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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080399
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】廃棄物のリサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193723
(22)【出願日】2021-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】511088623
【氏名又は名称】株式会社ナフサ
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】菊池直也
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AC02
4F401BA01
4F401BA03
4F401BA09
4F401CA71
4F401CB02
4F401DA01
4F401DA15
(57)【要約】
【課題】
本発明は、廃棄物を有効に利用して製品を再生産が可能となり廃棄物を限りなく0とする目標を達成可能にするシステムや廃棄物を提供又は購入等により利用した需要者に対して有価価値等により還元を施すことが可能な循環型システムを提供することにある。
【解決手段】
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱と焼却して出る灰(アルカリ性の無機フィラー)を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置(15、17)と、蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路(S2)と、
ゴムの廃棄物、焼却灰を混合した原料又はゴムの原料を型に供給し、蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機(20)と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、
前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、
を備えたことを特徴とする廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項2】
前記熱プレス成型機によって使用した前記蒸気を回収する回収経路と、前記回収経路と接続され、前記蒸気を熱水に戻し一時貯留する還元タンクと、
前記還元タンクから前記蒸気発生装置に搬送し、前記熱水を再び蒸気に変換し、熱を前記蒸気によって回収する前記蒸気発生装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項3】
廃棄物を燃焼装置によって焼却することで燃焼後に残渣として出るアルカリ性の無機フィラーを前記熱プレス成型機に投入される原料と混練し、前記熱プレス成型機にて成形した前記成形品と、を備えたことを特徴とする請求項1及び請求項2の何れか一項に記載の廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項4】
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、
前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、
前記廃棄物を燃焼装置によって焼却することで燃焼時に発生する二酸化炭素を運ぶ経路と、
前記経路から前記二酸化炭素を供給して熱又は二酸化炭素を使用するリサイクル施設と、を備えたことを特徴とする廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項5】
ゴムの廃棄物を回収し、回収した数量に応じてポイントを付与するポイント付与システムと、
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、
ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、
前記熱プレスによって成形された製品を購入した際に、前記ポイントを有価価値に換算して製品の購入価格に反映させるポイント還元システムと、
を備えたことを特徴とする廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項6】
廃棄物を焼却することで炭化水素を発生させる燃焼装置と、
前記燃焼装置によって廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気と前記炭化水素を混合したガスを生成する混合装置と、
前記混合装置からの前記ガスを触媒に通過させて高い温度で反応させて水素を生成する反応装置と、
を備えたことを特徴とする廃棄物のリサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム等の廃棄物を燃焼し熱を回収するリサイクルシステムやゴム等の廃棄物をリサイクルし製品を製造するシステム及びこれらリサイクルした際にリサイクルした製品に対してポイントを付与し、そのポイントを付与した分を購入者へ有価価値等としてポイントを還元するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からタイヤを含めたゴム製品等の廃棄に大きな問題となっていた。タイヤを含む自動車部品の処分は環境汚染などの観点により、粗大ごみで捨てることができず、廃棄物処理法で適正処理困難物に指定されており、適切な方法で処分する必要があった。
また、自動車産業だけでなく他の産業から出るゴム製品の再利用や処分方法は様々な観点から技術開発による再利用や処分方法が模索されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、焼却処理装置10を既設の小型焼却処理場に構築するもので、高温焼却炉11を、従来の高炉と同様な高温で燃焼処理する炉を用い、処理する産廃の原料13として任意の建築廃材、ゴム・プラスチック廃棄物、一般の可燃ごみ等を用いる。前記高温焼却炉11から排出される焼却残灰は、無害化されたスラグ状のものとして排出されるので、前記排出物は敷地内に構築する縦孔を貯留場1に貯留し、少量ずつ排出される残灰が貯留場1に所定の量が溜まった時に、任意の目的に向けて供給するので、埋め立て処分する必要がなくなる廃棄物の処理方法が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、廃棄物10を焼却することで発生した熱を回収して発電又は熱利用を行うサーマルリサイクル設備100と、廃棄物20を化学工業原料及び燃料等の化学製品283としてリサイクルするケミカルリサイクル設備200と、サーマルリサイクル設備100において生成された電力又は熱のうち、サーマルリサイクル設備100において必要とされる電力又は熱を超える余剰電力又は余剰熱をケミカルリサイクル設備200に供給する供給経路30,40とを備えた廃棄物のリサイクルシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-81626号公報
【特許文献2】特開2003-97806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物を処理して利用する際にはゴム製品への再利用とする観点では考えられておらず、熱利用による発電等を行い事業所内の電力に利用する方法等しかとられていなかった。また、廃棄物を再利用した製品を購入したにも関わらず需要者に有価価値等による還元することができるシステムではなかった。
【0007】
本発明は、上記した何れかの課題を解決するために、廃棄物を有効に利用して製品を再生産が可能なシステムや廃棄物を提供又は購入等により利用した需要者に対して有価価値等により還元を施すことが可能なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、
前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物を燃焼させ、廃棄物の燃焼から生成した熱をゴムの成形品を成形する際に利用することによって、熱を有効に活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の廃棄物のリサイクルシステムの概要図である。
図2】実施形態のリサイクルシステムのゴム製品の製造装置の概要を示す概要図である。
図3】実施形態のポイントを付与及び還元するシステムの概要図である。
図4】実施形態のポイントを付与及び還元するシステムを管理するサーバー等に記憶されるデータの一例を示す図である。
図5】別の実施形態のリサイクルシステムの概要を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる廃棄物のリサイクルシステムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0012】
<リサイクルシステムの全体構成>
廃棄物のリサイクルシステム1の全体の構成について図1を参照し説明する。
図1に示すリサイクルシステム1は、製造メーカー5が中心となってリサイクルシステム1を構築し、運営するシステムの一例である。
【0013】
企業A3若しくは企業B7が廃棄したゴムの廃材2は、廃棄物回収業者若しくは製造メーカー5自らが回収したゴムの廃材2の中から加硫ゴムと未加硫ゴムに分別する。再生品として使用できる未加硫ゴムは原料として使用が可能であるので、ゴム錬り機31に掛けられ、蒸気プレス成型機20によって製品Bとして再製品化される。
【0014】
また、バリ、ランナー、不良品若しくはタイヤ等を含む使い古したゴム製品の廃材2は、蒸気ボイラー11の燃料として使用し、サーマルリサイクルとしての利用が可能である。
【0015】
<サーマルリサイクルシステム>
次に、サーマルリサイクルシステム10について図2を参照し説明する。
図2に示すサーマルリサイクルシステム10は、バリ、ランナー、不良品若しくはタイヤ等を含む使い古したゴム製品を蒸気ボイラー11の燃料として使用した一例である。
【0016】
蒸気ボイラー11は、バリ、ランナー、不良品若しくはタイヤ等を含む使い古したゴム製品の廃材2は廃棄ゴム材燃焼部13に送り込まれ(R1)、ガスや電気等の加熱によって1000℃から1500℃の温度帯で廃棄ゴム材燃焼部13により燃焼される。
廃棄ゴム材燃焼部13は、燃焼した際の熱を蒸気貯留水タンク15に熱を伝え、蒸気貯留水タンク15に貯留される水を蒸気出口17から0.4から1MPaであって144℃から180℃の温度の飽和蒸気S1を取り出している。最も最適な飽和蒸気S1は、0.65MPaであって165℃の温度が最も最適である。
【0017】
蒸気ボイラー11から発生した蒸気(S1)を搬送する蒸気搬送配管と接続されている蒸気プレス成型機20は、ゴム練り機31で混錬した原料をその型に送り込み、また蒸気ボイラー11に送られてきた飽和蒸気S1の熱で型を加熱し、プレス動作によって製品Bとなる成形品25を形成する。
【0018】
蒸気ボイラー11から接続されている蒸気プレス成型機20は、ゴム練り機31で混錬した原料をその型に送り込み(R3)、また蒸気ボイラー11に送られてきた飽和蒸気S1の熱で型を加熱し、プレス動作によって製品Bとなる成形品25を形成する。
また、成形品25のバリや不良品等は廃材2と同様に、廃棄ゴム材燃焼部13に送り込まれ(R4)、ガスや電気等の加熱によって1000℃から1500℃の温度帯で廃棄ゴム材燃焼部13により燃焼される。
【0019】
型を加熱する際にサーマルリサイクルと使用された蒸気又はドレイン(S2)は、回収配管を経由して一端還元貯留タンク21で冷却され熱水として貯留される。貯留された熱水(L1)は、サーマルリサイクルとして利用され熱水ポンプ23によって再び蒸気貯留水タンク15に送られ蒸気として排出される。
【0020】
このようにサーマルリサイクルシステム10は、回収した蒸気を再利用し、熱水に戻して蒸気を生成するため、蒸気を生成するまでの時間の短縮や熱水を利用した熱効率の向上を図ることが可能である。
尚、蒸気の有効活用は、蒸気プレス成型機20だけでなくバイナリー発電機やフラッシュ発電等の事業所内の電力の発電においても利用可能である。
【0021】
廃棄ゴム材燃焼部13は、高温で焼却しているが、焼却しきれずに残ったシリカ、炭酸カルシウム等のアルカリ性の無機フィラーは、ゴムの補強材として利用が可能であるので、ゴムの原料の一部としてゴム練り機31に送られる(R2)。ゴム練り機31で練った原料は、蒸気プレス機20に送られ(R3)、製品Bとして再利用される。このように、廃棄ゴム材燃焼部13から得られた無機フィラーまでもリサイクルすることによって、製品Bのリサイクル率を向上することが可能である。
シリカや炭酸カルシウム等のアルカリ性の無機フィラーは農業用の肥料としても活用することが可能である。
【0022】
また、蒸気ボイラー11の廃棄ゴム材燃焼部13又は蒸気を生成する蒸気発生部から発生するCO(C1)は、蒸気ボイラー11からの配管を通して植物育成施設又は温熱利用施設に送られ、土や空気中に供給され植物育成や温熱利用として活用が可能である。
【0023】
次に、ゴム製品をリサイクルした際にリサイクルした製品に対してポイントを付与し、そのポイントを付与した分を購入者へ有価価値等としてポイントを還元する還元システムについて図1図3及び図4を参照し説明する。
【0024】
図1は、製造メーカー5が主に製品をリサイクルした際にリサイクルした製品に対してポイントを付与し、そのポイントを付与した分を購入者へ有価価値等としてポイントを還元する還元システムを運用する一例を示している。
【0025】
企業A3若しくは企業B7が廃棄したゴムの廃材2は、廃棄物回収業者若しくは製造メーカー5自らが回収したゴムの廃材2の中から加硫ゴムと未加硫ゴムに分別する。再生品として使用できる未加硫ゴムは原料として使用が可能であるので、重量に応じたポイント(P2)を付与する。また、タイヤや製品化された加硫ゴムは、再生品として使用できないのでサーマルリサイクルとして蒸気ボイラー11の燃料として使用が可能であるので、重量に応じたポイント(P1)を付与する。
【0026】
上記したポイント(P)は、ゴム製品に再利用できない廃材2のポイント(P1)とゴム製品に再利用できる廃材2のポイント(P2)とで、同じ重量でも差を設けることも可能である。例えば、再利用できる廃材2のポイント(P2)は、再利用できない廃材2のポイント(P1)よりも1.5割増のポイントを自動的に付与することも可能である。
【0027】
また、ポイントの還元(K)は、ゴムの廃材2を廃棄した企業A3又は企業B7が製品を製造メーカー5に製造委託し、製品を受け取った際にポイントを還元し、通常の委託料よりもポイント分を差し引いた単価で販売しても良い。このように、リサイクルシステム1は、ポイントを有価価値として利用することが可能である。
【0028】
また、ホームセンター等に納めた商品を個人の顧客Aが、使い古した製品を廃材として持ち込んだ場合に、使い古した製品を回収し、リサイクルシステム1によって製造された新たな製品Bを購入した場合には、回収と同時にポイントを付与し、購入と同時にポイントを有価価値として顧客A9に還元する(K)。
【0029】
次に、図3は、ポイントを運営管理する際に、構築されるポイント運営管理システム40についての概念図である。
廃棄企業47は、廃材受け入れ所43に持ち込み、廃材受け入れ所43は、持ち込まれた廃材2を加硫ゴムと未加硫ゴムに分別する。廃材受け入れ所43は、未加硫ゴムと加硫ゴムの重量に応じたポイント(P1、P2)をインターネットEを経由してポイント管理サーバー49にデータとして記憶する。
【0030】
また上述したホームセンター等の販売店45も、 個人の顧客Aが、使い古した製品を廃材として持ち込んだ場合に、使い古した製品を回収し、リサイクルシステム1によって製造された新たな製品Bを購入した場合には、回収と同時にポイントを付与し、購入と同時にポイントを有価価値として顧客A9に還元する(K)。この回収によるポイント付与及びポイント還元は、販売店がインターネットEを経由し、ポイント管理サーバー49にアクセスし、ポイントの付与及び還元の操作をすることによってデータの管理が可能である。
【0031】
図4は、ポイントを付与及び還元を管理するポイント運営管理システム40のポイント管理サーバー49に記憶されるデータを一覧とした帳票50の一例を示す図である。
帳票50は、ユーザー名51、廃材2の受入日52、ポイントを付与した場合の付与分のポイント53、ポイントを付与した日時であるポイント付与日54、保有しているポイントを還元したポイント数を示すポイント還元55、ポイントを還元した還元日56及びポイントの残高を示すポイント残高57を示している。
【0032】
例えば、企業B7は、廃材2を2021年4月15日に持ち込み、2021年4月16日にポイント「2」が付与され、保有しているポイントの残高が「14」となっている。
【0033】
また、販売店45は、顧客Aがポイントを還元する商品を購入したので、顧客Aにポイント「0.1」を還元した単価で製品Bを販売する。また、顧客Aが使い古した製品Bを販売店45を経由し製造メーカー5に引き渡した際に、保有しているポイントから還元した分を差し引いたポイント「0.9」がポイント残高57に記載されている。
また、販売店45は、販売した製品Bの回収のみを行っても良く、回収した製品Bのポイントは、販売店45が管理し、顧客Aに他の製品の購入に際してもポイントを還元しても良い。
【0034】
また、企業A3は、廃材2を2021年4月10日に持ち込み、2021年4月11日にポイント「12」が付与され、保有しているポイントの残高が「25」となっている。また、企業A3は、製品Bを2021年5月7日に購入し、ポイント分の有価価値を差し引いた金額で購入したので、保有しているポイントの残高が「23」となっている。
以上のように、材料のリサイクル若しくはサーマルリサイクルによって製造された製品Bは、CO2削減等に貢献することが可能である。
【0035】
<サーマルリサイクルシステムの他の実施例>
次に、他のサーマルリサイクルシステム10について図5を参照し説明する。本実施例では上述した説明と同じ箇所には、同じ符号付して説明を省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0036】
図5に示すサーマルリサイクルシステム10は、バリ、ランナー、不良品若しくはタイヤ等を含む使い古したゴム製品を蒸気ボイラー11の燃料として使用した一例である。特に、図5に示すサーマルリサイクルシステム10は、水素製造装置60が付随している。
【0037】
水素製造装置60は、炭化水素と蒸気を混合する混合装置61、混合気体を反応させる反応装置62及び製造された水素を貯蔵する水素貯蔵タンク62を備えている。
【0038】
【化1】
【化2】





【0039】
上記に示す化学式(化1、化2)は、炭化水素を水蒸気により改質する水蒸気改質法によって水素を製造する際の化学式である。
サーマルリサイクルシステム10は、ゴム等を燃焼する際に発生するメタン等の炭化水素G1と蒸気ボイラー11の蒸気S3とを混合装置61にて、化1に示すある割合で混合し、混合したガスをNi系の触媒を充填した改質反応管を備えた反応装置62に流し、800℃前後の高温の条件に化2に示すように改質させたガスを回収し、水素を貯蔵タンク63に貯蔵する。また、800℃の熱は、廃棄ゴム材燃焼部13から熱を利用する構造であっても良い。
【0040】
上記のサーマルリサイクルシステム10は、廃材2を燃焼した際に発生するメタンガスG1や蒸気S3を生成する熱に転用することができるので、廃材2から水素を製造することが可能なためコストメリットやリサイクル率の向上等に大きく貢献することが可能である。
【0041】
本実施形態に示す上記したゴムは、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロブレンゴム(CR)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(SI)及びフッ素ゴム(FPM)等があるが、これらに限定されずゴム製品を製造する際に原料として再利用できるゴムやサーマールリサイクルすることができるゴム等であれば良く、特に限定するものではない。
【0042】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0043】
<第1の特徴点>
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置(例えば、主に主に蒸気貯留水タンク15、蒸気出口17)と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路(例えば、主に蒸気又はドレインS2を回収する回収配管)と、
前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機(例えば、主に蒸気プレス成型機20)と、
を備えたことを特徴とする。
【0044】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物を燃焼させ、廃棄物の燃焼から生成した熱をゴムの成形品を成形する際に利用することによって、熱を有効に活用することが可能である。
【0045】
<第2の特徴点>
前記熱プレス成型機によって使用した前記蒸気を回収する回収経路(例えば、主に蒸気S1を搬送する蒸気搬送配管)と、前記回収経路と接続され、前記蒸気を熱水に戻し一時貯留する還元タンク(例えば、主に蒸気S1を搬送する蒸気搬送配管)と、
前記還元タンクから前記蒸気発生装置に搬送し、前記熱水を再び蒸気に変換し、熱を前記蒸気によって回収する前記蒸気発生装置と、を備えたことを特徴とする。
【0046】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、蒸気を熱水として再利用することによって、水の削減となる。また熱水を利用することによってシステム全体において温度低下を防ぎ、熱を有効に利用することが可能である。
【0047】
<第3の特徴点>
廃棄物を燃焼装置(例えば、廃棄ゴム材燃焼部13)によって焼却することで燃焼後に残渣として出るアルカリ性の無機フィラーを前記熱プレス成型機に投入される原料と混練し、前記熱プレス成型機にて成形した前記成形品と、を備えたことを特徴とする。
【0048】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物を燃焼させることによって燃焼して残った残渣を再度リサイクルすることが可能であるので、資源として無駄なく活用することが可能である。
【0049】
<第4の特徴点>
廃棄物を燃焼装置(例えば、廃棄ゴム材燃焼部13)によって焼却することで燃焼時に発生する二酸化炭素を運ぶ経路と、前記経路から前記二酸化炭素を供給して熱又は二酸化炭素を使用するリサイクル施設(土等に二酸化炭素を供給して植物を育成する施設や熱を利用して温熱を利用する施設(ヒートポンプ等))と、を備えたことを特徴とする
【0050】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物を燃焼させることによって排出した二酸化炭素を資源(栄養素等)や熱源として無駄なく活用することが可能である。
【0051】
<第5の特徴点>
ゴムの廃棄物を回収し、回収した数量に応じてポイントを付与するポイント付与システム(例えば、ポイント運営管理システム40)と、
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置(例えば、主に主に蒸気貯留水タンク15、蒸気出口17)と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路(例えば、主に蒸気又はドレインS2を回収する回収配管)と、
ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機(例えば、主に蒸気プレス成型機20)と、
前記熱プレスによって成形された製品を購入した際に、前記ポイントを有価価値に換算して製品の購入価格に反映させるポイント還元システム(例えば、ポイント運営管理システム40)と、
を備えたことを特徴とする。
【0052】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、廃棄物をリサイクルすることによってポイントを付与して、有価価値に換算し、リサイクルによってできた製品を購入する際に還元することによって、廃棄物を有効活用しようとするリサイクルの意識が高まると共に、リサイクルをした際のメリットが有価価値として反映されるので、リサイクルによって製造された製品を購買使用とする意欲が増すことになる。
【0053】
<第6の特徴点>
廃棄物を焼却することで炭化水素を発生させる燃焼装置(例えば、廃棄ゴム材燃焼部13)と、
前記燃焼装置によって廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置(例えば、主に蒸気貯留水タンク15、蒸気出口17)と、
前記蒸気と前記炭化水素を混合したガスを生成する混合装置(例えば、主に混合装置61)と、
前記混合装置からの前記ガスを触媒に通過させて高い温度で反応させて水素を生成する反応装置(例えば、主に反応装置62)と、を備えたことを特徴とする。
【0054】
以上の特徴により、本発明の廃棄物のリサイクルシステムは、燃焼する際に発生する炭化水素と、燃焼した際の熱によって生成された蒸気とによって水素を作成し、自動車の燃料や産業資材として有効活用をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ゴムだけでプラスチック等の石油製品で製造された、リサイクルシステムにおいても応用が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…リサイクルシステム、10…サーマルリサイクルシステム、13…廃棄ゴム材燃焼部、
15…蒸気貯留水タンク、17…蒸気出口、20…蒸気プレス成型機、
40…ポイント運営管理システム、61…混合装置、62…反応装置。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
前記廃棄物を1000℃から1500℃の温度帯で燃焼する燃焼装置と、
前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、
前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して前記型を熱した熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、
前記熱プレス成型機によって使用した前記蒸気を回収する回収経路と、前記回収経路と接続され、前記蒸気を熱水に戻し一時貯留する還元部と、
前記還元部から前記蒸気発生装置に搬送し、前記熱水を受け入れる貯留部と、
前記熱水を再び蒸気に変換し、熱を前記蒸気によって回収する前記蒸気発生装置と、を備え、
前記燃焼装置と、前記蒸気発生装置及び前記貯留部とを装置として一体に設け、
を備えたことを特徴とする廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項2】
前記廃棄物を前記燃焼装置によって焼却することで燃焼後に残渣として残るアルカリ性の無機フィラーを前記熱プレス成型機に投入される原料と混練し、前記熱プレス成型機にて成形した前記成形品と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項3】
前記廃棄物を前記燃焼装置によって焼却することで燃焼時に発生する二酸化炭素を運ぶ経路と、
前記経路から前記二酸化炭素を供給し、前記二酸化炭素の熱又は前記二酸化炭素を使用するリサイクル施設と、
を備えたことを特徴とする請求項1及び請求項2の何れか一項に記載の廃棄物のリサイクルシステム。
【請求項4】
蒸気出口から0.4から1MPaであって144℃から180℃の温度の飽和蒸気を取出し前記熱プレス成型機に搬送することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の廃棄物のリサイクルシステム。