(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080148
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】養豚用ウルトラファインバブル製造器及び養豚用バブル飲用水製造装置
(51)【国際特許分類】
A23K 10/00 20160101AFI20230601BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20230601BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20230601BHJP
B01F 25/23 20220101ALI20230601BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20230601BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20230601BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230601BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230601BHJP
B01F 35/22 20220101ALI20230601BHJP
【FI】
A23K10/00
B01F23/232
B01F25/10
B01F25/23
B01F25/50
B01F23/2326
B01F35/71
B01F35/75
B01F35/22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059518
(22)【出願日】2023-03-31
(62)【分割の表示】P 2020563393の分割
【原出願日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2018241809
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】林 政秀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝治
(72)【発明者】
【氏名】石井 悦男
(72)【発明者】
【氏名】清水 矩宏
(72)【発明者】
【氏名】五味 和喜
(57)【要約】
【課題】食用豚の成長の促進が可能な養豚方法に使用する養豚用ウルトラファインバブル製造器及び養豚用バブル飲用水製造装置を提供する。
【解決手段】
ウルトラファインバブル製造器26は、円筒形状のケーシング40と、ケーシング40の一端に接続されてケーシング40の内部に連通する供給管41と、ケーシング40の他端に接続された排出管42と、ケーシング40内に収容されて排出管42の端部に連結された微細化ブロック28を有する。排出管42は、ケーシング40の他端部を貫通して端部が内部に挿入され、この排出管42の先端に連結された微細化ブロック28をケーシング40内に支持する。微細化ブロック28は円筒形状を有し、内部に、水と空気の混合流体が導かれる第1旋回室31と第2旋回室33を有する。微細化ブロック28と、この微細化ブロック28内の第1旋回室31と第2旋回室33は、ケーシング40と同軸に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用の豚に給与される飲用水に含有される気体のウルトラファインバブルを製造するための養豚用ウルトラファインバブル製造器であって、
円形断面を有するケーシングと、
上記ケーシングの一端に接続され、上記ケーシングと同軸上に延在し、気体と水の混合流体を供給する供給管と、
上記ケーシング内に少なくとも一部が収容され、上記供給管からケーシング内に供給された上記混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、上記混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックと、
上記ケーシングの他端側に配置され、上記微細化ブロックで生成されたウルトラファインバブル水を上記ケーシングの外に排出する排出管と
を備え、
上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含み、
上記排出管は、上記排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、上記微細化ブロックを上記ケーシング内に支持していることを特徴とする養豚用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項2】
請求項1に記載の養豚用ウルトラファインバブル製造器において、
上記微細化ブロックが、
上記第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する第1ブロック部品と、
上記第1ブロック部品に結合され、上記第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔と、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成され、上記衝突室のウルトラファインバブル水を上記排出通路に流入させる流入口と、上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成され、上記排出通路を流れたウルトラファインバブル水を排出する排出口とを有する第2ブロック部品と
を含んで形成されていることを特徴とする養豚用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項3】
請求項2に記載の養豚用ウルトラファインバブル製造器において、
上記第1導入路と第2導入路は、上記微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜して形成されていることを特徴とする養豚用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項4】
請求項1に記載の養豚用ウルトラファインバブル製造器において、
上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路と、この処理流路の上流端に上記混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1偏心供給路と、上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に上記混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入し、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させる上記旋回流形成部としての第2偏心供給路とを含み、
上記排出管は、上記微細化ブロックの処理流路の下流端に連結されている
ことを特徴とする養豚用ウルトラファインバブル製造器。
【請求項5】
請求項1に記載の養豚用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養豚用バブル飲用水製造装置であって、
原料水を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプから圧送された原料水に気体を混合して混合流体を形成する混合器と、
上記混合器の下流側に設けられた第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側で流体を2つの経路に分岐する分岐部と、
上記分岐部に接続され、流量調整弁と、第1の上記養豚用ウルトラファインバブル製造器とが介設され、この第1養豚用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を上記混合器と第2ポンプの間に戻す戻し経路と、
上記分岐部に接続され、第2の上記養豚用ウルトラファインバブル製造器が介設され、この第2養豚用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を排出する排出経路と
を備えることを特徴とする養豚用バブル飲用水製造装置。
【請求項6】
請求項1に記載の養豚用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養豚用飲用水製造装置であって、
気体が原料水に混合されてなる混合流体を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続され、上記第1ポンプから吐出された混合流体に気体を混合して上記第1ポンプの吸入側に戻す混合器と、
上記第1ポンプの下流側に設けられた上記養豚用ウルトラファインバブル製造器と、
上記養豚用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側に接続された気液分離器と、
上記気液分離器で分離された液体を排出する排出経路と
を備えることを特徴とする養豚用飲用水製造装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の養豚用バブル飲用水製造装置において、
上記第2ポンプが、カスケードポンプであることを特徴とする養豚用バブル飲用水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用豚を養育する養豚方法と、これに用いられる養豚用ウルトラファインバブル製造器及び養豚用バブル飲用水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食用豚を養育する養豚事業において、豚の成長を促進して早期に出荷することは、経営効率を高める効果的な方法である。従来より、豚の成長を促進する方法として、豚の体重の増加を促進する成分を含有した飼料を給与することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、植物の球茎を粉砕して得た被粉を含有する飼料により、食用豚の肥育期間の短縮が可能であることが開示されている。
【0003】
また、養豚事業では、商品の競争力を高めるため、豚肉の品質を向上することが求められる。従来より、豚肉の品質を向上する方法として、肉質の食味を向上させる成分や、脂質の成分を改良する成分を含有した飼料を給与することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、オリーブ搾油滓及び/又はオリーブ落果を含有する飼料により、人体のコレステロール値を上昇させる飽和脂肪酸の少ない脂質を有する肉豚が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-134071号公報
【特許文献2】特開2011-120554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の飼料を用いた養豚方法は、食用豚の成長の促進や、豚肉の品質の向上を行うために、特殊な成分を含有する飼料を用いるので、飼料費の増大を招きやすい。飼料費は、養豚事業におけるコストの多くを占めるので、その増大は経営に悪影響を及ぼす不都合がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、飼料費を増加させることなく、食用豚の成長の促進や、豚肉の品質の向上が可能となる養豚方法と、これに用いられる養豚用ウルトラファインバブル製造器及び養豚用バブル飲用水製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の養豚方法は、食用の豚に、この豚の肥育期間中の少なくとも一部の期間に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を与えることにより、上記豚の肥育期間を、気体のウルトラファインバブルを含有しない通常飲用水を給与した場合よりも短くすることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を与える。バブル飲用水を給与する期間は、肥育期間中の少なくとも一部の期間である。これにより、気体のウルトラファインバブルを含有しない通常飲用水を給与した場合よりも、豚の肥育期間を短くできる。豚の肥育期間の短縮は、通常飲料水をバブル飲料水に変更することのみにより、実現することができる。したがって、養豚のコストの多くを占める飼料費を増大させることなく、豚の成長を促進して早期に出荷することができる。
【0009】
一実施形態の養豚方法は、上記気体は空気である。
【0010】
上記実施形態によれば、食用の豚に、空気のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることにより、肥育期間を従来よりも短縮することができる。
【0011】
一実施形態の養豚方法は、上記気体は酸素である。
【0012】
上記実施形態によれば、食用の豚に、酸素のウルトラファインバブルを含有する飲用水を与えることに、肥育期間を従来よりも短縮することができる。
【0013】
一実施形態の養豚方法は、上記豚の飼料の消費量が、通常飲用水を給与した場合よりも少ない。
【0014】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、飼料の消費量を、通常飲用水を給与した場合よりも低減させることができる。したがって、豚の養育に必要な飼料を少なくできるので、飼料費の増大を防止しながら、豚の成長を促進することができる。ここで、豚の飼料の消費量としては、複数の食用豚を養育する豚舎で所定期間に消費された飼料の質量を、この豚舎から出荷された食用豚の全ての質量で除して求めた飼料要求率を採用することができる。
【0015】
一実施形態の養豚方法は、上記豚から得られた肉のドリップロスが、通常飲用水を給与した場合よりも低い。
【0016】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、上記豚から得られた肉のドリップロスを、通常飲用水を給与した場合よりも低くすることができる。したがって、品質の良好な豚肉を得ることができる。
【0017】
一実施形態の養豚方法は、上記豚から得られた肉の筋肉内脂肪含量が、通常飲用水を給与した場合よりも多い。
【0018】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、上記豚から得られた肉の筋肉内脂肪含量を、通常飲用水を給与した場合よりも多くすることができる。したがって、いわゆる霜降りの豚肉を得ることができる。
【0019】
一実施形態の養豚方法は、上記豚から得られた肉の伸展率が、通常飲用水を給与した場合よりも高い。
【0020】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、上記豚から得られた肉の伸展率を、通常飲用水を給与した場合よりも高くすることができる。したがって、柔らかい豚肉を得ることができる。
【0021】
一実施形態の養豚方法は、上記豚から得られた肉に含まれる多価不飽和脂肪酸の量が、通常飲用水を給与した場合よりも少ない。
【0022】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、上記豚から得られた肉に含まれる多価不飽和脂肪酸の量を、通常飲用水を給与した場合よりも少なくすることができる。したがって、悪臭の少ない豚肉を得ることができる。
【0023】
一実施形態の養豚方法は、上記豚から得られた肉に含まれる一価不飽和脂肪酸の量が、通常飲用水を給与した場合よりも多い。
【0024】
上記実施形態によれば、食用の豚に、気体のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を給与することにより、上記豚から得られた肉に含まれる一価不飽和脂肪酸の量を、通常飲用水を給与した場合よりも多くすることができる。したがって、人体の健康に与える影響の少ない豚肉を得ることができる。また、舌触りの少ない豚肉を得ることができる。
【0025】
一実施形態の養豚方法は、上記バブル飲用水が、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液の発酵液が添加されている。
【0026】
上記実施形態によれば、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液の発酵液が添加された飲用水を給与することにより、豚の肥育期間を更に短くできる。
【0027】
本発明の他の側面によれば、食用の豚に給与される飲用水に含有される気体のウルトラファインバブルを製造するための養豚用ウルトラファインバブル製造器であって、
円形断面を有するケーシングと、
上記ケーシングの一端に接続され、上記ケーシングと同軸上に延在し、気体と水の混合流体を供給する供給管と、
上記ケーシング内に少なくとも一部が収容され、上記供給管からケーシング内に供給された上記混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、上記混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックと、
上記ケーシングの他端側に配置され、上記微細化ブロックで生成されたウルトラファインバブル水を上記ケーシングの外に排出する排出管と
を備えることを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、ケーシングと、供給管と、排出管と、上記ケーシング内に収容された微細化ブロックとで構成された養豚用ウルトラファインバブル製造器は、容易に小型化が可能である。また、この養豚用ウルトラファインバブル製造器は、混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部を含み、これらの旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させて、混合流体の気体を微細化してウルトラファインバブル水を生成する微細化ブロックを用いて構成されるので、気体のウルトラファインバブルを効率的に生成することができる。
【0029】
一実施形態の養豚用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含み、
上記排出管は、上記排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、上記微細化ブロックを上記ケーシング内に支持している。
【0030】
上記実施形態によれば、ケーシング内の微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに混合流体の旋回流を形成する第1旋回室と、この第1旋回室よりも上記供給管から遠い側に形成され、上記ケーシングと同軸の旋回軸回りに、上記第1旋回室で形成される旋回流と反対向きに旋回する混合流体の旋回流を形成する第2旋回室と、上記第1旋回室で形成された混合流体の旋回流と上記第2旋回室で形成された混合流体の旋回流とを衝突させる衝突室と、この衝突室で混合流体の旋回流が衝突してなるウルトラファインバブル水を排出管側に導く排出通路とを含んで形成されるので、養豚用ウルトラファインバブル製造器を小型にできる。また、上記排出管は、上記微細化ブロックの排出通路に連通するように上記微細化ブロックに連結され、この微細化ブロックを上記ケーシング内に支持するので、簡易な構造でケーシング内に微細化ブロックを収容できる。
【0031】
一実施形態の養豚用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、
上記第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する第1ブロック部品と、
上記第1ブロック部品に結合され、上記第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔と、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成され、上記衝突室のウルトラファインバブル水を上記排出通路に流入させる流入口と、上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成され、上記排出通路を流れたウルトラファインバブル水を排出する排出口とを有する第2ブロック部品と
を含んで形成されている。
【0032】
上記実施形態によれば、微細化ブロックが、第1ブロック部品と第2ブロック部品が結合されて形成される。上記第1ブロック部品は、第1旋回室と、この第1旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第1旋回室の接線方向に導入する第1導入路と、上記第1旋回室の他端に形成されて旋回流を吐出する第1吐出孔とを有する。また、上記第2ブロック部品は、第2旋回室と、この第2旋回室の一端側へケーシング内の混合流体を第2旋回室の接線方向に導入する第2導入路と、上記第2旋回室の他端に形成されて上記第1ブロック部品の第1吐出孔と対向して旋回流を吐出する第2吐出孔とを有する。更に、上記第2ブロック部品が、上記第1ブロック部品に結合されて第1ブロック部品との間に形成される衝突室に面する衝突室表面と、この衝突室表面に形成された流入口と上記第1ブロック部品が連結された側と反対側の端面に形成された排出口との間に延在する排出通路とを有する。このように形成された第1ブロック部品と第2ブロック部品により、小型の微細化ブロックを構成することができる。
【0033】
一実施形態の養豚用ウルトラファインバブル製造器は、上記第1導入路と第2導入路は、上記微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜して形成されている。
【0034】
上記実施形態によれば、微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜した第1導入路を通して混合流体を第1旋回室に導入することにより、第1旋回室内に、第1吐出孔に向かって旋回する旋回流を効果的に生成することができる。また、微細化ブロックの軸直角面に対して傾斜した第2導入路を通して混合流体を第2旋回室に導入することにより、第2旋回室内に、第2吐出孔に向かって旋回する旋回流を効果的に生成することができる。これにより、第1旋回室の第1吐出口と第2旋回室の第2吐出口との間に位置する衝突室で、第1旋回室からの旋回流と、第2旋回室からの旋回流を、強く衝突させることができ、その結果、各旋回流に含まれる気体のバブルを効果的に微細化して、気体のウルトラファインバブルを効率的に生成することができる。
【0035】
一実施形態の養豚用ウルトラファインバブル製造器は、上記微細化ブロックが、上記ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路と、この処理流路の上流端に上記混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する上記旋回流形成部としての第1偏心供給路と、上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に上記混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入し、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させる上記旋回流形成部としての第2偏心供給路とを含み、
上記排出管は、上記微細化ブロックの処理流路の下流端に連結されている。
【0036】
上記実施形態によれば、微細化ブロックが、ケーシングと同軸方向に形成されて上記混合流体が導かれる処理流路を含む。この処理流路の上流端に、混合流体を中心軸の偏心方向に導入して旋回流を形成する旋回流形成部としての第1偏心供給路が連通している。上記処理流路の上記第1偏心供給路よりも下流側に、混合流体を中心軸の上記第1偏心供給路と反対向きの偏心方向に導入する旋回流形成部としての第2偏心供給路が連通している。この第2偏心供給路により、上記第1偏心供給路で形成された旋回流に反対向きの旋回流を生成して衝突させることにより、混合流体に含まれる気体のバブルを効果的に微細化して、気体のウルトラファインバブルが生成される。このように、微細化ブロックが、処理流路と、第1偏心供給路と、第2偏心供給路を含んで構成されるので、養豚用ウルトラファインバブル製造器を小型にできる。
【0037】
本発明の他の側面によれば、上記養豚用ウルトラファインバブル製造器を用いて形成された養豚用バブル飲用水製造装置であって、
原料水を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプから圧送された原料水に気体を混合して混合流体を形成する混合器と、
上記混合器の下流側に設けられた第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側で混合流体を2つの経路に分岐する分岐部と、
上記分岐部に接続され、流量調整弁と、第1の上記養豚用ウルトラファインバブル製造器とが介設され、この第1養豚用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を上記混合器と第2ポンプの間に戻す戻し経路と、
上記分岐部に接続され、第2の上記養豚用ウルトラファインバブル製造器が介設され、この第2養豚用ウルトラファインバブル製造器で製造された気体のウルトラファインバブルを含有する水を排出する排出経路と
を備えることを特徴としている。
【0038】
上記構成によれば、原料水が第1ポンプで圧送され、混合器によって原料水に気体が混合される。この混合器の下流側の第2ポンプにより圧送された混合流体が、分岐部で2つの経路に分岐される。分岐部に接続された戻し経路では、流量調整弁が開いているとき、第2ポンプから圧送された混合流体の一部が第1養豚用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。この気体のウルトラファインバブルを含有する水は、混合器と第2ポンプの間に戻され、混合器からの混合流体と合流して第2ポンプに吸引される。一方、分岐部に接続された排出経路では、第2ポンプから圧送された混合流体の一部が第2養豚用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。この気体のウルトラファインバブルを含有する水は、排出経路の下流側から排出され、食用豚の飲用水として用いられる。また、戻し経路の流量調整弁が閉じているとき、第2ポンプから圧送された混合流体の全部が第2養豚用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、気体のウルトラファインバブルが形成され、この気体のウルトラファインバブルを含有する水が排出経路の下流側から排出される。流量調整弁の開度を調節することにより、第1養豚用ウルトラファインバブル製造器で形成されて第2ポンプに戻される気体のウルトラファインバブルを含む水の量を調節できる。したがって、排出経路から排出される水における気体のウルトラファインバブルの粒径や濃度を、効果的に調節することができる。
【0039】
一実施形態の養豚用飲用水製造装置は、上記ウルトラファインバブル製造器を用いて形成されたウルトラファインバブル水製造装置であって、
気体が原料水に混合されてなる混合流体を圧送する第1ポンプと、
上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続され、上記第1ポンプから吐出された混合流体に気体を混合して上記第1ポンプの吸入側に戻す混合器と、
上記第1ポンプの下流側に設けられた上記養豚用ウルトラファインバブル製造器と、
上記養豚用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプと、
上記第2ポンプの下流側に接続された気液分離器と、
上記気液分離器で分離された液体を排出する排出経路と
を備える。
【0040】
上記実施形態によれば、気体が原料水に混合されてなる混合流体が第1ポンプで圧送される。この第1ポンプから吐出された混合流体の一部は、上記第1ポンプの吐出側と吸入側との間に接続された混合器に導かれ、この混合器により、混合流体に気体が混合される。混合器で気体が混合された混合流体は、上記第1ポンプの吸入側に戻される。上記第1ポンプから吐出された混合流体の他の部分は、下流側に設けられた養豚用ウルトラファインバブル製造器に導かれ、混合流体中の気体が微細化されてウルトラファインバブルが形成される。このウルトラファインバブルを含有する水は、養豚用ウルトラファインバブル製造器の下流側に接続された第2ポンプに吸引され、この第2ポンプの下流側に接続された気液分離器に向かって吐出される。気液分離器に導かれたウルトラファインバブルを含有する水は、この水と共に導かれた気体が分離さる。気液分離器で気体が分離されて残った液体であるウルトラファインバブルを含有する水が、排出経路を通って排出される。第1ポンプと第2ポンプの間に養豚用ウルトラファインバブル製造器を介設し、主に第2ポンプの動作を調節することにより、ウルトラファインバブルを含有する水の生成量を安定させることができる。
【0041】
一実施形態の養豚用バブル飲用水製造装置は、上記第2ポンプが、カスケードポンプである。
【0042】
上記実施形態によれば、第2ポンプとしてカスケードポンプを用いることにより、気体のウルトラファインバブルを含有する水を、安定して生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の実施形態の養豚方法が適用される豚舎を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の養豚用バブル飲用水製造装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態の養豚用ウルトラファインバブル製造器の縦断面図である。
【
図4】
図3の矢視Bによる養豚用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図5】
図3の矢視Cによる養豚用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図6】養豚用ウルトラファインバブル製造器の第1ブロックを示す断面図である。
【
図7】養豚用ウルトラファインバブル製造器の第2ブロックを示す断面図である。
【
図8】他の養豚用ウルトラファインバブル製造器を示す縦断面図である。
【
図9】
図8の矢視Dによる養豚用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図10】
図8の矢視Eによる養豚用ウルトラファインバブル製造器の横断面図である。
【
図11】他の養豚用バブル飲用水製造装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
本発明の実施形態の養豚方法は、食用豚に、気体としての空気のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水を与えることにより、食用の肉を上記豚から得るものである。
【0046】
ウルトラファインバブルは、直径が1μm以下の気泡であり、可視光の波長よりも小さいものは、液体中に形成されても視認できない。また、ウルトラファインバブルは、直径が1μm以上の気泡であるマイクロバブルと比較して、浮上速度が小さく、液体中に長時間滞在することができる。また、ウルトラファインバブルは、マイクロバブルと比較して、表面積が大きく、自己加圧効果を有し、マイナス電荷の帯電作用を有する。このような特徴に基づき、空気のウルトラファインバブルを添加した水を飲用水として食用豚に給与することにより、豚の成長の促進や、豚肉の品質の向上等の効果が得られる。
【0047】
食用豚は、例えば富士桜種の場合、体重が約30kgの時期から肥育を開始し、出荷に適した110kgの体重に達するまでの期間は、季節等の条件により異なるが、概ね80日~90日である。ここで、空気のウルトラファインバブルを添加したバブル飲用水を、肥育期間の豚に給与することにより、豚の出荷を肥育の開始から例えば75日~80日程度に短縮することができる。すなわち、空気のウルトラファインバブルを有しない通常飲用水を給与して肥育するよりも、食用豚の成長を促進することができ、肥育期間の短縮を行うことができる。肥育期間を短縮すると、豚を早く出荷できるので、豚の養育効率を効果的に高めることができる。豚にバブル飲用水を給与する期間は、肥育期間の一部でもよく、全部でもよい。
【0048】
また、豚にバブル飲用水を給与することにより、豚の飼料の消費量を、通常飲用水を給与した場合よりも削減できる。ここで、飼料の消費量の低減効果は、豚の肥育期間のうちの後半にバブル飲用水を給与した場合に顕著である。なお、豚の飼料の消費量は、豚の体重によって異なるので、複数の食用豚を養育する豚舎で所定期間に消費された飼料の質量を、この豚舎に存在する食用豚の全ての質量で除して求められた飼料要求率により比較を行うのが好ましい。例えば、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、飼料要求率を約10%~20%低減させることができる。
【0049】
また、豚にバブル飲用水を給与することにより、この豚から得られる肉の品質を、通常飲用水を給与した場合よりも改善することができる。豚肉の品質が改善される例として、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、豚肉のドリップロスを約30%~40%低減させることができる。
【0050】
また、豚肉の他の品質の改善例として、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、豚肉の筋肉内脂肪含量を約20%~40%増加させることができる。豚肉の筋肉内脂肪含量が増加すると、赤身の肉にサシの入ったいわゆる霜降り状態となる。
【0051】
また、豚肉の他の品質の改善例として、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、豚肉の伸展率を約1%~20%増加させることができる。豚肉の伸展率が増加すると、柔らかさが増大する。
【0052】
また、豚肉の他の品質の改善例として、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、豚肉に含まれる多価不飽和脂肪酸の量を、約20%~30%減少させることができる。多価不飽和脂肪酸は、例えばリノール酸やリノレン酸等であり、悪臭の原因となる。したがって、バブル飲用水を給与することにより、豚肉に含まれる多価不飽和脂肪酸の量を減少させて、豚肉の悪臭の防止が可能となる。
【0053】
また、豚肉の他の品質の改善例として、肥育期間の少なくとも一部にバブル飲用水を給与した場合、通常飲用水を給与した場合よりも、豚肉に含まれる一価不飽和脂肪酸の量を、約1%~5%大きくさせることができる。一価不飽和脂肪酸は、例えばパルミトレイン酸やオレイン酸が該当し、人体のLDL(Low Density Lipoprotein:低密度リポ蛋白)コレステロールを低下させる作用や、肉の舌触りを良好にする作用がある。したがって、LDLコレステロールを低下でき、舌触りの良い豚肉が得られる。
【0054】
本実施形態で飲用水として用いる空気のウルトラファインバブル含有水は、空気のウルトラファインバブルの直径が1nm以上1000nm以下であれば、特に限定されない。空気のウルトラファインバブルの直径が1000nmを超えると、豚の成長の促進が不十分となる可能性がある。好ましくは、飲用水に含まれる空気のウルトラファインバブルの直径は10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは20nm以上300nm以下である。飲用水に含まれる空気のウルトラファインバブルの直径が20nm以上300nm以下であることにより、豚の成長を効果的に促進することができる。本実施形態では、ウルトラファインバブルの径は、レーザー回析・散乱法により測定した。
【0055】
本実施形態の飲用水として用いる空気のウルトラファインバブル含有水は、空気のウルトラファインバブルの濃度が、1×107個/mL以上であり、上限は特に限定されないが、作製の容易性から、1012個/mL以下である。空気のウルトラファインバブルの濃度が1×107個/mLを下回ると、豚の成長の促進が不十分となる可能性がある。好ましくは、空気のウルトラファインバブルの濃度は、1×107個/mL以上3×108個/mL以下であり、特に好ましくは1×108個/mL以上2×108個/mL以下である。飲用水の空気のウルトラファインバブルの濃度を1×108個/mL以上2×108個/mL以下にすることにより、豚の成長を効果的に促進することができる。
【0056】
空気のウルトラファインバブルを含有するバブル飲用水は、食用豚に、何時の段階で給与してもよい。好ましくは、バブル飲用水は、体重が30kgを越えて子豚育成期が終了し、肥育用豚舎等に導入されて肥育期に入る豚に給与を開始することができる。あるいは、肥育期間を2つ以上に分け、これらのうち2番目以降の期間にバブル飲用水を給与してもよい。例えば体重が70kgに達するまでを肥育前期とし、体重が70kgを越えて110kgに達するまでを肥育後期として、肥育後期にバブル飲用水を給与してもよい。肥育前期には通常飲用水を給与する一方、肥育後期にバブル飲用水を給与することにより、肥育後期の飼料要求率を効果的に低減することができる。
【0057】
食用豚に給与する飲用水は、空気のウルトラファインバブルに加えて、植物抽出物混合発酵液を添加してもよい。植物抽出物混合発酵液は、少なくともアロエを含む複数種類の植物を含む液を混合し抽出した植物由来エキス液と、キダチアロエのアルコール漬け液と、アロエベラのアルコール漬け液と、米ぬか液と、糖分と、ミネラル分とを含んで混合してなる液にミネラル分と灰分を加えた液の発酵液である。
【0058】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液は、(a)少なくともアロエと糖分とミネラル分とを含む第1液と、(b)少なくともアロエと糖分と塩分とを含む第2液と、(c)アロエを含む複数種類の植物のアルコール抽出液と、アロエを含む複数種類の植物の糖抽出液と、複数種類の植物を混合して煮沸抽出した液と複数種類の植物エキスのアルコール抽出液とを含む第3液とを含むことが好ましい。
【0059】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第1液としては、第1の黒糖アロエ液を採用できる。第1の黒糖アロエ液は、次のようにして作成することができる。まず、キダチアロエ15kgに対し、黒糖15kg、はちみつ7kg、梅エキス500cc、濃縮ミネラル液100ccの割合で混合し、1週間熟成し、液を搾取して、搾りとった液を第1液とする。上記濃縮ミネラル液は、海水を50倍に濃縮して作成した。アロエは100万分の1mmの大きさまで微粒子化処理して使用する。以下、アロエ及びアロエベラをはじめとする植物は同様に処理する。これによりイオン化されやすくなる。
【0060】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第2液としては、次のようにして作成される第2の黒糖アロエ液を採用できる。アロエエキス30リットルに対し、ブラウンシュガー15kg、黒糖15kg、自然塩200gの割合で混合し、混合した液を煮溶かして得た液を第2液とする。
【0061】
上記植物抽出物混合発酵液の植物由来エキス液を形成する第3液としては、次のようにして作成される抽出液A、抽出液B、抽出液C及び抽出液Dを混合してなる野菜エキス液を採用できる。まず、長茄子、キュウリ、マッシュルーム、かぼちゃ、絹さや、いんげん、まいたけ、しめじ、小松菜、オレンジ、竹の子、ショウガ、フキ葉、梨、ふきのとう、にがうり、ほうれん草、紅玉、アロエベラ、青リンゴ、いちじく、セロリ、洋梨、はこべ、米ぬか、はぶ茶、ハスの葉、ウコン、黒豆、シイタケ、黄粉、まつたけ、ゴマ、クマザサ、しいの実、伊予柑、ザボン、プルーン、枝豆、エノキ茸、ピーマン、かぶ、柿葉、マンゴー、いちご、バジリコ、パイナップル、トマト、シシトウ、里芋、春菊、エシャレット葡萄、柿、月桂樹、洋梨、メロン、赤じそ、ほうじ茶、はと麦、人参、キウイ、クワイ、山うど、柚子、ライム、キンカン、ハス、レモン、とうがん、ジャスミン、ニンニク、松葉、玉葱、ターサ、芋がら、ブロッコリー、クレソン、みかん、グレープフルーツ、パパイヤ、パセリ、京みぶな、おおばこ、梅エキス、ワラビ、どくだみ、山芋、カリフラワー、アスパラ、銀杏葉、セリ、ザクロ、ツルムラサキ、菜の花、プ―アール、山クラゲ、そばの実、ペパーミント、花梨、ムラベツ、キャベツ、グリーンリーフ、根三ツ葉、サラダ菜、レタス、京菜、小豆、大根、タンポポ、ルイボス、からしな、空豆、なめこ、たらの芽、紅だて、ラディッシュ、棄玉葱、ニラ、ポンカン、水仙、わかめ、スペアミント、落花生、ピスタチオ、じゃが芋、枇杷薫、杏、ハイビスカス、くるみ、レモンバーベナ、レモンパーム、レモングラス、カモマイルジャーマン、レモンディライト、赤とさか、青とさか、伊勢海老キチンキトサンの137種の各材料を、それぞれが少なくとも重量比で0.2%以上の割合になるような任意の割合で、皮や殻など全て丸ごと混合し、混合材Aを作成する。この混合材A1kgに対し、1.5リットルのアルコールの割合で抽出を行い、抽出液A(アルコール抽出液)を得る。
【0062】
次に、にんにく、青梅、キダチアロエの各材料を、それぞれが少なくとも重量比で10%以上の割合になるような任意の割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Bを得る。混合材B1kgに対して1kgの黒糖の割合で抽出を行い、抽出液B(糖抽出液)を得る。抽出液Bの抽出法は、糖抽出すなわち糖による浸透圧を利用した抽出である。
【0063】
さらに、ウコン、大根、人参、メシマコブ、レイシ、アガリスク、牛蒡、米ぬか、スギナの各材料を、それぞれが少なくとも重量比で5%以上の割合になるような任意の割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Cを得る。混合材Cを煮沸して抽出を行い、抽出液C(煮沸抽出液)を得る。
【0064】
さらに、ウコンエキス、クマザサ液、クレソン液、スギナ液、ゴボウエキス、にんにくエキス、ワラビエキス、赤シソエキス、マイタケエキス、メシマコブエキス、レイシエキス、アガリスクエキス、大根エキス、人参エキス、羅漢花エキス、オオバエキス、シシトウエキス、昆布エキスの各材料を、大根エキスのみ2倍量で他は全て同じ重量ずつの割合で、皮など全て丸ごと混合し、混合材Dを得る。混合材D1kgに対し1.5リットルのアルコールの割合で抽出を行い、抽出液D(アルコール抽出液)を得る。
【0065】
上記抽出液A、抽出液B、抽出液C及び抽出液Dを、それぞれが少なくとも重量比で10%以上の割合になるような任意の割合で、混合し、第3液を得る。
【0066】
第4液としてのキダチアロエのアルコール漬け液は、次のようにして作成することができる。まず、みじん切りにしたキダチアロエ13kgを20リットルのポリタンクにいれて、35度の焼酎をポリタンクが満杯になるまで注ぐ。1週間放置した後、これを搾取して第4液を得る。第4液はキダチアロエのアルコール漬け液である。第4液の原料は、アロエの中でも特に、薬効の高いキダチアロエが適する。
【0067】
第5液としてのアロエベラのアルコール漬け液は、次のようにして作成することができる。まず、みじん切りにしたアロエベラ13kgを20リットルのポリタンクにいれて、35度の焼酎をポリタンクが満杯になるまで注ぐ。1週間放置した後、これを搾取して第5液が得られる。第5液はアロエベラのアルコール漬け液である。第5液は、食用可能であるアロエベラを用いることが好ましい。
【0068】
上記第1液、第2液、第3液、第4液及び第5液、はちみつ、上記濃縮ミネラル液、プロポリス液、キチンキトサンエキスを、それぞれが少なくとも重量比で5%以上の割合になるような任意の割合で、混合し、第6液を得る。
【0069】
上記第1液~第5液を作成する過程で排出された搾りカス1kgに対し黒糖500g、はちみつ500gの割合で混合し、1週間熟成して、液を搾取する。搾取した液を第7液とする。
【0070】
上記第6液に、ミネラル分としての上記濃縮ミネラル液を、第6液が少なくとも60%以上、その他がそれぞれ重量比で1%以上20%以内の割合になるような任意の割合で混合する。この混合液に、第6液のもとである第1液、第4液及び第5液と、第7液とを、それぞれ全体量の10%以下となる範囲で加えて全体量を調整し、2週間程度常温にて保管して発酵させ、酸味がでてきたら、煮沸殺菌を行い、植物抽出物混合発酵液が得られる。上記草木灰は、草木を焼いてつくった灰である。また、上記糖分として黒糖を用いたが、ブドウ糖等、他の糖でもよい。
【0071】
上記植物抽出物混合発酵液を、空気のウルトラファインバブルを含有する水に添加して、食肉用の豚の飲用水を作成する。植物抽出物混合発酵液の添加量は、空気のウルトラファインバブルを含有する水の0.01%以上0.5%以下である。この飲用水を、食用豚に給与することにより、肉の品質を更に改良することができる。
【0072】
本実施形態の養豚方法を適用する豚は、食用を目的として飼育される豚であれば特に限定されない。
【0073】
また、豚の飼育形態としては、特に限定されず、平飼い、ケージ飼育、放し飼いのいずれでもよい。
【0074】
図1は、本発明の実施形態の養豚方法が行われる豚舎に設けられた飲用水供給装置を示す模式図である。この豚舎は、約30kgの体重の豚を導入し、導入した豚に飼料と飲用水を給与して肥育を行う。豚舎で肥育された豚は、体重が約110kgに達すると、出荷されて屠畜され、食肉等が採取される。この豚舎は、柵で区切られて豚を収容する飼育エリアと、飼育エリアの中の豚に餌を供給する図示しない給餌装置と、飼育エリアの中の豚のために飲用水を供給する飲用水供給装置1を備える。
【0075】
飲用水供給装置1は、水道水に空気のウルトラファインバブルを含有させて、食用豚の飲用水を製造すると共に、この飲用水を食用豚に供給するものである。なお、水道水のほか、地下水を用いてもよい。
【0076】
この飲用水供給装置1は、
図1に示すように、水位調節弁12を介して水道水が供給されると共に、空気のウルトラファインバブルを含有する水を貯留するバブル水タンク2と、このバブル水タンク2の水が供給されて空気のウルトラファインバブルを添加してウルトラファインバブル水を製造する養豚用バブル飲用水製造装置としてのバブル水製造装置3を備える。バブル水タンク2の下流側には、第2バブル水タンク4と、混合液タンク5が接続されている。第2バブル水タンク4は、バブル水タンク2からウルトラファインバブル水が供給される。混合液タンク5には、バブル水タンク2からウルトラファインバブル水が供給されると共に、このウルトラファインバブル水に植物抽出物混合発酵液が混合され、混合液が形成されて貯蔵される。
【0077】
また、飲用水供給装置1は、水道水バルブ11を介して水道水が供給される発酵液水タンク6と、水タンク7を備える。発酵液水タンク6は、水道水に植物抽出物混合発酵液が添加されてなる発酵液水を貯蔵する。水タンク7は水道水を貯蔵する。
【0078】
上記第2バブル水タンク4は、ウルトラファインバブル水を排出する排出管に接続され、この排出管は、第1飼育エリアA1に設置されて豚に飲用水を供給する給水器8に接続されている。混合液タンク5は、ウルトラファインバブル水と植物抽出物混合発酵液の混合液を排出する排出管に接続され、この排出管は、第2飼育エリアA2に設置された給水器8に接続されている。発酵液水タンク6は、植物抽出物混合発酵液の水溶液を排出する排出管に接続され、この排出管は、第3飼育エリアA3に設置された給水器8に接続されている。水タンク7は、水道水を排出する排出管に接続され、この排出管は、第4飼育エリアA4に設置された給水器8に接続されている。なお、本実施形態の飲用水供給装置1は、実施例の実験2に対応して複数の飼育エリアに異なる飲用水を供給するように形成しているが、全てにウルトラファインバブル水又は混合液を供給するように形成されてもよい。
【0079】
バブル水タンク2の水位調節弁12は、ボールタップにより形成され、バブル水タンク2の水位を一定に保つようになっている。ボールタップは、バブル水タンク2の水位に応じて昇降する浮体と、この浮体に連結された流量調整弁を有し、水位が低下すると流量調整弁が開いてバブル水タンク2内の水位を一定に保持する。なお、水位調節弁12としては、ボールタップ以外に、種々の構成の定水位弁を用いることができ、例えば、バブル水タンク2の水位を測定する水位センサと、この水位センサの測定値に基づいて弁開度が制御される流量調整弁を有するもの等を用いることができる。
【0080】
バブル水製造装置3は、バブル水タンク2から、原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水が供給され、この供給された水に空気のウルトラファインバブルを添加してバブル水タンク2へ戻すように形成されている。
【0081】
給水器8は、豚の要求に応じて飲用水を供給するように形成された給水器であり、ニップル給水器を用いることができる。ニップル給水器は、飲用水の吐出管と、この吐出管に連結された開閉弁を有し、上記吐出管に豚の口や舌が接触すると開閉弁が開いて吐出管から飲用水が流出するように形成されている。なお、豚に飲用水を供給するものであれば、他の構造の給水器を用いてもよい。例えば、飲用水を適宜保持するように形成された樋や桶等を用いてもよい。
【0082】
バブル水製造装置3は、
図2に示すように、バブル水タンク2から原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水を吸引する第1ポンプとしての水中ポンプ21を備える。水中ポンプ21の流量が調整されることにより、このバブル水製造装置3によるウルトラファインバブル水の製造量が調整される。この水中ポンプ21の下流側には、水中ポンプ21から吐出される原料水に、矢印Aで示すように空気を吸引して混合して水と空気の混合流体を形成する混合器としてのエジェクタ22が設けられている。エジェクタ22には、空気を取り入れる吸気管に、混合流体に混合する空気の量を調整するための流量調整弁で形成された混合エア量調整弁29が連結されている。エジェクタ22の下流側には、混合流体を吸引する第2ポンプとしてのカスケードポンプ23が設けられている。カスケードポンプ23の下流側は、分岐部で戻し経路24と排出経路25に分岐されている。戻し経路24は、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する第1ウルトラファインバブル製造器26Aと、この戻し経路24を流れる混合流体の流量を調節する流量調整弁27が設けられている。この流量調整弁27で混合流体の流量が調節されるに伴い、戻し経路24の下流側の圧力も調節されるようになっている。この戻し経路24は、下流側が、エジェクタ22とカスケードポンプ23の間に接続されている。排出経路25には、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する第2ウルトラファインバブル製造器26Bが設けられている。排出経路25は、下流側がバブル水タンク2に連なっている。ここで、バブル水製造装置3の第1ポンプとしては、水中ポンプ以外に、陸上ポンプ等の容積ポンプを用いてもよい。また、第2ポンプとしては、カスケードポンプ以外のポンプを用いてもよいが、遠心ポンプを用いるのが好ましい。
【0083】
図3は、バブル水製造装置3に内蔵された養豚用ウルトラファインバブル製造器としてのウルトラファインバブル製造器26を示す模式縦断面図である。
図4は、
図3の矢視Bにおける断面図であり、
図5は、
図3の矢視Cにおける断面図である。このウルトラファインバブル製造器26は、供給管41で供給される水と空気の混合流体を微細化し、空気のウルトラファインバブルを含有するウルトラファインバブル水を形成して、このウルトラファインバブル水を排出管42から排出するものである。
【0084】
ウルトラファインバブル製造器26は、概ね円筒形状のケーシング40と、このケーシング40の一端に接続されてケーシング40の内部に連通する供給管41と、上記ケーシング40の他端に接続された排出管42と、上記ケーシング40内に収容されて排出管42の端部に連結された微細化ブロック28を有する。上記排出管42は、上記ケーシング40の他端部を貫通して端部が内部に挿入されており、この排出管42の先端に連結された微細化ブロック28をケーシング40内に支持している。
【0085】
微細化ブロック28は円筒形状を有し、内部に、水と空気の混合流体が導かれる旋回流形成部としての第1旋回室31と第2旋回室33が形成されている。第1旋回室31と第2旋回室33は、扁平の円筒と半回転楕円を組み合わせた形状を有し、半回転楕円部分の頂点を対向させて、互いに同軸かつ対称に形成されている。微細化ブロック28と、この微細化ブロック28内の第1旋回室31と第2旋回室33は、ケーシング40と同軸に配置される。微細化ブロック28は、第1旋回室31が内部に形成された第1ブロック部品281と、第2旋回室33が内部に形成された第2ブロック部品282とで構成されている。
【0086】
図6は、第1ブロック部品281を示す断面図である。第1ブロック部品281は、微細化ブロック28の一端面を構成する円盤部分281aと、この円盤部分281aの中央部から微細化ブロック28の内側に向かって突出した突出部分281bとを有する。突出部分281bは、円盤部分281aに近い部分が円筒形状に形成されている一方、円盤部分から遠い先端部分は円錐台形状に形成されている。この第1ブロック部品281の内側に、第1旋回室31が形成されている。
【0087】
第1旋回室31は、一端側部分の壁面31aが円筒形状を有する一方、他端側部分の壁面31bが半回転楕円形状を有する。第1旋回室31の一端側部分の壁面31aが第1ブロック部品281の円盤部分の内側に概ね形成され、半回転楕円形状の他端側部分の壁面31bが第1ブロック部品281の突出部分の内側に概ね形成されている。第1ブロック部品281には、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第1旋回室31に導入する第1導入路35が形成されている。第1導入路35は、
図4に示すように、第1旋回室31の接線方向に形成されている。第1導入路35で導かれた混合流体を吐出する吐出開口35aが第1旋回室31の壁面に形成されている。また、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第1導入路35へ流入させる流入開口35bが、第1ブロック部品281の円盤部分281aの側面に形成されている。第1導入路35は、
図6に示すように、第1旋回室31の一端から他端に向けて、第1旋回室31の中心軸の直角面に対して角度θを成すように形成されている。第1導入路35の第1旋回室31の中心軸直角面に対する角度θは、1°以上20°以下に形成することができる。この角度θは、好ましくは5°以上15°以下であり、更に好ましくは8°以上12°である。第1ブロック部品281の突出部分281bの先端部には第1吐出孔32が形成されており、この第1吐出孔32から、第1旋回室31で形成された混合流体の旋回流が吐出されるように形成されている。
【0088】
図7は、第2ブロック部品282を示す断面図である。第2ブロック部品282は、一端側に厚い底が形成されて他端が開口した有底の円筒形状を有する。この第2ブロック部品282の開口から上記第1ブロック部品281の突出部分281bが挿入されて、他端面282aに第1ブロック部品281の円盤部分281aが連結されるようになっている。この第2ブロック部品282の内側面と、第1ブロック部品281の突出部分281bの外側面との間に、第1旋回室31からの旋回流と第2旋回室33からの旋回流が衝突する衝突室38が形成されている。第2ブロック部品282の内部には、第2旋回室33が形成されている。
【0089】
第2旋回室33は、一端側部分の壁面33aが円筒形状を有する一方、他端側部分の壁面33bが回転楕円形状を有する。第2ブロック部品282には、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第2旋回室33に導入する第2導入路36が形成されている。第2導入路36は、
図5に示すように、第2旋回室33の接線方向に形成されている。第2導入路36で導かれた混合流体を吐出する吐出開口36aが第2旋回室33の壁面に形成されている。また、ケーシング40と微細化ブロック28との間の混合流体を第2導入路36へ流入させる流入開口36bが、第2ブロック部品282の一端側の側面に形成されている。第2導入路36は、
図7に示すように、第2旋回室33の一端から他端に向けて、第2旋回室33の中心軸の直角面に対して角度θを成すように形成されている。第2導入路36の第2旋回室33の中心軸直角面に対する角度θは、1°以上20°以下に形成することができる。この角度θは、好ましくは5°以上15°以下であり、更に好ましくは8°以上12°である。第2ブロック部品282の他端には第2吐出孔34が形成されており、この第2吐出孔34から、第2旋回室33で形成された混合流体の旋回流が吐出されるように形成されている。第2旋回室33で形成される旋回流は、第1旋回室31で形成される旋回流と、反対回りに旋回するように形成されている。このように、第1旋回室31と第2旋回室33は、中心軸の直角面に関して対称に形成され、第1吐出孔32と第2吐出孔34を対向して配置され、互いに反対回りに旋回する旋回流を生成するように形成されている。
【0090】
第2ブロック部品282の底部の外径側部分には、第2ブロック部品282の中心軸と平行に延在する複数の排出通路39,39,・・・が形成されている。これらの排出通路39,39,・・・は、第2旋回室33の外径側に、この第2旋回室33を取り囲むように配置されている。第2ブロック部品282の底面282bには、外径側部分に、衝突室38の流体を排出通路39,39,・・・に流入させる複数の流入口としての流入開口39a,39a,・・・が形成されている。この流入開口39aが形成された底面282bは、衝突室38に面する衝突室表面に該当する。第2ブロック部品282の一端面には、排出通路39,39,・・・で導かれた流体を吐出する複数の排出口としての吐出開口39b,39b,・・・が形成されている。第2ブロック部品282の一端は、排出管42に連結されており、上記排出通路39,39,・・・の吐出開口39b,39b,・・・から吐出された流体が、排出管42に流れるようになっている。
【0091】
上記ウルトラファインバブル製造器26は、カスケードポンプ23により水と空気の混合流体が圧送され、戻し経路24や排出経路25のウルトラファインバブル製造器26の上流側の部分である供給管41から、ケーシング40内に混合流体が流入する。ケーシング40内に流入した混合流体は、微細化ブロック28の外側面の流入開口35b,36bから第1及び第2導入路35,36に導かれる。第1導入路35に導かれた混合流体は、吐出開口35aから第1旋回室31内に吐出され、第1旋回室31内に旋回流を形成する。第1導入路35が第1旋回室31の接線方向に延在すると共に他端に向けて傾斜角度θを成すことにより、第1旋回室31内に、安定した旋回流が形成される。また、第2導入路36に導かれた混合流体は、吐出開口36aから第2旋回室33内に吐出され、第2旋回室33内に旋回流を形成する。第2導入路36が第2旋回室33の接線方向に延在すると共に他端に向けて傾斜角度θを成すことにより、第2旋回室33内に、安定した旋回流が形成される。上記第1旋回室31内の混合流体の旋回流は、第1吐出孔32から衝突室38へ吐出され、上記第2旋回室33内の旋回流は、第2吐出孔34から衝突室38へ吐出される。これらの第1吐出孔32と第2吐出孔34から吐出された旋回流は、互いに反対方向に旋回しており、これにより大きな衝撃力を伴って衝突室38内で衝突する。その結果、互いの混合流体の気体が効果的に微細化され、ウルトラナノバブルが生成される。こうして生成された空気のウルトラナノバブルを含有する水は、衝突室38から流入開口39a,39a,・・・を経て排出通路39,39,・・・に導かれ、吐出開口39b,39b,・・・から排出管42に排出される。この排出管42は、戻し経路24や排出経路25のウルトラファインバブル製造器26の下流側である。こうしてウルトラファインバブル製造器26で生成された空気のウルトラファインバブルを含有する水は、戻し経路24や排出経路25の下流側に導かれる。すなわち、第1ウルトラファインバブル製造器26Aから戻し経路24の下流側に空気のウルトラファインバブルを含有する水が流れ、第2ウルトラファインバブル製造器26Bから排出経路25の下流側に空気のウルトラファインバブルを含有する水が流れる。なお、ウルトラファインバブル製造器26で製造されるバブルは、ウルトラファインバブルのみに限られず、運転条件に応じてマイクロバブルも含まれ、また、マイクロバブルのみが製造される場合もある。
【0092】
このバブル水製造装置3は、混合エア量調整弁29の開度と、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23による混合水の吐出流量又は吐出圧力と、流量調整弁27の開度を調節することにより、排出経路25からのウルトラファインバブル及びマイクロバブルの粒径と濃度を調節することができる。
【0093】
例えば、流量調整弁27の開度が増大すれば、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小し、また、排出経路25からの排出量が減少する。これと共に、生成されるバブルの径の標準偏差が縮小して分布の幅が縮小し、バブルの径が比較的小さい値の狭い範囲に集中する。一方、流量調整弁27の開度が減少すれば、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が減少すると共に、バブルの径が拡大し、また、排出経路25からの排出量が増大する。これと共に、生成されるバブルの径の標準偏差が拡大して分布の幅が拡大し、バブルの径が比較的小さい値から大きい値にわたって広い範囲に拡散するようになる。
【0094】
また、カスケードポンプ23の吐出圧力が増大すると、この吐出圧力が1MPaよりも低い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小し、また、排出経路25からの排出量が増大する。吐出圧力が1MPaよりも高い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が低下すると共に、バブルの径が拡大する。一方、カスケードポンプ23の吐出圧力が減少すると、この吐出圧力が1MPaよりも低い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が減少すると共に、バブルの径が拡大し、また、排出経路25からの排出量が減少する。吐出圧力が1MPaよりも高い領域では、ウルトラファインバブル及び/又はマイクロバブルのバブルの濃度が増大すると共に、バブルの径が縮小する。
【0095】
また、エジェクタ22の混合エア量調整弁29の開度を増大することにより、排出経路25から排出されるバブルのうち、1μm以上のバブルの割合が増加する一方、混合エア量調整弁29の開度を減少することにより、排出経路25から排出されるバブルの粒径のうち、1μm以上のバブルの割合が減少する。例えば、混合エア量調整弁29により、エジェクタ22の空気混合量を0.4L/minとすると、排出経路25から排出されるバブルの直径は、1μmを超えるものの割合が増大し、ウルトラファインバブルとマイクロバブルが生成される。一方、混合エア量調整弁29により、エジェクタ22の空気混合量を0.1L/minとすると、排出経路25から排出されるバブルの直径は1μmを下回るものが大半となり、実質的にウルトラファインバブルのみが生成される。
【0096】
また、このバブル水製造装置3は、排出経路25から排出される水のウルトラファインバブルの濃度を測定し、この測定値に基づいて、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力と、戻し経路24の流量を調節して、排出経路25のウルトラファインバブルの濃度を調節することができる。例えば、排出経路25のウルトラファインバブルの濃度が目標値よりも低い場合、流量調整弁27の開度を上げて戻し経路24の流量を増大させることにより、排出経路25から排出されるウルトラファインバブルの濃度が増大する。
【0097】
また、このバブル水製造装置3は、排出経路25の第2ウルトラファインバブル製造器26Bの上流側に第2流量調整弁を設け、この第2流量調整弁の開度と、混合エア量調整弁29の開度と、戻し経路24の流量調整弁27の開度と、水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力を調節することにより、排出経路25から排出されるウルトラファインバブルの径と濃度を調節してもよい。
【0098】
上記バブル水製造装置3は、図示しない制御装置を設け、この制御装置により、上記混合エア量調整弁29の開度と、上記流量調整弁27の開度と、上記第2流量調整弁の開度と、上記水中ポンプ21及びカスケードポンプ23の吐出圧力を制御して、排出経路25からのウルトラファインバブルの径と濃度を調節してもよい。
【0099】
このようにして、上記バブル水製造装置3により、安定して50~70nmのウルトラファインバブルを形成することができる。なお、戻し経路24と流量調整弁27と第1ウルトラファインバブル製造器26Aは、設けなくてもよい。すなわち、カスケードポンプ23の下流側に、排出経路25を第2ウルトラファインバブル製造器26Bのみを設け、第2ウルトラファインバブル製造器26Bのみによりウルトラファインバブルを生成してもよい。
【0100】
上記実施形態において、ウルトラファインバブル製造器26は、同軸上に中心軸の直角面に対して対称に形成された第1旋回室31と第2旋回室33を含む微細化ブロック28を含んでいたが、他の養豚用ウルトラファインバブル製造器を用いてもよい。
図8は、変形例の養豚用ウルトラファインバブル製造器を示す縦断面図である。
図9は、
図8の矢視Dにおける断面図であり、
図10は、
図8の矢視Eにおける断面図である。このウルトラファインバブル製造器126は、供給管41で供給される水と空気の混合流体を、微細化ブロック128で微細化し、空気のウルトラファインバブルを含有するウルトラファインバブル水を形成して、このウルトラファインバブル水を排出管42から排出するものである。
【0101】
このウルトラファインバブル製造器126は、一端が供給管41に連結され、他端が微細化ブロック128に連結された概ね円筒形状のケーシング140を有する。微細化ブロック128は、ケーシング140よりも小径の概ね円筒形状を有し、他端部分が他の部分よりも大きい径に形成されてケーシング140の他端部の内側面に嵌合している。この微細化ブロック128は、水と気体の混合流体が導かれる処理流路130と、この処理流路130の上流端に連通する旋回流形成部としての第1偏心供給路131と、上記処理流路130の長さ方向の略中央に連通する旋回流形成部としての第2偏心供給路132が内部に形成されている。処理流路130の中心軸を通る断面において、第1偏心供給路131の中心軸と、第2偏心供給路132の中心軸は、処理流路130の中心軸に対して直角に延在している。
【0102】
微細化ブロック128の処理流路130は、微細化ブロック128の中心軸に沿って、微細化ブロック128の一端面の近傍から、微細化ブロック128の他端面に至るまで形成されている。処理流路130の一端は、微細化ブロック128の一端面に貫通することなく微細化ブロック128内に留まっている一方、処理流路130の他端は、微細化ブロック128の他端面に開口を形成している。この処理流路130は、円形断面を有し、一端から他端に向かうにつれて径が増大するように形成されている。処理流路130の他端の開口には、排出管42が挿入されて、処理流路130が排出管42に連通している。
【0103】
微細化ブロック128の第1偏心供給路131は、微細化ブロック128の中心軸と直角の断面図である
図9に示すように、処理流路130の一端に連通するように2本形成されている。これらの2つの第1偏心供給路131は、処理流路130の中心に関して点対称に配置されている。これらの第1偏心供給路131は、微細化ブロック128の概ね径方向に延在し、微細化ブロック128の外周面に流入開口131aを形成し、処理流路130の内周面に吐出開口131bを形成している。これらの第1偏心供給路131は、円形断面を有し、流入開口131aから吐出開口131bに向かうにつれて径が小さくなるように形成されている。第1偏心供給路131の吐出開口131bは、処理流路130の軸方向視において、処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されている。ここで、
図8において、第2偏心供給路132は、この第2偏心供給路132の中心軸に沿った縦断面の形状を示しており、微細化ブロック128の中心軸を通る面で第2偏心供給路132を切断した様子を示していない。
【0104】
微細化ブロック128の第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の中心軸と直角の断面図である
図10に示すように、処理流路130の長さ方向の略中央に連通するように2本形成されている。これらの2つの第2偏心供給路132は、処理流路130の中心に関して点対称に配置されている。これらの第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の概ね径方向に延在し、微細化ブロック128の外周面に流入開口132aを形成し、処理流路130の内周面に吐出開口132bを形成している。これらの第2偏心供給路132は、円形断面を有し、流入開口132aから吐出開口132bに向かうにつれて径が小さくなるように形成されている。第2偏心供給路132の吐出開口132bは、処理流路130の軸方向視において、処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されている。この第2偏心供給路132の吐出開口132bは、第1偏心供給路131の吐出開口131bと、処理流路130の中心軸に関して反対側に偏心している。上記微細化ブロック128の第1偏心供給路131と第2偏心供給路132は、微細化ブロック128の軸方向視において、互いに90°の角度を成すように配置されている。
【0105】
上記構成のウルトラファインバブル製造器126は、次のように動作する。まず、水と空気の混合流体が供給管41を通してケーシング140内に導かれる。ケーシング140内に流入した混合流体は、微細化ブロック128の外側面の流入開口131a,132aから第1及び第2偏心供給路131,132に導かれる。第1偏心供給路131に導かれた混合流体は、吐出開口131bから処理流路130内に吐出され、この処理流路130内に旋回流を形成する。第1偏心供給路131の吐出開口131bが処理流路130の中心に対して偏芯した位置に配置されていることにより、処理流路130内に、安定した旋回流が形成される。こうして第1偏心供給路131から処理流路130内に導かれた混合流体は、旋回流となって処理流路130の一端から他端に向かって流れる。また、第2偏心供給路132に導かれた混合流体は、吐出開口132bから処理流路130内に吐出される。上記第2偏心供給路132の吐出開口132bは、処理流路130の中心軸に関して偏芯した位置に配置されていると共に、第1偏心供給路131の吐出開口131bと反対側に偏心していることにより、処理流路130を流れた旋回流に対して反対向きの旋回流を形成する。この第2偏心供給路132の吐出開口132bから吐出された混合流体の旋回流が、第1偏心供給路131から流れて来た旋回流と衝突する。その結果、互いの混合流体の気体が効果的に微細化され、ウルトラナノバブルが生成される。こうして生成された空気のウルトラナノバブルを含有する水は、処理流路130の他端に向かって流れ、排出管42を通ってウルトラファインバブル製造器126から排出される。
【0106】
上記変形例のウルトラファインバブル製造器126は、微細化ブロック128を製造する際、単一の金属材料に対する切削加工により、処理流路130、第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132を形成できる。したがって、少ない工数により容易に微細化ブロック128を製造できる。
【0107】
上記変形例のウルトラファインバブル製造器126において、微細化ブロック128の第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132は、処理流路130の軸方向視において互いに90°の角度を成すように配置されたが、互いに0度の角度を成すように配置されてもよい。また、微細化ブロック128の第1偏心供給路131及び第2偏心供給路132は、いずれも2個ずつ設けたが、いずれか一方又は両方を1個ずつ設けてもよい。
【0108】
また、上記実施形態において、バブル水製造装置3は、他の構成のバブル水製造装置を採用してもよい。
図11は、変形例のバブル水製造装置103を示す模式図である。このバブル水製造装置103は、バブル水タンク2から原料水としての水道水、ファインバブル水、又は、水道水とファインバブル水の混合した水を吸引する第1ポンプとしての吸引ポンプ121を備える。
【0109】
上記吸引ポンプ121と並列に、吸引ポンプ121から吐出される原料水に、空気を混合して水と空気の混合流体を形成する混合器としてのエジェクタ122が設けられている。すなわち、吸引ポンプ121の吸入側と吐出側の間に、エジェクタ122が介設されている。エジェクタ122には、空気を取り入れる吸気管に、混合流体に混合する空気の量を調整するための流量調整弁で形成された混合エア量調整弁127が連結されている。混合エア量調整弁127の上流側には、空気を貯留する気体タンク124が接続されている。この気体タンク124は、大気から吸入した空気を浄化する清浄装置を設けるのが好ましい。
【0110】
上記吸引ポンプ121の下流側には、混合流体の空気を微細化してウルトラファインバブルを形成する上記ウルトラファインバブル製造器26が接続されている。ウルトラファインバブル製造器26に替えて、変形例のウルトラファインバブル製造器126を接続してもよい。上記吸引ポンプ121とウルトラファインバブル製造器26との間には、ウルトラファインバブル製造器26に導かれる流体のうちの液体の圧力を測定する第1液圧センサ141が設けられている。ウルトラファインバブル製造器26の下流側には、流体を吸引する第2ポンプとしてのカスケードポンプ123が設けられている。ウルトラファインバブル製造器26とカスケードポンプ123との間には、ウルトラファインバブル製造器26から吐出される流体のうちの液体の圧力を測定する第2液圧センサ142が設けられている。この第2液圧センサ142の測定値に基づいて、制御装置143によりカスケードポンプ123の動作を制御するように構成されている。
【0111】
カスケードポンプ123の下流側には、ウルトラファインバブルを含有する水から、水に添加されずに残留した余剰の空気を分離する気液分離器125が接続されている。気液分離器125で分離された空気は、気体タンク124に戻される一方、ウルトラファインバブルを含有する水は、水タンク2に戻されるようになっている。ここで、バブル水製造装置103の第1ポンプとしては、水中ポンプ以外に、陸上ポンプ等の容積ポンプを用いてもよい。また、第2ポンプとしては、カスケードポンプ以外のポンプを用いてもよいが、遠心ポンプを用いるのが好ましい。
【0112】
この変形例のバブル水製造装置103は、混合エア量調整弁127の開度と、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の流体の吐出流量又は吐出圧力を調節することにより、バブル水タンク2へ導かれるウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節することができる。
【0113】
また、このバブル水製造装置103は、バブル水タンク2の水のウルトラファインバブルの濃度を測定し、この測定値に基づいて、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の吐出量と、混合エア量調整弁127の開度を調節して、バブル水タンク2のウルトラファインバブルの濃度を調節することができる。
【0114】
上記バブル水製造装置103は、第2の制御装置を設け、この第2の制御装置により、上記混合エア量調整弁127の開度と、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123による流体の吐出流量又は吐出圧力を制御して、バブル水タンク2のウルトラファインバブルの粒径と濃度を調節してもよい。
【0115】
例えば、バブル水タンク2の流体に含まれる気泡の径を小さくするためには、混合エア量調整弁127の開度を下げてエジェクタ122への空気の供給量を低減し、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の運転を継続する。バブル水タンク2の流体が、吸引ポンプ121で吸引されてウルトラファインバブル製造器26に導かれ、含有する気泡が微細化されてカスケードポンプ123に吸引され、バブル水タンク2に戻される。バブル水タンク2の流体を、吸引ポンプ121、ウルトラファインバブル製造器26及びカスケードポンプ123に循環させることにより、この流体に含まれる気泡の径を効果的に小さくすることができる。
【0116】
また、例えば、バブル水タンク2の流体に含まれる気泡の濃度を増加させるためには、混合エア量調整弁127の開度を上げてエジェクタ122への空気の供給量を増やし、吸引ポンプ121及びカスケードポンプ123の運転を継続する。バブル水タンク2の流体が、吸引ポンプ121で吸引されて一部がエジェクタ122に導かれて空気が添加される。また、他の部分は吸引ポンプ121からウルトラファインバブル製造器26に導かれる。流体の気泡がウルトラファインバブル製造器26で微細化され、カスケードポンプ123に吸引されて、バブル水タンク2に戻される。バブル水タンク2の流体を、吸引ポンプ121、エジェクタ122、ウルトラファインバブル製造器26及びカスケードポンプ123に循環させることにより、この流体に含まれる気泡の濃度を効果的に増大させることができる。
【0117】
上記バブル水製造装置103のウルトラファインバブル製造器26には、上流側と下流側の間、すなわち、供給管41の流体の圧力と排出管42の流体の圧力との間に、4MPa以上6MPa以下の圧力差が生じるように、吸引ポンプ121の吐出量とカスケードポンプ123の吸入量を調節するのが好ましい。この場合、供給管41における流体の圧力を、排出管42における流体の圧力よりも高く調節する。このように、ウルトラファインバブル製造器26の上流側と下流側の間に、4MPa以上6MPa以下の圧力差を生じさせることにより、ウルトラファインバブル製造器26により安定してウルトラファインバブルを含有する水を製造することができる。
【0118】
このようにして、変形例のバブル水製造装置103により、安定して50~70nmのウルトラファインバブルを形成することができる。また、このバブル水製造装置103は、空気以外に、酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造してもよい。酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造する場合、水に添加されなかった余剰の酸素や水素を、気液分離器125で分離して、気体タンク124に戻すことにより、酸素や水素がバブル水製造装置103の外部に漏洩する不都合を防止できる。したがって、酸素や水素のウルトラファインバブルを含有する水を製造する場合に、酸素や水素の漏洩に起因する火災などの不都合を効果的に防止できる。
【0119】
上記実施形態において、ウルトラファインバブル製造器26の微細化ブロック28は、旋回流形成部としての第1旋回室31と第2旋回室33を有したが、2個に限られず、3個以上の旋回流形成部を有してもよい。また、ウルトラファインバブル製造器126の微細化ブロック128は、旋回流形成部としての第1偏心供給路131と第2偏心供給路132を有したが、2個に限られず、3個以上の旋回流形成部を有してもよい。
【0120】
また、上記実施形態において、食用豚に、空気のウルトラファインバブルを含有する水を給与したが、空気以外に、水素や酸素等の他の気体のウルトラファインバブルを含有する水を給与してもよい。また、水以外に、微酸性電解水や、その他の各種の成分を含有する水にウルトラファインバブルを含有させた飲用水を給与してもよい。水素のウルトラファインバブルを含有する水を用いた場合と、酸素のウルトラファインバブルを含有する水を用いた場合においても、食用豚の成長を促進できる効果や、豚の飼料の消費量の低減効果が確認された。また、微酸性電解水を用いた場合においても、食用豚の成長を促進できる効果が確認された。
【実施例0121】
本発明の実施例では、食用豚の飲用水として、上述のバブル水製造装置3により、次のような空気のウルトラファインバブルを含有するウルトラファインバブル水を作成した。
算術個数平均径:89.8nm
最大頻出径:60.3nm
標準偏差:44.2nm
10%径:54.5nm
50%径:74.5nm
90%径:140.7nm
個数濃度:1.75×108個/mL
これらの値の測定は、日本カンタム・デザイン社製の名の粒子解析装置NANOSIGHT NS500にて行った。
【0122】
(試験1)
試験1では、肥育を行う肥育豚舎に試験区と対照区を設け、各区で体重が約75kgの肥育後期の食用豚を3頭ずつ肥育した。各区で肥育した3頭は、いずれも雄が1頭であり、雌が2頭である。試験区ではウルトラファインバブル水を自由飲水させ、対照区では山梨県の水道水を自由引水させた。試験区と対照区のいずれも、同一の市販の肥育用配合飼料を給与した。試験区と対照区で体重が概ね110kgに達した食用豚について、発育速度、肉質及び枝肉成績等の分析を行った。次の表1は、肥育の開始時の体重と、肥育期間の終了時の体重と、肥育期間による1日平均増体重と、肥育日数と、飼料要求率である。いずれも、1頭当たりの平均値である。表2は、試験区及び対照区で肥育した食用豚から得られた枝肉の計測結果である。表3乃至5は、試験区及び対照区で肥育した食用豚から得られたロース肉の肉質の分析結果である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0123】
表1から分かるように、発育速度については、肥育開始から出荷到達までの1日平均増体重が試験区で有意に高く、肥育日数は対照区と比較して5日短縮された。また、試験期間中の飼料摂取量は、対照区の平均で124kg/頭である一方、試験区の平均で111.5kg/頭であった。その結果、試験区は、対照区よりも12.5kg/頭の飼料の削減を行うことができた。なお、飼料摂取量は、終了体重と開始体重との差に飼料要求率を乗じて求められる。
【0124】
枝肉の計測結果については、表2から分かるように、試験区と対照区の間で有意な差は見られなかった。ロース肉の肉質については、表3から分かるように、試験区は、筋肉内脂肪含量が対照区よりも多く、ドリップロスが対照区よりも少なかった。また、表4から分かるように、試験区は、破断強度が対照区よりも小さかった。以上より、ウルトラファインバブル水の給与により、ドリップロスの少なく、霜降りの柔らかいロース肉が得られるといえる。
【0125】
また、表5から分かるように、酸化しやすく悪臭の原因になりやすいリノール酸やリノレン酸等の多価不飽和脂肪酸は、試験区が対照区よりも少ない。一方、パルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸と、パルミトレイン酸やオレイン酸等の一価不飽和脂肪酸は、試験区が対照区よりも多い。したがって、悪臭が少なく、LDLコレステロールを低下でき、舌触りの良い豚肉が得られるといえる。
【0126】
(試験2)
試験2では、肥育を行う肥育豚舎に3つの試験区と1つの対照区を設け、各区で体重が約35kgの肥育前期の食用豚を4頭ずつ肥育した。各区で肥育した4頭は、いずれも雄が2頭であり、雌が2頭である。試験区1ではウルトラファインバブル水を自由飲水させ、試験区2では植物抽出物混合発酵液の水溶液を自由飲水させ、試験区3ではウルトラファインバブル水と植物抽出物混合発酵液の水溶液の混合液を自由飲水させた。対照区では山梨県の水道水を自由引水させた。植物抽出物混合発酵液の水溶液は、株式会社T.Sエコファーム社製のT.Sミネターゼを、500倍の水道水で希釈して作製した。試験区と対照区のいずれも、同一の市販の肥育用配合飼料を給与した。試験区と対照区で体重が概ね110kgに達した食用豚について、発育速度、肉質及び枝肉成績等の分析を行った。試験区1は、
図1の第1飼育エリアA1に設定でき、試験区2は第3飼育エリアA3に設定でき、試験区3は第2飼育エリアA2に設定でき、対照区は第4飼育エリアA4に設定できる。
【0127】
次の表6は、肥育前期の開始時の体重と、肥育後期の開始時の体重と、肥育後期の終了時の体重と、全肥育期間による1日平均増体重と、肥育日数である。いずれも、1頭当たりの平均値である。表7は、肥育前期と肥育後期における1日平均増体重と、飼料要求率であり、いずれも1頭当たりの平均値である。表8は、試験区及び対照区で肥育した食用豚から得られた枝肉の計測結果である。表9及び10は、試験区及び対照区で肥育した食用豚から得られたロース肉の肉質の分析結果である。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0128】
表6から分かるように、発育速度については、肥育開始から出荷到達までの1日平均増体重が試験区1乃至3で有意に高く、肥育日数は対照区と比較して最大で11日短縮された。また、試験期間中の飼料摂取量は、対照区の平均で381.7kg/頭である一方、試験区1の平均で320.1kg/頭、試験区2の平均で310.2kg/頭、試験区3の平均で389.4kg/頭である。その結果、試験区1で61.6kg/頭の飼料を削減でき、試験区2で71.5kg/頭の飼料を削減できる。
【0129】
枝肉の計測結果については、表8から分かるように、試験区2において、ロース断面積が対照区よりも大きい。他の計測結果については、試験区と対照区の間で有意な差は見られなかった。ロース肉の肉質については、表9から分かるように、試験区3は、ドリップロスが対照区よりも少なく、筋肉内脂肪含量が対照区よりも多い。また、表10から分かるように、試験区1は、伸展率が対照区よりも大きかった。以上より、ウルトラファインバブル水の給与により、ドリップロスの少なく、霜降りの柔らかいロース肉が得られるといえる。
【0130】
また、表5から分かるように、酸化しやすく悪臭の原因になりやすいリノール酸やリノレン酸等の多価不飽和脂肪酸は、試験区が対照区よりも少ない。一方、パルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸と、パルミトレイン酸やオレイン酸等の一価不飽和脂肪酸は、試験区が対照区よりも多い。したがって、悪臭が少なく、LDLコレステロールを低下でき、舌触りの良い豚肉が得られるといえる。
【0131】
本発明は、以上説明した実施の形態又は実施例に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。