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特開2023-80232エキスパンションジョイントカバー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080232
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】エキスパンションジョイントカバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20230601BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065029
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2019192664の分割
【原出願日】2019-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000133629
【氏名又は名称】株式会社ツヅキ
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】高柳 岳
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 眞也
(57)【要約】
【課題】手摺を躯体に対して水平および垂直に取り付ける際の正確性および作業性を向上することができるエキスパンションジョイントカバー装置を提供する。
【解決手段】一方の手摺11と他方の手摺12とを連結する回動連結手段20は、前記一方の手摺11に固定される第1連結部材21と、前記他方の手摺12に固定される第2連結部材22と、を備え、前記第1連結部材21は、前記一方の手摺11の縦枠16を支持する保持部21eを備え、前記保持部21eは、前記一方の手摺11の側面から留具24によって前記一方の手摺11の縦枠16に固定されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体側に取り付けられた一方の手摺と、他方の躯体側に取り付けられた他方の手摺と、を備え、前記一方の手摺および前記他方の手摺を連結して前記一方の躯体および前記他方の躯体間の間隙に配置したエキスパンションジョイントカバー装置であって、
前記一方の手摺および前記他方の手摺は、2本の縦枠と、上横枠と、下横枠と、を四方枠組みして形成され、
前記一方の手摺は、前記他方の手摺に対して回動可能に連結されるとともに、前記一方の躯体に対して摺動可能に連結されており、
前記一方の手摺と前記他方の手摺とを連結する回動連結手段は、前記一方の手摺に固定される第1連結部材と、前記他方の手摺に固定される第2連結部材と、を備え、
前記第1連結部材は、前記一方の手摺の前記縦枠を支持する保持部を備え、
前記保持部は、前記一方の手摺の側面から留具によって前記一方の手摺の縦枠に固定されている、エキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項2】
前記第1連結部材が取り付けられる前記一方の手摺の縦枠の側面には、前記保持部の先端部と係合する受溝が形成されている、請求項1記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項3】
前記縦枠は、前記第1連結部材に留具で固定されるために他の部分よりも肉厚に形成された側面を備える、請求項1または2記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項4】
前記第1連結部材および前記第2連結部材は、一方に回動軸が形成され、他方に前記回動軸を回動可能に保持する保持溝が形成されており、
前記回動軸は、外周に回り止め突起が突出形成されるとともに、軸支持部に支持されるものであり、
前記保持溝は、内周面に前記回り止め突起を収容する凹溝が形成されるとともに、開口縁に前記軸支持部に臨む凸部が形成されており、
前記回動軸が前記保持溝で回動したときに、前記回り止め突起が前記凹溝に当接し、前記軸支持部が前記凸部に当接することで、前記回動軸の回動が抑制される、請求項1~3のいずれか1項に記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項5】
前記回動軸は、前記保持溝の長手方向の長さよりも短い、請求項4記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項6】
前記保持溝には、前記回動軸が前記保持溝の下部開口から脱落しないようにするための脱落防止手段が設けられている、請求項4または5記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項7】
前記第2連結部材を前記他方の手摺に固定するための固定具を備え、
前記固定具を覆うように、前記第2連結部材に化粧カバー材が装着されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項8】
前記化粧カバー材の上面に端部カバーを取り付けた、請求項7記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項9】
前記一方の手摺と前記一方の躯体とを連結する摺動連結部材を備え、
前記摺動連結部材は、前記一方の躯体に固定されるとともに、前記一方の手摺の側面に形成された摺動溝に対し摺動可能に係合する、請求項1~8のいずれか1項に記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項10】
前記一方の手摺および前記他方の手摺の上横枠は、前記摺動溝を形成した同一断面形状の部材であり、
前記摺動連結部材の一側面には、前記摺動溝に対して摺動可能に係合する摺動突起が形成されており、
前記摺動連結部材の他側面には、前記摺動連結部材を前記上横枠に固定したときに、前記摺動溝に係合する係合突起が形成されている、請求項9記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【請求項11】
前記上横枠は、前記摺動連結部材を留具で固定するために他の部分よりも肉厚に形成された側壁部を備える、請求項10記載のエキスパンションジョイントカバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの躯体間の間隙に設けられるエキスパンションジョイントカバー装置であって、手摺を有するエキスパンションジョイントカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手摺を有するエキスパンションジョイントカバー装置として、例えば特許文献1には、躯体間の動きに追従して可動連結するエキスパンションジョイントであって、足場と複数の手摺と、躯体と手摺を連結する回動連結部と、被回動連結部を備えており、足場は、躯体間に跨って水平移動が自在な状態で配置してあり、一方の手摺と他方の手摺は、ほぼ水平方向にスライド自在に嵌合してあり、回動連結部と被回動連結部は、軸部を中心として垂直軸回りに回動自在としたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-151736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のエキスパンションジョイントカバー装置をスムーズに機能させるためには、横枠が水平となり、縦枠が垂直となるように手摺を躯体に取り付ける必要がある。このため、手摺を水平および垂直にした状態で躯体間への取り付け作業を行わなければならなかった。しかしながら、手摺を水平および垂直に維持した状態での取付作業には労力が必要であり、改善が求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、手摺を躯体に対して水平および垂直に取り付ける際の正確性および作業性を向上することができるエキスパンションジョイントカバー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、一方の躯体側に取り付けられた一方の手摺と、他方の躯体側に取り付けられた他方の手摺と、を備え、前記一方の手摺および前記他方の手摺を連結して前記一方の躯体および前記他方の躯体間の間隙に配置したエキスパンションジョイントカバー装置であって、前記一方の手摺および前記他方の手摺は、2本の縦枠と、上横枠と、下横枠と、を四方枠組みして形成され、前記一方の手摺は、前記他方の手摺に対して回動可能に連結されるとともに、前記一方の躯体に対して摺動可能に連結されており、前記一方の手摺と前記他方の手摺とを連結する回動連結手段は、前記一方の手摺に固定される第1連結部材と、前記他方の手摺に固定される第2連結部材と、を備え、前記第1連結部材は、前記一方の手摺の前記縦枠を支持する保持部を備え、前記保持部は、前記一方の手摺の側面から留具によって前記一方の手摺の縦枠に固定されている。
なお、保持部と縦枠を固定する留具としては、貫通ボルト、下穴ありのねじ、下穴なしのねじ、リベット、など、従来周知のものが使用可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、一方の手摺と他方の手摺とを連結する回動連結手段は、一方の手摺に固定される第1連結部材と、他方の手摺に固定される第2連結部材と、を備え、第1連結部材は、一方の手摺の縦枠を支持する保持部を備え、保持部は、一方の手摺の側面から留具によって一方の手摺の縦枠に固定されている。このような構成によれば、一方の手摺の縦枠を保持部に挿入し、側面からネジ等の留具で固定するだけで一方の手摺に回動連結手段を取り付けることができる。
【0008】
すなわち、手摺の前面(他方の手摺に臨む面)ではなく、作業空間の広い手摺の側面からネジ等の留具で固定ができるので、作業がしやすく、また、予め、躯体に対して水平および垂直にした状態の回動連結手段に手摺を固定するため、容易に連結作業をすることができる。
【0009】
また、第1連結部材が取り付けられる一方の手摺の縦枠の側面には、保持部の先端部と係合する受溝が形成されていてもよい。このような構成によれば、受溝により水平荷重に対しての強度を向上させることができる。
【0010】
また、縦枠は、第1連結部材に留具で固定されるために他の部分よりも肉厚に形成された側面を備えてもよい。このような構成によれば、肉厚な縦枠の側面にネジ等の留具を取り付けることで固定強度が向上し、水平および垂直荷重に対しての強度が向上するので、第1連結部材の脱落を防止できる。
【0011】
また、第1連結部材および第2連結部材は、一方に回動軸が形成され、他方に回動軸を回動可能に保持する保持溝が形成されており、回動軸は、外周に回り止め突起が突出形成されるとともに、軸支持部に支持されるものであり、保持溝は、内周面に回り止め突起を収容する凹溝が形成されるとともに、開口縁に軸支持部に臨む凸部が形成されており、回動軸が保持溝で回動したときに、回り止め突起が凹溝に当接し、軸支持部が凸部に当接することで、回動軸の回動が抑制されるようにしてもよい。このような構成によれば、回動軸の回動範囲を規制することができ、また、凸部への荷重を分散させることで凸部の破損を防ぐことができる。
【0012】
また、回動軸は、保持溝の長手方向の長さよりも短く構成されていてもよい。このような構成によれば、回動軸が保持溝の内部で上下に移動できるため、躯体の高さ方向への変位に追従することができる。
【0013】
また、保持溝には、回動軸が保持溝の下部開口から脱落しないようにするための脱落防止手段が設けられていてもよい。このような構成によれば、回動軸の脱落を防止することができる。
【0014】
また、第2連結部材を他方の手摺に固定するための固定具を備え、固定具を覆うように、第2連結部材に化粧カバー材が装着されていてもよい。このような構成によれば、固定具が露出しないので意匠性が向上する。
【0015】
また、化粧カバー材の上面に端部カバーを取り付けてもよい。このような構成によれば、意匠性を向上させるとともに、化粧カバー材の脱落を防止することができる。
【0016】
また、一方の手摺と一方の躯体とを連結する摺動連結部材を備え、前記摺動連結部材は、一方の躯体に固定されるとともに、一方の手摺の側面に形成された摺動溝に対し摺動可能に係合してもよい。このような構成によれば、摺動連結部材を一方の手摺の長手方向の長さよりも短い必要最小限の長さにすることができるので、重量や製造コストを抑制することができ、意匠性も向上する。言い換えると、従来の構成(例えば特開2015-151736号公報参照)のように、手摺にスライド係合可能な突出部を設けた場合、手摺の全長に渡って突出部を形成しなければならないが、本発明のように摺動連結部材を手摺と別部材として設ければ、突出部の長さを調節できるので、無駄な突出部を設けなくてよい。
【0017】
また、一方の手摺および他方の手摺の上横枠は、摺動溝を形成した同一断面形状の部材であり、摺動連結部材の一側面には、摺動溝に対して摺動可能に係合する摺動突起が形成されており、摺動連結部材の他側面には、摺動連結部材を上横枠に固定したときに、摺動溝に係合する係合突起が形成されていてもよい。このような構成によれば、一方の手摺および他方の手摺の上横枠を同一部材で形成できるので、製造コストを抑制することができる。また、摺動連結部材の係合突起が摺動溝に係合することにより、水平荷重および垂直荷重に対する強度が向上し、位置決めも容易となる。
【0018】
また、上横枠は、摺動連結部材を留具で固定するために他の部分よりも肉厚に形成された側壁部を備えていてもよい。このような構成によれば、上横枠の肉厚な部分にネジ等の留具を取り付けることで固定強度が向上し、水平および垂直荷重に対しての強度が向上するので、変位時に摺動連結部材が脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】エキスパンションジョイントカバー装置の平面断面図である。
図2図1に示すA-A線断面図である。
図3図1に示すB部拡大図である。
図4】(a)端部カバーの取り付け方を示す図、(b)第1連結部材への縦枠の取り付け方を示す図である。
図5】回動連結手段の取り付け方を示す図であって、(a)第1連結部材と第2連結部材の取り付けを示す図、(b)化粧カバー材の取り付けを示す図である。
図6】回動連結手段への縦枠の取り付け方を示す図であって、(a)第1連結部材への取り付けを示す図、(b)ネジの取り付けを示す図である。
図7】(a)縦枠と第1連結部材の断面図、(b)受溝付近の一部拡大断面図である。
図8】(a)回動軸が最大角度まで回動したときの図、(b)回動軸が反対方向へ最大角度まで回動したときの図である。
図9】第2連結部材の斜視図である。
図10図2に示す(a)C部拡大図、(b)D部拡大図である。
図11】(a)上横枠と摺動連結部材とを正面から見た図、(b)上横枠と摺動連結部材とを組み合わせた図である。
図12】(a)躯体の変位に追従するエキスパンションジョイントカバー装置を示す図、(b)別の方向への躯体の変位に追従するエキスパンションジョイントカバー装置を示す図である。
図13】変形例に係る図であって、エキスパンションジョイントカバー装置の平面断面図である。
図14】変形例に係る図であって、図13に示すE-E線断面図である。
図15】変形例に係る図であって、図13に示すF部拡大図である。
図16】変形例に係る図であって、図14に示す(a)G部拡大図、(b)H部拡大図である。
図17】変形例に係る図であって、(a)躯体の変位に追従するエキスパンションジョイントカバー装置を示す図、(b)別の方向への躯体の変位に追従するエキスパンションジョイントカバー装置を示す図である。
図18】縦枠と第1連結部材の変形例に係る図であって、(a)嵌合部が縦枠の前面にある断面図、(b)嵌合部が縦枠の後面にある断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係るエキスパンションジョイントカバー装置10は、図1および図2に示すように、2つの躯体間の間隙50に設けられるものであり、一方の躯体51側に取り付けられた一方の手摺11と、他方の躯体52側に取り付けられた他方の手摺12と、を備え、一方の手摺11および他方の手摺12を連結して一方の躯体51および他方の躯体52間の間隙50に配置したものである。一方の手摺11は、回動連結対象に対して回動可能に連結されるとともに、摺動連結対象に対して摺動可能に連結されている。この実施形態においては、一方の躯体51が、一方の手摺11に回動可能に連結される回動連結対象となっており、他方の手摺12が、一方の手摺11に摺動可能に連結される摺動連結対象となっている。
【0021】
本実施形態に係るエキスパンションジョイントカバー装置10は、一方の手摺11および他方の手摺12をそれぞれ躯体に連結する回動連結手段20と、一方の手摺11と他方の手摺12とを摺動可能に連結する摺動連結部材30と、を備えている。
【0022】
一方の手摺11および他方の手摺12は、図2に示すように、互いに平行に配置されている。また、一方の手摺11と他方の手摺12とは、図1に示すように、側面の一部が互いに重なるように配置されている。そして、この側面の重なりあった部分に摺動連結部材30が設けられることで、一方の手摺11と他方の手摺12とは互いに水平方向に摺動自在に連結されている。
【0023】
一方の手摺11および他方の手摺12は、図1および図2に示すように、四角柱状の2本の縦枠16と、上横枠13と、下横枠15と、を四方枠組みして形成されている。また、この枠組み内には、複数本の中間縦枠17が配置されている。中間縦枠17は、上横枠13と下横枠15との間に上下に架け渡されており、上横枠13および下横枠15の長手方向に所定間隔で複数本の中間縦枠17が配置されている。なお、中間縦枠17は、四方枠組みの長手方向の長さにより増減すればよく、中間縦枠17を1本だけ配置してもよいし、中間縦枠17を1本も設けなくてもよい。
【0024】
上横枠13は、図10(a)および図11に示すように、手摺の笠木を構成するものであり、2本の縦枠16の上端に架け渡されて固定されている。この上横枠13は、中空に形成された長尺のアルミ押出形材であり、天板部13aと、天板部13aの左右端部から垂下する一方の側壁部13cおよび他方の側壁部13gと、一方の側壁部13cと他方の側壁部13gとの間に水平に設けられた底板部13bと、を備えている。
【0025】
天板部13aは、断面半円状に形成されている。しかしながら、天板部13aの形状はこれに限らない。特に図示しないが、例えば、天板部13aは、フラットに形成してもよいし、角部を傾斜させた形状としてもよい。
【0026】
一方の側壁部13cには、手摺の側面に向けて開口する摺動溝13dが長手方向全長に渡って形成されている。この摺動溝13dは、後述する摺動連結部材30と摺動可能に係合するか、または、摺動連結部材30を固定するためのものである。すなわち、本実施形態に係る上横枠13は、一方の手摺11と他方の手摺12とで同一断面形状の部材が使用されており、一方の手摺11に摺動連結部材30を固定し、他方の手摺12に摺動連結部材30を摺動可能に係合させることにより、一方の手摺11と他方の手摺12とを摺動可能に連結できるようになっている。
【0027】
また、この一方の側壁部13cは、摺動溝13dよりも上の部分が、他の部分(たとえば他方の側壁部13g)よりも肉厚に形成された厚肉部13eを形成している。この厚肉部13eには、後述する摺動連結部材30を固定するためのネジ等の留具32が螺着される。この厚肉部13eを肉厚に形成することで、留具32を螺着する際のねじ込み深さを十分に確保できるようになっている。これにより、水平および垂直荷重に対しての留具32の取り付け強度が向上するので、変位時に摺動連結部材30が脱落することを防止できる。
また、この一方の側壁部13cの下面には、摺動連結部材30を係合させるための係合溝13fが長手方向全長に渡って形成されている。
【0028】
下横枠15は、図10(b)に示すように、手摺の下端部を構成するものであり、2本の縦枠16の下端に架け渡されて固定されている。この下横枠15は、下向きに開口した断面略コ字形の長尺のアルミ押出形材であり、天板部15aと、天板部15aの左右端部から垂下する一方の側壁部15cおよび他方の側壁部15gと、を備えている。この下横枠15は、地面に接触しないように宙に浮いた状態で保持されている。
【0029】
一方の側壁部15cには、手摺の側面に向けて開口する摺動溝15dが長手方向全長に渡って形成されている。この摺動溝15dは、後述する摺動連結部材30と摺動可能に係合するか、または、摺動連結部材30を固定するためのものである。すなわち、本実施形態に係る下横枠15は、一方の手摺11と他方の手摺12とで同一断面形状の部材が使用されており、一方の手摺11に摺動連結部材30を固定し、他方の手摺12に摺動連結部材30を摺動可能に係合させることにより、一方の手摺11と他方の手摺12とを摺動可能に連結できるようになっている。
【0030】
また、この一方の側壁部15cは、摺動溝15dよりも上の部分が、他の部分(たとえば他方の側壁部15g)よりも肉厚に形成された厚肉部15eを形成している。この厚肉部15eには、後述する摺動連結部材30を固定するためのネジ等の留具32が螺着される。この厚肉部15eを肉厚に形成することで、留具32を螺着する際のねじ込み深さを十分に確保できるようになっている。これにより、水平荷重および垂直荷重に対しての留具32の取り付け強度が向上するので、変位時に摺動連結部材30が脱落することを防止できる。なお、上横枠13と下横枠15は、同一の摺動連結部材30を使用しているため、部品点数が抑制でき、また、同一の摺動連結部材30と同一断面の摺動溝13d、15dにより、上下で同一に摺動することで、スムーズな変位をすることができる。
【0031】
縦枠16は、図1に示すように、2本の縦枠16のうち躯体に近い方の縦枠16が、回動連結手段20によって躯体に連結される。具体的には、一方の手摺11の縦枠16が一方の躯体51に対し回動可能に保持されることで、一方の手摺11は、一方の躯体51に対し回動可能に連結されている。また、他方の手摺12の縦枠16が他方の躯体52に対し回動可能に保持されることで、他方の手摺12は、他方の躯体52に対し回動可能に連結されている。
【0032】
このように回動連結手段20を取り付けられる縦枠16は、図7に示すような四角柱状のアルミ押出形材であり、前面16a(躯体に臨む面)および両側面16bを覆うように、後述する第1連結部材21(回動連結手段20の一部)が取り付けられる。
【0033】
この縦枠16の両側面16bは、前面16aの左右端部から後方に連続する係合面16dと、この係合面16dから垂直に立ち上げられた突き当て面16eと、係合面16dよりも後方に係合面16dと平行に設けられた露出面16fと、を備える。露出面16fの前端部は、突き当て面16eよりも前方に突出した突出部16gを形成しており、この突出部16gと突き当て面16eと係合面16dとによって、略コ字形の受溝16hが形成されている。また、係合面16dの内面には、留具24で固定するために、他の部分(たとえば平行に設けられた露出面16f)よりも肉厚に形成された厚肉部16iが形成されている。この厚肉部16iには、後述する第1連結部材21の保持部21eを固定するためのネジ等の留具24が螺着される。この厚肉部16iを肉厚に形成することで、留具24を螺着する際のねじ込み深さを十分に確保できるようになっている。これにより、水平荷重および垂直荷重に対しての留具24の取り付け強度が向上するので、第1連結部材21の脱落を防止できる。
【0034】
回動連結手段20は、一方の手摺11および他方の手摺12をそれぞれ躯体に対して水平方向に回動可能に連結するためのものである。この回動連結手段20は、一方の手摺11および他方の手摺12のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、一方の手摺11と一方の躯体51とを連結する回動連結手段20と、他方の手摺12と他方の躯体52とを連結する回動連結手段20と、が設けられている。以下において、一方の手摺11と一方の躯体51とを連結する回動連結手段20を例に挙げて説明するが、他方の手摺12と他方の躯体52とを連結する回動連結手段20も、以下の説明と同様の構成となっている。
この回動連結手段20は、図3および図4に示すように、第1連結部材21と、第2連結部材22と、化粧カバー材26と、端部カバー27と、を備える。
【0035】
第1連結部材21は、一方の手摺11に固定される部材であり、縦枠16より、やや短く形成された長尺のアルミ押出形材である。この第1連結部材21は、図3および図7に示すように、中空の角柱部21aと、角柱部21aの角部から一方の躯体51の方向に延設された軸支持部21bと、軸支持部21bの先端に形成された回動軸21cと、角柱部21aから一方の躯体51の反対方向に突出した保持部21eと、を備えている。
【0036】
回動軸21cは、上下に延びる丸棒状の部位であり、軸支持部21bに支持されている。この回動軸21cは、第1連結部材21と第2連結部材22とを回動可能に連結する回動軸21cであり、後述する保持溝22eによって回動可能に保持されている。この回動軸21cには、円形の外周に回り止め突起21dが突出形成されている。この回り止め突起21dは、回動軸21cが保持溝22e内で回動するときに、所定範囲を超えて回動することを規制するために設けられている。本実施形態においては、2つの回り止め突起21dが左右対称に反対方向に突出形成されている。また、回動軸21cは、第1連結部材21の全長に渡って形成されているが、保持溝22eの長手方向の長さよりも短くなるように構成されている。
【0037】
保持部21eは、手摺の縦枠16を保持するための部位であり、角柱部21aの後面から突出する2枚の突出板21fによって形成されている。2枚の突出板21fは、角柱部21aの後面から互いに平行に突出しており、この2枚の突出板21fと角柱部21aの後面とにより、一方の手摺11の縦枠16の両側面16bおよび前面16aを覆う断面コ字形の保持部21eが形成されている。この保持部21eは、第1連結部材21の全長に渡って形成されている。
【0038】
この保持部21eに縦枠16を挿入するときには、図7に示すように、縦枠16の前面16aから挿入する。2枚の突出板21fの間隔は、縦枠16の両側の係合面16dの幅とほぼ等しく形成されているため、2枚の突出板21fの内側面に縦枠16の両側の係合面16dを沿わせることで、保持部21eに縦枠16を挿入することができる。
【0039】
そして、保持部21eの奥まで縦枠16を挿入すると、図7(b)に示すように、突出板21fの先端部21gが、縦枠16の両側面に設けられた受溝16hに挿入されて係合する。なお、突出板21fの先端付近には、受溝16hに挿入したときに縦枠16の突出部16gの先端に臨む位置に段差21hが形成されている。
【0040】
このように構成することで、縦枠16および第1連結部材21に水平方向の荷重が働いた場合でも、突出板21fの先端部21gと受溝16hとが干渉し、また、突出板21fの段差21hと突出部16gの先端とが干渉することで、水平荷重に対しての強度が向上するようになっている。
【0041】
このように保持部21eに挿入された縦枠16は、図4(b)に示すように、両側からネジ等の留具24によって固定される。保持部21eの両側面から取り付けられた留具24は、保持部21eを貫通して一方の手摺11の縦枠16に螺着され、これによって保持部21eと縦枠16とが固定される。なお、留具24の取り付け位置は、少なくとも上下の2箇所に設ければよく、3箇所以上としてもよい。
なお、第1連結部材21が縦枠16を保持する構成は上記した実施形態のものに限らず、種々のものが考えられる。
【0042】
例えば、図18(a)、図18(b)に示すように、縦枠16を嵌合等によって保持してもよい。具体的には、図18(a)に示すように、第1連結部材21の保持部21eに固定片21iを突出させ、保持部21eに挿入される縦枠16の前面16aに固定片21iに嵌合される係止片16jを設け、固定片21iと係止片16jとを嵌合させて、両側から留具(図示なし)によって固定してもよい。また、図18(b)に示すように、第1連結部材21の突出板21fで縦枠16の側面16bを完全に覆い、突出板21fの先端を後面16cの角部に引っ掛けることにより、突出板21fを後面16cに係合させ、両側から留具(図示なし)によって固定してもよい。また、特に図示しないが、保持部21eに凹部を形成するとともに、縦枠16の前面16aに一体または別体からなる係止片を設け、この係止片を凹部に嵌合させるようにしてもよい。
【0043】
第2連結部材22は、一方の躯体51に固定される部材であり、第1連結部材21よりもやや長く形成された長尺のアルミ押出形材である。この第2連結部材22は、図3および図9に示すように、固定部22aと、固定部22aの左右端部からそれぞれ前方に突出する側板部22bおよび溝形成部22dと、を備える。
固定部22aは、一方の躯体51に固定される部位である。この固定部22aは、アンカーボルトなどの固定具25によって一方の躯体51に固定される。
【0044】
側板部22bは、固定部22aから前方へ略垂直に突出した部位である。この側板部22bの先端には、後述する化粧カバー材26を嵌合させるための爪部22cが形成されている。
【0045】
溝形成部22dは、保持溝22eを形成するための部位であり、上記した側板部22bと略平行に固定部22aから前方へと突出している。保持溝22eは、上記した回動軸21cを回動可能に保持するための溝である。本実施形態に係る保持溝22eは、図9に示すように、略C字形に形成されている。この保持溝22eは、第2連結部材22の長手方向全長に渡って形成されている。第2連結部材22は第1連結部材21よりも長いため、この保持溝22eも、第1連結部材21の全長に渡って形成された回動軸21cよりも長くなっている。
【0046】
なお、この保持溝22eの下端部付近には、図9に示すように、回動軸21cが保持溝22eの下部開口から脱落しないようにするための脱落防止手段23が設けられている。回動軸21cは、この脱落防止手段23よりも上方において保持溝22eの内部で保持されており、脱落防止手段23よりも下方へは移動できないようになっている。
【0047】
本実施形態に係る脱落防止手段23は、保持溝22eの内部に配置されたナット23aと、このナット23aを取り付けるためのナット取付ネジ23bと、を備えている。ナット取付ネジ23bは、固定部22aを貫通して保持溝22eの内部に突出するように取り付けられており、このナット取付ネジ23bの軸部にナット23aが取り付けられている。なお、保持溝22eの内周面には、このナット23aを保持するための凹溝22fが設けられている。凹溝22fは、保持溝22eの長手方向に沿ってナット23aを上下に摺動可能に案内するためのものであり、保持溝22eの内周の対向する2か所を略コ字形に切欠いた形状で形成されている。このナット23aを保持溝22eの内部で固定するときには、ナット23aを凹溝22fに沿って所定の位置まで移動させ、このナット23aを貫通するようにナット取付ネジ23bを取り付ける。このようにナット23aを固定することで、ナット23aによって保持溝22eを塞ぐ脱落防止手段23が構成される。なお、凹溝22fによってナット23aの外周面が支持されるため、ナット取付ネジ23bを回転させてナット23aに取り付ける時にナット23aの回転を防止することができ、容易に脱落防止手段23が構成される。
【0048】
また、脱落防止手段23は、上記したような態様に限定されない。例えば、保持溝22eとネジ(図示なし)とで脱落防止手段23を構成してもよい。具体的には、ビスホール状に形成した保持溝22eの下部開口からネジを螺着させ、このネジの先端が回動軸21cの下端に臨むことで、回動軸21cの脱落を防止してもよい。このように保持溝22eを使用して脱落防止手段23を構成すれば、ネジ用の穴を設けなくてよく、加工コストが抑えられる。
【0049】
なお、この保持溝22eは、図8に示すように、内周面に凹溝22fが形成されるとともに、開口縁に凸部22gが形成されている。凹溝22fは、回動軸21cの回り止め突起21dを収容するものであり、互いに対向するように2か所に形成されている。また、凸部22gは、回動軸21cを支える軸支持部21bに臨むように形成されている。この凹溝22fおよび凸部22gは、回動軸21cの回動を規制する回動規制手段を構成している。
【0050】
この回動規制手段は、図8に示すように作用する。すなわち、回動軸21cが保持溝22eの内部で最大角度まで回動したときに、回り止め突起21dが凹溝22fの壁に当接し、軸支持部21bが凸部22gに当接することで、回動軸21cの回動が抑制される。本実施形態においては、回り止め突起21dおよび凹溝22fが両側に設けられているため、両側の凹溝22fと開口縁の凸部22gとの3点で回動規制が行われるようになっている。これにより、凸部22gへの荷重を3点に分散させることができ、凸部22gの破損を防ぐことができる。
【0051】
なお、上記した溝形成部22dには、側板部22bに臨む側面に係止部22hが形成されている。この係止部22hは、後述する化粧カバー材26を嵌合させるためのものである。
【0052】
化粧カバー材26は、図3に示すように、第2連結部材22に外側から装着されるカバーであり、第2連結部材22とほぼ同じ長さで形成された長尺の板状部材である。この化粧カバー材26は、図9に示すように、上記した爪部22cに係合する第1取付端部26aと、上記した係止部22hに係合する第2取付端部26bと、を備えている。これらの第1取付端部26aおよび第2取付端部26bが第2連結部材22に嵌合することで、化粧カバー材26は第2連結部材22にワンタッチで取り付けることができる。この化粧カバー材26を第2連結部材22に取り付けることで、第2連結部材22の表面を覆うことができ、第2連結部材22を躯体に固定するための固定具25が外部に露出しないように覆うことができる。
【0053】
端部カバー27は、図4(a)に示すように、第2連結部材22および化粧カバー材26の上面に取り付けられる板状部材である。この端部カバー27は、ネジ等の留具28によって、第2連結部材22および化粧カバー材26の上面に固定される。留具28は、端部カバー27を貫通して、第2連結部材22および化粧カバー材26に形成されたビスホールに螺着される。これにより、第2連結部材22と化粧カバー材26の嵌合が外れてしまっても、端部カバー27によって化粧カバー材26が脱落することを防止できる。
上記した回動連結手段20は、例えば以下のような手順で組み立てられる。
【0054】
すなわち、まず図5(a)、図5(b)に示すように、第2連結部材22の固定部22aを、一方の躯体51の表面に、固定具25で固定する。そして、第1連結部材21の回動軸21cと第2連結部材22の保持溝22eとを回動可能に連結する。例えば、第1連結部材21を持ち上げて、回動軸21cを保持溝22eの端部から挿入してスライドさせる。これにより、躯体に対して水平および垂直の位置決めが完了した回動連結手段20が構成される。
【0055】
その後、図5(b)に示すように、固定具25を覆うように化粧カバー材26を取り付ける。化粧カバー材26は、第2連結部材22に対して嵌合固定されるため、第2連結部材22に押し付けるだけで、ネジ等の留具を必要とせずに取り付けることができる。第2連結部材22に化粧カバー材26を取り付けたら、第2連結部材22および化粧カバー材26の上面に端部カバー27を取り付ける。
【0056】
次に、図6(a)に示すように、保持部21eの中へ、水平方向から一方の手摺11の縦枠16を挿入する。これにより、回動連結手段20と手摺とが連結される。
最後に、図6(b)に示すように、保持部21eの両側からネジ等の留具24を取り付ければ、作業が完了する。
【0057】
このような構成によれば、手摺を取り付ける前に回動連結手段20を回動連結対象(躯体)に取り付けることで、手摺を持ち上げたりすることなく容易に組み立てることができる。また、狭い場所での作業を要せずに、一方の躯体51と一方の手摺11とを連結することができる。また、回動連結手段20を垂直に取り付けたり、回動連結手段20の高さを調整して一方の手摺11と他方の手摺12を水平にすることも容易である。
【0058】
なお、本実施形態においては、端部カバー27は第2連結部材22および化粧カバー材26の上面にのみ取り付けるようにしている。このように構成することで、回動連結手段20の下面が開放されるため、内部に水などが溜まることがない。ただし、そのような効果を期待しない場合には、端部カバー27を下面に取り付けてもよい。
【0059】
摺動連結部材30は、一方の手摺11と他方の手摺12とを摺動可能に連結するためのものであり、アルミ押出形材で構成される。この摺動連結部材30は、一方の手摺11に固定されるとともに、他方の手摺12の側面に形成された摺動溝13dに摺動可能に係合するようになっている。
【0060】
この摺動連結部材30は、図11(a)に示すように、一方の手摺11の側面に固定される垂直板部30aを備える。この垂直板部30aの一側面(他方の手摺12に臨む面)には、突起支持部30eが突出形成されており、この突起支持部30eの先端には断面略楕円状の摺動突起30fが設けられている。この摺動突起30fは、上記した上横枠13の摺動溝13d、および、下横枠15の摺動溝15dに対して摺動可能に係合するものである。また、垂直板部30aの他側面(一方の手摺11側の面)には、リブ状に突出する第1係合突起30bと、略L字形に突出する屈曲板部30cと、が形成されている。第1係合突起30bは、摺動連結部材30を上横枠13または下横枠15に固定したときに、摺動溝13d、15dの開口縁に係合する突起である。本実施形態に係る第1係合突起30bは、上下に2本形成されており、互いに平行となっている。また、屈曲板部30cは、垂直板部30aの下端から水平方向に突出しており、その先端には上横枠13の下面に係合する第2係合突起30dが上方に向けて形成されている。
なお、本実施形態においては、第1係合突起30bを上下に2本形成しているが、これに限らず、上下の2本の突起を一体化して1つの突起にしてもよい。
【0061】
また、上記した第1係合突起30bに加えて、または、上記した第1係合突起30bに代えて、上横枠13または下横枠15の厚肉部13e、15eに凹部(図示なし)を設けるとともに、摺動連結部材30の垂直板部30aに突起を設け、この凹部と突起とを係合させるようにしてもよい。このとき、垂直板部30aに設ける突起は、第1係合突起30bより上方において、凹部に対向する位置に形成される。このような突起によっても、第1係合突起30bと同様の効果を得ることができる。
【0062】
この摺動連結部材30を一方の手摺11の上横枠13に固定するときには、図11(b)に示すように、第1係合突起30bを、上横枠13の摺動溝13dの開口縁に係合させる。また、第2係合突起30dを、上横枠13の下面の係合溝13fに係合させる。この状態で、図10(a)に示すように、垂直板部30aと厚肉部13eとを貫通するようにネジ等の留具32を取り付けて固定する。
【0063】
また、この摺動連結部材30を一方の手摺11の下横枠15に固定するときにも同様に、第1係合突起30bを、下横枠15の摺動溝15dの開口縁に係合させる。また、第2係合突起30dを、下横枠15の下面の係合溝15fに係合させる。この状態で、図10(b)に示すように、垂直板部30aと厚肉部15eとを貫通するようにネジ等の留具32を取り付けて固定する。
【0064】
このように摺動連結部材30を一方の手摺11に固定すると、一方の手摺11の側方に摺動突起30fが突出した状態となる。この摺動突起30fを、他方の手摺12の上横枠13の摺動溝13dまたは下横枠15の摺動溝15dに係合させれば、一方の手摺11と他方の手摺12とを摺動可能に連結することができる。
【0065】
なお、この摺動連結部材30は、手摺の長手方向に対する長さを任意に設定することができる。本実施形態においては、図1に示すように、一方の手摺11と他方の手摺12とが摺動可能に重なり合う長さに応じて摺動連結部材30の長さが設定されている。このため、摺動連結部材30が一方の手摺11および他方の手摺12の長さよりも短く形成されており、重量やコストを削減することができる。また、手摺に摺動用の突出部を設けなくてもよいので、意匠性が向上する。
【0066】
また、本実施形態に係る摺動突起30fおよび摺動溝13d、15dは、楕円形で形成されている。このように摺動部を楕円形で形成することで、摺動突起30fと摺動溝13d、15dとが断面からみて点で接触するように構成されており、摩擦が小さくなるようにしている。摩擦を小さくすることで、摺動部における摺動をスムーズにすることができる。
【0067】
また、第1係合突起30bおよび第2係合突起30dにより位置決めが容易にでき、摺動溝13d、15dおよび係合溝13f、15fに係合することにより、水平および垂直荷重に対しての強度を向上できるので、強固に固定することができる。
【0068】
このような構成によれば、例えば図12に示すように、2つの躯体がD1方向やD2方向に変位した場合でも、一方の手摺11および他方の手摺12が回動したり摺動したりすることで変位に追従することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、一方の手摺11と一方の躯体51とを連結する回動連結手段20は、一方の手摺11に固定される第1連結部材21と、一方の躯体51に固定される第2連結部材22と、を備え、第1連結部材21は、一方の手摺11の縦枠16を支持する保持部21eを備え、保持部21eは、一方の手摺11の側面から留具24によって一方の手摺11の縦枠16に固定されている。このような構成によれば、一方の手摺11の縦枠16を保持部21eに挿入し、側面からネジ等の留具24で固定するだけで一方の手摺11に回動連結手段20を取り付けることができる。
【0070】
すなわち、一方の手摺11の前面16a(回動連結手段20に臨む面)ではなく、作業空間の広い一方の手摺11の側面16bからネジ等の留具24で固定できるので、一方の手摺11と一方の躯体51との間の狭い空間で作業する必要がなく、また、予め、躯体に対して水平および垂直にした状態の回動連結手段20に手摺を固定するため、容易に連結作業をすることができる。
【0071】
また、第1連結部材21が取り付けられる一方の手摺11の縦枠16の側面16bには、保持部21eの先端部21gと係合する受溝16hが形成されている。このような構成によれば、受溝16hにより水平荷重に対しての強度を向上させることができる。
【0072】
また、縦枠16は、第1連結部材21に留具24で固定されるために他の部分よりも肉厚に形成された側面(厚肉部16i)を備えている。このような構成によれば、肉厚な縦枠16の側面(厚肉部16i)にネジ等の留具24を取り付けることで固定強度が向上し、水平および垂直荷重に対しての強度が向上するので、第1連結部材21の脱落を防止できる。
【0073】
また、第1連結部材21および第2連結部材22は、一方に回動軸21cが形成され、他方に回動軸21cを回動可能に保持する保持溝22eが形成されており、回動軸21cは、外周に回り止め突起21dが突出形成されるとともに、軸支持部21bに支持されるものであり、保持溝22eは、内周面に回り止め突起21dを収容する凹溝22fが形成されるとともに、開口縁に軸支持部21bに臨む凸部22gが形成されており、回動軸21cが保持溝22eで回動したときに、回り止め突起21dが凹溝22fに当接し、軸支持部21bが凸部22gに当接することで、回動軸21cの回動が抑制されるようにしている。このような構成によれば、回動軸21cの回動範囲を規制することができ、また、凸部22gへの荷重を分散させることで凸部22gの破損を防ぐことができる。なお、本実施形態においては、第1連結部材21に回動軸21cを形成し、第2連結部材22に保持溝22eを形成したが、これに限らず、第1連結部材21に保持溝を形成し、第2連結部材22に回動軸を形成してもよい。
【0074】
また、回動軸21cは、保持溝22eの長手方向の長さよりも短い。このような構成によれば、回動軸21cが保持溝22eの内部で上下に移動できるため、躯体の高さ方向への変位に追従することができる。
【0075】
また、保持溝22eには、回動軸21cが保持溝22eの下部開口から脱落しないようにするための脱落防止手段23が設けられている。このような構成によれば、回動軸21cの脱落を防止することができる。
【0076】
また、第2連結部材22を一方の躯体51に固定するための固定具25を備え、固定具25を覆うように、第2連結部材22に化粧カバー材26が装着されている。このような構成によれば、固定具25が露出しないので意匠性が向上する。
【0077】
また、化粧カバー材26の上面に端部カバー27を取り付けている。このような構成によれば、意匠性を向上させるとともに、化粧カバー材26の脱落を防止することができる。
【0078】
また、一方の手摺11と他方の手摺12とを連結する摺動連結部材30を備え、摺動連結部材30は、一方の手摺11に固定されるとともに、他方の手摺12の側面に形成された摺動溝13dに対し摺動可能に係合してもよい。このような構成によれば、摺動連結部材30を一方の手摺11の長手方向の長さよりも短い必要最小限の長さにすることができるので、重量や製造コストを抑制することができ、意匠性も向上する。言い換えると、従来の構成のように、手摺にスライド係合可能な突出部を設けた場合、手摺の全長に渡って突出部を形成しなければならないが、本発明のように摺動連結部材30を手摺と別部材として設ければ、突出部の長さを調節できるので、無駄な突出部を設けなくてよい。
【0079】
また、一方の手摺11および他方の手摺12の上横枠13は、摺動溝13dを形成した同一断面形状の部材であり、摺動連結部材30の一側面には、摺動溝13dに対して摺動可能に係合する摺動突起30fが形成されており、摺動連結部材30の他側面には、摺動連結部材30を上横枠13に固定したときに摺動溝13dに係合する係合突起30bと、が形成されている。このような構成によれば、一方の手摺11および他方の手摺12の上横枠13を同一部材で形成できるので、製造コストを抑制することができる。また、係合突起30bにより、水平荷重および垂直荷重に対する強度が向上し、取り付け時の位置決めも容易となる。
【0080】
また、上横枠13は、摺動連結部材30を留具32で固定するために他の部分よりも肉厚に形成された側壁部(厚肉部13e)を備えている。このような構成によれば、上横枠13の肉厚な部分にネジ等の留具32を取り付けることで固定強度が向上し、水平および垂直荷重に対しての強度が向上するので、変位時に摺動連結部材30が脱落することを防止できる。
【0081】
また、本実施形態においては、図1に示すように、一方の手摺11の一方の躯体51に対する回動中心と、他方の手摺12の他方の躯体52に対する回動中心とが、一方の手摺11および他方の手摺12の摺動方向(長手方向)と平行な同一直線L上に配置されている。このため、図12に示すように、2つの躯体がD1方向やD2方向に変位し、一方の手摺11および他方の手摺12が回動且つ摺動した場合でも、一方の手摺11および他方の手摺12の回動軸21cを押し引きする力が摺動方向に対して平行に働くので、互いにスムーズに摺動させることができる。また、摺動溝13d、15dと摺動突起30fとの隙間(突起支持部30eほどの幅)が小さいことで、更にスムーズに摺動させることができる。
【0082】
(変形例)
上記した実施形態においては、一方の躯体51を、一方の手摺11に回動可能に連結される回動連結対象とし、他方の手摺12を、一方の手摺11に摺動可能に連結される摺動連結対象とした場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。本変形例においては、他方の手摺12を、一方の手摺11に回動可能に連結される回動連結対象とし、一方の躯体51を、一方の手摺11に摺動可能に連結される摺動連結対象とした例について説明する。
【0083】
本変形例に係るエキスパンションジョイントカバー装置10は、図13に示すように、2つの躯体間の間隙50に設けられるものであり、一方の躯体51側に取り付けられた一方の手摺11と、他方の躯体52側に取り付けられた他方の手摺12と、一方の手摺11と他方の手摺12とを回動可能に連結する回動連結手段20と、一方の手摺11と一方の躯体51とを摺動可能に連結する摺動連結部材31と、他方の手摺12と他方の躯体52とを摺動可能に連結する摺動連結部材31と、を備えている。一方の手摺11および他方の手摺12は、互いに連結されて一方の躯体51および他方の躯体52間の間隙50に配置されている。
【0084】
一方の手摺11および他方の手摺12は、図13に示すように、平面視略直角に配置されている。また、一方の手摺11の側面と一方の躯体51とは、一部が重なるように配置されており、この重なりあった部分には摺動連結部材31が設けられている。また、他方の手摺12の側面と他方の躯体52とは、一部が重なるように配置されており、この重なりあった部分には摺動連結部材31が設けられている。
この一方の手摺11および他方の手摺12の構成は、上記した第1の実施形態と同様である。
【0085】
また、回動連結手段20の構成も、上記した第1の実施形態と同様である。ただし、本変形例においては、回動連結手段20の第2連結部材22が躯体に固定されるのではなく、図15に示すように、他方の手摺12の縦枠16に固定されている。
【0086】
摺動連結部材31は、一方の手摺11および他方の手摺12を躯体に対し摺動可能に連結するためのアルミ押出形材であり、躯体に固定されるとともに、一方の手摺11および他方の手摺12の側面に形成された摺動溝13d、15dに摺動可能に係合するようになっている。
【0087】
この摺動連結部材31は、図14および図16に示すように、一方の躯体51および他方の躯体52の表面に固定される垂直板部31aを備える。この垂直板部31aからは、突起支持部31bが突出形成されており、この突起支持部31bの先端には断面略楕円状の摺動突起31cが設けられている。この摺動突起31cは、摺動溝13d、15dに対して摺動可能に係合するものである。
【0088】
この摺動連結部材31を躯体に固定するときには、図16に示すように、垂直板部31aを躯体表面に当接させて、垂直板部31aを貫通するようにアンカーボルトなどの固定具25によって躯体に打ち込んで固定する。
【0089】
このように摺動連結部材31を躯体に固定すると、躯体の側方に摺動突起31cが突出した状態となる。この摺動突起31cを、上横枠13の摺動溝13dまたは下横枠15の摺動溝15dに係合させれば、一方の手摺11と一方の躯体51とを摺動可能に連結することができ、また、他方の手摺12と他方の躯体52とを摺動可能に連結することができる。
【0090】
このような構成とした場合でも、例えば図17に示すように、2つの躯体がD3方向やD4方向に変位したときに、一方の手摺11および他方の手摺12が回動したり摺動したりすることで変位に追従することができる。
【0091】
なお、この変形例に係る構成を使用するか、上記した第1の実施形態に係る構成を使用するかは、躯体や間隙50の位置関係などを考慮して適宜選択することができる。また、手摺を通路の両側に配置する場合、上記した第1の実施形態に係る構成を両側に配置してもよいし、上記した変形例に係る構成を両側に配置してもよいし、上記した第1の実施形態に係る構成を片側に配置し、上記した変形例に係る構成を片側に配置して、組み合わせて使用してもよい。
【0092】
また、特に図示しないが、床面に床用のエキスパンションジョイントカバー装置を設けてもよい。この場合、床用のエキスパンションジョイントカバー装置の両側または片側の側面または上部に、上記した第1の実施形態に係るエキスパンションジョイントカバー装置10や、上記した変形例に係るエキスパンションジョイントカバー装置10を配置してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 エキスパンションジョイントカバー装置
11 一方の手摺
12 他方の手摺
13 上横枠
13a 天板部
13b 底板部
13c 一方の側壁部
13d 摺動溝
13e 厚肉部
13f 係合溝
13g 他方の側壁部
15 下横枠
15a 天板部
15c 一方の側壁部
15d 摺動溝
15e 厚肉部
15f 係合溝
15g 他方の側壁部
16 縦枠
16a 前面
16b 側面
16c 後面
16d 係合面
16e 突き当て面
16f 露出面
16g 突出部
16h 受溝
16i 厚肉部
16j 係止片
17 中間縦枠
20 回動連結手段
21 第1連結部材
21a 角柱部
21b 軸支持部
21c 回動軸
21d 回り止め突起
21e 保持部
21f 突出板
21g 先端部
21h 段差
21i 固定片
22 第2連結部材
22a 固定部
22b 側板部
22c 爪部
22d 溝形成部
22e 保持溝
22f 凹溝
22g 凸部
22h 係止部
23 脱落防止手段
23a ナット
23b ナット取付ネジ
24 留具
25 固定具
26 化粧カバー材
26a 第1取付端部
26b 第2取付端部
27 端部カバー
28 留具
30 摺動連結部材
30a 垂直板部
30b 第1係合突起
30c 屈曲板部
30d 第2係合突起
30e 突起支持部
30f 摺動突起
31 摺動連結部材
31a 垂直板部
31b 突起支持部
31c 摺動突起
32 留具
50 間隙
51 一方の躯体
52 他方の躯体
L 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18