表面が、そのガラス材料と接触する水溶液中にアルカリ金属イオンを放出する特性に関する。医薬品中に浸出するアルカリ金属イオンは、特に生体工学的に製造された大きな分子、例えば抗体にとって問題となりかねない。この開示においては、修正されたISO 4802-2:2010の方法を使用して溶出液中の「アルカリ浸出性」が特定され、それについては実施例の節でより詳細に説明する。「アルカリ浸出性」は、ガラス管の内部表面上で、抽出溶液中のアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類酸化物の量を、フレーム原子発光分光法または原子吸光分光法(フレーム分光法)を使用して特定することによって測定される。アルカリ浸出性は、mgでのNa2Oで定量化され、試験に供されたcm2での内部表面積に対して正規化される。
【0019】
「熱間成形」は、ガラス管を成形するために、例えば閉端部を成形するために充分な温度へとガラス管を局所的に加熱することを必要とする。局所的に加熱される領域においては、約1200℃の温度に達する。典型的には、熱間成形の間に使用される温度は、104dPa・s~103dPa・sのガラス粘度に相応する。
【0020】
固体または液体に関して「ppm」に言及される場合、これは「質量/質量」(w/w)として理解されるべきである。気体に関して「ppm」に言及される場合、これは「体積/体積」(vol/vol)として理解されるべきである。
【0021】
「ガラス原料」は、他の同様の成分と組み合わせてガラス溶融物を形成し、且つ任意にガラス溶融物中で反応が起きた後にガラス製品を形成するために適した任意のガラス成分として理解されるべきである。本発明に関して使用されるガラス原料の例は、金属および半金属の酸化物、金属および半金属の硝酸塩、および金属および半金属の炭酸塩を含むが、それに限定されない。
【0022】
この説明が、ある成分を本質的に不含である、または特定の成分を含有しない、またはその成分が0質量%の仮定的な場合を含むガラス組成物に関する場合、この成分は最大でも不純物として存在し得ると理解されるべきである。これは、顕著な量では添加されず、且つ意図的には添加されないことを意味する。「成分」との用語は、元素種そのもの、並びにその元素を含有する任意の分子に関する。本質的ではない量とは、全ての意図的に添加された成分の質量%に基づいて100ppm未満、好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満として理解されるべきである。
【0023】
本発明による「揮発性成分」は、熱間成形条件で、つまり104dPa・s以下のガラス粘度に相応する温度で揮発性の成分である。これ以上の温度で、「揮発性成分」は少なくとも100Paの蒸気圧を及ぼす。例えば、塩化物、硫酸塩およびそれらの組み合わせのリストから選択される清澄剤は揮発性成分である。「揮発性成分」は、ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウムも含み、それはガラス管を製造するための方法の高温では昇華し且つより低い温度では凝華(desublimate)するために充分な蒸気圧を有する。
【0024】
「ガラス溶融物」は、107.6dPa・s未満の粘度を有するガラス原料のバッチ塊である。ガラス(溶融物)の粘度は例えば、回転粘度計を使用して、例えばDIN ISO 7884-2:1998-2に記載されるとおりに測定できる。粘度の温度依存性は、VFT式(Vogel-Fulcher-Tammann)によって記述される。
【0025】
ガラス原料のバッチの質量は、使用される全てのガラス原料の全体の質量として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、医薬品容器用ガラス管を示す。
図2図2は、組成物Iで製造されたガラス管の、ランプ環の上およびガラス管の長さlaの半分の位置で取得された透過率スペクトルを示す。
図3図3は、組成物IIで製造されたガラス管の、ランプ環の上およびガラス管の長さlaの半分の位置で取得された透過率スペクトルを示す。
図4図4はプロセスの間、ドライアイスの存在下での、およびプロセスの間、ドライアイスの不在下での(参照用ガラス管)、医薬品容器用ガラス管の製造についてのアルカリ浸出性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
1つの態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管であって、前記ガラス管は内部表面と外部表面とを有し、前記ガラス管は内径diと外径doとを有し、前記ガラス管はその長手方向軸に沿った長さlaを有し、前記ガラス管は第1の端部と第2の端部とを有し、前記ガラス管は中央の区域、第1の位置および第2の位置を有し、前記中央の区域は長手方向軸に沿って0.5laの位置を中心として5diの距離まで延在し、前記第1の位置は前記第1の端部から15mmの距離にあり、且つ前記第2の位置は前記第2の端部から15mmの距離にあり、前記ガラス管は第1の中間の位置と第2の中間の位置とを有し、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から10diの距離にあり、且つ前記第2の中間の位置は前記第2の端部から10diの距離にあり、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から最大で75mmの距離にあり、前記第2の中間の位置は前記第2の端部から最大で75mmの距離にあり、前記ガラス管は前記第1の位置と前記第1の中間の位置との間に第1の近傍部を有し、
前記第1の端部は第1の閉端部へと成形されており、
a.) 前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ/または
b.) 前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、または0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ/または
c.) 前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である、前記ガラス管に関する。
【0028】
1つの態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管であって、前記ガラス管は内部表面と外部表面とを有し、前記ガラス管は内径diと外径doとを有し、前記ガラス管はその長手方向軸に沿った長さlaを有し、前記ガラス管は第1の端部と第2の端部とを有し、前記ガラス管は中央の区域、第1の位置および第2の位置を有し、前記中央の区域は長手方向軸に沿って0.5laの位置を中心として5diの距離まで延在し、前記第1の位置は前記第1の端部から15mmの距離にあり、且つ前記第2の位置は前記第2の端部から15mmの距離にあり、前記ガラス管は第1の中間の位置と第2の中間の位置とを有し、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から10diの距離にあり、且つ前記第2の中間の位置は前記第2の端部から10diの距離にあり、前記第1の中間の位置は前記第1の端部から最大で75mmの距離にあり、前記第2の中間の位置は前記第2の端部から最大で75mmの距離にあり、前記ガラス管は前記第1の位置と前記第1の中間の位置との間に第1の近傍部を有し、
前記第1の端部は第1の閉端部へと成形されており、前記第1の近傍部はランプ環がなく、ランプ環の不在が、
a.) 前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ/または
b.) 前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、または0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、および/または
c.) 前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01であること
によって特徴付けられる、前記ガラス管に関する。
【0029】
前記医薬品容器用ガラス管は、当該技術分野において公知の問題に煩わされない。また、内部表面上での低減されたアルカリ浸出性はさらに、医薬品容器内のより少ない凝縮物を提供し且つ確立する。
【0030】
本発明において、医薬品容器用ガラス管は、内部表面と外部表面とを有し、内径di、外径do、およびその長手方向軸に沿った長さlaによって特徴付けられ、前記ガラス管は第1の端部と第2の端部と中央の区域とを有する。前記中央の区域は長手方向軸に沿って0.5laの位置を中心として5diの距離まで延在し、つまり前記中央の区域は正確にガラス管の中心にあり、それによって前記第1の端部と前記第2の端部とについて対照的な参照区域として役立つ。本発明の広い意味において、医薬品容器用ガラス管は、以下の3つの選択肢(1)~(3)の全てをカバーする。
【0031】
(1) 医薬品容器用ガラス管は開端であることができ、つまり、第1の端部と第2の端部とが開いている。
【0032】
(2) 医薬品容器用ガラス管は、1つの閉端部を有することができ、つまり、第1の端部が第1の閉端部へと成形されている。
【0033】
(3) 医薬品容器用ガラス管は、2つの閉端部を有することができ、つまり、第1の端部が第1の閉端部へと成形され、且つ第2の端部が第2の閉端部へと成形されている。
【0034】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99である。有利なことに、これは、医薬品容器内に保持され且つ輸送される医薬品成分の視覚的評価が損なわれないことを可能にする。
【0035】
前記第1の近傍部と前記中央の区域とでの350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、例えば分光法によって測定され得る。このために、ガラス管は半分のシェルに切断され、それによって、その半分のガラス管を通じて容易且つ正確に光線を操縦することが可能になる。ガラス管の各々の半分のシェルは、光線の垂直性および各々単独の表面領域についての表面領域に関して測定条件に合うように適切に方向付けられる。350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長および/または前記波長範囲全体が透過率を確立するために役立ち得る。ガラス管の前記第1の近傍部と前記中央の区域との間の所定の波長または波長範囲についての透過率の比率を特定するために、当業者はどのように一定の測定パラメータを確立し且つ提供するかを知っている。透過率は同じ幾何学的条件および照明条件下で特定されなければならない。前記第1の近傍部と前記中央の区域とでガラス管の厚さは本質的に同じであることができる。
【0036】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99である。これに関し、理想的または仮定的な場合、つまり定義上、前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は1.00であると理解される。従って、アーティファクトの不在下では、医薬品容器用ガラス管は前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて同一である透過率によって特徴付けられる。医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は1.00以下である。
【0037】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.8μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、0.6μg cm-2未満、0.5μg cm-2未満、0.4μg cm-2未満、または0.3μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0038】
本発明において、「耐加水分解性」との用語は、アルカリ浸出性と同一であり、且つそれに関する。これは、アルカリ浸出性の低減が、耐加水分解性の改善として理解されることを意味する。
【0039】
前記第1の近傍部におけるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を改善すること、および特定の受け容れ可能な上限のレベルより下のままである条件を確立することが有利である。例えば、且つ特に対策が講じられない場合、製造の間にガラス管の内部表面上の凝縮物が生じることがある。そのような凝縮物は、ガラス溶融物中に存在し得る揮発性成分に由来することがあり、医薬品容器に関連するいくつかの望ましくない作用を引き起こす。最悪の場合、上述の凝縮物は医薬品の品質に影響を及ぼすことがある。他の場合、医薬品の品質損失が観察されることがある。
【0040】
修正されたISO 4802-2:2010の方法を使用して溶出液中のアルカリ浸出性が特定され、それは実施例の節でより詳細に説明される。具体的には、ISO 4802-2:2010を、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階(ポイント8.2参照)が省略されるように適合させる。保管および輸送の間に集められた包装のくずまたは汚れを最初に除去した後、ISO 4802-2:2010のポイント8.2によれば、この濯ぎ段階は第1の段階後に残留し得る化学凝縮物をさらに除去することが意図されている。
【0041】
アルカリ浸出性は、抽出溶液中のアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類酸化物の量を、フレーム原子発光分光法または原子吸光分光法(フレーム分光法)を使用して特定することによって測定される。アルカリ浸出性は、μgでのNa2Oで定量化され、試験に供されたcm2での内部表面積に対して正規化される。
【0042】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、少なくとも0.01μg cm-2、少なくとも0.02μg cm-2、少なくとも0.05μg cm-2、少なくとも0.07μg cm-2、少なくとも0.10μg cm-2、少なくとも0.15μg cm-2、または少なくとも0.20μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0043】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、0.01μg cm-2~0.9μg cm-2、0.02μg cm-2~0.8μg cm-2、0.05μg cm-2~0.7μg cm-2、0.07μg cm-2~0.6μg cm-2、0.10μg cm-2~0.5μg cm-2、0.15μg cm-2~0.4μg cm-2、または0.20μg cm-2~0.3μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0044】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.7~1.4、0.8~1.2、0.9~1.1、0.95~1.05、0.97~1.03、または0.99~1.01である。
【0045】
医薬品容器用ガラス管が均質なアルカリ浸出性を示すことが有利である。換言すれば、医薬品容器用ガラス管は、前記第1の近傍部と前記中央の区域との両方について本質的に同様の、または本質的に同じアルカリ浸出性を示す。
【0046】
医薬品容器用ガラス管が当該技術分野から公知の問題、例えば第1の閉端部へと成形される第1の端部付近での、つまり前記第1の近傍部におけるランプ環の形成を回避することが有利である。多くの場合、この望ましくないアーティファクトは、前記第1の近傍部におけるアルカリ浸出性の増加を伴うことがある。従って、前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率が、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である医薬品容器用ガラス管を提供することが望ましく且つ有利である。
【0047】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の中央の区域は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.4μg cm-2未満、0.35μg cm-2未満、0.3μg cm-2未満、0.25μg cm-2未満、または0.2μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0048】
対策が講じられない場合、製造の間にガラス管の内部表面上の凝縮物が形成される。そのような凝縮物は、ガラス溶融物中に存在する揮発性成分に由来し、医薬品容器に関連するいくつかの望ましくない作用を引き起こす。ガラス管の中央の区域における凝縮物は、例えば、熱間成形の結果として且つ熱間成形後に端部が閉端部へと成形される場合に形成されることがある。ガラス管の中央の区域における凝縮物は、「ヘイズ」と称される場合もあり、且つ例えば閉端部の熱間成形後、数時間、例えば12時間~2日、例えば40時間の期間にわたって形成されることがある。前記の「ヘイズ」は、ガラス管の内部表面上での、ホウ酸塩結晶も含むホウ酸塩分子(例えばホウ酸ナトリウム)の凝華から生じる「ホウ酸塩のヘイズ」であることがあり、可視であることがある。
【0049】
アルカリ浸出性を0.4μg cm-2未満に低減することが有利であり、なぜなら、それは医薬品容器内で著しく少ない凝縮物を提供し且つ確立するからである。従って、前記医薬品容器用ガラス管は、その中に含有される医薬品に影響しかねない凝縮物を回避するか、または少なくとも減少させる。同様に、前記医薬品容器用ガラス管は、医薬品の品質損失を回避するか、または少なくとも減少させる。
【0050】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の中央の区域は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、少なくとも0.01μg cm-2、少なくとも0.02μg cm-2、少なくとも0.05μg cm-2、少なくとも0.07μg cm-2、少なくとも0.10μg cm-2、または少なくとも0.15μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0051】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の中央の区域は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、0.01μg cm-2~0.4μg cm-2、0.02μg cm-2~0.35μg cm-2、0.05μg cm-2~0.3μg cm-2、0.07μg cm-2~0.25μg cm-2、または0.10μg cm-2~0.2μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0052】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.3μg cm-2未満、0.25μg cm-2未満、0.2μg cm-2未満、0.15μg cm-2未満、または0.1μg cm-2未満の差が観察される。
【0053】
医薬品容器用ガラス管が、前記第1の近傍部で、低減されたアルカリ浸出性として検出され且つ特徴付けられ得る、より少ない凝縮物を示すことができることが有利である。従って、前記第1の近傍部の低減されたアルカリ浸出性は、最初の濯ぎ段階の存在または不在下で行われるISO 4802-2:2010の方法に比して、アルカリ浸出性の相対濃度の差が低減しているという知見にも反映され得る。
【0054】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、少なくとも0.01μg cm-2、少なくとも0.02μg cm-2、少なくとも0.05μg cm-2、または少なくとも0.07μg cm-2の差が観察される。
【0055】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第1の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.01μg cm-2~0.3μg cm-2、0.02μg cm-2~0.25μg cm-2、0.05μg cm-2~0.2μg cm-2、または0.07μg cm-2~0.15μg cm-2の差が観察される。
【0056】
ガラス組成物および寸法
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管はガラス組成物を含み、前記ガラス組成物は揮発性成分、例えば塩化物、硫酸塩、およびそれらの組み合わせのリストから選択される清澄剤を含む。
【0057】
ガラス組成物中で清澄剤を使用して、医薬品容器用ガラス管の製造プロセスの間にガラス溶融物から気泡を除去できるようにすることが有利である。
【0058】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、ガラス組成物は清澄剤を含み、本質的にヒ素およびアンチモン不含である。
【0059】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、ガラス組成物は塩化物、硫酸塩、およびそれらの組み合わせのリストから選択される清澄剤を含む。
【0060】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき5mol%~20mol%のホウ素酸化物を含むガラスのリストから選択されるガラス組成物を含む。
【0061】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、5~20mol%のB23および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含む。任意に、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき60~85mol%のSiO2、5~20mol%のB23、2~10mol%のAl23、0~2mol%のFe23、2~10mol%のNa2O、0~5mol%のK2O、0~2mol%のBaO、0~2mol%のCaO、および/または0~10mol%のTiO2を含む。
【0062】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも60mol%のSiO2、少なくとも62mol%のSiO2、少なくとも64mol%のSiO2、少なくとも66mol%のSiO2、または少なくとも68mol%のSiO2を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき85mol%以下のSiO2、83mol%以下のSiO2、81mol%以下のSiO2、79mol%以下のSiO2、または77mol%以下のSiO2を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき60~85mol%のSiO2、62~83mol%のSiO2、64~81mol%のSiO2、66~79mol%のSiO2、または68~77mol%のSiO2を含む。
【0063】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも5.0mol%のB23、少なくとも5.5mol%のB23、少なくとも6.0mol%のB23、少なくとも6.5mol%のB23、または少なくとも7.0mol%のB23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき20.0mol%以下のB23、18.0mol%以下のB23、16.0mol%以下のB23、14.0mol%以下のB23、または12.0mol%以下のB23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき5.0~20.0mol%のB23、5.5~18.0mol%のB23、6.0~16.0mol%のB23、6.5~14.0mol%のB23、または7.0~12.0mol%のB23を含む。
【0064】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも2.0mol%のAl23、少なくとも3.0mol%のAl23、少なくとも4.0mol%のAl23、または少なくとも5.0mol%のAl23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき10.0mol%以下のAl23、9.0mol%以下のAl23、8.0mol%以下のAl23、または7.0mol%以下のAl23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき2.0~10.0mol%のAl23、3.0~9.0mol%のAl23、4.0~8.0mol%のAl23、または5.0~7.0mol%のAl23を含む。
【0065】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも0mol%のFe23、少なくとも0.2mol%のFe23、または少なくとも0.5mol%のFe23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき2.0mol%以下のFe23、1.5mol%以下のFe23、または1.2mol%以下のFe23を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき0~2.0mol%のFe23、0.2~1.5mol%のFe23、または0.5~1.2mol%のFe23を含む。
【0066】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも2mol%のNa2O、少なくとも4mol%のNa2O、または少なくとも6mol%のNa2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき10mol%以下のNa2O、9mol%以下のNa2O、または8mol%以下のNa2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき2~10mol%のNa2O、4~9mol%のNa2O、または6~8mol%のNa2Oを含む。
【0067】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも0.0mol%のK2O、少なくとも0.2mol%のK2O、または少なくとも0.5mol%のK2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき5.0mol%以下のK2O、3.5mol%以下のK2O、2.5mol%以下のK2O、2.0mol%以下のK2O、または1.5mol%以下のK2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき0.0~5.0mol%のK2O、0.2~3.5mol%のK2O、または0.5~2.5mol%のK2Oを含む。
【0068】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも0.0mol%のBaO、少なくとも0.2mol%のBaO、または少なくとも0.5mol%のBaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき3.0mol%以下のBaO、2.5mol%以下のBaO、または2.0mol%以下のBaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき0.0~3.0mol%のBaO、0.2~2.5mol%のBaO、または0.5~2.0mol%のBaOを含む。
【0069】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも0.0mol%のCaO、少なくとも0.2mol%のCaO、または少なくとも0.5mol%のCaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき3.0mol%以下のCaO、2.5mol%以下のCaO、または2.0mol%以下のCaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき0.0~3.0mol%のCaO、0.2~2.5mol%のCaO、または0.5~2.0mol%のCaOを含む。
【0070】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき少なくとも0.0mol%のTiO2、少なくとも1.0mol%のTiO2、少なくとも2.0mol%のTiO2、少なくとも3.0mol%のTiO2、または少なくとも4.0mol%のTiO2を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき10.0mol%以下のTiO2、9.0mol%以下のTiO2、8.0mol%以下のTiO2、7.0mol%以下のTiO2、または6.0mol%以下のTiO2を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物中に存在する全ての酸化物に基づき0.0~10.0mol%のTiO2、1.0~9.0mol%のTiO2、2.0~8.0mol%のTiO2、3.0~7.0mol%のTiO2、または4.0~6.0mol%のTiO2を含む。
【0071】
1つの実施態様において、前記ガラス管は内径5.0~49.0mm、好ましくは9.0~26mm、および/または外径6.0~50mm、好ましくは8.0~30mm、および/またはガラス壁厚0.5~2.0mm、好ましくは0.6~1.5mm、および/または長さla 125~5000mm、好ましくは500~3000mm、より好ましくは1000~2000mmを有する。
【0072】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、内径5.0~49.0mm、6.0~45.0mm、7.0~40.0mm、8.0~35.0mm、または9.0~26mmを有する。
【0073】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、外径6.0~50.0mm、7.0~40.0mm、または8.0~30mmを有する。
【0074】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、ガラス壁厚0.5~2.0mm、0.6~1.5mm、0.7~1.3mm、または0.8~1.2mmを有する。
【0075】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、長さla 125~5000mm、300~4000mm、500~3000mm、または1000~2000mmを有する。
【0076】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の第2の端部は、第2の閉端部へと成形および/または封止され、好ましくは前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部は平底である。
【0077】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の第1の端部は第1の閉端部へと成形および/または封止され、前記第2の端部は開端部である。
【0078】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の第1の端部は第1の閉端部へと成形され、且つ前記ガラス管の第2の端部は第2の閉端部へと成形され、好ましくは圧力補償通気孔が前記第1の近傍部および/または前記第2の近傍部に存在し、前記第2の近傍部は、前記第2の位置と前記第2の中間の位置との間のガラス管の内部表面として定義される。
【0079】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管の第1の端部は第1の閉端部へと成形され、且つ前記ガラス管の第2の端部は開端部へと封止され、好ましくは前記第2の端部は穿孔箔で封止されている。
【0080】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記ガラス管は、前記第2の位置と前記第2の中間の位置との間に第2の近傍部を有し、
前記第2の端部は、第2の閉端部へと成形され、好ましくは前記第2の閉端部の前記第2の近傍部はランプ環がなく、
a.) 前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99であり、且つ/または
b.) 前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ/または
c.) 前記第2の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である。
【0081】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99である。有利なことに、これは、医薬品容器内に保持され且つ輸送される医薬品成分の視覚的評価が損なわれないことを可能にする。
【0082】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99である。これに関し、理想的または仮定的な場合、つまり定義上、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率は1.00であると理解される。従って、アーティファクトの不在下では、医薬品容器用ガラス管は前記第2の閉端部の前記第2の近傍部と前記中央の区域とについて同一である透過率によって特徴付けられる。
【0083】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.9μg cm-2未満、0.8μg cm-2未満、0.7μg cm-2未満、0.6μg cm-2未満、0.5μg cm-2未満、または0.4μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0084】
前記第2の閉端部の前記第2の近傍部におけるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を改善すること、および特定の受け容れ可能な上限のレベルより下のままである条件を確立することが有利である。例えば、且つ特に対策が講じられない場合、製造の間にガラス管の内部表面上の凝縮物が形成することがある。そのような凝縮物は、ガラス溶融物中に存在し得る揮発性成分に由来することがあり、医薬品容器に関連するいくつかの望ましくない作用を引き起こす。最悪の場合、上述の凝縮物は医薬品に深刻な影響を及ぼすことがある。医薬品の部分的または完全な品質損失が観察されることがある。
【0085】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、少なくとも0.01μg cm-2、少なくとも0.02μg cm-2、少なくとも0.05μg cm-2、少なくとも0.07μg cm-2、少なくとも0.10μg cm-2、少なくとも0.15μg cm-2、または少なくとも0.20μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0086】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される、0.01μg cm-2~0.9μg cm-2、0.02μg cm-2~0.8μg cm-2、0.05μg cm-2~0.7μg cm-2、0.07μg cm-2~0.6μg cm-2、0.10μg cm-2~0.5μg cm-2、または0.15μg cm-2~0.4μg cm-2のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する。
【0087】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率は、0.5~2.0、0.7~1.4、0.8~1.2、0.9~1.1、好ましくは0.99~1.01である。
【0088】
医薬品容器用ガラス管が均質なアルカリ浸出性を示すことが有利である。換言すれば、医薬品容器用ガラス管のアルカリ浸出性は、前記第2の近傍部と前記中央の区域との両方について本質的に同様の、または本質的に同じアルカリ浸出性を示す。
【0089】
医薬品容器用ガラス管が、第2の閉端部へと成形される第2の端部付近での、つまり前記第2の閉端部の前記第2の近傍部におけるランプ環の形成を回避することが有利である。多くの場合、この望ましくないアーティファクトは、前記第2の近傍部におけるアルカリ浸出性の増加を伴うことがある。従って、前記第2の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率が、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である医薬品容器用ガラス管を提供することが望ましく且つ有利である。
【0090】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.3μg cm-2未満の差が観察される。
【0091】
医薬品容器用ガラス管が、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部で、内部表面上での低減されたアルカリ浸出性として検出され且つ特徴付けられ得る、より少ない凝縮物を示すことができることが有利である。従って、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部の低減されたアルカリ浸出性は、最初の濯ぎ段階の存在または不在下で行われるISO 4802-2:2010の方法に比して、アルカリ浸出性の相対濃度の差が低減しているという知見にも反映され得る。
【0092】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、少なくとも0.01μg cm-2、少なくとも0.02μg cm-2、少なくとも0.05μg cm-2、または少なくとも0.07μg cm-2の差が観察される。
【0093】
医薬品容器用ガラス管の1つの実施態様において、前記第2の閉端部の前記第2の近傍部は、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中の相対濃度として特定されるアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階を行って実施されるISO 4802-2:2010の方法と、最初の濯ぎ段階を行わないで実施されるISO 4802-2:2010の方法との間で、0.01μg cm-2~0.3μg cm-2、0.02μg cm-2~0.25μg cm-2、0.05μg cm-2~0.2μg cm-2、または0.07μg cm-2~0.15μg cm-2の差が観察される。
【0094】
1つの実施態様において、本発明は、ガラス管が5~20mol%のB23、および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含み、前記第1の近傍部と前記中央の区域とについて、350~800nmの範囲における少なくとも1つの波長についての、および/または前記波長範囲全体にわたる透過率の比率が、少なくとも0.97、好ましくは少なくとも0.99である、医薬品容器用ガラス管に関する。
【0095】
1つの実施態様において、本発明は、ガラス管が5~20mol%のB23、および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含み、前記第1の近傍部が、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する、医薬品容器用ガラス管に関する。
【0096】
1つの実施態様において、本発明は、ガラス管が5~20mol%のB23、および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含み、前記第1の近傍部のアルカリ浸出性と、前記中央の区域のアルカリ浸出性との比率が、0.5~2.0、0.9~1.1、または0.99~1.01である、医薬品容器用ガラス管に関する。
【0097】
1つの実施態様において、本発明は、ガラス管が5~20mol%のB23、および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含み、前記第1の近傍部が、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、且つ、前記ガラス管の前記中央の区域が、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.25μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有する、医薬品容器用ガラス管に関する。
【0098】
1つの実施態様において、本発明は、ガラス管が5~20mol%のB23、および/または2~10mol%のNa2Oを含むガラス組成物を含み、前記第1の近傍部が、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して調製される溶出液中での相対濃度として特定される0.5μg cm-2未満のアルカリ浸出性によって特徴付けられる耐加水分解性を有し、前記ガラス管が、内径9.0~26mm、外径8.0~30mm、ガラス壁厚0.6~1.5mm、および長さla 500~3000mmを有する、医薬品容器用ガラス管に関する。
【0099】
他の態様において、本発明は、医薬品容器を製造するための、先述の実施態様の1つによるガラス管の使用であって、前記医薬品容器が好ましくは1~150ml、2~40ml、3~30ml、または4~20mlの容量を有する、前記使用に関する。
【0100】
1つの実施態様において、前記医薬品容器は、少なくとも1ml、少なくとも2ml、少なくとも3ml、または少なくとも4mlの容量を有する。1つの実施態様において、前記医薬品容器は、150ml以下、40ml以下、30ml以下、20ml以下の容量を有する。
【0101】
1つの実施態様において、医薬品容器はガラスバイアル、ガラスアンプル、ガラスカートリッジ、またはガラスシリンジであってよい。
【0102】
医薬品容器用ガラス管の製造方法
他の態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階、
c.) 前記ガラス管を、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階、
d.) 前記第1の端部を第1の閉端部へと成形する段階、
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階、および
f.) 任意に、前記第2の端部を第2の閉端部へと成形および/または封止する段階
を含む前記方法に関する。
【0103】
さらなる態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階、
c1.) 前記ガラス管を、熱間成形によって、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階であって、前記第1の端部を第1の閉端部へと成形し、且つ前記第2の端部を第2の閉端部へと成形する、前記段階、
c2.) 前記第1の閉端部を開き且つ/または除去し、任意に前記第2の端部を開き且つ/または除去する段階であって、前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部を開くことおよび/または除去することが、火炎切断またはレーザー切断によって実施され、前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部を開くことおよび/または除去することが、ガラス管の熱間成形後、30秒未満、好ましくはガラス管の熱間成形後、20秒未満のうちに実施される、前記段階、
e.) 任意に、揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階、
f1.) 任意に、前記第2の端部を第2の閉端部へと成形および/または封止する段階、および
f2.) 任意に、前記第1の端部を第1の閉端部へと成形および/または封止する段階
を含む前記方法に関する。
【0104】
関連する態様において、本発明は、本発明による方法によって得ることができるか、または得られた製品に関する。
【0105】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、揮発性成分を含むガラス溶融物を準備する段階は、ガラス溶融物を形成するための溶融槽内で、ホウ素酸化物を含むガラス原料のバッチを溶融すること、並びに前記ガラス原料および/またはガラス溶融物を少なくとも1つのバーナーを使用して加熱することを含む。
【0106】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階は、前記ガラス溶融物を、一定の速度で回転しているダンナーマンドレル上に流すこと、および前記ガラス溶融物を回転するダンナーマンドレルから引き抜いてガラス管にすることを含む。
【0107】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、前記ガラス管を、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階は、溶融され且つ引き抜かれたガラス溶融物から得られるガラス管の脆性破壊によって実施することができる。脆性破壊は、ガラス管を機械的にスクライビングし、引き続き破砕することとして理解され得る。破砕は、スクライビングされた領域における熱衝撃によって、および/またはガラス管の自由端に機械的な負荷をかけることによって達成され得る。
【0108】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、前記第1の端部を第1の閉端部へと成形する段階は、前記第1の端部の熱間成形によって実施することができる。
【0109】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階は、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することによって行うことができる。1つの実施態様において、揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階は、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の大気環境に対して、1kPa、5kPa、10kPa、100kPa、または500kPaの過剰または追加的な圧力を確立することによって行うことができる。
【0110】
前記方法の1つの実施態様において、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することは、ドライアイスとしても公知且つ称される固体の二酸化炭素を、好ましくは1つ以上のドライアイスペレットの形態で、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側に設置することによって行うことができる。
【0111】
前記方法の1つの実施態様において、固体の二酸化炭素を、1つ以上のドライアイスペレットの形態で、成形されたガラス管の内側に設置することは、前記ガラス管の水平に対して10°~60°の角度、好ましくは10°~20°の角度で前記ガラス管を傾けることを伴い得る。
【0112】
1つの実施態様において、ドライアイスペレットは質量22mgを有する。1つの実施態様において、ドライアイスペレットは質量15~30mgを有する。
【0113】
前記方法の1つの実施態様において、298Kで、ドライアイスの蒸発後に、成形されたガラス管の内部体積以上である体積を満たす量のドライアイスペレットが、成形されたガラス管の内側に設置される。
【0114】
前記方法の1つの実施態様において、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することは、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、液体窒素を蒸発させることによって行うことができる。
【0115】
前記方法の1つの実施態様において、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することは、第1の端部と第2の端部とを有する成形されたガラス管の内側に反応混合物を設置し、前記反応混合物が反応し、且つ/または前記反応混合物の反応を開始し、且つ/または前記反応混合物を反応させて、前記反応混合物が反応の間にガス、例えばCO2、N2、O2および/またはH2のリストから選択されるガスを放出することによって行うことができる。
【0116】
1つの実施態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法によって得ることができるか、または得られた製品であって、前記方法が、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階、
c.) 前記ガラス管を、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと、好ましくは溶融され且つ引き抜かれたガラス溶融物から得られるガラス管の脆性破壊によって成形する段階、
d.) 前記第1の端部を、好ましくは前記第1の端部の熱間成形によって、第1の閉端部へと成形する段階、および
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階であって、前記揮発性成分の減少が、以下の手段の1つ:
・ ドライアイスとしても公知且つ称される固体の二酸化炭素を、好ましくは1つ以上のドライアイスペレットの形態で、前記成形されたガラス管の内側に設置すること、
・ 前記成形されたガラス管の内側で、液体窒素を蒸発させること、
・ 前記成形されたガラス管の内側に反応混合物を設置し、前記反応混合物が反応し、且つ/または前記反応混合物の反応を開始し、且つ/または前記反応混合物を反応させて、前記反応混合物が反応の間にガス、例えばCO2、N2、O2および/またはH2のリストから選択されるガスを放出すること
により、成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立することによって行うことができる、前記段階
を含む、前記製品に関する。
【0117】
前記方法の1つの実施態様において、前記第1の閉端部を開き且つ/または除去する段階は、火炎切断またはレーザー切断によって、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに実施される。
【0118】
前記方法の1つの実施態様において、前記第1の閉端部と前記第2の閉端部とを開き且つ/または除去する段階は、火炎切断またはレーザー切断によって、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに実施される。
【0119】
前記方法の1つの実施態様において、前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部の火炎切断またはレーザー切断は、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに実施される。
【0120】
前記方法の1つの実施態様において、前記第1の閉端部および/または前記第2の閉端部のレーザー切断は、ガラス管の熱間成形後、20秒未満のうちに実施される。
【0121】
有利なことに、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに火炎切断またはレーザー切断によって閉端部を開き且つ/または除去する段階は、ガラス管の内部表面でのホウ酸塩の凝縮物の減少をもたらす。
【0122】
火炎切断またはレーザー切断のおかげで、ガラス管は前記第1の閉端部で、および/または前記第2の閉端部で加熱され、それがガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を生成し、それがガラス管の内部表面での揮発成分、例えばホウ酸塩の凝縮物の減少を補助することができる。
【0123】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の1つの実施態様において、前記方法は、吹き込み空気をろ過するさらなる段階を含む。有利なことに、この段階は凝縮物のさらなる減少をもたらす。好ましくは、前記方法は、吹き込み空気をろ過する、例えば精密ろ過する追加的な段階を含む。1つの実施態様において、精密ろ過は、フィルタエレメント1C121756 (Donaldson Company, Inc.)を用いて、以下の仕様: 0.01μmの粒子について99.99999%の効率、およびろ材の種類 ホウケイ酸塩で行われる。
【0124】
1つの実施態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階、
c1.) 前記ガラス管を、熱間成形によって、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階であって、前記第1の端部を第1の閉端部へと成形し、且つ前記第2の端部を第2の閉端部へと成形する、前記段階、
c2.) 前記第1の閉端部を開き且つ/または除去する段階であって、前記第1の閉端部を開くことおよび/または除去することが、レーザー切断によって実施され、前記第1の閉端部を開くことおよび/または除去することが、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに実施される、前記段階、
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階であって、ホウ酸塩の凝縮物の減少が、固体の二酸化炭素を、好ましくはドライアイスペレットの形態で、成形されたガラス管の内側に設置し、引き続き1つのドライアイスペレットを、前記第2の閉端部の近傍領域において前記成形されたガラス管の内側に設置することによって行われる、前記段階、
c3.) 前記第2の閉端部を開き且つ/または除去する段階であって、前記第2の閉端部を開くことおよび/または除去することが、レーザー切断によって実施される、前記段階、
f1.) 前記第2の端部を、第2の閉端部へと封止する段階、および
f2.) 前記第1の端部を、第1の閉端部へと封止する段階
を含み、前記第1の端部の封止、および前記第2の端部の封止が、穿孔箔での封止を含み、前記箔における穿孔が、円直径10μm以下を有し、前記箔は1cm2あたり少なくとも100の穿孔を有する、前記方法に関する。
【0125】
前記第1の端部および/または第2の端部を穿孔箔で封止することが有利であり、なぜなら、引き続く工程において、火炎バーナーを使用してガラス管をさらに加工できるからである。また、穿孔箔は長期間保持されることができ、さらには、その穿孔箔が存在しながらクリーンルーム条件下でのさらなる製造段階を可能にする。
【0126】
1つの実施態様において、本発明は、医薬品容器用ガラス管の製造方法であって、以下の段階:
a.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩を含むガラス溶融物を準備する、好ましくはガラス溶融物中に含まれる酸化物をもたらす原料のバッチを溶融する段階、
b.) 前記ガラス溶融物を例えば引き抜きによって、内部表面と外部表面とを有するガラス管へと成形する段階、
c1.) 前記ガラス管を、熱間成形によって、第1の端部と第2の端部とを有するガラス管へと成形する段階であって、前記第1の端部を第1の閉端部へと成形し、且つ前記第2の端部を第2の閉端部へと成形する、前記段階、
c2.) 前記第1の閉端部を開き且つ/または除去する段階であって、前記第1の閉端部を開くことおよび/または除去することが、レーザー切断によって実施され、前記第1の閉端部を開くことおよび/または除去することが、ガラス管の熱間成形後、30秒未満のうちに実施される、前記段階、
e.) 揮発性成分、例えばホウ酸塩の凝縮物を、前記ガラス管の内部表面で減少させる段階であって、ホウ酸塩の凝縮物の減少が、固体の二酸化炭素を、好ましくはドライアイスペレットの形態で、成形されたガラス管の内側に設置し、引き続きさらなるドライアイスペレットを、前記第2の閉端部の近傍領域において前記成形されたガラス管の内側に設置することによって行われる、前記段階、
f) 前記第1の端部を、第1の閉端部へと封止する段階
を含み、前記第1の端部の封止が、穿孔箔での封止を含み、前記箔における穿孔が、円直径10μm以下を有し、前記箔は1cm2あたり少なくとも100の穿孔を有する、前記方法に関する。
【実施例0127】
UV-VIS透過率
UV-VIS透過率スペクトルを、UV/VIS分光計Lambda 950を使用し、波長範囲250nm~2500nmにおいて取得した。
【0128】
異なるホウケイ酸ガラスに基づく、2つの異なる種類のガラス管を測定した。
【0129】
UV-VIS透過率スペクトルを、(第1の近傍部における)ランプ環の上で、つまり、熱間成形された閉端部から1cmの距離にあるガラス管の領域において、およびガラス管の長さlaの半分の位置で取得した。
【0130】
アルカリ浸出性
外径29.5mmおよび壁厚1.3mmを有するガラス管を、ガラス溶融物を引き抜くことによって製造した。試験ガラス管を各々長さ約150mmを有する切片に切断した。引き続き、第1の端部を、約1200℃での熱間成形によって第1の閉端部へと成形した。成形されたガラス管の内側にドライアイスペレットを設置することにより、前記成形されたガラス管の内側で、前記成形されたガラス管の外側の環境に対して過剰な圧力を確立した。成形されたガラス管の内側に過剰な圧力をもたらさずに、且つ成形されたガラス管の内側にドライアイスを設置せずに、同じ寸法を有する参照用のガラス管を製造した。アルカリ浸出性試験を実施するために、前記第1の閉端部を、切断によって、および第1の近傍部および中央の区域、および該当する場合は第2の近傍部を表すガラス管の切片を切り取ることによって、ガラス管から廃棄した。本発明および参照用ガラス管による各々の例について、それぞれ10個のガラス管切片を調査した。測定された値は、10の個別の測定の平均である。
【0131】
ガラス管切片のアルカリ浸出性は、周囲温度で蒸留水を用いた最初の濯ぎ段階(ISO規格のポイント8.2)が省略されること以外、ISO 4802-2:2010に準拠して特定され、従ってガラス管の内部表面上で測定される。ISO 4802-2:2010のポイント8.3を参照し、各々のガラス管切片を、定義上、底端部と称される1つの開端部から、シリコーンゴムの栓を用いてキャップする。試験水を充填した後、ガラス管切片を、他の開端部でアルミニウム箔を用いてキャップする。それらを最初に使用する前に、シリコーンゴムの栓を洗浄し、シリコーンゴムの栓からのアルカリ浸出性がないことを確認する。各々の使用後、シリコーンゴムの栓を洗浄する。蒸留水での充填体積は、ISO 4802-2:2010のポイント7.2.1またはポイント7.2.2に準拠して、それぞれ、ガラス管切片の内径(または内腔)、つまりdi≦20mmまたはdi>20mmに依存して特定される。
【0132】
アルカリ浸出性は、抽出溶液中のアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類酸化物の量を、フレーム原子発光分光法または原子吸光分光法(フレーム分光法)を使用して特定することによって測定される。アルカリ浸出性は、μgでのNa2Oで定量化され、試験に供されたcm2での内部表面積に対して正規化される(ISO 4802-2:2010のポイント1a)、8.4および9.1参照)。
【0133】
医薬品容器用ガラス管の製造方法の間のドライアイスの存在下では、0.25μg cm-2のアルカリ溶出性が特定された。医薬品容器用ガラス管の製造方法の間のドライアイスの不在下では(参照用ガラス管)、0.96μg cm-2のアルカリ溶出性が特定された。
【0134】
ドライアイスペレットの必要量の見積もり
使用されたドライアイスペレットの体積は14.14mm3であると見積られ、それはドライアイスペレット1つあたり22mgの質量に相応する。
【0135】
外径30mm、壁厚1mm、および長さ1500mmを有するガラス管に基づき、ドライアイスの昇華後に、1215.26mm3であるガラス管の内部体積を完全に充填するために、1.9gのドライアイスの必要量が提供されなければならない。
【符号の説明】
【0136】
1 ガラス管
2 内部表面
3 外部表面
4 長手方向軸
5 中央の区域
i 内径
o 外径
a 長さ
11 第1の端部
12 第1の位置
13 第1の中間の位置
14 第1の近傍部
15 第1の閉端部
21 第2の端部
22 第2の位置
23 第2の中間の位置
24 第2の近傍部
25 第2の閉端部
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】