(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008039
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】アイスディスペンサ
(51)【国際特許分類】
F25C 1/147 20180101AFI20230112BHJP
F25C 5/20 20180101ALI20230112BHJP
【FI】
F25C1/147 J
F25C5/20 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111279
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(57)【要約】
【課題】氷の放出操作に応じて定量の氷を放出可能なアイスディスペンサを提供する。
【解決手段】アイスディスペンサ10は、ストッカ22内に貯蔵される氷を攪拌するアジテータ28と、ストッカ22の氷流出口22aを開閉するシャッタ72aと、氷の放出操作を検出する放出操作スイッチ61と、コントロールボード50とを備え、放出操作が行われた場合に、ストッカ22内で攪拌した氷を外部に放出する。氷の攪拌中に外部への氷の放出を開始する場合は、アジテータ28の駆動状態を維持しつつシャッタ72aの駆動を開始し、シャッタ72aの駆動開始から1秒経過によって氷の放出を終了させる一方、アジテータ28の停止中に外部への氷の放出を開始する場合は、アジテータ28の駆動を開始しつつシャッタ72aの駆動を開始して、該シャッタ72aの駆動開始から1.3秒の経過によって氷の放出を終了させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッカ(22)内に貯蔵される氷を攪拌する攪拌部(28)と、前記ストッカ(22)の氷流出口(22a)を開閉するシャッタ(72a)と、氷の放出操作を検出する検出部(61)と、前記攪拌部(28)および前記シャッタ(72a)を動作制御する制御手段(50)とを備え、前記検出部(61)によって前記放出操作を検出した場合に、前記ストッカ(22)内で前記攪拌部(28)により攪拌した氷を、前記氷流出口(22a)を通じて外部に放出するアイスディスペンサにおいて、
前記攪拌部(28)の動作による氷の攪拌中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部(28)の駆動状態を維持しつつ前記シャッタ(72a)の駆動を開始して、該シャッタ(72a)の駆動開始から第1時間の経過によって氷の放出を終了させる一方、
前記攪拌部(28)の停止中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部(28)の駆動を開始しつつ前記シャッタ(72a)の駆動を開始して、該シャッタ(72a)の駆動開始から前記第1時間より長い第2時間の経過によって氷の放出を終了させる
ことを特徴とするアイスディスペンサ。
【請求項2】
ストッカ(22)内に貯蔵される氷を攪拌する攪拌部(28)と、前記ストッカ(22)の氷流出口(22a)を開閉するシャッタ(72a)と、氷の放出操作を検出する検出部(61)と、前記攪拌部(28)および前記シャッタ(72a)を動作制御する制御手段(50)とを備え、前記検出部(61)によって前記放出操作を検出した場合に、前記ストッカ(22)内で前記攪拌部(28)により攪拌した氷を、前記氷流出口(22a)を通じて外部に放出するアイスディスペンサにおいて、
前記攪拌部(28)の動作による氷の攪拌中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部(28)の駆動状態を維持しつつ前記シャッタ(72a)の駆動を開始して、該シャッタ(72a)の駆動開始から第1時間の経過によって氷の放出を終了させる一方、
前記攪拌部(28)の停止中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部(28)の駆動を開始し、遅延時間の経過後に前記シャッタ(72a)の駆動を開始して、該シャッタ(72a)の駆動開始から前記所定時間の経過によって氷の放出を終了させる
ことを特徴とするアイスディスペンサ。
【請求項3】
冷凍回路(18)の作用により冷却される冷凍ケーシング(20)と、氷を貯蔵するストッカ(22)と、前記冷凍ケーシング(20)に生成された氷を前記ストッカ(22)に移送するオーガ(24)とを備え、
前記攪拌部(28)は、前記ストッカ(22)の内部で回転するアジテータであり、
前記攪拌部(28)および前記オーガ(24)が、共通の回転駆動部(26)の駆動に応じて同軸で回転するように構成されている請求項1または2記載のアイスディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷放出操作に応じて氷を放出するアイスディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
製氷水から生成した氷をコップ等の容器に提供するアイスディスペンサが、レストラン等の飲食店において使用されている。一般的なアイスディスペンサは、冷凍回路、冷凍ケーシング、ストッカ(貯氷庫)、オーガ等が矩形箱状の筐体の内部に収容されており、冷凍回路の作用により冷凍ケーシングを冷却してその内面に氷を生成し、生成された氷をオーガによってストッカの内部空間に移送して貯留する。ストッカの前側には、客(アイスディスペンサの使用者)が用意した容器に向けて氷を放出する氷放出手段が設けられている。氷放出手段は、ストッカの前面に開口する氷流出口に連通する氷放出経路と、氷流出口を開閉するシャッタ等の開閉機構とを含むように構成されている。客は、氷放出手段の下方の受け取り位置に容器をセットし、アイスディスペンサの前面に設けられる操作ボタン等を操作することで、氷放出手段から容器内に氷を受け取ることができる。
【0003】
ストッカにおける氷を貯留する円柱状の内部空間には、氷を攪拌するアジテータが回転可能に設けられている。冷凍回路を作動する製氷運転中は、オーガの回転によって冷凍ケーシングからストッカの内部空間に氷を移送し、アジテータを回転させてストッカの内部空間での氷の連結を防ぎつつ貯氷量を増加させる。このようにアジテータは、製氷運転中にオーガと共に回転させるものであり、製氷モータの駆動に応じて回転するよう構成される(例えば、特許文献1)。
【0004】
客による操作ボタン等の操作に応じて氷を放出する場合、氷放出手段の開閉機構を駆動してストッカの氷流出口を開放するだけでは、氷流出口から氷が上手く流出しない。従って、氷流出口を開放する間、アジテータを回転させてストッカの内部空間に貯留されている氷を外周側に押し出すことで、氷流出口からの氷の流出を促すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のアイスディスペンサでは、製氷運転中に操作ボタン等が操作されると、アジテータは回転中であるためそのまま回転を維持させ、開閉機構のシャッタにより氷流出口を開放することで、氷を放出させ得る。しかし、製氷運転が行われていない状態で操作ボタン等が操作された場合には、停止しているアジテータを回転状態に移行させつつ、シャッタにより氷流出口を開放する必要がある。ここで、アジテータの停止状態から氷の放出制御を開始する場合、このアジテータの慣性モーメント等の影響により、アジテータの動き出しには時間を要する。従って、氷流出口の開放時間を一定にしても、製氷運転中であるか否か(アジテータの回転中であるか否か)によって放出される氷の量が変わり、客の容器に提供される氷の量にばらつきが生じる。
【0007】
そこで本発明は、従来のアイスディスペンサに内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、氷の放出操作に応じて定量の氷を放出可能なアイスディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
ストッカ内に貯蔵される氷を攪拌する攪拌部と、前記ストッカの氷流出口を開閉するシャッタと、氷の放出操作を検出する検出部と、前記攪拌部および前記シャッタを動作制御する制御手段とを備え、前記検出部によって前記放出操作を検出した場合に、前記ストッカ内で前記攪拌部により攪拌した氷を、前記氷流出口を通じて外部に放出するアイスディスペンサにおいて、
前記攪拌部の動作による氷の攪拌中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部の駆動状態を維持しつつ前記シャッタの駆動を開始して、該シャッタの駆動開始から第1時間の経過によって氷の放出を終了させる一方、
前記攪拌部の停止中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部の駆動を開始しつつ前記シャッタの駆動を開始して、該シャッタの駆動開始から前記第1時間より長い第2時間の経過によって氷の放出を終了させることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、攪拌部の停止中に氷の放出を開始する場合は、攪拌部による氷の攪拌中に氷の放出を開始する場合と比較して、攪拌部の動き出しに時間がかかる分、氷の放出量が少なくなり得る。従って、攪拌部の停止中に氷の放出を開始する場合のシャッタの開放時間を長くすることで、氷の放出を行うタイミングが攪拌部の動作中であるか否かに関わらず、定量の氷を放出させることができる。
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2に係る発明は、
ストッカ内に貯蔵される氷を攪拌する攪拌部と、前記ストッカの氷流出口を開閉するシャッタと、氷の放出操作を検出する検出部と、前記攪拌部および前記シャッタを動作制御する制御手段とを備え、前記検出部によって前記放出操作を検出した場合に、前記ストッカ内で前記攪拌部により攪拌した氷を、前記氷流出口を通じて外部に放出するアイスディスペンサにおいて、
前記攪拌部の動作による氷の攪拌中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部の駆動状態を維持しつつ前記シャッタの駆動を開始して、該シャッタの駆動開始から第1時間の経過によって氷の放出を終了させる一方、
前記攪拌部の停止中に外部への氷の放出を開始する場合には、該攪拌部の駆動を開始し、遅延時間の経過後に前記シャッタの駆動を開始して、該シャッタの駆動開始から前記所定時間の経過によって氷の放出を終了させることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、攪拌部の停止中に氷の放出を開始する場合は、攪拌部による氷の攪拌中に氷の放出を開始する場合と比較して、攪拌部の動き出しに時間がかかる分、氷の放出量が少なくなり得る。従って、攪拌部の停止中に氷の放出を開始する場合のシャッタの開放開始タイミングを遅らせることで、氷の放出を行うタイミングが攪拌部の動作中であるか否かに関わらず、定量の氷を放出させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、
冷凍回路の作用により冷却される冷凍ケーシングと、氷を貯蔵するストッカと、前記冷凍ケーシングに生成された氷を前記ストッカに移送するオーガとを備え、
前記攪拌部は、前記ストッカの内部で回転するアジテータであり、
前記攪拌部および前記オーガが、共通の回転駆動部の駆動に応じて同軸で回転するように構成されていることを要旨とする。
アイスディスペンサにおいて、攪拌部(アジテータ)およびオーガを回転させる回転駆動部を共通とする場合、攪拌部の停止中(すなわち回転駆動部の停止中)から氷の放出を開始すると、攪拌部、オーガおよび回転駆動部の慣性モーメントの影響により、攪拌部の動き出しに比較的長い時間を要することになる。従って、氷を放出する時間や放出開始タイミングを一定にすると、製氷運転中であるか否か(オーガ・攪拌部の回転中であるか否か)によって放出される氷の量が変わり、客の容器に提供される氷の量にばらつきが生じる。これに対し、請求項3に係る発明によれば、氷の放出を開始する際に、攪拌部による攪拌中であるか攪拌部の停止中であるかに応じて氷流出口の開放時間や開放タイミングを異ならせることで、常に定量の氷を放出させ得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るアイスディスペンサによれば、氷の放出操作に応じて定量の氷を放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1に係るアイスディスペンサを左上前方から見た斜視図である。
【
図2】筐体内部に配置されるストッカ、アジテータ、冷凍ケーシング、オーガ、製氷モータ等の位置関係を示す説明図である。
【
図3】アイスディスペンサにおける電気的な接続関係を示すブロック図である。
【
図4】コントロールボードが実行する氷の放出制御を示すフローチャートである。
【
図5】実施例2に係るアイスディスペンサにおけるコントロールボードが実行する氷の放出制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係るアイスディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、アイスディスペンサを手前側(前方)から見た状態を基準として、左右方向、上下方向および前後(手前・奥)方向を規定して説明する。
【実施例0014】
(アイスディスペンサ10の全体構成)
実施例1のアイスディスペンサ10は、
図1に示すように、外郭を構成する縦長矩形状の筐体12と、この筐体12の前面下部に位置するドレンパン14と、筐体12の前面におけるドレンパン14の上方位置に取り付けられるフロントパネル16とを備えている。筐体12の内側(機械室)には、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発管等からなる冷凍回路18(
図2で蒸発管を図示している)と、この冷凍回路18の蒸発管が外周面に巻回された円筒状の冷凍ケーシング20と、冷凍ケーシング20の上方に位置する円筒状のストッカ22と、冷凍ケーシング20の内側に回転可能に配置されたオーガ24と、オーガ24の駆動源である製氷モータ26(
図2参照)とが収容されている。
【0015】
また、ストッカ22の内側には、アジテータ(攪拌部)28が回転可能に配置されている。このアジテータ28は、ストッカ22の貯氷空間Sに貯留されている氷を攪拌して氷流出口22aから排出され易くするものである。ここで、アジテータ28は、オーガ24と共通の駆動源である前述の製氷モータ(回転駆動部)26の駆動により、オーガ24と同じ中心軸を基準とした回転動作を行うように構成されている。
【0016】
ストッカ22の前面側には、該ストッカ22の貯氷空間Sから開放状態の氷流出口22aを通じて流出した氷を外部(ドレンパン14上に載置される容器による氷の受け取り位置)に向けて放出する氷放出手段70が設けられている。氷放出手段70は、ストッカ22の氷流出口22aに連通する氷放出経路71と、ストッカ22の氷流出口22aを開閉する開閉機構72とを含むように構成されており、筐体12の前面より前側に張り出すように配設されている。氷放出経路71の下端は、下方(受け取り位置)に向けて開口する氷の出口(放出口73)となっている。なお、開閉機構72は、シャッタ72aと、これを駆動するソレノイド72bと、ソレノイド72bおよびシャッタ72aを連繋するリンク72cとで構成されている。
【0017】
(アイスディスペンサ10の電気的構成)
アイスディスペンサ10は、
図3に示すように、冷凍回路18や製氷モータ26や開閉機構72等の動作を制御するコントロールボード(制御基板、制御手段)50と、コントロールボート50に対して電気的に接続されたオペレーションボード60とを備えている。コントロールボード50はプロセッサ(CPU)を備え、ストッカ22の貯氷空間Sにおける貯氷量が基準以下の場合に、貯氷量を増やすための製氷運転を制御(第1の制御を実行)するように構成されている。この製氷運転では、冷凍回路18を作動して冷凍ケーシング20内に氷を生成すると共に、製氷モータ26を駆動してオーガ24を回転させ、当該オーガ24によって冷凍ケーシング20の内面に形成された氷を削り取って上方にあるストッカ22の貯氷空間Sへと移送し、貯留する。また、製氷運転では、製氷モータ26の駆動に応じてストッカ22の貯氷空間Sでアジテータ28を回転させる。
【0018】
オペレーションボード60は、フロントパネル16における操作盤30(
図1参照)の背後に重ねて配置されるスイッチ基板であり、その前面(図示せず)に押しボタン式の放出操作スイッチ(検出部)61が設けられている。なお、放出操作スイッチ61は、操作盤30の一部に設けられた放出操作部31と一対一で対応しており、アイスディスペンサ10の使用者が手指等によって放出操作部31を前から押圧する放出操作を行うと、オン(検出状態)になり、検出信号がコントロールボード50に入力されるようになっている。コントロールボード50は、この放出操作スイッチ61による放出操作の検出(検出信号の入力)に基づき、ストッカ22の氷流出口22aから氷を流出させて氷放出手段70を通じて外部(受け取り位置)に放出する放出制御(第2の制御、後述)を実行するように構成されている。
【0019】
また、オペレーションボード60には、コントロールボード50のCPUの制御に応じて点灯、点滅および消灯する放出報知LED62が設けられている。コントロールボード50のCPUは、放出操作スイッチ61の検出信号を入力してから氷の放出制御(後述)を終了するまでの間、放出報知LED62を点灯または点滅させるように制御を行う。この放出報知LED62の点灯・点滅は、操作盤30の前方から視認可能となっている。
【0020】
この他、アイスディスペンサ10は、
図3に示すように、製氷モータ26の回転数を検出する回転数検出手段75を備えており、当該回転数検出手段75がコントロールボード50と電気的に接続されている。コントロールボード50のCPUは、回転数検出手段75によって検出される製氷モータ26の回転数を記憶する回転数記憶手段としてのRAMを備えている。このRAMに記憶される回転数を、コントロールボード50のCPUが定期的に更新・判定し、回転数が負荷判定基準値を上回る場合(製氷モータ26の負荷が過剰である場合)には、製氷モータ26の回転を停止させ、エラー報知を開始させるように構成されている。また、このRAM(回転数記憶手段)の記憶内容(製氷モータ26の回転数)は、後述する氷の放出制御(
図4、ステップS103)においても参照される。
【0021】
(放出制御による具体的な制御タイミング)
次に、コントロールボード50のCPUが定期的に実行する処理である氷の放出制御について、
図4を参照しながら説明する。
【0022】
コントロールボード50のCPUは、放出制御において、先ず、放出操作(放出操作スイッチ61の検出)の受付禁止期間(無効期間)ではないか否かを判定する(ステップS101)。なお、受付禁止期間は、後述するステップS102で肯定判定した時に開始され、後述するステップS108の処理の終了に応じて終了する期間である。すなわち、受付禁止期間でなければ、製氷運転中(製氷モータ26の駆動期間中)であるか否かに関わらず、放出操作スイッチ61の検出有効期間(受付期間)に該当する。
【0023】
ステップS101で否定判定(NO)であれば、放出制御を終了する。一方、ステップS101で肯定判定(YES)であれば、放出操作スイッチ61の検出信号が入力されているか否か(すなわち、受付期間に放出操作部31が押圧操作されたか否か)を判定する(ステップS102)。そして、ステップS102で否定判定(NO)の場合(すなわち、放出操作部31が押圧操作されていない場合)は、放出制御を終了する。一方、ステップS102で肯定判定(YES)の場合(すなわち、受付期間において放出操作部31が押圧操作された場合)には、製氷モータ26の駆動期間中であるか否かを判定する(ステップS103)。また、ステップS102の肯定判定により、オペレーションボード60の放出報知LED62の点灯または点滅を開始させる。
【0024】
なお、コントロールボード50のCPUは、前述したRAM(回転数記憶手段)に記憶される製氷モータ26の回転数を参照し、この回転数がゼロであれば製氷モータ26の駆動期間ではない(停止中である)と判定し、1回以上であれば製氷モータ26の駆動期間(駆動中)であると判定する。例えば製氷運転の実行期間は、オーガ24およびアジテータ28を回転させる期間であり、製氷モータ26の駆動期間に該当する。この他、製氷運転の非実行中、アジテータ28を定期的に回転駆動してストッカ22の貯氷空間Sの氷を攪拌する場合等も、製氷モータ26の駆動期間に含まれる。
【0025】
ここで、実施例1のアイスディスペンサ10は、使用者による放出操作部31の押圧操作に応じて氷放出手段70から氷を放出するが、その際、ストッカ22の貯氷空間Sでアジテータ28を回転させつつ、該ストッカ22の氷流出口22aを開放する。この場合に、放出される氷が適量かつ定量となるように氷流出口22aの開放時間が調整されている(後述するステップS104,S106)。
【0026】
ステップS103で肯定判定(YES)、すなわち、受付期間かつ製氷モータ26の駆動期間において放出操作部31が押圧操作された場合には、製氷モータ26の駆動によって既にアジテータ28が回転している状態であるため、この製氷モータ26の駆動状態を維持しつつ、氷流出口22aの開放時間として、例えば1秒(第1時間)を設定し、その計測を開始する(ステップS104)。これに対し、ステップS103で否定判定(NO)、すなわち、受付期間かつ製氷モータ26の非駆動期間に放出操作部31が押圧操作された場合には、製氷モータ26が駆動停止しており、アジテータ28が回転していない状態であるため、製氷モータ26の駆動を開始させる(ステップS105)。前述のように、製氷モータ26は、オーガ24およびアジテータ28を回転させる駆動源であることから、製氷モータ26を駆動開始する場合、アジテータ28、オーガ24および製氷モータ26の慣性モーメントの影響によってアジテータ28の動き出しにある程度(例えば0.3秒程度)の時間を要し、この間は、ストッカ22の氷が貯氷空間Sの外周側(氷流出口22a側)に押し出され難い状態となる。そこで、駆動停止状態となっている製氷モータ26の駆動を開始する場合(ステップS105を経由する場合)は、氷流出口22aの開放時間として、前述した1秒(第1時間)よりも長い時間(例えば1.3秒)を設定し、その計測を開始する(ステップS106)。
【0027】
ステップS104またはステップS106で開放時間を設定した場合、開閉機構72(ソレノイド)の駆動を開始してシャッタ72aによる氷流出口22aの閉鎖を解除し、氷流出口22aを開放する(ステップS107)。この氷流出口22aの開放により、氷放出手段70(氷放出経路71)からの氷の放出が可能な状態となる。
【0028】
続くステップS108では、開放時間を計測し、当該開放時間が経過したところで、開閉機構72の駆動を終了することで氷流出口22aを閉鎖すると共に、(放出制御における)製氷モータ26の駆動を終了して、放出制御を終了する。なお、ステップS108では、氷放出手段70から氷を放出させる用途以外にアジテータ28を回転させる必要がない場合にのみ、製氷モータ26の駆動を停止させるようにする。すなわち、製氷運転中等の製氷モータ26の駆動期間中である場合には、製氷モータ26の駆動を継続させる。この他、ステップS108では、点灯状態または点滅状態となっている放出報知LED62を消灯状態に変更する。そして、ステップS108の終了により、放出制御を終了する。
【0029】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係るアイスディスペンサ10の作用について説明する。
【0030】
実施例1のアイスディスペンサ10は、ストッカ22の貯氷空間Sにおける貯氷量を増加させる場合に、コントロールボード(制御手段)50の制御に基づいて製氷運転(第1の制御)を実行する。この製氷運転でコントロールボード50は、冷凍回路18の作用によって冷凍ケーシング20内に氷を生成し、その生成した氷をオーガ24の回転(製氷モータ26の駆動)によってストッカ22に移送する。なお、ストッカ22の内部で回転して氷を攪拌するアジテータ28は、製氷モータ(回転駆動部)26によってオーガ24と同軸で回転駆動されるようになっているため、製氷運転時にはアジテータ28が回転する。
【0031】
また、アイスディスペンサ10は、氷放出手段70から氷を放出する場合に、コントロールボード50の制御に基づいて放出制御(第2の制御)を実行する。この放出制御でコントロールボード50は、シャッタ72a(開閉機構72)の駆動によってストッカ22の氷流出口22aを開放すると共に、製氷モータ26の駆動によってストッカ22の貯氷空間Sでアジテータ28を回転させて、氷流出口22aから氷を流出させて氷放出経路71を介して外部(容器内)に放出させる。
【0032】
アジテータ28による氷の攪拌中(製氷運転等の製氷モータ26の駆動中)にコントロールボード50が放出制御(氷の放出)を開始する場合には、既にアジテータ28が回転している状態であるため、このアジテータ28の回転状態(製氷モータ26の駆動状態)を維持しつつ、氷放出手段70におけるシャッタ72a(開閉機構72)の駆動(氷流出口22aの開放)を開始する。これに対し、コントロールボード50が放出制御を、アジテータ28の停止中(製氷モータ26の停止中)に開始する場合は、アジテータ28も停止しているため、アジテータ28の回転(製氷モータ26の駆動)を開始しつつ、シャッタ72a(開閉機構72)の駆動(氷流出口22aの開放)を開始する必要がある。ここで、放出制御の開始時にアジテータ28の回転を開始する場合、アジテータ28の動き出しにある程度(0.3秒程度)の時間がかかる。すなわち、開放時間を一定にすると、製氷モータの停止中に放出制御を開始する場合は、製氷モータの駆動中に放出制御を開始する場合と比較して氷の放出量が少なくなる。従って、アジテータ28の作動中(氷の攪拌中)かアジテータ28の停止中かに関わらず定量の氷を放出させるため、アジテータ28の作動中(製氷運転等)に放出制御を実行開始する場合はシャッタ72a(開閉機構72)の駆動開始から1秒の開放時間(第1時間)の経過によって放出制御を終了させる一方、アジテータ28の停止中に放出制御を実行開始する場合はシャッタ72a(開閉機構72)の駆動開始から1.3秒の開放時間(第1時間より長い第2時間)の経過によって放出制御を終了させる。このように、アジテータ28の停止中(製氷モータの停止中)に放出制御を開始する場合のシャッタ72aの開放時間(開閉機構72の駆動時間)を長くすることで、放出制御を行うタイミングが製氷モータの駆動中であるか否かに関わらず、定量の氷を放出させることができる。
前述の実施例1で説明したように、製氷モータ26の駆動によるアジテータ28の動き出しには時間を要し、ストッカ22の氷が貯氷空間Sの外周側(氷流出口22a側)に押し出され難い状態がある程度(例えば0.3秒程度)生じる。そこで、実施例2では、駆動停止状態となっている製氷モータ26の駆動を開始することでアジテータ28を回転開始する場合(ステップS205を経由する場合)は、0.3秒の遅延時間を設定し(ステップS2061)、この遅延時間の経過後に、氷流出口22aの開放時間(1秒)を設定する(ステップS2062)。すなわち、アジテータ28の停止(製氷モータ26の停止)中に放出操作部31が押圧操作されて放出操作スイッチ61の検出信号がコントロールボード50に入力されると、当該コントロールボード50は先ず、アジテータ28の回転(製氷モータ26の駆動)を開始するよう制御し、その0.3秒後(遅延時間の経過後)にシャッタ72a(開閉機構72)を駆動開始して氷流出口22aを開放する。そして、アジテータ28の回転(製氷モータ26の駆動)中に放出操作部31が押圧操作された場合と同じ開放時間(1秒)が経過すると、放出制御を終了する。ここで、放出操作部31が押圧操作されてから氷が放出されるまでに時間(遅延時間)がかかるので、客(アイスディスペンサ10の使用者)の不安を招く虞がある。これを防止するため、遅延時間の間も放出報知LED62を点灯状態または点滅状態とするようになっている。
実施例2のアイスディスペンサ10は、アジテータ28による氷の攪拌中(製氷運転等の製氷モータ26の駆動中)にコントロールボード50が放出制御(氷の放出)を開始する場合には、既にアジテータ28が回転している状態であるため、このアジテータ28の回転状態(製氷モータ26の駆動状態)を維持しつつ、氷放出手段70におけるシャッタ72a(開閉機構72)の駆動(氷流出口22aの開放)を開始する。これに対し、コントロールボード50が放出制御を、アジテータ28の停止中(製氷モータ26の停止中)に開始する場合は、アジテータ28も停止しているため、アジテータ28の回転(製氷モータ26の駆動)を開始しつつ、シャッタ72a(開閉機構72)の駆動(氷流出口22aの開放)を開始する必要がある。ここで、放出制御の開始時に製氷モータ26の駆動(アジテータ28の回転)を開始する場合、アジテータ28の動き出しにある程度(0.3秒程度)の時間がかかる。すなわち、開放時間を一定にすると、製氷モータの停止中に放出制御を開始する場合は、製氷モータの駆動中に放出制御を開始する場合と比較して氷の放出量が少なくなる。従って、アジテータ28の停止中(製氷モータの停止中)に放出制御を開始する場合のシャッタ72a(開閉機構72)の駆動開始タイミングを遅らせることで、放出制御を行うタイミングが製氷モータの駆動中であるか否かに関わらず、定量の氷を放出させることができる。