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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080417
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】拡底造成装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
E21B10/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193745
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】506226670
【氏名又は名称】株式会社コトブキ産業
(71)【出願人】
【識別番号】503133999
【氏名又は名称】株式会社筑豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】才田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 一郎
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB16
2D129BA05
2D129BA10
2D129BB08
2D129CA02
2D129CA13
2D129CA25
2D129CB11
2D129CB13
2D129CB15
2D129DA18
2D129EA12
2D129EB24
2D129GA34
(57)【要約】
【課題】縦穴の底角部の土砂を排除することで、品質の高い縦穴を造成することが可能な拡底造成装置を提供する。
【解決手段】拡底造成装置1は、拡底掘削装置10の底部に連結される連結部2と、連結部2の縦穴の軸線位置に設けられた回転駆動部3と、縦穴の径方向に延び、回転駆動部3により回転する支持アーム部4と、支持アーム部4に設けられ、縦穴の底角部を掻く掻き部5とを備えている。拡底造成装置1は、拡底が終了してから拡底掘削装置10に連結して掻き部5により縦穴の底角部を掻くことにより、拡底掘削装置10の回転から独立して底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡底掘削装置の底部に連結される連結部と、
前記連結部の縦穴の軸線位置に設けられた回転駆動部と、
前記縦穴の径方向に延び、前記回転駆動部により回転する支持アーム部と、
前記支持アーム部に設けられ、前記縦穴の底角部を掻く掻き部とを備えた拡底造成装置。
【請求項2】
前記支持アーム部は、前記掻き部が設けられたピストンロッドと、前記ピストンロッドを径方向に進退させるシリンダとを備えた請求項1記載の拡底造成装置。
【請求項3】
前記ピストンロッドの進出による前記掻き部の移動を、前記縦穴の半径に応じた位置で停止させるストッパ部を備えた請求項2記載の拡底造成装置。
【請求項4】
前記ストッパ部は、前記ピストンロッドと共に径方向に移動する調整用バーと、前記調整用バーに所定間隔ごとに装着可能な突起部と、前記調整用バーの外径方向の移動により前記突起部が接触して移動を阻止する停止部とを備えた請求項3記載の拡底造成装置。
【請求項5】
前記回転駆動部は、油圧モーターにより形成され、
前記支持アーム部は、油圧アクチュエータにより形成され、
前記拡底掘削装置からの掘削アーム部の掘削用シリンダを径方向に伸縮する油圧回路に接続され、前記突起部が前記停止部に移動が阻止されるときの所定圧までは前記油圧アクチュエータへ送油され、前記所定圧を超えると前記油圧モーターへの油路に切り替えるシーケンス弁を備えた請求項4記載の拡底造成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭が立設される縦穴の拡径された底部を造成する拡底造成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭が立設される縦穴の底部を拡底掘削装置により裾が拡がるように約12度の角度で底部を拡げることで、コンクリートを打設したときに縦穴底部のコンクリート量を増加させることができるので、縦穴に立設した杭の支持力の増強を図ることができる。このような縦穴の底部を拡げる拡底掘削装置を本発明者は、特許文献1にて提案した。
【0003】
特許文献1に記載の拡底掘削装置は、地中に埋設されたケーシングの内周面を、グリッパー用シリンダを有するグリッパー部により押圧して、径方向に伸長する掘削用シリンダを有する掘削アーム部が、ケーシングの回転により縦穴の周壁面を掘削するものである。この拡底掘削装置の掘削アーム部は、掘削用シリンダの先端から突出した掘削ビットに併設されたブラシ部を備えている。ブラシ部が、縦穴の底角部に接触して掘削土を掻き出すので、縦穴の底角部から掘削土を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-183501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の拡底掘削装置では、ブラシ部が掘削ビットに併設されているため、掘削ビットが掘削するときには、掘削ビットと共に回転して縦穴の底角部に常に摺動するため、ブラシ部に少なからず影響があるものと思われる。
【0006】
また、ブラシ部による掻き出しには、掘削アーム部の回転が必要であり、掘削アーム部の回転には、ケーシングの回転が必要である。このとき、地盤が軟弱であればケーシングの回転によりケーシング外側の縦穴の周囲壁が崩れ、底角部に落下して堆積するおそれがある。そうなると、ブラシ部により土砂をせっかく掻き出ししても、また土砂が底角部に堆積してしまう。
【0007】
縦穴の底角度の土砂を掻き出し、縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させ、平坦な底角部が形成できれば、品質の高い縦穴を造成することができる。
【0008】
そこで本発明は、縦穴の底角部の土砂を排除することで、品質の高い縦穴を造成することが可能な拡底造成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の拡底造成装置は、拡底掘削装置の底部に連結される連結部と、前記連結部の縦穴の軸線位置に設けられた回転駆動部と、前記縦穴の径方向に延び、前記回転駆動部により回転する支持アーム部と、前記支持アーム部に設けられ、前記縦穴の底角部を掻く掻き部とを備えたことを特徴としたものである。
【0010】
本発明の拡底造成装置は、拡底掘削装置の底部に連結部より連結され、連結部の縦穴の軸線位置に回転駆動部が設けられている。また、縦穴の径方向に延びて、回転駆動部により回転する支持アーム部に、縦穴の底角部を掻く掻き部が設けられている。そのため、本発明の拡底造成装置を拡底掘削装置に、縦穴の底部を拡径するときには連結する必要がなく、拡底が終了してから拡底掘削装置に連結して掻き部により縦穴の底角部を掻くことにより、拡底掘削装置の回転から独立して底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。また、ケーシングを回転させなくても、縦穴の軸線位置に設けられた回転駆動部により、支持アーム部に設けられた掻き部を回転させることができる。そのため、縦穴の底角部を縦穴の周壁面を崩すなど影響を与えることなく、底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。これより、底角部を平坦な状態に均すことができる。
【0011】
前記支持アーム部は、前記掻き部が設けられたピストンロッドと、前記ピストンロッドを径方向に進退させるシリンダとを備えたものとすることができる。
掻き部が設けられたピストンロッドがシリンダから径方向に進退して、径方向における掻き部の位置を調整することで、直径が異なる縦穴でも、縦穴の底角部の土砂を書き出すことができる。
【0012】
前記ピストンロッドの進出による前記掻き部の移動を、前記縦穴の半径に応じた位置で停止させるストッパ部を備えたものとすることができる。ストッパ部が設けられていることにより、ピストンロッドの進出による掻き部の移動を縦穴の半径に応じた位置に停止させることができる。
【0013】
前記ストッパ部は、前記ピストンロッドと共に径方向に移動する調整用バーと、前記調整用バーに所定間隔ごとに装着可能な突起部と、前記調整用バーの外径方向の移動により前記突起部が接触して移動を阻止する停止部とを備えたものとすることができる。調整用バーがピストンロッドと共に外径方向に移動すると、突起部が停止部に接触して移動が阻止される。従って、縦穴の直径に応じて突起部の位置を、所定間隔ごとに装着可能な調整用バーに設けることにより、縦穴の直径に応じて、掻き部を適切な位置で停止させることができる。
【0014】
前記回転駆動部は、油圧モーターにより形成され、前記支持アーム部は、油圧アクチュエータにより形成され、前記拡底掘削装置からの掘削アーム部の掘削用シリンダを径方向に伸縮する油圧回路に接続され、前記突起部が前記停止部に移動が阻止されるときの所定圧までは前記油圧アクチュエータへ送油され、前記所定圧を超えると前記油圧モーターへの油路に切り替えるシーケンス弁を備えたものとすることができる。このように構成することで、突起部が停止部に移動を阻止される所定圧までは、シーケンス弁により油圧アクチュエータへ送油されることで、油圧アクチュエータのピストンロッドが伸長する。そして、突起部が停止部に移動を阻止され、油圧が所定圧を超えれば、シーケンス弁が油圧モーターへの油路に切り替えることで油圧モーターが回転し始める。
従って、所定の位置まで掻き部を移動させ、回転させることを、新たなオイルホースを地上から配管すること無く制御することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の拡底造成装置によれば、拡底掘削装置の回転から独立して、またケーシングを回転させることなく、底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができ、底角部を平坦な状態に均すことができる。よって、本発明の拡底造成装置は、縦穴の底角部の土砂を排除することで、品質の高い縦穴を造成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】拡底掘削装置を用いた縦穴の掘削の状態を示す図である。
図2】拡底掘削装置に取り付けられた拡底造成装置を示す図であり、本発明の実施の形態に係る拡底造成装置を説明するための図である。
図3図2に示す拡底造成装置の平面図であり、縦穴の径方向に延びる支持アームを説明するための図である。
図4】掻き出し用油圧回路の構成を示す図である。
図5】(A)から(C)は、掻き出し用油圧回路の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る拡底造成装置を図面に基づいて説明する。
本実施の形態に係る拡底造成装置は、図1に示すように、ケーシングCが圧入された縦穴Vであり、杭が立設される縦穴Vの底部B0を拡径する拡底掘削装置10の底部に装着されるアタッチメントである。拡底掘削装置10は、クレーン車C1に吊り下げられ、縦穴の底部に配置される。
【0018】
この拡底掘削装置10は、例えば、クレーン車C1により吊り下げるための吊り下げ部20と、ケーシングCの軸線位置に拡底掘削装置10の軸線を合わせた状態で固定するためのグリッパー部30と、ケーシングの回転により縦穴の周壁面を掘削する掘削アーム部40とを備えている。掘削アーム部40には、操作盤OPからの指示により伸縮する掘削用シリンダ41の先端に、突出した掘削ビット42が形成されている。
このように、拡底掘削装置10は、従来のものが使用できる。
【0019】
図2および図3に示すように、拡底作業終了後に拡底掘削装置10の底部に連結される拡底造成装置1は、連結部2と、回転駆動部3と、支持アーム部4と、掻き部5と、ストッパ部6とを備えている。
連結部2は、拡底掘削装置10の底部に連結され、拡底造成装置1を拡底掘削装置10に固定するものである。連結部2は、拡底掘削装置10の底部に連結板21が固定用ねじ22にてねじ止めされることにより固定される。
【0020】
回転駆動部3は、連結部2の縦穴の軸線位置に設けられている。回転駆動部3は、支持アーム部4を回転する駆動源となる油圧モーター31と、油圧モーター31の回転軸に連結された減速機32と、油圧モーター31および減速機32を支持するフレーム部33と、ロータリージョイント34とを備えている。
【0021】
油圧モーター31は、拡底掘削装置10からの油圧により回転軸が回転する。減速機32は、油圧モーター31の回転を減速させる。フレーム部33は、連結部2から垂下した基礎支柱部33aと、基礎支柱部33aの下端に連結された取付用板33bと、取付用板33bから垂下してロータリージョイント34を支持する延長支柱部33cとを備えている。ロータリージョイント34は、油圧モーター31の回転軸が回転しても油路を連通した状態に維持できる流体継手として機能するものである。
【0022】
支持アーム部4は、回転駆動部3に連結され、縦穴の径方向に延びた状態で、回転駆動部3により回転する。支持アーム部4は、掻き部5が設けられたピストンロッド4aと、ピストンロッド4aを径方向に進退するシリンダ4bとを備えた油圧アクチュエータ4xにより形成されている。支持アーム部4は、円形状の旋回プレート4cにより回転駆動部3と連結されている。
【0023】
油圧アクチュエータ4xのシリンダ4bには、ピストンロッド4aを進退させるための一対のポートに、ロータリージョイント34からの油路が接続されている。
ピストンロッド4aの先端部には、掻き部5が連結されている。
【0024】
油圧アクチュエータ4xは、拡底部の直径が、例えば、最小径1600mmの縦穴からまで最大径3000mmの縦穴対応させるために、ピストンロッド4aが進出したときの最大長さを、掻き部5の最外周位置が1500mmとなるようにしており、ピストンロッド4aが後退したときの最小長さを、掻き部5の最外周位置が800mmとなるようにしている。
【0025】
掻き部5は、縦穴の底角部を掻く掻き板51と、回転方向に対する掻き板51の傾斜角度を調整するための調整部52と、支持アーム部4に連結するための連結具53とを備えている。
【0026】
掻き板51は、平板状に形成されたスキージとして機能するものである。掻き板51は、高い耐久性を有するゴム板により形成されており、本実施の形態では、例えば、一対のゴムベルトの間に繊維体が挟まれたコンベアベルトにより形成されている。
【0027】
調整部52は、縦穴の周壁面に向かって膨らむ円弧状の調整用穴52aが形成された板状部材である。調整部52は、掻き板51の上端部の2箇所のうち一方が回動自在に連結されていると共に、他方が調整用穴52aの角度調整された位置にねじ止めされている。
連結具53は、調整部52を支持アーム部4にねじ止めする。
【0028】
ストッパ部6は、ピストンロッド4aの進出による掻き部5の移動を、縦穴の半径に応じた位置で停止させるものである。ストッパ部6は、ピストンロッド4aと共に径方向に移動する調整用バー61と、調整用バー61に所定間隔ごとに装着可能な突起部62と、調整用バー61の外径方向の移動により突起部62が接触して移動を阻止する停止部63とを備えている。
【0029】
調整用バー61は、棒状体により形成され、先端部が掻き部5の調整部52に連結されている。調整用バー61には、所定間隔ごとに、突起部62を設置するための設置用穴61aが形成されている。本実施の形態では、拡底部の直径が3000mmから1600mmの縦穴に対応させるために、100mmごとに15箇所に形成されている。突起部62は、設置用穴61aに挿入され、設置されることで、調整用バー61の外周面から突出するねじとすることができる。停止部63は、シリンダ4bの側部に連結され、調整用バー61を挿通するブラケットである。
【0030】
この回転駆動部3および支持アーム部4は、図4に示す掻き出し用油圧回路7により制御される。
図4に示す掻き出し用油圧回路7は、図1に示す操作盤OPから拡底掘削装置10に配管された油圧ホースであり、掘削アーム部40における掘削用シリンダ41を径方向に伸縮するための油圧回路に接続された油圧ホースを外し、連結される。
掻き出し用油圧回路7は、油圧ホースに連結するための第1カップラ71aと第2カップラ71bとを備えている。
【0031】
第1カップラ71aからの油圧ホース72aは、シーケンス弁73と、油圧アクチュエータ4xの第1ポートp1に接続されている。シーケンス弁73からの油圧ホース72bは、油圧モーター31に接続されている。
第2カップラ71bからの油圧ホース72cは、逆止弁74を介して油圧モーター31と、油圧アクチュエータ4xの第2ポートp2に接続されている。
【0032】
シーケンス弁73は、圧力設定により所定圧までは遮断状態であり、所定圧を超えると連通状態となるものである。
【0033】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る拡底造成装置1の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、拡底掘削装置10により縦穴の底部を拡げた後に、クレーン車C1を操作して拡底掘削装置10を引き上げ、拡底掘削装置10の底部に、図2に示す拡底造成装置1の連結部2を連結することで、拡底造成装置1を取り付ける。
また、掘削アーム部40への油圧ホースを掻き出し用油圧回路7へ繋ぎ直す。また、調整用バー61の設置用穴61aのうちのいずれかに、縦穴の底部の直径に応じて、突起部62を設定する。
【0034】
そして、クレーン車C1を操作して、拡底造成装置1を縦穴の底部まで吊り下ろす。そして、図5(A)に示す掻き出し用油圧回路7に送油する。
掻き出し用油圧回路7では、第1カップラ71aから送油されると、所定圧まではシーケンス弁73は遮断状態であるため、油圧アクチュエータ4xへ送油される。
油圧アクチュエータ4xのシリンダ4bの第1ポートp1へ送油されることで、ピストンロッド4aがシリンダ4bから進出する。ピストンロッド4aが進出することで掻き部5が外径方向へ移動する。
【0035】
図2および図3に示すように、掻き部5が外径方向へ移動することで、掻き部5に引かれて調整用バー61が外径方向に移動する。調整用バー61の移動に従って、突起部62が停止部63に接近する。そして、掻き部5が縦穴の半径まで到達すると、突起部62が停止部63に接触することで、掻き部5が縦穴の半径以上に位置する移動が阻止される。
【0036】
シリンダ4bへの送油にも関わらず、ピストンロッド4aの進出が阻止されることで、図5(B)に示すシーケンス弁73への圧力が上がる。所定圧を超えると、シーケンス弁73は、連通状態となるため油圧モーター31への油路に切り替える。そうすることで、油圧モーター31は回転を開始する。
油圧モーター31の回転に伴い、ロータリージョイント34を介して支持アーム部4が旋回し始める。
支持アーム部4の旋回により掻き部5の掻き板51が縦穴の底角部を掻き、土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。
【0037】
このように拡底造成装置1は、縦穴の底部を拡径するときには連結せず、拡底が終了してから拡底掘削装置10(図1参照)に連結して掻き部5により縦穴の底角部を掻くことにより、拡底掘削装置10の拡底時には使用されない。そして、拡底造成装置1は、拡底掘削装置の回転から独立して底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。従って、掻き部5に影響が及ぶことを防止することができる。
【0038】
また、ケーシングを回転させなくても、縦穴の軸線位置に設けられた回転駆動部3により、支持アーム部4に設けられた掻き部5を回転させることができる。そのため、縦穴の底角部を縦穴の周壁面を崩すなど影響を与えることなく、底角部に堆積した土砂を縦穴の底部中央の土砂溜め穴に落下させることができる。これより、底角部を平坦な状態に均すことができる。
【0039】
従って、拡底造成装置1は、縦穴の底角部の土砂を排除することで、品質の高い縦穴を造成することが可能である。
【0040】
また、掻き部5が設けられたピストンロッド4aがシリンダ4bから径方向に進退して、径方向における掻き部5の位置を調整することで、直径が異なる縦穴でも、縦穴の底角部の土砂を書き出すことができる。
【0041】
ストッパ部6が、ピストンロッド4aの進出による掻き部5の移動を、縦穴の半径に応じた位置で停止させるので、縦穴の半径以上に掻き部5が位置する移動を阻止することができ、適切な位置に掻き部5を停止させることができる。
【0042】
調整用バー61がピストンロッド4aと共に外径方向に移動すると、突起部62が停止部63に接触して移動が阻止される。従って、縦穴の直径に応じて突起部62の位置を、所定間隔ごとに装着可能な調整用バー61に設けることにより、縦穴の直径に応じて、掻き部5を適切な位置で停止させることができる。
【0043】
作業が終了すると、図5(C)に示すように、第2カップラ71bからシリンダ4bの第2ポートp2へ送油されることで、ピストンロッド4aがシリンダ4bに収容され、油圧アクチュエータ4xが縮小することで、掻き板51が引き寄せられ、図2に示す拡底造成装置1が引き上げ可能な状態とすることができる。
【0044】
このように、図1に示す操作盤から図2に示す拡底造成装置1への油圧ホースを、図5に示す第1カップラ71aと第2カップラ71bとに連結する2本とすることができる。そのため、掘削アーム部40における掘削用シリンダ41を径方向に伸縮するための油圧回路に接続された油圧ホースを、そのまま使用することで、新たなオイルホースを地上から配管すること無く制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、杭が立設される縦穴の拡径された底部を造成する工事に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10 拡底掘削装置
20 吊り下げ部
30 グリッパー部
40 掘削アーム部
41 掘削用シリンダ
42 掘削ビット
1 拡底造成装置
2 連結部
3 回転駆動部
31 油圧モーター
32 減速機
33 フレーム部
33a 基礎支柱部
33b 取付用板
33c 延長支柱部
34 ロータリージョイント
4 支持アーム部
4x 油圧アクチュエータ
p1 第1ポート
p2 第2ポート
4a ピストンロッド
4b シリンダ
4c 旋回プレート
5 掻き部
51 掻き板
52 調整部
52a 調整用穴
53 連結具
6 ストッパ部
61 調整用バー
61a 設置用穴
62 突起部
63 停止部
7 掻き出し用油圧回路
71a 第1カップラ
71b 第2カップラ
72a~72c 油圧ホース
73 シーケンス弁
C ケーシング
V 縦穴
B0 底部
C1 クレーン車
OP 操作盤
図1
図2
図3
図4
図5