(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080245
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】樋受け構造、及びその施工法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/064 20060101AFI20230601BHJP
E04D 13/072 20060101ALI20230601BHJP
E04D 13/158 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
E04D13/064 501F
E04D13/072 A
E04D13/158 501R
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065410
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2019016887の分割
【原出願日】2019-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩
(57)【要約】
【課題】軒樋を支持する樋受け材に換気用開口部を設けることで、室内側への空気の取り入れ及び室外側への排気を容易に行うことができる樋受け構造、及びその施工法を提供する。
【解決手段】本発明は、建築物の軒先に沿って固定された樋受け材4で軒樋1を支持する樋受け構造にあって、樋受け材4は、取付面5Aに固定される固定部41と、該固定部41から離反する方向へ延在する支持部42と、を有し、支持部42には、軒樋1の建築物側の側面13が支持されると共に上下方向に連通する換気用開口部421が形成され、該換気用開口部421から取り入れられた吹き込み風が、屋根面の裏面側の換気の流路70へ導入されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の軒先に沿って固定された樋受け材で軒樋を支持する樋受け構造にあって、
前記樋受け材は、取付面に固定される固定部と、該固定部から離反する方向へ延在する支持横面部と、該支持横面部から高さ方向に延在して前記軒樋の建築物側の側面が支持される支持縦面部とを有し、前記支持横面部には、上下方向に連通する換気用開口部が形成され、該換気用開口部から取り入れられた吹き込み風が、屋根面の裏面側の換気の流路へ導入されていることを特徴とする樋受け構造。
【請求項2】
前記樋受け材は、前記固定部の上方に該固定部から離反する方向へ上方延出部を有し、該上方延出部には、上下方向に連通する換気用開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樋受け構造。
【請求項3】
請求項1~2の何れか一項に記載の樋受け構造を施工する方法であって、
建築物の取付面に樋受け材を固定する第1の工程と、
前記樋受け材に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける第2の工程と、
前記軒樋の開放上面を覆うようにカバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地又は樋受け材に固着すると共に、その下端に設けた係合部を、前記軒樋の軒先端に設けた係合受部に係合させる第3の工程と、からなることを特徴とする樋受け構造の施工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋を支持する樋受け材に換気用開口部を設けることで、室内側への空気の取り入れ及び室外側への排気を容易に行うことができる樋受け構造、及びその施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の樋としては、軒先に設ける軒樋が一般的に広く知られている。
この軒樋を固定する構造(機構)としては、例えば特許文献1,2等に示されるものが広く知られている。
特許文献1には、軒樋と軒先前面との間隔をその下方において閉塞するカバー材3を取り付け、該カバー材3に設けた支持片(係止部)にて軒樋の一方の側面の上端(耳部)を係止する構造が記載されている。
特許文献2には、建物の外壁に固定する軒樋支持装置6に対し、多孔体5を含む上側部材3を上面側に、軒体本体1である下側部材4を吊り保持する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-38153号公報
【特許文献2】特開2000-291213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のカバー材3も、前記特許文献2の軒樋支持装置6も、建築物の外壁に片持ち状に固定する構造であって、これらの部材に室内側への換気を行う構成を備えていない。そのため、建築物の換気を目的とするなら、別途換気装置や換気構造を取り付ける必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、軒樋を支持する樋受け材に換気用開口部を設けることで、室内側への空気の取り入れ及び室外側への排気を容易に行うことができる樋受け構造、及びその施工法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、建築物の軒先に沿って固定された樋受け材で軒樋を支持する樋受け構造にあって、前記樋受け材は、取付面に固定される固定部と、該固定部から離反する方向へ延在する支持横面部と、該支持横面部から高さ方向に延在して前記軒樋の建築物側の側面が支持される支持縦面部とを有し、前記支持横面部には、前記軒樋の建築物側の側面が支持されると共に上下方向に連通する換気用開口部が形成され、該換気用開口部から取り入れられた吹き込み風が、屋根面の裏面側の換気の流路へ導入されていることを特徴とする樋受け構造を提案するものである。
【0007】
また、本発明は、前記樋受け構造において、樋受け材は、固定部の上方に該固定部から離反する方向へ上方延出部を有し、該上方延出部には、上下方向に連通する換気用の開口部(なお、支持横面部における換気用開口部と区別するため、この上方延出部の換気用の開口部は以後の説明では「通孔」という)が形成されている樋受け構造をも提案する。
【0008】
さらに、本発明は、前記樋受け構造を施工する方法であって、建築物の取付面に樋受け材を固定する第1の工程と、前記樋受け材に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける第2の工程と、前記軒樋の開放上面を覆うようにカバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地に固着すると共に、その下端に設けた係合部を、前記軒樋の軒先端に設けた係合受部に係合させる第3の工程と、からなることを特徴とする軒先構造の施工法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樋受け構造は、軒樋の建築物側の側面を、建築物の取付面に固定した樋受け材に支持させ、この樋受け材の支持横面部に設けた換気用開口部から換気を行う構造であって、室内側(屋根面の裏面側の換気の流路)への空気(吹き込み風)の取り入れ、室外側への排気を容易に行うことができる。
さらに、樋受け材には、軒樋の建築物側の側面が支持される支持縦面部を有しているので、軒樋を安定に保持することができる。
【0010】
また、樋受け材は、固定部の上方に該固定部から離反する方向へ上方延出部を有し、該上方延出部には、上下方向に連通する通孔が形成されている場合、横面状部分が上下二重に形成されるものとなり、換気も通孔から換気用開口部を通って行うことができ、軒樋をより安定に支持することができる。
【0011】
さらに、前記樋受け構造の施工法は、第1~第3の何れの工程も、特殊な治具や装置等を用いることもなく容易に実施でき、前述のように有用な樋受け構造を施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)本発明の第1実施例の樋受け構造を示す側面図、(b)それに用いた樋受け材を示す側面図である。
【
図2】(a)本発明の第2実施例の樋受け構造を示す側面図、(b)それに用いた樋受け材を示す側面図ある。
【
図3】(a)本発明の第3実施例の樋受け構造を示す側面図、(b)それに用いた樋受け材を示す側面部である。
【
図4】樋受け材の支持横面部(換気用開口部)のバリエーションを示す底面部である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の樋受け構造は、建築物の軒先に沿って固定された樋受け材で軒樋を支持するものであって、前記樋受け材は、取付面に固定される固定部と、該固定部から離反する方向へ延在する支持横面部と、該支持横面部から高さ方向に延在して前記軒樋の建築物側の側面が支持される支持縦面部とを有し、前記支持横面部には、前記軒樋の建築物側の側面が支持されると共に上下方向に連通する換気用開口部が形成され、該換気用開口部から取り入れられた吹き込み風が、屋根面の裏面側の換気の流路へ導入されていることを特徴とする。
【0014】
前記軒樋は、雨水等を長さ方向に排水する内部空間(排水部)を有するものであって、通し材が用いられることが多いが、複数の組み合わせでもよい。この軒樋は、底面と二つの側面とからなる断面略U字状に形成され、その開放上面を覆うようにカバー材が配設される。この軒樋の建築物側の側面が、取付面に固定した前記樋受け材に取り付けられ、軒先側の側面には、その上端を外装下地又は樋受け材に固定されるカバー材の係合部に接続される係合受部が設けられる。
【0015】
この軒樋の係合受部は、後述する図示実施例では、最上部に位置する傾斜面と水平面とで形成されたL字状部分であるが、カバー材の下端に設けられる係合部に連絡(接続)されるものであれば、その具体的形状を限定するものではない。この係合受部が、カバー材の係合部に連絡(接続)されるので、この軒樋の軒先端をカバー材で引っ張るように保持することができる。
【0016】
この軒樋の開放上面を覆うカバー材は、軒樋の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積することを防止する部材であって、特にその材質(材料)を限定するものではなく、前記軒樋と同様に通し材でもよいし複数の組み合わせでもよい。なお、このカバー材は、その上端を外装下地又は樋受け材に固定されるものであって、軒樋の開放上面の全面を覆うものでも一部のみを覆うものでもよい。
このカバー材の表面には、雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が多数形成され、該導水口の存在により、降雪の堆積や落ち葉等の浸入の防止も果たされる。
このカバー材としては、経年の使用により脱離や飛散しないものであれば、金属メッシュ材(金網状材)でもよい。この金属メッシュ材の開口寸法については、前記導水口と同様に広過ぎると落ち葉等の侵入が生じるため、その侵入を防止して雨水を導水できるものであればよい。
【0017】
このカバー材に設けられる係合部は、軒樋の軒先端(係合受部)と係合するものであって、後述する図示実施例では、傾斜面と水平面とで形成されたL字状部分であるが、前記軒樋に設けられる係合受部に係合されるものであれば、その具体的形状を限定するものではない。この係合部が、軒樋の係合受部に係合されるので、軒樋の軒先端をこのカバー材で引っ張るように保持することができる。
【0018】
前記樋受け材は、取付面に固定される固定部と、該固定部から離反する方向へ延在する支持横面部と該支持横面部から高さ方向に延在して前記軒樋の建築物側の側面が支持される支持縦面部とを備え、前記軒樋を支持する部材である。この樋受け材は、前記軒樋と同様に通し材が用いられることが多いが、複数の組み合わせでもよい。
【0019】
前記取付面とは、建築物に形成され、締着具等の固定具を打ち込めるものであれば、特に限定するものではなく、例えば外壁面等の縦面でもよいし、前記固定部とはその取付面に沿わせる縦面状部分を指す。
【0020】
前記支持横面部には、上下方向に連通する換気用開口部が形成されているが、その形状等を限定するものではなく、後述する図示実施例に示すように多数の小孔をその長さ方向に設けるようにしてもよい。この換気用開口部は、下方からの吹き込み風を建築物内へと導く通孔であって、その開口寸法については、前記カバー材における導水口と同様に、広過ぎると落ち葉等の侵入が生じる上、近年、各種の昆虫や野生動物等が天井裏等に入り込む恐れがあるため、それらを防止して吹き込み風を導入できるものであればよい。
また、この支持横面部は、軒樋の建築物側の側面を支持する役割を果たすものであって、具体的には、軒樋の建築物側の側面の下端を載置状に受けるL字状部分(下方保持部)を備える。
即ちこの支持横面部は、少なくとも固定部から離反する方向へ延在する横面状部分を備え、該横面状部分に上下方向に連通する換気用開口部が形成され、その先端にL字状部分である下方保持部が形成されている。
【0021】
前記換気用開口部は、前述のように下方からの吹き込み風を建築物内へと導く通孔であり、各種の昆虫等の侵入を防止できるものが望ましいため、複数部材にて形成されるものであってもよい。即ち単一部材で換気用開口部を形成する場合は、支持横面部に複数の孔を形成する態様となり、複数部材で換気用開口部を形成する場合は、支持横面部に比較的大きな孔を形成しておき、別部材としてネット状や通気性素材で形成される網状材等の比較的小さな孔を形成して取り付ける態様等がある。
【0022】
なお、この樋受け材には、前述の固定部及び支持横面部に加え、固定部の上方に固定部から離反する方向へ上方延出部を有し、該上方延出部には、上下方向に連通する通孔を形成してもよい。この通孔は、前記支持横面部における換気用開口部と同様に形成してもよいし、敢えて異なるように形成してもよい。
この上方延出部は、前記支持横面部(の横面状部分)の上方に形成されるものであって、後述する図示実施例のように支持横面部と平行状に形成してもよいが、特に平行状に限定されるものではない。
【0023】
また、この樋受け材には、前記カバー材の上端(固着部)を固定する被固着部を設けるようにしてもよい。
前述のように前記カバー材は、その外装下地又はこの樋受け材に固定されるものであって、言い換えれば、カバー材の上端に設けた固着部を固定する被固着部を、例えば軒先唐草等の外装下地に設けてもよいし、この樋受け材に設けるようにしてもよい。
【0024】
さらに、この樋受け材には、前記固定部と対向状に支持縦面部を形成し、該支持縦面部の上端を外側へ折り返してく字状部分(上方保持部)を形成する。
この支持縦面部に設ける上方保持部は、軒樋の建築物側の側面の上端を保持するので、前記支持横面部の先端に設けた下方保持部と共に軒樋の建築物側の側面を安定に保持することができる。
【0025】
本発明の樋受け構造は、該構造の表裏の化粧面を形成する軒樋やカバー材の裏面側に、換気用開口部を備える樋受け材を用いたものであり、軒樋やカバー材としては、専ら通し材を用いるが、複数の組み合わせであってもよく、経年の使用に際して変形等を生じないものであればよく、各種の金属板材や硬質樹脂成形板等が用いられる。一方、樋受け材としては、前記軒樋を支持するための強度、支持強度を求められるので、その耐久性を備える金属金具や厚肉の樹脂成形品等が用いられる。
【0026】
これらの部材から構成される樋受け構造を施工する方法は、以下の通りである。
まず、第1の工程として、取付面に樋受け材を固定する。
次に、第2の工程として、前記樋受け材の支持横面部(下方保持部)に、軒樋の建築物側の側面を取り付ける。
そして、第3の工程として、前記軒樋の開放上面を覆うようにカバー材を臨ませ、その上端を、建築物の外装下地(軒先唐草)又は樋受け材に固着すると共に、その下端に設けた係合部を、前記軒樋の軒先端に設けた係合受部に係合させる。
【0027】
以上説明した本発明の樋受け構造は、軒樋の建築物側の側面を、取付面に固定した樋受け材に取り付け、樋受け材の支持横面部に設けた換気用開口部から換気を行うので、室内側への空気の取り入れ、室外側への排気を容易に行うことができる。
【0028】
また、樋受け材に、固定部の上方に前記上方延出部を設けた場合には、横面状部分が上下二重に形成されるものとなり、換気も通孔から換気用開口部を通って行うことができ、軒樋をより安定に支持することができる。
【実施例0029】
図1(a)に示す本発明の第1実施例の樋受け構造は、建築物の軒先に沿って固定された樋受け材4で軒樋1を支持するものである。また、前記樋受け材4は、取付面に固定される固定部41と、該固定部41から離反する方向へ延在する支持横面部42と、を有する構成である。また、前記支持横面部42には、軒樋1の建築物側の側面13が支持され、上下方向に連通する換気用開口部421が形成されている。
【0030】
前記軒樋1は、雨水等を排水する内部空間(排水部)を有する通し材であり、底面11と二つの側面12,13とからなる断面略U字状に形成され、建築物側の側面13が、取付面(建築物の外壁面5A)に固定した樋受け材4(の下方保持部422)に取り付けられ、前記底面11には、下方へ延在する縦樋2の上端が連結される構成である。
この第1実施例における軒樋1の排水部(内部空間)は、略水平状の底面11の軒先側(図面では左側)に、三つの傾斜面と二つの水平面とで構成される段状の側面12が形成され、前記底面11の建築物側(図面では右側)には、略垂直状に起立する側面13が形成され、これらの底面11及び側面12,13にて断面略U字状の雨水等の排水路が形成されるため、底面11に、その上端が接続された縦樋2へ速やかに雨水を排水できる。なお、縦樋2の上端には、複数の導水穴21を備えるキャップ状の排水口2Bが取り付けられている。
また、前記軒先側の側面12の上端には、前記カバー材3の係合部32が包持状に係合する係合受部121が最上端の傾斜面と水平面とで形成され、前記建築物側の側面13の下端には、樋受け材4の下方保持部422に受支される略L字状の支持受部131が形成されている。
【0031】
前記カバー材3は、前記軒樋1の開放上面を覆う部材であって、軒樋1の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材であり、通し材でも複数の組み合わせでもよい。
第1実施例におけるカバー材3は、その表面(化粧面31)に、雨水を内部へ導く導水口311として複数の小径のスリット孔が形成されるが、その軒先近傍には流れ傾斜と逆に上り傾斜する返し面313が形成され、その境界部分には排水溝312が形成されている。
また、前記化粧面31の軒先端には、化粧面31の下端を下方へ折り曲げ、更に裏面側へ延在させたL字状の係合部32が形成されている。
さらに、前記化粧面31の上端付近には、外装下地6Fに一体的に固定される軒先唐草6Dに形成された被固着部66に支持され、且つビス(固着具)6bにて固着される固着部33が形成されている。
【0032】
前記軒樋1を支持する樋受け材4は、前述のように固定部41と、支持横面部42と、を有するが、固定部41が固定される取付面は、内側に通気層50を備える外壁面5Aであって、固定部41はそれに沿わせる縦面状部分を指し、長ビス状の固定具4bにて外壁面5Aに固定されている。
前記支持横面部42は、少なくとも前記固定部41から離反する方向(図では左方)へ延在する横面状部分を備え、該横面状部分に上下方向に連通する換気用開口部421が形成され、その先端には、前記軒樋1の略L字状の支持受部131を下方から支持する下方保持部422が形成されている。
この換気用開口部421は、
図4に示すバリエーションから、吹き込み風と共に落ち葉等の侵入が生じないような、各種の昆虫や野生動物等が天井裏等に入り込めないような、ものが適宜に選択される。なお、この第1実施例における換気用開口部421は、単一部材で形成される態様であるから、より細かな孔を形成したものが望ましい。
【0033】
また、この第1実施例における樋受け材4は、
図1(b)に示すように前記固定部41が垂直縦面、前記支持横面部42が水平横面に形成され、前記固定部41と対向状に支持縦面部43を備える略U字状の成形体であって、該支持縦面部43の上端を外側へ折り返してく字状の上方保持部431が形成されている。
この支持縦面部43に設ける上方保持部431は、軒樋1の建築物側の側面13の上端を保持するので、前記支持横面部42の先端に設けた下方保持部422と共に軒樋1の建築物側の側面13を安定に保持することができる。
【0034】
前述の軒樋1、樋受け材4、カバー材3以外の構成を以下に簡単に説明する。
図中の5Aは内部に通気層50を備える外壁面、7Aは軒棟方向に敷設された躯体であり取り入れられた換気の流路70を形成しており、7Bはその構築された構造物であって、6Aは縦葺き外装材、6bはそれ(6A)を保持する吊子、6cはその固定具、6Dは被固着部66を備える軒先唐草、6eはその固定具、6Fは縦葺き外装材6Aの裏面側に配設された下地材(外装下地)である。
前記軒先唐草6Dは、外装下地6Fの軒先部分に嵌合状に取り付けられ、軒先側へ延在して縦葺き外装材6Aの軒先端を係合させる被係合部65と、該被係合部65よりも更に軒先側へ突出して前記カバー材3を固定する被固着部66と、を備える。
【0035】
これらの部材から構成される樋受け構造を施工する方法を簡単に説明する。
まず、第1の工程として、取付面5Aに樋受け材4の固定部41を長ビス(固定具)4bにて固定した。
次に、第2の工程として、前記樋受け材4の支持横面部42(の下方保持部422)に、軒樋1の建築物側の側面13(の支持受部131)を載置状に取り付けた。この第1実施例では、その際、軒樋1の建築物側の側面13の上端を、樋受け材4の上方保持部431に下方から差し込むように保持させた。その後、ビス1bを打ち込んで側面13を支持縦面部43に固定した。
そして、第3の工程として、前記軒樋1の開放上面を覆うようにカバー材3を臨ませ、その上端(固着部33)を、建築物の外装下地(軒先唐草6Dに設けた被固着部66)にビス(固着具)3bにて固着すると共に、その下端に設けた係合部32を、前記軒樋1の軒先端に設けた係合受部121に係合させた。
【0036】
このように施工された本発明の樋受け構造は、軒樋1の建築物側の側面13の支持受部131を、取付面5Aに固定した樋受け材4の下方保持部422に取り付け、樋受け材4の支持横面部42に設けた換気用開口部421から上下方向に換気を行うので、室内側への空気の取り入れ、室外側への排気を容易に行うことができる。
なお、図中に点線の白抜き矢印で、室内側への空気の取り入れを示しているが、吹き込み風が換気用開口部421から取り入れられ、換気の流路70へ導入されている状態が示されている。
【0037】
また、この第1実施例では、軒樋1の建築物側の側面13を、取付面に固定した樋受け材4に固定し、軒樋1の軒先側の側面12に設けた係合受部121を、軒先唐草6Dに固着したカバー材3にて引っ張るように保持している構造であって、軒樋1の左右端を安定に保持できる。
【0038】
さらに、この第1実施例では、前記構成のカバー材3を用いたので、雨水や雪と共に落ち葉等が侵入することがなく、雨水や雪等を導水して排水することができ、例えば豪雨等に際しても、返し面313にて一時的に雨水等を貯留して排水溝312にて流れ方向に排水することができる。
【0039】
図2(a)に示す本発明の第2実施例の樋受け構造は、用いる樋受け材4'が、前記第1実施例における樋受け材4とは異なるものであり、それ以外の軒樋1やカバー材3等については全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
この第2実施例における樋受け材4'は、
図2(b)に示すように固定部41'と、支持横面部42'と、を有し、前記固定部41'が垂直縦面、前記支持横面部42'が水平横面に形成される点では前記第1実施例と共通するが、この第2実施例における樋受け材4'は、固定部41'が短く形成され、打ち込む固定具4bも少ないが、その上端から該固定部41'から離反する方向(図では左方)へ延在する上方延出部44が設けられている。
また、前記上方延出部44の端部から上方へ延出する支持縦面部43'を形成されているが、前記第1実施例における支持縦面部43が支持横面部42から垂直状に立ち上がっているのに対し、この支持縦面部43'は上方延出部44の端部から立ち上がっている点で相違するが、その上端を外側へ折り返してく字状の上方保持部431'が形成される点では共通する。
なお、前記上方保持部431'の外側には、符号(45)で示す略Z字状部分が存在するが、当該実施例では敢えて説明しない。
【0041】
前記上方延出部44は、前記支持横面部42'と平行状に形成される水平横面であり、上下方向に連通する通孔441を備えている。この通孔441は、前記第1実施例における換気用開口部421と同様に、
図4に示すような吹き込み風と共に落ち葉等の侵入が生じないような、各種の昆虫や野生動物等が天井裏等に入り込めないような、ものが適宜に選択される。
前記上方延出部44は、前記支持部42'と平行状に形成される水平横面であり、上下方向に連通する通孔441を備えている。この通孔441は、前記第1実施例における換気用開口部421と同様に、
図4に示すような吹き込み風と共に落ち葉等の侵入が生じないような、各種の昆虫や野生動物等が天井裏等に入り込めないような、ものが適宜に選択される。
【0042】
一方、この第2実施例における支持横面部42'における換気用開口部421'は、左右に設けた一対の横溝423に、白抜き矢印で示すように網状板4Cの端縁を取り付けて形成されている。そのため、以下に示すように様々な態様を適宜に選択できる。なお、この網状板4Cは、ネット状でも通気性素材で形成されるものでもよい。
例えば前記換気用開口部421'として、支持横面部42'に複数の貫通孔を形成しておき、その複数の貫通孔を覆うように横溝423に網状板4Cを取り付けるため、特に小さな昆虫等の侵入を容易に防止することができる。具体的には、支持横面部42'に形成する複数の貫通孔として、数センチレベルの孔を形成し、数ミリ或いはコンマ数ミリ以下の微細孔を網状板4Cに形成すればよい。
【0043】
この第2実施例の樋受け構造も、前記第1実施例と全く同様に施工することができる。
まず、第1の工程として、取付面5Aに樋受け材4'の固定部41'を長ビス(固定具)4bにて固定した。
次に、第2の工程として、前記樋受け材4'の支持横面部42'の下方保持部422'に、軒樋1の建築物側の側面13の支持受部131を載置状に取り付けた。その際、軒樋1の建築物側の側面13の上端を、樋受け材4'の上方保持部431'に下方から差し込むように保持させた。その後、ビス1bを打ち込んで側面13を支持縦面部43'に固定した。
そして、第3の工程として、前記軒樋1の開放上面を覆うようにカバー材3を臨ませ、その上端(固着部33)を、建築物の外装下地(軒先唐草6Dに設けた被固着部66)にビス(固着具)3bにて固着すると共に、その下端に設けた係合部32を、前記軒樋1の軒先端に設けた係合受部121に係合させた。
【0044】
この第2実施例の樋受け構造は、その換気効果についてもほぼ同様の効果を奏することができる。即ち軒樋1の建築物側の側面13の支持受部131を、取付面5Aに固定した樋受け材4'の下方保持部422'に取り付け、樋受け材4'の支持横面部42'に設けた換気用開口部421'(及び網状材4C)から通孔441を通って上下方向に換気を行うので、室内側への空気の取り入れ、室外側への排気を容易に行うことができる。
なお、図中に点線の白抜き矢印で、室内側への空気の取り入れを示しているが、吹き込み風が換気用開口部421'から取り入れられ、通孔441を通って換気の流路70へ導入されている状態が示されている。
【0045】
図3(a)に示す本発明の第3実施例の樋受け構造は、用いる樋受け材4"については前記第2実施例における樋受け材4'と同一であるが、カバー材3の配設角度及び軒先唐草6D"が異なるものであり、それ以外の軒樋1等については全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
なお、前記軒先唐草6D"は、外装下地6Fの軒先部分に嵌合状に取り付けられ、軒先側へ延在して縦葺き外装材6Aの軒先端を係合させる被係合部65を備える点では前記軒先唐草6Dと共通するが、被固着部が設けられずに水返し部67が形成されている。
【0046】
この第3実施例における樋受け材4"は、
図3(b)に示すように上方保持部431'の外側には、符号45で示す略Z字状の被固着部を有し、軒先唐草6D"には被固着部が形成されていない構成である。
そして、この第3実施例では、カバー材3の配設角度が前記第1,2実施例に比べて緩やか(水平に近似する傾斜角度)であって、上端に形成される固着部33が前記樋受け材4"に形成される被固着部45にビス(固着具)3bにて固着されている。
【0047】
この第3実施例の樋受け構造を施工する方法も、カバー材3を樋受け材4"に固着する以外は、前記第2実施例と同様である。
まず、第1の工程として、取付面5Aに樋受け材4"の固定部41を長ビス(固定具)4bにて固定した。
次に、第2の工程として、前記樋受け材4"の支持横面部42'の下方保持部422'に、軒樋1の建築物側の側面13の支持受部131を載置状に取り付けた。その際、軒樋1の建築物側の側面13の上端を、樋受け材4"の上方保持部431'に下方から差し込むように保持させた。その後、ビス1bを打ち込んで側面13を支持縦面部43に固定した。
そして、第3の工程として、前記軒樋1の開放上面を覆うようにカバー材3を臨ませ、その上端(固着部33)を、前記樋受け材4"に設けた被固着部45にビス(固着具)3bにて固着すると共に、その下端に設けた係合部32を、前記軒樋1の軒先端に設けた係合受部121に係合させた。
【0048】
この第3実施例の樋受け構造は、その換気効果についてもほぼ同様の効果を奏することができる。即ち軒樋1の建築物側の側面13の支持受部131を、取付面5Aに固定した樋受け材4"の下方保持部422'に取り付け、樋受け材4"の支持横面部42'に設けた換気用開口部421'(及び網状材4C)から通孔441を通って上下方向に換気を行うので、室内側への空気の取り入れ、室外側への排気を容易に行うことができる。
なお、図中に点線の白抜き矢印で、室内側への空気の取り入れを示しているが、吹き込み風が換気用開口部421'から取り入れられ、通孔441を通って換気の流路70へ導入されている状態が示されている。
【0049】
図4は、前述のように樋受け材4の換気用開口部421として用いる支持横面部42のバリエーションであって、該支持横面部42を下方から見た底面図である。これらの9a~9dは、それぞれ楕円状の孔90a~90dを所定間隔で形成したものである。