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特開2023-80404β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080404
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/13 20160101AFI20230602BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20230602BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230602BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230602BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230602BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230602BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230602BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20230602BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230602BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230602BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20230602BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A23L33/13
A61K31/706
A61P17/16
A61P3/00
A61K8/60
A61K8/24
A61K8/19
A61K8/23
A61Q19/08
A61Q19/00
A61P3/02
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193729
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】301049744
【氏名又は名称】日清ファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】中山 優也
(72)【発明者】
【氏名】浅田 憲一
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LE05
4B018MD01
4B018MD02
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD44
4B018ME10
4B018ME13
4C076AA12
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC21
4C076CC29
4C076CC40
4C076DD24Q
4C076DD25Q
4C076DD26Q
4C076FF63
4C076FF65
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB351
4C083AB352
4C083AB361
4C083AB362
4C083AD601
4C083AD602
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA03
4C086ZA89
4C086ZC21
(57)【要約】
【課題】β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの安定性を向上する。
【解決手段】β-ニコチンアミドモノヌクレオチドと、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸を含有する、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチドと、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸を含有する、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物。
【請求項2】
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩、炭酸塩又は硫酸塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素、リン酸一水素、リン酸、炭酸又は硫酸のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である、請求項1~3のいすれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素、リン酸一水素、リン酸、炭酸又は硫酸のナトリウム塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩の濃度が0.075mmol/L以上及び/又はリン酸濃度が3.75mmol/L以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を含有する、食品。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を含有する、医薬品。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を含有する、化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物に関する。
詳細には、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物において、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸を含有することで、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの分解を抑制し、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの安定性が向上した水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(β-Nicotinamide mononucleotide、NMN)は、生体内に広く分布する補酵素β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の中間代謝産物である。NAD+については、近年、老化現象に関わるサーチュイン(NAD+依存性脱アセチル化酵素)との関連が注目されている。老化に伴い細胞内のNAD+量およびサーチュイン活性は低下するが、細胞内のNAD+を増加させることで老化現象の抑制が可能であると考えられている。
【0003】
また、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドなどのNAD+中間代謝産物を生体内に補充することでサーチュインが再活性化することが知られている。
【0004】
そこで、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの持つ抗老化作用を、皮膚外用剤、化粧料、食品などの用途に利用することが検討されている。さらに、2020年の食薬区分改正においてβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドは「非医薬品リスト」に追加されたことから、今後、健康食品、サプリメントや医薬品等への利用の拡大が期待される。
【0005】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは水存在下では不安定であることが知られている。β-ニコチンアミドモノヌクレオチドは、水分、特に熱水に溶けやすく、水溶液中のような条件下でなくても、周囲の大気中に含まれる湿気によって加水分解を起こす可能性がある。
【0006】
特許文献1には、ニコチンアミドモノヌクレオチドと糖供与体とを含有する溶液に酵素を作用させて、ニコチンアミドモノヌクレオチドのリボース部分の2位、3位の水酸基、及びリン酸部分の水酸基の全部又は一部にグリコシル基を導入することにより、加水分解に対する安定性を向上させたニコチンアミドモノヌクレオチド誘導体が示されている。
【0007】
特許文献2には、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドとセルロースナノファイバーCNFを混合して、乳化した食品用水中油中水型のピッカリングエマルション(Pickering emulsion)が開示され、180日放置後に粒子凝集や沈殿が発生せず、安定性が良好であったことが示されているが、放置後のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの残存性については言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-137625号公報
【特許文献2】CN112806575
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らが、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの水中での安定性について研究し
たところ、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを水性媒体中で室温保存すると、経時的に分解し、14日程度でほぼすべて分解してしまうという問題があることが判明した。
【0010】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの加水分解に対する安定性を向上させるためには、従来、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを誘導体化することが必要とされており、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを誘導体化することなく水溶液中で安定化させることに関する情報は、これまで開示されていなかった。
【0011】
本発明の課題は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの安定性が向上された水性組成物を提供し、また、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを安定して含有する食品、医薬品、化粧料等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの水中での安定性について研究を続けた結果、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性媒体に、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸を含有させることで、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの経時的な分解を抑制しうることを見出した。
【0013】
したがって、上記の課題は、以下のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物及びそれを含有する食品、医薬品、化粧料によって、解決することができる。
(1)β-ニコチンアミドモノヌクレオチドと、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸を含有する、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物。
(2)リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩、炭酸塩又は硫酸塩である、(1)に記載の組成物。
(3)リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素、リン酸一水素、リン酸、炭酸又は硫酸のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である、(1)~(3)に記載の組成物。
(5)リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩が、リン酸二水素、リン酸一水素、リン酸、炭酸又は硫酸のナトリウム塩である、(1)~(4)に記載の組成物。
(6)リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸イオンの塩の濃度が0.075mmol/L以上及び/又はリン酸濃度が3.75mmol/L以上である、(1)~(5)に記載の組成物。
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を含有する、食品。
(8)(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を含有する、医薬品。
(9)(1)~(6)のいずれか1つに記載の組成物を含有する、化粧料。
【発明の効果】
【0014】
本発明のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩及び/又はリン酸塩を含有する、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物は、水性媒体中でのβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの分解が抑制され、含有するβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの量の低下を抑えることができるので、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する食品、医薬品、化粧料等の製造に適している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物の含有成分、配合量、p
H等について、以下に説明する。
【0016】
(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)
本発明で使用するβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドとしては特に制限はないが、様々な製品が市販されているので、これらの市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、洛陽華栄生物技術有限公司製の製品や、SyncoZymes製の製品等を挙げることができる。
本発明において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物中のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有量には特に制限はないが、好ましくは0.15~375mmol/L、より好ましくは1.5~37.5mmol/L程度の濃度範囲のものが使用される。
【0017】
(リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩)
本発明で使用するリン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩の無機酸イオンの種類としては、例えば、リン酸二水素イオン(H2PO4 -)、リン酸一水素イオン(HPO4 2-)、リン酸イオン(PO4 3-)、炭酸水素イオン(HCO3 -)、炭酸イオン(CO3 2-)、硫酸水素イオン(HSO4 -)、硫酸イオン(SO4 2-)、チオ硫酸イオン(S23 2-)などを挙げることができる。なかでもリン酸二水素イオン、リン酸一水素イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが好ましく、リン(P)を含むリン酸二水素イオン、リン酸一水素イオン、リン酸イオンは特に好ましい。
また、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸イオンと塩を形成する陽イオンとしては、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンが特に好ましい。具体的な塩としては、例えば、リン酸一水素二ナトリウム(カリウム、カルシウム)、リン酸三ナトリウム(カリウム、カルシウム)、炭酸ナトリウム(カリウム、カルシウム)、硫酸ナトリウム(カリウム、カルシウム)などを挙げることができる。リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩は特に好ましく、具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸一水素カルシウムなどを挙げることができる。
リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩は、水性媒体中で広範な濃度で有効であり、好ましくは0.075~750mmol/L、より好ましくは0.1~150mmol/L、さらに好ましくは0.15~15mmol/Lである。また、水性媒体中のNMNに対するリン酸塩の濃度比(モル比)は、好ましくは0.01~5000、より好ましくは0.02~1000、さらに好ましくは0.02~100、0.02~20、0.02~2である。
【0018】
(リン酸)
本発明のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物におけるリン酸の濃度は、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機塩の塩と同じ又はより高い濃度が必要であり、3.75mmol/L以上、好ましくは7.5~50mmol/Lであり、より好ましく15~30mmol/Lである。リン酸は、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機酸の塩と併用して使用することが好ましく、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩又はリン酸塩と併用して使用することが特に好ましい。
【0019】
(pH)
本発明のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物のpHは、好ましくは1~11、より好ましくは1~9、さらに好ましくは2~7である。
【0020】
(その他成分)
本発明の組成物には、さらに効果を損なわない範囲において、通常飲食品、医薬品、化
粧料等に配合される任意の成分を加えることができる。例えば、pH調整剤、着色料、香料、添加剤、増粘剤、甘味料、酸味料、その他の有効成分(生理活性成分)などを挙げることができる。
【0021】
上記の成分の例としては、例えば、乳糖、マルトース、エリスリトール、精製白糖、マンニトール、マルチトール、ソルビトール等の単糖類、多糖類や糖アルコール、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンド種子多糖類、ジェランガム、ペクチン、寒天、澱粉、変性澱粉、無機酸、有機酸などを挙げることができる。
【0022】
(β-ニコチンアミドモノヌクレオチドの定量方法)
実施例及び比較例において、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物中のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの残存量は、以下の条件でのHPLCにより、測定した。
【0023】
(HPLC条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長260nm)
カラム:Hypercarb column(15cm×4.6mm、Thermo Scientific)
移動相A:50mM Tris-酢酸(pH7.5)
移動相B:メタノール
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
【0024】
【表1】
【実施例0025】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
1.β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物の調製方法
以下に示す実施例及び比較例では、表2~表6に示した原料をそれぞれ所定量混合し、攪拌して、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物を得た。
【0027】
(pH測定方法)
β-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物のpHは、卓上型pH計F-71(堀場製作所製)を用いて測定した。
【0028】
(原料)
・β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(β-Nicotineamide mononucleotide、洛陽華栄生物技術有限公司製)
・リン酸一水素二ナトリウム(純正化学製)
・リン酸一水素二カリウム(純正化学製)
・リン酸一水素カルシウム(SIGMA製)
・リン酸三ナトリウム(和光純薬製)
・リン酸二水素ナトリウム(関東化学製)
・炭酸ナトリウム(純正化学製)
・硫酸ナトリウム(純正化学製)
・リン酸(純正化学製)
・アスコルビン酸ナトリウム(DSM製)
・塩化ナトリウム(純正化学製)
・ビタミンE(ドライEミックスF-20S、理研ビタミン製)
・αGルチン(東洋精糖製)
【0029】
2.評価方法
1で調製した水性組成物を、室温で2週間保管した後、水性組成物中のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の濃度を測定して、製造直後の濃度を100とした時の相対残存率(%)を算出した。残存率50%以上を有効と評価した。
【0030】
(結果)
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表2及び表3の結果は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物に、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機塩及び/又はリン酸を共存させると、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドが安定化され、室温で2週間保管した後にも高い残存性が保たれることを示している(実施例1~12)。
【0033】
【表4】
【0034】
表4の結果は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する水性組成物は、室温で2週間保管したものでは、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドがほとんど残存しないこと(比較例1)、またリン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)以外の元素を含む無機塩や有機塩及び公知の食品等の安定化剤(酸化防止剤)では、安定化効果がみれらない(比較例2~5)ことを示している。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
表5及び表6は、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機塩のNMN残存効果は広範な濃度範囲で有効であることを示している(実施例1,実施例13~22)。
【0038】
β-ニコチンアミドモノヌクレオチドと、リン(P)、硫黄(S)又は炭素(C)を含む無機塩及び/又はリン酸を含有する、本発明のβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド含有水性組成物は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドが安定化されて、長期に保管した後にも高い残存性を示すので、β-ニコチンアミドモノヌクレオチドを安定して含有する食品、医薬品、化粧料等を提供することを可能にするものである。