IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一三共ヘルスケア株式会社の特許一覧

特開2023-80246銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する組成物
<>
  • 特開-銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する組成物 図1
  • 特開-銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080246
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230601BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230601BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 31/30 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20230601BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q11/00
A61P1/02
A61K8/27
A61K8/36
A61K8/34
A61K31/045
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/20
A61K31/30
A61K33/30
A61K33/34
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065411
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021162530の分割
【原出願日】2017-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2016080445
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】横溝 敦志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大二朗
(57)【要約】
【課題】口臭及び歯周病の原因菌に対して有効であり、口臭及び/又は歯周病を予防又は改善することができる組成物を提供する。
【解決手段】銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する、Prevotella intermediaの殺菌又は増殖抑制のための抗菌剤。
【請求項2】
唾液分泌促進剤である、請求項1に記載の抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口臭及び歯周病の原因菌に対して有効であり、口臭及び/又は歯周病を、予防又は改善することができる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔から発せられる不快な臭いは、周囲の者を不快にさせるため社会的コミュニケーションの障害になる。そのため、口臭を低減することは全身の健康とともに良好な社会的コミュニケーションの維持にも繋がることから、口臭を低減する物質についてさまざまな観点から研究開発が行われてきた。
【0003】
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患である。歯周病は歯の喪失につながるばかりでなく、歯周病菌の飲み込みによる消化管への毒素の影響や腸内細菌叢の変化、更には、歯周組織から直接血液循環系に侵入して血管や各臓器に弊害を与えることが判っている。
【0004】
口臭の原因が口腔内による場合には、そのほとんどが、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドといった揮発性硫黄化合物(VSC)であることがよく知られている。このような揮発性硫黄化合物は、口腔内に棲息する嫌気性細菌の代謝によって産生される。特に、歯周病の病原菌でもある、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、タネレラ・フォーサイセンシス(Tannerella forsythensis)、カンピロバクター・レクタス(Campylobacter rectus)、トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)等の細菌が高いVSC産生能を有すると言われており、それゆえ歯周病患者の口腔からはとりわけ強い悪臭が発生する。
口臭の原因物質であるVSCは、唾液中のタンパクや脱落上皮細胞あるいは食物残渣に存在するシステインやメチオニンといった成分を基質として口腔内細菌が代謝を行う際に産生されるものであって、口臭を根本的に抑制するには、歯周病と同様に、口腔内細菌の殺菌又は増殖を抑制することが必要不可欠である。
【0005】
銅化合物や亜鉛化合物には殺菌作用を有することが知られ(特許文献1)、グルコン酸銅及び塩化亜鉛に、キサンタンガム又はヒドロキシエチルセルロースを含有した、収斂実感かつ曳糸性が改善された歯磨剤が知られている(特許文献2)。
【0006】
メントールについては、メントールを主成分とするハッカオイルなど、食品用の香料成分等を抗菌剤として使用する技術が開示されている。(特許文献3)。
【0007】
しかし、これまでに銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを組合せて使用することで飛躍的に口臭及び歯周病の原因菌の殺菌又は増殖を抑制できるということは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-001701号公報
【特許文献2】特開2011-105682号公報
【特許文献3】特開2004-018470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、口臭及び歯周病の発生原因である細菌について、殺菌又は菌の増殖を抑制することで、口臭及び/又は歯周病を、予防又は改善することができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を行う中で、銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールの組合せが優れた抗菌作用及び唾液分泌作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する、口臭又は/及び歯周病の、予防又は改善用組成物である。
【0011】
すなわち、本発明は下記(1)~(5)に関する。
(1)銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールを含有する、口腔用組成物。
(2)銅化合物が、硫酸銅、グルコン酸銅、銅クロロフィリンナトリウム、及び銅クロロフィルからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、(1)に記載の組成物。
(3)亜鉛化合物が、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、低温焼成酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、及びラウリン酸亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)銅化合物がグルコン酸銅であり、亜鉛化合物が塩化亜鉛である(1)に記載の組成物。
(5)口臭及び/又は歯周病の、予防又は改善に用いられる(1)乃至(4)のいずれか1に記載の組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた抗菌作用を有する口臭又は/及び歯周病の、予防又は改善用組成物を提供することができる。本発明の組成物により、口腔内の口臭及び歯周病の原因菌が殺菌又はその増殖が抑制されると共に、本発明の組成物による唾液分泌促進作用によって生じた唾液が、上記原因菌を殺菌又はその増殖を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】菌液のみの培養液(対照)、菌液に対してグルコン酸銅0.001%、塩化亜鉛0.01%、又はL-メントール0.001%をそれぞれ添加したもの、グルコン酸銅0.001%及び塩化亜鉛0.01%を添加したもの、グルコン酸銅0.001%及び塩化亜鉛0.01%に更にL-メントール0.001%となるように被験物質を添加した培養液を24時間培養した際の菌の濃度を示す。
図2】媒体のみ(対照)、グルコン酸銅と塩化亜鉛を含有する投与液、グルコン酸銅及び塩化亜鉛に更にL-メントールを含有する投与液の投与後、それぞれ30分間の総唾液分泌量の結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「予防」とは、口臭及び歯周病の原因菌を殺菌又は菌の増殖を抑制することにより、口臭又は/及び歯周病の発症を防ぐことを意味する。
【0015】
本発明において、「改善」とは、口臭及び歯周病の原因菌を低減することにより、口臭又は/及び歯周病の症状を軽減することを意味する。
【0016】
本発明において用いられる「銅化合物」とは、銅の無機塩又は有機塩であり、医薬品・食品・化粧品原料に用いられるものであればよく、例えば、酸化銅、ホウ酸銅、炭酸銅、フッ化銅、ヨウ素酸銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、乳酸銅、酪酸銅、蟻酸銅、クエン酸銅、リン酸銅、グルコン酸銅、アスパラギン酸銅、グルタミン酸銅、プロピオン酸銅、シュウ酸銅、フィチン酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、コハク酸銅、マロン酸銅、マレイン酸銅、安息香酸銅、サリチル酸銅、フマル酸銅、グリセリン酸銅、グリセロリン酸銅、グリコール酸銅、ピコリン酸銅、アスコルビン酸銅、ビスグリシン酸銅、リシン酸銅、メチオニン酸銅、ピドロ酸銅、オレイン酸銅、ステアリン酸銅、ラウロイルサルコシン銅、フルオロケイ酸銅、フルオロホウ酸銅、ウンデシレン酸亜鉛、銅クロロフィリンナトリウム、又は銅クロロフィル等が挙げられ、好適には、硫酸銅、グルコン酸銅、銅クロロフィリンナトリウム、又は銅クロロフィルが挙げられ、より好適には、グルコン酸銅が挙げられる。
【0017】
本発明において用いられる「亜鉛化合物」とは、亜鉛の無機塩又は有機塩であり、医薬品・食品・化粧品原料に用いられるものであればよく、例えば、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酪酸亜鉛、蟻酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、フィチン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、コハク酸亜鉛、マロン酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フマル酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、ビスグリシン酸亜鉛、リシン酸亜鉛、メチオニン酸亜鉛、ピドロ酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウロイルサルコシン亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、フルオロホウ酸亜鉛、又はウンデシレン酸亜鉛等が挙げられ、好適には、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、低温焼成酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、又はラウリン酸亜鉛が挙げられ、より好適には、塩化亜鉛が挙げられる。
【0018】
本発明において用いられる「L-メントール」は、L-メントール単剤として用いてもよいし、L-メントールが含まれる清涼剤又は香料を用いてもよい。
本発明において用いられる上記の「銅化合物」、「亜鉛化合物」及び「L-メントール」は、医薬部外品、食品又は化粧品原料として市販されており、容易に入手でき、また、公知の方法で製造することもできる。
【0019】
本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品等として使用される。
【0020】
本発明の形態や、口腔への適用方法は特に限定されない。例えば、マウスウォッシュ(洗口剤)、練歯磨、液体歯磨、歯磨粉、ガム剤、トローチ剤、バッカル錠、歯肉付着性テープ製剤、口腔内用ゲル製剤、口腔内用軟膏、口腔内用スプレー剤、口腔内用パスタ剤、口腔内用ペースト剤、口腔用丸剤、口腔内用錠剤、口腔用散剤、口腔内用粉剤、口腔内用液剤、口腔内用懸濁剤、口腔内用乳剤、口腔内用顆粒剤、又は口腔内用カプセル剤などが挙げられる。好ましくは、マウスウォッシュ(洗口剤)、練歯磨、液体歯磨又は歯磨粉である。
【0021】
本発明における、銅化合物の組成物中の配合量は、好ましくは、0.001~10重量%であり、より好ましくは、0.01~1重量%である。
【0022】
本発明における、亜鉛化合物の組成物中の濃度は、好ましくは、0.001~1重量%であり、より好ましくは0.01~0.1重量%である。
【0023】
本発明における、L-メントールの組成物中の配合量は、好ましくは、0.001~5重量%であり、より好ましくは0.01~1重量%である。
【0024】
本発明において、銅化合物、亜鉛化合物、及びL-メントールは任意の比率で混合して使用することが出来る。
【0025】
本発明には、湿潤剤、pH調節剤、矯味剤、防腐剤、香料、可溶化剤等を適宜添加することができる。
【0026】
湿潤剤としては、医薬品・食品・化粧品原料として市販されているものであればよく、例えば、多価アルコール、さらに具体的にソルビット、グリセリン、濃グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、トレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解コラーゲン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して、必要に応じて配合することができる。
【0027】
本発明の歯周病又は口臭用組成物のpHは、4.5~8.0の範囲であるのが好ましい。本発明に使用しうるpH調整剤としては、例えばリン酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、酒石酸、酢酸又はこれらの塩、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して、必要に応じて配合することができる。
【0028】
矯味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、ハチミツ、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、キシリトール、イノシトール、D-ソルビトール、D-マンニトール、ラフィノース、ラクチュロース、ラクチトール、エリスリトール、還元パラチノース、パラチノース、パラチニット、アセスルファムK、マルトース、マルトシルトレハロース又はマルチトールが挙げられる。これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0029】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン等のパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)類、フェノキシエタノール、エタノール等のアルコール類、あるいはソルビン酸、安息香酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸又はこれらの塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0030】
香料としては、例えば、L-メントール、ペパーミント、スペアミント又はフルーツ香料、ハッカ油等が挙げられる。香料は、唾液分泌を刺激するという利点も有する。これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0031】
可溶化剤は、本発明の主基剤である水への上記添加剤や薬効成分の溶解を促進させるために添加してもよい。そのような可溶化剤の例として、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0032】
その他、歯磨や軟膏の場合には研磨剤、発泡剤、粘稠剤が適宜使用される。
【0033】
本発明には、さらに抗菌剤、抗炎症剤、フッ化物、ビタミン剤、生薬エキス、歯垢分解酵素等の薬効成分を配合することができる。これらの薬効成分は、医薬品等に使用しうるものであれば特に限定されない。
【実施例0034】
以下に、実施例、製剤例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)口臭原因菌の増殖抑制試験
(1)被験物質
グルコン酸銅(以下、GCu)及び塩化亜鉛(以下、ZnCl2)は和光純薬工業製、L-メントール(以下、Men)は鈴木薄荷製のものを使用した。
(2)試験菌株
本試験には、口臭及び歯周病の原因菌としてよく知られているPrevotella intermedia ATCC 25611を使用した。
(3)試験方法:菌液調製
Prevotella intermediaはアネロコロンビアウサギ血液寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン)で35℃、48~72時間嫌気培養後、滅菌生理食塩液を用いて懸濁し、約3.0×108 CFU/mLの菌液を調製した。さらにGAM brothを用いて約107 CFU/mLとなるように菌液を調製した。
(4)試験方法:試験液調製
グルコン酸銅、塩化亜鉛、L-メントールの被験物質を各終濃度となるように培地にて調製し、この9.9 容に対してPrevotella intermediaの菌液を各0.1容添加して試験液を調製した。これを35℃、嫌気条件下で24時間培養を行った後、1mLあたりの生菌数(CFU/mL)を測定した。
(5)試験結果
各被験物質及び対照(菌液のみ)の生菌数測定結果を、それぞれ表1及び図1に示す。表1及び図1より、グルコン酸銅(GCu)、塩化亜鉛(ZnCl2)及びL-メントール(Men)を併用することで口臭及び歯周病の原因菌に対して優れた抗菌作用が飛躍的に発現するという意外な結果が得られた。
【0036】
【表1】
【0037】
(実施例2)唾液分泌促進作用試験
(1)被験物質
グルコン酸銅及び塩化亜鉛は和光純薬工業製、L-メントールは鈴木薄荷製のものを使用した。
(2)使用動物
Slc:Wistar雄ラット[日本エスエルシー(株)]6週齢を購入し、検疫・馴化を行った。
(3)試験方法
検疫・馴化期間(7日間)を終了したラットをウレタン(1g/kg)及びα-クロラロース(25mg/kg)を腹腔内投与し麻酔を行い、気道確保のために気管カニューレを実施し、投与液の胃内流入を防ぐため、食道を縫合糸で結紮した。
次に、グルコン酸銅4mg/mL及び塩化亜鉛10mg/mLの混合物を媒体(4%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液:CMC水溶液と称す)を用いて調製した被験物質投与液をマイクロピペットで口腔内に100μL投与した。
同様にして、グルコン酸銅4mg/mL、塩化亜鉛10mg/mL、及びL-メントール10mg/mLの混合物を媒体(4%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液:CMC水溶液と称す)を用いて調製した被験物質投与液を、マイクロピペットで口腔内に100μL投与した。
なお、対照として、媒体(4%CMC水溶液)を口腔内に、被験物質と同量(100μL)を投与した。
媒体又は被験物質投与10分後に、風袋重量測定済みの綿球を用いて、口腔内の媒体又は投与液を拭い取った。拭き取り後の重量から風袋と媒体又は被験物質投与液の重量を差し引いて、投与中の唾液分泌量を概算した。
口腔内の媒体又は投与液を拭い取った直後に、口腔内に風袋重量測定済みの綿球を入れた。いずれの群についても、10分ごとに綿球を交換し、交換後の重量との差し引きで唾液分泌量を測定した。測定は30分後まで実施した。
(4)試験結果
各被験物質及び対照(媒体)投与から30分間の総唾液分泌量の測定結果(いずれもn=6)を、それぞれ表2及び図2に示す。
表2及び図2より、グルコン酸銅、塩化亜鉛及びL-メントールを併用することで対照と比較して約400倍もの優れた唾液分泌促進作用が発現するという意外な結果が得られた。
【0038】
【表2】
【0039】
(製剤例1,2,3,4,5)歯磨剤
表3の成分及び分量をとり、常法に従ってペースト状の歯磨剤を製造する。
【0040】
【表3】
【0041】
(製剤例6,7,8,9,10)洗口液
表4の成分及び分量をとり、常法に従って洗口液を製造する。
【0042】
【表4】
【0043】
(製剤例11)口腔内用軟膏
表5の成分及び分量をとり、常法に従って口腔内用軟膏を製造する。
【0044】
【表5】
【0045】
(製剤例12)トローチ剤
表6の成分及び分量をとり、日局製剤総則「トローチ剤」の項に準じてトローチ剤を製造する。
【0046】
【表6】
【0047】
(製剤例13)口腔内用錠剤
表7の成分及び分量をとり、日局製剤総則「口腔用錠剤」の項に準じて口腔内用錠剤を
製造する。
【0048】
【表7】
図1
図2