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特開2023-80179低密度リポ蛋白中のコレステロールの測定方法、測定用試薬及び測定用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080179
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】低密度リポ蛋白中のコレステロールの測定方法、測定用試薬及び測定用キット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/60 20060101AFI20230601BHJP
   C12Q 1/44 20060101ALI20230601BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALI20230601BHJP
   C12Q 1/32 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
C12Q1/60
C12Q1/44
C12Q1/26
C12Q1/32
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063948
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2019539616の分割
【原出願日】2018-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2017168235
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162478
【氏名又は名称】ミナリスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑞季
(72)【発明者】
【氏名】荒武 知子
(72)【発明者】
【氏名】金城 健太
(57)【要約】
【課題】 環境への配慮から、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール(LDL-C)を簡便かつ正確に測定することを課題とする。
【解決手段】検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;並びに、
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする、検体中のLDL-Cの測定方法を解決手段とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物;並びに、
[c]ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテル;
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロールの測定方法。
【請求項2】
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生成する物質が、過酸化水素である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
過酸化水素の測定が、過酸化水素測定用試薬を用いて行われる請求項3記載の方法。
【請求項5】
生成する物質が、還元型補酵素である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
還元型補酵素の測定が、還元型補酵素測定用試薬を用いて行われる請求項5記載の方法。
【請求項7】
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物;
[c]ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテル;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しないことを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール測定用試薬。
【請求項8】
さらに、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素と検体との反応で生成する物質を測定するための試薬を含有する、請求項7記載の試薬。
【請求項9】
コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素と検体との反応で生成する物質が、過酸化水素である、請求項8記載の試薬。
【請求項10】
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物;
[c]ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテル;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しないことを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール測定用試薬。
【請求項11】
さらに、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素と検体との反応で生成する物質を測定するための試薬を含有する、請求項10記載の試薬。
【請求項12】
コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素と検体との反応で生成する物質が、還元型補酵素である、請求項11記載の試薬。
【請求項13】
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、請求項8~13のいずれかに記載の試薬。
【請求項14】
過酸化水素測定用試薬を含む第一試薬、及び、コレステロール酸化酵素を含む第二試薬を含有し、
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物;
[c]ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテル;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素のそれぞれを第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を第一試薬、第二試薬のいずれの試薬にも含有しないことを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール測定用キット。
【請求項15】
さらに、過酸化水素測定用試薬を第二試薬に含有する請求項14記載のキット。
【請求項16】
酸化型補酵素を含む第一試薬、及び、コレステロール脱水素酵素を含む第二試薬を含有し、
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物;
[c]ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテル;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素のそれぞれを第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を第一試薬、第二試薬のいずれの試薬にも含有しないことを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール測定用キット。
【請求項17】
さらに、還元型補酵素測定用試薬を第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有することを特徴とする、請求項16記載のキット。
【請求項18】
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、請求項14~17のいずれかに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中に含まれる低密度リポ蛋白(以下、LDLという)中のコレステロール(以下、LDL-Cと略記する。)の測定方法、測定用試薬及び測定用キットに関する。
本願は、2017年9月1日に、日本に出願された特願2017-168235号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
LDLは、末梢細胞にコレステロールを供給する役割を有し、冠動脈硬化症をはじめとする各種動脈硬化症の直接的因子である。LDL-Cの増加は動脈硬化性疾患の主要な危険因子の1つであり、分別定量することは臨床上有用である。
【0003】
従来からのLDL-Cの定量方法は、超遠心法、電気泳動法、フリードワルド(Friedewald)式による演算方法などが挙げられる。超遠心法は、リポ蛋白の比重の差を利用し、超遠心分離機を用いてLDLを分離したのち、そのコレステロール量を測定する方法である(非特許文献1)。しかしながら、超遠心法による分離操作は煩雑で、迅速性、簡便性などの面で欠点がある。電気泳動法は、リポ蛋白の電荷の差を利用し、アガロースゲルなどを支持体として分離する方法やリポ蛋白の粒子サイズの差を利用し、ポリアクリルアミドゲルを支持体として分離する方法などがある。しかしながら、電気泳動法は定量性に乏しく、簡便性、経済性などの面で問題がある。フリードワルド式による演算方法では、総コレステロール(以下、T-Cと略記する。)、高密度リポ蛋白(以下、HDLという)中のコレステロール(以下、HDL-Cと略記する。)及び総トリグリセライド(以下、T-TGと略記する。)の測定値から、次の計算式に従いLDL-C量を算出するが(非特許文献2)、この方法は、血清中のT-TGの含有量や食事の影響を受けるため、正確性に問題がある。
(LDL-C)=(T-C)-(HDL-C)-(T-TG)/5
【0004】
また近年、超遠心法などの分離操作を必要とせず、汎用の自動分析機装置に搭載可能なLDL-Cの定量方法も報告されている。
それらの中でLDL-Cを定量する方法としては、以下の方法が知られている。
LDL以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤の存在下において、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を消去することにより、被検試料中のHDL、超低密度リポ蛋白(以下、VLDLという)及びカイロミクロンの各リポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、被検試料中の残存コレステロールを定量する第2工程とからなる被検試料中のLDL-Cの定量方法(特許文献1)。
血清に対し、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤、並びにコレステロール測定用酵素試薬を添加し、リポ蛋白中のコレステロールのうちHDL中及びVLDL中のコレステロールを優先的に反応させた後に、残りのコレステロールの反応量を測定するLDL-Cの定量方法(特許文献2)。
生体試料に対し、ポリオキシエチレン誘導体とポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、並びにコレステロール測定用酵素を添加し、リポ蛋白中のコレステロールのうちLDL-Cを選択的に測定する方法(特許文献3)。
【0005】
生体試料に対し、ジメチル-α-シクロデキストリン又は/及びポリ-β-シクロデキストリンの存在下で測定を行うことを特徴とする、LDL-Cの測定法(特許文献4)。
カイロミクロン、HDL、LDL、VLDLのいずれか1種以上を含む試料中のコレステロールを直接、選択的に測定する方法において、リン脂質、リン脂質類似基を含有する化合物の存在下、試料中のLDL-Cを定量する方法(特許文献5)。
検体と、コレステロール測定酵素とを、
[a]ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル;
[b]ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレン縮合物、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン分岐アルキルエーテル及びポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[c]第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウムからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;並びに、
[d]ポリアニオン
の存在下に反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロールの測定方法(特許文献6)。
【0006】
近年、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類が内分泌攪乱作用を有することが報告されており、環境への配慮から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のアルキルフェノール構造を有する界面活性剤の製造や試薬への使用が回避される様になってきた。
【0007】
また、臨床検査において、正常検体のみならず、種々の異常検体がしばしば検体として用いられる。その様な異常検体の1つに、脂質が豊富な検体があり、脂質による濁りが測定に影響を及ぼすことが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-38888号公報
【特許文献2】特開平9-313200号公報
【特許文献3】WO2000/17388パンフレット
【特許文献4】特開平11-30617号公報
【特許文献5】特開2002-202314号公報
【特許文献6】WO2010/55916パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】アドバンスド・リピッド・リサーチ(Adv. Lipid Res.)、第6巻、1頁、1968年
【非特許文献2】クリニカル・ケミストリー(Clin. Chem.)、第18巻、499頁、1972年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、環境への配慮から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のアルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定するための方法、試薬及びキットを提供することにある。
さらに、本発明の課題は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のアルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、かつ、脂質による濁りの影響を受けることなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定するための方法、試薬及びキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはLDL-Cの測定方法について鋭意検討を重ねた結果、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤以外の特定の界面活性剤の組み合わせを含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で、検体と、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを反応させることにより、LDL以外のリポ蛋白中のコレステロールの消去、及び、リポ蛋白の物理的な分画操作を行うことなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0012】
さらに、本発明者らはLDL-Cの測定方法について鋭意検討を重ねた結果、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤以外の特定の界面活性剤の組み合わせ、及びポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で、検体と、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを反応させることで、LDL以外のリポ蛋白中のコレステロールの消去、及び、リポ蛋白の物理的な分画操作を行うことなく、さらに、脂質による濁りの影響を受けることなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、下記(1)~(24)に関する。
(1)検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]ポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下、POEアルキルエーテルと略記する)及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(以下、POEPOPアルキルエーテルと略記する)からなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;並びに、
[b]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物(以下、POEPOP縮合物と略記する)
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする、検体中のLDL-Cの測定方法。
(2)[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、(1)記載の方法。
(3)水性媒体が、さらに、[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を含有する、(1)又は(2)記載の方法。
(4)[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテルである、(3)記載の方法。
(5)生成する物質が、過酸化水素である(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)過酸化水素の測定が、過酸化水素測定用試薬を用いて行われる(5)記載の方法。
(7)生成する物質が、還元型補酵素である(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(8)還元型補酵素の測定が、還元型補酵素測定用試薬を用いて行われる(7)記載の方法。
【0014】
(9)[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しないことを特徴とする、検体中のLDL-Cの測定用試薬。
(10)さらに、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素と検体との反応で生成する物質を測定するための試薬を含有する、(9)記載の試薬。
(11)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素と検体との反応で生成する物質が、過酸化水素である、(10)記載の試薬。
(12)[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有することを特徴とする、検体中の低密度リポ蛋白中のコレステロール測定用試薬。
(13)さらに、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素と検体との反応で生成する物質を測定するための試薬を含有する、(12)記載の試薬。
(14)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素と検体との反応で生成する物質が、還元型補酵素である、(13)記載の試薬。
(15)[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、(9)~(14)のいずれかに記載の試薬。
(16)さらに、[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を含有する、(9)~(15)のいずれかに記載の試薬。
(17)[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテルである、(16)記載の試薬。
【0015】
(18)過酸化水素測定用試薬を含む第一試薬、及び、コレステロール酸化酵素を含む第二試薬を含有し、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素のそれぞれを第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を第一試薬、第二試薬のいずれの試薬にも含有しないことを特徴とする、検体中のLDL-Cの測定用キット。
(19)さらに、過酸化水素測定用試薬を第二試薬に含有する(18)記載のキット。
(20)酸化型補酵素を含む第一試薬、及び、コレステロール脱水素酵素を含む第二試薬を含有し、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
コレステロールエステル加水分解酵素のそれぞれを第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を第一試薬、第二試薬のいずれの試薬にも含有しないことを特徴とする、検体中のLDL-Cの測定用キット。
(21)さらに、還元型補酵素測定用試薬を第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有することを特徴とする、(20)記載のキット。
(22)[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルにおけるアルキルが、炭素数8~20のアルキルである、(18)~(21)のいずれかに記載のキット。
(23)さらに、[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有する、(18)~(22)のいずれかに記載のキット。
(24)[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体が、ポリプロピレングリコール又はポリオキシプロピレングリセリルエーテルである、(23)記載のキット。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のアルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定するための方法、試薬及びキットが提供される。
さらに、本発明により、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のアルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、かつ、脂質による濁りの影響を受けることなく、検体中のLDL-Cを簡便かつ正確に測定するための方法、試薬及びキットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.LDL-Cの測定方法
本発明のLDL-Cの測定方法は、コレステロール測定用酵素を用いて、検体中のLDL-Cを測定する方法であって、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を用いることなく、検体中のLDL-Cを測定する方法である。本発明のLDL-C測定方法はまた、遠心分離などの物理的方法によるリポ蛋白の分画操作を必要とせず、LDL-Cの測定に先立って検体中のLDL以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去することなく、検体中のLDL-Cを測定する方法である。ここで、コレステロール測定用酵素とは、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素を意味する。
【0018】
本発明のLDL-Cの測定方法は、検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;並びに、
[b]POEPOP縮合物
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする方法であり、以下の工程を含む方法である。
【0019】
[1]検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;並びに、
[b]POEPOP縮合物
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させる工程;
[2]上記[1]の工程で生成する物質又は消費される物質を測定する工程;
[3]予め、LDL-C濃度が既知である検体を用いて前記[1]及び[2]を行うことにより作成された、LDL-C濃度と、該生成する物質又は該消費される物質由来の情報量との関係を表す検量線と、上記[2]での測定値とを相関付ける工程;及び、
[4]検体中のLDL-C濃度を決定する工程。
【0020】
さらに、本発明のLDL-Cの測定方法は、検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させ、該反応で生成する物質又は消費される物質を測定することを特徴とする方法であり、以下の工程を含む方法である。
【0021】
[1]検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせ、又は、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとを、
[a]POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤;
[b]POEPOP縮合物;並びに、
[c]ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体
を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない水性媒体中で反応させる工程;
[2]上記[1]の工程で生成する物質又は消費される物質を測定する工程;
[3]予め、LDL-C濃度が既知である検体を用いて前記[1]及び[2]を行うことにより作成された、LDL-C濃度と、該生成する物質又は該消費される物質由来の情報量との関係を表す検量線と、上記[2]での測定値とを相関付ける工程;及び、
[4]検体中のLDL-C濃度を決定する工程。
【0022】
本発明において用いられる水性媒体は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする水性媒体であれば特に制限はなく、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。
本発明のLDL-Cの測定方法におけるpHは、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とするpHであればいずれでもよいが、例えばpH4~10が挙げられる。水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに応じた緩衝剤を用いることが望ましい。緩衝液に用いる緩衝剤としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、グッドの緩衝剤等が挙げられる。
【0023】
グッドの緩衝剤としては、例えば2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、3-〔N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ〕-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕プロパンスルホン酸〔(H)EPPS〕、N-〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、N-シクロヘキシル-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等が挙げられる。
【0024】
緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001~2.0mol/Lが好ましく、0.005~1.0mol/Lがより好ましい。
【0025】
本発明のLDL-Cの測定方法において、検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせとの反応で生成する物質としては、例えば過酸化水素等が挙げられ、検体と、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとの反応で生成する物質としては、例えば還元型補酵素等が挙げられる。検体と、(i)コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素の組み合わせとの反応で消費される物質としては、例えば酸素分子等が挙げられ、検体と、(ii)コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素の組み合わせとの反応で消費される物質としては、例えば酸化型補酵素等が挙げられる。生成した過酸化水素は、例えば過酸化水素電極や後述の過酸化水素測定用試薬を用いて測定することができる。生成した還元型補酵素は、例えば還元型補酵素の吸光度を測定する方法や後述の還元型補酵素測定用試薬を用いる方法等が挙げられる。消費される酸素分子は、例えば酸素電極を用いて測定することができる。消費される酸化型補酵素は、例えば酸化型補酵素の吸収波長での吸光度で測定することができる。
【0026】
本発明のLDL-Cの測定方法において用いられる検体としては、例えば全血、血漿、血清等が挙げられ、血漿及び血清が好ましい。また、本発明の測定方法においては、健常人由来の検体のみならず、脂質が豊富な検体も使用することができる。脂質が豊富な検体としては、例えばトリグリセライド(TG)が高い高TG検体等が挙げられる。
【0027】
本発明におけるコレステロールエステル加水分解酵素としては、コレステロールエステルを加水分解する能力を有する酵素であれば特に制限はなく、例えば動物、植物又は微生物由来のコレステロールエステラーゼ、リポプロテインリパーゼの他、遺伝子工学的な手法により製造されるコレステロールエステラーゼ、リポプロテインリパーゼ等も用いることができる。
コレステロールエステル加水分解酵素としては、無修飾のコレステロールエステル加水分解酵素の他、化学的に修飾されたコレステロールエステル加水分解酵素も使用することができる。また、コレステロールエステル加水分解酵素としては市販品を使用することもできる。
市販のコレステロールエステル加水分解酵素としては、コレステロールエステラーゼ(COE-311;東洋紡社製)、リポプロテインリパーゼ(LPL-311;東洋紡社製)、コレステロールエステラーゼ“Amano”2(CHE-2;天野エンザイム社製)等が挙げられる。また、本発明においては、2種類以上のコレステロールエステル加水分解酵素を組み合わせて用いることもできる。
【0028】
コレステロールエステル加水分解酵素の化学修飾において当該酵素を修飾する基(化学修飾基)としては、例えばポリエチレングリコールを主成分とする基、ポリプロピレングリコールを主成分とする基、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの共重合体を有する基、水溶性多糖類を含有する基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ポリウレタン基、キレート機能を有する基等が挙げられるが、ポリエチレングリコールを主成分とする基が好ましい。水溶性多糖類としては、例えばデキストラン、プルラン、可溶性デンプン等が挙げられる。
コレステロールエステル加水分解酵素を化学的に修飾するための試薬(化学修飾剤)としては、上記の化学修飾基と、酵素のアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等と反応し得る官能基又は構造とを併せ持つ化合物等が挙げられる。酵素中のアミノ基と反応し得る官能基又は構造としては、例えばカルボキシル基、活性エステル基(N-ヒドロキシサクシンイミド基等)、酸無水物、酸塩化物、アルデヒド、エポキシド基、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン等が挙げられる。酵素中のカルボキシル基と反応し得る官能基又は構造としては、例えばアミノ基等が挙げられる。酵素中のスルフヒドリル基と反応性がある基又は構造としては、例えばマレイミド基、ジスルフィド、α-ハロエステル(α-ヨードエステル等)等が挙げられる。
【0029】
化学修飾剤として、市販品を使用することもできる。市販されている化学修飾剤としては、ポリエチレングリコールを主成分とする基とN-ヒドロキシサクシンイミド基とを有するサンブライトVFM-4101、サンブライトME-050AS、サンブライトDE-030AS(いずれも日油社製)、ポリアルキレングリコールを主成分とする基と酸無水物構造とを有するサンブライトAKMシリーズ(例えば、サンブライトAKM-1510等)、サンブライトADMシリーズ、サンブライトACMシリーズ(いずれも日油社製)、ポリエチレングリコールを主成分とする基とエポキシド基とを有するEPOX-3400、M-EPOX-5000(いずれもShearwater Polymers社製)、キレート機能を有する基と酸無水物構造とを有するジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタ無水二酢酸(DTPA anhydride;同仁化学研究所社製)等が挙げられる。
コレステロールエステル加水分解酵素の化学修飾は、例えば以下の方法で行うことができるが、本方法に限定されるものではない。まず、コレステロールエステル加水分解酵素をpH8.0以上の緩衝液(例えばHEPES緩衝液)に溶解し、0~55℃で0.01~500倍モル量の化学修飾剤を添加し、5分間~5時間攪拌する。酵素反応においては、化学的に修飾されたコレステロールエステル加水分解酵素として、この反応液そのもののみならず、必要に応じて限外濾過膜等により未反応の化学修飾剤等を除去したものも、使用することもできる。
【0030】
本発明のLDL-Cの測定方法におけるコレステロールエステル加水分解酵素の濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.001~800kU/Lであり、0.01~300kU/Lが好ましい。
【0031】
本発明におけるコレステロール酸化酵素としては、コレステロールを酸化して過酸化水素を生成する能力を有する酵素であれば特に制限はなく、例えば動物、植物又は微生物由来のコレステロールオキシダーゼの他、遺伝子工学的な手法により製造されるコレステロールオキシダーゼ等も用いることができ、コレステロールオキシダーゼ(CHODI;キッコーマン社製)、コレステロールオキシダーゼ(CHO-CE;キッコーマン社製)、コレステロールオキシダーゼ(COO-321;東洋紡社製)等の市販品を用いることもできる。また、本発明においては、2種類以上のコレステロール酸化酵素を組み合わせて用いることもできる。
コレステロール酸化酵素は、無修飾の酵素であっても、化学的に修飾された酵素であってもよい。化学的に修飾されたコレステロール酸化酵素は、例えば前述の化学修飾剤を用いて、前述の化学修飾方法により作製することができる。
【0032】
本発明のLDL-Cの測定方法におけるコレステロール酸化酵素の濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.001~800kU/Lであり、0.01~300kU/Lが好ましい。
【0033】
本発明におけるコレステロール脱水素酵素としては、酸化型補酵素の存在下にコレステロールを酸化して還元型補酵素を生成する能力を有する酵素であれば特に制限はなく、例えば動物、植物又は微生物由来のコレステロールデヒドロゲナーゼの他、遺伝子工学的な手法により製造されるコレステロールデヒドロゲナーゼ等も用いることができる。コレステロールデヒドロゲナーゼ“Amano” 5 (CHDH―5;天野エンザイム社製)等の市販品を用いることもできる。また、本発明においては、2種類以上のコレステロール脱水素酵素を組み合わせて用いることもできる。コレステロール脱水素酵素は、無修飾の酵素であっても、化学的に修飾された酵素であってもよい。化学的に修飾されたコレステロール脱水素酵素は、例えば前述の化学修飾剤を用いて、前述の化学修飾方法により作製することができる。
【0034】
本発明のLDL-C測定方法におけるコレステロール脱水素酵素の濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.001~800kU/Lであり、0.01~300kU/Lが好ましい。
【0035】
本発明のコレステロール脱水素酵素を用いた測定法においては、酸化型補酵素が使用される。酸化型補酵素としては、例えばNAD、NADP、チオ(thio)-NAD、チオ(thio)-NADP等が挙げられる。また、酸化型補酵素の濃度は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、0.01~10g/Lが好ましい。
【0036】
本発明におけるアルキルフェノール構造を有する界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(以下、POEアルキルフェニルエーテルと略記する)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル(以下、POEPOPアルキルフェニルエーテルと略記する)等が挙げられる。POEアルキルフェニルエーテル及びPOEPOPアルキルフェニルエーテルにおけるアルキルとしては、例えばオクチル、ノニル等が挙げられる。
【0037】
POEアルキルフェニルエーテルの具体例としては、例えばトリトンX-100(POEオクチルフェニルエーテル;シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
POEPOPアルキルフェニルエーテルの具体例としては、例えばエマルゲンL40(花王社製)、アクロネセスKP189R(日油社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明において用いられるPOEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルにおけるアルキルとしては例えば炭素数8~20のアルキルが挙げられ、炭素数9~18のアルキルが好ましく、炭素数9~16のアルキルがより好ましく、炭素数10~13のアルキルが特に好ましい。炭素数8~20のアルキルとしては、例えばオクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル(ラウリル)、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、イソテトラデシル、ペンタデシル、イソペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、イソヘキサデシル、ヘプタデシル、イソヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、イソオクタデシル、ノナデシル、イソノナデシル、イコシル、イソイコシル等が挙げられる。炭素数9~18のアルキルとしては、例えばノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル(ラウリル)、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、イソテトラデシル、ペンタデシル、イソペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、イソヘキサデシル、ヘプタデシル、イソヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、イソオクタデシル等が挙げられる。炭素数9~16のアルキルとしては、例えばノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル(ラウリル)、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、イソテトラデシル、ペンタデシル、イソペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、イソヘキサデシル等が挙げられる。炭素数10~13のアルキルとしては、例えばデシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル(ラウリル)、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシル等が挙げられる。POEPOPアルキルエーテルにおけるPOEPOPの重合様式としてはとくに制限はなく、例えば、ブロック重合型、ランダム重合型の重合様式のものが挙げられる。ブロック重合型としては、例えばジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー等が挙げられる。
【0039】
POEアルキルエーテルの具体例としては、例えばファインサーフD-35、ファインサーフD-45、ファインサーフD-60、ファインサーフD-65、ファインサーフD-85、セフティカットID-1033、セフティカットID-1087(以上、POEイソデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ファインサーフTD-30、ファインサーフTD-50、ファインサーフTD-70、ファインサーフTD-80、ファインサーフTD-85、ファインサーフTD-90、ファインサーフTD-100、ファインサーフTD-120、ファインサーフTD-150、ファインサーフTD-200(以上、POEトリデシルエーテル;青木油脂工業社製)、NIKKOL BL-2、NIKKOL BL-4.2、NIKKOL BL-9EX、NIKKOL BL-21、NIKKOL BL-25(以上、POEラウリルエーテル;日光ケミカルズ社製)、NIKKOL BC-2、NIKKOL BC-5.5、NIKKOL BC-7、NIKKOL BC-10、NIKKOL BC-15、NIKKOL BC-20、NIKKOL BC-23、NIKKOL BC-25、NIKKOL BC-30、NIKKOL BC-40(以上、POEセチルエーテル;日光ケミカルズ社製)、EMALEX 703、EMALEX 705、EMALEX 707、EMALEX 709、EMALEX 710、EMALEX 712、EMALEX 715、EMALEX 720、EMALEX 725、EMALEX 730、EMALEX 750(以上、POEラウリルエーテル;日本エマルジョン社製)、EMALEX 102、EMALEX 103、EMALEX 104、EMALEX 105、EMALEX 107、EMALEX 112、EMALEX 115、EMALEX 117、EMALEX 120、EMALEX 125、EMALEX 130(以上、POEセチルエーテル;日本エマルジョン社製)、ノニオン ID-203、ノニオン ID-206、ノニオン ID-209(以上、POEイソデシルエーテル;日油社製)、ノニオン K-204、ノニオン K-220、ノニオン K-230(以上、POEラウリルエーテル;日油社製)、ノニオン P-208、ノニオン P-210、ノニオン P-213(以上、POEセチルエーテル;日油社製)等が挙げられる。
【0040】
POEPOPアルキルエーテルの具体例としては、例えばワンダサーフ NDR-800、ワンダサーフ NDR-1000、ワンダサーフ NDR-1400(以上、POEPOPデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフ ID-50、ワンダサーフ ID-70、ワンダサーフ ID-90、ファインサーフIDEP-608、ファインサーフIDEP-604、ファインサーフIDEP-802(以上、POEPOPイソデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフ RL-80、ワンダサーフ RL-100、ワンダサーフ RL-140、ワンダサーフ 80、ワンダサーフ 100、ワンダサーフ 140(以上、POEPOPラウリルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフ S-800、ワンダサーフ S-1000、ワンダサーフ S-1400、ファインサーフTDP-0633K、ファインサーフTDE-1033、ファインサーフTDE-1055(以上、POEPOPトリデシルエーテル;青木油脂工業社製)、NIKKOL PBC-31、NIKKOL PBC-33、NIKKOL PBC-34、NIKKOL PBC-44(以上、POEPOPセチルエーテル;日光ケミカルズ社製)、EMALEX DAPE-0203、EMALEX DAPE-0205、EMALEX DAPE-0207、EMALEX DAPE-0210、EMALEX DAPE-0212、EMALEX DAPE-0215、EMALEX DAPE-0220、EMALEX DAPE-0230(以上、POEPOPデシルエーテル;日本エマルジョン社製)等が挙げられる。
【0041】
本発明のLDL-Cの測定方法におけるPOEアルキルエーテルの濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.0001~20%(w/v)であり、0.001~5%(w/v)が好ましい。
【0042】
本発明のLDL-Cの測定方法におけるPOEPOPアルキルエーテルの濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.0001~20%(w/v)であり、0.001~5%(w/v)が好ましい。
【0043】
POEPOP縮合物におけるPOEPOPの重合様式としては特に制限はなく、例えば、ブロック重合型、ランダム重合型の重合様式のものが挙げられる。ブロック重合型としては、例えばジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、テトラブロックコポリマー等が挙げられる。POPの分子量としては、500~7000であり、好ましくは1000~6000である。POEPOP縮合物の分子量としては、600~12000であり、好ましくは1500~8000である。
【0044】
POEPOP縮合物の具体例としては、プルロニックL-101、プルロニックL-121、プルロニックP-103、プルロニックF-108(以上、ADEKA社製)、プロノン201、プロノン204、プロノン208(以上、日油社製)等が挙げられる。
【0045】
本発明のLDL-Cの測定方法におけるPOEPOP縮合物の濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.0001~20%(w/v)であり、0.001~5%(w/v)が好ましい。
【0046】
本発明におけるポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体であれば特に制限はなく、例えばポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル等が挙げられる。本発明におけるポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の分子量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする分子量であれば特に制限はなく、通常500~4000であり、1000~3500が好ましく、1200~3000が特に好ましい。
【0047】
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の具体例としては、例えばユニオールD-700、ユニオールD-1000、ユニオールD-1200、ユニオールD-2000、ユニオールD-4000(以上、ポリプロピレングリコール;日油社製)、ユニオールTG-1000R、ユニオールTG-3000(以上、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル;日油社製)、ポリプロピレングリコール ジオール型 1,000、ポリプロピレングリコール ジオール型 2,000、ポリプロピレングリコール ジオール型 3,000(以上、ポリプロピレングリコール;和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0048】
本発明のLDL-Cの測定方法における、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の濃度としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、反応液中の濃度は通常0.0001~5%(w/v)であり、0.001~1%(w/v)が好ましい。
【0049】
本発明のLDL-Cの測定方法における反応温度は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする温度であれば特に制限はないが、10~50℃が好ましく、30~40℃がより好ましい。汎用の自動分析装置で設定される反応温度は通常37℃である。
【0050】
本発明のLDL-Cの測定方法における反応時間は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする反応時間であれば特に制限はないが、1~60分間が好ましく、2~30分間がより好ましい。
【0051】
本発明のLDL-Cの測定方法において、LDL-Cの測定は、例えば反応により生成した過酸化水素や還元型補酵素を測定することにより行うことができる。また、反応において消費される酸素量を測定することにより行うこともできる。
生成した過酸化水素の量は、例えば過酸化水素電極や過酸化水素測定用試薬を用いて測定することができる。過酸化水素測定用試薬は、生成した過酸化水素を検出可能な物質へ変換するための試薬である。検出可能な物質としては、例えば色素、発光等が挙げられるが、色素が好ましい。検出可能な物質が色素の場合には、過酸化水素測定用試薬は、酸化発色型色原体及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質を含有する。酸化発色型色原体としては、例えば後述の酸化発色型色原体が挙げられる。検出可能な物質が発光の場合には、過酸化水素測定用試薬は、化学発光物質を含有する。化学発光物質としては、例えばルミノール、イソルミノール、ルシゲニン、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
【0052】
過酸化水素測定用試薬として、酸化発色型色原体及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質を含有する試薬を用いる場合には、過酸化水素は、過酸化活性物質の存在下に酸化発色型色原体と反応して色素を生成し、生成した色素を測定することにより、測定することができる。また、化学発光物質を含有する過酸化水素測定用試薬を用いる場合には、過酸化水素は、化学発光物質と反応してフォトンを生じ、生じたフォトンを測定することにより、測定することができる。
【0053】
酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体等が挙げられる。
ロイコ型色原体は、過酸化水素及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、テトラメチルベンジジン、o-フェニレンジアミン、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(CCAP)、10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(MCDP)、N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA-64)、10-N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン ナトリウム塩(DA-67)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3-ビス(4-クロロフェニル)メチル-4-ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMA)等が挙げられる。
【0054】
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の存在下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する物質である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせ等が挙げられる。
カプラーとしては、例えば4-アミノアンチピリン(4-AA)、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン等が挙げられる。
【0055】
アニリン類としては、N-(3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(DAOS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOPS)、N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N-ジメチル-3-メチルアニリン、N,N-ジ(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(3-メチルフェニル)-N’-サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N-エチル-N-(3-メチルフェニル)-N’-アセチルエチレンジアミン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-4-フルオロ-3,5-ジメトキシアニリン(F-DAOS)、N-[2-(サクシニルアミノ)エチル]-2-メトキシ-5-メチルアニリン(MASE)、N-エチル-N-[2-(サクシニルアミノ)エチル]-2-メトキシ-5-メチルアニリン(Et-MASE)等が挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、4-クロロフェノール、3-メチルフェノール、3-ヒドロキシ-2,4,6-トリヨード安息香酸(HTIB)等が挙げられる。
【0056】
過酸化水素の測定において、過酸化活性物質の濃度は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はないが、過酸化活性物質としてペルオキシダーゼを用いる場合は、1~100kU/Lが好ましい。また、酸化発色型色原体の濃度は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、0.01~10g/Lが好ましい。
【0057】
還元型補酵素の測定方法としては、例えば生成した還元型補酵素の吸光度を測定する方法、還元型補酵素測定用試薬を用いる方法等が挙げられる。還元型補酵素の吸光度を測定する方法における吸光度としては、300~500nmが好ましく、330~400nmがより好ましく、340nm付近が特に好ましい。還元型補酵素測定用試薬は、生成した還元型補酵素を検出可能な物質へ変換するための試薬である。検出可能な物質としては、例えば色素等が挙げられる。検出可能な物質が色素の場合の還元型補酵素測定用試薬としては、例えばジアホラーゼ、電子キャリアー及び還元発色型色原体を含有する試薬が挙げられる。電子キャリアーとしては、例えば1-メトキシ-5-メチルフェナジウムメチルサルフェート等が挙げられる。還元型補酵素測定用試薬として、ジアホラーゼ、電子キャリアー及び還元発色型色原体を含有する試薬を用いる場合には、還元発色型色原体が変換されて生成した色素を定量することにより、還元型補酵素を定量することができる。
【0058】
還元発色型色原体としては、例えば3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウム ブロミド(MTT)、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム モノナトリウム塩(WST-1)、2-(4-ヨードフェニル)-3-(2,4-ジニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム モノナトリウム塩(WST-3)等が挙げられる。また、還元発色型色原体の濃度は、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする濃度であれば特に制限はなく、0.01~10g/Lが好ましい。
【0059】
2.LDL-C測定用試薬及びLDL-C測定用キット
本発明のLDL-C測定用試薬は、本発明のLDL-Cの測定方法に用いられる試薬である。本発明のLDL-C測定用試薬は、保存、流通及び使用に適したキットの形態を取ることができる。本発明のLDL-C測定用キットは、本発明のLDL-C測定方法に使用されるキットである。本発明のLDL-C測定用キットの形態としては、例えば2試薬系のキット、3試薬系のキット等が挙げられるが、第一試薬と第二試薬とからなる2試薬系のキットが好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットとして、2試薬系キットを用いて検体中のLDL-Cを測定する場合は、先ず、反応セルに、検体と第1試薬とを添加し、一定時間、一定温度で反応(1次反応)を行った後、第2試薬を添加し、さらに、一定時間、一定温度で反応(2次反応)を行い、2次反応により生成した物質又は消費される物質を測定することにより、LDL-Cを測定することができる。
【0060】
本発明のLDL-C測定用試薬は、凍結乾燥された状態でも、水性媒体に溶解された状態でもよい。凍結乾燥された状態のLDL-C測定用試薬を用いて検体中のLDL-Cを測定する場合には、事前に当該試薬を水性媒体に溶解して、LDL-Cの測定に使用される。該水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。
【0061】
本発明のLDL-C測定用試薬及び測定用キットにおけるコレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤、POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、過酸化水素測定用試薬、還元型補酵素測定用試薬としては、前述のコレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤、POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、過酸化水素測定用試薬、還元型補酵素測定用試薬がそれぞれ挙げられる。
【0062】
第一試薬と第二試薬とからなる2試薬系のLDL-C測定用キットにおいては、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されず、コレステロールエステル加水分解酵素は、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有される。コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を用いるLDL-C測定に用いられる2試薬系のLDL-C測定用キットにおいては、コレステロール酸化酵素は第一試薬に含有されず、第二試薬に含有される。また、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素及び酸化型補酵素を用いるLDL-C測定に用いられる2試薬系のLDL-C測定用キットにおいては、コレステロール脱水素酵素は第一試薬に含有されず、第二試薬に含有され、酸化型補酵素は少なくとも第一試薬に含有される。
【0063】
POEアルキルエーテルは、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有されてもよいが、第二試薬に含有される態様が好ましい。
POEPOPアルキルエーテルは、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有されてもよいが、第二試薬に含有される態様が好ましい。
【0064】
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体は、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有されてもよいが、第二試薬に含有される態様が好ましい。
【0065】
過酸化水素測定用試薬は、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有されてもよいが、少なくとも第一試薬に含有されることが望ましい。過酸化水素測定試薬が酸化カップリング型色原体を含有する場合には、酸化カップリング型色原体の2つの化合物、すなわち、カプラーとアニリン類、又は、カプラーとフェノール類はそれぞれ別々の試薬に含有される態様が好ましい。還元性補酵素測定用試薬は、第一試薬、第二試薬のいずれか又は両方に含有されてもよいが、第一試薬、第二試薬の両方に含有されることが好ましい。
【0066】
本発明のLDL-C測定用キットが、3試薬以上の試薬からなるキットの場合、当該キットを構成するいずれの試薬にも、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は含まれない。
【0067】
本発明のLDL-C測定用試薬及び測定用キットには、必要に応じて、水性媒体、安定化剤、防腐剤、妨害物質の影響回避剤、反応促進剤等が含有されてもよい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。安定化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シュークロース、塩化カルシウム等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質等が挙げられる。妨害物質の影響回避剤としては、例えばアスコルビン酸の影響を回避するためのアスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンの影響を回避するためのフェロシアン化カリウム等が挙げられる。反応促進剤としては、例えばコリパーゼ、ホスホリパーゼ等の酵素、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の塩類等が挙げられる。
【0068】
以下に、本発明のLDL-C測定用試薬の具体的態様を記すが、本発明のLDL-C測定用試薬はこれらに限定されない。
・試薬1
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬2
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬3
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬4
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬5
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬6
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
【0069】
・試薬7
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬8
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬9
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬10
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬11
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素及びコレステロール酸化酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬12
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素及び過酸化水素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
【0070】
・試薬13
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬14
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬15
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬16
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬17
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬18
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
【0071】
・試薬19
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬20
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬21
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬22
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬23
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素及びコレステロール脱水素酵素を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
・試薬24
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、酸化型補酵素、コレステロール脱水素酵素及び還元型補酵素測定用試薬を含有し、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤を含有しない試薬。
【0072】
本発明のLDL-C測定用試薬におけるコレステロールエステル加水分解酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.001~800kU/Lとなる含量であり、0.01~300kU/Lとなる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用試薬におけるコレステロール酸化酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.001~800kU/Lとなる含量であり、0.01~300kU/Lとなる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用試薬におけるコレステロール脱水素酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.001~800kU/Lとなる含量であり、0.01~300kU/Lとなる含量が好ましい。
【0073】
本発明のLDL-C測定用試薬におけるPOEアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0001~20%(w/v)となる含量であり、0.001~5%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用試薬におけるPOEPOPアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0001~20%(w/v)となる含量であり、0.001~5%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用試薬におけるPOEPOP縮合物の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0001~20%(w/v)となる含量であり、0.001~5%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用試薬における、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0001~5%(w/v)となる含量であり、0.001~1%(w/v)となる含量が好ましい。
【0074】
以下に、本発明のLDL-C測定用キットの具体的態様を記すが、本発明のLDL-C測定用キットはこれらに限定されない。
・キット1
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット2
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット3
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット4
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット5
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット6
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0075】
・キット7
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット8
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット9
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット10
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット11
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット12
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0076】
・キット13
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット14
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット15
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット16
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット17
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、過酸化水素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット18
第一試薬
過酸化水素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール酸化酵素、過酸化水素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0077】
・キット19
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット20
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット21
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット22
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0078】
・キット23
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット24
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット25
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット26
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0079】
・キット27
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット28
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット29
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット30
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0080】
・キット31
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット32
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット33
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット34
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0081】
・キット35
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット36
第一試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット37
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット38
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0082】
・キット39
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット40
第一試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット41
第一試薬
酸化型補酵素
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
・キット42
第一試薬
酸化型補酵素、還元型補酵素測定用試薬
第二試薬
POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEPOP縮合物、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体、コレステロールエステル加水分解酵素、コレステロール脱水素酵素、還元型補酵素測定用試薬
なお、アルキルフェノール構造を有する界面活性剤は第一試薬、第二試薬のいずれにも含有されない
【0083】
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第一試薬におけるコレステロールエステル加水分解酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.002~1600kU/Lとなる含量であり、0.02~600kU/Lとなる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるコレステロールエステル加水分解酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.004~3200kU/Lとなる含量であり、0.04~1200kU/Lとなる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるコレステロール酸化酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.004~3200kU/Lとなる含量であり、0.04~1200kU/Lとなる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるコレステロール脱水素酵素の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.004~3200kU/Lとなる含量であり、0.04~1200kU/Lとなる含量が好ましい。
【0084】
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第一試薬におけるPOEアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0002~40%(w/v)となる含量であり、0.002~10%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるPOEアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0004~40%(w/v)となる含量であり、0.004~20%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第一試薬におけるPOEPOPアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0002~40%(w/v)となる含量であり、0.002~10%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるPOEPOPアルキルエーテルの含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0004~40%(w/v)となる含量であり、0.004~20%(w/v)となる含量が好ましい。
【0085】
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第一試薬におけるPOEPOP縮合物の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0002~40%(w/v)となる含量であり、0.002~10%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬におけるPOEPOP縮合物の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0004~40%(w/v)となる含量であり、0.004~20%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第一試薬における、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0002~10%(w/v)となる含量であり、0.002~2%(w/v)となる含量が好ましい。
本発明のLDL-C測定用キットを構成する第二試薬における、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の含量としては、本発明のLDL-Cの測定方法を可能とする含量であれば特に制限はなく、水性媒体で溶解されたときの濃度が通常0.0004~20%(w/v)となる含量であり、0.004~4%(w/v)となる含量が好ましい。
【実施例0086】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。なお、本実施例、比較例においては、下記メーカーの試薬及び酵素を使用した。
【0087】
PIPES(同仁化学研究所社製)、EMSE(ダイトーケミックス社製)、アスコルビン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ社製)、4-AA(アクテック社製)、塩化カルシウム(和光純薬工業社製)、フェロシアン化カリウム(関東化学社製)、LPL-311(コレステロールエステル加水分解酵素;東洋紡社製)、CHO-CE(コレステロール酸化酵素;キッコーマン社製)、ペルオキシダーゼ(東洋紡社製)、プルロニックL―121(POEPOP縮合物;ADEKA社製)
【0088】
セフティカットID-1087(POEイソデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ファインサーフTD-200(POEトリデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフID-70(POEPOPイソデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフID-90(POEPOPイソデシルエーテル;青木油脂工業社製)、ワンダサーフS-1400(POEPOPトリデシルエーテル;青木油脂工業社製)
【0089】
レオドールTW-L120(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;花王社製)、エマノーン1112(ポリエチレングリコールモノラウレート;花王社製)、ナイミーンL―207(ポリオキシエチレンラウリルアミン;日油社製)、ユニグリMK-278(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル;日油社製)、ユニオックスHC-100(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;日油社製)
【0090】
ユニオールD-1200(ポリプロピレングリコール;日油社製)、ユニオールD-2000(ポリプロピレングリコール;日油社製)、ポリプロピレングリコール ジオール型 3,000(ポリプロピレングリコール;和光純薬工業社製)、ユニオールTG-3000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル;日油社製)、PEG#2000(ポリエチレングリコール;日油社製)
【0091】
生理食塩水(大塚製薬工場社製)、イントラリポス輸液10%(精製大豆油;大塚製薬工場社製)、デタミナーL TCII(コレステロール測定用キット;協和メデックス社製)、メタボリードLDL-C(LDL-C測定用キット;協和メデックス社製)、デタミナー標準血清脂質測定用(デタミナーL TCIIと組み合わせて使用する標準品;協和メデックス社製、以下コレステロール標準品と略記する)、メタボリード標準血清HDL・LDL-C測定用(メタボリードLDL-Cと組み合わせて使用する標準品;協和メデックス社製、以下LDL-C標準品と略記する)
【0092】
[参考例1]リポ蛋白分画の調製とコレステロール濃度の決定
(1)リポ蛋白分画の調製
協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、3,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、ヒト血清を調製した。次いで、“新生化学実験講座4 脂質I 中性脂肪とリポタンパク質”(東京化学同人、ISBN:4-8079-1080-9)に記載された超遠心分離操作に従い、当該ヒト血清よりVLDL(比重1.006以下)、LDL(比重1.006~1.063)、HDL(比重1.063以上)をそれぞれ分離し、各リポ蛋白分画を調製した。
【0093】
(2)コレステロール濃度決定のための検量線の作成
コレステロール測定用キットとしてデタミナーL TCIIを用い、試料としてコレステロール濃度が決定されているコレステロール標準品を用い、以下の手順より、コレステロール標準品に対する吸光度を測定した。反応セルへ、当該標準品(2μL)とデタミナーL TCIIの第1試薬(150μL)とを添加し、37℃で5分間反応させ、反応液の吸光度(E1)を主波長600nm、副波長800nmで測定した。次いで、この反応液にデタミナーL TCIIの第2試薬(50μL)を添加し、さらに37℃で5分間反応させ、反応液の吸光度(E2)を主波長600nm、副波長800nmで測定した。E2からE1を差し引き、吸光度差ΔE標準品を算出した。
当該標準品の代わりに生理食塩水を用いる以外は同様の方法により、吸光度差ΔEブランクを算出した。
当該標準品に対する吸光度差ΔE標準品と、生理食塩水に対する吸光度差ΔEブランクとから、コレステロール濃度(mg/dL)と吸光度との間の関係を示す検量線を作成した。
【0094】
(3)各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度の決定
コレステロール測定用キットとしてデタミナーL TCIIを用い、試料として(1)で調製した各リポ蛋白分画を用い、(2)と同様の手順により、各リポ蛋白分画に対する吸光度差を算出した。算出した吸光度差と(2)の検量線とから、各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度(mg/dL)を決定した。
【0095】
[実施例1]
以下の第1試薬及び第2試薬からなるLDL-C測定用キット(キット1A~1E)を調製した。
第1試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
EMSE 0.3g/L
アスコルビン酸オキシダーゼ 4kU/L
第2試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
4-AA 0.5g/L
塩化カルシウム 0.1g/L
フェロシアン化カリウム 0.02g/L
LPL-311 3kU/L
CHO-CE 2kU/L
ペルオキシダーゼ 20kU/L
プルロニックL-121 7g/L
界面活性剤A~E(第1表参照)
【0096】
[比較例1]
以下の第1試薬及び第2試薬からなるLDL-C測定用キット(キット1a~1e)を調製した。
第1試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
EMSE 0.3g/L
アスコルビン酸オキシダーゼ 4kU/L
第2試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
4-AA 0.5g/L
塩化カルシウム 0.1g/L
フェロシアン化カリウム 0.02g/L
LPL-311 3kU/L
CHO-CE 2kU/L
ペルオキシダーゼ 20kU/L
プルロニックL-121 7g/L
界面活性剤a~e(第1表参照)
【0097】
[実施例2]
LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1Aを用い、試料として参考例1の(1)で調製した各リポ蛋白分画を用い、以下の手順により、各リポ蛋白分画中のコレステロールの反応率を決定した。また、LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1A及びメタボリードLDL-Cを用い、試料として後述の(4)で調製したヒト血清20本を用い、以下の手順により、実施例1のキット1Aを用いた測定方法及びメタボリードLDL-Cを用いた測定方法の間の相関関係を検証し、相関係数を決定した。
【0098】
(1)LDL-C濃度決定のための検量線の作成
LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1Aを用い、試料としてLDL-C濃度が決定されているLDL-C標準品を用い、以下の手順より、LDL-C標準品に対する吸光度を測定した。反応セルへ、当該標準品(2.5μL)と実施例1のキット1Aの第1試薬(150μL)とを添加し、37℃で5分間反応させ、反応液の吸光度(E1)を主波長600nm、副波長700nmで測定した。次いで、この反応液に実施例1のキット1Aの第2試薬(50μL)を添加し、さらに37℃で5分間反応させ、反応液の吸光度(E2)を主波長600nm、副波長700nmで測定した。E2からE1を差し引き、吸光度差ΔE標準品を算出した。
当該標準品の代わりに生理食塩水を用いる以外は同様の方法により、吸光度差ΔEブランクを算出した。
当該標準品に対する吸光度差ΔE標準品と、生理食塩水に対する吸光度差ΔEブランクとから、LDL-C濃度(mg/dL)と吸光度との間の関係を示す検量線を作成した。
【0099】
(2)各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度の決定
実施例1のキット1Aを用い、試料として参考例1の(1)で調製した各リポ蛋白分画を用い、(1)と同様の手順により、各リポ蛋白分画中のコレステロールに対する吸光度差を算出した。算出した吸光度差と(1)の検量線とから、各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度(mg/dL)を決定した。
【0100】
(3)各リポ蛋白分画中のコレステロールの反応率の決定
参考例1の(3)で決定した各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度と、上記(2)で決定した各リポ蛋白分画におけるコレステロール濃度とから、以下の式(I)により、実施例1のキット1Aにおける各リポ蛋白分画中のコレステロールの反応率を決定した。
【0101】
【数1】
【0102】
決定した各リポ蛋白分画中のコレステロールの反応率について、0%~10%未満を“-”、10%以上~20%未満を“±”、20%以上~40%未満を“+”及び40%以上を“++”として表し、その結果を第1表に示す。
【0103】
(4)ヒト血清におけるLDL-C濃度の決定
協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、3,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、ヒト血清20検体を調製した。次いで、LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1A及びメタボリードLDL-Cを用い、試料として当該ヒト血清20検体を用い、(1)と同様の手順により、各ヒト血清に対する吸光度差を算出した。算出した吸光度差と(1)の検量線とから、各ヒト血清におけるLDL-C濃度(mg/dL)を決定した。
【0104】
(5)本発明の測定キットを用いた測定方法及びメタボリードLDL-Cを用いた測定方法の間の相関係数の決定
LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1Aを用いて(4)で決定した各ヒト血清におけるLDL-C濃度(mg/dL)と、LDL-C測定用キットとしてメタボリードLDL-Cを用いて(4)で決定した各ヒト血清におけるLDL-C濃度(mg/dL)とから、実施例1のキット1Aを用いた測定方法及びメタボリードLDL-Cを用いた測定方法の間の相関関係を検証し、相関係数を決定した。その結果を第1表に示す。
【0105】
[実施例3]
実施例1のキット1Aの代わりに実施例1のキット1B、1C、1D及び1Eの各キットをLDL-C測定用キットとして用いる以外は、実施例2と同様の手順により、当該各キットの各リポ蛋白分画中のコレステロールへの反応率及び当該各キットを用いた測定方法とメタボリードLDL-Cを用いた測定方法の間の相関係数を決定した。その結果を第1表に示す。
【0106】
[比較例2]
実施例1のキット1Aの代わりに比較例1のキット1a、1b、1c、1d及び1eの各キットをLDL-C測定用キットとして用いる以外は、実施例2と同様の手順により、当該各キットにおける各リポ蛋白分画中のコレステロールの反応率及び当該各キットを用いた測定方法とメタボリードLDL-Cを用いた測定方法の間の相関係数を決定した。その結果を第1表に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
参考例1の(1)に記載のとおり、測定に用いた各リポ蛋白分画は、VLDL、LDL及びHDLを超遠心法によりそれぞれ分離して調製したものである。よって、VLDL分画中のコレステロール及びHDL分画のコレステロールの反応率が低く、かつ、LDL分画中のコレステロールの反応率が高いLDL-C測定キットほど、検体中のLDL-Cを正確に測定できることを意味する。第1表から明らかなとおり、実施例1のキット1A~1Eの各キットを用いる測定においては、比較例1のキット1a~1eの各キットを用いる測定と比較して、VLDL分画及びHDL分画の反応率が低く、かつLDL分画の反応率が高いことが判明した。したがって、POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤及びPOEPOP縮合物を含む、本発明のLDL-C測定用キットを用いる本発明のLDL-Cの測定方法により、検体中のLDL-Cを正確に測定できることが明らかとなった。
【0109】
また、第1表から明らかなとおり、実施例1のキット1A~1Eの各キットを用いた測定方法とメタボリードLDL-Cを用いた測定方法との間の相関係数が0.95以上となり、両測定間に良好な相関関係が認められた。一方、比較例1のキット1a~1eの各キットを用いた測定方法とメタボリードLDL-Cを用いた測定方法との間においては、良好な相関関係が認められなかった。したがって、POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤及びPOEPOP縮合物を含む、本発明のLDL-C測定用キットを用いる本発明のLDL-Cの測定方法により、検体中のLDL-Cを正確に測定できることが明らかとなった。
【0110】
[実施例4]
協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、3,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、ヒト血清5検体を調製した。次いで、LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1E及びメタボリードLDL-Cを用い、試料として当該ヒト血清5検体を用い、実施例2の(1)及び(2)と同様の手順により、各ヒト血清におけるLDL-C濃度(mg/dL)を決定した。その結果を第2表に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
第2表から明らかなとおり、LDL-C測定用キットとして実施例1のキット1Eを用いる測定において決定したLDL-C濃度(mg/dL)は、LDL-C測定用キットとしてメタボリードLDL-Cを用いる測定により決定したLDL-C濃度(mg/dL)とほぼ同じであった。したがって、POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤及びPOEPOP縮合物を含む、本発明のLDL-C測定用キットを用いる本発明のLDL-Cの測定方法により、検体中のLDL-Cを正確に測定できることが明らかとなった。
【0113】
[実施例5]
以下の第1試薬及び第2試薬からなるLDL-C測定用キット(キット2A~2D)を調製した。
第1試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
EMSE 0.3g/L
アスコルビン酸オキシダーゼ 4kU/L
第2試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
4-AA 0.5g/L
塩化カルシウム 0.1g/L
フェロシアン化カリウム 0.02g/L
LPL-311 3kU/L
CHO-CE 2kU/L
ペルオキシダーゼ 20kU/L
プルロニックL-121 7g/L
ワンダサーフS-1400 4g/L
ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体A~D(第3表参照)
【0114】
[比較例3]
以下の第1試薬及び第2試薬からなるLDL-C測定用キット2aを調製した。
第1試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
EMSE 0.3g/L
アスコルビン酸オキシダーゼ 4kU/L
第2試薬
PIPES(pH7.0) 50mmol/L
4-AA 0.5g/L
塩化カルシウム 0.1g/L
フェロシアン化カリウム 0.02g/L
LPL-311 3kU/L
CHO-CE 2kU/L
ペルオキシダーゼ 20kU/L
プルロニックL-121 7g/L
ワンダサーフS-1400 4g/L
PEG#2000 3.6g/L
【0115】
比較例3のLDL-C測定用キット2aは、第2試薬中のポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の代わりにPEG#2000を用いる以外は、実施例5のLDL-C測定用キット(キット2A~2D)と同じである。
【0116】
[実施例6]
LDL-C測定用キットとして実施例5のキット2Aを用い、試料としてイントラリポスを血清に添加して調製したイントラリポス添加血清、及び生理食塩水を血清に添加して調製した生理食塩水添加血清を用い、以下の手順により、イントラリポス添加血清中のLDL-C濃度及び生理食塩水添加血清中のLDL-C濃度を決定し、イントラリポスの影響を評価した。
【0117】
(1)イントラリポス添加血清及び生理食塩水添加血清の調製
ヒト血清とイントラリポス輸液10%とを、9:1の比率で混合し、イントラリポス添加血清を調製した。同様に、ヒト血清と生理食塩水とを、9:1の比率で混合し、生理食塩水添加血清を調製した。
(2)イントラリポス添加血清中及び生理食塩水添加血清中のLDL-C濃度の決定
LDL-C測定用キットとして実施例5のキット2Aを用い、検体として(1)で調製したイントラリポス添加血清及び生理食塩水添加血清を用い、実施例2の(1)及び(2)と同様の手順により、当該血清中のLDL-C濃度(mg/dL)を決定した。
(3)LDL-C測定におけるイントラリポスの影響の評価
LDL-C測定用キットとして実施例5のキット2Aを用いて(2)で決定したイントラリポス添加血清中のLDL-C濃度(mg/dL)と、生理食塩水添加血清におけるLDL-C濃度(mg/dL)とから、以下の式(II)により、実施例5のキット2Aを用いるLDL-C測定におけるイントラリポスの影響を評価した。その結果を第3表に示す。
【0118】
【数2】
【0119】
[実施例7]
実施例5のキット2Aの代わりに実施例5のキット2B、2C、2D及び1Eの各キットをLDL-C測定用キットとして用いる以外は、実施例6と同様の手順により、当該各キットを用いるLDL-C測定におけるイントラリポスの影響を評価した。その結果を第3表に示す。
【0120】
[比較例4]
実施例5のキット2Aの代わりに比較例3のキット2aをLDL-C測定用キットとして用いる以外は、実施例6と同様の手順により、当該各キットを用いるLDL-C測定におけるイントラリポスの影響を評価した。その結果を第3表に示す。
【0121】
【表3】

【0122】
イントラリポスは大豆油によるトリグリセライドを主成分とする脂肪乳剤であり、臨床検査用試薬における検体中の脂質の濁りによる影響の評価にしばしば用いられる。ここで、イントラリポス添加血清中のLDL-C濃度の、生理食塩水添加血清中のLDL-C濃度に対する割合が100%に近いほど、イントラリポスの影響を受けることなく、正確なLDL-Cの測定が可能となることを意味する。
【0123】
第3表から明らかなとおり、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を含まないキット1E、及び、ポリオキシエチレンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体の代わりにポリオキシエチレングリコールを含む比較例3のキット2aと比較して、ポリオキシエチエンを分子内に含まないポリオキシプロピレン誘導体を含む、実施例5のキット2A~2Dの各キットにおける、イントラリポス添加血清中のLDL-C濃度の、生理食塩水添加血清中のLDL-C濃度に対する割合はいずれも70%以上と高かった。したがって、POEアルキルエーテル及びPOEPOPアルキルエーテルからなる群より選ばれる1つ以上の界面活性剤、POEPOP縮合物、及び、分子内にポリオキシエチレンを含まないポリオキシプロピレン誘導体を含む、本発明のLDL-C測定用キットを用いる本発明のLDL-Cの測定方法により、脂質による濁りの影響を受けることなく、検体中のLDL-Cを正確に測定できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明により、メタボリックシンドロームや動脈硬化等の診断に有用なLDL-Cの測定方法、測定用試薬及び測定用キットが提供される。