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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008037
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】排水処理装置及び排水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20230101AFI20230112BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230112BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
C02F3/34 101B
C02F3/34 101A
C02F1/44 F
B01D65/02 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111277
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 亮
【テーマコード(参考)】
4D006
4D040
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA93
4D006JA31Z
4D006KA31
4D006KA43
4D006KB23
4D006KE21P
4D006KE23Q
4D006PA01
4D006PB08
4D006PC67
4D040BB07
4D040BB24
4D040BB63
(57)【要約】
【課題】本発明は硝化反応を効率的に実行することができる排水処理装置を提供する。
【解決手段】被処理水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸又は硝酸に変換する硝化反応と、硝化反応に基づいて生成された亜硝酸又は硝酸を無酸素状態において窒素に変換する脱窒反応と、を実行する排水処理装置10において、硝化反応及び脱窒反応が施された被処理水に含まれる固形分を分離除去する膜分離装置3と、被処理水を鉛直方向に関して上向きに移動し、膜分離装置3を洗浄する気泡を散気する散気装置4aと、被処理水を鉛直方向に関して上向きに移動し、膜分離装置3の周囲を通過する気泡を散気する散気装置4bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸又は硝酸に変換する硝化反応と、前記硝化反応に基づいて生成された亜硝酸又は硝酸を無酸素状態において窒素に変換する脱窒反応と、を実行する排水処理装置において、
前記硝化反応及び前記脱窒反応が施された排水に含まれる固形分を分離する膜分離装置と、
前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置を洗浄する気泡を散気する第1の散気手段と、
前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置の周囲を通過する気泡を散気する第2の散気手段と、を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記硝化反応を実行する硝化反応領域及び前記脱窒反応を実行する脱窒反応領域を区分する区分手段を備え、
前記第2の散気手段から散気された気泡は前記区分手段に衝突することを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記区分手段は、湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項2記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記区分手段は、鉛直方向に関して傾斜していることを特徴とする請求項2記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記区分手段は、前記排水処理装置に設定されている最高水位及び最低水位の間に位置する一端部、並びに、前記排水処理装置の底部近傍に位置する他端部を有し、
前記他端部に囲まれた面積は、前記一端部に囲まれた面積の125%以上350%以下であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記脱窒反応を実行する脱窒反応領域は前記硝化反応を実行する硝化反応領域の50体積%以上200体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記脱窒反応を実行する脱窒反応領域は前記排水処理装置の内壁から前記区分手段に対して突出する整流部材を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の排水処理装置。
【請求項8】
排水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸又は硝酸に変換する硝化反応と、前記硝化反応に基づいて生成された亜硝酸又は硝酸を無酸素状態において窒素に変換する脱窒反応と、を実行するとともに、前記硝化反応及び前記脱窒反応が施された排水に含まれる固形分を分離除去する膜分離装置を備える排水処理装置によって実行される排水処理方法において、
前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置を洗浄する気泡を散気する第1の散気ステップと、
前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置の周囲を通過する気泡を散気する第2の散気ステップと、を有することを特徴とする排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理装置及び排水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応と、亜硝酸や硝酸を無酸素状態で窒素に変換する脱窒反応と、を単一の反応槽で実行する排水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の排水処理装置において、反応槽は、硝化反応を実行する硝化反応領域と、脱窒反応を実行する脱窒反応領域と、に区分する仕切板を備え、硝化反応領域は硝化反応及び脱窒反応が実行された汚水(以下、「処理済水」という。)に含まれる固形分を分離除去する膜分離装置と、膜分離装置の表面を洗浄し又は硝化反応に必要な空気を供給するための気泡を散気する散気装置と、を有する。
【0003】
汚水の水位が仕切板の上端よりも高いとき、汚水は仕切板を越流して硝化反応領域から脱窒反応領域に移動するとともに、脱窒反応領域から硝化反応領域に戻る。これにより、仕切板の周囲を循環する循環流が形成される。したがって、硝化反応領域において生成された亜硝酸や硝酸は脱窒反応領域に移動し、脱窒反応領域において窒素に変換される。一方、汚水の水位が仕切板の上端よりも低いとき、汚水は仕切板を越流しない。したがって、循環流は形成されず、硝化反応領域では亜硝酸や硝酸が生成され、脱窒反応領域では予め硝化反応領域から脱窒反応領域に移動した亜硝酸や硝酸が窒素に変換される。
【0004】
ところで、散気装置は、例えば、空気径20~500μmの微小な気泡を多量に硝化反応領域に供給する。硝化反応領域に散気された微小な気泡に含まれる酸素が汚水に溶解し、硝化反応に必要な溶存酸素濃度が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-103129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、散気装置は硝化反応領域に設置された膜分離装置に対して微小な気泡を散気するため、微小な気泡は膜分離装置を通過するに従って合体し、大きな気泡を形成する。大きな気泡は汚水に溶解しにくいため、硝化反応に必要な溶存酸素濃度が確保されず、硝化反応を効率的に実行することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、硝化反応を効率的に実行することができる排水処理装置及び排水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理装置は、排水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸又は硝酸に変換する硝化反応と、前記硝化反応に基づいて生成された亜硝酸又は硝酸を無酸素状態において窒素に変換する脱窒反応と、を実行する排水処理装置において、前記硝化反応及び前記脱窒反応が施された排水に含まれる固形分を分離する膜分離装置と、前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置を洗浄する気泡を散気する第1の散気手段と、前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置の周囲を通過する気泡を散気する第2の散気手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の排水処理方法は、排水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸又は硝酸に変換する硝化反応と、前記硝化反応に基づいて生成された亜硝酸又は硝酸を無酸素状態において窒素に変換する脱窒反応と、を実行するとともに、前記硝化反応及び前記脱窒反応が施された排水に含まれる固形分を分離除去する膜分離装置を備える排水処理装置によって実行される排水処理方法において、前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置を洗浄する気泡を散気する第1の散気ステップと、前記排水を鉛直方向に関して上向きに移動し、前記膜分離装置の周囲を通過する気泡を散気する第2の散気ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硝化反応を効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る排水処理装置の構成を示す概略図である。
図2図1における仕切板の変形例を示す図であり、図2(a)は湾曲する仕切板を示す図であり、図2(b)は鉛直方向及び水平方向のいずれにも傾斜する仕切板を示す図である。
図3図1における反応槽の平面図である。
図4図3における散気装置を説明するために用いられる図であり、図4(a)は膜分離装置の直下に配置される散気装置を示し、図4(b)は膜分離装置の直下以外に配置される散気装置を示す。
図5図1の排水処理装置によって実行される排水処理の手順を示すフローチャートである。
図6図1の排水処理装置において循環流が形成されているときに脱窒反応領域において形成される旋回流を説明するために用いられる図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る排水処理装置10の構成を示す概略図である。
【0014】
図1の排水処理装置10は原水槽1、反応槽2、ポンプP1,P2、液面センサーLS、ブロワBを備え、反応槽2は膜分離装置3、散気装置4、仕切板5(区分手段)及び整流板6(整流部材)を有し、原水槽1及びポンプP1、ポンプP1及び液面センサーLS、ブロワB及び散気装置4、並びに、ポンプP2及び膜分離装置3が接続されている。
【0015】
原水槽1は反応槽2に供給するための被処理水を貯留する。反応槽2は原水槽1から供給された被処理水に、被処理水に含まれるアンモニアを酸素存在下において亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応及び亜硝酸や硝酸を無酸素状態で窒素に変換する脱窒反応を施す。硝化反応は微生物を含む有機汚泥(以下、「活性汚泥」という)である硝化菌によって実行され、脱窒反応は活性汚泥である脱窒菌によって実行される。反応槽2には原水槽1からの被処理水の供給を停止する最高水位HWL及び原水槽1からの被処理水の供給を開始する最低水位LWLが設定され、例えば、液面センサーLSが被処理水の水位に関して最低水位LWLを検出したとき、ポンプP1が駆動して原水槽1から反応槽2への被処理水の供給が開始され、液面センサーLSが被処理水の水位に関して最高水位HWLを検出したとき、ポンプP1が停止して原水槽1から反応槽2への被処理水の供給が停止される。
【0016】
反応槽2は仕切板5によって2つの領域に区分される。具体的に、仕切板5に囲まれ、被処理水に硝化反応を施す硝化反応領域D1と、仕切板5及び反応槽2の側壁に囲まれ、被処理水に脱窒反応を施す脱窒反応領域D2とに区分される。膜分離装置3及び散気装置4は硝化反応領域D1に配置され、散気装置4は膜分離装置3及び反応槽2の底部の間に配置される。整流板6は脱窒反応領域D2に配置され、反応槽2の側面から仕切板5に対して突出している。
【0017】
ポンプP2が駆動すると、硝化反応及び脱窒反応が施された処理済水は膜分離装置3を経由して反応槽2の槽外に排出される。膜分離装置3は、例えば、複数の中空糸膜から構成され、処理済水に含まれる固形分は膜分離装置3を経由するときに分離除去される。ブロワBは散気装置4に空気を供給し、散気装置4は、例えば、空気径20~500μmの微小な空気を多量に硝化反応領域D1に散気する。
【0018】
仕切板5の一端部(以下、「仕切板上端部5a」という。)は最高水位HWL及び最低水位LWLの間に位置し、仕切板5の他端部(以下、「仕切板下端部5b」という。)は反応槽2の底部近傍に位置する。被処理水の水位が最高水位HWL及び仕切板上端部5aの間にあるとき、被処理水は仕切板上端部5aを越流して硝化反応領域D1から脱窒反応領域D2に移動するとともに、仕切板下端部5b及び反応槽2の底部の間を経由して脱窒反応領域D2から硝化反応領域D1に戻る。これにより、仕切板5の周囲を循環する循環流が形成され、硝化反応領域D1では亜硝酸及び硝酸が硝化反応によって生成されるとともに、循環流によって脱窒反応領域D2に移動し、脱窒反応領域D2では窒素が脱窒反応領域D2に移動した亜硝酸及び硝酸に基づく脱窒反応によって生成される。
【0019】
被処理水の水位が最低水位LWL及び仕切板上端部5aの間にあるとき、循環流は形成されない。したがって、新たに硝化反応領域D1から脱窒反応領域D2に移動する亜硝酸及び硝酸はなく、硝化反応領域D1では亜硝酸及び硝酸が硝化反応によって生成され、脱窒反応領域D2では窒素が脱窒反応によって生成される。脱窒反応領域D2は硝化反応領域D1の50体積%以上200体積%以下、好ましくは75体積%以上150体積%以下であるのがよく、これにより、硝化反応及び脱窒反応のいずれも無駄なく実行される。
【0020】
仕切板5において、仕切板下端部5bに囲まれた面積は仕切板上端部5aに囲まれた面積よりも大きければよく、例えば、仕切板5は下端部5b側が反応槽2の槽壁方向に「く」の字型に屈曲する少なくとも1つの板状部材によって構成されている。なお、仕切板5は下端部5b側が反応槽2の槽壁方向に「ノ」の字型に湾曲する少なくとも1つの板状部材によって構成されてもよい(図2(a))。また、仕切板5は、例えば、鉛直方向及び水平方向のいずれにも傾斜する少なくとも1つの平板状部材によって錐台状に構成されてもよい(図2(b))。仕切板下端部5bに囲まれた面積は、仕切板上端部5aに囲まれた面積の125%以上350%以下、好ましくは150%以上300%以下であるのがよい。
【0021】
図3は、図1における反応槽2の平面図である。
【0022】
図3において、散気装置4は、膜分離装置3の直下に配置される散気装置4a(第1の散気手段、図4(a))、及び硝化反応領域D1における膜分離装置3の直下以外に配置される散気装置4b(第2の散気手段、図4(b))から構成される。散気装置4bの少なくとも1部は仕切板5の屈曲部の直下に配置される。散気装置4aが散気する気泡は被処理水を鉛直方向に関して上向きに移動し、膜分離装置3の表面に衝突する。これにより、膜分離装置3が洗浄され、中空糸膜のファウリングが抑制される。散気装置4bが散気する微小な気泡は仕切板5の下部に衝突するとともに被処理水を鉛直方向に関して上向きに移動し、膜分離装置3の表面に衝突することによる気泡合体が起こらずに被処理水と接触しながら水面から放出される。
【0023】
図5は、図1の排水処理装置10によって実行される排水処理の手順を示すフローチャートである。
【0024】
図5の排水処理(排水処理方法)において、まず、被処理水が原水槽1から反応槽2に供給され、反応槽2の被処理水の水位が最高水位HWLに到達したときにポンプP1が停止される(S1)。散気装置4a,4bは気泡を散気する(S2)。具体的に、散気装置4aは膜分離装置3に衝突して膜分離装置3を洗浄するための気泡を散気し(第1の散気ステップ)、散気装置4bは膜分離装置3の周囲を通過する微小な気泡を散気する(第2の散気ステップ)。これにより、硝化反応領域D1の被処理水は仕切板上端部を越流して脱窒反応領域D2に移動するとともに、仕切板下端部5b及び反応槽2の底部の間を経由して脱窒反応領域D2から硝化反応領域D1に戻り、仕切板5の周囲を循環する循環流が形成される(S3)。
【0025】
循環流が形成されているとき、硝化反応領域D1では被処理水に対して硝化反応が施され、脱窒反応領域D2では被処理水に対して脱窒反応が施される。これにより、処理済水が生成され、当該処理済水は膜分離装置3を経由して反応槽2の外部に排出される。処理済水が反応槽2の外部に排出されると、被処理水の水位は下降して仕切板上端部5a及び最低水位LWLの間に位置し、循環流は消滅する(S4)。
【0026】
循環流が形成されていないときも、また、硝化反応領域D1では被処理水に対して硝化反応が施され、脱窒反応領域D2では被処理水に対して脱窒反応が施され、処理済水は膜分離装置3を経由して反応槽2の外部に排出される(S5)。被処理水の水位は最低水位LWLに到達し、ポンプP1が駆動して新たな被処理水が原水槽1から反応槽2に供給され(S6)、本処理は終了する。
【0027】
図5の排水処理によれば、散気装置4aは膜分離装置3に衝突して膜分離装置3を洗浄するための気泡を散気し、散気装置4bは膜分離装置3の周囲を通過する微小な気泡を散気する(S2)。散気装置4aが散気する気泡は膜分離装置3を通過するに従って合体して気泡が巨大化するが、散気装置4bが散気する微小な気泡は合体することなく被処理水に接触するとともに、被処理水の水面から放出される。これにより、散気装置4bに基づく微小な気泡に含まれる酸素は十分に被処理水に溶解するので、硝化反応に必要な溶存酸素濃度が確保され、もって、硝化反応を効率的に実行することができる。また、散気装置4bに基づく微小な気泡に含まれる酸素が確実に被処理水に溶解するので、硝化反応に必要な溶存酸素濃度を迅速に確保することができ、もって、散気装置4に使用される消費電力を抑制することができる。
【0028】
本実施の形態において、仕切板5は単なる筒型形状でなく、仕切板下端部5bに囲まれた面積が仕切板上端部5aに囲まれた面積の125%以上350%以下に構成されている。これにより、仕切板5の周囲に形成される循環流の規模を、効率的な硝化反応及び脱窒反応を実行可能な程度に確保しつつ、硝化反応に必要な溶存酸素濃度を確保するために用いられる散気装置4bの設置スペースを確保することができる。また、仕切板下端部5b及び反応槽2の底部における隅部2a(図1)との間隔は仕切板が鉛直方向に沿って延伸する場合よりも狭いので、仕切板下端部5b及び隅部2aの間を通過する被処理水の流速がその場合よりも高速化する。これにより、脱窒菌は反応槽2の隅部に澱むことなく被処理水に分散されるので、効率的に脱窒反応が実行される。
【0029】
なお、被処理水には硝化反応及び脱窒反応を施さなければならないが、仕切板5が反応槽2に用いられると、硝化反応領域D1は拡大し、脱窒反応領域D2は縮小する虞がある。これに対応して、本実施の形態では、硝化反応及び脱窒反応が被処理水に適切に施されるために、これまでの実績に基づいて、脱窒反応領域は硝化反応領域の50体積%以上200体積%以下としている。
【0030】
ところで、本実施の形態において、脱窒反応領域D2は反応槽2の内壁から仕切板5に対して整流板6が突出している。具体的に、整流板6は仕切板5の下端部5bよりも上部に設置され、反応槽2の内壁から仕切板5の下部方向に突出している。整流板6は、例えば、矩形状の板であり、長辺の一端が反応槽2の内壁に固定されている。整流板6の長辺は、例えば、仕切板の横方向の幅の1/2~5/4であり、好ましくは3/4~1である。これにより、循環流が形成されているとき、旋回流が脱窒反応領域D2に発生し(図6)、脱窒菌は脱窒反応領域D2の被処理水に均一に混合されるので、効率的に脱窒反応を実行することができる。また、旋回流が脱窒反応領域D2に発生するので、脱窒反応領域D2の被処理水を撹拌するための撹拌機を脱窒反応領域D2に設置する必要がなく、無駄な消費電力が発生するのを防止することができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
10 排水処理装置
3 膜分離装置
4,4a,4b 散気装置
5 仕切板
図1
図2
図3
図4
図5
図6