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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080194
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】可動コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20230601BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/631
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064255
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2018146630の分割
【原出願日】2018-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榛葉 大地
(72)【発明者】
【氏名】小椋 由幸
(57)【要約】
【課題】可動コネクタについて、使用前に端子の可動部が劣化したり破損することを防ぐ。
【解決手段】ハウジング2と、ハウジング2に保持される端子3とを備え、ハウジング2は、固定ハウジング4と、固定ハウジング4に対して予め定められた可動範囲で移動可能な可動ハウジング5とを有する可動コネクタ1において、ハウジング2に取付ける付加部材6をさらに備え、付加部材6は、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有する。使用開始前の運搬時における可動コネクタ1に対して振動や衝撃等の外力が加わっても、端子3の振幅を小さく抑えることができる。又は、端子3の振動を防止することができる。よって、疲労による破損が生じにくい端子3を備えた可動コネクタ1とすることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子とを備え、
前記ハウジングは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングとを有する可動コネクタにおいて、
前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、
前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有することを特徴とする可動コネクタ。
【請求項2】
前記規制部は、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間隙に配置される
請求項1記載の可動コネクタ。
【請求項3】
前記付加部材は、前記可動コネクタから取り外し可能に構成される
請求項1又は請求項2記載の可動コネクタ。
【請求項4】
前記規制部は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部である
請求項1~請求項3いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項5】
前記付加部材は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部を有する
請求項1~請求項3いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項6】
前記規制部は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部である
請求項1~請求項5いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項7】
前記付加部材は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部を有する
請求項1~請求項5いずれか1項記載の可動コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動コネクタに関し、特に、可動コネクタのハウジングに取付ける付加部材と、それを備える可動コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
接続対象物と導通接続するコネクタとしては、例えば特許文献1で示すような可動コネクタが知られている。この従来技術では、可動コネクタは、固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、固定ハウジング及び可動ハウジングに保持されて弾性変形可能な弾性部(可動部)を有する端子とを備えている。そして、この可動コネクタは、固定ハウジング側と可動ハウジング側とで互いに協働して、コネクタ嵌合方向での弾性部の弾性変形範囲について限界を定める規制手段を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-212025号公報 、図3(B)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような可動コネクタは、使用開始前の運搬時に振動や衝撃等の外力が加わると、固定ハウジングに対して可動ハウジングが振動し、端子の可動部も弾性変形することとなる。この振動が繰り返されると、可動部に疲労が蓄積されて破損するおそれがある。また、可動コネクタの使用開始前に端子が破損に至らない場合でも可動部の耐久性が低下していることもある。そして、可動部の耐久性が低下していると、接続対象物との嵌合接続時又は使用開始後に可動部が破損するおそれがある。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、可動コネクタについて、使用前に端子の可動部が劣化したり破損することを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は、以下の特徴を有するものとして構成される。
【0007】
すなわち、本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに保持される端子とを備え、前記ハウジングは、第1のハウジングと、前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングとを有する可動コネクタについて、前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、可動コネクタが規制部を有する付加部材を備えているので、第1のハウジングに対する第2のハウジングの移動が規制される。このため、使用開始前の運搬時における可動コネクタに対して振動や衝撃等の外力が加わっても、端子の振幅を小さく抑えることができる。又は、端子の振動を防止することができる。よって、疲労による破損が生じにくい端子を備えた可動コネクタとすることができる。
【0009】
なお、ここで、「可動範囲よりも狭くなるように規制する」とは、第2のハウジングを第1のハウジングに対して相対移動不能に規制している場合も含む。
【0010】
前記規制部は、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間隙に配置されるように構成できる。
【0011】
本発明によれば、第2のハウジングの可動領域として形成されている間隙に規制部が配置されるので、規制部自体が間隙を直に小さくし、それによって、第1のハウジングに対する第2のハウジングの移動範囲を確実に狭めることができる。さらに、規制部が間隙に配置されるので、規制部の占める空間を間隙内に収めることができ、付加部材を装着した可動コネクタを小型化することができる。
【0012】
前記付加部材は、前記可動コネクタから取り外し可能に構成できる。
【0013】
本発明によれば、可動コネクタの製造時に付加部材をハウジングに装着することができる。そして付加部材は、運搬後の可動コネクタから取り外すことができる。そして、基板等に可動コネクタを実装した状態では、付加部材を可動コネクタから取り外すことができるため、基板上における可動コネクタの周辺の占有空間を小さく抑えることができ、基板に実装された他の電子部品の邪魔にならないようにすることができる。
【0014】
前記規制部は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部であるように構成できる。
【0015】
本発明によれば、付加部材の第1の係合部によって、第1のハウジングに対する第2のハウジングの移動を規制することができる。よって、第1の係合部の占有空間を規制部として有効活用することができる。さらに、本発明によれば、規制部が第1のハウジングに係合するので、第2のハウジングに引っかからないように付加部材の取り付け及び取り外しを行うことができる。よって、第2のハウジングが第1のハウジングに対して所望でない方向に変位することや、過度に変位することを防ぐことができる。
【0016】
前記付加部材は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部を有するように構成できる。
【0017】
本発明によれば、付加部材が第1の係合部を有するので、付加部材を第1のハウジングに係合させることができる。よって、付加部材が第1のハウジングと一体化するので、付加部材自体が外力を受けて振動して、周囲の可動コネクタと衝突するようなことがない。さらに、本発明によれば、付加部材が第1のハウジングに係合するので、第2のハウジングに引っかからないように付加部材の取り付け及び取り外しを行うことができる。
【0018】
前記規制部は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部であるように構成できる。
【0019】
本発明によれば、付加部材の第2の係合部によって、第1のハウジングに対する第2のハウジングの移動を規制することができる。よって、第2の係合部の占有空間を規制部として有効活用することができる。さらに、付加部材が第2のハウジングに係合するので、付加部材を大型化させないことが容易であり、付加部材を装着した可動コネクタの小型化に寄与できる。
【0020】
前記付加部材は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部を有するように構成できる。
【0021】
本発明によれば、付加部材が第2の係合部を有するので、付加部材を第2のハウジングに係合させることができる。よって、例えば第2のハウジングの可動領域として形成されている間隙に第2の係合部を配置するといったように、付加部材を大型化させないことが容易であり、付加部材を装着した可動コネクタの小型化に寄与できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の可動コネクタによれば、使用開始前の運搬時に振動や衝撃等の外力を受けた際に、第1のハウジングに対して第2のハウジングが振動することを防ぎ、端子が弾性変形することを防ぐことができる。よって、本発明の可動コネクタによれば、使用開始前の端子の劣化や損傷等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態による可動コネクタにおける付加部材の背面、左側面、底面を含む外観斜視図。
図2図1のII-II線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図3図1のIII-III線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図4】第2実施形態による可動コネクタにおける付加部材の背面、右側面、底面を含む外観斜視図。
図5図4のV-V線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図6図4のVI-VI線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図7】第3実施形態による可動コネクタにおける付加部材の正面、左側面、底面を含む外観斜視図。
図8図7のVIII-VIII線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図9図7のIX-IX線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図10】第4実施形態による可動コネクタにおける付加部材の正面、右側面、底面を含む外観斜視図。
図11図10のXI-XI線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図12図10のXII-XII線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図13】第5実施形態による可動コネクタにおける付加部材の正面、左側面、底面を含む外観斜視図。
図14図13のXIV-XIV線断面に相当する可動コネクタの断面図。
図15図13のXV-XV線断面に相当する可動コネクタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の「可動コネクタ」の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の「可動コネクタ」は、基板に実装されて、ピン端子等の接続対象物を基板回路に導通接続するものである。本明細書では、第1実施形態〔図1図3〕及び第2実施形態〔図4図6〕において、実装時に嵌合面が基板の実装面と垂直となるライトアングルタイプのコネクタを例示して本発明の「可動コネクタ」を説明する。さらに、本明細書では、第3実施形態〔図7図9〕、第4実施形態〔図10図12〕及び第5実施形態〔図13図15〕において、実装時に嵌合面が基板の実装面と平行となるストレートタイプのコネクタを例示して本発明の「可動コネクタ」を説明する。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に記載されている「第1」、「第2」という用語は、発明の異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣等を示すために用いるものではない。本明細書及び特許請求の範囲では、便宜上、図3等に示されるように、「可動コネクタ」としての可動コネクタ1の幅方向(左右方向)をX方向、奥行き方向(前後方向)をY方向、高さ方向(上下方向)をZ方向として記載する。そして、可動コネクタ1の高さ方向における基板の側を「下側」とし、可動コネクタ1の側を「上側」として記載する。しかしながら、それらは、可動コネクタ1等の嵌合方向や基板への実装の仕方を限定するものではない。
【0026】
なお、「可動コネクタ」は、接続対象物の挿抜方向が、第1実施形態及び第2実施形態ではY方向となるように配置され、第3実施形態、第4実施形態及び第5実施形態ではZ方向となるように配置されている。
【0027】
第1実施形態〔図1図3
【0028】
以下、本発明の「可動コネクタ」の第1実施形態としての可動コネクタ1について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
可動コネクタ1
【0030】
本実施形態の可動コネクタ1は、ハウジング2と、ハウジング2に保持される端子3とを備えている。そして、可動コネクタ1は、図2及び図3で示すように、ハウジング2として、「第1のハウジング」としての固定ハウジング4と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング5とを有している。可動コネクタ1は、固定ハウジング4が基板に実装され、可動ハウジング5が端子3によって固定ハウジング4に対して移動可能に支持されるように構成されている(図2参照)。すなわち可動コネクタ1は、固定ハウジング4に対して可動ハウジング5がX方向、Y方向及びZ方向を組み合わせた三次元方向に移動可能なフローティング構造を有している。
【0031】
可動コネクタ1は、フローティング構造であることによって、接続対象物が嵌合する際の位置ずれを吸収する機能を有している。さらに、可動コネクタ1は、フローティング構造であることによって、外部からの振動や衝撃をある程度吸収して抜けや損傷等を防ぐとともに、端子3の取付け部や導通接続部への応力の集中を防ぐ機能も有している。
【0032】
固定ハウジング4
【0033】
固定ハウジング4は、Y方向に沿って伸長する中空の直方体状に形成されており、Z方向における上下にそれぞれ位置する天壁部40及び底壁部41(図2参照)と、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部42、42(図3参照)とを有している。天壁部40、底壁部41及び側壁部42、42によって囲まれたこれらの内面側には、可動ハウジング5の収容室43が形成されている。固定ハウジング4は、Y方向における前側(図2における右側)に可動ハウジング5を配置するように構成されており、この部分には、底壁部41が形成されていない。したがって、底壁部41の前端は、固定ハウジング4のY方向における中間に位置している
【0034】
側壁部42、42の内面には、図3で示すように、底壁部41の前端から連続するようにX方向における両外側に向かって角柱状にそれぞれ欠落した一対の変位規制受け部44、44が形成されている。これによって、固定ハウジング4には、底面視で、底壁部41の前端、変位規制受け部44、44及び側壁部42、42を外縁とするT字状の空間が形成されている(図3参照)。
【0035】
底壁部41の内面には、Y方向に沿って伸長し、X方向(端子配列方向)に沿って並列に配置された複数の端子固定部45が形成されている(図2及び図3参照)。ここでは、図1図3に例示の端子3を3つ有する可動コネクタ1に対応して固定ハウジング4には、端子固定部45が3つ形成されている。端子固定部45は、端子3の基端側(後述の固定ハウジング用固定部31)を圧入して固定するために溝状に形成されている。
【0036】
側壁部42、42の前端の下部には、図2で示すように、それぞれZ方向における下方に突出する一対の固定側脚部46、46が形成されている。固定側脚部46、46は、固定ハウジング4を取り付ける基板と接地する部位である。そして、固定側脚部46、46は、双方とも底壁部41の下端からZ方向に距離d2を有して突出している。これによって、固定ハウジング4は、基板から底壁部41が距離d2浮いた状態で基板に取り付けられることとなる。
【0037】
側壁部42、42の外面には、Z方向における中央において、X方向における内方にそれぞれくぼんだ一対の係合溝47、47が側壁部42、42の後端からY方向に沿って伸長するように形成されている。そして、側壁部42、42の前側では、側壁部42、42の外面から係合溝47、47に向かってそれぞれ傾斜する一対の傾斜面48、48が形成されている。
【0038】
可動ハウジング5
【0039】
可動ハウジング5は、固定ハウジング4の内面に沿った中空の直方体状に形成されている。可動ハウジング5は、端子3と接続対象物とを導通接続する複数の接続室50を有している。接続室50は、Y方向(奥行き方向)で可動ハウジング5を貫通しており、Y方向における前端において接続対象物の挿入口として開口している。
【0040】
接続室50の内面には、Z方向における上部において、Y方向に沿って伸長する端子固定部51が形成されている(図2参照)。端子固定部51は、端子3の先端側(後述の可動ハウジング用固定部33)を圧入して固定するために溝状に形成されている。
【0041】
可動ハウジング5の後端かつX方向における両外側には、図2で示すように、Z方向における下方に向かって突出する一対の変位規制突起52、52が形成されている。変位規制突起52、52は、可動ハウジング5が固定ハウジング4に組み込まれた際にそれぞれ変位規制受け部44、44に収容されるように位置している。変位規制突起52、52は、X方向及びY方向で変位規制受け部44、44と接触するとともに、Z方向の下向きで基板と接触することで、可動ハウジング5の過剰な変位を規制する機能を有している。
【0042】
なお、可動ハウジング5のZ方向における上向きでの過剰な変位は、固定ハウジング4の天壁部40の下面40uと、可動ハウジング5の上面5tとが接触することで規制されている。
【0043】
可動ハウジング5は、固定ハウジング4に対して予め定められた可動範囲で相対移動可能に構成されている。すなわち、可動ハウジング5は、図2で示すように、可動ハウジング5の上面5tと、固定ハウジング4の天壁部40の下面40uとの間に、Z方向における上方に向かって距離d1の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング5は、変位規制突起52の下端と、固定ハウジング4の固定側脚部46の下端との間に、Z方向における下方に向かって距離d2の可動範囲を有している。さらに、可動ハウジング5は、変位規制突起52の前面52fと、変位規制受け部44の前面44fとの間に、Y方向における前方に向かって距離d3の可動範囲を有している。
【0044】
そして、可動ハウジング5は、図3で示すように、変位規制突起52の左面52lと、変位規制受け部44の左面44lとの間に、X方向における左方に向かって距離d4の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング5は、変位規制突起52の右面52rと、変位規制受け部44の右面44rとの間に、X方向における右方に向かって距離d5の可動範囲を有している。
【0045】
端子3
【0046】
複数の端子3は、導電性の金属片を屈曲して形成されており、全て同じ形状とされている。各端子3は、基端から先端に向かって順に、基板接続部30と、固定ハウジング用固定部31と、可動部32と、可動ハウジング用固定部33と、接点部34とを有している。端子3は、可動コネクタ1に取り付けられた状態において、主に板幅がX方向に、板厚(板面)がZ方向に配置されている。
【0047】
端子3は、基板、固定ハウジング4及び可動ハウジング5の3箇所にそれぞれ固定されている。基板接続部30は、端子3と基板とを導通接続する部位であり、基板接続部30の板面が基板に接触するようにはんだ付け等によって導電性を有して固定されている。固定ハウジング用固定部31は、前後の部位よりも広い板幅を有している。固定ハウジング用固定部31は、端子3を固定ハウジング4に固定する部位であり、溝状の端子固定部45に圧入されている。可動ハウジング用固定部33は、前後の部位よりも広い板幅を有している。可動ハウジング用固定部33は、端子3を可動ハウジング5に固定する部位であり、溝状の端子固定部45に圧入されている。
【0048】
可動部32は、前後の部位よりも狭い板幅を有しており、側面視でS字状に伸長している。可動部32は、固定ハウジング4に対して可動ハウジング5をX方向(幅方向)、Y方向(奥行き方向)及びZ方向(高さ方向)を組み合わせた三次元方向に相対移動可能に支持するばねとして形成されている。可動部32は、主にY方向に沿って伸長するとともに、板面が主にZ方向に対して垂直をなすように配置されている。
【0049】
端子3は、可動ハウジング用固定部33の付近から先端までZ方向における上下2つに分岐しており、接続室50の上部及び下部にそれぞれ収容されている。接点部34は、端子3の分岐した上下双方の先端付近に形成されており、互いに近づく方向に湾曲する山(谷)状に形成されている。接点部34は、接続室50に挿入される接続対象物に対して、Z方向における上下から挟み込むように所定の接触圧で押圧接触することで導通接続するように構成されている。
【0050】
付加部材6
【0051】
可動コネクタ1は、付加部材6をさらに備える。付加部材6は、ハウジング2に対して着脱可能な「キャップ体」として構成されている。付加部材6は、規制部60を有する。規制部60は、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の相対移動を可動範囲よりも狭くなるように規制する機能を有する。
【0052】
可動コネクタ1が規制部60を有する付加部材6を備えているので、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の移動が規制される。このため、使用開始前の運搬時における可動コネクタ1に対して振動や衝撃等の外力が加わっても、端子3の振幅を小さく抑えることができ、あるいはそもそも端子3の振動を防止することができる。よって、疲労による破損が生じにくい端子3を備えた可動コネクタ1とすることができる。さらに、端子3の振動が抑えられているため、可動コネクタ1を長期保管することもできる。そして、付加部材6には、可動コネクタ1の内部への異物混入を防ぐ効果も有している。
【0053】
なお、ここで、「可動範囲よりも狭くなるように規制する」とは、可動ハウジング5を固定ハウジング4に対して相対移動不能に規制している場合も含む。
【0054】
付加部材6は、図1で示すように、天板61と、Z方向における上下の長手側規制片62、62と、X方向における左右の短手側規制片63、63と、「第1の係合部」としての左右の係合部64、64と、左右の保護部65、65とを有している。
【0055】
天板61は、付加部材6の土台としての機能を有している。天板61は、X方向を長辺、Z方向を短辺とする矩形の平板状に形成されており、板面がY方向に対して垂直をなすように配置されている。天板61は、X方向における幅(長さ)が固定ハウジング4の幅よりも長く(広幅で)形成されている。付加部材6の種々の部位は、天板61の主にY方向における後側の板面に配置されている。
【0056】
係合部64は、付加部材6を可動コネクタ1に固定する機能を有している。ここでの係合部64は、図3で示すように、付加部材6の固定先が固定ハウジング4とされた構成である。係合部64は、天板61からY方向に沿って後方に片持ち梁状に伸長している。そして、係合部64は、YZ平面に沿った板面を有する平板状に形成されている。これによって係合部64は、Y方向における後端においてX方向に弾性を有して撓むように構成されている。即ち係合部64は、弾性腕の先端に係合突部(後述の係合突起部64p)を有する「弾性係合片」として形成されている。そして、左右で一対の係合部64、64は、固定ハウジング4における側壁部42、42の間の幅(長さ)に対応して天板61のX方向における両外側の付近にそれぞれ配置されている。
【0057】
係合部64、64には、それぞれX方向における内側の板面に、互いに近づくように突出する係合突起部64p、64pが設けられている。係合突起部64p、64pは、付加部材6が固定ハウジング4に取り付けられた際に、それぞれ固定ハウジング4の係合溝47、47乃至傾斜面48、48に入り込むように構成されている。付加部材6は、このような係合部64、64を有するので、付加部材6を固定ハウジング4に係合させることができる。そして、係合突起部64p、64pは、固定ハウジング4に対して付加部材6がY方向における前方に相対的に引っ張られた際に、傾斜面48、48に引っかかって付加部材6が固定ハウジング4から抜けにくく構成されている。
【0058】
ただし、可動コネクタ1が基板に実装された後に、付加部材6を取り外すときには、固定ハウジング4に対して付加部材6を相対的にY方向における前方に強く引っ張ることで取り外すことができる。その際には、天板61の保護部65、65よりもX方向における両外側の領域がつまみ部とされることで、可動コネクタ1から付加部材6を指等で容易に取り外すことができる。
【0059】
係合部64、64の弾性率が大きい場合には、天板61をY方向に貫通する外し孔66、66が形成されていても良い。外し孔66、66は、図3で示すように、係合部64、64のX方向における内側にそれぞれ配置されている。係合部64、64の弾性率が小さい場合には、付加部材6が、固定ハウジング4に対してY方向における前方に引っ張られると、係合部64、64の後端がX方向に変形して容易に取り外される。しかしながら、係合部64、64の弾性率が大きい場合には係合部64、64の後端が変形しにくいため、付加部材6が固定ハウジング4から取り外しにくくなる。このような場合においても、外し孔66、66にマイナスドライバ等の取外し部材を挿入してこじることで、固定ハウジング4から付加部材6を容易に取り外すことができる。
【0060】
係合部64、64のX方向における外方並びにZ方向における上方及び下方には、それぞれ左右で一対の保護部65、65が設けられている。保護部65、65は、作業者の指等が意図せず当たってしまうことで係合部64、64が破損したり、固定ハウジング4に取り付けられている付加部材6が外れたりしてしまうことを防ぐ機能を有している。保護部65、65は、それぞれ係合部64、64の周囲に角筒状に形成されており、天板61からY方向に沿って後方に係合部64、64の後端の位置まで伸長している。
【0061】
保護部65、65は、それぞれX方向における内側の約半分及びY方向における後ろ側の約半分が欠落しており、平面視でL字状に形成されている。保護部65、65のL字状の構成は、固定ハウジング4の側壁部42、42の前端の角部に対応している。このように、保護部65、65は、付加部材6を固定ハウジング4に取り付ける際に位置決めする機能を有している。そして、付加部材6が固定ハウジング4に取り付けられる際に、係合部64の特にX方向に大きな力がかかるように斜めに嵌合することが阻止される。したがって、保護部65、65は、付加部材6の固定ハウジング4への着装の際に、係合部64が破損してしまうことを防ぐ機能を有している。
【0062】
長手側規制片62は、X方向を長辺、Y方向を短辺とする矩形の平板状に形成されている。上下の長手側規制片62、62は、天板61の板面のX方向における中央付近かつZ方向における上下それぞれの端からY方向における後方に向かって突出している。短手側規制片63は、Z方向を長辺、Y方向を短辺とする矩形の平板状に形成されている。左右の短手側規制片63、63は、上下の長手側規制片62、62の左右それぞれの端における位置の天板61の板面からY方向における後方に向かって突出している。
【0063】
左右の短手側規制片63、63は、それぞれX方向における両外側において左右の保護部65、65と隣接している。左右の短手側規制片63、63の突出(後)端は、それぞれ左右の保護部65、65において側面視でL字状に欠落した横側の後端面と面一とされている。そして、左右の短手側規制片63、63の突出端と左右の保護部65、65のL字状に欠落した部分の後端とでそれぞれ一連の背面視でπ字状の突出後面63b、63bが形成されている(図1参照)。突出後面63b、63bは、付加部材6が固定ハウジング4に取り付けられた際に、固定ハウジング4の側壁部42、42における前面42f、42fと接触するように構成されている。そして、付加部材6は、固定ハウジング4に対して、上述の係合突起部64p、64pと突出後面63b、63bとで挟み込むことで、がたつかないように取り付けられる。
【0064】
上下の長手側規制片62、62は、互いに対向する長手側規制内側面62i、62iをそれぞれ有している。さらに、左右の短手側規制片63、63は、互いに対向する短手側規制内側面63i、63iをそれぞれ有している。そして、天板61は、長手側規制内側面62i、62i及び短手側規制内側面63i、63iと交差する方向に伸長する規制内底面61iを有している。
【0065】
上下の長手側規制片62、62及び左右の短手側規制片63、63は、背面視で枠状に形成されている。可動コネクタ1は、この枠状の内部に形成される長手側規制内側面62i、62iと、短手側規制内側面63i、63iと、規制内底面61iとの5面によって固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の変位が規制されるように構成されている。すなわち、上下の長手側規制片62、62と、左右の短手側規制片63、63と、天板61とによって規制部60が構成されている。そして、可動コネクタ1は、付加部材6を装着すると、可動ハウジング5の前部が規制部60に収容されるように構成されている。このとき、可動ハウジング5の上面5t、下面5u、側面5s、5s及び前面5fは、それぞれ付加部材6の長手側規制内側面62i、62i、短手側規制内側面63i、63i及び規制内底面61iと対向することとなる。
【0066】
可動ハウジング5は、Z方向における上方に変位すると、上面5tが、固定ハウジング4の天壁部40の下面40uに当たる前に付加部材6の上側の長手側規制内側面62iに当たることとなる。他方で、可動ハウジング5は、Z方向における下方に変位すると、変位規制突起52の下端が基板に当たる前に、下面5uが付加部材6の下側の長手側規制内側面62iに当たることとなる。さらに、可動ハウジング5は、Y方向における前方に変位すると、変位規制突起52の前面52fが変位規制受け部44の前面44fに当たる前に、前面5fが付加部材6の規制内底面61iに当たることとなる。
【0067】
同様に、可動ハウジング5は、X方向における左方に変位すると、変位規制突起52の左面52lが変位規制受け部44の左面44lに当たる前に、側面5sが付加部材6の左側の短手側規制内側面63iに当たることとなる。他方で、可動ハウジング5は、X方向における右方に変位すると、変位規制突起52の右面52rが変位規制受け部44の右面44rに当たる前に、側面5sが付加部材6の右側の短手側規制内側面63iに当たることとなる。
【0068】
規制部60の内で、上下の長手側規制片62、62は、固定ハウジング4と可動ハウジング5との間隙(可動間隙)に配置されている。このように、可動ハウジング5の可動領域として形成されている間隙に規制部60が配置されるので、規制部60が間隙を小さくし、それによって、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の移動範囲を確実に狭めることができる。さらに、規制部60が間隙に配置されるので、規制部60の占める空間を間隙内に収めることができ、付加部材6を装着した可動コネクタ1を小型化することができる。
【0069】
長手側規制片62、62は、短手側規制片63、63の例えば倍の突出をするように延長部62e、62eを有して構成されている。すなわち、長手側規制内側面62i、62iは、それぞれ延長部62e、62eを有している分だけ短手側規制内側面63i、63iの倍の面積を有している。そして、長手側規制内側面62i、62iは、可動ハウジング5が変位した際に付加部材6が受ける衝撃を広い面積で受け止めて、可動コネクタ1の特に可動ハウジング5が破損してしまうことを防ぐように構成されている。
【0070】
本実施形態のようなライトアングルタイプの可動コネクタ1では、運搬時に、可動ハウジング5や端子3の自重によって可動部32が塑性変形してしまう可能性がある。しかしながら、長手側規制片62、62がY方向における後方により長く伸長する延長部62e、62eを有するように構成されているので、可動部32が塑性変形してしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0071】
可動ハウジング5は、図2で示すように、上面5tと、付加部材6の上側の長手側規制内側面62iとの間に、Z方向における上方に向かって距離d6の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング5は、下面5uと、付加部材6の下側の長手側規制内側面62iとの間に、Z方向における下方に向かって距離d7の可動範囲を有している。図2では、距離d6が距離d1よりも小さく、距離d7が距離d2よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ1は、少なくとも距離d6と距離d7との和が距離d1と距離d2との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材6は、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5のZ方向における上下方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0072】
さらに、可動ハウジング5は、図2で示すように、前面5fと、付加部材6の規制内底面61iとの間に、Y方向における前方に向かって距離d8の可動範囲を有している。可動コネクタ1は、距離d8が距離d3よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材6は、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5のY方向における前方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0073】
同様に、可動ハウジング5は、図3で示すように、側面5sと、付加部材6の左側の短手側規制内側面63iとの間に、X方向における左方に向かって距離d9の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング5は、側面5sと、付加部材6の右側の短手側規制内側面63iとの間に、X方向における右方に向かって距離d10の可動範囲を有している。図3では、距離d9が距離d4よりも小さく、距離d10が距離d5よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ1は、少なくとも距離d9と距離d10との和が距離d4と距離d5との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材6は、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5のX方向における左右方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0074】
ここでの付加部材6は、可動コネクタ1の固定ハウジング4や可動ハウジング5とは別体で形成されている。言い換えると、付加部材6は、可動コネクタ1から取り外し可能に構成されている。これによって、可動コネクタ1の製造時に付加部材6をハウジング2、ここでは固定ハウジング4に装着することができ、運搬後の可動コネクタ1から付加部材6を取り外すことができる。そして、基板等に可動コネクタ1を実装した状態では、付加部材6を可動コネクタ1から取り外すことができる。このため、基板上における可動コネクタ1の周辺の占有空間を小さく抑えることができ、基板に実装された他の電子部品の邪魔になることを防止できる。
【0075】
他方で、付加部材6は、可動コネクタ1の固定ハウジング4や可動ハウジング5にヒンジ等によって取り付けられ、取り外し不可能であってもかまわない。これによって、取り外した付加部材6を処分する手間を省くことができる。
【0076】
なお、可動コネクタ1から付加部材6が取り外される際には、先に、可動ハウジング5との接続が外れた後に固定ハウジング4から外れることが好ましい。これによって、可動コネクタ1から付加部材6が取り外されるのに伴って可動ハウジング5が引っかかって力が加わり、端子3の可動部32に所望でない方向への変形や、過度な変形が生じてしまうことが防がれる。
【0077】
本実施形態では、付加部材6の固定先が固定ハウジング4とされた構成において、「第1の係合部」としての係合部64、64が固定ハウジング4と可動ハウジング5との間隙には配置されていない例を示した。しかしながら、係合部64、64を固定ハウジング4と可動ハウジング5との間隙(可動間隙)に配置することもできる。これは、例えば、固定ハウジング4の係合溝47、47や傾斜面48、48に相当する構成を固定ハウジング4の内面側に形成することで実現できる。
【0078】
これは、すなわち、規制部60が、固定ハウジング4に係合する「第1の係合部」によって構成されるものである。この構成によれば、付加部材6の「第1の係合部」によって、固定ハウジング4に対する可動ハウジング5の移動を規制することができる。よって、「第1の係合部」の占有空間を規制部60として有効活用することができる。さらに、この構成によれば、規制部60が固定ハウジング4に係合するので、可動ハウジング5に引っかからないように付加部材6の取り付け及び取り外しを行うことができる。よって、可動ハウジング5が固定ハウジング4に対して所望でない方向に変位することや、過度に変位することを防ぐことができる。
【0079】
第2実施形態〔図4図6
【0080】
以下、本発明の「可動コネクタ」の第2実施形態としての可動コネクタ101について図面を参照しつつ、主に、上述の可動コネクタ1とは構成の異なる部分を説明する。すなわち、可動コネクタ101は、特に記載のない限り、上述の可動コネクタ1と同様の効果を奏することができる。
【0081】
可動コネクタ101
【0082】
本実施形態の可動コネクタ101は、ハウジング102と、ハウジング102に保持される端子3とを備えている。そして、可動コネクタ101は、図5及び図6で示すように、ハウジング102として、「第1のハウジング」としての固定ハウジング104と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング105とを有している。端子3については、可動コネクタ1と可動コネクタ101とで同様である。
【0083】
固定ハウジング104
【0084】
固定ハウジング104は、図6で示すように、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部142、142を有している。そして、側壁部142、142の外面には、係合溝47、47及び傾斜面48、48が形成されていない点で第1の実施形態の側壁部42、42とは異なる。固定ハウジング104は、これ以外については固定ハウジング4と同様に構成されている。
【0085】
可動ハウジング105
【0086】
可動ハウジング105は、図5で示すように、上面105tと、下面105uとを有している。上面105t及び下面105uには、X方向における中央において、Z方向における内方にそれぞれくぼんだ一対の係合溝157、157が上面105t及び下面105uの後端からY方向に沿って伸長するように形成されている。そして、上面105t及び下面105uの前側では、上面105t及び下面105uから係合溝157、157に向かってそれぞれ傾斜する一対の傾斜面158、158が形成されている。このように、上面105t及び下面105uには、それぞれ係合溝157、157及び傾斜面158、158が形成されている点が第1の実施形態の上面5t及び下面5uと異なる。可動ハウジング105は、これ以外については可動ハウジング5と同様に構成されている。
【0087】
可動ハウジング105は、固定ハウジング104に対して予め定められた可動範囲で相対移動可能に構成されている。すなわち、可動ハウジング105は、図6で示すように、可動ハウジング105の側面105sと、固定ハウジング104の側壁部142の内側面142iとの間に、X方向における左方に向かって距離d11の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング105は、側面105sと、側壁部142の内側面142iとの間に、X方向における右方に向かって距離d12の可動範囲を有している。
【0088】
付加部材106
【0089】
可動コネクタ101は、付加部材106をさらに備える。付加部材106も、ハウジング102に対して着脱可能な「キャップ体」として構成されている。付加部材106は、規制部160を有する。規制部160も、規制部60と同様に、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105の相対移動を可動範囲よりも狭くなるように規制する機能を有する。
【0090】
付加部材106は、図4で示すように、天板61と、Z方向における上下の長手側規制片162、162と、X方向における左右の短手側規制片63、63と、「第2の係合部」としての上下の係合部164、164とを有している。付加部材106は、左右の保護部65、65に相当する構成を有していない。
【0091】
天板61は、X方向における幅(長さ)が固定ハウジング104の幅よりも短く(狭幅で)形成されている。可動コネクタ101における天板61は、少なくとも可動ハウジング105よりも広幅であれば良く、固定ハウジング104の幅には、依存しない。よって、第2実施形態では、天板61に用いる材料の量を低減して費用を抑制することができる。
【0092】
第2実施形態における係合部164は、図5で示すように、付加部材106の固定先が可動ハウジング105とされた構成である。係合部164は、天板61からY方向に沿って後方に片持ち梁状に伸長している。そして、係合部164は、XY平面に沿った板面を有する平板状に形成されている。これによって係合部164は、Y方向における後端においてZ方向に弾性を有して撓むように構成されている。即ち係合部164は、弾性腕の先端に係合突部(後述の係合突起部164p)を有する「弾性係合片」として形成されている。そして、上下で一対の係合部164、164は、X方向における中央付近において、可動ハウジング105における上面105tから下面105uまでの間の高さに対応して天板61のZ方向における上側及び下側の付近にそれぞれ配置されている。
【0093】
係合部164、164には、それぞれZ方向における内側の板面に、互いに近づくように突出する係合突起部164p、164pが設けられている。係合突起部164p、164pは、付加部材106が可動ハウジング105に取り付けられた際に、それぞれ可動ハウジング105の係合溝157、157乃至傾斜面158、158に入り込むように構成されている。付加部材106は、このような係合部164、164を有するので、付加部材106を可動ハウジング105に係合させることができる。そして、係合突起部164p、164pは、可動ハウジング105に対して付加部材106がY方向における前方に相対的に引っ張られた際に、傾斜面158、158に引っかかって付加部材106が可動ハウジング105から抜けにくく構成されている。
【0094】
ただし、可動コネクタ101が基板に実装された後に、付加部材106が取り外される際には、可動ハウジング105に対して付加部材106が相対的にY方向における前方に強く引っ張られることで取り外すことができる。
【0095】
付加部材106にも、天板61をY方向に貫通する外し孔166、166が形成されていても良い。外し孔166、166は、図5で示すように、係合部164、164のZ方向における内側にそれぞれ配置されている。
【0096】
長手側規制片162は、図4で示すように、長手側規制片62と同様に、X方向を長辺、Y方向を短辺とする矩形の平板状に形成されている。そして、上下の長手側規制片162、162は、天板61の板面のX方向における中央付近かつZ方向における上下それぞれの端からY方向における後方に向かって突出している。上下の長手側規制片162、162及び左右の短手側規制片63、63は、背面視で枠状に形成されている。そして、長手側規制片162は、長手側規制片62と同様に、左右の短手側規制片63、63よりもY方向における後方に向かって突出する延長部62eを有している。
【0097】
上下の長手側規制片162、162は、X方向における中央付近の対向面側に、Z方向における下側及び上側に向かってそれぞれ溝状に欠落した係合逃げ部162c、162cを有している。上述の係合部164、164は、それぞれ係合逃げ部162c、162cに対応して配置されている。これによって、係合部164、164は、上下の長手側規制片162、162及び左右の短手側規制片63、63による枠状よりも内側に位置している。
【0098】
なお、係合逃げ部162cは、第1実施形態の保護部65と同様の機能を有している。
【0099】
こうして、可動コネクタ101は、付加部材106を装着すると、上下の長手側規制片162、162及び左右の短手側規制片63、63による枠状の内周側に可動ハウジング105の前部が収容されるように構成されている。このとき、付加部材106の係合突起部164p、164pは、それぞれ可動ハウジング105の係合溝157、157乃至傾斜面158、158を挟み込んだ係合状態となっている。よって、付加部材106は、可動コネクタ101に取り付けることで、可動ハウジング105と一体化するように構成されている。その際に、上下の長手側規制片162、162及び左右の短手側規制片63、63は、固定ハウジング104と可動ハウジング105との間隙(可動間隙)に配置されている。
【0100】
さらに、可動コネクタ101では、図5で示すように、係合部164、164も、固定ハウジング104と可動ハウジング105との間隙(可動間隙)に配置されている。このように、可動ハウジング105の可動領域として形成されている間隙に係合部164、164が配置されるので、係合部164、164自体が間隙を直に小さくしている。それによって、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105の相対移動範囲を確実に狭めることができる。さらに、係合部164、164が間隙に配置されるので、係合部164、164の占める空間を間隙内に収めることができ、付加部材106を装着した可動コネクタ101を小型化することができる。
【0101】
長手側規制片162、162と左右の短手側規制片63、63とによる枠状の外周側には、長手側規制外側面162o、162oと、短手側規制外側面63o、63oとがそれぞれ形成されている。可動コネクタ101は、長手側規制外側面162o、162oと、短手側規制外側面63o、63oとの4面によって固定ハウジング104に対する可動ハウジング105の変位が規制されるように構成されている。そして、一体化した付加部材106の上側の長手側規制外側面162o及び左右の短手側規制外側面63o、63oは、それぞれ固定ハウジング104における天壁部40の下面40u及び左右の側壁部142の内側面142i、142iと対向することとなる。さらに、付加部材106の下側の長手側規制外側面162oは、基板と対向することとなる。
【0102】
一体化した可動ハウジング105は、図5で示すように、Z方向における上方に変位すると、固定ハウジング104の下面40uに対して、上面105tが当たるまでよりも短い変位で付加部材106の上側の長手側規制外側面162oが当たるようになる。同様に可動ハウジング105は、図6で示すように、X方向における左方に変位すると、固定ハウジング104の左側の内側面142iに、左側の側面105sが当たる前に左側の短手側規制外側面63oが当たることとなる。他方で、可動ハウジング105は、X方向における右方に変位すると、右側の内側面142iに、右側の側面105sが当たる前に右側の短手側規制外側面63oが当たることとなる。
【0103】
可動ハウジング105は、図5で示すように、付加部材106の上側の長手側規制外側面162oと、固定ハウジング104の下面40uとの間に、Z方向における上方に向かって距離d13の可動範囲を有している。この距離d13は、可動コネクタ101が、付加部材106を装着していない場合のZ方向における上方への可動範囲である距離d1よりも小さくなっている。他方で、可動ハウジング105は、変位規制突起52の下端と、固定ハウジング104の固定側脚部46の下端との間に、Z方向における下方に向かって距離d2の可動範囲を有している。これは、付加部材106の有無には関係なく一定となっている。よって、付加部材106は、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105のZ方向における上下方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0104】
ここで、可動ハウジング105は、仮に、図5で示すような変位規制突起52を有していない構成の場合には、付加部材106の下側の長手側規制外側面162oと、基板との間に、Z方向における下方に向かって距離d14の可動範囲を有している。これに対し、付加部材106の下側の長手側規制片162が固定ハウジング104の底壁部41よりも下方まで伸長するように構成されていても良い。可動コネクタ101は、このように構成されることによって、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105のZ方向における下方への可動範囲をより狭めることができる。
【0105】
同様に、可動ハウジング105は、図6で示すように、付加部材106の左側の短手側規制外側面63oと、固定ハウジング104の左側の側壁部142における内側面142iとの間に、X方向における左方に向かって距離d15の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング105は、付加部材106の右側の短手側規制外側面63oと、固定ハウジング104の右側の側壁部142における内側面142iとの間に、X方向における右方に向かって距離d16の可動範囲を有している。図6では、距離d15が距離d11よりも小さく、距離d16が距離d12よりも小さくなる例が示されている。
【0106】
しかしながら、可動コネクタ101は、少なくとも距離d15と距離d16との和が距離d11と距離d12との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材106は、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105のX方向における左右方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0107】
なお、固定ハウジング104に対して可動ハウジング105がY方向における後方に変位した際に、付加部材106は、固定ハウジング104と当たらなくてもかまわない。しかしながら、付加部材106の固定ハウジング104と当たる面(第1実施形態の突出後面63bに相当(図1及び図3参照))をY方向における後方により伸長させるように構成することもできる(図11の距離d20に相当する長さを短くする。)。こうすることで、可動ハウジング105がY方向における後方に変位した際に、変位規制突起52が変位規制受け部44に当たる前に付加部材106が固定ハウジング104に当たるようになる。すなわち、付加部材106は、固定ハウジング104に対する可動ハウジング105のY方向における後方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制することとなる。
【0108】
第3実施形態〔図7図9
【0109】
以下、本発明の「可動コネクタ」の第3実施形態としての可動コネクタ201について図面を参照しつつ、主に、上述の可動コネクタ1等とは構成の異なる部分を説明する。すなわち、可動コネクタ201は、特に記載のない限り、上述の可動コネクタ1等と同様の効果を奏することができる。
【0110】
可動コネクタ201
【0111】
本実施形態の可動コネクタ201は、ハウジング202と、ハウジング202に保持される端子203とを備えている。そして、可動コネクタ201は、図8及び図9で示すように、ハウジング202として、「第1のハウジング」としての固定ハウジング204と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング205とを有している。
【0112】
固定ハウジング204
【0113】
固定ハウジング204は、Y方向における前後にそれぞれ位置する前壁部240及び後壁部241(図8参照)と、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部242、242(図9参照)とを有している。可動コネクタ201は、ストレートタイプであるため、固定ハウジング204は、固定ハウジング4とは向きが異なるものの、双方の構造は類似しており、前壁部240及び後壁部241は、固定ハウジング4の天壁部40及び底壁部41に対応する。
【0114】
後壁部241は、Z方向における上下で欠落する部分がない点で底壁部41とは異なる。さらに、側壁部242、242の内面には、図8及び図9で示すように、側壁部242、242の前端を除いて、Z方向における下方に向かって角柱状にそれぞれ欠落した一対の変位規制受け部244、244が形成されている。変位規制受け部244は、固定ハウジング4の変位規制受け部44とは伸長方向が異なっている。そして、一対の固定側脚部246、246は、前壁部240の伸長するZ方向に沿ってそれぞれZ方向における下方に突出している点で固定側脚部46、46とは異なる。以上の点を除くと、固定ハウジング204は、固定ハウジング4と同様に構成されている。
【0115】
可動ハウジング205
【0116】
可動ハウジング205は、固定ハウジング204と同様に、可動ハウジング5とは向きが異なるものの、双方の構造は類似している。可動ハウジング205は、変位規制突起52、52に替えて変位規制突起252、252を有する点で可動ハウジング5とは異なる。一対の変位規制突起252、252は、図8及び図9で示すように、可動ハウジング205の後端、かつ、X方向における両外側からそれぞれZ方向における下方に向かって突出している。変位規制突起252は、X方向及びY方向で変位規制受け部244、244と接触するとともに、Z方向の下向きで基板と接触することで、可動ハウジング205の過剰な変位を規制する機能を有している。
【0117】
可動ハウジング205は、図8で示すように、変位規制突起252の前面252fと、変位規制受け部244の前面244fとの間に、Y方向における前方に向かって距離d17の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング205は、変位規制突起252の後面252bと、変位規制受け部244の後面244bとの間に、Y方向における後方に向かって距離d18の可動範囲を有している。さらに、可動ハウジング205は、変位規制突起252の下端と、固定ハウジング204の固定側脚部246の下端との間に、Z方向における下方に向かって距離d2の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング205は、図9で示すように、変位規制突起252の上面252tと、変位規制受け部244の上面244tとの間に、Z方向における上方に向かって距離d3の可動範囲を有している。
【0118】
そして、可動ハウジング205は、図9で示すように、変位規制突起252の左面252lと、変位規制受け部244の左面244lとの間に、X方向における左方に向かって距離d4の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング205は、変位規制突起252の右面252rと、変位規制受け部244の右面244rとの間に、X方向における右方に向かって距離d5の可動範囲を有している。
【0119】
端子203
【0120】
端子203は、基板接続部230の向きが基板接続部30とは異なること以外は端子3と同様に構成されている。
【0121】
付加部材206
【0122】
可動コネクタ201は、付加部材206をさらに備える。付加部材206も、ハウジング202に対して着脱可能な「キャップ体」として構成されている。付加部材206は、規制部260を有する。規制部260も、規制部60と同様に、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205の相対移動を可動範囲よりも狭くなるように規制する機能を有する。
【0123】
付加部材206は、図7で示すように、天板61と、Y方向における前後の長手側規制片262、262と、X方向における左右の短手側規制片63、63と、「第1の係合部」としての左右の係合部64、64と、左右の保護部265、265とを有している。
【0124】
長手側規制片262、262は、延長部62e、62eを有しておらず、突出端が短手側規制片63、63と面一となるようにZ方向における下方に向かって突出している点で長手側規制片62、62とは異なる。このように、特に、可動ハウジング205や端子203の自重による可動部32の塑性変形が生じにくいストレートタイプの可動コネクタ201では、長手側規制片262、262が延長部62e、62eを有さない構成とすることもできる。
【0125】
可動ハウジング205は、図8で示すように、前面205fと、付加部材206の前側の長手側規制内側面262iとの間に、Y方向における前方に向かって距離d6の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング205は、後面205bと、付加部材206の後側の長手側規制内側面262iとの間に、Y方向における後方に向かって距離d7の可動範囲を有している。図8では、距離d6が距離d17よりも小さく、距離d7が距離d18よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ201は、少なくとも距離d6と距離d7との和が距離d17と距離d18との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材206は、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205のY方向における前後方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0126】
さらに、可動ハウジング205は、図8及び図9で示すように、上面205tと、付加部材206の規制内底面61iとの間に、Z方向における上方に向かって距離d8の可動範囲を有している。可動コネクタ201は、図9で示すように、距離d8が距離d3よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材206は、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205のZ方向における上方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0127】
他方で、変位規制突起252の下端と、固定ハウジング204の固定側脚部246の下端との間、すなわち、Z方向における下方に向かった距離d2の可動範囲は、付加部材206の有無には関係なく一定となっている。よって、付加部材206は、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205のZ方向における上下方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0128】
同様に、可動ハウジング205は、図9で示すように、側面205sと、付加部材206の左側の短手側規制内側面63iとの間に、X方向における左方に向かって距離d9の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング205は、側面205sと、付加部材206の右側の短手側規制内側面63iとの間に、X方向における右方に向かって距離d10の可動範囲を有している。図9では、距離d9が距離d4よりも小さく、距離d10が距離d5よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ201は、少なくとも距離d9と距離d10との和が距離d4と距離d5との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材206は、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205のX方向における左右方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0129】
付加部材206は、規制部260を構成する前後の長手側規制片262、262及び左右の短手側規制片63、63が、固定ハウジング204と可動ハウジング205との間隙には配置されていない。しかしながら、可動コネクタ201においても、付加部材206は、固定ハウジング204に対する可動ハウジング205の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。したがって、規制部260を固定ハウジング204と可動ハウジング205との間隙(可動間隙)に配置しないように可動コネクタ201を構成とすることもできる。
【0130】
規制部260が固定ハウジング204と可動ハウジング205との間隙に入り込まない構成の場合には、可動コネクタ201に付加部材206を装着する際に、特にY方向における前後において位置決めがしにくい。このため、左右の保護部265、265には、図7で示すように、短手側規制片63、63よりもZ方向における下方に突出する突出後面265b、265bが形成されていても良い。これに対応して、固定ハウジング204には、位置決め用の凹部が形成されていれば良い。
【0131】
第4実施形態〔図10図12
【0132】
以下、本発明の「可動コネクタ」の第4実施形態としての可動コネクタ301について図面を参照しつつ、主に、上述の可動コネクタ1等とは構成の異なる部分を説明する。すなわち、可動コネクタ301は、特に記載のない限り、上述の可動コネクタ1等と同様の効果を奏することができる。
【0133】
可動コネクタ301
【0134】
本実施形態の可動コネクタ301は、ハウジング302と、ハウジング302に保持される端子203とを備えている。そして、可動コネクタ301は、図11及び図12で示すように、ハウジング302として、「第1のハウジング」としての固定ハウジング304と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング305とを有している。
【0135】
固定ハウジング304
【0136】
固定ハウジング304は、図12で示すように、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部342、342を有している。そして、側壁部342、342の外面には、係合溝47、47及び傾斜面48、48が形成されていない点で第3の実施形態の側壁部242、242とは異なる。固定ハウジング304は、これ以外については固定ハウジング204と同様に構成されている。
【0137】
可動ハウジング305
【0138】
可動ハウジング305の前面305f及び後面305bには、X方向における中央において、Y方向における内方にそれぞれくぼんだ一対の係合溝357、357が前面305f及び後面305bの下端からZ方向に沿って伸長するように形成されている。そして、前面305f及び後面305bの上側では、前面305f及び後面305bから係合溝357、357に向かってそれぞれ傾斜する一対の傾斜面358、358が形成されている。可動ハウジング305は、これ以外については可動ハウジング205と同様に構成されている。
【0139】
可動ハウジング305は、図11で示すように、内側面241iと、後面305bとの間に、Y方向における後方に向かって距離d19の可動範囲を有している。
【0140】
付加部材306
【0141】
可動コネクタ301は、付加部材306をさらに備える。付加部材306も、ハウジング302に対して着脱可能な「キャップ体」として構成されている。付加部材306は、規制部360を有する。規制部360も、規制部60と同様に、固定ハウジング304に対する可動ハウジング305の相対移動を可動範囲よりも狭くなるように規制する機能を有する。
【0142】
付加部材306は、図10で示すように、天板61と、Y方向における前後の長手側規制片362、362と、X方向における左右の短手側規制片63、63と、「第2の係合部」としての前後の係合部164、164とを有している。付加部材306は、延長部62e、62e及び係合逃げ部162c、162cに相当する構成を有していない。逆の観点から、左右の短手側規制片63、63は、それぞれ延長部62e、62eに相当する構成を有している。そして、延長部62e、62eに相当する構成のY方向における前後それぞれの端には、端面63d、63d、63d、63dが形成されている。そして、長手側規制片362、362は、Z方向における下端に、短手側規制片63、63と面一の突出下面362uが形成されている。付加部材306は、これ以外については付加部材106と同様に構成されている。
【0143】
可動ハウジング305は、図11で示すように、付加部材306のY方向における前方の端面63d、63dと、固定ハウジング304の前壁部240における内側面240iとの間に、Y方向における前方に向かって距離d13の可動範囲を有している。他方で、Y方向における後方の端面63d、63dと、固定ハウジング304の後壁部241における内側面241iとの間に、Y方向における後方に向かって距離d14の可動範囲を有している。
【0144】
図11では、距離d13が距離d17よりも小さく、距離d14が距離d19よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ301は、少なくとも距離d13と距離d14との和が距離d17と距離d19との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材306は、固定ハウジング304に対する可動ハウジング305のY方向における前後方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0145】
さらに、可動ハウジング305は、図11で示すように、付加部材306の突出下面362uと、固定ハウジング304の前壁部240及び後壁部241の天面240t、241tとの間に、Z方向における下方に向かって距離d20の可動範囲を有している。可動コネクタ301は、距離d20が距離d2よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材306は、固定ハウジング304に対する可動ハウジング305のZ方向における下方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0146】
同様に、可動ハウジング305は、図12で示すように、左側の短手側規制外側面63oと、固定ハウジング304の左側の側壁部342における内側面342iとの間に、X方向における左方に向かって距離d15の可動範囲を有している。他方で、可動ハウジング305は、右側の短手側規制外側面63oと、右側の側壁部342における内側面342iとの間に、X方向における右方に向かって距離d16の可動範囲を有している。
【0147】
図12では、距離d15が距離d11よりも小さく、距離d16が距離d12よりも小さくなる例が示されている。しかしながら、可動コネクタ301は、少なくとも距離d15と距離d16との和が距離d11と距離d12との和よりも小さくなるように構成されている。すなわち、付加部材306は、固定ハウジング304に対する可動ハウジング305のX方向における左右方向の相対移動を予め定められた可動範囲よりも狭くなるように規制している。
【0148】
第5実施形態〔図13図15
【0149】
以下、本発明の「可動コネクタ」の第5実施形態としての可動コネクタ401について図面を参照しつつ、主に、上述の可動コネクタ1等とは構成の異なる部分を説明する。すなわち、可動コネクタ401は、特に記載のない限り、上述の可動コネクタ1等と同様の効果を奏することができる。
【0150】
可動コネクタ401
【0151】
本実施形態の可動コネクタ401は、ハウジング402と、ハウジング402に保持される端子203とを備えている。そして、可動コネクタ401は、図14及び図15で示すように、ハウジング402として、「第1のハウジング」としての固定ハウジング404と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング305とを有している。
【0152】
固定ハウジング404
【0153】
固定ハウジング404は、図15で示すように、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部442、442を有している。そして、側壁部442、442の内面には、図15で示すように、側壁部442、442の前端を除いて、Z方向における下方に向かって角柱状にそれぞれ欠落した一対の変位規制受け部444、444が形成されている。固定ハウジング404は、これ以外については固定ハウジング204と同様に構成されている。
【0154】
付加部材406
【0155】
可動コネクタ401は、付加部材406をさらに備える。付加部材406も、ハウジング402に対して着脱可能な「キャップ体」として構成されている。付加部材406は、規制部460を有する。規制部460も、規制部60と同様に、固定ハウジング404に対する可動ハウジング305の相対移動を可動範囲よりも狭くなるように規制する機能を有する。特に、規制部460は、固定ハウジング404に対して可動ハウジング305を相対移動不能に規制する機能を有する。
【0156】
付加部材406は、図13で示すように、天板61と、Y方向における前後の長手側規制片262、262と、X方向における左右の短手側規制片63、63と、「第1の係合部」としての左右の係合部64、64と、左右の保護部265、265とを有している。さらに、付加部材406は、「第2の係合部」としての上下の係合部164、164と、係合逃げ部162c、162cとを有している。付加部材406は、これ以外については付加部材206と同様に構成されている。
【0157】
可動コネクタ401における規制部460は、固定ハウジング404に係合する「第1の係合部」としての左右の係合部64、64と、可動ハウジング305に係合する「第2の係合部」としての上下の係合部164、164との双方である。そして、付加部材406の規制部460が固定ハウジング404及び可動ハウジング305の双方に係合しているため、固定ハウジング404に対して可動ハウジング305が移動しない。すなわち、付加部材406は、可動ハウジング305を固定ハウジング404に対して相対移動不能に規制している。したがって、可動コネクタ401によれば、使用開始前の運搬時に振動や衝撃等の外力を受けても、固定ハウジング404に対して可動ハウジング305が振動することを完全に防ぎ、端子203が弾性変形することを確実に防ぐことができる。よって、可動コネクタ401によれば、使用開始前の端子203の劣化や損傷等を極限まで防ぐことができる。また、左右の係合部64、64及び上下の係合部164、164のそれぞれの占有空間を規制部460として有効活用することができる。
【0158】
本実施形態では、「第1の係合部」としての係合部64、64が固定ハウジング404の外面で係合する例を示した。しかしながら、係合部64、64を固定ハウジング404と可動ハウジング305との間隙(可動間隙)に配置することもできる。これは、例えば、固定ハウジング404の係合溝47、47や傾斜面48、48に相当する構成を固定ハウジング404の内面側に形成することで実現できる。
【0159】
実施形態の変形例
【0160】
以上のような可動コネクタ1等については変形実施が可能であるため、その一例を説明する。
【0161】
前記実施形態では、付加部材6に係合部64、64が形成されている例を示した。しかしながら、係合部64、64に相当する構成を固定ハウジング4等や可動ハウジング5等に形成することもできる。
【0162】
前記実施形態では、係合部64、64の係合突起部64p、64pが係合溝47、47乃至傾斜面48、48に入り込むこと(引っかかり)で付加部材6が可動コネクタ1に固定される例を示した。しかしながら、付加部材6の可動コネクタ1への固定方法は、弾性限界の大きい材料やばねによる弾性力、滑りにくい材料や構造による摩擦力等が用いられた別の方法であっても良い。例えば、付加部材6を可動コネクタ1に吸着することで固定することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 可動コネクタ(第1実施形態)
2 ハウジング
3 端子
4 固定ハウジング
5 可動ハウジング
5f 前面
5s 側面
5t 上面
5u 下面
6 付加部材
30 基板接続部
31 固定ハウジング用固定部
32 可動部
33 可動ハウジング用固定部
34 接点部
40 天壁部
40u 下面
41 底壁部
42 側壁部
42f 前面
43 収容室
44 変位規制受け部
44f 前面
44l 左面
44r 右面
45 端子固定部
46 固定側脚部
47 係合溝
48 傾斜面
50 接続室
51 端子固定部
52 変位規制突起
52f 前面
52l 左面
52r 右面
60 規制部
61 天板
61i 規制内底面
62 長手側規制片
62e 延長部
62i 長手側規制内側面
63 短手側規制片
63b 突出後面
63d 端面
63i 短手側規制内側面
63o 短手側規制外側面
64 係合部
64p 係合突起部
65 保護部
66 外し孔
101 可動コネクタ(第2実施形態)
102 ハウジング
104 固定ハウジング
105 可動ハウジング
105s 側面
105t 上面
105u 下面
106 付加部材
142 側壁部
142i 内側面
157 係合溝
158 傾斜面
160 規制部
162 長手側規制片
162c 係合逃げ部
162o 長手側規制外側面
164 係合部
164p 係合突起部
166 外し孔
201 可動コネクタ(第3実施形態)
202 ハウジング
203 端子
204 固定ハウジング
205 可動ハウジング
205b 後面
205f 前面
205s 側面
205t 上面
206 付加部材
230 基板接続部
240 前壁部
240i 内側面
240t 天面
241 後壁部
241i 内側面
241t 天面
242 側壁部
244 変位規制受け部
244b 後面
244f 前面
244l 左面
244r 右面
244t 上面
246 固定側脚部
252 変位規制突起
252b 後面
252f 前面
252l 左面
252r 右面
252t 上面
260 規制部
262 長手側規制片
262i 長手側規制内側面
265 保護部
265b 突出後面
301 可動コネクタ(第4実施形態)
302 ハウジング
304 固定ハウジング
305 可動ハウジング
305b 後面
305f 前面
306 付加部材
342 側壁部
342i 内側面
357 係合溝
358 傾斜面
360 規制部
362 長手側規制片
362u 突出下面
401 可動コネクタ(第5実施形態)
402 ハウジング
404 固定ハウジング
406 付加部材
442 側壁部
444 変位規制受け部
460 規制部
d1~d20 距離
X 幅方向、左右方向
Y 奥行き方向、前後方向
Z 高さ方向、上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
固定ハウジング4は、Y方向に沿って伸長する中空の直方体状に形成されており、Z方向における上下にそれぞれ位置する天壁部40及び底壁部41(図2参照)と、X方向における左右にそれぞれ位置する一対の側壁部42、42(図3参照)とを有している。天壁部40、底壁部41及び側壁部42、42によって囲まれたこれらの内面側には、可動ハウジング5の収容室43が形成されている。固定ハウジング4は、Y方向における前側(図2における右側)に可動ハウジング5を配置するように構成されており、この部分には、底壁部41が形成されていない。したがって、底壁部41の前端は、固定ハウジング4のY方向における中間に位置している
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
底壁部41の内面には、Y方向に沿って伸長し、X方向(端子配列方向)に沿って並列に配置された複数の端子固定部45が形成されている(図2及び図3参照)。ここでは、図2及び図3に例示の端子3を3つ有する可動コネクタ1に対応して固定ハウジング4には、端子固定部45が3つ形成されている。端子固定部45は、端子3の基端側(後述の固定ハウジング用固定部31)を圧入して固定するために溝状に形成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、を備え、
前記ハウジングは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングと、を有する可動コネクタにおいて、
前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、
前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有し、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングに取り付けられた状態で、基板に実装されるものであり、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングから取り外された状態で、接続対象物と前記端子との接続作業が行われるものであることを特徴とする可動コネクタ。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、を備え、
前記ハウジングは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングと、を有する可動コネクタにおいて、
前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、
前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有し、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングに取り付けられた状態で、運搬されるものであり、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングから取り外された状態で、接続対象物と前記端子との接続作業が行われるものであることを特徴とする可動コネクタ。
【請求項3】
前記規制部は、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間隙に配置される
請求項1又は請求項2記載の可動コネクタ。
【請求項4】
前記付加部材は、前記可動コネクタから取り外し可能に構成される
請求項1~請求項3いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項5】
前記規制部は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部である
請求項1~請求項4いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項6】
前記付加部材は、前記第1のハウジングに係合する第1の係合部を有する
請求項1~請求項4いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項7】
前記規制部は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部である
請求項1~請求項6いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項8】
前記付加部材は、前記第2のハウジングに係合する第2の係合部を有する
請求項1~請求項6いずれか1項記載の可動コネクタ。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、を備え、
前記ハウジングは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングと、を有する可動コネクタの実装方法において、
前記可動コネクタは、前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、
前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有し、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングから取り外された状態で、接続対象物と前記端子との接続作業が行われるものであり、
前記実装方法では、前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングに取り付けられた状態で、基板に実装されることを特徴とする、
可動コネクタの実装方法。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、を備え、
前記ハウジングは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに対して予め定められた可動範囲で移動可能な第2のハウジングと、を有する可動コネクタの運搬方法において、
前記可動コネクタは、前記ハウジングに取付ける付加部材をさらに備え、
前記付加部材は、前記第1のハウジングに対する前記第2のハウジングの相対移動を前記可動範囲よりも狭くなるように規制する規制部を有し、
前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングから取り外された状態で、接続対象物と前記端子との接続作業が行われるものであり、
前記運搬方法では、前記可動コネクタは、前記付加部材が前記ハウジングに取り付けられた状態で、運搬されることを特徴とする、
可動コネクタの運搬方法。