(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080080
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】電磁波検出装置及び情報取得システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230601BHJP
G02B 26/10 20060101ALN20230601BHJP
G02B 26/02 20060101ALN20230601BHJP
【FI】
G01S7/481
G02B26/10
G02B26/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040119
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2018180656の分割
【原出願日】2018-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絵梨
(57)【要約】
【課題】電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図る。
【解決手段】電磁波検出装置は、電磁波を放射可能な複数の放射領域を含む放射部と、切替部と、第1検出部とを備える。切替部は、放射部から放射された電磁波のうち、対象で反射されて入射する電磁波を、第1方向に進行させる第1状態に切替可能な複数の切替素子を含む。第1検出部は、第1方向に進行した電磁波を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を放射可能な複数の放射領域を有する放射部と、
前記放射部から放射された電磁波の向きを変更させて対象に向けて放射させる走査部と、
前記走査部から前記対象に向けて放射された電磁波が前記対象で反射した反射波を、第1方向に進行させる第1状態と、前記第1方向に進行させない第2状態とに切替可能な複数の切替素子を含む切替部と、
前記第1方向に進行した前記反射波を検出する第1検出部と、
前記複数の放射領域のうち、一部の放射領域に電磁波を放射させる制御部と、
を備え、
前記放射部から放射される電磁波は、可視光、紫外線及び赤外線の何れかであり、
前記制御部は、
電磁波が前記走査部によって第1放射方向に放射された後に異なる放射方向に複数回放射される場合に、電磁波が前記第1放射方向に放射される前に、前記切替部に、前記第1放射方向に放射された電磁波の前記反射波が入射する第1切替素子及び電磁波が前記第1放射方向に放射された後に前記複数回放射されるそれぞれの電磁波の前記反射波が入射する複数の第2切替素子を前記第1状態に切替させ、前記第1切替素子及び前記第2切替素子以外の切替素子を前記第2状態に切替させ、
前記放射部から電磁波を前記第1放射方向への放射、及び前記複数回放射させる場合、前記複数の放射領域のうち、同一の放射領域から連続して電磁波を放射させない、
電磁波検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁波検出装置及び情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁波の検出結果から、周囲に関する情報を得る装置が開発されている。例えば、赤外線カメラで撮像した画像中の物体の位置を、レーザレーダを用いて測定する装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置において、電磁波で測定対象上を走査する機構を簡素化することは、有益である。
【0005】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による電磁波検出装置は、
電磁波を放射可能な複数の放射領域を含む放射部と、
前記放射部から放射された電磁波のうち、対象で反射されて入射する電磁波を、第1方向に進行させる第1状態に切替可能な複数の切替素子を含む切替部と、
前記第1方向に進行した電磁波を検出する第1検出部と、を備える。
【0007】
また、第2の観点による情報取得システムは、
電磁波を放射可能な複数の放射領域を含む放射部と、
前記放射部から放射された電磁波のうち、対象で反射されて入射する電磁波を、第1方向に進行させる第1状態に切替可能な複数の切替素子を含む切替部と、
前記第1方向に進行した電磁波を検出する第1検出部と、を備える。
【0008】
上述したように本開示の解決手段を装置及びシステムとして説明してきたが、本開示は、これらを含む態様としても実現し得るものであり、また、これらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成された本開示によれば、電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る電磁波検出装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す放射部の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す放射部の構成の他の例を示す図である。
【
図4】
図1に示す走査部の走査機構を説明する図である。
【
図5】
図1に示す切替部の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示す切替部の状態例1を示す図である。
【
図7】
図1に示す切替部の状態例2を示す図である。
【
図8】
図1に示す切替部の状態例3を示す図である。
【
図9】
図1に示す切替部の状態例4を示す図である。
【
図10】
図1に示す切替部の状態例5を示す図である。
【
図11】
図1に示す切替部の状態例6を示す図である。
【
図12】
図1に示す切替部の状態例7を示す図である。
【
図13】
図1に示す切替部の状態例8を示す図である。
【
図14】
図1に示す切替部の状態例9を示す図である。
【
図15】
図1に示す切替部の状態例10を示す図である。
【
図16】
図1に示す切替部の状態例11を示す図である。
【
図17】
図1に示す切替部の状態例12を示す図である。
【
図18】
図1に示す切替部の状態例13を示す図である。
【
図19】一実施形態に係る電磁波検出装置の変形例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電磁波検出装置は、電磁波で測定対象上を走査することにより、例えば電磁波を測定対象上の一点に向けて放射する場合よりも、測定対象に関して、より詳細な情報を取得することができる。従って、電磁波検出装置において、電磁波で測定対象上を走査することは、有益である。
【0012】
従来の電磁波検出装置では、電磁波を偏向可能な部材を用いて、電磁波で測定対象上を走査していた。従来の電磁波検出装置では、このような部材を用いることにより、電磁波で測定対象上を走査する機構が複雑化していた。また、このような部材を用いることにより、従来の電磁波検出装置は、大型化していた。さらに、例えば2軸のMEMSミラーのような、電磁波を偏向可能な部材は高価であるため、従来の電磁波検出装置では、製造コストが増加していた。
【0013】
そこで、本開示の電磁波検出装置は、電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図るように構成されることにより、電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図る。以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、電磁波検出装置1は、放射部10と、電磁波検出部30とを備える。電磁波検出装置1は、走査部20と、記憶部40と、制御部41とをさらに備えてよい。
【0015】
図1において、各機能ブロックを結ぶ破線は、制御信号又は情報の流れを示す。また、各機能ブロックから突出する実線は、電磁波の流れを示す。
【0016】
放射部10は、制御部41の制御に基づいて、電磁波を放射する。放射部10は、制御部41の制御に基づいて、パルス状の電磁波を放射してよい。放射部10から放射された電磁波は、走査部20を介して対象2に向けて放射される。電磁波検出装置1が走査部20を備えない構成では、放射部10から放射された電磁波は、対象2に向けて直接放射されてよい。放射部10は、放射領域11A,11B,11C,11Dを含む。放射部10は、放射領域11A~11Dの構成等に応じて、光学系12をさらに含み得る。
【0017】
以下、放射領域11A~11Dを特に区別しない場合、放射領域11A~11Dは、単に「放射領域11」と記載する。
図1に示す放射部10は、4つの放射領域11を含む。ただし、放射部10が含む放射領域11の数は、4つに限定されない。放射部10が含む放射領域11の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0018】
放射領域11は、電磁波を放射可能である。例えば、放射領域11は、赤外線、可視光線、紫外線及び電波の少なくとも何れかを放射可能であってよい。本実施形態では、放射領域11は、赤外線を放射可能である。
【0019】
放射領域11は、レーザダイオード、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、フォトニック結晶レーザ、ガスレーザ及びファイバーレーザの少なくとも何れかを含んでよい。本実施形態では、放射領域11は、レーザダイオード(LD:Laser Diode)を含む。レーザダイオードの一例として、ファブリペロー型レーザダイオード等が挙げられる。
【0020】
複数の放射領域11は、一次元に並ぶ。本実施形態では、
図2に示すように、放射領域11A~11Dは、光学系12の光軸12aに垂直な直線Aに沿って並ぶ。ただし、複数の放射領域11が並ぶ態様は、直線Aに沿って並ぶことに限定されない。例えば、複数の放射領域11は、曲線に沿って並んでよい。また、複数の放射領域11は、二次元に並んでよい。例えば、複数の放射領域11は、三角格子状、正方格子状、長方格子状又は六方格子状に並んでよい。二次元に並ぶ構成では、複数の放射領域11は、VCSELアレイであってよい。
【0021】
図2に示す光学系12は、放射領域11A~11Dのうちの少なくとも1つが放射した光をコリメートする。光学系12は、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含んでよい。
【0022】
例えば、
図2に示すように、光学系12は、放射領域11Cが放射した光が、放射領域11A側へ偏向するように、コリメートする。ただし、光学系12の態様は、
図2に示す態様に限定されない。例えば、光学系12の構成等に応じては、
図3に示すように、光学系12は、放射領域11Cが放射した光が、放射領域11D側へ偏向するように、コリメートし得る。
【0023】
図1に示す走査部20は、制御部41の制御に基づいて、放射部10から放射された電磁波の向きを変える。走査部20によって向きが変えられた電磁波は、対象2に向けて放射される。
図4に示すように、本実施形態では、走査部20は、制御部41の制御に基づいて、放射領域11から放射された電磁波の向きを、直線Aと直交する方向Bに変える。
【0024】
走査部20は、MEMSミラー、ガルバノミラー及びポリゴンミラーの何れかを含んでよい。走査部20が含む部材は、1つの方向のみに電磁波を偏光可能な部材であってよい。1つの方向のみに電磁波を偏光可能な部材の一例として、1軸のMEMSミラー、1軸のガルバノミラー及び1軸のポリゴンミラー等が挙げられる。
【0025】
図4に示すように、例えば走査部20を固定した状態において、放射領域11A~11Cが電磁波を順次放射することにより、電磁波で対象2上を直線Aに平行な方向に沿って、走査することが可能になる。さらに、
図4に示すように、放射領域11から放射された電磁波の向きを、走査部20が変えることにより、電磁波で対象2上を方向Bに沿って走査することが可能になる。このような構成によって、本実施形態では、直線Aに平行な方向と方向Bとの2つの方向に沿って、電磁波で対象2上を走査することが可能になる。
【0026】
なお、本実施形態において、走査部20は、放射領域11から放射された電磁波の向きを、直線Aと交差する方向に変えればよい。例えば、走査部20は、放射領域11から放射された電磁波の向きを、
図4に示す直線Aと交差する方向Cに沿って変えてもよい。この構成においては、直線Aに平行な方向と方向Cとの2つの方向に沿って、電磁波で対象2上を走査することが可能になる。
【0027】
走査部20は、例えばエンコーダ等の角度センサを有してよい。この構成では、走査部20は、角度センサが検出する角度を、電磁波を反射する方向情報として、制御部41に通知してよい。このような構成において、制御部41は、走査部20から取得する方向情報に基づいて、対象2上の放射位置を算出し得る。また、制御部41は、走査部20に電磁波を反射する向きを変えさせるために入力する駆動信号に基づいて、対象2上の放射位置を算出し得る。
【0028】
図1に示すように、電磁波検出部30は、前段光学系31と、切替部33と、後段光学系34と、第1検出部35とを有する。電磁波検出部30は、分離部32と、第2検出部36とをさらに有してよい。
【0029】
前段光学系31は、対象2の像を結像させる。前段光学系31は、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含んでよい。
【0030】
分離部32は、前段光学系31と、前段光学系31から所定距離をおいて離れた対象2の前段光学系31による結像位置である一次結像位置との間に、設けられている。分離部32は、入射する電磁波を分離して、切替部33に向かう進行方向d1と、第2検出部36に向かう進行方向d2(第2方向)とに進行させる。
【0031】
一実施形態では、分離部32は、入射する電磁波の一部を進行方向d1に透過し、電磁波の別の一部を進行方向d2に透過する。分離部32は、入射する電磁波の一部を進行方向d2に反射し、電磁波の別の一部を進行方向d1に透過してもよい。また、分離部32は、入射する電磁波の一部を進行方向d1に屈折させ、電磁波の別の一部を進行方向d2に屈折させてもよい。分離部32は、ハーフミラー、ビームスプリッタ、ダイクロイックミラー、コールドミラー、ホットミラー、メタサーフェス、偏向素子及びプリズムの少なくとも何れかを含んでよい。
【0032】
切替部33は、分離部32から進行方向d1に進行する電磁波の経路上に設けられている。さらに、切替部33は、前段光学系31から所定距離をおいて離れた対象2の像の、分離部32から進行方向d1における前段光学系31による一次結像位置又は当該一次結像位置近傍に、設けられている。本実施形態では、切替部33は、当該結像位置に設けられている。
【0033】
切替部33は、前段光学系31及び分離部32を通過した電磁波が入射する基準面33sを有する。基準面33sは、二次元に並ぶ複数の切替素子33aを含む。基準面33sは、後述する第1状態及び第2状態の少なくとも何れかにおいて、電磁波に、例えば、反射及び透過等の作用を生じさせる面である。
【0034】
切替部33は、進行方向d1に進行して基準面33sに入射する電磁波を、オン方向d3(第1方向)に進行させる第1状態と、オフ方向d4(第3方向)に進行させる第2状態とに、切替素子33a毎に切替可能である。本実施形態では、第1状態は、基準面33sに入射する電磁波を、オン方向d3に反射する第1反射状態である。また、第2状態は、基準面33sに入射する電磁波を、オフ方向d4に進行させる第2反射状態である。
【0035】
本実施形態では、切替部33は、切替素子33a毎に電磁波を反射する反射面を含む。切替部33は、切替素子33a毎の反射面の向きを変更することにより、切替素子33a毎に、第1反射状態及び第2反射状態を切替る。
【0036】
切替部33は、制御部41の制御に基づいて、第1状態及び第2状態を、切替素子33a毎に切替る。例えば、
図1に示すように、切替部33は、一部の切替素子33a1を第1状態に切替ることにより、当該切替素子33a1に入射する電磁波を、オン方向d3に進行させ得る。これと同時に、切替部33は、別の一部の切替素子33a2を第2状態に切替ることにより当該切替素子33a2に入射する電磁波をオフ方向d4に進行させ得る。
【0037】
本実施形態では、切替部33は、DMD(Digital Micro mirror Device:デジタルマイクロミラーデバイス)を含む。DMDは、基準面33sを構成する微小な反射面を駆動することにより、切替素子33a毎に当該反射面を基準面33sに対して+12°及び-12°の何れかの傾斜状態に切替可能である。なお、基準面33sは、DMDにおける微小な反射面を載置する基板の板面に平行である。DMDにおける微小な反射面は、微小鏡面(マイクロミラー)ともいう。換言すると、各切替素子33aは、微小鏡面(マイクロミラー)を含む。また、DMDは一般的に表示素子として用いられるため、切替素子33aは、「画素」ともいう。
【0038】
複数の切替素子33aは、
図5に示すように、基準面33s上に二次元に並ぶ。複数の切替素子33aは、正方格子状に並び得る。切替素子33aは、四角形の反射面を含む。切替素子33aは、回転軸33bを含む。回転軸33bは、四角形である反射面すなわち微小鏡面の対角線に沿う。切替素子33aは、回転軸33bを中心に、基準面33sに対して+12°及び-12°の何れかの傾斜状態に切替る。切替素子33aの回転軸33bが延在する方向は、
図1に示す第1検出部35の検出面の位置を考慮して、適宜決定されてよい。
【0039】
切替部33には、
図5に示すように、スポットSA,SB,SC,SDが形成され得る。スポットSA~SDは、
図1に示す放射領域11A~11Dの各々が放射する電磁波のうち対象2で反射されて入射する電磁波が、切替部33上に形成する電磁波のスポットである。本実施形態では、
図4に示すように放射領域11A~11Dは直線Aに沿って並ぶため、
図5に示すようにスポットSA~SDが並ぶ方向Dは、直線に沿う方向となる。また、スポットSA~SDの形状は、例えば放射領域11が光を放射する部分の形状に依拠して、方向Dを長軸とする楕円形状、又は、方向Dに平行な長辺を有する長方形状となり得る。また、方向Dに直交する方向EにおけるスポットSA~SDの位置は、走査部20の向きに応じて、変位し得る。例えば、走査部20の向きを変えると、スポットSA~SDの位置は、方向Eに沿って破線で示す位置に変位する。
【0040】
前述のように、切替素子33aは、制御部41の制御に基づいて、第1状態に切替る。例えば、
図5に示す実線のスポットSAが切替部33上に形成されるとき、4つの切替素子33a3が第1状態に切替る。4つの切替素子33a3の各々は、その内部にスポットSAの一部を含む。このような構成によって、スポットSAを形成した電磁波は、4つの切替素子33a3によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み得る。以後の図面において、第1状態にある切替素子33aには、ハッチングを付す。
【0041】
切替素子33aの回転軸33bが延在する方向は、
図5に示すスポットSA~SDが並ぶ方向Dに沿ってよい。回転軸33bが延在する方向が方向Dに沿うことで、切替部33によって反射された電磁波は、基準面33sに垂直に進み得る。この構成では、基準面33sと第1検出部35とを平行に位置させることにより、切替部33によって反射された電磁波は、
図1に示すオン方向d3に進み、第1検出部35に入射し得る。この構成では、基準面33sと第1検出部35とを平行に位置させることにより、電磁波検出装置1を小型化することができる。
【0042】
図1に示すように、後段光学系34は、切替部33からオン方向d3に進行する電磁波の経路上に設けられている。後段光学系34は、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含んでよい。後段光学系34は、切替部33において進行方向を切替られた電磁波としての対象2の像を結像させる。
【0043】
第1検出部35は、切替部33によりオン方向d3に進行した後に後段光学系34を経由して進行する電磁波の経路上に、設けられている。第1検出部35は、後段光学系34を経由した電磁波、すなわちオン方向d3(第1方向)に進行した電磁波を検出する。
【0044】
本実施形態では、第1検出部35は、放射部10及び走査部20によって対象2に向けて放射された電磁波のうち、対象2で反射された電磁波を検出するアクティブセンサである。
【0045】
本実施形態では、第1検出部35は、測距センサを構成する素子を含む。例えば、第1検出部35は、APD(Avalanche PhotoDiode)、PD(PhotoDiode)及び測距イメージセンサ等の単一の素子を含む。また、第1検出部35は、APDアレイ、PDアレイ、測距イメージングアレイ及び測距イメージセンサ等の素子アレイを含むものであってもよい。なお、第1検出部35は、後述のイメージセンサを含んでもよいし、後述のサーモセンサを含んでもよい。
【0046】
本実施形態では、第1検出部35は、対象2で反射された電磁波を検出したことを示す検出情報を信号として制御部41に送信する。第1検出部35は、赤外線の帯域の電磁波を検出する。
【0047】
なお、第1検出部35は、上述した測距センサを構成する単一の素子である構成において、電磁波を検出できればよい。つまり、第1検出部35には、検出面において結像される必要はない。それ故、第1検出部35は、後段光学系34による結像位置である二次結像位置に設けられていなくてもよい。換言すると、この構成において、第1検出部35は、全ての画角からの電磁波が検出面上に入射可能な位置であれば、切替部33によりオン方向d3に進行した後に後段光学系34を経由して進行する電磁波の経路上の何処に配置されていてもよい。
【0048】
第2検出部36は、分離部32から進行方向d2に進行する電磁波の経路上に、設けられている。さらに、第2検出部36は、前段光学系31から所定距離をおいて離れた対象2の像の、分離部32から進行方向d2における前段光学系31による結像位置又は当該結像位置近傍に、設けられている。第2検出部36は、分離部32から進行方向d2に進行した電磁波を検出する。第2検出部36は、第1検出部35とは異種又は同種の電磁波を検出する。
【0049】
本実施形態では、第2検出部36は、パッシブセンサである。第2検出部36は、第1検出部35と異種又は同種のセンサであってよい。第2検出部36は、素子アレイを含んでよい。例えば、第2検出部36は、イメージセンサ又はイメージングアレイ等の撮像素子を含み、検出面において結像した電磁波による像を撮像して、撮像した対象2に相当する画像情報を生成する。
【0050】
なお、本実施形態では、第2検出部36は、可視光の像を撮像する。第2検出部36は、生成した画像情報を信号として制御部41に送信する。
【0051】
なお、第2検出部36は、赤外線、紫外線及び電波の像等、可視光以外の像を撮像してもよい。また、第2検出部36は、測距センサを含んでもよい。この構成において、電磁波検出装置1は、第2検出部36により画像状の距離情報を取得し得る。また、第2検出部36は、サーモセンサ等を含んでもよい。この構成において、電磁波検出装置1は、第2検出部36により画像状の温度情報を取得し得る。
【0052】
図1に示す記憶部40は、1つ以上のメモリを含んでよい。記憶部40は、一次記憶装置又は二次記憶装置として機能してよい。記憶部40は、電磁波検出装置1の動作に用いられる任意の情報及びプログラムを記憶する。記憶部40は、制御部41に含まれてよい。
【0053】
例えば、記憶部40は、放射領域11の位置情報と、走査部20の方向情報と、切替部33に形成される電磁波のスポット(
図5参照)の位置情報とを対応付けて記憶する。電磁波検出装置1が走査部20を備えない構成では、記憶部40は、放射領域11の位置情報と、切替部33に形成される電磁波のスポットの位置情報とを対応付けて記憶してよい。さらに、記憶部40は、切替部33に形成される電磁波のスポットの位置情報と、当該スポットの一部を内部に含む切替素子33aの位置情報とを対応付けて記憶する。記憶部40は、当該スポットの一部を内部に含む切替素子33aの位置情報を、第1状態に切替る切替素子33aの位置情報として記憶する。
【0054】
図1に示す制御部41は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも何れかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部41は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及び、SiP(System In a Package)の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0055】
[電磁波の検出処理]
制御部41は、放射領域11A~11Dの少なくとも1つに電磁波を放射させる。制御部41は、当該電磁波によって切替部33に形成される電磁波のスポットの位置情報に基づいて、切替部33に、複数の切替素子33aの一部を第1状態に切替させる。
【0056】
具体的には、まず、制御部41は、電磁波を放射させる放射領域11及び走査部20の方向を決定する。次に、制御部41は、記憶部40から、当該放射領域11の位置情報及び走査部20の方向情報に対応付けられた、切替部33に形成される電磁波のスポットの位置情報を取得する。例えば、制御部41は、電磁波を放射させる放射領域11を放射領域11Aと決定する場合、
図5に示すスポットSAの位置情報を取得し得る。その後、制御部41は、記憶部40から、当該電磁波のスポットの位置情報に対応付けられた、第1状態に切替る切替素子33aの位置情報を取得する。例えば、制御部41は、記憶部40から、
図5に示すスポットSAの位置情報に対応付けられた、4つの切替素子33a3の位置情報を取得し得る。制御部41は、切替部33に、第1状態に切替る切替素子33aとして位置情報を取得した切替素子33aを、第1状態に切替させる。また、制御部41は、切替部33に、第1状態に切替る切替素子33aとして位置情報を取得しなかった切替素子33aを第2状態に維持(切替)させる。例えば、制御部41は、切替部33に、
図5に示す4つの切替素子33a3を第1状態に切替させ、
図5に示す切替素子33a3を除く切替素子33aを第2状態に維持させる。このような構成によって、
図5に示すスポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a3によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。また、
図5に示すように、切替素子33a3を除く切替素子33aを第2状態に維持することにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。
【0057】
上述の制御には、多様なパターンがある。以下、この多様なパターンの一例について説明する。
【0058】
<例1>
制御部41は、放射領域11A~11Dに順次電磁波を放射させてよい。さらに、制御部41は、当該電磁波によって切替部33に順次形成させる電磁波のスポットの位置情報に基づいて、切替部33に一部の切替素子33aを第1状態に順次切替させてよい。上述のように放射領域11A~11Dが順次電磁波を放射することにより、
図4に示すように電磁波で対象2上を直線Aに平行な方向に沿って走査することができる。さらに、制御部41は、放射領域11A~11Dに順次電磁波を放射させた後、走査部20に、走査部20の向きを変えさせてよい。上述のように走査部20の向きが変わることにより、
図4に示すように電磁波で対象2上を方向Bに沿って走査することができる。以下、この制御例について説明する。
【0059】
まず、制御部41は、放射領域11Aに電磁波を放射させる。放射領域11Aが電磁波を放射すると、
図6に示すようにスポットSAが形成される。この構成では、制御部41は、切替部33に、
図6に示す4つの切替素子33a3を、第1状態に切替させる。4つの切替素子33a3の各々は、その内部にスポットSAの一部を含む。また、この構成では、制御部41は、切替部33に、
図6に示す4つの切替素子33a3を除く切替素子33aを、第2状態に切替させる。このような構成によって、スポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a3によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。また、切替素子33a3を除く切替素子33aを第2状態にすることにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。
【0060】
次に、制御部41は、放射領域11Bに電磁波を放射させる。放射領域11Bが電磁波を放射すると、
図7に示すようにスポットSBが形成される。この構成では、制御部41は、切替部33に、
図7に示す4つの切替素子33a4を、第1状態に切替させる。4つの切替素子33a4の各々は、その内部にスポットSBの一部を含む。また、この構成では、制御部41は、切替部33に、
図7に示す4つの切替素子33a4を除く切替素子33aを、第2状態に切替させる。このような構成によって、スポットSBを形成した電磁波は、切替素子33a4によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。また、切替素子33a4を除く切替素子33aを第2状態にすることにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。
【0061】
次に、制御部41は、放射領域11Cに電磁波を放射させる。放射領域11Cが電磁波を放射すると、
図8に示すようにスポットSCが形成される。この構成では、制御部41は、切替部33に、
図8に示す4つの切替素子33a5を、第1状態に切替させる。4つの切替素子33a5の各々は、その内部にスポットSCの一部を含む。また、この構成では、制御部41は、切替部33に、
図8に示す4つの切替素子33a5を除く切替素子33aを、第2状態に切替させる。このような構成によって、スポットSCを形成した電磁波は、切替素子33a5によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。また、切替素子33a5を除く切替素子33aを第2状態にすることにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。
【0062】
次に、制御部41は、放射領域11Dに電磁波を放射させる。放射領域11Dが電磁波を放射すると、
図9に示すようにスポットSDが形成される。この構成では、制御部41は、切替部33に、
図9に示す4つの切替素子33a6を、第1状態に切替させる。4つの切替素子33a6の各々は、その内部にスポットSDの一部を含む。また、この構成では、制御部41は、切替部33に、
図9に示す4つの切替素子33a6を除く切替素子33aを、第2状態に切替させる。このような構成によって、スポットSDを形成した電磁波は、切替素子33a6によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。また、切替素子33a6を除く切替素子33aを第2状態にすることにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。
【0063】
その後、制御部41は、走査部20に、走査部20の向きを変えさせる。さらに、制御部41は、再度、放射領域11A~11Dに電磁波を順次放射させる。
図6を参照して上述したのと同様に、まず、制御部41は、放射領域11Aに電磁波を放射させる。放射領域11Aが電磁波を放射すると、
図10に示すようにスポットSAが形成される。
図10に示すスポットSAの位置は、
図6に示すスポットSAの位置と比較すると、方向Eに沿って変位する。この構成では、制御部41は、
図10に示す4つの切替素子33a7を、第1状態に切替させる。4つの切替素子33a7の各々は、その内部にスポットSAの一部を含む。また、この構成では、制御部41は、切替部33に、
図10に示す4つの切替素子33a7を除く切替素子33aを、第2状態に切替させる。このような構成によって、スポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a7によって反射されてオン方向d3に進み、第1検出部35に入射し得る。また、切替素子33a7を除く切替素子33aを第2状態にすることにより、外乱光が
図1に示す第1検出部35に入射することを防ぐことができる。その後、制御部41は、
図7乃至
図9を参照して上述したのと同様に、放射領域11B~11Dに順次電磁波を放射させる。
【0064】
制御部41は、上述の制御を繰り返し実行する。制御部41が上述の制御を繰り返し実行することにより、
図4に示すように、直線Aに平行な方向と方向Bとの2つの方向に沿って、電磁波検出装置1は、電磁波で対象2上を走査することができる。
【0065】
<例2>
制御部41は、切替部33上に形成される電磁波のスポットの位置情報に基づいて、切替部33に、複数の所定領域内の切替素子33aを、予め第1状態に切替させておいてよい。複数の所定領域は、方向Dに直交する方向Eに沿って位置してよい。例えば、制御部41は、
図11に示すように、方向Eに沿って位置する、4つの切替素子33a3と、4つの切替素子33a8とを、第1状態に予め切替させておいてよい。
【0066】
図11に示す構成において、まず、制御部41は、放射領域11Aに電磁波を放射させる。放射領域11Aが電磁波を放射すると、
図11に示すように、スポットSAが形成される。スポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a3によって反射されてオン方向d3に進み、第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a3を第2状態に速やか切替てよい。
【0067】
次に、制御部41は、走査部20に、放射領域11Aが放射した電磁波の向きを変えさせる。放射領域11Aが放射した電磁波の向きを走査部20によって変えることにより、
図12に示すように、スポットSAは、方向Eに沿って変位する。
図12に示すスポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a8によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a8を第2状態に速やか切替てよい。
【0068】
このように、複数の所定領域内の切替素子33aを予め第1状態に切替させておくことで、走査部20の向きを変える毎に、制御部41は、切替部33に、切替素子33aを第1状態又は第2状態に切替させなくてよい。このような構成により、
図4に示すように電磁波で対象2上を方向Bに沿って効率良く走査することができる。
【0069】
<例3>
制御部41は、切替部33上に形成される電磁波のスポットの位置情報に基づいて、切替部33に、複数の所定領域内の切替素子33aを、予め第1状態に切替させておいてよい。複数の所定領域は、方向Dに対して斜めの方向に沿って位置してよい。例えば、制御部41は、
図13に示すように、方向Dに対して斜めの方向に沿って位置する、4つの切替素子33a3と、4つの切替素子33a9とを、第1状態に予め切替ておいてもよい。
【0070】
図13に示す構成において、まず、制御部41は、放射領域11Aに電磁波を放射させ、
図13に示すように、スポットSAを形成させる。スポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a3によって反射されてオン方向d3に進み、第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a3を第2状態に速やか切替てよい。
【0071】
次に、制御部41は、走査部20の向きを変え且つ放射領域11Cに電磁波を放射させる。走査部20の向きが変わり且つ放射領域11Cが電磁波を放射することにより、
図14に示すような、スポットSCが形成される。
図14に示すスポットSCを形成した電磁波は、切替素子33a9によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a9を第2状態に速やか切替てよい。
【0072】
このように、複数の所定領域内の切替素子33aを予め第1状態に切替させておくことで、走査部20の向きを変え且つ電磁波を放射させる放射領域11を変える毎に、制御部41は、切替部33に、切替素子33aを第1状態又は第2状態に切替させなくてよい。このような構成により、電磁波で対象2上を効率良く走査することができる。また、
図13及び
図14に示すように、異なる放射領域11A及び11Cを用いながら、電磁波で対象2上を走査することができる。換言すると、同一の放射領域11を連続して用いらなくても、電磁波で対象2上を走査することができる。このような構成によって、同一の放射領域11を連続して用いることにより、当該放射領域11が発熱してしまうことを防ぐことができる。
【0073】
<例4>
制御部41は、切替部33上に形成される電磁波のスポットの位置情報に基づいて、切替部33に、複数の所定領域内の切替素子33aを、予め第1状態に切替させておいてよい。当該複数の所定領域の一部は、方向Dに沿って位置してよい。複数の所定領域の別の一部は、方向Eに沿って位置してよい。例えば、制御部41は、
図15に示すように、4つの切替素子33a3と、4つの切替素子33a5と、4つの切替素子33a8と、4つの切替素子33a9とを、第1状態に予め切替ておいてもよい。
【0074】
図15に示す構成において、まず、制御部41は、放射領域11Aに電磁波を放射させ、
図15に示すように、スポットSAを形成させる。スポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a3によって反射されてオン方向d3に進み、第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a3を第2状態に速やか切替てよい。
【0075】
次に、制御部41は、放射領域11Cに電磁波を放射させ、
図16に示すようにスポットSCを形成させる。
図16に示すスポットSCを形成した電磁波は、切替素子33a5によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a5を第2状態に速やか切替てよい。
【0076】
次に、制御部41は、走査部20の向きを変え且つ放射領域11Aに電磁波を放射させる。走査部20の向きが変わり且つ放射領域11Aが電磁波を放射することにより、
図17に示すようなスポットSAが形成される。
図17に示すスポットSAを形成した電磁波は、切替素子33a8によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a8を第2状態に速やか切替てよい。
【0077】
次に、制御部41は、放射領域11Cに電磁波を放射させる。放射領域11Cが電磁波を放射することにより、
図18に示すようなスポットSCが形成される。
図18に示すスポットSCを形成した電磁波は、切替素子33a9によって反射されて、
図1に示すオン方向d3に進み、
図1に示す第1検出部35に入射し得る。この後、制御部41は、切替素子33a9を第2状態に速やか切替てよい。
【0078】
このように、複数の所定領域内の切替素子33aを予め第1状態に切替させておくことで、走査部20の向きを変える毎及び電磁波を放射させる放射領域11を変える毎、制御部41は、切替部33に、切替素子33aを第1状態又は第2状態に切替させなくてよい。このような構成により、
図4に示すように電磁波で対象2上を2つの方向(直線Aに平行な方向及び方向B)に沿って効率良く走査することができる。
【0079】
[周囲に関する情報の取得処理]
制御部41は、第1検出部35及び第2検出部36の各々が検出した電磁波に基づいて、電磁波検出装置1の周囲に関する情報を取得する。例えば、周囲に関する情報は、画像情報、距離情報、及び、温度情報等である。制御部41は、第2検出部36によって、画像情報を取得する。また、制御部41は、第1検出部35によって、後述のように、距離情報を取得する。
【0080】
例えば、制御部41は、ToF(Time-of-Flight)方式により、距離情報を取得する。この構成において、制御部14は、時間計測LSI(Large Scale Integrated circuit)を有してよい。時間計測LSIによって、制御部41は、放射部10に電磁波を放射させた時刻から、第1検出部35によって検出情報を取得した時刻までの時間ΔTを計測する。制御部41は、計測した時間ΔTに光速を乗算して2で除算することにより、対象2上の放射位置までの距離を算出する。制御部41は、走査部20から取得する方向情報、制御部41が走査部20に出力する駆動信号、又は、放射領域11A~11Dの各々に出力する駆動信号に基づいて、電磁波の放射位置を算出する。制御部41は、電磁波の放射位置を変えながら各放射位置までの距離を算出することにより、画像状の距離情報を取得する。
【0081】
なお、本実施形態では、電磁波検出装置1は、電磁波を放射して、返ってくるまでの時間を直接計測するDirect ToFにより距離情報を取得する構成である。ただし、電磁波検出装置1の構成は、このような構成に限定されない。例えば、電磁波検出装置1は、電磁波を一定の周期で放射し、放射された電磁波と返ってきた電磁波との位相差から、電磁波が返ってくるまでの時間を間接的に計測するFlash ToFにより距離情報を取得してもよい。また、電磁波検出装置1は、他のToF方式、例えば、Phased ToFにより距離情報を取得してもよい。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る電磁波検出装置1は、複数の放射領域11としての放射領域11A~11Dを含む放射部10と、切替部33とを備える。このような構成により、放射領域11A~11Dに電磁波を順次放射させることにより、例えば電磁波の向きを反射板等で偏向させなくても、電磁波で対象2上を走査することができる。換言すると、本実施形態に係る電磁波検出装置1では、電磁波で測定対象上を走査する機構の簡素化を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る電磁波検出装置1では、
図4に示すように、放射領域11A~11Dが直線Aに沿って並び得る。さらに、本実施形態に係る電磁波検出装置1は、
図4に示すように、放射領域11A~11Dから放射された電磁波の向きを、直線Aと直交する方向Bに変える走査部20を備え得る。このような構成により、本実施形態に係る電磁波検出装置1は、直線Aに沿う方向と方向Bとの2つの方向に沿って、電磁波で対象2上を走査することが可能になる。本実施形態に係る電磁波検出装置1は、電磁波で対象2上を2つの方向に沿って走査することにより、例えば1つの方向に走査する場合よりも、周囲に関するより詳細な情報を取得することができる。さらに、本実施形態に係る電磁波検出装置1では、走査部20に、例えば1軸のMEMSミラーのような、1つの方向のみに電磁波を偏光可能な部材を用いて、2つの方向に沿って電磁波で対象2上を走査することができる。1つの方向のみに電磁波を変更可能な部材は、例えば2軸のMEMSミラーのような、2つの方向のみに電磁波を変更可能な部材よりも、低コストであり得る。従って、本実施形態では、低コストで、電磁波で対象2上を2つの方向に沿って走査する構成を実現することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る電磁波検出装置1では、制御部41が、切替部33上に形成されるスポットの位置に基づいて、複数の所定領域内の切替素子33aを予め第1状態に切替させ得る。複数の所定領域内の切替素子33aを予め第1状態に切替させておくことで、切替部33に形成されるスポットを変位させる毎に、制御部41は、切替部33に、当該スポットの位置に応じた切替素子33aを第1状態に切替させなくてよい。このような構成によって、本実施形態に係る電磁波検出装置1は、電磁波で対象2上を効率良くに走査することができる。
【0085】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0086】
例えば、本実施形態では、放射部10、走査部20、電磁波検出部30、記憶部40及び制御部41が、電磁波検出装置1を構成するものとして説明した。ただし、放射部10及び走査部20を含む装置と、電磁波検出部30を含む装置とによって、情報取得システムが構成されてよい。当該情報取得システムは、記憶部40及び制御部41をさらに備えてよい。
【0087】
また、本実施形態では、切替部33は、基準面33sに入射する電磁波の進行方向を、オン方向d3及びオフ方向d4の2方向に切替可能であるとして説明した。ただし、切替部33は、2方向の何れかへの切替でなく、3つ以上の方向に切替可能であってよい。
【0088】
また、本実施形態では、切替部33において、第1状態及び第2状態は、基準面33sに入射する電磁波の各々を、オン方向d3に反射する第1反射状態及びオフ方向d4に反射する第2反射状態であるとして説明した。ただし、第1状態及び第2状態は、他の態様であってもよい。
【0089】
例えば、
図19に示すように、第1状態は、基準面33sに入射する電磁波を、透過させてオン方向d3に進行させる透過状態であってもよい。この構成において、切替部133は、切替素子33a毎に電磁波をオフ方向d4に反射する反射面を有するシャッタを含んでいてもよい。このような構成の切替部133においては、切替素子33a毎のシャッタを開閉することにより、第1状態としての透過状態及び第2状態としての反射状態を切替素子33a毎に切替得る。
【0090】
このような構成の切替部133として、例えば、開閉可能な複数のシャッタがアレイ状に配列されたMEMSシャッタを含む切替部が挙げられる。また、切替部133として、電磁波を反射する反射状態と電磁波を透過する透過状態とを液晶配向に応じて切替え可能な液晶シャッタを含む切替部が挙げられる。このような構成の切替部133においては、切替素子33a毎の液晶配向を切替えることにより、第1状態としての透過状態及び第2状態としての反射状態を切替素子33a毎に切替得る。
【0091】
また、本実施形態では、電磁波検出装置1では、第1検出部35がアクティブセンサであり、第2検出部36がパッシブセンサであるものとして説明した。ただし、電磁波検出装置1は、このような構成に限られない。例えば、電磁波検出装置1において、第1検出部35及び第2検出部36が、共にアクティブセンサである構成でも、共にパッシブセンサである構成でも、本実施形態と類似の効果が得られる。第1検出部35及び第2検出部36が共にアクティブセンサである構成において、対象2に電磁波を放射する放射部10は異なっていても、同一であってもよい。さらに、異なる放射部10の各々は、異種又は同種の電磁波を放射してよい。
【符号の説明】
【0092】
1 電磁波検出装置
10 放射部
11,11A,11B,11C,11D 放射領域
12 光学系
20 走査部
30 電磁波検出部
31 前段光学系
32 分離部
33,133 切替部
33s 基準面
33a,33a1,33a2,33a3,33a4,33a5,33a6,33a7,33a8,33a9 切替素子
34 後段光学系
35 第1検出部
36 第2検出部
40 記憶部
41 制御部
d1 進行方向(第1方向)
d2 進行方向
d3 オン方向(第2方向)
d4 オフ方向(第3方向)
SA,SB,SC,SD スポット
A,B,C,D,E 方向