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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080181
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A61M1/16 185
A61M1/16 111
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064032
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2019102813の分割
【原出願日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2019097205
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 毅
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋也
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 正倫
(72)【発明者】
【氏名】秋田 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋明
(57)【要約】
【課題】洗浄消毒用の薬液の種類を識別でき、薬液の種類に応じた適切な洗浄消毒処理が可能な血液浄化装置を提供する。
【解決手段】血液浄化器を介して血液浄化治療を行う血液浄化装置1であって、配管3と、配管3に設けられると共に、検出方式が異なる複数のセンサ4と、複数のセンサ4を用いて、配管3に流通されている洗浄消毒用の薬液の種類を識別する薬液識別部81と、を備え、薬液識別部81は、複数のセンサ4を用いて、少なくとも複数のセンサ4の個数以上の種類の薬液を識別可能に構成されており、薬液識別部81は、洗浄消毒において使用されるべき薬液の種類に応じて、複数のセンサ4の全部又は一部を選択し、選択した全部又は一部のセンサ4の検出結果に基づき、当該洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化器を介して血液浄化治療を行う血液浄化装置であって、
配管と、
前記配管に設けられると共に、検出方式が異なる複数のセンサと、
前記複数のセンサを用いて、前記配管に流通されている洗浄消毒用の薬液の種類を識別する薬液識別部と、を備え、
前記薬液識別部は、前記複数のセンサを用いて、少なくとも前記複数のセンサの個数以上の種類の前記薬液を識別可能に構成されており、
前記薬液識別部は、洗浄消毒において使用されるべき薬液の種類に応じて、前記複数のセンサの全部又は一部を選択し、選択した全部又は一部のセンサの検出結果に基づき、当該洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別する、
血液浄化装置。
【請求項2】
前記薬液識別部は、前記複数のセンサの各検出結果の組み合わせに基づき、前記複数のセンサの個数より多い種類の前記薬液を識別可能に構成されている、
請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記配管の洗浄消毒時に、前記複数のセンサのうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたかを検出する洗浄消毒制御部を備えた、
請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記洗浄消毒制御部は、前記複数のセンサのうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管内の透析液または前記薬液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成されている、
請求項3に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記複数のセンサの一部のセンサは、透析治療の進行度を監視するために用いられる、
請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記複数のセンサは、
前記配管を流通する液体の電導度を測定する電導度センサと、
前記配管を流通する液体による紫外光の吸収度を測定する吸光度センサと、を含む、
請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記薬液識別部は、前記薬液の種類毎に設定された前記電導度センサの検出値用の閾値、及び前記吸光度センサの検出値用の閾値と、前記電導度センサ及び前記吸光度センサの検出値とを比較することで、前記薬液の種類を識別する、
請求項6に記載の血液浄化装置。
【請求項8】
前記洗浄消毒制御部は、前記少なくとも1つのセンサよりも下流の配管の容量に応じて予め設定された遅延時間が経過したとき、前記配管内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたことを検出する薬液置換検出部を有する、
請求項3に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液浄化装置では、血液浄化治療後に、内部の配管を洗浄消毒する洗浄消毒処理が行われる。洗浄消毒処理では、配管内に洗浄消毒用の薬液を導入し、配管内の洗浄消毒を行う(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-097197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄消毒処理では、配管内の汚れ具合や装置の使用頻度等に応じて、異なる薬液が使用される。使用する薬液が異なると、洗浄消毒にかかる時間や制御内容等が異なるため、例えば誤った薬液を使用した場合には、洗浄消毒が過度に行われて薬液が無駄になったり、洗浄消毒が十分に行われずその後の治療に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【0005】
例えば、外部装置から薬液が導入される血液浄化装置では、外部装置から使用する薬液の種類を通信等により受信することが考えられる。しかし、このような場合であっても、より安全性を高めるために、各血液浄化装置で実際に供給された薬液の種類を識別し、正しい薬液が供給されているかを判別することが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、洗浄消毒用の薬液の種類を識別でき、薬液の種類に応じた適切な洗浄消毒処理が可能な血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的として、請求項1に係る発明は、血液浄化器を介して血液浄化治療を行う血液浄化装置であって、配管と、前記配管に設けられると共に、検出方式が異なる複数のセンサと、前記複数のセンサを用いて、前記配管の洗浄消毒時に前記配管に流通されている洗浄消毒用の薬液の種類を識別する薬液識別部と、前記配管内の透析液を透析用水に置換する前洗浄を行った後、前記配管内に洗浄消毒用の薬液を流通させ、前記配管の洗浄消毒を行う洗浄消毒制御部と、を備え、前記洗浄消毒制御部は、前記複数のセンサのうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管内の透析液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成され、前記薬液識別部は、前記複数のセンサを用いて、前記前洗浄における前記透析用水の測定結果と比較して、少なくとも前記複数のセンサの個数以上の種類の前記薬液を識別可能に構成されており、前記薬液識別部は、洗浄消毒において使用されるべき薬液の種類に応じて、前記複数のセンサの全部又は一部を選択し、選択した全部又は一部のセンサの検出結果に基づき、当該洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別する、血液浄化装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記薬液識別部は、前記複数のセンサの各検出結果の組み合わせに基づき、前記複数のセンサの個数より多い種類の前記薬液を識別可能に構成されている、請求項1に記載の血液浄化装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記洗浄消毒制御部は、前記配管の洗浄消毒時に、前記複数のセンサのうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたかを検出する、請求項1に記載の血液浄化装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記洗浄消毒制御部は、前記複数のセンサのうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管内の透析液または前記薬液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成されている、請求項3に記載の血液浄化装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記複数のセンサの一部のセンサは、透析治療の進行度を監視するために用いられる、請求項1に記載の血液浄化装置である。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記複数のセンサは、前記配管を流通する液体の電導度を測定する電導度センサと、前記配管を流通する液体による紫外光の吸収度を測定する吸光度センサと、を含む、請求項1に記載の血液浄化装置である。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記薬液識別部は、前記薬液の種類毎に設定された前記電導度センサの検出値用の閾値、及び前記吸光度センサの検出値用の閾値と、前記電導度センサ及び前記吸光度センサの検出値とを比較することで、前記薬液の種類を識別する、請求項6に記載の血液浄化装置である。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記洗浄消毒制御部は、前記少なくとも1つのセンサよりも下流の配管の容量に応じて予め設定された遅延時間が経過したとき、前記配管内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたことを検出する薬液置換検出部を有する、請求項3に記載の血液浄化装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,2に係る発明によれば、洗浄消毒用の薬液の種類を識別でき、薬液の種類に応じた適切な洗浄消毒処理を行うことが可能になる。
【0016】
請求項1に係る発明によれば、現在使用されている薬液が、洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別できる。
【0017】
請求項3,8に係る発明によれば、配管内に洗浄消毒用の薬液が満たされたかを検出し、適切な洗浄消毒処理を行うことが可能になる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前洗浄時に透析液が残って洗浄消毒が十分に行われなかったり、あるいは後洗浄時に薬液が残留して血液浄化治療に不具合が生じたりすることを抑制できる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、透析の進行度を監視することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、電導度及び吸光度を各々のセンサが検出するため、異なる組成の薬液を検出可能であり、洗浄消毒用の薬液の種類をより多く識別することが可能である。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、洗浄消毒処理に用いられている代表的な薬液である酸洗浄液、過酢酸系消毒液、及び次亜系消毒液を識別できる。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、配管内に洗浄消毒用の薬液が満たされたことを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置を用いた血液浄化システムの概略構成図である。
図2】血液浄化装置の概略構成図である。
図3】(a)は洗浄・殺菌処理のフロー図であり、(b)は(a)のステップS2におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る血液浄化装置を用いた血液浄化システムの概略構成図である。図1に示されるように、血液浄化システム10は、透析液供給装置11と、複数の血液浄化装置1と、を備えている。
【0026】
透析液供給装置11は、図示しない水処理装置から供給された透析用水と、図示しない溶解装置から供給された透析液原液とを用いて、所定濃度の透析液を調製し、調製した透析液を各血液浄化装置1に供給する。透析液供給装置11で調製された透析液は、透析液供給ライン12を介して各血液浄化装置1に供給される。
【0027】
血液浄化装置1は、患者に血液浄化治療(透析治療)を施すための血液浄化器(ダイアライザ、不図示)が取り付けられ、透析液供給装置11から供給された透析液を各血液浄化器に供給する。血液浄化装置1の詳細については後述する。
【0028】
血液浄化システム10では、信号線13を介して、透析液供給装置11と各血液浄化装置1とが通信可能に構成されている。透析液供給装置11では、各血液浄化装置1の稼働状況の検知や、各血液浄化装置1の制御が可能となっている。なお、透析液供給装置11と各血液浄化装置1間の通信形態はこれに限定されず、例えば有線通信ではなく無線通信であってもよい。
【0029】
血液浄化システム10では、血液浄化治療の後に、配管内を洗浄消毒する洗浄消毒処理が行われる。なお、ここでいう洗浄消毒処理とは、洗浄のみを行う場合、消毒のみを行う場合、及び、洗浄と消毒の両方を行う場合を含んでいる。洗浄消毒処理を行う際には、透析液供給装置11にて、洗浄消毒に用いる薬液の調製が行われ、調製された薬液が、透析液供給ライン12を介して各血液浄化装置1に供給される。また、透析液供給装置11では、洗浄消毒処理時に、使用する薬液の種類等を各血液浄化装置1に通知する機能を有している。作業者が、透析液供給装置11にて洗浄消毒処理を開始する操作を行えば、透析液供給装置11に予め設定されたプログラムに従って、透析液供給装置11及び各血液浄化装置1にて自動で洗浄消毒処理が行われる。
【0030】
(血液浄化装置1)
図2は、血液浄化装置1の概略構成図である。なお、図2では、洗浄消毒時における配管構成を模式的に表している。図2に示すように、血液浄化装置1は、図示しない血液浄化器が接続される一対のコネクタ2a,2bを有しているが、洗浄消毒時には両コネクタ2a,2bはバイパスコネクタ2cを介して連結される。
【0031】
血液浄化装置1の内部の配管3は、透析液供給ライン12が接続される液供給口3aと一方のコネクタ2aとを含む供給側流路31と、他方のコネクタ2bと液排出口3bとを含む排出側流路32と、を有している。
【0032】
また、血液浄化装置1は、血液浄化器への液供給量と、血液浄化器からの液排出量とが機械的に同等となるように構成された複式ポンプ5を有している。本実施の形態では、この複式ポンプ5を、配管3内を流通する液の流量を制御するために用いる。また、排出側流路32において複式ポンプ5をバイパスするように除水流路33が設けられており、この除水流路33に、血液からの除水量を制御するための除水ポンプ6が設けられている。また、供給側流路31には、液の供給を遮断可能な電磁弁からなる給液弁7が設けられている。なお、図2の構成図は簡略化して示してあり、各部をバイパスする流路や電磁弁、フィルタユニット、液圧を測定する圧力センサ、液温を測定する温度センサ等を適宜備えていてもよい。
【0033】
また、血液浄化装置1は、複式ポンプ5、除水ポンプ6、給液弁7等の制御を行う制御装置8を備えている。制御装置8は、血液浄化治療時や洗浄消毒時において、各部の制御を行うものである。
【0034】
本実施の形態に係る血液浄化装置1では、その内部の配管3に設けられた異なる検出方式の複数のセンサ4と、複数のセンサ4を用いて、配管3に流通されている洗浄消毒用の薬液の種類を識別する薬液識別部81と、を備えている。
【0035】
複数のセンサ4は、配管3に設けられ、配管3内に洗浄消毒用の薬液が流通されていることを検出可能に設けられている。本実施の形態では、これら複数のセンサ4を、洗浄消毒用の薬液の種類を判別するために用いる。本実施の形態では、複数のセンサ4として、配管3を流通する液体の電導度を測定する電導度センサ41と、配管3を流通する液体による280nm帯の紫外光の吸収度を測定する吸光度センサ42と、を用いた。ただし、センサ4はこれに限らず、例えば配管3を流通する液体のpHを測定するpHセンサ等を含んでもよい。
【0036】
電導度センサ41は、血液浄化治療中に、透析液の濃度を監視するために用いられるものであり、供給側流路31に設けられている。血液浄化治療中に、透析液の濃度が閾値を超える場合、警報を発し、表示部(不図示)等のユーザーインターフェースを介して、視覚的又は聴覚的に報知する。また、吸光度センサ42は、血液浄化治療時には、血液浄化器からの排液の吸光度を測定し、排液に含まれる尿素窒素の量を検出し、透析の進行度を監視するために用いられるものであり、排出側流路32に設けられている。つまり、本実施の形態では、従来から血液浄化治療に用いられている電導度センサ41と吸光度センサ42とを、洗浄消毒用の薬液の種類の判別の用途として転用している。これにより、洗浄消毒用の薬液の種類の判別用のセンサを別途設ける必要がなくなり、システム構成が簡易となり低コスト化が可能になる。
【0037】
洗浄消毒時に用いられる代表的な薬液としては、酸洗浄液、過酢酸系消毒液、次亜系消毒液が挙げられる。このうち、酸洗浄液及び次亜系消毒液については、透析用水と比較して電導度が異なるため、電導度センサ41により検出が可能である。また、上記薬液のうち、過酢酸系消毒液及び次亜系消毒液については、透析用水と比較して紫外光(280nm帯の紫外光)の吸光度が異なるため、吸光度センサ42により検出が可能である。このように、本実施の形態では、2つのセンサ4を用いて、2種類以上(ここでは3種類)の薬液を検出可能に構成されている。
【0038】
電導度センサ41で検出される電導度、及び吸光度センサ42で検出される吸光度は、配管3内に流通されている薬液の濃度に依存するため、電導度や吸光度を検出することにより、薬液の濃度も検出することができる。つまり、本実施の形態では、センサ4は、配管3内に流通されている薬液の濃度を検出可能に構成されている。
【0039】
薬液識別部81は、制御装置8に搭載されており、CPU等の演算素子、メモリ等の記憶装置、ソフトウェア、インターフェイス等を適宜組み合わせて実現される。薬液識別部81は、複数のセンサ4の検出結果を基に、少なくともセンサ4の個数以上の種類の薬液を識別可能に構成されている。本実施の形態では、薬液識別部81は、複数のセンサ4の各検出結果の組み合わせに基づき、複数のセンサ4の個数より多い種類の薬液を識別可能に構成されている。
【0040】
より具体的には、薬液識別部81は、薬液の種類毎に設定された電導度センサ41の検出値用の閾値(基準値範囲)、及び吸光度センサ42の検出値用の閾値(基準値範囲)と、電導度センサ41及び吸光度センサ42の検出値とを比較することで、薬液の種類を識別する。例えば、電導度センサ41及び吸光度センサ42の検出値が、それぞれ酸洗浄液用の基準値範囲内にあるとき、薬液が酸洗浄液であると識別される。なお、これに限らず、薬液識別部81は、電導度センサ41と吸光度センサ42の検出結果を基に、透析用水の測定結果と比較して、電導度センサ41の検出値のみが変化する場合(変化量が所定の閾値以上となった場合)には薬液が酸洗浄液であると識別し、吸光度センサ42の検出値のみが変化する場合(変化量が所定の閾値以上となった場合)には薬液が過酢酸系消毒液であると識別し、電導度センサ41と吸光度センサ42の両方の検出値が変化する場合(変化量が所定の閾値以上となった場合)には薬液が次亜系消毒液であると識別してもよい。
【0041】
本実施の形態では、制御部8は、透析液供給装置11と通信を行うことによって、透析液供給装置11から洗浄消毒処理で使用される薬液を示す情報を取得するように構成されている。そして、薬液識別部81は、取得した薬液を示す情報に基づき薬液を特定し、複数のセンサ4のうち、特定した薬液に応じたセンサを選択するように構成されている。
【0042】
このように、本実施の形態では、薬液識別部81は、洗浄消毒において使用されるべき薬液の種類に応じて、複数のセンサ4の全部又は一部を選択する。また、薬液識別部81は、選択した全部又は一部のセンサ4の検出結果に基づき、現在使用されている薬液が当該洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別するように構成されている。上述の基準値範囲は、薬液の種類を識別可能な範囲で設定されているため、薬液の濃度が所定の基準値範囲内であるか否かを判定することによって、薬液の濃度と共に薬液の種類が適正であるか否かを判定することが可能である。これにより、ユーザーが、供給すべき薬液の種類を取り違え、制御上、管理されている薬液とは異なる種類の薬液が透析液供給装置11から送液される場合であっても、不適切な種類の薬液で洗浄消毒を行うことを回避可能となる。
【0043】
また、血液浄化装置1は、内部の配管3内に洗浄消毒用の薬液を流通させ、配管3の洗浄消毒処理を行う洗浄消毒制御部82を備えている。洗浄消毒制御部82は、透析液供給装置11からの指示に従い、洗浄消毒処理を実行する。洗浄消毒制御部82は、制御装置8に搭載されており、CPU等の演算素子、メモリ等の記憶装置、ソフトウェア、インターフェイス等を適宜組み合わせて実現される。洗浄消毒制御部82は、薬液置換検出部821と、薬液流量制御部822と、を有している。
【0044】
薬液置換検出部821は、少なくとも1つのセンサ4の検出結果を基に、配管3の消毒・洗浄時に、配管3内に洗浄消毒用の薬液が満たされたこと(他の液体から薬液に置換されたこと)を検出するように構成されている。薬液置換検出部821は、薬液識別部81で識別した薬液に応じたセンサ4の検出結果を用い、当該センサ4の検出値と、識別した薬液に応じた閾値とを比較することで、当該センサ4を設けた位置において配管3内に薬液が流通されたことを検知する。換言すれば、薬液置換検出部821は、センサ4で検出された薬液の濃度が所定の基準値以上となったとき、当該センサ4を設けた位置において配管3内に薬液が流通されたことを検知する。
【0045】
例えば、薬液識別部81により使用されている薬液が酸洗浄液と識別された場合、薬液置換検出部821は、電導度センサ41の検出値と、予め設定された酸洗浄液用の閾値とを比較して、電導度センサ41を設けた位置において配管3内に薬液が流通されたことを検知する。なお、次亜系消毒液については、電導度センサ41と吸光度センサ42の一方のみを用いて薬液の流通を検知してもよいし、両方のセンサ41,42を用いて薬液の流通を検知してもよい。
【0046】
洗浄消毒時には、センサ4の下流側まで全ての配管3が薬液で満たされる必要があるため、薬液置換検出部821は、薬液の流通を検知した後、当該薬液の流通の検知に用いたセンサ4よりも下流の配管3の配管容量に応じて予め設定された遅延時間が経過したとき、配管3内に洗浄消毒用の薬液が満たされたことを検出する。例えば、電導度センサ41が薬液を検知する場合、吸光度センサ42より薬液の送液方向上流側に配置されるため、遅延時間が長く設定される。
【0047】
このように、使用する薬液によって、薬液の通液を検知する際の閾値(濃度の基準値)や、遅延時間の長さが異なっている。薬液識別部81を備えることにより、例えば意図したものと異なる薬液を使用する等のヒューマンエラーがあった場合でも、実際に使用している薬液の種類に応じた適切な洗浄消毒処理が可能になる。なお、薬液識別部81は、透析液供給装置11から通知された薬液と、識別した薬液とが異なる場合には、透析液供給装置11にアラート信号を送信する等して、警報を発するように構成されてもよい。
【0048】
薬液流量制御部822は、薬液置換検出部821により、配管3内に薬液が満たされたことが検出されたとき、当該検出前と比較して薬液の流量を低下させる処理を行う。本実施の形態では、薬液流量制御部822は、複式ポンプ5を制御することにより、薬液の流量を制御するように構成されている。
【0049】
本発明者らが検討したところ、洗浄消毒の効果は、配管3に薬液が接液している時間が支配的であり、薬液の流量を低下させても十分な洗浄消毒の効果が得られることが見出された。ただし、洗浄消毒処理を短時間で効率よく行うためには、配管3内に薬液を満たすまでは薬液の流量をできるだけ大きくすることが望ましいといえる。そこで、本実施の形態では、配管3内に薬液が満たされた後に薬液の流量を低下させ、十分な洗浄消毒の効果を維持しつつも、薬液の使用量を低減するようにした。
【0050】
洗浄消毒処理にかかる時間を短くするために、配管3内に薬液が満たされる前の薬液の流量は、なるべく大きいことが望まれる。また、薬液の使用量を低減するために、配管3内に薬液が満たされた後の薬液の流量は、なるべく小さいことが望まれる。そのため、配管3内に薬液が満たされた後の薬液の流量は、配管3内に薬液が満たされる前の薬液の流量の1/2以下とすることが望ましく、1/4以下とすることがより望ましい。ただし、配管3内に薬液が満たされた後の薬液の流量を低下させ過ぎると、汚れ等が流されにくくなり洗浄消毒の効果が低下するおそれがある。そのため、配管3内に薬液が満たされた後の薬液の流量は、配管容量等を考慮し、洗浄消毒の効果を維持できる程度とするとよい。
【0051】
洗浄消毒制御部82は、配管3内に薬液が満たされたことを検出してから所定の消毒・洗浄時間を経過したとき、当該薬液による消毒・洗浄が終了したと判断し、複式ポンプ5を停止して次工程(後述する後洗浄等)に移行するように構成されている。なお、消毒・洗浄時間を経過した後、複式ポンプ5を停止して洗浄消毒液を配管3内に封入した状態で洗浄消毒処理を終了してもよい。消毒・洗浄時間については、使用する薬液毎に設定されてもよい。なお、給液弁7等の電磁弁を十分に洗浄消毒するため、洗浄消毒制御部82は、配管3内に薬液が満たされたことを検出してから所定の消毒・洗浄時間を経過するまでの間に、電磁弁を所定の時間間隔で開閉制御するとよい。
【0052】
なお、配管3内に薬液が満たされたことを検出してから消毒・洗浄時間を経過する前に、何らかの理由(例えば薬液が不足した場合等)で薬液の濃度が低下すると、十分な洗浄消毒の効果が得られない場合がある。そこで、配管3内に薬液が満たされたことを検出してから消毒・洗浄時間を経過する前に、薬液置換検出部821により薬液の濃度が基準値を下回った(センサ4の検出値が閾値を下回った)ことが検出されたとき、薬液流量制御部822により薬液の流量を上昇させ、改めて薬液置換検出部821により配管3内に薬液が満たされたかを検出するように洗浄消毒制御部82を構成してもよい。これにより、洗浄消毒中に何らかの理由で薬液の濃度が低下した場合であっても、洗浄消毒が不足したまま処理が終了してしまわないようにすることができる。また、洗浄消毒制御部82は、薬液の濃度が低下を検出した場合には、透析液供給装置11にアラート信号を送信する等して、警報を発するように構成されてもよい。
【0053】
ここで、洗浄消毒処理の手順について図3(a),(b)を用いて説明する。洗浄消毒処理を開始する際には、血液浄化治療用の透析液が配管3内に残留している。そこで、図3(a)に示すように、洗浄消毒処理では、まず、ステップS1にて、配管3内の透析液を透析用水に置換する前洗浄が行われる。その後、ステップS2にて、洗浄消毒用の薬液を用いた洗浄消毒が行われる。その後、ステップS3にて、配管3内の薬液を透析用水に置換する後洗浄が行われる。なお、上述のように、ステップS3の後洗浄を行わずに薬液を配管3に封入したまま洗浄消毒処理を終了してもよい。この場合、次回の血液浄化治療を行う前に、後洗浄が行われることになる。
【0054】
上述のように、センサ4として用いている電導度センサ41は、透析液の濃度を検出でき、また吸光度センサ42は排液内の尿素窒素の濃度を検出することができる。よって、電導度センサ41や吸光度センサ42の検出値を監視することで、前洗浄時に、配管3内の透析液(排液を含む)が透析用水に置換されたかを検知することが可能である。そこで、本実施の形態では、洗浄消毒制御部82は、ステップS1の前洗浄時に、少なくとも1つのセンサ4の検出結果を基に、配管3内の透析液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成されている。洗浄消毒制御部82は、センサ4の検出結果を基に、配管3内が透析用水に置換されたかを判断し、配管3内が透析用水に置換されたと判断されたときに、ステップS2の洗浄消毒へと移行するように構成される。配管3内に透析液が残った状態で薬液を導入すると、意図した洗浄消毒の効果が得られない場合があるが、本実施の形態によればそのような不具合を抑制できる。
【0055】
また、センサ4により洗浄消毒用の薬液の濃度を検知できるため、センサ4の検出値を監視することで、後洗浄時に、配管3内の薬液が透析用水に置換されたかを検知することが可能である。そこで、本実施の形態では、洗浄消毒制御部82は、ステップS3の後洗浄時に、少なくとも1つのセンサ4の検出結果を基に、配管3内の薬液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成されている。洗浄消毒制御部82は、センサ4の検出結果を基に、配管3内が透析用水に置換されたかを判断し、配管3内が透析用水に置換されたと判断されたときに、洗浄消毒処理を終了するように構成される。配管3内に薬液が残った状態で処理を終了すると、次の治療時に患者の血液に薬液が接液することとなり血液浄化治療に悪影響を及ぼすおそれがあるが、本実施の形態によればそのような不具合を抑制できる。
【0056】
図3(b)に示すように、ステップS2の洗浄消毒では、まず、ステップS20にて、制御部8は、透析液供給装置11と通信を行うことによって、透析液供給装置11から洗浄消毒処理で使用される薬液を示す情報を取得する。続いて、薬液識別部81は、 薬液を示す情報に基づき薬液を特定し、複数のセンサ4のうち、特定した薬液に応じたセンサを選択する。
【0057】
その後、ステップS21にて、薬液識別部81は、ステップS20で選択したセンサ4を用いて、薬液の濃度が所定の基準値範囲内であるか否かを判定する。また、薬液識別部81は、ステップS21の判定を通じて、薬液の種類を識別している。つまり、基準値範囲が、薬液の種類を識別可能な範囲で設定されているため、薬液の濃度が所定の基準値範囲内であるか否かを判定することによって、薬液の濃度と共に薬液の種類が適正であるか否かを判定可能である。更に、ステップS20において、薬液の種類を示す情報を取得し、薬液の種類を特定しているが、ユーザーが、供給すべき薬液の種類を取り違え、制御上、管理されている薬液とは異なる種類の薬液が透析液供給装置11から送液される場合であっても、ステップS21において、薬液の種類を識別しているため、不適切な種類の薬液で洗浄消毒を行うことを回避可能である。
【0058】
ステップS21でNOと判定された場合、ステップS21に戻り判定を繰り返す。ステップS21でYESと判定された場合、ステップS22にて、薬液置換検出部821が、配管3内に薬液が満たされたかを検出する。具体的には、薬液置換検出部821は、ステップS21でYESと判定されてから、所定の遅延時間が経過したときに、配管3内に薬液が満たされとことを検出する。ステップS22でNOと判定された場合、ステップS21に戻る。
【0059】
ステップS22でYESと判定された場合、ステップS23にて、薬液流量制御部822が、複式ポンプ5を制御して薬液の流量を低下させる。その後、ステップS24にて、センサ4の検出結果を基に、薬液の濃度が基準値範囲内であるかを判定する。ステップS24でNOと判定された場合、ステップS25にて、薬液流量制御部822が、複式ポンプ5を制御して薬液の流量を上昇させた後、ステップS21に戻る。なお、薬液の濃度を外部装置で監視しており薬液濃度の低下のおそれがない場合等は、ステップS24とステップS25については省略可能である。
【0060】
ステップS24でYESと判定された場合、ステップS26にて、洗浄消毒制御部82は、ステップS22で配管3内に薬液が満たされたと判定されてから、予め設定された洗浄消毒時間が経過したかを判定する。ステップS26でNOと判定された場合、ステップS24に戻る。
【0061】
ステップS26でYESと判定された場合、ステップS27にて、洗浄消毒制御部82は、複式ポンプ5を停止して薬液の流通を停止する。その後、リターンする(図3(a)のステップS3に進む)。
【0062】
(変形例)
本実施の形態では、透析液供給装置11から予め使用する薬液を示す情報を取得する場合について説明したが、この処理(上述のステップS20の処理)を省略し、複数のセンサ4で薬液を識別するようにしてもよい。この場合、複数のセンサ4のうち使用するセンサを選択し、このセンサのみの検出結果に基づき薬液を識別するのではなく、複数のセンサ4を全て用い、複数のセンサ4の検出結果に基づき薬液を識別するとよい。
【0063】
本実施の形態では、外部の透析液供給装置11から透析液や洗浄消毒用の薬液が供給される血液浄化装置1について説明したが、血液浄化装置1は、透析液や洗浄消毒用の薬液を調整する機構を備えたものであってもよい。また、血液浄化装置1は、洗浄消毒用の薬液を供給するタンク等を内蔵したものであってもよいし、別体に設けられたタンク等から洗浄消毒用の薬液が供給されるものであってもよい。
【0064】
また、図3(a)では説明を省略したが、例えば、酸洗浄液を用いた洗浄・殺菌を行った後に、次亜系消毒液を用いた洗浄・殺菌を行うなど、異なる薬液を用いた洗浄・殺菌を連続して行うことも当然に可能である。この場合、任意の薬液を用いた洗浄・殺菌が終了した後、配管3内を透析用水に置換する洗浄ステップを行い、その後他の薬液を用いた洗浄・殺菌を実施することで、薬液が混ざらないようにすることが望ましい。これは、異なる薬液が混ざると、薬液の組み合わせによっては塩素ガス等の有毒物質が生じるおそれがあるためである。このような場合、洗浄消毒制御部82は、洗浄ステップ時に、センサ4の検出結果を基に、配管3内が透析用水に置換されたかを判断し、配管3内が透析用水に置換されたと判断されたときに、次の薬液を用いた洗浄消毒に移行するように構成されるとよい。これにより、薬液の混合をより抑制することが可能になる。
【0065】
さらに、本実施の形態では、センサ4の検出結果を基に、配管3内に薬液が満たされたことを検出したが、これに限らず、薬液の供給開始からの時間により、配管3内に薬液が満たされたことを判定することもできる。ただし、この場合は薬液を物理的に検知していないため、確実性が若干劣るといえる。つまり、本実施の形態のように、センサ4の検出結果を基に、配管3内に薬液が満たされたかを判定することで、配管3内に薬液が満たされたことをより精度よく検出することが可能である。
【0066】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る血液浄化装置1では、検出方式が異なる複数のセンサ4を用いて、少なくともセンサ4の個数以上の種類の薬液を識別可能に構成されている。
【0067】
例えば、単一のセンサを用いた場合、洗浄消毒処理に用いられる代表的な薬液を判別することは困難である。例えば、分光光度計等の非常に高価で大がかりな設備を用いれば、1つの設備で薬液の判別を行うことは可能ではあるが、現実的ではない。本実施の形態のように、検出方式が異なる複数のセンサ4を用いることで、比較的安価で、かつ従来から血液浄化治療の監視用に用いられているセンサ4を用いて、洗浄消毒処理に用いられる代表的な薬液を判別することが可能になる。つまり、本実施の形態によれば、安価で簡単なシステム構成で多くの種類の洗浄消毒用の薬液を識別でき、薬液の種類に応じた適切な洗浄消毒処理を行うことが可能になる。
【0068】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0069】
[1]血液浄化器を介して血液浄化治療を行う血液浄化装置(1)であって、配管(3)と、前記配管(3)に設けられると共に、検出方式が異なる複数のセンサ(4)と、前記複数のセンサ(4)を用いて、前記配管(3)に流通されている洗浄消毒用の薬液の種類を識別する薬液識別部(81)と、を備え、前記薬液識別部(81)は、前記複数のセンサ(4)を用いて、少なくとも前記複数のセンサ(4)の個数以上の種類の前記薬液を識別可能に構成されており、前記薬液識別部(81)は、洗浄消毒において使用されるべき薬液の種類に応じて、前記複数のセンサ(4)の全部又は一部を選択し、選択した全部又は一部のセンサ(4)の検出結果に基づき、当該洗浄消毒において使用されるべき薬液であるか否かを識別する、血液浄化装置(1)。
【0070】
[2]前記薬液識別部(81)は、前記複数のセンサ(4)の各検出結果の組み合わせに基づき、前記複数のセンサ(4)の個数より多い種類の前記薬液を識別可能に構成されている、[1]に記載の血液浄化装置(1)。
【0071】
[3]前記配管(3)の洗浄消毒時に、前記複数のセンサ(4)のうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管(3)内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたかを検出する洗浄消毒制御部(82)を備えた、[1]または[2]に記載の血液浄化装置(1)。
【0072】
[4]前記洗浄消毒制御部(82)は、前記複数のセンサ(4)のうち少なくとも1つのセンサの検出結果を基に、前記配管(3)内の透析液または前記薬液が透析用水に置換されたかを検出可能に構成されている、[3]に記載の血液浄化装置(1)。
【0073】
[5]前記複数のセンサ(4)の一部のセンサは、透析治療の進行度を監視するために用いられる、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の血液浄化装置(1)。
【0074】
[6]前記複数のセンサ(4)は、前記配管(3)を流通する液体の電導度を測定する電導度センサ(41)と、前記配管(3)を流通する液体による紫外光の吸収度を測定する吸光度センサ(42)と、を含む、[1]乃至[5]の何れか1項に記載の血液浄化装置(1)。
【0075】
[7]前記薬液識別部(81)は、前記薬液の種類毎に設定された前記電導度センサ(41)の検出値用の閾値、及び前記吸光度センサ(42)の検出値用の閾値と、前記電導度センサ(41)及び前記吸光度センサ(42)の検出値とを比較することで、前記薬液の種類を識別する、[6]に記載の血液浄化装置(1)。
【0076】
[8]前記洗浄消毒制御部(82)は、前記少なくとも1つのセンサよりも下流の配管(3)の容量に応じて予め設定された遅延時間が経過したとき、前記配管(3)内に洗浄消毒用の前記薬液が満たされたことを検出する薬液置換検出部(821)を有する、[3]に記載の血液浄化装置(1)。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0078】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、薬液流量制御部822を備える場合について説明したが、薬液流量制御部822は省略可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…血液浄化装置
3…配管
4…センサ
41…電導度センサ
42…吸光度センサ
5…複式ポンプ
8…制御装置
81…薬液識別部
82…洗浄消毒制御部
821…薬液置換検出部
822…薬液流量制御部
図1
図2
図3