(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080274
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】流体の閉鎖式移送のためのシステム用コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065674
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2019538522の分割
【原出願日】2018-01-15
(31)【優先権主張番号】62/447,046
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローリー サンダース
(57)【要約】
【課題】第1の容器から第2の容器への流体移送中に漏れ止めシール作用を提供する。
【解決手段】流体の閉鎖式移送のためのシステムは、シリンジアダプタであって、第1の端部および第2の端部を有し、第2の端部はハウジング内に位置決めされるカニューレと、ハウジング内に位置決めされ、ハウジング内で移動可能であり、膜およびコレットを含むシール配置とを含む、シリンジアダプタを含む。ハウジングは長手方向軸に対して横断する開口部を画定し、システムはハウジングの開口部において移動可能に位置決めされたロック機構であって開口部を有するロック機構と、膜を含む第2の構成要素とを含む。コレットは、ロック機構の開口部を通って延びるようにハウジング内を移動可能であるロックインターフェースを備える。第2の構成要素は、シール配置の膜が第2の構成要素の膜と係合するようにシリンジアダプタによって受け入れられるように構成される。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の閉鎖式移送のためのシステムであって、
シリンジアダプタであって、
第1の端部および第2の端部を有するハウジングであって、前記ハウジングの前記第1の端部は第1の容器に固定されるように構成され、前記ハウジングの長手方向軸に対して横断する開口部を画定する、ハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部において移動可能に位置決めされたロック機構であって、第1の端部、第2の端部、および該第1の端部と該第2の端部との間の開口部を画定する、ロック機構と、
第1の端部および第2の端部を有するカニューレであって、前記カニューレの前記第2の端部は前記ハウジング内に位置決めされる、カニューレと、
前記ハウジング内に位置決めされ、前記ハウジング内で移動可能であるシール配置であって、前記シール配置は、膜とコレットとを備え、前記コレットは、
前記膜を受け入れる通路と、
ロックインターフェースであって、前記コレットは、前記ロックインターフェースが前記ロック機構の前記開口部を通って延びるように前記ハウジング内を移動可能である、ロックインターフェースと
を画定する本体を備える、シール配置と
を備える、シリンジアダプタと、
膜を備える第2の構成要素であって、前記シール配置の前記膜が前記第2の構成要素の前記膜と係合するように前記シリンジアダプタによって受け入れられるように構成される、第2の構成要素と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記第1の端部が前記ハウジングから突起する第1の位置から、前記第2の端部が前記ハウジングから突起する第2の位置まで移動可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記第2の位置にあり、前記コレットは、前記ハウジング内を移動することを妨げられる請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ロック機構の前記第1の端部は、インジケータを含む前記ロック機構の前記第2の端部の視覚に関するインジケータと異なる視覚に関するインジケータを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ロック機構は、前記ハウジングと係合する前記第1の端部と前記第2の端部との間に複数の保持部分を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コレットは、前記本体に連結されたロッキング部材を含み、前記ロッキング部材は、前記第2の構成要素と解放可能に連結されるように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロッキング部材は、前記ロッキング部材の径方向外側への移動が制限されるように、前記第2の構成要素の一部分と係合する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロッキング部材は、弓形状にされ、弾性であり、前記ロッキング部材は、複数のアームによって前記本体に連結される請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の構成要素は、第1の端部および第2の端部を有する患者コネクタを備え、前記患者コネクタは、通路を画定する本体を有し、前記患者コネクタの前記第2の端部は、患者IVラインに固定されるように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コレットの前記通路は、前記シール配置の前記膜と係合し、圧縮するように構成された狭小部分を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハウジング内に配置されたコレット駆動部材をさらに備え、前記コレット駆動部材は、前記コレットの位置を前記ハウジングの前記第2の端部に向けて付勢するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コレット駆動部材は、ばねである請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングの前記第1の端部は、ルアーコネクタを含む請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体の閉鎖式移送のためのシステムに関する。より詳細には、本開示は、第1の容器から第2の容器への流体移送中に漏れ止めシール作用を提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2017年1月17日出願の米国特許仮出願第62/447,046号の優先権を主張するものである。
【0003】
がん治療薬剤などの危険な薬物を再構成し、輸送し、投与する医療提供者は、これらの薬剤への露出というリスクにさらされ、医療環境において重大な危険を有する可能性がある。たとえば、がん患者を治療する看護師は、化学療法薬およびその有毒作用にさらされるリスクを有する。意図せず化学療法薬にさらされると、神経系に影響が及び、生殖器系を損ない、将来的に血液がんを発症するリスクの増大をもたらす可能性がある。有毒薬物にさらされる医療提供者のリスクを低減するために、これらの薬物の閉鎖式移送が重要になってきている。
【0004】
いくつかの薬物は、これらが投与される前に溶解または希釈されなければならず、これは、針を用いて、1つの容器から、粉末または液体の形の薬物を含むシールされたバイアルに溶剤を移送することを伴う。薬物は、バイアルからの針の引き出し中、およびバイアルの内部と周囲の大気との間に圧力差が存在する場合に針がバイアルの内側にある間、ガスの形でまたはエアロゾル化によって気付かないうちに大気に放出されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0297454号明細書
【発明の概要】
【0006】
1つの態様では、流体の閉鎖式移送のためのシステムは、シリンジアダプタであって、第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部は第1の容器に固定されるように構成される、ハウジングと、第1の端部および第2の端部を有し、第2の端部はハウジング内に位置決めされる、カニューレと、ハウジング内に位置決めされ、ハウジング内で移動可能であり、膜を含む、シール配置とを含む、シリンジアダプタを含む。システムは、膜およびロッキング機構を含む第2の構成要素を含む。第2の構成要素は、シール配置の膜が第2の構成要素の膜と係合するようにシリンジアダプタによって受け入れられるように構成される。ロッキング機構は、付勢部材と、付勢部材上に位置決めされた係合部材とを含み、係合部材は、第2の構成要素がシリンジアダプタによって受け入れられたとき、シリンジアダプタのハウジングの一部分と係合して第2の構成要素をシリンジアダプタに固定するように構成される。
【0007】
ロッキング機構の付勢部材は、カンチレバーアームであってよく、係合部材は、第2の構成要素から径方向外側に延びる突出部であってよく、突出部は、シリンジアダプタへの第2の構成要素の挿入中、ハウジングの一部分と係合してカンチレバーアームによって径方向内側に付勢されるように構成される。突出部は、第2の構成要素がシリンジアダプタに完全に挿入されて第2の構成要素をシリンジアダプタに固定したときに非付勢位置に戻るように構成される。シール配置は、第1の端部および第2の端部を有するコレットを含むことができ、コレットの少なくとも一部分は、ハウジング内に受け入れられる。コレットは、本体と、本体に連結されたロッキング部材とを含むことができ、本体は、シール配置の膜を受け入れる通路を画定する。コレットは、ロッキング部材が開いて対合コネクタを受け入れる第1の位置から、ロッキング部材の径方向外側への移動が制限される第2の位置に移動可能になり得る。第2の構成要素は、コレットのロッキング部材を受け入れ、係合するように構成されたコレットインターフェース表面を含むことができる。ロッキング部材は、弓形状にされ、弾性であってよく、ロッキング部材は、複数のアームによって本体に連結される。第2の構成要素は、第1の端部および第2の端部を有する患者コネクタであってよく、患者コネクタは、通路を画定する本体を有し、患者コネクタの第2の端部は、患者IVラインに固定されるように構成される。
【0008】
さらなる態様では、流体の閉鎖式移送のためのシステムは、シリンジアダプタであって、第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部は第1の容器に固定されるように構成される、ハウジングと、第1の端部および第2の端部を有し、第2の端部はハウジング内に位置決めされる、カニューレと、ハウジング内に位置決めされ、ハウジング内で移動可能であり、膜を含む、シール配置とを含む、シリンジアダプタを含む。システムは、膜および連結部材を有する第2の構成要素を含み、第2の構成要素は、シール配置の膜が第2の構成要素の膜と係合するようにシリンジアダプタによって受け入れられるように構成される。連結部材は、第2の構成要素がシリンジアダプタによって受け入れられたとき、シリンジアダプタのハウジングの一部分と係合して第2の構成要素をシリンジアダプタに固定するように構成される。
【0009】
連結部材は、第2の構成要素から径方向外側に延びる突出部であってよく、突出部は、第2の構成要素がシリンジアダプタによって受け入れられたとき、シリンジアダプタのハウジングの凹状部分によって受け入れられて第2の構成要素をシリンジアダプタに固定する。突出部は、半球状であってよい。突出部は、半球状の離間された複数の突出部であってよい。シール配置は、第1の端部および第2の端部を有するコレットであってよく、コレットの少なくとも一部分は、ハウジング内に受け入れられ、コレットは、本体と、本体に連結されたロッキング部材とを含む。コレットの本体は、シール配置の膜を受け入れる通路を画定する。コレットは、ロッキング部材が開いて対合コネクタを受け入れる第1の位置から、ロッキング部材の径方向外側への移動が制限される第2の位置に移動可能になり得る。第2の構成要素は、コレットのロッキング部材を受け入れ、これと係合するように構成されたコレットインターフェース表面であってよい。ロッキング部材は、弓形状にされ、弾性であってよく、ロッキング部材は、複数のアームによって本体に連結される。第2の構成要素は、第1の端部および第2の端部を有する患者コネクタであってよく、患者コネクタは、通路を画定する本体を有し、患者コネクタの第2の端部は、患者IVラインに固定されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上記で述べた他の特徴および利点、ならびにこれらを達成する方法は、添付の図を併用して本開示の態様の以下の説明を参照することにより、より明らかになり、開示自体もより良好に理解されるであろう。
【
図1】本発明の1つの態様によるシリンジアダプタの断面図である。
【
図2】本発明の1つの態様によるシリンジアダプタの断面図である。
【
図3】本発明の1つの態様によるコレットの斜視図である。
【
図5】本発明の1つの態様による流体の閉鎖式移送のためのシステムの正面図である。
【
図7A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図8A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図9A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図10A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図11A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図12A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図13A】本発明の1つの態様による第1の膜の正面図である。
【
図14A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図15A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図16A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図17A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図18A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図19A】本発明の1つの態様による第2の膜の正面図である。
【
図20】本発明の1つの態様による流体の閉鎖式移送のためのシステムの正面図である。
【
図22】本発明の1つの態様によるシリンジアダプタの断面図である。
【
図23】本発明の1つの態様によるシリンジアダプタの断面図である。
【
図24】本発明の1つの態様によるシリンジアダプタの正面図である。
【
図25】本発明の1つの態様による流体の閉鎖式移送のためのシステムの正面図である。
【
図27】シリンジアダプタに固定された患者コネクタを示す、
図25のシステムの断面図である。
【
図28】本発明の1つの態様による
図25の患者コネクタの上面図である。
【
図29】シリンジアダプタに固定された患者コネクタを示す、
図25のシステムの拡大断面図である。
【
図30】本発明の1つの態様による流体の閉鎖式移送のためのシステムの斜視図である。
【
図32】ロック機構がロック解除位置にある状態でシリンジアダプタに固定された患者コネクタを示す、
図30のシステムの断面図である。
【
図33】ロック機構がロック位置にある状態でシリンジアダプタに固定された患者コネクタを示す、
図30のシステムの斜視図である。
【
図34】ロック機構がロック位置にある状態でシリンジアダプタに固定された患者コネクタを示す、
図30のシステムの断面図である。
【
図35】本発明の1つの態様による
図30のシステムの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
対応する参照記号は、複数の図にわたって対応する部分を示す。本明細書に記載する例証は、本開示の例示的な態様を示すものであり、そのような例証は、本開示の範囲をいかなる形においても限定すると解釈されるものではない。
【0012】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された、説明する態様を当業者が作製し、使用できるように提供される。しかし、さまざまな改変形態、等価物、変形形態、および代替策が、依然として当業者に明らかであろう。あらゆるすべてのそのような改変形態、変形形態、等価物、および代替策は、本発明の趣旨および範囲内に入るように意図される。
【0013】
これ以後の説明のために、用語「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」、およびこれらの派生語は、これが図内に配向されるように本発明に関連付けるものとする。しかし、そうではないと明らかに明示される場合を除き、本発明がさまざまな代替の変形形態をとり得ることを理解されたい。また、添付の図に示し、以下の明細書において説明する特有の装置は、本発明の例示的な態様にすぎないことも理解されたい。故に、本明細書に開示する態様に関連付けられる特有の寸法および他の物理的特徴は、限定的であると解釈されるものではない。
【0014】
図1を参照すれば、本発明の1つの態様によるシリンジアダプタ12が、示される。シリンジアダプタ12は、流体の閉鎖式移送のためのシステムの1つの構成要素である。特に、シリンジアダプタ12は、シリンジ(図示せず)を別の医療装置または流体容器に連結するように構成される。医療装置は、たとえば、患者ライン、バイアルアダプタ、流体容器または注入アダプタであることができる。他の例では、容器は、医療バイアル、シリンジバレル、IVバッグ、または患者に投与される流体を保持するための同様の容器であることができる。シリンジアダプタ12は、シリンジと医療装置または流体容器との間の流体の閉鎖式移送を容易にするために使用され得る。シリンジアダプタ12は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、特許文献1に図示され、説明されたシリンジアダプタと同様のものであり、これと同様の方法で作動する。
【0015】
図1を再度参照すれば、シリンジアダプタ12は、第1の端部18および第2の端部20を有し、内部空間22を画定する、ハウジング16を含む。シリンジアダプタ12のハウジング16の第1の端部18は、通路26を画定する、雌型ルアーコネクタなどのシリンジ取付具24を含む。雌型ルアーコネクタはシリンジ(図示せず)の対応する雄型ルアーコネクタと連結するように示されているが、他の適切な連結配置が、シリンジ、容器、または任意の他の医療装置との連結のために利用されてよい。遠位端部30を有するカニューレ28が、シリンジ取付具24に固定され、シリンジ取付具24の通路26と流体連通している。シリンジアダプタ12は、シリンジアダプタ12のハウジング16内に位置決めされたシール配置をさらに含む。シール配置は、第1の膜34を受け入れるコレット32を含む。コレット32は、以下でより詳細に論じるようにシリンジアダプタ12のハウジング16の内部空間22内で移動するように構成される。シリンジアダプタ12のハウジング16は、ユーザによるシリンジアダプタ12の把持を強化するための構造を含むことができる。追加的または代替的な把持構造および表面が、ユーザがシリンジアダプタ12の本体を把持することを助けるために設けられ得る。
【0016】
シリンジアダプタ12は、シリンジアダプタ12のハウジング16の第1の端部18と第2の端部20との中間に位置決めされた第1の連結インターフェース36を含み、この第1の連結インターフェースは、シリンジアダプタ12のハウジング16内の横断方向開口部40内に受け入れられるロック部材38を含む。ロック部材38は、閉位置と開位置との間を移動するように構成される。ロック部材38は、シリンジアダプタ12の長手方向に延びるカンチレバーばね46をさらに含む。ロック部材38は、シリンジアダプタ12のハウジング16から径方向外側に延びるカム表面と係合するように構成される。特に、ロック部材38は、閉位置で設けられるように構成され、この位置では、ロック部材38の中央開口部に隣接するロック部材38の一部分は、シリンジアダプタ12の内部空間22内に位置決めされており、このときロック部材38に外部力はかけられていない。ロック部材38が、ロック部材38の中央開口部がシリンジアダプタ12の内部空間22と位置合わせされるか、または内部空間22内に挿入された物体に対する干渉または障壁を作りださない開位置に移動されたとき、カンチレバーばね46は、カム表面と係合してロック部材38を閉位置に向けて戻すように促す付勢力を作りだす。それにしたがって、ロック部材38が開位置に移動されたとき、ロック部材38は、閉位置に戻るように促され、このときロック部材38上に作用する外部力は解放される。ロック部材38は、カンチレバーばね46と共に示されているが、それだけに限定されないが、圧縮ばね、延長ばね、エラストマー材料などを含む任意の他の適切な付勢部材が、設けられてよい。
【0017】
図1および3を参照すれば、コレット32は、第1の端部54および第2の端部56を備えた本体52を有する。本体52は、本体52を通って延びる通路58を画定する。本体52は、全体的に円筒状であるが、他の適切な形状のコレットが利用されてよい。コレット32は、コレット32の本体52に連結されたロッキング部材60をさらに含む。コレット32は、ロッキング部材60が開いて患者コネクタなどの対合コネクタを受け入れる第1の位置から、ロッキング部材60の径方向外側への移動が制限される第2の位置に移動可能である。ロッキング部材60は、複数のアーム62によって本体52に連結される。ロッキング部材60は、弓状であり、複数のアーム62によってロッキング部材60を本体52に連結した結果、弾性となる。より詳細には、複数のアーム62は可撓性であり、ロッキング部材60が径方向外側にまたは径方向内側に延びることを可能にする。1つの態様では、ロッキング部材60は、患者コネクタなどの対合コネクタがロッキング部材60に挿入されたときに径方向外側に拡張し、その後、コレット32が第1の位置から第2の位置に移行されるときに径方向内側に移動するように構成される。あるいは、ロッキング部材60は、対合コネクタがロッキング部材60に挿入されたときに径方向の内側にも外側にも移動しなくてよく、その後、コレット32が第1の位置から第2の位置に移行されるときに径方向内側に移動してよい。シリンジアダプタ12のハウジング16の第2の端部20は、内部空間22に隣接して、コレット32が第1の位置にあるときにロッキング部材60を受け入れる環状凹部64を画定する。ハウジング16の環状凹部64は、ロッキング部材60が径方向外側に拡張するための空間を提供する。コレット32が第1の位置から第2の位置に移行されるとき、コレット32は、シリンジアダプタ12の第1の端部18に向かって軸方向に移動し、このときロッキング部材60は、ロッキング部材60とシリンジアダプタ12のハウジング16との係合によって径方向内側に付勢されている。
【0018】
図3に示すように、コレット32のロッキング部材60は、コレット32の長手方向軸に対して垂直の方向に延びる開口部66の対を画定する。開口部66は、ロッキング部材60を2つの弓状部分に2分割し、これらの弓状部分は、2本のアーム62によってコレット32の本体52に各々連結されている。しかし、コレット32およびロッキング部材60に関する他の適切な配置および形状が、利用されてよい。コレット32のロッキング部材60は、複数のアーム62に対して径方向内側におよび径方向外側に突起する。
【0019】
図1および3を再度参照すると、コレット32の本体52は、シリンジアダプタ12の第1の連結インターフェース36と対合し、これによってロックするように構成された第2の連結インターフェース70を含む。第2の連結インターフェース70は、コレット32の本体52によって画定される。コレット32の第1の端部54は、第1の連結インターフェース36のロック部材38が開位置にあるときにシリンジアダプタ12の内部空間22内に受け入れられ、ロック部材38が閉位置にあるときにシリンジアダプタ12の内部空間22内で移動することが制限されるように構成される。第2の連結インターフェース70が第1の連結インターフェース36と完全に対合されたとき、第1の連結インターフェース36のロック部材38は、閉位置になるように構成され、それによって第1の連結インターフェース36を、第2の連結インターフェース70に対して長手方向および横断方向に移動しないようにロックするが、これに対する回転移動は依然として可能にする。
【0020】
図1を参照すれば、コレット32の本体52の通路58は、第1の座ぐり68と、第1の座ぐり68の反対側に位置決めされた第2の座ぐり74と、第1の座ぐり68と第2の座ぐり74との間に位置決めされた中間部分76とを含む。
【0021】
図3を参照すれば、コレット32の本体はまた、第1の端部54と第2の端部56との中間に位置決めされた複数のリブ78も含む。リブ78は長手方向に延びるが、他の適切な構成が利用されてよい。複数の凹部80が、隣り合うリブ78間に位置決めされる。
【0022】
図2~6を参照すれば、本発明の1つの態様では、コレット32の本体の通路58は、第1の膜34の一部分を圧縮するように構成された狭小部分79を含む。1つの態様では、コレット32の本体52の通路58の中間部分76は、狭小部分79を含む。通路58の狭小部分79は、通路58の中間部分76の残りの部分より小さい直径を有する。
【0023】
図2および6を参照すれば、第1の膜34は、第1の端部84および第2の端部86を有する本体82を含む。第1の膜34の本体82の第1の端部84および第2の端部86は、第1のヘッド部分88および第2のヘッド部分90をそれぞれ含む。第1の膜34の本体82は、本体82の第1の端部84から第2の端部86に向かって延びる通路92を画定する。通路92は、本体82の第1の端部84と第2の端部86との中間の位置で終端する。第1の膜34の本体82はまた、第1の端部84と第2の端部86との中間に位置決めされた環状凹状部分87を画定する。第1の膜34の本体82は、コレット32の通路58によって受け入れられ、コレット32に固定される。第1の膜34の第1のヘッド部分88は、コレット32の第1の座ぐり68と係合する。第2のヘッド部分90は、コレット32の本体52の通路58を超えて延び、このとき第2のヘッド部分90はコレット32の本体52と係合している。第1の部材34の環状凹状部分87は、コレット32の中間部分76によって受け入れられ、このとき狭小部分79は第1の部材34の環状凹状部分87と係合し、これを圧縮している。
【0024】
第2のヘッド部分90は凸状表面を画定するが、以下でさらに詳細に論じるように、他の適切な膜配置が設けられてよい。コレット32が第1の位置にあるとき、カニューレ28は第1の膜34の通路92内に受け入れられ、このときカニューレ28の遠位端部30は通路92内に位置決めされている。カニューレ28の遠位端部30は、コレット32が第1の位置から第2の位置に移行されたとき、第1の膜34を貫通し、第1の膜34を通って延びるように構成される。第1の膜34は、シリンジアダプタ12の使用中、カニューレ28の中間部分と係合し、これをシールするように構成されて、対合構成要素とのシールされた漏れの無い連結を維持する。
【0025】
使用中、患者コネクタ96、バイアルアダプタ、またはIVバッグスパイクからの第2の膜94などの対応する膜による第1の膜34の係合時、コレット32は、シリンジアダプタ12の第1の端部18に向かって移動し、第1の位置から第2の位置に移行するように構成され、それによってカニューレ28の遠位端部30は第1の膜34を貫通して、シリンジアダプタ12と、シリンジアダプタ12に固定された対応する装置とを流体連通させる。コレット32が第1の位置に戻されたとき、第1の膜34は、対応する膜から係合解除され、それによってカニューレ28の遠位端部30をコレット32および第1の膜34の通路58、92内に位置決めすることができる。そのような配置は、カニューレ28の遠位端部30を遮蔽して偶発的な針の突き刺しを防止し、シリンジアダプタ12を使用しているときの流体の移送中のいかなる流体の漏れも防止する。
【0026】
図5および6を参照すれば、患者コネクタ96は、第1の端部104および第2の端部106を有し、これらを通って延びる通路108を画定する、本体102を含む。患者コネクタ96の第1の端部104はまた、コレットインターフェース110も含む。コレットインターフェース110は、患者コネクタ96の本体102の一部分によって画定され、この部分は、患者コネクタ96の本体102の第1の端部104に対して凹状にされている。患者コネクタ96の本体102の第1の端部104は、第2の膜94を受け入れる膜シート112も含む。シリンジアダプタ12に関連して上記で論じたように、患者コネクタ96の第2の膜94は、シリンジアダプタ12の第1の膜34と係合し、流体移送中、シリンジアダプタ12との実質的に漏れの無い連結を提供する。患者コネクタ96の第2の端部106は、雄型ルアーコネクタなどのIVライン取付具を含むが、任意の他の適切な連結配置が利用されてよい。
【0027】
図2および6を参照すれば、上記で論じたように、コレット32の本体52の通路の狭小部分79は、第1の膜34を圧縮する。特に、狭小部分79は、第1の膜34の環状凹状部分89を圧縮する。シリンジアダプタ10の使用中、第1の膜34上に作用する背圧が、第1の膜34をコレット32から離す可能性がある。狭小部分79は、コレット32と第1の膜34との間に追加の圧縮をかけることによって背圧抵抗特徴として作用する。
【0028】
図7A~13Bを参照すれば、第1の膜34のさらなる態様が示される。特に、第1の膜34に関するさまざまな形状、構成、および空洞が、利用されてよい。
図7A~13Bに示す幾何学的形状は、対合構成要素に押し込まれるか、または引き込まれ、二次組み立てプロセスまたは複合部材ハウジングの必要無しに保持され得る。第1の膜の通路92は、さまざまな形状、長さ、幅、および構成を含むことができる。さらに、
図12~13Bに示すように、第1の膜34の第1の端部84は、ヘッド部分または径方向部分を含まなくてよい。
【0029】
図14~19Bを参照すれば、第2の膜94のさらなる態様が示される。特に、第2の膜94に関するさまざまな形状および構成が、利用されてよい。
図17Aおよび17Bに示すように、第2の膜94は、環状凹部98を含むことができる。
【0030】
図21~24を参照すれば、本発明のさらなる態様によるシリンジアダプタ120および患者コネクタ122が、示される。シリンジアダプタ120は、
図1に示すシリンジアダプタ12と同様であり、同様の方法で作動する。しかし、
図21~24のシリンジアダプタ120および患者コネクタ122は、異なる連結配置を含む。特に、第1の連結インターフェース36および第2の連結インターフェース70を提供するのではなく、患者コネクタ122は、付勢部材126と、付勢部材126上に位置決めされた係合部材128とを有するロッキング機構124を含む。係合部材128は、患者コネクタ122がシリンジアダプタ120によって受け入れられたとき、シリンジアダプタ120のハウジング16の一部分と係合して、患者コネクタ122をシリンジアダプタ120に固定するように構成される。ロッキング機構124は、患者コネクタ122と連結して示されているが、ロッキング機構124は、それだけに限定されないが、バイアルアダプタ、注入アダプタなどを含む流体の閉鎖式移送のためのシステムの任意の適切な構成要素上に設けられてよい。
【0031】
ロッキング機構124の付勢部材126は、カンチレバーアームであるが、他の適切な付勢配置が利用されてよい。係合部材128は、患者コネクタ122から径方向外側に延びる突出部であるが、他の適切な突出部が利用されてよい。係合部材128は、シリンジアダプタ120への患者コネクタ122の挿入中、シリンジアダプタ120のハウジング16の一部分と係合して、係合部材128をカンチレバーアームによって径方向内側に付勢するように構成される。係合部材128はまた、患者コネクタ122がシリンジアダプタ120に完全に挿入されて患者コネクタ122をシリンジアダプタ120に固定したとき、非付勢位置に戻るように構成される。それにしたがって、シリンジアダプタ120のハウジング16への患者コネクタ122の挿入時、付勢部材126は、係合部材128とシリンジアダプタ120のハウジング16との係合によって径方向内側に偏向される。完全に挿入された後、付勢部材126は非付勢位置に戻り、このとき係合部材128は、コレット32を患者コネクタ122のコレットインターフェース110に係合させた状態で患者コネクタ122をシリンジアダプタ120内に保持している。患者コネクタ122を取り外すために、ユーザは、シリンジアダプタ120から離れる方向に軸方向力を患者コネクタ122にかけ、それにより、付勢部材126は再度、係合部材128とシリンジアダプタ120のハウジング16との係合によって、係合部材128が軸方向に変位されてシリンジアダプタ120のハウジング16を超えるまで、径方向内側に偏向される。コレット32もまた、シリンジアダプタ12に関連して上記で論じたのと同じ方法で患者コネクタ122から解放されることになる。
【0032】
図21および23を参照すれば、シリンジアダプタ120はまた、コレット32をシリンジアダプタ120の第2の端部20に向けて付勢してコレット32を第1の位置に維持するように構成されたコレット駆動部材132を含むことができる。シリンジアダプタ120は、シリンジアダプタ12に関連して上記で論じたのと同じ方法で作動するが、コレット駆動部材132は、シリンジアダプタ120が患者コネクタ122などの対合コネクタと対合されたとき、ユーザがコレット駆動部材132の付勢力に打ち勝ってコレット32を第1の位置から第2の位置に移動させることを必要とする。コレット駆動部材132はばねであってよいが、他の適切な付勢配置が利用されてよい。さらに、
図21~23に示すように、コレット32は、第1の座ぐり68を含まなくてよく、このときコレットの第1の端部54は平面状表面134を画定する。
【0033】
図25~29を参照すれば、本発明のさらなる態様によるシリンジアダプタ150および患者コネクタ152が、示される。シリンジアダプタ150は、
図1に示すシリンジアダプタ12と同様であり、同様の方法で作動する。しかし、
図25~29のシリンジアダプタ150および患者コネクタ152は、異なる連結配置を含む。特に、第1の連結インターフェース36および第2の連結インターフェース70を提供するのではなく、患者コネクタ152は、連結部材154を含む。連結部材154は、患者コネクタ152がシリンジアダプタ150によって受け入れられたとき、シリンジアダプタ150のハウジング16の一部分と係合して患者コネクタ152をシリンジアダプタ150に固定するように構成される。連結部材154は患者コネクタ152と共に示されているが、連結部材154は、それだけ限定されないが、バイアルアダプタ、注入アダプタなどを含む、流体の閉鎖式移送のためのシステムの任意の適切な構成要素上に設けられてよい。
【0034】
連結部材154は、患者コネクタ152から径方向外側に延びる突出部である。連結部材154は、患者コネクタ152がシリンジアダプタ150によって受け入れられたとき、シリンジアダプタ150のハウジング16の凹状部分156によって受け入れられて患者コネクタ152をシリンジアダプタ150に固定する。連結部材154は半球状であるが、他の適切な形状および構成が利用されてよい。
図28に示すように、3つの均等に離間された連結部材154が患者コネクタ152上に設けられるが、1つまたは複数の連結部材154が設けられてよい。シリンジアダプタ150のハウジング16への患者コネクタ152の挿入時、患者コネクタ152の第2の膜94はコレット32の第1の膜34と係合し、コレット32を、シリンジアダプタ12に関連して上記で説明したように第2の位置まで移動させる。しかし、
図27および29に示すように、コレット32が第2の位置に移行されたとき、連結部材154は、シリンジアダプタ150のハウジング16と係合し、ハウジング16の凹状部分156内に受け入れられて、患者コネクタ152をシリンジアダプタ150にさらに固定する。患者コネクタ152を取り外すために、ユーザは、シリンジアダプタ150から離れる方向に軸方向力を患者コネクタ152にかけ、それにより、連結部材154は、シリンジアダプタ150のハウジング16の凹状部分156から抜け出す。コレット32もまた、上記で論じたのと同じ方法で患者コネクタ152から解放されることになる。
【0035】
図30~35を参照すれば、本発明のさらなる態様によるシリンジアダプタ170および患者コネクタ172が、示される。シリンジアダプタ170は、
図1に示すシリンジアダプタ12と同様であり、同様の方法で作動する。しかし、
図25~29のシリンジアダプタ170は、異なる連結配置を含む。シリンジアダプタ170は、ロック解除位置(
図31および32に示す)とロック位置(
図33および34に示す)との間を移動可能なロック機構174を含む。コレット32は、コレット32が第2の位置にあり、ロック機構174がロック位置にあるときにロック機構174と係合するように構成されたロックインターフェース174を含む。ロック機構174は、コレット32が第2の位置にあり、ロック機構174がロック解除位置にあるときにロックインターフェース176から係合解除される。ロック機構174は、ユーザによってロック位置とロック解除位置との間を手動で移動可能であるが、他の適切な配置が利用されてよい。
【0036】
ロック機構174は、第1の端部178および第2の端部180を有し、コレット32を受け入れるように構成された開口部182を画定する。ロック機構174がロック解除位置にあるとき、ロック機構174の第1の端部178は、ハウジング16から突起し、ロック機構174の第2の端部180は、ハウジング16内に受け入れられる。ロック機構174がロック位置にあるとき、ロック機構174の第1の端部178はハウジング16内に受け入れられ、ロック機構174の第2の端部180はハウジング16から突起する。ロック機構の第2の端部180は、インジケータ184を含む。インジケータ184は、ロック機構174の残りの部分とは異なるロック機構174の色付けされた部分であってよい。色付けされた部分は、赤色などのドミナントカラーであってよい。ロック機構174は、シリンジアダプタ170のハウジング16の横断方向開口部40内に受け入れられ、ハウジング16と係合するロック機構174の第1の端部178と第2の端部180との中間に位置決めされたロック機構174の保持部分186によってハウジング16内に保持される。
【0037】
図32に示すように、患者コネクタ172が、コレット32を第2の位置に移動させてシリンジアダプタ170内に受け入れられたとき、コレット32は、ロック機構174の開口部182によって受け入れられる。コレット32および患者コネクタ172を第2の位置に維持するために、ロック機構174はロック位置に移行され、それにより、ロック機構174は、コレット32のロックインターフェース176と係合し、このときインジケータ184は、シリンジアダプタ170のロックされた状態の表示を提供している。
【0038】
本開示は、例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示を、この開示の趣旨および範囲内でさらに改変することができる。本出願は、したがって、その通常の原理を使用する本開示の任意の変形形態、使用、または適応を含むように意図される。さらに、本出願は、本開示からのそのような逸脱を、本開示が関係する技術分野における知られているか、または慣習的な実践の範囲内にあり、付属の特許請求の範囲の制限内に含まれるものとして含むように意図される。