(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008008
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】シフトレバー装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
B60K20/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111215
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000192914
【氏名又は名称】株式会社神菱
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴久
(72)【発明者】
【氏名】成元 雅俊
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA34
3D040AB01
3D040AB04
3D040AB08
3D040AC17
3D040AF07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組み立て作業負担を軽減することが可能なシフトレバー装置を提供する。
【解決手段】シフトレバー装置は、基体部とロッド3と切換部4とロッド支持部5とノブとを備え、ロッドと連結されたグルーブドピン7と、グルーブドピンを付勢するスプリング10とを有し、グルーブドピンは、仮固定係止部72を有し、切換部は仮固定係止受部47を有し、ノブが取付られていない状態では、仮固定係止部と仮固定係止受部とは係合し、ノブが取付られた状態では、仮固定係止部と仮固定係止受部とが離隔するよう構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインボディー(1)と、ロッド(3)と、切換部(4)と、ロッド支持部(5)と、ノブ(8)とを備え、
前記ロッド支持部(5)は、前記ロッド(3)に連結されたグルーブドピン(7)と、前記グルーブドピン(7)を付勢するスプリング(10)とを有し、
前記グルーブドピン(7)は、仮固定係止部(72)を有し、
前記切換部(4)は仮固定係止受部(47)を有し、
前記ロッド支持部(5)に前記ノブ(8)が固定されていない状態で前記仮固定係止部(72)と前記仮固定係止受部(47)とが係合し、
前記ロッド支持部(5)に前記ノブ(8)が固定された状態で前記仮固定係止部(72)と前記仮固定係止受部(47)とが離隔するよう構成された
ことを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項2】
前記ロッド支持部(5)は連動用接続部材(55)を有し、
前記切換部(4)は連動用被接続部材(45)を有し、
前記連動用接続部材(55)と前記連動用被接続部材(45)とは自動変速モードにおいて係合することを特徴とする請求項1記載のシフトレバー装置。
【請求項3】
軸支部(6)を備え、
前記ロッド支持部(5)は前記軸支部(6)により第1の方向に回動可能に支持され、
前記ロッド支持部(5)の前記第1の方向の回動により手動変速モードと自動変速モードの選択が可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシフトレバー装置。
【請求項4】
前記軸支部(6)及び前記ロッド支持部(5)は前記切換部(4)に前記第1の方向と交差する第2の方向に回動自在に支持され、
手動変速モードにおいて、前記ロッド支持部(5)は前記第2の方向に回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシフトレバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、変速機の操作装置であるシフトレバー装置が搭載されている。シフトレバー装置には、運転レンジに合わせてP(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)及びD(ドライブ)等のポジションが設けられており、操作者はシフトレバーにより特定のポジションを選択し、運転レンジを指定することができる。シフトレバーは、グルーブドピン(又はポジションピン)により、選択されたポジションに位置決めされる。(特許文献1-2)
また、シフトレバー装置には、AT(オートマチック・トランスミッション)モード(自動変速モード)とMT(マニュアル・トランスミッション)モード(手動変速モード)との切換が可能なものが知られている。(特許文献3-6)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-55672号公報
【特許文献2】特開2000-289482号公報
【特許文献3】特開平9-226401号公報
【特許文献4】特開2007-230424号公報
【特許文献5】特開2012-180074号公報
【特許文献6】特開2010-280348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ATモードとMTモードが切換可能なシフトレバー装置は、特に構造が複雑であり、モードを切り換えるための特別な機構として切換部材が必要になる。この切換部材は、ATモードでは操作レバーと連結され、運転レンジを車体本体に伝達し、MTモードでは操作レバーとの連結が解除される。
このようなシフトレバー装置の製造工程においては、操作レバーと切換部材とが分離しないように支えながら、シフトレバー装置の本体に組み付けする必要があり、組み立て作業負担が増加するという問題がある。
本発明は、組み立て作業負担を軽減することが可能なシフトレバー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるシフトレバー装置は、
メインボディー(1)と、ロッド(3)と、切換部(4)と、ロッド支持部(5)と、ノブ(8)とを備え、
前記ロッド支持部(5)は、前記ロッド(3)に連結されたグルーブドピン(7)と、前記グルーブドピン(7)を付勢するスプリング(10)とを有し、
前記グルーブドピン(7)は、仮固定係止部(72)を有し、
前記切換部(4)は仮固定係止受部(47)を有し、
前記ロッド支持部(5)に前記ノブ(8)が固定されていない状態で前記仮固定係止部(72)と前記仮固定係止受部(47)とが係合し、
前記ロッド支持部(5)に前記ノブ(8)が固定された状態で前記仮固定係止部(72)と前記仮固定係止受部(47)とが離隔するよう構成された
ことを特徴とする。
【0006】
このような構成のシフトレバー装置とすることにより、ロッド支持部と切換部とを仮固定した状態でシフトレバー装置の組み立て作業ができるため、作業負担を軽減し、生産性の向上に寄与することが可能となる。
【0007】
また、本発明にかかるシフトレバー装置は、
前記ロッド支持部(5)は連動用接続部材(55)を有し、
前記切換部(4)は連動用被接続部材(45)を有し、
前記連動用接続部材(55)と前記連動用被接続部材(45)とは自動変速モードにおいて係合することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるシフトレバー装置は、
軸支部(6)を備え、
前記ロッド支持部(5)は前記軸支部(6)により第1の方向に回動可能に支持され、
前記ロッド支持部(5)の前記第1の方向の回動により手動変速モードと自動変速モードの選択が可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるシフトレバー装置は、
前記軸支部(6)及び前記ロッド支持部(5)は前記切換部(4)に前記第1の方向と交差する第2の方向に回動自在に支持され、
手動変速モードにおいて、前記ロッド支持部(5)は前記第2の方向に回動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成のシフトレバー装置とすることにより、自動変速モード及び手動変速モードを任意に選択して、運転レンジを指定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるシフトレバー装置によれば、作業者の組み付け作業負担が軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(A)はシフトレバー装置100の斜視図であり、
図1(B)はシフトレバー装置100の分解斜視図である。
【
図2】
図2は操作部2の分解斜視図であり、操作部2の主要構成部である切換部4とロッド支持部5と軸支部6の斜視図である。
【
図3】
図3は操作部2の斜視図であり、
図3(A)は自動変速モードにおける操作部2の斜視図、
図3(B)は手動変速モードにおける操作部2の斜視図である。
【
図5】
図5は仮固定係止部72と仮固定係止受部47の作用について説明する操作部2の断面図であり、
図5(A)はノブ8を固定する前の状態におけるロッド支持部5の断面図、
図5(B)はノブ8を固定した状態におけるロッド支持部5の断面図、
図5(C)はノブ8を固定した状態でロッド支持部5を第1の回動軸51の回りに図中Y方向に回動させた状態の断面図である。
【
図6】
図6はメインボディー1の拡大側面図であり、グルーブドピン7の移動を規制するガイド窓17を示す
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0014】
図1(A)はシフトレバー装置100の斜視図であり、
図1(B)はシフトレバー装置100の分解斜視図である。
シフトレバー装置100は、メインボディー1(基体部)と操作部2と運転者の運転レンジの操作を伝達するためのロッド3とを備える。
操作部2は、自動変速モードの運転レンジを切換るための切換部4と、ロッド3を支持するロッド支持部5と、ロッド支持部5を回動自在に支持する軸支部6とを備える。
【0015】
図1(B)に示すように、ロッド支持部5及び切換部4は互いに組み合わされて、メインボディー1の底部側から挿入され、メインボディー1と組み合わされる。メインボディー1には、後述するように、ロッド支持部5及び切換部4を前後方向に回動可能に支持するための軸保持部19が設けられている。なお、軸保持部19はメインボディー1に孔部として構成してもよい。
ロッド支持部5は切換部4及び軸支部6により、図中X方向及びY方向に回動自在に支持されている。
なお、
図1において、Y方向は例えば車両の左右方向(第1の方向)に対応することができ、X方向はY方向と交差する方向(第2の方向)、例えば垂直な方向であり、車両の前後方向に対応することができる。他の図においても同様である。
【0016】
メインボディー1には、ガイドプレート11が設けられ、ガイドプレート11にはゲート部12(ゲート窓)が取付られる。
ゲート部12にはロッド支持部5が挿通され、ロッド支持部5の自動変速モード及び手動変速モードでの移動をガイドする。
ガイドプレート11には、操作者の便宜のため、ロッド支持部5の操作位置を表示するシフトパネル13を設けてもよい。例えば、シフトパネル13には、運転レンジに合わせて、自動変速モードでのP(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)及びD(ドライブ)、並びに自動変速モードでのM(マニュアル)、+(プラス)、-(マイナス)を表示し、ロッド支持部5の位置と運転レンジとの対応を視覚化することも可能である。
【0017】
図2は操作部2の分解斜視図であり、操作部2の主要構成部である切換部4とロッド支持部5と軸支部6の斜視図を示す。
ロッド支持部5は第1の回動軸51を有し、軸支部6は第1の回動軸受61を有している。
第1の回動軸51は第1の回動軸受61により、図中Y方向(左右方向)に、回動自在に支持される。
軸支部6は、第1の回動軸51と交差(直交)する第2の回動軸62を有し、切換部4は第2の回動軸受42を有している。
第2の回動軸62は第2の回動軸受42により、図中X方向(前後方向)に、回動自在に支持される。軸支部6及び軸支部6に組み付けられたロッド支持部5は切換部4により、図中X方向に回動自在に支持される。その結果、手動変速モードにおいて、切換部4の位置が固定された状態でも、ロッド支持部5は図中X方向に回動可能となる。
【0018】
軸支部6は、第2の回動軸62と第2の回動軸受42とを介して、切換部4に組み込まれる。ロッド支持部5は、第1の回動軸51と第1の回動軸受61とを介して軸支部6に組み込まれる。
その結果、ロッド支持部5は切換部4に対して、図中X方向及びY方向に回動自在に支持されている。
【0019】
切換部4は第3の回動軸受43を有している。第3の回動軸受43には、メインボディー1に軸支される第3の回動軸9(
図3参照)が挿通され、切換部4は第3の回動軸9により、図中X方向(前後方向)に回動自在に支持される。
自動変速モードにおいて、切換部4とロッド支持部5とが一体で図中X方向(前後方向)に回動可能となる。
なお、上記のように第3の回動軸9を別部品として構成してもよいが、切換部4の第3の回動軸受43の代わりに、切換部4に第3の回動軸9を一体化して設け、第3の回動軸9をメインボディー1に軸支するよう構成してもよい。
【0020】
ロッド支持部5には、ロッド3を挿入し、収容するためのロッド収容部53(円筒部)が設けられ、さらにロッド収容部53の下部(軸支部6側)には、ロッド3の挿入方向(図中上下方向)に伸びる溝状のガイド孔50(長孔)が設けられている。
後述するように、ロッド収容部53の先端にはノブ8(把持部)が設置され、ノブ8はロッド支持部5のロッド収容部53に固定される。
【0021】
ロッド支持部5はグルーブドピン7を有し、グルーブドピン7はロッド3に連結されている。
グルーブドピン7は、ガイド孔50の長手方向と交差する方向に伸びる被ガイド部75を有している。被ガイド部75は、ロッド支持部5のガイド孔50に挿通され、さらに被ガイド部75の先端はガイド孔50から突出している。
被ガイド部75を有するグルーブドピン7は、ガイド孔50にガイドされて、ロッド支持部5の長手方向(図中上下方向)に移動可能である。
グルーブドピン7と連結されているロッド3は、ロッド収容部53の内壁にガイドされながら、グルーブドピン7と共に間接的にガイド孔50にガイドされて上下方向に移動可能となる。
【0022】
ロッド支持部5は連動用接続部材55(以下、接続部材55と称す。)を有し、切換部4は接続部材55と係合する連動用被接続部材45(以下、被接続部材45と称す。)を有している。
【0023】
図3は操作部2の斜視図であり、
図3(A)は自動変速モードにおける操作部2の斜視図、
図3(B)は手動変速モードにおける操作部2の斜視図である。
自動変速モードにおいては、接続部材55と被接続部材45とが係合し、切換部4とロッド支持部5とは連結されて、一体で図中X方向に移動可能となる。
手動変速モードにおいては、接続部材55と被接続部材45とが離隔し、両者の係合が解除され、互いに分離し、ロッド支持部5は切換部4と独立して図中X方向に移動可能となる。
【0024】
図3(A)に示すように、自動変速モードにおいて、操作者は、ロッド3及びロッド支持部5を第3の回動軸9の回りに回動させると、接続部材55と被接続部材45とを介して切換部4も第3の回動軸9の回りに回動する。切換部4の位置は、切換部4に連結されたケーブル等を介して車体に伝達され、自動変速モードにおいて、運転レンジの切換が可能となる。
【0025】
操作者はロッド3及びロッド支持部5をY方向に回動させることで、自動変速モード又は手動変速モードの選択が可能である。
ロッド3及びロッド支持部5を軸支部6の第1の回動軸受61に支持されている第1の回動軸51の回りに、図中Y方向に回動させると、接続部材55と被接続部材45との係合が解除され、不連結となる。その結果、ロッド支持部5は切換部4に対して独立して移動可能となり、自動変速モードから手動変速モードに変更される。
手動変速モードにおいて、ロッド3及びロッド支持部5は、第2の回動軸62の回りに、図中X方向に回動可能となり、運転レンジの変更が可能となる。
【0026】
なお、
図2、
図3に示す例においては、接続部材55は凸部として構成され、被接続部材45は凹部(開口部)として構成されているが、これに限定するものではない。例えば、接続部材55が凹部として構成され、被接続部材45が凸部として構成されてもよい。接続部材55および被接続部材45の形状はこれらに限定さえない。
【0027】
図4は操作部2の拡大断面図である。
ロッド支持部5はスプリング10(弾性体)及びスプリング10を収容するスプリング収容部54を有しており、ガイド孔50はスプリング収容部54の側壁面に設けられている。なお、スプリング収容部54はロッド収容部53の一部として構成することができる。
スプリング収容部54の軸支部6側の底部には第1のスプリング保持部56(第1の弾性体保持部)が設けられ、スプリング10の第1の端部11は第1のスプリング保持部56に嵌め込まれ、係止されている。グルーブドピン7には第2のスプリング保持部71(第2の弾性体保持部)が設けられ、スプリング10の第2の端部12は第2のスプリング保持部71に嵌め込まれ、係止されている。
スプリング10の付勢力により、グルーブドピン7はロッド支持部5の長手方向のロッド3側方向(図中上方)へと押圧されている。
【0028】
グルーブドピン7には、ロッド係止部73(第1の係止部)が設けられ、ロッド3の一端部には、ロッド係止部73と係合するロッド係止受部33(第1の係止受部)が設けられている。ロッド係止部73と係止受部33により、グルーブドピン7とロッド3とが連結固定される。後述するようにロッド3の他端部には、ロッド3の他端部を押下するように、ノブ8が設置され、ロッド支持部5に固定される。
ロッド3は、一端部に連結されたグルーブドピン7を介して、スプリング10により他端部側(ノブ8側)に付勢される。
なお、グルーブドピン7とロッド3とは、スプリング10により同一方向に付勢されるように、互いに連結されればよい。上記のように、グルーブドピン7とロッド3とは直接連結されてもよいが、例えばジョイント等の他の連結部材を利用して連結してもよい。
【0029】
図4に示される例においては、ロッド係止部73は突起部として構成され、ロッド係止受部33はロッド係止部73と嵌合する嵌合孔として構成されることができるが、これに限定するものではない。
【0030】
グルーブドピン7には、仮固定係止部72(第2の係止部)が設けられている。
切換部4には、仮固定係止受部47(第2の係止受部)が、仮固定係止受部47と係合可能に位置して(配置され)、設けられている。
仮固定係止部72と仮固定係止受部47とは互いに対向する位置に設けられており、後述するようにノブ8がロッド支持部5の端部に取り付けられておらず、グルーブドピン7がスプリング10によりロッド3側(図中上方)に付勢されている状態においては、仮固定係止部72も同様に上方に付勢され、ロッド3側に位置する仮固定係止受部47とが係合する。
【0031】
また、ノブ8がロッド支持部5の端部に取り付けられ、仮固定係止部72がスプリング10の付勢力に抗して下方に押し下げられた状態においては、仮固定係止部72と仮固定係止受部47とが離隔し、両者の係合は解除される。
仮固定係止受部47が仮固定係止部72と「係合可能に位置して、設けられている」とは、仮固定係止部72が下方に位置することで仮固定係止受部47との係合が解除されるが、仮固定係止部72が上方に位置することで仮固定係止受部47と係合することが可能であることを意味する。
なお、
図4に示す例においては、仮固定係止部72はスプリング10の付勢方向に突起する凸部として構成され、仮固定係止受部47がスプリング10の付勢方向と反対方向に突出する凸部として構成されているが、これに限定するものではない。例えば、仮固定係止部72はスプリング10の付勢方向と反対方向に凹んだ凹部として構成し、仮固定係止受部47がスプリング10の付勢方向と反対方向に突出する凸部として構成されてもよい。
【0032】
グルーブドピン7の仮固定係止部72と仮固定係止受部47とが係合する状態において、ロッド3とグルーブドピン7とロッド支持部5と切換部4と軸支部6とは、一体に連結された状態が保持される。すなわち、サブアセンブリ状態の操作部2(以下、単にサブアセンブリ部品と称することがある。)を構成する。この状態では、ロッド支持部5と切換部4とは互いに連結されており、ロッド支持部5は切換部4に対して左右方向及び前後方向に回動することはない。
【0033】
従って、シフトレバー装置100の製造のため、予めサブアセンブリ部品として保管、管理することができる。
仮固定係止部72と仮固定係止受部47とは、従来から使用されているグルーブドピン7及び切換部4の形状を変更することで形成することができるため、部品点数を増大させることはない。
【0034】
図5は仮固定係止部72と仮固定係止受部47の作用について説明する操作部2の断面図であり、
図5(A)はノブ8を固定する前の状態におけるロッド支持部5の断面図、
図5(B)はノブ8を固定した状態におけるロッド支持部5の断面図、
図5(C)はノブ8を固定した状態でロッド支持部5を第1の回動軸51の回りに図中Y方向に回動させた状態の断面図である。
図5は、簡単のため、メインボディー1に組み込まれたサブアセンブリ部品の断面を示し、メインボディー1を省略している。
【0035】
シフトレバー装置100の組み立て工程においては、ロッド3とグルーブドピン7とロッド支持部5と切換部4と軸支部6とを組み込んだサブアセンブリ部品を準備する。
その後、
図1に示すように、予め準備されたサブアセンブリ部品をメインボディー1の底部から挿入し、メインボディー1に組み込む。サブアセンブリ部品を構成する切換部4の第3の回動軸受43に挿入された第3の回動軸9は、メインボディー1の軸保持部19(第3の回動軸保持部)に支持される。その結果、サブアセンブリ部品はメインボディー1に対して、前後方向に回動可能に支持される。
【0036】
その後、
図5(A)に示すように、メインボディー1に組み込まれたサブアセンブリ部品のロッド支持部5に固定するノブ8を準備する。
ノブ8は、ロッド3を挿入するためのロッド挿入部83を備えている。また、ノブ8は、ロッド当接部80と操作ボタン81とロッド押圧部82とを備えている。
この状態においては、仮固定係止部72と仮固定係止受部47とは係合している。
【0037】
図5(B)に示すように、ノブ8のロッド挿入部83へロッド3を挿入し、ノブ8のロッド当接部80を、ロッド支持部5から突出しているロッド3の上端部30(軸支部6と反対側の末端部)に当接させる。
その後、さらにノブ8をロッド支持部5側に押圧し、ロッド支持部5のロッド収容部53の端部に固定する。ノブ8は、例えばネジやスナップリング等の止め具により固定することができる。
ノブ8がロッド支持部5に取付られると、ノブ8のロッド当接部80がロッド3の上端部30を押下し、ロッド3及びグルーブドピン7はスプリング10の付勢力に抗して軸支部6側に移動する。
その結果、仮固定係止部72が仮固定係止受部47から離隔し、仮固定係止部72と仮固定係止受部47との係合が解除される。
ノブ8をロッド支持部5に取り付けられ、組み立てが完成したシフトレバー装置100は、仮固定係止部72と仮固定係止受部47とは係合が解除された状態を維持する。
【0038】
図5(B)に示すロッド支持部5と切換部4との位置関係は、
図3(A)に示すように自動変速モードでの配置に相当する。この自動変速モードの配置においては、連動用被接続部材45と連動用接続部材55とが係合され、ロッド支持部5と切換部4とは連結され、前後方向に回動可能である。
【0039】
仮固定係止部72と仮固定係止受部47との係合が解除されると、
図5(C)に示すように、ロッド支持部5は切換部4に対して左右方向(図中Y方向)に移動可能となる。ロッド支持部5を図中Y方向に回動することにより、自動変速モードと手動変速モードとを選択的に切換が可能となる。
図5(C)に示すロッド支持部5と切換部4との位置関係は、
図3(B)に示すように手動変速モードでの配置に相当する。この手動変速モードの配置では、連動用被接続部材45と連動用接続部材55との係合が解除される。
その結果、ロッド支持部5は切換部4に対して前後方向(図中Y方向に垂直な方向)に移動可能となる。
【0040】
図6はメインボディー1の拡大側面図であり、グルーブドピン7の移動を規制するガイド窓17を示す。ガイド窓17の壁面にはガイド溝部18が設けられている。ガイド溝部18は、各運転レンジに対応した形状を有し、例えばPレンジに対応した第1のガイド溝部18a、Rレンジに対応した第2のガイド溝部18b、Nレンジに対応した第3のガイド溝部18c、Dレンジに対応した第4のガイド溝部18dが設けられている。
図6は、点線で示すグルーブドピン7が第1のガイド溝部18aに位置する例を示す。
【0041】
グルーブドピン7は、スプリング10により図中上方に付勢されているため、ガイド孔50から突出するグルーブドピン7の一部が、ガイド窓17の各ガイド溝部18に嵌まり込む。第1のガイド溝部18aから第2のガイド溝部18b、第2のガイド溝部18bから第1のガイド溝部18a、及び第3のガイド溝部18cから第2のガイド溝部18bへとグルーブドピン7が移動する場合、グルーブドピン7を軸支部6方向に移動させる必要がある。
【0042】
操作者がノブ8の操作ボタン81を押し込むとロッド押圧部82がロッド3方向に移動する。ロッド押圧部82の傾斜面によりロッド3はスプリング10の付勢力に抗して軸支部6方向に押圧される。その結果グルーブドピン7は軸支部6方向に移動し、グルーブドピン7とガイド溝部18との係合が解除され、ロッド3を例えばPレンジからRレンジへ移動させることができる。
【0043】
グルーブドピン7がDレンジに位置するとき、
図3(A)に示すようにY方向に移動させることができ自動変速モードから
図3(B)に示す手動変速モードに移行することができる。その後
図3(B)に示すようにX方向に移動させることで手動変速モードにおいて運転レンジを変更することができる。
このように、シフトレバー装置100の組み立て工程においてのみロッド支持部5と切換部4とが連結されており、シフトレバー装置100の完成後には、通常のシフトレバーの操作が可能となる。
【0044】
シフトレバー装置100を組み立てる工程において、ロッド支持部5の先端が開放された状態、すなわちノブ8が取付られていない状態では、ロッド3とグルーブドピン7とロッド支持部5と切換部4と軸支部6とは、一体に連結されたサブアセンブリ部品として取り扱うことができるため、作業者の負担が軽減される。
予めサブアセンブリ部品の組み立て作業と、メインボディー1とサブアセンブリ部品の組み立て作業を分担することで、シフトレバー装置100の量産性が向上する。
さらに、シフトレバー装置100の組み立て完了後には、追加作業なくロッド支持部5と切換部4との連結を解除でき、従来と同様の操作性を有するシフトレバー装置100を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかるシフトレバー装置によれば、部品点数を増大させることなく、組み立ての作業負担が軽減することができる。さらにシフトレバー装置の量産性向上に寄与することができ、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0046】
100 シフトレバー装置
1 メインボディー(基体部)
11 ガイドプレート
12 ゲート部(ゲート窓)
13 シフトパネル
17 ガイド窓
18 ガイド溝部
18a 第1のガイド溝部
18b 第2のガイド溝部
18c 第3のガイド溝部
18d 第4のガイド溝部
2 操作部
3 ロッド
30 上端部(末端部)
4 切換部
42 第2の回動軸受
43 第3の回動軸受
45 連動用被接続部材(被接続部材)
47 仮固定係止受部(第2の係止受部)
5 ロッド支持部
50 ガイド孔(長孔)
51 第1の回動軸
53 ロッド収容部(円筒部)
55 連動用接続部材(接続部材)
54 スプリング収容部
56 第1のスプリング保持部(第1の弾性体保持部)
6 軸支部
61 第1の回動軸受
62 第2の回動軸
7 グルーブドピン
71 第2のスプリング保持部(第2の弾性体保持部)
72 仮固定係止部(第2の係止部)
73 ロッド係止部(第1の係止部)
75 被ガイド部
8 ノブ(把持部)
83 ロッド挿入部
80 ロッド当接部
81 操作ボタン
82 ロッド押圧部
9 第3の回動軸
10 スプリング(弾性体)
11 第1の端部
12 第2の端部