(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008015
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】作業現場監視システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230112BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20230112BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230112BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G06T7/00 Z
E02F9/24 B
E02F9/20 C
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111237
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】細 幸広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】邱 進軍
(72)【発明者】
【氏名】宗正 佳樹
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5C086
5L096
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB06
2D003BA07
2D003DA04
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
5C086AA22
5C086AA52
5C086BA19
5C086CA11
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA15
5C086FA18
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA02
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】作業機械の作業効率の低下を抑制することが可能な作業現場監視システムを提供する。
【解決手段】作業現場を撮像するカメラ2と、カメラ2が撮像した画像に基づいて、作業現場内の作業機械20を検出する物体検出手段と、物体検出手段が検出した作業機械20の位置を取得する位置取得手段と、物体検出手段が検出した作業機械20の種類を判別する種類判別手段と、物体検出手段が検出した作業機械20に対して、種類判別手段が判別した種類に応じた作業エリアを設定する作業エリア設定手段と、位置取得手段が取得した作業機械20の位置と、作業エリア設定手段が設定した作業エリアとに基づいて、非安全状態を検出する非安全状態検出手段と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像に基づいて、前記作業現場内の作業機械を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段が検出した前記作業機械の位置を取得する位置取得手段と、
前記物体検出手段が検出した前記作業機械の種類を判別する種類判別手段と、
前記物体検出手段が検出した前記作業機械に対して、前記種類判別手段が判別した前記種類に応じた作業エリアを設定する作業エリア設定手段と、
前記位置取得手段が取得した前記作業機械の位置と、前記作業エリア設定手段が設定した前記作業エリアとに基づいて、非安全状態を検出する非安全状態検出手段と、
を有することを特徴とする作業現場監視システム。
【請求項2】
前記物体検出手段は、前記作業現場内の人を検出し、
前記位置取得手段は、前記物体検出手段が検出した前記人の位置を取得し、
前記非安全状態検出手段は、前記位置取得手段が取得した前記人の位置と、前記作業エリア設定手段が設定した前記作業エリアとに基づいて、前記非安全状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の作業現場監視システム。
【請求項3】
前記非安全状態は、前記作業エリア内に前記人が侵入した状態を含むことを特徴とする請求項2に記載の作業現場監視システム。
【請求項4】
前記非安全状態は、前記作業エリア内に前記作業機械が侵入した状態を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【請求項5】
前記非安全状態は、前記作業機械の機体が自身の前記作業エリアを逸脱した状態を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【請求項6】
前記非安全状態に基づいて、非安全レベルを判定する非安全レベル判定手段と、
前記非安全レベルに応じて、警告および前記作業機械の停止の少なくとも一方を行う制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【請求項7】
前記作業機械の種類には、自動運転される前記作業機械が含まれ、
前記作業エリア設定手段は、自動運転される前記作業機械に対して、自動運転の作業計画情報に基づいて前記作業エリアを設定することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【請求項8】
自動運転される前記作業機械に前記オペレータが搭乗しているか否かを判定する判定手段を有し、
前記作業エリア設定手段は、自動運転される前記作業機械に対して、前記判定手段による判定結果に基づいて前記作業エリアを設定することを特徴とする請求項7に記載の作業現場監視システム。
【請求項9】
前記作業機械の種類には、オペレータが搭乗した前記作業機械、および、遠隔操作される前記作業機械が含まれ、
前記オペレータが搭乗した前記作業機械、および、遠隔操作される前記作業機械の作業内容を記憶する記憶装置を有し、
前記作業エリア設定手段は、前記オペレータが搭乗した前記作業機械、および、遠隔操作される前記作業機械の各々に対して、前記記憶装置が記憶する前記作業内容に基づいて前記作業エリアを設定することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【請求項10】
前記非安全状態に基づいて、非安全レベルを判定する非安全レベル判定手段と、
所定期間毎に、前記非安全レベル判定手段の判定結果を外部に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の作業現場監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場内の人および作業機械を監視する作業現場監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業現場において、作業機械などのターゲット同士が接触するのを防止する安全管理システムが開示されている。この安全管理システムでは、撮影手段で作業現場全体を撮影し、作業エリア内の作業機械及び作業員の輪郭を捉えてターゲットのエリアを設定し、ターゲットのエリアが互いに接触したとき或は作業エリアから逸脱したときに報知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業現場では、オペレータが搭乗した作業機械、遠隔操縦される作業機械、および、自動運転される作業機械が混在して作業を行っている。オペレータが搭乗した作業機械、遠隔操縦される作業機械、および、自動運転される作業機械で、それぞれ作業内容が異なるため、複数種類の作業機械に対して一律に作業エリアを設定した場合、作業エリア同士の接触や作業エリアからの逸脱といった非安全状態が生じやすくなる場合がある。このような場合、非安全状態の発生に対して報知や作業機械の停止などの対策を行うと、作業機械の作業効率が低下する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、作業機械の作業効率の低下を抑制することが可能な作業現場監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業現場を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像に基づいて、前記作業現場内の作業機械を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段が検出した前記作業機械の位置を取得する位置取得手段と、前記物体検出手段が検出した前記作業機械の種類を判別する種類判別手段と、前記物体検出手段が検出した前記作業機械に対して、前記種類判別手段が判別した前記種類に応じた作業エリアを設定する作業エリア設定手段と、前記位置取得手段が取得した前記作業機械の位置と、前記作業エリア設定手段が設定した前記作業エリアとに基づいて、非安全状態を検出する非安全状態検出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、作業現場内の作業機械に対して、作業機械の種類に応じた作業エリアが設定される。そして、作業現場内の作業機械の位置と、作業エリアとに基づいて、非安全状態が検出される。複数種類の作業機械に対して、作業機械の種類に応じた作業エリアが設定されるので、複数種類の作業機械に対して一律に作業エリアが設定された場合に比べて、非安全状態を正確に検出することができる。これにより、複数種類の作業機械に対して一律に作業エリアが設定された場合に非安全状態として検出されていたような状態が、非安全状態として検出されなくなる場合がある。よって、報知や作業機械の停止などの対策を必要以上に行わなくて済むので、作業機械の作業効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】作業現場監視システムおよび作業機械の回路構成を示す図である。
【
図4】作業機械の作業エリア内に人が侵入した状態を示す図である。
【
図5】作業機械の作業エリアからバケットが逸脱した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業現場監視システムの構成)
本発明の実施形態による作業現場監視システムは、作業現場内の人および作業機械を監視するものである。作業現場監視システム1の構成図である
図1に示すように、作業現場監視システム1は、カメラ2と、LiDAR3と、を有している。
【0011】
カメラ(撮像手段)2は、作業現場に複数台設けられており、それぞれが作業現場を撮像する。作業現場では、オペレータが搭乗した作業機械20A、遠隔操縦される作業機械20B、および、自動運転される作業機械20Cが混在して作業を行っている。これら作業機械20A~20Cをまとめて作業機械20と称する。
【0012】
遠隔操縦される作業機械20Bは、この作業機械20Bから離れた位置に設置されたコクピット71から無線で遠隔操縦される。自動運転される作業機械20Cは、自動運転される前に、タブレット72を操作するオペレータによってティーチングされる。ティーチングされたティーチング情報(自動運転の作業計画情報)により定められる作業内容は、例えば、土砂ピット73から土砂を掬って、ダンプ74の荷台に排土するといったものである。なお、ティーチング以外の手段で、自動運転される作業機械20Cのコントローラに自動運転の作業計画情報が入力されてもよい。
【0013】
LiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)3は、作業現場に複数台設けられている。LiDAR3は、LiDAR3が取り付けられている位置から作業現場内の物体(作業機械20や人)までの距離を示す点群データを取得する。なお、LiDAR3の代わりに、ステレオカメラやTOF(Time Of Flight)センサを用いてもよい。
【0014】
(作業機械の構成)
作業機械20の側面図である
図2に示すように、作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0015】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0016】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂(運搬物)の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33が保持する運搬物は、土砂に限定されず、石でもよく、廃棄物(産業廃棄物など)でもよい。
【0017】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0018】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0019】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0020】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0021】
また、作業機械20は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0022】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0023】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0024】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0026】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0027】
(作業現場監視システムおよび作業機械の回路構成)
作業現場監視システム1および作業機械20の回路構成を示す図である
図3に示すように、作業機械20は、作業機械側コントローラ81と、作業機械側記憶装置82と、作業機械側通信装置83と、を有している。
【0028】
作業機械側コントローラ81には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、作業機械側コントローラ81には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、作業機械側コントローラ81には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、作業機械側コントローラ81には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0029】
自動運転される作業機械20Cの場合、作業機械側記憶装置82は、ティーチング情報を記憶する。自動運転される作業機械20Cの場合、作業機械側コントローラ81は、作業機械側記憶装置82が記憶するティーチング情報に基づいてアタッチメント30および旋回装置25を動作させる。
【0030】
作業機械側通信装置83は、作業現場監視システム1の後述する通信装置8と通信可能である。
【0031】
作業現場監視システム1は、コントローラ5と、記憶装置6と、通信装置8と、を備える。通信装置8は、作業機械20の作業機械側通信装置83と通信可能である。
【0032】
コントローラ5は、物体検出部11と、位置取得部12と、種類判別部13と、作業エリア設定部14と、非安全状態検出部15と、を有している。
【0033】
物体検出部(物体検出手段)11は、カメラ2が撮像した画像に基づいて、作業現場内の作業機械20を検出する。また、物体検出部11は、カメラ2が撮像した画像に基づいて、作業現場内の人を検出する。作業機械20および人の検出には、ディープラーニング技術などを用いてよい。
【0034】
位置取得部(位置取得手段)12は、物体検出部11が検出した作業機械20の位置を取得する。また、位置取得部12は、物体検出部11が検出した人の位置を取得する。具体的には、位置取得部12は、LiDAR3が取り付けられているグローバル座標系の位置(座標)と、LiDAR3から点群データの各点までの距離とを用いて、グローバル座標系における点群データの各点の位置(三次元座標)を算出する。次に、位置取得部12は、点群データの各点の三次元座標を透視投影変換して、点群データの各点の二次元座標を取得する。そして、位置取得部12は、カメラ2が撮像した二次元の画像に、点群データの各点の二次元座標を重畳させる。そして、位置取得部12は、点群データのうち、物体検出部11が検出した作業機械20および人に重なる点の三次元座標から、物体検出部11が検出した作業機械20および人の位置を三次元で取得する。
【0035】
ここで、カメラ2やLiDAR3が取り付けられているグローバル座標系の位置は、GNSSセンサなどの測位センサや、トータルステーションなどの測距センサにより取得される。
【0036】
種類判別部(種類判別手段)13は、物体検出部11が検出した作業機械20の種類を判別する。
図1に示すように、作業機械20の種類の判別には、作業機械20が備えるランプの色が用いられる。オペレータが搭乗した作業機械20Aには、赤色のランプRと黄色のランプYとが取り付けられている。遠隔操縦される作業機械20Bには、赤色のランプRと黄色のランプYと緑色のランプGとが取り付けられている。自動運転される作業機械20Cには、赤色のランプRと黄色のランプYと青色のランプBとが取り付けられている。これらランプの色から、作業機械20の種類が判別される。
【0037】
図3に戻って、作業エリア設定部(作業エリア設定手段)14は、物体検出部11が検出した作業機械20の各々に対して、作業エリアを設定する。ここで、作業エリア設定部14は、種類判別部13が判別した作業機械20の種類に応じた作業エリアを設定する。
【0038】
例えば、オペレータが搭乗した作業機械20Aの作業エリアは、オペレータの操作の自由度を考慮して、遠隔操作される作業機械20Bの作業エリアや、自動運転される作業機械20Cの作業エリアよりも広く設定される。また、自動運転される作業機械20Cの作業エリアは、作業機械20Cの作業内容がティーチングで定められることを考慮して、遠隔操作される作業機械20Bの作業エリアよりも狭く設定される。
【0039】
非安全状態検出部(非安全状態検出手段)15は、位置取得部12が取得した作業機械20の位置と、作業エリア設定部14が設定した作業エリアとに基づいて、非安全状態を検出する。また、非安全状態検出部15は、位置取得部12が取得した人の位置と、作業エリア設定部14が設定した作業エリアとに基づいて、非安全状態を検出する。
【0040】
ここで、非安全状態は、作業エリア内に作業機械20が侵入した状態を含む。また、非安全状態は、作業エリア内に人が侵入した状態を含む。作業エリア内に人が侵入した状態を
図4に示す。
図4では、作業機械20の作業エリア90内に人95が侵入している。
【0041】
また、非安全状態は、作業機械20の機体が自身の作業エリアを逸脱した状態を含む。作業機械20の機体が自身の作業エリアを逸脱した状態を
図5に示す。
図5では、作業機械20の作業エリア90からバケット33が逸脱している。
【0042】
図3に戻って、コントローラ5は、非安全レベル判定部16と、対策制御部17と、を有している。非安全レベル判定部(非安全レベル判定手段)16は、非安全状態検出部15が検出した非安全状態に基づいて、非安全レベルを判定する。本実施形態では、以下の表1に示すように、非安全レベルは「大」、「中」、「小」の3段階に分類される。非安全レベルが大きいほど、人的被害が大きい。
【0043】
【0044】
例えば、遠隔操作される作業機械20Bと、自動運転される作業機械20Cとの衝突のように、人的被害が発生しないような場合には、非安全レベルは「小」と判定される。また、オペレータが搭乗した作業機械20Aと人との衝突や、オペレータが搭乗した作業機械20Aとティーチング中の作業機械20Cとの衝突のように、オペレータと人、または、オペレータ同士がそれぞれ衝突を回避するような判断を行える場合であって、人的被害が発生するような場合には、非安全レベルは「中」と判定される。また、自動運転される作業機械20Cと人との衝突や、遠隔操作される作業機械20Bとオペレータが搭乗した作業機械20Aとの衝突のように、人またはオペレータの判断だけでは衝突を回避できない場合があって、人的被害が発生するような場合には、非安全レベルは「大」と判定される。
【0045】
なお、作業機械20の作業内容に応じて、非安全レベルを設定してもよい。例えば、作業内容がアタッチメント30の旋回の場合には、作業領域が広くなるので、非安全レベルを「大」に設定する。また、作業内容が掘削の場合には、作業領域が狭くなるので、非安全レベルを「小」に設定する。
【0046】
対策制御部(制御手段)17は、非安全レベル判定部16が判定した非安全レベルに応じて、警告および作業機械20の停止の少なくとも一方を行う。本実施形態では、非安全レベルが「小」の場合に、外部に警告が行われる。また、非安全レベルが「中」の場合に、外部に警告が行われるとともに、作業機械20の作業が停止される(エンジンは停止されない)。また、非安全レベルが「大」の場合に、作業機械20のエンジンが停止される。
【0047】
外部への警告は、警告装置から発生される。警告装置は、コクピット71や作業機械20に設けられたディスプレイやスピーカである。コクピット71を操作するオペレータは、警告に応じて、遠隔操作される作業機械20Bの動作を変更することで、作業機械20同士の衝突を回避することができる場合がある。また、オペレータが搭乗した作業機械20Aのオペレータは、警告に応じて、作業機械20Aの動作を変更することで、作業機械20同士の衝突を回避することができる場合がある。
【0048】
作業機械20の作業停止は、作業停止の指示が通信装置8から該当する作業機械20に送信されることで行われる。作業停止の指示を受信した作業機械側コントローラ81は、アタッチメント30および旋回装置25の動作を一時停止させる。これにより、作業機械20と人との衝突や、作業機械20同士の衝突が回避される場合がある。
【0049】
作業機械20のエンジン停止は、エンジン停止の指示が通信装置8から該当する作業機械20に送信されることで行われる。エンジン停止の指示を受信した作業機械側コントローラ81は、エンジン(図示せず)を停止させる。これにより、作業機械20と人との衝突や、作業機械20同士の衝突が回避される場合がある。
【0050】
ここで、上記したように、複数種類の作業機械20に対して、作業機械20の種類に応じた作業エリアが設定される。よって、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に比べて、非安全状態を正確に検出することができる。これにより、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に非安全状態として検出されていたような状態が、非安全状態として検出されなくなる場合がある。よって、報知や作業機械20の停止などの対策を必要以上に行わなくても済むので、作業機械20の作業効率の低下を抑制することができる。
【0051】
また、
図4に示すように、作業エリア内に人や作業機械20が侵入した場合に、報知や作業機械20の停止などの対策を行うことで、人と作業機械20との衝突や、作業機械20同士の衝突を未然に回避することができる場合がある。また、
図5に示すように、作業機械20の機体が自身の作業エリアを逸脱した場合に、報知や作業機械20の停止などの対策を行うことで、人と作業機械20との衝突や、作業機械20同士の衝突を未然に回避することができる場合がある。
【0052】
ここで、
図3に示す作業エリア設定部14は、自動運転される作業機械20Cに対して、ティーチング情報に基づいて作業エリアを設定する。自動運転される作業機械20Cの作業内容は、ティーチング情報によって定められる。よって、ティーチング情報に基づいて作業エリアを設定することで、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0053】
また、作業エリア設定部14は、自動運転される作業機械20Cに対して、作業機械20Cにオペレータが搭乗しているか否かに基づいて、作業エリアを設定する。自動運転される作業機械20Cにオペレータが搭乗しているか否かは、カメラ(判定手段)2の撮像した画像から判定する。なお、自動運転される作業機械20Cのキャブ23内にカメラを設置して、キャブ23内にオペレータがいるか否かを判定してもよい。また、キャブ23内にサーモセンサを設けて、キャブ23内にオペレータがいるか否かを判定してもよい。また、キャブ23内の操縦席にセンサを設けて、オペレータが操縦席に座っているか否かを判定してもよい。
【0054】
例えば、自動運転される作業機械20Cにオペレータが搭乗してティーチングなどを行っている場合、オペレータの操作の自由度を考慮して、自動運転される作業機械20Cにオペレータが搭乗していない場合よりも、作業エリアを広く設定する。これにより、オペレータが搭乗しているか否かに関わらず一律に作業エリアを設定する場合に比べて、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0055】
また、記憶装置6は、オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bの作業内容を記憶する。作業エリア設定部14は、オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bの各々に対して、記憶装置6が記憶する作業内容に基づいて作業エリアを設定する。
【0056】
オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bが行う作業内容は、繰り返し作業であることが多い。このような作業内容を記憶装置6に記憶させて、これに基づいて作業エリアを設定することで、作業エリアを絞り込むことができる。これにより、作業エリアを絞り込まない場合に比べて、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0057】
また、非安全レベル判定部(出力手段)16は、所定期間毎に、自身の判定結果を通信装置8から外部に出力させる。判定結果の出力先は、コクピット71やサーバ(図示せず)などである。サーバは、工事現場全体を管理する管理サーバなどである。所定期間は、例えば、1日や1週間である。判定結果には、非安全レベルの発生回数や種類が含まれる。この判定結果を用いることで、作業現場における安全を徹底させるなどの対応を行うことができる。
【0058】
(作業現場監視システムの動作)
次に、監視制御処理のフローチャートである
図6を参照して、作業現場監視システム1の動作を説明する。
【0059】
まず、作業現場監視システム1のコントローラ5は、初期設定を行う(ステップS1)。具体的には、カメラ2のカメラキャリブレーションを行う。カメラキャリブレーションとは、カメラ2の取付位置、カメラ2の取り付け角度、カメラのレンズの歪み、カメラ2のレンズの焦点距離などを決定・補正することである。また、カメラ2とLiDAR3との間でキャリブレーションを行う。このキャリブレーションは、カメラ2が撮像する画像上の座標と、LiDAR3が取得する点群データ上の座標とを対応づける処理である。
【0060】
次に、コントローラ5は、相対位置の補正を行う(ステップS2)。具体的には、LiDAR3が取得した点群データをカメラ2が撮像した画像上に投影して相対位置を補正する。
【0061】
次に、コントローラ5は、位置情報を取得する(ステップS3)。具体的には、測位センサなどにより、カメラ2およびLiDAR3のグローバル座標系の位置を取得する。
【0062】
次に、コントローラ5は、カメラ2およびLiDAR3の三次元座標をそれぞれ補正する(ステップS4)。
【0063】
次に、コントローラ5は、カメラ2が撮像した画像、および、LiDAR3が取得した点群データを取り込む(ステップS5)。コントローラ5の物体検出部11は、カメラ2が撮像した画像に基づいて、作業現場内の人および作業機械20を検出する。そして、コントローラ5の位置取得部12は、物体検出部11が検出した人および作業機械20の位置を取得する(ステップS6)。
【0064】
次に、コントローラ5の種類判別部13は、物体検出部11が検出した作業機械20の種類を判別する(ステップS7)。コントローラ5の作業エリア設定部14は、物体検出部11が検出した作業機械20の各々に対して、作業エリアを設定する(ステップS8)。
【0065】
次に、コントローラ5の非安全状態検出部15は、非安全状態を検出したか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9において、非安全状態を検出していないと判定した場合には(S9:NO)、コントローラ5は、ステップS17に進む。一方、ステップS9において、非安全状態を検出したと判定した場合には(S9:YES)、コントローラ5の非安全レベル判定部16は、非安全レベルを判定する(ステップS10)。
【0066】
次に、コントローラ5の対策制御部17は、非安全レベルが「大」か否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、非安全レベルが「大」である場合には(S11:YES)、対策制御部17は、該当する作業機械20にエンジン停止の指示を送信する(ステップS12)。エンジン停止の指示を受信した作業機械20は、エンジンを停止させることになる。そして、ステップS17に進む。
【0067】
一方、ステップS11において、非安全レベルが「大」でない場合には(S11:NO)、対策制御部17は、非安全レベルが「中」か否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、非安全レベルが「中」である場合には(S13:YES)、対策制御部17は、警告装置から警告を発生させるとともに、該当する作業機械20に作業停止の指示を送信する(ステップS14)。作業停止の指示を受信した作業機械20は、アタッチメント30および旋回装置25の動作を一時停止させることになる。そして、ステップS17に進む。
【0068】
一方、ステップS13において、非安全レベルが「中」でない場合には(S13:NO)、対策制御部17は、非安全レベルが「小」であると判定する(ステップS15)。そして、対策制御部17は、警告装置から警告を発生させる(ステップS16)。そして、ステップS17に進む。
【0069】
ステップS17では、コントローラ5は、記憶装置6に記憶されている作業内容を更新する(ステップS17)。これにより、ステップS8において、作業エリア設定部14により、オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bの各々に対して、作業内容が再設定されることになる。そして、ステップS8に戻る。
【0070】
(変形例)
なお、本実施形態では、作業現場内の物体(作業機械20や人)の位置を三次元で取得し、これらと作業エリアとの関係から、非安全状態を検出するようにしている。しかし、作業現場内の物体(作業機械20や人)の位置を二次元で取得し、これらと作業エリアとの関係から、非安全状態を検出するようにしてもよい。
【0071】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業現場監視システム1によれば、作業現場内の作業機械20に対して、作業機械20の種類に応じた作業エリアが設定される。そして、作業現場内の作業機械20の位置と、作業エリアとに基づいて、非安全状態が検出される。複数種類の作業機械20に対して、作業機械20の種類に応じた作業エリアが設定されるので、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に比べて、非安全状態を正確に検出することができる。これにより、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に非安全状態として検出されていたような状態が、非安全状態として検出されなくなる場合がある。よって、報知や作業機械20の停止などの対策を必要以上に行わなくて済むので、作業機械20の作業効率の低下を抑制することができる。
【0072】
また、作業現場内の人の位置と、作業エリアとに基づいて、非安全状態が検出される。このとき、複数種類の作業機械20に対して、作業機械20の種類に応じた作業エリアが設定されているので、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に比べて、非安全状態を正確に検出することができる。これにより、複数種類の作業機械20に対して一律に作業エリアが設定された場合に非安全状態として検出されていたような状態が、非安全状態として検出されなくなる場合がある。よって、報知や作業機械20の停止などの対策を必要以上に行わなくて済むので、作業機械20の作業効率の低下を抑制することができる。
【0073】
また、作業エリア内に人が侵入した状態が、非安全状態として検出される。このような場合に、報知や作業機械20の停止などの対策を行うことで、人と作業機械20との衝突を未然に回避することができる場合がある。
【0074】
また、作業エリア内に作業機械20が侵入した状態が、非安全状態として検出される。このような場合に、報知や作業機械20の停止などの対策を行うことで、作業機械20同士の衝突を未然に回避することができる場合がある。
【0075】
また、作業機械20の機体が自身の作業エリアを逸脱した状態が、非安全状態として検出される。このような場合に、報知や作業機械20の停止などの対策を行うことで、人と作業機械20との衝突や、作業機械20同士の衝突を未然に回避することができる場合がある。
【0076】
また、非安全レベルに応じて、警告および作業機械20の停止の少なくとも一方が行われる。例えば、遠隔操作される作業機械20Bと、自動運転される作業機械20Cとの衝突のように、人的被害が発生しないような非安全レベルの場合に、警告を行うことで、作業機械20同士の衝突を回避することができる場合がある。また、例えば、作業機械20と人との衝突のように、人的被害が発生するような非安全レベルの場合に、作業機械20の停止を行うことで、作業機械20と人との衝突を回避することができる場合がある。
【0077】
また、自動運転される作業機械20Cに対して、ティーチング情報(自動運転の作業計画情報)に基づいて作業エリアが設定される。自動運転される作業機械20Cの作業内容は、ティーチング情報によって定められる。よって、ティーチング情報に基づいて作業エリアを設定することで、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0078】
また、自動運転される作業機械20Cに対して、オペレータが搭乗しているか否かの判定結果に基づいて作業エリアが設定される。例えば、自動運転される作業機械20Cにオペレータが搭乗してティーチングなどを行っている場合、オペレータの操作の自由度を考慮して、自動運転される作業機械20Cにオペレータが搭乗していない場合よりも、作業エリアを広く設定する。これにより、オペレータが搭乗しているか否かに関わらず一律に作業エリアを設定する場合に比べて、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0079】
また、オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bの各々に対して、記憶装置6が記憶する作業内容に基づいて作業エリアが設定される。オペレータが搭乗した作業機械20A、および、遠隔操作される作業機械20Bが行う作業内容は、繰り返し作業であることが多い。このような作業内容を記憶装置6に記憶させて、これに基づいて作業エリアを設定することで、作業エリアを絞り込むことができる。これにより、作業エリアを絞り込まない場合に比べて、非安全状態をより正確に検出することができる。
【0080】
また、所定期間毎に、非安全レベル判定部16の判定結果が外部に出力される。この判定結果を用いることで、作業現場における安全を徹底させるなどの対応を行うことができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 作業現場監視システム
2 カメラ(撮像手段、判定手段)
3 LiDAR
5 コントローラ
6 記憶装置
8 通信装置
11 物体検出部(物体検出手段)
12 位置取得部(位置取得手段)
13 種類判別部(種類判別手段)
14 作業エリア設定部(作業エリア設定手段)
15 非安全状態検出部(非安全状態検出手段)
16 非安全レベル判定部(非安全レベル判定手段、出力手段)
17 対策制御部(制御手段)
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
71 コクピット
72 タブレット
73 土砂ピット
74 ダンプ
81 作業機械側コントローラ
82 作業機械側記憶装置
83 作業機械側通信装置
90 作業エリア
95 人