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特開2023-80059動物のバイタルサイン管理システム、及び、これを備えた動物のバイタルサイン管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080059
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】動物のバイタルサイン管理システム、及び、これを備えた動物のバイタルサイン管理方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A01K29/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190859
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021193693
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521332350
【氏名又は名称】まちなかMEセンター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】熊川 哲
(72)【発明者】
【氏名】長井 裕
(57)【要約】
【課題】データ量や送信回数に制限を設けずに安定して検知することができ、複数匹同士又は人間等との誤認識を識別して継続的に管理できる動物のバイタルサイン管理システムを提供する。
【解決手段】
撮像領域内で認識される複数の測定対象それぞれのバイタルサインを取得可能な総合設置型センサ1と、取得したバイタルサインをデータ化したバイタルデータをストレージするクラウド・サーバ2と、・クラウド・サーバ2からバイタルデータを取得して、一又は複数体の対象動物のバイタルデータを対象動物の個体識別と共に管理する管理用端末3,4,5と、を具備して構成される。前記総合設置型センサ21は、前記撮像領域の全体像を取得するカメラ機能と、取得した全体像内に含まれる、一または複数のデータエリアを認識する興味領域(ROI)機能と、設定された所定のデータエリアごとに識別IDを紐付け記憶する紐付け機能と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のバイタルデータから取得したバイタルサインをバイタルデータとして管理する動物のバイタルサイン管理システムであって、
一体又は複数体の動物が所在する所定の撮像領域内、又は前記所定の撮像領域に面して設置され、前記撮像領域内で認識される一体又は複数体の動物各々を測定対象として、複数の測定対象それぞれのバイタルサインを取得可能な総合設置型センサと、
取得したバイタルサインをデータ化したバイタルデータをストレージするクラウド・サーバと、
クラウド・サーバからバイタルデータを取得して、複数体の動物のバイタルデータを動物の個体毎に管理する管理用端末と、を具備して構成される管理システムであって、
前記総合設置型センサは、前記撮像領域の全体像を取得するカメラ機能と、取得した全体像内に含まれる、一または複数のデータエリアを認識するROI機能と、
設定された所定のデータエリアごとにゲージID/ペットIDを紐付け記憶する紐付け機能と、を有し、
各データエリアに紐付け記憶されたゲージID/ペットIDの識別符号と共に、各測定対象のバイタルデータ送信を行うものであり、
前記管理用端末は、ゲージID/ペットIDの識別符号ごとにバイタルデータを記録、及びデータ表示することを特徴とする、動物のバイタルサイン管理システム。
【請求項2】
前記総合設置型センサは、
対象動物が所在する所定の撮像領域に含まれる、互いに重複しない複数個所のデータエリアをそれぞれ個別のデータエリアとして識別可能に設定するものであり、
対象動物が所在する所定の撮像領域に含まれる複数個所のデータエリアを一括抽出するモニタリングカメラと、
モニタリングカメラによって各データエリア内に認識されるバイタルデータを各データエリアの識別IDと共に一括送信する一括データ送信機と、
前記設置型カメラで抽出されるデータエリア毎に、データエリア内に認識されるバイタルサインを取得する一または複数のバイタルセンサと、
前記一または複数のバイタルセンサによって取得された各バイタルサインを、当該バイタルサインを取得したデータエリアの識別IDと個別に紐づけて送信する個別データ送信機と、を具備してなり、
前記管理用端末は、一括データ送信機から取得した所定の識別IDのバイタルサインと、個別データ送信機から取得した前記所定の識別IDのバイタルサインとが、共通する一の対象動物のバイタルサインとして一致するかどうかを照合する照合手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の動物のバイタルサイン管理システム。
【請求項3】
前記バイタルセンサは、一個体の対象動物を共通の測定対象として一基又は複数基設置された、ウエアラブル型センサ又は室内据置き型センサからなり、各バイタルセンサによる個別データ送信機は、前記対象動物の識別IDを付与してデータ送信することを特徴とする、請求項2に記載の動物のバイタルサイン管理システム。
【請求項4】
前記バイタルセンサは、受信したバイタルデータに基づいて、各データエリアに紐付けされたゲージID/ペットIDが一致しているかどうかのデータ照合を行うと共に、
過去の当該ゲージID/ペットIDのバイタルデータと受信したバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行い、
データ照合によって、他の動物のデータが混在したと判断される場合は、データ送信を行わないことを特徴とする、請求項1、2又は3のいずれかに記載の動物のバイタルサイン管理システム。
【請求項5】
前記クラウド・サーバは、受信したバイタルデータに基づいて、
受信したバイタルデータとこのバイタルデータに紐付けされたゲージID/ペットIDの過去のバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行い、
データ照合によって、他の動物のデータが混在したと判断される場合は、管理用端末へその判断情報を付与するか、或いは混在したと判断されるデータの送信を行わないことを特徴とする、請求項1、2、3、又は4のいずれかに記載の動物のバイタルサイン管理システム。
【請求項6】
前記管理用端末は、受信したバイタルデータに基づいて、各データエリアに紐付けされたゲージID/ペットIDが一致しているかどうかのデータ照合を行うと共に、
過去の当該ゲージID/ペットIDのバイタルデータと受信したバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行い、
データ照合によって、他の動物のデータが混在したと判断される場合は、データ表示を行わないか、或いは混在したと判断される旨をアラート報知することを特徴とする、請求項1、2、3、4、又は5のいずれかに記載の動物のバイタルサイン管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ペット、家畜などの対象動物のバイタルサイン(心拍、呼吸数、体温、体動など)の監視を行う管理システム、及び、これを備えた動物のバイタルサイン管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物のバイタルサインから非常状態を自動検知し、端末使用者へアラートを出すシステム又はそのための用具として、下記文献記載のものが開示される。
【0003】
特許文献1(特登-05283196)には、ペットの安否確認システム、安否確認方法として、『対象者側通信装置10は、制御部11と、人感センサ12と・・・を備える。センサの反応があった際にメールを自動的に確認し、音声メッセージに変換して再生するため、対象者は人間でなくても良い。例えば、ペットの飼い主等が、本発明に係る通信装置を介して、外出中に家に残してきたペットの様子を携帯端末等で確認し、音声メッセージによる特別な指示を行うような用途も考えられる。』等と開示される。
【0004】
特許文献2(特開2020-092714)には、テレビ、エアコン又はウエアラブル端末のセンサで動物を監視、移動記録から状態を推定する『電子機器、電子機器システム、及び機器制御方法』が開示される。同文献には、『機器101(c)としては、実施の形態1同様にテレビでもよいし、検出部および情報送受信部を備えた携帯端末、人もしくは動物が身につける端末(ウエアラブル端末)、またはエアコン等を用いてもよい。なお、機器101(c)として人もしくは動物が身につける端末(ウエアラブル端末)を用いる場合、検出部201(c)としては、活動量計、歩数計、血圧計、心拍計などの生体情報(バイタル情報、行動情報)を取得するセンサであってもよい。・・・前記機器制御方法は、更に、前記受信ステップで受信した前記空間の情報を時刻と関連付けて蓄積する蓄積ステップを有し、前記推定ステップは、前記第1の電子機器が取得した前記空間の情報から前記空間内の動物の存在の有無を判断し、前記空間内に動物が存在すると判断した場合、前記時刻の異なる複数の前記空間の情報を用いて前記動物の状態を推定する。』等と開示される。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第05283196号公報
【特許文献2】特開2020-092714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記システムはいずれも、固定電源供給式の設置型センサと、電池式のウエアラブル型センサのいずれかを用いるものであった。
【0008】
ウエアラブル型センサは、装着近接検知により、特定対象のトレース記録、非常時検知に有利だが、非接触型MWDのため、激しい動きにより測定不可、或いは誤信号検知となってしまう欠点がある。また、固定電源からの電気供給が難しいため稼働時間に制限があり、電池消費を抑えるためにデータ量や送信回数に制限があるという欠点がある。
【0009】
一方、設置型センサは、固定電源電圧の確保により、稼働時間に制限がなく、またデータ量、送信回数、複数匹の一括検知に有利だが、電源供給やセンシング条件といった設置条件が限られるという欠点がある。また、一括検知を行うことができる一方、一検知部からの特定対象の認識精度やトレース記録の精度に制限があり、検知部と対象動物との間に他の動物ないし人間が介在した場合は、混在したデータを対象動物のデータとして送信してしまうという欠点がある。
【0010】
つまり、データ量や送信回数に制限を設けずに安定して検知するために設置型センサを用いると、複数匹同士、又は人間等との誤認識(他の対象動物とのデータのコンタミネーション)が発生してしまい、この誤認識を検知することが困難、という課題があった。
【0011】
なお、設置型センサとウエアラブル型センサを併用し、各センサからのデータ同士を時刻同期させるセンサシステム(特表2016-514961号公報)も開示されるが、同システムでも前記誤認識を判別する手段がなく、例えばデータの異常値が検出された場合に、この異常値が対象動物の状態変化に基づくものなのか、或いは単なる誤認識(例えば、他の対象動物とのデータのコンタミネーション)によるものなのかのといった判断ができない、という課題があった。
【0012】
そこで本発明は、データ量や送信回数に制限を設けずに安定して検知することができる管理システムであって、
複数匹同士、又は人間等との誤認識(コンタミネーション)を識別して継続的に管理できるものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決すべく下記の構成からなるものとしている。
【0014】
〔1〕(ROI機能及び紐づけ機能による識別符号付きデータの送信)
本発明の動物のバイタルサイン管理システムは、
対象動物のバイタルデータから取得したバイタルサインをバイタルデータとして管理する動物のバイタルサイン管理システムであって、ROI機能及び紐づけ機能による識別符号付きデータの送信を行うことを特徴とする。
【0015】
つまり、
・一体又は複数体の動物(ヒトを除く)が所在する所定の撮像領域内、又は前記所定の撮像領域に面して設置され、前記撮像領域内で認識される一体又は複数体の動物各々を測定対象として、複数の測定対象それぞれのバイタルサインを取得可能な総合設置型センサ1と、
・取得したバイタルサインをデータ化したバイタルデータをストレージするクラウド・サーバ2と、
・クラウド・サーバ2からバイタルデータを取得して、一又は複数体の対象動物のバイタルデータを対象動物の個体識別と共に管理する管理用端末3,4,5(監視用ホスト端末(PC端末又は携帯端末)3又はデータ管理ソフト3A、閲覧端末4、あるいは閲覧管理端末5)と、を具備して構成される管理システムであって、以下の特徴を有する。
【0016】
(特徴)
・前記総合設置型センサ21は、前記撮像領域の全体像を取得するカメラ機能と、取得した全体像内に含まれる、一または複数のデータエリアを自動認識するROI(Region Of Interest:興味領域)機能と、
設定された所定のデータエリアごとに識別ID(ゲージID/ペットID)を紐付け記憶する紐付け機能と、を有し、
各データエリアに紐付け記憶された識別ID(ゲージID/ペットID)の識別符号と共に、各データエリア内で識別したバイタルデータ送信を行うものであり、
前記管理用端末3,4,5は、ゲージID/ペットIDの識別符号ごとにバイタルデータを記録、及びデータ表示することを特徴とする。
【0017】
本構成によれば、設置型センサを用いることで、安定した電源供給によりデータ量やデータ送信頻度を確保することができ、比較的長時間の安定的かつ継続的な監視が可能となる。また、設置型センサが有するROI機能によって、取得した全体像複数のデータエリアを同時認識することができると共に、データエリアごとに特定のID(ゲージID又はペットID)と紐付けしてデータ送信を行うことで、検知したデータが特定の対象動物のものであるかどうかをデータ上で識別することができる。例えば複数のデータエリアを複数の対象動物それぞれの活動範囲領域内に設定することで、特定の対象動物にデータ異常が発生したときも、他の対象動物IDのデータと照合することで、当該特定の対象動物のデータであるのか、或いは、他の対象動物や人間との混在データであるのかといった、誤認データの判別を行うことができる。
【0018】
上記構成は、後述の実施例1、2の構成(それぞれ図1図2)が該当する。ただしROI(Region Of Interest:興味領域)機能とは、取得されたカメラ像の全体像内に含まれる、一または複数のデータエリアを自動認識する機能であって、予め備えた目鼻およびその位置関係に関する所定の登録情報、及び/あるいは色差及び明度差情報に基づいて、全体像内に含まれる所定の登録情報/明度差情報の近似性を自動判断し、興味領域を自動特定し、その自動特定された興味領域の、画像データ内における位置情報及び移動情報を自動追尾しながら、表示または記録する機能である。
【0019】
例えば図4のように複数のケージC11,C12,C12,3,C14、C15,C16が配置されていて、設置型のROIモニタリングカメラによって、各ケージに対応した複数のデータエリアRA11,RA12を認識し、データエリア内に存在する対象動物のIDを照合することができる。一つのケージ内に一の対象生物個体(対象動物)のみが収容されていると仮定し、ROIモニタリングカメラでデータエリアを自動認識したときには認識したケージのデータエリアとしてケージの特定処理をおこない、この処理と共に、当該ケージ内の対象生物個体(対象動物)の識別IDを紐づけして記録する。例えば図4のケージC15はデータエリアRA120がケージに対応しておらずROIの自動認識が終わっていないため、ケージの特定処理が未特定、かつ、ケージ内の対象生物個体(対象動物)の識別IDが未照合あるいは未特定の状態となっている。一方、図4のケージC11,C12,C13,C14はROIの自動認識が終わってデータエリアRA11,12,13,14が各ケージC11,C12, C13,C14にそれぞれ対応して確定され、ケージの特定処理が完了、かつ、ケージ内の対象生物個体(対象動物)の識別IDが特定された状態となっている。
【0020】
なお、上記構成は、誤認データを判別するための照合手段を備えていないものも含む概念である。IDと紐付けでデータ送信されたデータが誤認データかどうかについて、システム内で照合せずにそのままID識別符号と共に表示する態様も含まれる。
【0021】
〔2〕(モニタリングカメラと他のセンサの併用による照合手段)
前記システム又は総合設置型センサは、モニタリングカメラと他のセンサとを併用し、更に、誤認データを判別するための照合手段を備えることを特徴とする。
【0022】
すなわち、
前記管理システムに含まれる総合設置型センサは、
・対象動物が所在する所定の撮像領域(の全体像を取得すると共に、全体像)に複数個含まれる、互いに重複しない任意の位置(及び大きさ)のデータエリアをそれぞれ個別のデータエリアC11,C12,C13,C14,C15,C16・・・として識別可能に設定するものであり、
・対象動物が所在する所定の撮像領域(の全体像を取得すると共に、全体像)に含まれる任意の位置及び大きさのデータエリアC11,C12,C13,C14,C15,C16・・・を一括抽出する、設置型のモニタリングカメラ21と、
モニタリングカメラ21によって各データエリア内に認識されるバイタルデータを各データエリアの識別IDと共に一括送信する一括データ送信機21Tと、
・前記設置型カメラ21で抽出されるデータエリアC11,C12,C13,C14,C15,C16・・・毎に、データエリア内に認識されるバイタルサインを取得する一または複数のバイタルセンサ22,23(ウエアラブル型センサ22又は室内据置き型23のどちらも含む)と、
・前記一または複数のバイタルセンサ22,23によって取得された各バイタルサインを、当該バイタルセンサの識別ID(ゲージID/ペットID)と一つずつ個別に紐づけて送信する個別データ送信機22T、23Tと、を具備してなり、
前記管理用端末は、
一括データ送信機から取得した所定の識別IDのバイタルサインと、個別データ送信機から取得した前記所定の識別IDのバイタルサインとが、共通する一の対象動物のバイタルサインとして一致するかどうかを照合する照合手段6を有することを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、設置型のモニタリングカメラとバイタルセンサとを併用し、モニタリングカメラのデータとバイタルセンサのデータを照合することで共通する一の対象動物のデータを正しいものとして認識し、一の対象動物のバイタルデータとして継続的に管理することができる。
【0024】
なお、前記総合設置型センサは、上記モニタリングカメラ21とバイタルセンサ22,23のどちらも含む概念である。
【0025】
例えば後述する図1図3に示すように、モニタリングカメラ21は、予め設定された重複しない複数のデータエリアC11、C12,・・・のバイタルサインを取得し、内蔵して設置された、または別設置された一括データ送信機21Tによって、複数のデータエリアそれぞれのデータ211RD,212RD・・・として識別可能に送信する。(なお、モニタリングカメラ21は測定領域に含まれる各ゲージエリアと各ゲージエリアごとの識別IDとが一対一対応している。)
【0026】
また一方で、一のバイタルセンサ22,23(ウエアラブル型センサ22又は個別設置型センサ23)は、センサごとに認識可能な一つのバイタルサインを取得し、内蔵して設置された、または別設置された個別データ送信機22Tによって当該一のバイタルセンサ22,23のデータ22D(221D又は222D,23Dなど)として識別可能に送信する。(なお、バイタルセンサ22,23は一の測定対象に対応して設置され、当該一の測定対象と識別IDがバイタルセンサごとに一対一対応している)。
【0027】
そして照合手段6は、
一括データ送信機21Tによって送信された、複数のデータエリアそれぞれのデータ211RD,212RD・・・と、
一のウエアラブル型センサ22又は個別設置型センサ23の個別データ送信機22Tによって送信された、一のデータ221Dと比較して、
統合データ送信機と個別データ送信機との各データ間(211RDと221D、212RDと221D、・・・)の同一性又は近似性によって、共通する一の対象動物のバイタルサインとして一致するかどうかを照合する。
【0028】
前記照合手段6が前記照合を行い、「共通する一の対象動物のバイタルサインとして一致する」か否かの照合結果を出すことで、送信されたデータが、対象動物の正しいデータか否かを識別することができる。
【0029】
〔3〕前記システムにおいて、バイタルセンサ22,23は、測定領域ではなく一の対象動物を測定対象としており、当該測定対象の対象動物の識別IDを付与して個別データ送信することを特徴とする。
【0030】
すなわち、前記バイタルセンサ22,23は、一個体の対象動物を共通の測定対象として一基又は複数基設置された、ウエアラブル型センサ22又は室内据置きのセンサ23からなり、各バイタルセンサ22,23による個別データ送信機は、前記対象動物の識別IDを付与してデータ送信することを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、各バイタルセンサは(対象領域ではなく)個別の対象動物そのものを測定対象としており、対象動物の位置が所定領域にいるか否かに関わらず、当該測定対象の対象動物の識別IDを付与して個別データ送信することが可能となる。つまり、前記モニタリングカメラ21によって、検知対象領域であるゲージエリアのバイタルサインを測定領域ごとに検知すると共に、バイタルセンサ22,23によって、測定領域ではなく一の対象動物ごとにバイタルサインを検知することができる。
【0032】
領域ごとのセンシングと個別対象ごとのセンシングという、異なる検知基準のセンサを組み合わせて併用することで、共通する一の対象動物の正しいバイタルサインであるのか、あるいは、誤認識による異常データの発生を検知であるのか、といった照合をより確実に行うことができるものとなる。
【0033】
なお、上記構成におけるバイタルセンサは一基だけでも成立する。
【0034】
上記バイタルセンサ22,23は、対象動物(対象動物)又は対象領域のバイタルサインを個別に取得する個別設置型センサ23(対象動物ゲージ用)、対象動物に装着してバイタルサインを取得するウエアラブルセンサ22のどちらの概念も含む。前記モニタリングカメラ21(室内全体用の、ROI機能を持つカメラのみを保有する機器)とは区別して概念される。
【0035】
上記構成を更に限定した構成として、バイタルセンサが、共通する一個体の対象動物を共通の測定対象として複数基設置された、ウエアラブル型センサ22又は室内据置きのセンサ23のいずれか一基以上の組合せからなり、各バイタルセンサ22,23による個別データ送信機は、前記共通する対象動物の識別ID(同一の識別ID)を付与し、かつ各バイタルセンサを識別するためのセンサ識別IDを付与してデータ送信するものでもよい。
【0036】
上記構成における複数基のバイタルセンサの組み合わせは、「ウエアラブル型+室内据置き型」、又は「室内据置き型+室内据置き型」、又は「ウエアラブル型+ウエアラブル型」)のいずれかの組合せからなる。
【0037】
バイタルセンサからデータ送信されるバイタルデータの識別IDは、例えば、一個体の対象動物の識別ID(P11.、P12・・・)とバイタルセンサごとのID(221D,222D,231D,232D,・・・)を組み合わせた一連の組合せID(P11221D.・・・)の形で付与される。
【0038】
バイタルセンサを複数基設置する場合、一つの対象エリアの個別設置型センサ23と、一の対象動物のウエアラブル型センサ22とを組み合わせて使用するシステム構成でもよい。
【0039】
或いは、バイタルセンサを複数基設置する場合、一の対象動物において、個別設置型センサ23、ウエアラブル型センサ22のどちらかの1つのセンサのみを順に、或いは交互に(動作時間を分けて)使用するシステム構成でもよい。
【0040】
〔4〕(照合手段が継時的データ照合によってコンタミネーションを検知)
前記システムにおいて、(照合手段が継時的データ照合によってコンタミネーションを検知)することを特徴とする。
【0041】
すなわち、前記照合手段は、受信したバイタルデータに基づいて、各データエリアに紐付けされたゲージID/ペットIDが一致しているかどうかのデータ照合を行うと共に、
過去の当該ゲージID/ペットIDのバイタルデータと受信したバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行うことを特徴とする。
【0042】
なお、上記構成をさらに限定したデータ照合後の処理として、照合手段は、総合設置型センサ(バイタルセンサ又はモニタリング)のいずれか、あるいはサーバーに備えられ、照合手段がデータ照合を行って、他の動物のデータが混在したと判断される場合は、管理用端末へデータ送信を行わないことを特徴とする構成としてもよい。
【0043】
例えば、振れ幅がおおきくなったときに、エラーなのか状態異常値なのかを判別する。エラーの閾値設定、ターゲットバリューは学習/動物種によってあらかじめ設定する。ドプラデータの揺れが、心拍によるものか、呼吸によるものか、動作によるものかの3要素の周波数判別によって判断する。
【0044】
〔5〕
(サーバ又は管理用端末がコンタミ検知)
前記クラウド・サーバは、受信したバイタルデータに基づいて、
受信したバイタルデータとこのバイタルデータに紐付けされたゲージID/ペットIDの過去のバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行い、
データ照合によって、他の動物のデータが混在したと判断される場合(、あるいは明らかな異常データの場合)は、管理用端末へその判断情報を付与するか、或いは混在したと判断されるデータの送信を行わない(消すのではなくデータ自体は保管される)ことを特徴とする。
【0045】
〔6〕(管理用端末がコンタミネーションを検知)
前記管理用端末は、受信したバイタルデータに基づいて、各データエリアに紐付けされたゲージID/ペットIDが一致しているかどうかのデータ照合を行うと共に、
過去の当該ゲージID/ペットIDのバイタルデータと受信したバイタルデータに連続性があるかどうかの経時的データ照合を行い、
データ照合によって、異常値があると判断された場合、他の動物のデータが混在したと判断される場合は、データ表示を行わないか、或いは混在したと判断される旨をアラート報知(注意又は警報表示、音または画像)することを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明は上記手段を講じることで、データ量や送信回数に制限を設けずに安定して検知することができる管理システムであると共に、複数匹同士、又は人間等との誤認識(コンタミネーション)を識別して継続的に管理できるものを提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】実施例1のバイタルサイン管理システムのシステム構成
図2】実施例2のバイタルサイン管理システムのシステム構成
図3】設置概念図
図4】実施例1の複数対象の設置型サーチ範囲の設定画面例
図5】実施例2の複数対象の設置型サーチ範囲の設定画面例
図6】対象動物情報の管理画面例(基本情報設定)
図7】バイタルデータの一覧表示と選択した画面例1
図8】バイタルデータの選択した表示画面例2
図9】対象動物情報の管理画面例2(スケジュール設定)
図10】バイタルデータのデータ構造例面断面図
図11】属性グループの分類情報の入力画面例
図12】ウエアラブルセンサの展開状態(a)及び装着状態(b)図
図13】パルスオキシメータの形態例の平面図(a)、底面図(b)
図14】パルスオキシメータの測定方式(a)透過型(b)反射型の概念図
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、発明を実施するための最良の形態例について実施例として示す各図とともに説明する。
【0049】
〔基本構成〕
本発明の動物のバイタルサイン管理システムは、所定の場所にいる動物のバイタルサインを確認又は管理する、動物のバイタルサインの確認システムに関する(図1図10)。例えば、獣医師がホストPC又は携帯端末等で動物病院内の動物のバイタルサインを長時間監視するシステム、或いは、携帯端末等で動物病院内の動物のバイタルサインを閲覧し確認できるシステムに関する。他に、例えば、飼い主が携帯端末等で自宅の動物のバイタルサインを閲覧し確認できるシステム、或いは、また他に、例えば、担当医が自宅または病室内にいるヒト、あるいは保管室又はケージ室内にいる動物のバイタルサインを確認できるシステムに関する。
【0050】
(実施例1)
実施例1は複数の動物(対象動物)のバイタルサインを統括管理するシステムである。実施例1は次のシステム構成を有する(図1図4)。
システム全体を統括し対象動物毎の各バイタルサインを管理するホストPC1(病院、システム管理者等のデータ統括管理場所に設置された統括管理用PC)と、
そのデータをストレージするクラウド・サーバ2(図におけるデータサーバー)と、
対象動物のバイタルサインを取得する総合設置型センサ3(図1図3における天井付きの人感センサ21)と、
対象動物のバイタルサインを取得する個別設置型センサ4(図1図3における床置きの赤外線カメラ23)と、
対象動物に装着させる複数のウエアラブルセンサ22(図1図5のハーネス又は首輪221に取り付けたもの,図12の胴衣221に取り付けたもの)と、からなる。
【0051】
(実施例2)
実施例2はホストPCの管理システムである。実施例2は以下のシステムで構成される(図2
システム全体を統括し、対象動物の各バイタルサインを対象動物毎に管理するホストPCと、
そのデータをストレージするクラウド・サーバ2と、
対象動物のバイタルサインを取得する総合設置型センサ(室内全体用)と、
対象動物のバイタルサインを取得する個別設置型センサ(対象動物ゲージ用)と、
対象動物に装着してバイタルサインを取得するウエアラブルセンサ22(図1図5のハーネス又は首輪221に取り付けたもの,図12の胴衣221に取り付けたもの)、によって構成される。
【0052】
本システムを含む動物病院HS内の動物の管理システムとして、以下の形態例がある。
(1)獣医師のホストPC3で動物病院内の動物のバイタルサインを長時間監視できるシステムの形態例がある。
(2)獣医師の携帯端末5等で動物病院内の動物のバイタルサインを閲覧し確認できるシステムの形態例がある。或いは、飼い主が携帯端末等で自宅の動物のバイタルサインを閲覧し確認できるシステムの形態例がある。
【0053】
上記の他、本システムを利用した、動物病院内の機器の貸出し管理ステム・予約管理システムの形態例がある。具体的には以下が挙げられる。
(1)在宅動物に使用するバイタルサイン送信機・遠隔地用の動物のバイタルサイン確認ソフト・専用スマートフォンを動物病院の獣医師が飼い主に貸し出す時に使用し、貸出履歴等を確認できる貸出しシステム
(2)在宅動物に使用するバイタルサイン送信機・遠隔地用の動物のバイタルサイン確認ソフト・専用スマートフォンを動物病院の獣医師が弊社から借りる時に使用する予約システム。
(3)機器のメンテナンスや修理の履歴を動物病院の獣医師が確認できるシステム。つまり、獣医師が登録・編集した飼い主や動物の医療情報と、取得したデータを紐づけて、病状や病態の解析・統計・予測できるシステム
【0054】
本考案の装置例として
・総合設置型センサとしてのモニタリングカメラ21、ROIモニタリングカメラ23R
・マイクロウエーブドプラー変位測定器231(個別設置型センサ23)又はウエアラブル型センサ22
・IRカメラ温度測定器232(23)
・レーザー距離計233(23)
を有する(図3)。
【0055】
総合設置型センサとしてのモニタリングカメラ21は、部屋(病室)全体の配置の確認と状況のモニタを行う。モニタリングカメラ21がROI機能を備えたROIモニタリングカメラ23Rの場合は、ROI機能を用いてモニタ対象の位置を規定する(図4)。この場合は、ROI以外の情報を排斥することを目的とする。
【0056】
ウエアラブル型センサ22は、マイクロウエーブドプラー変位測定器、温度測定センサ、加速度センサ、マイクのうち一つ以上を備えてなり、ハーネス型又は首輪型の取付け具221によって対象動物に着衣させて配置する。
【0057】
例えば、取付け具221を伸縮繊維の胴衣で構成し、胴衣の着衣時の腹部位置にウエアラブル型センサ22を固定させることができる。このように、ウエアラブル型センサ22を密着状態で対象生物個体(対象動物)着衣させた場合には、ウエアラブル型センサ22上の重複検知エラー(コンタミネーション)の発生は極めて少ない。
【0058】
一方、個別設置型センサ23は、マイクロウエーブドプラー変位測定器231、IRカメラ温度測定器232、レーザー距離計233のいずれか、又はこれらを組み合わせた複合機からなり、各機器を、測定する対象動物P1,P2,P3・・・の各近傍にそれぞれ個別設置するか、または対象動物のケージC内に取り付けて配置する。
【0059】
個別設置型センサ23のうち、マイクロウエーブドプラー変位測定器231は、対象動物全体から得られる拍動を検知するため、”最大強度のドプラー信号を選択する”ことにより、コンタミネーションの発生を排斥する。
【0060】
個別設置型センサ23のうち、マイクロウエーブドプラー変位測定器231、IRカメラ温度測定器232、を使用する場合は、これらに加えてレーザー距離計232を併用することが好ましい。距離方向のコンタミネーション、つまりモニタ対象の対象動物P1,P2,P3・・・と各センサの検出部の間に何らかの阻害物が混入した場合は、レーザー距離計による異常検出と同期解析することで、コンタミネーションの発生を排斥する。
【0061】
以下に、コンタミネーションの発生と情報排斥の動作詳細を記す。
(センサがコンタミネーションか動物の病態かを判断するための基準)
まず、センサがコンタミネーションか動物の病態かを判断するための基準について説明する。
【0062】
センサがコンタミネーションか動物の病態かを判断するための基準については、モニタリングカメラのROIで自動設定した位置情報(データエリアRA)と設置型センサ内の体温測定に使用するIRカメラユニット内のレーザー距離計による測定動物までの距離から判断する。
【0063】
設置型センサ使用時は、測定動物はゲージC内にいることを想定しており、動物が動く距離や範囲はゲージCの大きさの範囲に限定される。従って設置型センサ内のレーザー距離計の測定値は大きく変動することはない。
【0064】
(コンタミネーション発生の判断)
次に、コンタミネーション発生の判断について説明する。設置型センサから測定動物までの距離が短時間で大きく変動したり、測定動物までの距離が短くなったり、長くなったりという変化が生じた場合には、測定対象動物以外の動物や人間が測定されていると判断出来、コンタミネーションが発生したと判断される。
【0065】
また、上記に加え、
モニタリング画面、および獣医師等の閲覧端末4へのデータ転送画面に、データの信頼性レベルをAI判断により0~100%で表示し、獣医師へのアシストをすることを特徴とする。
【0066】
(主な特徴)
本システムは以下の特徴が挙げられる。
特徴その1:非接触型マイクロウェーブドプラ(MWD)を用いた、固定電源供給式の設置型センサと、電池式のウエアラブルセンサとの組合せ技術からなる、という特徴がある。
【0067】
設置型センサは、固定電源電圧の確保により、データ量、送信回数、複数匹検知に有利だが、設置条件が限られるため自宅や屋外で使用できず、また、検知範囲に制限があり体動測定に限界がある、という課題があった。一方で、ウエアラブルセンサは、装着近接検知により、特定対象のトレース記録、非常時検知に有利だが、非接触型MWDのため、激しい動きにより測定不可となってしまう欠点がある。
【0068】
これに対して、安価でデータ同期、同時測定が簡単にできる非接触型マイクロウェーブドプラ(MWD)を用いることで、設置固定型とウエアラブル型の両センサを組み合わることができる。つまり、固定電源供給式の設置型センサと、電池式のウエアラブルセンサとの各センサによる検知データを同期させて保管させることで、設置条件や検知範囲の限界、体動測定の限界をウェアら辺うるセンサでデータ補完することができる。またこれにより、多数匹の長時間一括測定、エラー発生率低下による非常時検知性向上が可能となる。
【0069】
特徴その2:下記課題を解決するセンサを用いたホストコンピュータ管理型のリモートデータ管理システム、という特徴がある。
【0070】
上記特徴は、ホストコンピュータ制御による複数のセンサ対象管理方法であって、各センサの独立動作ではなく、ホストコンピュータで各センサの動作を集中制御するものを提供することを可能とする。
【0071】
また上記特徴は、センサ対象誤認防止方法又は他の対象動物との取違え(人間との取違え)防止方法であって、ケージ空間の領域設定と個体データ推定により、センシング対象の誤認識を防ぐものを提供することを可能とする。
【0072】
上記特徴其の1又は2を備えたシステムは、クラウド・サーバ上でのデータ保存とデータ管理により、飼い主、病院へのデータの自動送信を行う管理システムとして活用できる。
【0073】
(センサの種類)
上記管理システムにおけるセンサの種類として、実施例ではウエアラブルセンサを備えたものを開示する。ただし設置型センサのみでもよく、設置型センサとウエアラブル型センサの併用でもよい。併用の場合は前記(A)データ補完が補助ポイントとなる。なお、病院使用でも自宅使用でもよい。
【0074】
(他の形態例)上記のほか、以下の実施形態例が挙げられる。
第三実施形態C:動物病院内の機器の貸出し管理ステム・予約管理システム
(1)在宅動物に使用するバイタルサイン送信機・遠隔地用の動物のバイタルサイン確認ソフト・専用スマートフォンを動物病院の獣医師が飼い主に貸し出す時に使用し、貸出履歴等を確認できる貸出しシステム
(2)在宅動物に使用するバイタルサイン送信機・遠隔地用の動物のバイタルサイン確認ソフト・専用スマートフォンを動物病院の獣医師が弊社から借りる時に使用する予約システム。
(3)機器のメンテナンスや修理の履歴を動物病院の獣医師が確認できるシステム
【0075】
上記以外の第四の実施形態:獣医師が登録・編集した飼い主や動物の医療情報と、取得したデータを紐づけて、病状や病態の解析・統計・予測できるシステム。
【0076】
その他の実施形態:病院/自宅に設置した(装着させた)非接触型MWDセンサによる検知データを受信し表示する動物情報用アプリケーションソフトであって、以下の機能を備えるもの。
D1・携帯端末の使用者(医者、看護師、飼い主)に応じて表示内容を可変させる機能、
D2・MWDセンサを用いた通信遠隔診療と緊急措置の補助機能
D3・院内(集合宿泊エリア)での集団感染の検知機能、家庭用使用による見守りアラート機能、
D4・アラート時の通信アプリケーションソフトの連動立上げ、自動回線接続による通知機能
【0077】
第六の実施形態:地域の動物情報管理、動物保険の審査情報や予防注射管理に活用するセンサシステム。
【0078】
なお、装着検知の課題として、舌、穿刺または肉球検知は精度が高いものの、体毛による測定エラーがあるため常時測定できないという課題がある。これに対し,食塩水で体毛を濡らせば一時的に測定可能となることから、ウエアラブルセンサを備えたハーネスは、その一部に食塩水で体毛を濡らす食塩水噴霧機能を備えていてもよい。
【0079】
(本発明の装置例)
本発明の装置例として以下を備えたものが提示される。
・総合設置型センサとしてのモニタリングカメラ21、ROIモニタリングカメラ23R
・マイクロウエーブドプラー変位測定器231 (個別設置型センサ23)又はウエアラブル型センサ22
・IRカメラ温度測定器232(23)
・レーザー距離計233(23)
【0080】
上記総合設置型センサとしてのモニタリングカメラ21は、部屋(病室)全体の配置の確認と状況のモニタを行う。モニタリングカメラ21がROI機能を備えたROIモニタリングカメラ23Rの場合は、ROI機能を用いてモニタ対象の位置を規定する(図4)。この場合は、ROI以外の情報を排斥することを目的とする。
【0081】
ウエアラブル型センサ22は、マイクロウエーブドプラー変位測定器、温度測定センサ、加速度センサ、マイクのうち一つ以上を備えてなり、ハーネス型又は首輪型の取付け具によって対象動物に着衣させて配置する。
【0082】
ウエアラブル型センサ22を着衣させた場合には、ウエアラブル型センサ22上の重複検知エラー(コンタミネーション)の発生は極めて少ない。
【0083】
一方、個別設置型センサ23は、マイクロウエーブドプラー変位測定器231、IRカメラ温度測定器232、レーザー距離計233のいずれか、又はこれらを組み合わせた複合機からなり、各機器を、測定する対象動物P1,P2,P3・・・の各近傍にそれぞれ個別設置するか、または対象動物のケージC内に取り付けて配置する。
個別設置型センサ23のうち、マイクロウエーブドプラー変位測定器231は、対象動物全体から得られる拍動を検知するため、”最大強度のドップラー信号を選択する”ことにより、コンタミネーションの発生を排斥する。
【0084】
個別設置型センサ23のうち、マイクロウエーブドプラー変位測定器231、IRカメラ温度測定器232、を使用する場合は、これらに加えてレーザー距離計232を併用することが好ましい。距離方向のコンタミネーション、つまりモニタ対象の対象動物P1,P2,P3・・・と各センサの検出部の間に何らかの阻害物が混入した場合は、レーザー距離計による異常検出と同期解析することで、コンタミネーションの発生を排斥する。
【0085】
(入院・来院情報)
また本発明は、対象生物個体の所定の症状に対する入院情報ないし病院或いは施設への来院情報を設定するシステムとすることができる。つまり、入院時ないし来院時のデータと自宅時のデータとを区別して出力する生体情報管理システムとして活用できる。また、対象生物個体の所定の症状に対する施術情報を保存し、対象生物個体の術前又は術後経過期間における安静時データを前記症状の属性値データとしてグループ記録するステップをさらに具備する(術前術後データのグループ記録)。例えば、属性グループ「既往歴」「術歴」「術前後」「避妊前後」を組み合わせることで、術後経過の状態判断ができる。
【0086】
(「属性値」「日常値」の定義)
ここで本発明における「属性値」「属性値データ」とは、特定の対象生物個体の属性を複数の属性パラメータによって複合分類したときに、その対象生物個体の複合分類に属する、同じ属性の複数の生物個体(当該特定の生物個体、及び、他の複数の生物個体を含む)の日常値データの累積に基づいて算出される、統計処理後の値またはそのデータを言う。例えば、特定の対象生物個体(対象動物)Aが、それ自身の属性パラメータによって『Aが複合分類G1に属する』と分類されたとき、当該複合分類G1に分類される他の複数の生物個体B,C、・・・の日常値データBd、Cd、・・・並びに、当該対象生物個体(対象動物)Aの日常値データAdの各データからなる累積データ(Ad、Bd、Cd、・・・)に基づいて算出される値が該当する。例えば、日常値の平均値は、すべての日ごとに平均した値、或いは時間帯や時刻ごとに平均した値が該当する。
【0087】
また、本発明における「日常値」「日常値データ」は、特定の対象生物個体(対象動物)のバイタルサインデータから安静時データのみを日時情報とともに抽出した複数日のデータに基づき、各時刻又は各時間帯における統計処理の値、またはそのデータを言う。つまり、特定の対象生物個体Aについて、複数回の測定によって累積された安静時データAdを日ごと、或いは時間帯や時刻ごとに統計処理(例えば平均化処理)した値が日常値であり、その安静時データが日常値データである。例えば、すべての測定情報を測定回数すべてで統計処理(例えば平均化処理)した総合平均値が、特定の対象生物個体(対象動物)の日常値とされる。また、時刻や時間帯で値が変わる場合は、時間帯ごとに区切った日ごとの平均値も、当該対象生物個体Aのその時間帯の日常値に該当する。
【0088】
(アラート出力)
送信データが予め設定した上限値、下限値、平均値を超えるか否かを判別し、値を超えたことを検出した場合はアラート出力を行う。
【0089】
例えば術後経過観察のアラート出力システムの形態例においては、
対象生物個体の特定の施術日を経過観察開始日として、活動時データに区分される術前データ、標準偏差データ、下限値及び上限値データを、現在のバイタルデータと比較して所定の経過期間ごとに常時観察し、属性値の範囲内かどうかをチェックすると共に属性値の範囲を超える場合はアラート出力を行う。
【0090】
なお、術前検査情報による判断、麻酔中判断も可能である。例えば、属性値の範囲内か否か、変動の有無を表示する術前検査・麻酔の判断システムが考えられる。また麻酔中の判断においては、・・・・が判断項目となる。
【0091】
また上記とは別の形態例として、入院管理、オペ中のアラートシステムが挙げられる。本形態例は、個体ごとにマイクロチップを装備した複数の生物個体を対象とし、マイクロチップ番号を使用した個体識別を行って、属性グループに該当する全ての生物個体の現在のバイタルサイン情報とアラートの有無を、正粒個体の番号ごとに区分して一括表示する。
【0092】
本システムでは、設置型総送信機・ウエアラブル送信機を使用した多頭の個体機死別を行う時に、ROIによる識別以外に、マイクロチップ番号を使用した個体識別を行う。
【0093】
(アラート後の飼い主-主治医の通信回線記録)
異常値を検出したときは、飼い主端末、主治医又は病院端末へアラート出力を行うと共に、文字情報チャットまたは通話通信回線を確保して回線使用可能表示を行い、回線使用後の通信記録を行うシステムとすることができる。
【0094】
(健康情報の診断システム(健康診断への活用システム)
健康診断における生物個体の測定データを追加して、時系列データとして記録するシステム。
【0095】
本システムの適用例として以下ABCDが挙げられる。
【0096】
適用例A:麻酔前評価(問診以外に客観バイタルサインを参照する)システム。麻酔処置、術後の経過観察時において、或いは術後処置、日常復帰判断に用いる。
【0097】
適用例B:オペ中の管理システム:日常の属性値を参照して変動範囲の段階、を個体に合わせて設定、危険判断時はアラート内容を詳細に出すシステム。動物種別属性ごとにアラート危険情報(死に至るまでの時間的余裕)がかわるため、アラート精度を上げられることは獣治療においては重要である。例えば、麻酔深度、覚醒度が挙げられる。
【0098】
適用例C(健康情報の診断システム(健康診断への活用システム)
健康診断における生物個体の測定データを追加して、測定年別データとして記録して表示するシステム。
【0099】
適用例D(入院管理中のアラートシステム)
対象生物個体ごとにマイクロチップを装備した複数の生物個体を対象とし、マイクロチップ番号を使用した個体識別を行って、属性グループに該当する全ての生物個体の現在のバイタルサイン情報とアラートの有無を、生物個体の番号ごとに区分して一括表示するシステム。
【0100】
(ウエアラブル送信機)
特定個体のバイタルデータを取得する前記センサは、対象生物個体の胴(胸、腹背、を含む)回り(又は(四肢・首を除く体表周り)に密着させて常時装着するジャケット装着衣またはハーネスバンドにセンサを取り付けた、ウエアラブル送信機からなる(図12)。前記センサの動作として3軸加速度センサを用いて定時間隔に測定する。データを数分間隔で纏めて送信する。
【0101】
(13)直腸温度の推定:腸内挿入検査装置(パルスオキシメーター)を併用する。
前記常時装着するウエアラブル送信機とは別に、当該生物個体に一時的に腸内挿入する腸内挿入検査装置(パルスオキシメーター6)を備えたシステムであって、
腸内挿入検査装置(パルスオキシメーター6)によって少なくとも脈拍数、直腸温度を測定し、推定直腸温度の算出処理又は脈拍数の誤差を表示し得る。
例えば直腸温度の最高温度該当時刻、最低温度該当時刻と、表皮温度の最高温度該当時刻、最低温度該当時刻とが一致すると仮定して、直腸温度を推定する。
【0102】
ウエアラブルセンサは体表温度を測定するものであるが、この体表温度から推定直腸温を推定算出するものとしてもよい。
<推定直腸温の推定算出>
推定直腸温の算出は、例えば以下の4ステップによって行う。
ステップ1.起床時、昼食前、夕食前、就寝前の4回、ウエアラブル送信機または設置型送信機を使用している動物の直腸温を、直腸挿入型のパルスオキシメータ(例えば図13の符号6)によってスポット測定する。
ステップ2.スポット測定した直腸温度と、同時刻の表皮温度とその時の外気温を記録する。
ステップ3.表皮温度と外気温の差及び、4回の測定値を平均した直腸温度と表皮温度との差を計算し、推定直腸温を算出する。
ステップ4.直腸温をスポット測定する度に、その時の直腸温度と、同時刻の表皮温度を加えて平均値を計算し直すことで推定直腸温を更新していく。
【0103】
外気温、属性グループ値を参考に行う。ウエアラブル送信機は実施例では密着性の高いジャケット装着衣によって外気温の影響を抑えている。あるいは、密着性の高いハーネス型又はハーネス構造を併用してでもよい。ウエアラブル送信機として、摩擦による脱毛、ストレス低減を防止する効果もある。ジャケット型のセンサによって腹部温度と心拍(拍動)を測定することで、常時精度の高い測定が可能となる。加速度センサーと張力センサーとを用いて呼吸数を測定する。
【0104】
体温測定と同様に、直腸で酸素飽和度の測定を行うことが出来れば、手間の削減と測定値の安定性、再現性を両立できる。例えば、直腸に挿入して使用するパルスオキシメータ6であってパルスオキシセンサ61Sを内蔵した透明樹脂部610を組み込んだものを使用することで(図13)、直腸で酸素飽和度を測定するステップを具備した測定方法とすることができる。
【0105】
図13に示すような体温計型パルスオキシメータ6は、直腸測定用のフレキシブルシャフトの体温計組み込み部に、パルスオキシメータの機能を付加させたものである。このパルスオキシメータは例えば図13のように、各板状の制御ボックス62の側部に、円錐状の弾性連結部61Tを介して、弾性曲げ変形可能なフレキシブルシャフト61が連結された形態があげられる。制御ボックス62は電源、回路および表示部を有し、表面には表示部6Dとスイッチボタン63が設けられる。フレキシブルシャフト621は直腸に挿入可能な径の円柱部と、先部が先側にすぼまった長半球状部と、先部近傍に組み込まれた筒状の透過樹脂部610と、透過樹脂部610内に組み込まれたセンサ61Sとからなる。センサ61Sは、温度センサと、反射型SPO2センサとが周方向に離間して組み込まれる。
【0106】
(測定原理)
パルスオキシセンサには、発光センサと受信センサで対象血管を挟んで酸素飽和度を測定する透過型(図14の左)と、対象血管を挟まない反射型(図14の右)の2通りがある。図13に示す形態では反射型のパルスオキシセンサ61S(図13(a))が組み込まれる。「SPO2の変化量」をデータ累積させる。シャフト部に圧力センサを備える。本形態のほか、シャフト形状を先太り型に変更することもできる。
【0107】
本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば一部構成の省略、抽出、部分構造の部品化、交換可能な構成の組合せ、公知構成への置換が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本システムは病院のほか、動物の管理施設、動物園、ペットショップに適用することもできる。アプリケーションシステムのみで実行することもできる。バイタルサイン(生体情報)を飼い主と獣医師とで共有するためにデータ管理するデータ管理システムからなり、データ管理システム治療又は情報管理に用いることもできる。また、畜産動物を集団管理する場合は特に検知速度を高めることで、隔離対応を早めることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 総合設置型センサ
21 モニタリングカメラ
22 ウエアラブルセンサ
221 取付け具
23 個別設置型センサ
23R ROIモニタリングカメラ
2 クラウド・サーバ
3 管理用端末
3A データ管理ソフト
4 閲覧端末
4A データ確認ソフト
5 閲覧管理端末
5A データ管理ソフト

C ケージ
P1、P2,P3,・・・ 対象生物個体(対象動物)
RA,RA11,RA12・・・ データエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14