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特開2023-80149片面に不浸透層を有し、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材の製造方法
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  • 特開-片面に不浸透層を有し、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材の製造方法 図1
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  • 特開-片面に不浸透層を有し、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080149
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】片面に不浸透層を有し、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/36 20060101AFI20230601BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230601BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20230601BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20230601BHJP
   D06M 15/248 20060101ALI20230601BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20230601BHJP
   D06M 15/507 20060101ALI20230601BHJP
   D06M 15/572 20060101ALI20230601BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230601BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20230601BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B05D1/36 Z
B05D7/00 A
B05D7/00 B
B05D5/00 Z
D06M15/227
D06M15/248
D06M15/263
D06M15/507
D06M15/572
B32B5/02 Z
B32B27/02
B32B27/36
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023059962
(22)【出願日】2023-04-03
(62)【分割の表示】P 2020549866の分割
【原出願日】2017-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】520195718
【氏名又は名称】テーヴェーエー ミューレベーク
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デビッテ、グリート
(72)【発明者】
【氏名】ミシェルス、ダニー
(72)【発明者】
【氏名】ロスター、ドミニク
(57)【要約】
【課題】 片面に不浸透層を有し、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材の製造方法を提供することである。
【解決手段】 本方法は、共通の一般的な配向を有する繊維(1)をカーディング(2)して、ウェブを形成する工程、繊維を結合(4)して、不織布シート素材にする工程、素材の一方の面上に滑り止めコーティングを塗布(7)する工程、不織布素材の第二の面上にポリマーを塗布する工程、および方法全体にわたって繊維の配向を維持する工程を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に不浸透層を、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材を製造する方法であって、
共通の一般的な配向を有する繊維をカーディングし、ウェブを形成する工程と、
前記繊維を結合して不織布シート素材にする工程と、
前記不織布シート素材の一方の面に滑り止めコーティングを塗布する工程と、
を含み、前記不織布シート素材の第二の面にポリマーを塗布する工程と、
工程全体にわたって前記繊維の配向を維持する工程と
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
カーディング繊維の少なくとも2枚のウェブが重ね合わされ、前記結合工程で一緒に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記滑り止めコーティングが、ホットメルトコーティングによって塗布される、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記もう片面へのポリマーの塗布が、高速で実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、高速ラミネートによって、または押出/溶融ポリマーの噴霧によって前記不織布シート素材上に塗布される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記不浸透性コーティングが、ホットメルト押出によって塗布される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記不浸透層上に1つ以上の追加の不織布シート素材を適用することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
追加のシート素材上に、1つ以上のポリマー層を塗布することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記不浸透層上に、1つ以上のポリマー層を塗布することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
片面に不浸透層を、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材であって、前記不織布シート素材の繊維が、共通の一般的な配向を有することを特徴とする、不織布シート素材。
【請求項11】
180g/m以下の重量を有する、請求項10に記載の不織布シート素材。
【請求項12】
繊維の、少なくとも1つのブレンドを含む、請求項10および11のいずれか一項に記載の不織布シート素材。
【請求項13】
繊維の、少なくとも1つのブレンドが、厚さ2、4、6または15dnの結合繊維bico PET/CoPETを含むPET繊維100%のブレンド、生分解性繊維であるPLA繊維100%のブレンド、PET構造繊維と他のbico繊維とのブレンド、PETとビスコース繊維とのブレンド、またはPETとセルロース繊維とのブレンドを含む群から選択される、請求項12に記載の不織布シート素材。
【請求項14】
前記不浸透層の上に、1つ以上の追加の不織布シート素材および/または1つ以上の追加のポリマー層を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の不織布シート素材。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか一項に記載の不織布シート素材から作製された、表面を保護するための物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の飛沫を受けやすい、または表面を劣化させる作業中に、表面を保護するために使用する、一時的な保護の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば改修作業または子供の遊びから、床、家具、階段またはガラス窓などの表面を一時的に保護する、使い捨てまたはシングルユースの保護具は、20年余りの間市販されている。特に、不浸透性で滑りにくいフリースまたはシート素材は、非常に人気が高い。それらは3層、すなわち不織布素材の中央層、不浸透性バリアまたは液体不透過性もしくは防水性膜の最上層、および滑り止めコーティングの最下層からできている。
【0003】
そのような不浸透性の滑り止めシート素材は、引き裂き耐性があり、かつその上を歩く人、およびその上に設置されている作業用機材、例えばはしごなどを支える必要がある。ある程度まで、素材は、数回再利用するのに十分な耐性を有するべきでもある。製品の耐用期間にわたって、不浸透性を確保する必要もある。滑り止めコーティングの質は、ユーザーの安全にとって最も重要である。しかしながら、不透過性によって、素材の通気性を妨げるべきではない。
【0004】
これまでこのような3層素材は、以下の方法で製造されている。
【0005】
第1の工程において、不織布層が製造される。おおよそ平行に配向された繊維のウェブを、カーディング機でステープル繊維から調製する。次にウェブをクロスラッパーに入れ、ウェブの層を連続的に折り重ねて積み上げ、積み重ねた層の底部をゆっくりと垂直方向に移動させる(図1)。クロスラッピングにより、一方では素材の持続性が確保され、もう一方では不織布の縦方向および横方向の耐性が、同時に確保される。実際、この作業の後、繊維は、ランダムな配向に従って配置される。次に、得られたウェブは、機械的、化学的、および/または熱的操作によって結合され、通常、約120g/mを超える重量の不織布素材になる。
【0006】
第2の工程では、不織布素材の一方の面に滑り止めコーティングを塗布する。通常、粘着付与剤の有無にかかわらず、アクリルバインダーを不織布上に噴霧する。
【0007】
最後の工程では、ポリマー不浸透層(impermeable layer)を膜または箔から、不織布素材のもう一方の面にラミネートする。
【0008】
この生産方法は、クロスラッパー(crosslapper)によって、生産ラインの装置の配置に90°の角度偏向が生じるため、L-プロセスと呼ばれる。
【0009】
この方法により、非常に耐性のある不浸透性滑り止めシート素材が製造できる一方、その生産量は非常に制限される。クロスラッピング工程は、出力速度が約25m/分に制限されている。同様の制限が、通常はホットメルトおよび赤外線ヒーターを使用して実施されるラミネート工程に適用される。
【0010】
そのような不浸透性滑り止め製品に対する高い需要を考慮して、出願人は、生産速度またはスピードを改善でき、結果として製造コストを削減できる、新しい製造方法を探求する必要があると判断した。
【発明の概要】
【0011】
この趣旨で、出願人は、片面に不浸透層を、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材を製造する方法であって、
共通の一般的な配向を有する繊維をカーディング(carding)し、ウェブを形成する工程と、
繊維を結合して不織布シート素材にする工程と、
不織布シート素材の一方の面に滑り止めコーティングを塗布する工程とを含み、
不織布シート素材の第二の面にポリマーを塗布する工程、および
工程全体にわたって繊維の配向を維持する工程
をさらに含むことを特徴とする方法を提案する。
【0012】
したがって、本発明の場合の方法は、並列またはインラインプロセス(inline process)、または一方向プロセスとさえ呼ぶことができ、これは、結合(bonding)前に繊維ウェブに適用された、クロスラッピングがないことを意味する。したがって、プロセスに関与する一連の装置に角度は入れられず、カーディング、結合、滑り止めおよび不浸透性ポリマーの塗布用の装置が、一直線に並べられる。
【0013】
不織布シート素材のインライン製造は、数年前から知られている。その製造方法は200m/分超で実行できるが、最大3つの並列カーディング機を使用して結合前に3つの層を重ねる場合、不浸透性滑り止め保護に通常使用されるものよりもはるかに軽い、すなわち、限定されないが、最低重量約100g/mまたは約120g/m、限定されないが、最大重量180g/m以上の不織布素材シートが製造される。さらに、そのような不織布素材シートの繊維は、本質的に平行であり、その結果、素材の横強度が著しく失われる。
【0014】
歴史的に、不浸透性滑り止め素材の製造方法は、いずれにせよ不浸透性バリアのラミネートによって速度が制限されていた。そのため、L-プロセスを差し替えて、インラインプロセスで不織布素材を製造することは、横方向の強度の消失など、おそらくは差し替えにより不利益しか生じなかったので、全く考えられていなかった。
【0015】
ごく最近になって、ポリマーを最高速度200m/分で、大きな面に工業的に塗布する技術が、利用可能になった。例えば、不浸透性ポリマーは、例えば電磁加熱、超音波処理、ホットメルト接着剤または幅広ウェブ噴霧ラミネートを使用して、高速ラミネートによって塗布することができる。不浸透性ポリマーは、押し出された/溶融したポリマーを、不織布素材に噴霧することによっても塗布できる。高速のポリマー塗布を可能にする他の技術も利用できるか、または利用可能になり得、本発明の特許請求の範囲に包含されるべきでもある。
【0016】
高速とは、現在使用されている25m/分という現在の速度よりも速い、例えば50m/分よりも速い、好ましくは100m/分よりも速いラインの速度と理解すべきである。
【0017】
不織布素材を製造するL-プロセスをインラインプロセスへ差し替え、併せて不浸透層の標準的なラミネートを上記の高速技術へ差し替えると、得られる不浸透性バリアが、最終製品に十分な耐性を与えて、不織布層の横強度の損失を補うことが分かった。
【0018】
プロセスの2つの工程、つまり生産ラインの2つの装置を大胆に差し替えることにより、出願人は、最終製品の品質が低下するという不利益を克服した。本明細書で新しく提案された方法により、不浸透性滑り止め不織布シート素材の生産速度を最大で約10倍に高め、最終製品のあらゆる方向に対する非常に良好な耐性を維持しながら、中央の不織布層の密度/重量を約120g/m未満に抑えることができる。これが、本発明の方法が必要な進歩性を伴う理由である。
【0019】
さらに、これまで滑り止め層は、噴霧乾燥技術によって塗布されたアクリルバインダーであり、これも工程の速度制限の原因であった。出願人は、この工程を、より高速の出力を可能にする技術に差し替えることも検討し、これに限定されないが、例えばポリウレタンコーティングのような他の素材は、最大200m/分の速度で塗布できることを見出した。
【0020】
インラインプロセスを使用する利点は、複数の、通常は3台までのカーディング機が並行して作動できることであり、平行ウェブは、接合の直前に重ねられる。ウェブは同様の繊維で作ることができるが、各ウェブに異なる繊維のブレンドを使用できることは興味深いことであり、各ブレンドは、得られる結合された不織布素材に特定の性質を与える。繊維のあるブレンドは、例えば、難燃性を有することができ、別のブレンドは、疎水性を与えることができる。
【0021】
出願人の保護のために、本方法により得られた製品も特許請求されており、前記製品は、片面に不浸透層を、もう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材であり、不織布シート素材の繊維が、共通の一般的な配向を有することを特徴とする。
【0022】
言及される共通の一般的な方向とは、当業者に知られている縦方向(MD)である。
【0023】
製品は、共通の一般的な配向に沿って繊維を維持するという独自の発明概念によって、特許請求されている方法と完全に関連付けられている。
【0024】
本発明は、添付の図面を参照して、下記のいくつかの例の説明によって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるL-プロセスを示すブロック図である。
図2】本発明の方法の実施を示すブロック図である。
図3】本発明の製品の断面を示す。
図4】追加の層を含む、本発明の製品の断面を示す。
【0026】
図2を参照すると、第1の工程で、ベールオープナー1に含まれる未加工繊維がカーディング機2に導入され、そこで一方向にカーディングされてウェブになる。次にウェブは、コンベヤーベルト3によって、ラインに沿って移動する。第2の工程では、ウェブの繊維が、冷却ゾーン5を通過する前にオーブン4で結合される。次の工程では、結合によって得られた不織布素材に、その表面の一方に押出ポリマー、つまり押出機6で溶融したポリマーを噴霧する。最終の工程では、滑り止めコーティングが、コーティング機7においてそのもう一方の表面に噴霧される。得られた製品は、ここでさらに、巻き取り装置8によって巻き取られる。ここでは、任意のニードリングモジュール9が、カーディング工程と結合工程との間に挿入されている。
【0027】
図を明確にするために、1つのベールオープナー1および1つのカーディング機のみが示されているが、当業者には明らかであるように、製造する素材の仕様に応じて複数のベールオープナー、および複数のカーディング機が装備されてもよい。
【0028】
この方法を実行すると、図3に示すような、物品10が製造される。複数の繊維14から作製された不織布素材層11は、片面が不浸透層12によって覆われ、もう片面が滑り止めコーティング13によって覆われる。
【0029】
カーディングは、繊維をほぐし、洗浄し、混合して後続の加工に適した連続ウェブを生産する機械的処理である。これは、針布で覆われた、動きの異なる表面の間に繊維を通過させることによって達成される。繊維の固まりおよび組織化されていない束を解体し、個々の繊維を互いに平行になるように揃える。繊維は直線要素ではなく、厳密に平行ではないが、図3に示すように、全体的に共通の一般的な方向に配向される。さらに、繊維が直線要素ではないという事実によって、繊維間の接触点ができ、これらの接触点は、結合工程中の結合点である。
【0030】
不織布素材に期待される厚さおよび/または重量に応じて、同一のまたは異なる成分のカーディング繊維の複数の層を、当業者に周知の技術および装置を使用して、結合前に重ねることができる。複数の、通常は3台までのカーディング機を並行して使用すると、高速で作業できる。次に、得られたウェブは、結合の前、または工程にニードリングが装備される場合は、その前に重ねられる。これは、複数の繊維ブレンドの異なる性質を組み合わせることができる、という利点も示す。
【0031】
このインライン構成では、不織布の全体の厚さは、各カーディング機から出るウェブの厚さ、および並行して作動するカーディング機の数に依存する。一般に、並行して使用されるカーディング機は3台以下であり、得られる不織布の重量は約200g/m、好ましくは120g/mに制限されるが、これらの数値は限定するものではない。さらに、カーディング工程で繊維に与えられる一般的な配向は、結合工程で維持され、その結果不織布は、繊維の一般的な配向と平行である、縦方向に高い引裂耐性を有し、横方向により低い引裂耐性を有する。
【0032】
これは、クロスラッピング工程によりカーディング繊維のウェブが10層以上に重ねられ得、さらに2つの連続する層間で異なる、繊維の一般的な配向における偏りが生じ得る、先行技術のL-プロセス(図1)とは区別されるべきである。したがって、クロスラッピングにより、インラインプロセスを使用する場合よりもはるかに厚い、典型的には120g/mを超える不織布素材が得られる。得られる不織布はまた、全方向に対する引裂耐性が高い。
【0033】
任意のニードリング工程によって、繊維が垂直方向に混ざり合うことができ、複数のカーディング機を使用する場合は、特に推奨される。ここでの垂直方向とは、前の段落で開示された縦方向および横方向に垂直な方向、すなわち、ウェブの様々な層を横切る方向を指す。ニードリングで、繊維を交絡させることにより、ウェブ層のより良好な接着を得ることができる。水流交絡は、ニードリングの代わりに、またはそれに加えて使用できる。ニードリングおよび水流交絡は、当業者に周知の技術である。当業者に知られているように、例えば、ポリマーの押出、ナイフオーバーロールまたは任意の好適なコーティング技術のいずれかによる化学結合のような、他の補強技術も使用することができる。
【0034】
不織布層を完成させるための繊維の結合は、機械的結合または化学的結合のような、異なる技術を使用して実施できる。この場合、結合は、好ましくは熱結合の工程を単独で、または別の技術と組み合わせて含む。好ましくは、本発明の不織布は、乾式熱接着不織布である。機械的結合、化学的結合および熱結合の組み合わせも選択できる。
【0035】
不織布素材に使用される繊維は、任意のタイプ、または任意の好適な組み合わせの任意のブレンド、例えば、PET繊維100%のブレンド(繊維の厚さは、1.7dt~17dtの範囲である)、2、4、6、または15dnの厚さの結合繊維bico PET/CoPETを含むPET繊維100%のブレンド、生分解性繊維であるPLA繊維100%のブレンド、PET構造繊維と、PET/PP、PET/PE、PP/PEなどの代替ポリマーで作られた他のbico繊維とのブレンド、PETとビスコース繊維とのブレンド、PETとセルロース繊維とのブレンド、またはPA繊維をさらに含む前述のいずれかのブレンドであり得る。すでに述べたように、各カーディング層は、繊維の異なるブレンド、または繊維の同じブレンドで作ることができる。最終的に期待される不織布素材層の特性に応じて、任意の組み合わせを実行することができる。
【0036】
カーディング繊維に通常適用される熱処理は、繊維の性質および結合に必要な温度に応じて、30℃~250℃、好ましくは130℃~140℃の範囲である。
【0037】
前の工程で得られた不織布素材の重量は、通常約180g/m未満であるが、場合によっては、それさらに高い重量を有し得る。
【0038】
不浸透層を形成するポリマーの噴霧押出は、例えば、PET、PE、PP、PU、PTFE、TPU、PLAまたはPVCを用いて実施できる。ポリマーは、その溶融温度またはガラス転移温度またはそれらの組み合わせを超える温度で、ホットメルト押出によって噴霧される。この温度により、得られるポリマー層が、不織布層の表面で繊維と「結合」もするので、不織布との良好な接着が可能にもなる。ポリマー不浸透層は、典型的には、10~60μm、好ましくは20~40μm、さらに好ましくは約30μmの厚さを有する。同じポリマーを、高速ラミネートに使用できる。
【0039】
この工程を実施する装置は、例えば、LACOM GmbH社によって販売されているラミネートおよび/またはコーティングシステムのように、市場で入手可能である。
【0040】
もう片方の表面に塗布される滑り止めコーティングは、例えば、ポリウレタン、アクリルバインダー、PVAバインダー、EVA、ゴム、ポリオレフィンまたはPAでできている。それはまた、感圧接着剤であってもよい。それはまた、充填剤、樹脂、帯電防止添加剤、架橋剤、またはその他任意の好適な添加剤を含むこともできる。噴霧は、ホットメルト技術によって、または水もしくは他の溶媒に溶解したポリマーを噴霧することによって実施できる。化学結合はまた、当業者に知られているように、例えばポリマー押出、ナイフオーバーロールまたは任意の好適なコーティングシステムを使用する、滑り止めコーティングの塗布に適した技術である。
【0041】
滑り止めコーティング工程は、不浸透層のポリマー押出の前に実施してもよい。これらの工程の順序は、本発明の方法の本質的な特徴ではない。
【0042】
3層製品の製造を、上記で説明した。しかしながら、シート素材は、3つより多い層を有することが可能であり、追加の層が不浸透性表面の上に適用される。本発明の不織布シート素材は、不浸透層の上に、1つ以上の追加の不織布シート素材および/または1つ以上の追加のポリマー層を含むことができる。
【0043】
特に、繊維が共通の一般的な配向を有する1つ以上の追加不織布シート素材は、不浸透層上に適用され得る。1つ以上の追加不織布シート素材は、第1の不織布シート素材と同じ組成、または最終製品に追加の性質を与えるために、異なる組成を有することができる。
【0044】
1つ以上の追加のポリマー層を、不浸透層上に直接、または追加の不織布素材上に塗布することもできる。1つ以上の追加のポリマー層は、任意の種類、例えば浸透性または不浸透性の、上記の何らかのポリマー素材であり得る。同一のまたは異なる特性を有する複数の追加ポリマー層も、互いの上に塗布することができる。
【0045】
本発明は、片面に不浸透層およびもう片面に滑り止めコーティングを有する不織布シート素材であって、不織布シート素材の繊維が共通の一般的な配向を有し、任意で追加の不織布および/またはポリマー層を不浸透層上に適用できる不織布シート素材に関することを、理解すべきである。追加の不織布層および/またはポリマー層を交互にして、製品に特定の特性を与えることができる。
【0046】
例えば、図4に示されるように、複数の繊維44から作製された不織布素材層41は、片面が不浸透層42によって覆われ、もう片面が滑り止めコーティング43によって覆われる。第2の不織布層45が、不浸透層42上に適用される。第2のポリマー層46が、第2の不織布層45上に塗布される。
【0047】
ここでは、第2の不織布層は、一般的な共通の配向を有する繊維で表されている。両方の不織布層の繊維は、用途に応じて、同じ性質のものでも、異なる性質のものでもよい。
【0048】
第2のポリマー層46は、ここでは、例えば流出物からの液体を通過させる、浸透層であってもよい。下の不織布層45は、例えば液体の吸収および分散を促進して、製品の表面の外見を乾燥した状態にしておくことができる。
【0049】
第2のポリマー層は、例えば、滑り止め性質をも有し得、かつ/またはユーザーがシート素材を適切に配置するのに役立つ、特定の色を有し得る。
【0050】
製品の意図された特定の使用に適した、追加の不織布層および/または追加のポリマー層の任意の組み合わせを想定することができる。

図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】