(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080453
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】気相反応用反応器、及びメタン又はメタノールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/24 20060101AFI20230602BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20230602BHJP
C07C 1/12 20060101ALI20230602BHJP
B01J 12/00 20060101ALI20230602BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20230602BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20230602BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20230602BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20230602BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20230602BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230602BHJP
【FI】
B01J19/24 Z
C07C9/04
C07C1/12
B01J12/00
B01D53/22
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/02 500
B01J23/755 M
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193803
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 智也
(72)【発明者】
【氏名】玉木 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】三原 崇晃
【テーマコード(参考)】
4D006
4G075
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA01
4D006HA28
4D006MA01
4D006MA09
4D006MC03
4D006MC05X
4D006MC18
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4D006PC69
4G075AA05
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4H006AA02
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4H006AC29
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4H006BA81
4H006BA82
4H006BD81
4H006BE20
4H006BE41
4H039CB20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い反応効率を実現可能な反応器を提供すること。
【解決手段】触媒複合体2及び気体分離膜3を独立して内包する気相反応用反応器であって、前記触媒複合体は、繊維状の構造体であり、その比表面積が10m
2/g以上であり、前記気体分離膜は、繊維状の構造体である、反応器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒複合体及び気体分離膜を独立して内包する気相反応用反応器であって、
前記触媒複合体は、繊維状の構造体であり、その比表面積が10m2/g以上であり、
前記気体分離膜は、繊維状の構造体である、反応器。
【請求項2】
前記触媒複合体及び前記気体分離膜は、一方向に配列していることを特徴とする、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記触媒複合体を複数有し、
全ての触媒複合体の数を100%として、ある触媒複合体に着目した場合に、それに最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体が、70%以上であることを特徴とする、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記触媒複合体は、触媒担体と金属含有触媒からなり、
前記触媒担体は炭素からなる繊維状の構造体である、請求項1~3のいずれかに記載の反応器。
【請求項5】
前記触媒担体は、共連続多孔構造を有する、請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
前記気体分離膜は、多孔質繊維支持体に分離層を配置した構造であり、
前記分離層は炭素からなる、請求項1~5のいずれかに記載の反応器。
【請求項7】
前記多孔質繊維支持体が炭素からなる、請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
前記多孔質繊維支持体が共連続多孔構造を有する、請求項6または7に記載の反応器。
【請求項9】
以下の工程を有する、請求項1~8に記載の反応器を用いたメタン又はメタノールの製造方法。
工程1:前記反応器に対して、二酸化炭素及び水素を供給する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相反応用反応器及び気相反応用反応器を用いたメタン又はメタノールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に気相反応は、気相反応用反応器(以下単に「反応器」という場合がある)に対し、原料気体を導入することによって行われる。原料から目的物を得るため、必要に応じて触媒を用いる。気相反応の収率を高めるためには反応率を向上させる必要があるが、反応率には化学平衡に支配される上限が存在し、また、副反応を抑制するために反応率を上げられない場合もある。さらに、反応器に原料を導入して得られる混合物(以下「反応混合物」)が未反応の原料や副生成物を含む場合、それらを分離する精製プロセスも必要である。代表的な精製プロセスである蒸留は、温度や圧力を上下させる必要があるため、エネルギーロスが大きい課題がある。
【0003】
そこで、気体分離膜による精製が可能な化学プロセスでは、反応プロセスと精製プロセスを一体化した膜反応器(メンブレンリアクター)が提案されている。膜反応器では、反応器内部に触媒と気体分離膜の両方が配置され、気体分離膜が存在する空間で反応が進行する。並行して、反応で生じた生成物あるいは副生成物が分離膜を介して反応系から除去されることで、平衡が反応側へシフトして反応率を向上することができる。また、反応時のエネルギー(圧力や熱)を用いることで、省エネルギーに精製することができる。具体的には、水を選択的に透過する気体分離膜を用いた反応器などが知られている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-55970号公報
【特許文献2】特開2016-117726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、水素と二酸化炭素を含む原料ガスを触媒の存在下で反応させてメタノールを製造するメタノール製造用反応器であって、前記反応器内に、前記反応で副生する水を選択的に反応系外に分離除去する水選択透過膜体が設けられていることを特徴とするメタノール製造用反応器が開示されている。特許文献1の反応器にはペレット状の形状を有する触媒が充填されている。
【0006】
特許文献2には、選択透過膜を使用して二酸化炭素と水素を変換する化学平衡反応の実施方法であって、前記選択透過膜の作用により前記反応で得られた少なくとも1種の生成物の部分を分離し、前記反応から除去する、化学平衡反応の実施方法において、平均孔径0.45nm(4.5Å)未満の多孔質構造を有する材料からなる選択透過膜が用いられ、前記材料の少なくとも自由面が疎水性であることを特徴とする方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、触媒がペレット状の形状を有することから、反応器内部の触媒充填層において気体が滞留し、反応物を速やかに分離膜まで到達させることが難しい課題があった。
【0008】
また特許文献2の方法では、金属含有触媒が選択透過膜の表面に担持されるため、反応で得られた少なくとも1種の生成物の部分を効率的に分離することができるものの、選択透過膜の表面に担持できる金属の量は限られているため、反応効率が低下する課題があった。
【0009】
そこで上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。
【0010】
触媒複合体及び気体分離膜を独立して内包する気相反応用反応器であって、
前記触媒複合体は、繊維状の構造体であり、その比表面積が10m2/g以上であり、
前記気体分離膜は、繊維状の構造体である、反応器。
【発明の効果】
【0011】
本発明の反応器においては、触媒複合体と気体分離膜が共に繊維状の構造体であるため、反応器の内部における気体の滞留を防ぐことが可能である。そのため、気体分離膜による精製プロセスがより速やかに進行し、反応効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の反応器の一態様の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の反応器は、触媒複合体及び気体分離膜を独立して内包する気相反応用反応器であって、前記触媒複合体は、繊維状の構造体であり、その比表面積が10m2/g以上であり、前記気体分離膜は、繊維状の構造体であることを特徴とする。
【0014】
以下、図面を参照して本発明について例をあげて説明する。しかし本発明は、図面に記載の例に限定して解釈されるものではない。
【0015】
図1に、本発明の一態様である反応器の断面模式図を示す。
図1は、反応器の、気体の流出入口を含む断面の模式図である。反応器の内部には、触媒複合体2と気体分離膜3が、ポッティング部位8において反応器のベッセル1に固定されている。
【0016】
<触媒複合体>
本発明の反応器は触媒複合体2を内包する。触媒複合体とは、触媒担体と金属含有触媒を一体化した物質や金属含有触媒と別の金属含有触媒を一体化した物質など、少なくとも触媒を含む2種類以上の物質が一体となっている物体のことを指す。なお、本発明において触媒複合体2は、繊維状の構造体である。ここで、ある物体が繊維状の構造体であるとは、その対象とする物体(対象物)の最も長い部分の長さ(最大長さ)が、対象物の断面が円の場合にはその断面の直径、あるいは対象物の断面が円以外の場合にはその断面の最大幅の100倍以上であることをいう。触媒複合体が2種類以上の物質から構成されている場合、触媒複合体を構成する個別の物質については、繊維状でない場合もあるが、触媒複合体全体として繊維状の構造体となっていることが重要である。触媒複合体が繊維状の構造体であることにより、反応器内部での気体流路が繊維軸に沿った方向になるため、粉末状あるいはペレット状等の構造体である触媒複合体を用いた場合と比べ、反応器内部に気体を効率的に流すことができる。
【0017】
触媒複合体は、
図1に示すように反応器のベッセル1の全長に渡って配置され、ベッセル1の両端のポッティング部位8においてベッセル1に固定されていても良い。また、本発明の別の態様として、触媒複合体は、ベッセル1の全長よりも短い繊維状の構造体であっても良く、その場合はベッセル1に対して適宜充填される。
【0018】
また、本発明の反応器中の触媒複合体の比表面積は、10m2/g以上である。比表面積が10m2/gより小さい場合、気体と触媒複合体の接触する面積が小さいため、気体の化学反応速度が低下する。気体と触媒複合体の接触する面積を十分確保するため、触媒複合体の比表面積は50m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましい。一方、触媒複合体の機械的強度を十分に保つため、触媒複合体の比表面積は1000m2/g以下であることが好ましく、500m2/g以下であることがより好ましい。ここで、触媒複合体の比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)法により測定することができる。具体的には、触媒複合体を100℃で60分間脱気した後、冷却し、窒素ガスを吸着ガスとして用いたBET流動法により測定することができる。触媒複合体の比表面積を所望の値に調整するための手法としては、繊維径や繊維断面形状を変更する、繊維内部に微粒子を埋め込んだのちにそれを除去する、触媒複合体が炭素繊維を含む場合は賦活処理を施す、といった手法が挙げられる。
【0019】
触媒複合体は、触媒担体と金属含有触媒からなることが好ましい。触媒複合体が触媒担体と金属含有触媒からなる場合、金属含有触媒は触媒担体の表面あるいは内部に担持されており、触媒担体は金属含有触媒を固定化して触媒複合体全体としての形状を維持する役割を、金属含有触媒は目的となる化学反応を実質的に触媒する役割を、それぞれ担う。
【0020】
触媒複合体が触媒担体と金属含有触媒からなるとき、触媒担体は繊維状の構造体であることが好ましい(以下、繊維状の構造体である触媒担体を「繊維状触媒担体」とする)。触媒担体が繊維状の構造体であるとき、触媒複合体の形状を繊維状に維持することができる。繊維状の触媒担体の材質としては、例えばポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリアセタール、熱可塑性エラストマー、金属酸化物、金属、炭素等が挙げられるが、耐熱性を高める観点から炭素であることが好ましい。
【0021】
繊維状の触媒担体の断面の形状としては、丸形、凸多角形型、星型、多孔構造等が挙げられる。繊維状触媒担体は表面に凹凸を有していても良い。繊維状の触媒担体に含まれる金属含有触媒の量を増やし、触媒活性を高める観点から、繊維状の触媒担体は多孔構造を有することが好ましく、触媒複合体内部における気体の拡散効率を向上し、反応速度や放熱効率を高める観点からは、触媒担体は共連続多孔構造を有することがより好ましい。ここで共連続多孔構造とは、骨格と空隙とがそれぞれ連続構造をなす構造を言う。本明細書において、共連続多孔構造を有するとは、例えば液体窒素中で充分に冷却した試料をピンセット等により割断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などによって表面観察した際に、骨格(枝部)と空隙部(孔部)がそれぞれ連続しつつ絡み合った構造が観察されることを言う。
【0022】
触媒複合体が触媒担体と金属含有触媒からなるとき、金属含有触媒は目的とする反応に応じて適宜選択することができる。金属含有触媒としては、例えば金属であるルテニウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、白金、およびパラジウム、あるいはそれらの合金等が挙げられる。金属含有触媒は金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物といった金属元素を含む化合物であっても良い。触媒担体が繊維状の構造体である時、金属含有触媒は粒子状の形状を有することが好ましい。金属含有触媒の比表面積を向上し、気体の接触を促すため、金属含有触媒の粒子径は10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。ここで粒子径とは、100個の金属含有触媒粒子の粒子径の算術平均値を指し、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて、金属含有触媒を倍率3,000倍にて拡大観察し、無作為に選択した100個の金属含有触媒について粒子径を測定する。なお、金属含有触媒が球状でない場合は、金属含有触媒の最大径と最小径との算術平均値を粒径とする。それらの数平均値を算出することにより、金属含有触媒の粒子径を求めることができる。金属含有触媒の粒子径は、後述する触媒複合体の製造方法において、金属原料液の濃度や、金属原料液への触媒担体の含浸時間等を変えることにより、所望の範囲に適宜調整することができる。
【0023】
<気体分離膜>
本発明の反応器は気体分離膜を内包するが、ここで気体分離膜は、分離対象流体に含まれる特定の成分(透過成分)の透過性が他の成分(非透過成分)に対して高い膜である。気体分離膜が生成物のうち少なくとも一部の物質を選択的に透過する膜であるとき、反応器内部に存在する反応混合物のうち、生成物の一部を選択的に系外に排出することにより、逆反応の速度を低下させ、反応の平衡を生成物側に傾けることが可能である。従って、気体分離膜の透過成分は生成物のうちの少なくとも一部であることが好ましい。生成物が水を含む場合、水を選択的に系外に排出することにより、逆反応の速度を低下させるとともに、蒸留による反応混合物の精製を省略することが可能である。従って、生成物が水を含む場合、気体分離膜の透過成分は水であることがより好ましい。
【0024】
本発明の気体分離膜3は、繊維状の構造体である。気体分離膜が繊維状の構造体であることにより、反応器内部での気体流路が繊維軸に沿った方向になるため、反応器内部に気体を効率的に流すことができる。なお前述のとおり、ある物体が繊維状の構造体であるとは、その対象とする物体(対象物)の最も長い部分の長さ(最大長さ)が、対象物の断面が円の場合にはその断面の直径、あるいは対象物の断面が円以外の場合にはその断面の最大幅の100倍以上であることをいう。気体分離膜は中実の繊維状の構造体であっても、中空の繊維状の構造体であってもよいが、繊維中心部における気体の通過性を大きくしやすいことから、気体分離膜は中空の繊維状の構造体であることが好ましい(以下、中空の繊維状の構造体である気体分離膜を「中空糸膜」ということがある)。
【0025】
気体分離膜としては、例えば、ゼオライト膜、金属有機構造体(MOF)膜、炭素膜等の無機膜や高分子膜等が挙げられる。反応器が高温や酸性塩基性等の過酷な環境下で使用される場合、耐熱性や耐薬品性に優れる無機膜が好ましく、無機膜としては炭素膜であることがより好ましい。
【0026】
ゼオライト膜としては、アルミノケイ酸塩、例えば、NaX型(FAU)、ZSM-5、MOR、シリカライト、及びA型等からなる膜が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。ゼオライト種は、水熱合成反応によって2次成長させるものと同程度のSi/Al比を有するものが好ましい。
【0027】
MOF膜としては、例えば、Cu-BTC、MOF-5、IRMOF-3、MIL-47、MIL-53、MIL-96、MMOF、SIM-1、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-22、ZIF-69、ZIF-90等からなる膜が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0028】
炭素膜としては、例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、全芳香族ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、リグニン樹脂、ウレタン樹脂等を炭化した膜が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0029】
高分子膜としては、例えば、芳香族ポリイミド、酢酸セルロース、ポリスルホン、芳香族ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(1-トリメチルシリルプロピン)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリ(4-メチルペンテン)、エチルセルロース、天然ゴム、ポリ(2,6-ジメチル酸化フェニレン)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、スチレン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、シリコーン等からなる膜が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0030】
気体分離膜は、透過成分の透過性を向上させるため、ナノ粒子等を添加することができる。ナノ粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、ゼオライト、金属酸化物、金属有機構造体(MOF)、カーボンナノチューブ(CNT)等が挙げられる。
【0031】
本発明の一つの態様として、気体分離膜は、多孔質繊維支持体に分離層を配置した構造を有していてもよい。分離層は多孔質繊維支持体の両面に配置してもよいが、一方の表面のみに配置されることが好ましい。また分離層は、分離対象となる気体と直接接することから、特に化学的な活性が低く、かつ耐熱性を有することが好ましく、具体的には炭素で構成されることが好ましい。
【0032】
多孔質繊維支持体の材質としては、例えば、アルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、チタニア、バイコールガラス、ゼオライト、マグネシア、焼結金属等の無機材料や、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、及びポリフェニレンオキシドなどのホモポリマー並びにコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含有する有機材料、炭化可能樹脂からなる有機材料を炭化した炭素等が挙げられる。炭化可能樹脂としては、例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、全芳香族ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、リグニン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。中でも、多孔質繊維支持体の耐熱性を高めるため、多孔質繊維支持体は無機材料や炭素で構成されることが好ましく、支持体の繊維径を小さくし、反応器に含まれる気体分離膜の面積を大きくする観点から、炭素で構成されることがより好ましい。多孔質繊維支持体は、気体の通過性を高めるため、共連続多孔構造を有することが好ましい。ここで共連続多孔構造とは、前述のように、骨格と空隙とがそれぞれ連続構造をなす構造を言う。
【0033】
<気相反応用反応器>
本発明の反応器は、触媒複合体及び気体分離膜を独立して内包する。ここで触媒複合体及び気体分離膜を独立して内包するとは、触媒複合体と気体分離膜とが別の物体として内包されていることを意味する。
【0034】
以下、反応器は触媒複合体及び気体分離膜を含んでいれば特に制限されないが、図面に即してその一態様を例示すると、反応器には気体入口4と気体出口5がそれぞれ一箇所以上設けられており、気体入口4から原料気体9が導入される。原料気体9は、反応器の内部で反応する。中でも、触媒複合体2には目的とする化学反応の速度を向上する効果があることから、反応は主として触媒複合体2の近傍で起こる。反応速度を高めるため、反応器は加温されていても良い。反応の結果生じる反応混合物は、その一部が気体出口5から排出され、他の一部が気体分離膜3を透過して分離気体出口6から排出される。気体分離膜3を透過した気体を速やかに分離気体出口6から排出するため、透過気体流路11には掃引気体7を流通させても良い。掃引気体7の種類は特に限定されないが、反応器内部での副反応を抑制する観点からヘリウム、窒素、アルゴンといった不活性気体であることが好ましく、中でも反応器の運転コストを削減する観点から窒素であることがより好ましい。
【0035】
反応器内部において、触媒複合体2と気体分離膜3は、一方向に配列していることが好ましい。触媒複合体2と気体分離膜3がいずれも一方向に配列しているとき、反応器内部における気体の流路もまた一方向に整列される。従って、触媒複合体2と気体分離膜3が一方向に配列していない時と比較して、反応器内部における気体の滞留を防ぐことができ、反応器内部のガス流量を増やした際の反応効率を向上することができる。これらが配列する方向は特に限定されないが、反応器の最長方向に沿って、触媒複合体と気体分離膜も一方向に配列していることが好ましい。
【0036】
さらに、触媒複合体2で反応した反応物を速やかに気体分離膜3に到達させ、透過成分を速やかに系外に排出させることにより、反応効率を向上させるため、反応器内部においては触媒複合体2と気体分離膜3とがより近接して配置されることが好ましい。具体的には、複数有する触媒複合体について、その全ての触媒複合体の数を100%として、ある触媒複合体に着目した場合に、それに最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。これについてもう少し説明すると、反応器中のある触媒複合体に着目した場合、それに最も近接する繊維状の構造体は、気体分離膜か別の触媒複合体となるが、本発明の好ましい態様においては、ある触媒複合体に最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる場合の割合が70%以上と大きくなるようにすることで、反応効率を向上させることができる。なお、全ての触媒複合体の数を100%として、ある触媒複合体に着目した場合に、それに最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体が70%以上であることが好ましいが、その上限は特に限定されず、最も好ましくは100%、つまり、全ての触媒複合体において、それに最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となることが特に好ましい。同様に、ある触媒複合体に着目した場合に、それに第二近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体が、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましいが、その上限は特に限定されず、最も好ましくは100%、つまり、全ての触媒複合体において、それに第二近接する繊維状の構造体が気体分離膜となることが特に好ましい。反応器内部において触媒複合体2と気体分離膜3とをより近接して配置させる方法としては、後述する反応器の製造方法において、ベッセル1に触媒複合体2と気体分離膜3を挿入する際に、ガイド等を用いて触媒複合体2と気体分離膜3とがベッセル1内で交互に並ぶように挿入する方法が挙げられる。
【0037】
本発明の反応器が適用可能な化学プロセスは特に限定されるものではないが、例えば、メタンの水蒸気改質による水素製造、メチルシクロヘキサンからの水素製造、二酸化炭素と水素からのメタン合成やメタノール合成、二酸化炭素と水あるいは二酸化炭素とメタンからの合成ガス(一酸化炭素と水素の混合気体)の合成等が挙げられる。
【0038】
本発明の膜反応器において、ベッセル1の断面形状は、ベッセルの耐圧性を向上させる観点から、楕円形や円形などが好ましく、円形がより好ましい。ここで、ベッセルの断面とは、ベッセルの、流体分離膜の長さ方向に垂直な断面を言う。ベッセルの材質としては、例えば、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられ、設置場所の環境や使用される状況に応じて、適宜選択することができる。耐圧性や耐熱性が要求される用途においては、強度と成形加工性を兼ね備えた金属が好ましく、ステンレスがより好ましい。
【0039】
<メタンもしくはメタノールの製造方法>
本発明の反応器は、触媒複合体を適宜選択して、また分離対象となる気体分離膜を適宜選択することで、種々の気体の製造に用いることができるが、本発明の反応器を用いた好ましい一態様であるメタン又はメタノールの製造方法は、以下の工程を有する。
【0040】
工程1:本発明の反応器に対して、二酸化炭素及び水素を供給する工程。
【0041】
ここで二酸化炭素と水素は原料気体を構成する。
【0042】
一般に、メタン又はメタノールは、天然ガスからの精製、各種化石燃料から得られる合成ガスの反応等の手法によって製造することができるが、二酸化炭素を原料として用いる製造方法は、二酸化炭素は入手が容易かつ、安定性が高く、取り扱い性に優れることから好ましく、生成物として次世代のクリーン燃料となるメタン、又はあらゆる化成品、燃料合成に繋がる、メタノールが製造できる。
【0043】
二酸化炭素と水素を原料気体として使用する場合は、触媒複合体は繊維状の構造体であれば特に限定されず、各種触媒複合体を用いることができる。例えば、触媒担体としては酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、ゼオライト、炭素等が好意的に用いられる。また、金属含有触媒としては、メタンの製造においてはニッケルやルテニウム、あるいはそれらの酸化物等が、メタノールの製造においては、レニウム、銀、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が好意的に用いられる。
【0044】
本発明の一態様であるメタン又はメタノールの製造方法においては、副生物として水が生成する。従って、前記反応器に配置される気体分離膜の透過成分はメタン又はメタノール、もしくは水であることが好ましい。本発明の一態様である
図1に示した反応器に対して二酸化炭素と水素を供給する工程を有するメタン又はメタノールの製造方法においては、目的物であるメタン又はメタノールに富んだ気体を、気体分離膜の透過成分がメタン又はメタノールである場合は分離気体出口6から、気体分離膜の透過成分が水の場合は分離気体出口6から、気体分離膜の透過成分が水である場合は目的物であるメタン又はメタノールに富んだ気体が気体出口5から、それぞれ得ることができる。
【0045】
本発明の一態様であるメタン又はメタノールの製造方法においては、反応温度は150℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。また、反応温度は600℃以下であることが好ましく、500℃以下であることがより好ましい。ここで反応温度とは、反応器内部における触媒複合体の平均温度を指す。反応温度が150℃以上であるとき、メタン又はメタノールへの化学反応速度が十分大きいため、効率的にメタン又はメタノールを製造することができる。反応温度が200℃以上であるとき、化学反応速度がより一層大きいため、より効率的にメタン又はメタノールを製造することができる。一方、二酸化炭素及び水素からメタン又はメタノールへの反応は発熱反応であることから、反応温度が低い程、反応の平衡定数が大きくなり、メタン又はメタノールの生成に有利となる。また、触媒複合体が触媒担体と金属含有触媒からなるとき、反応温度が低い程、金属含有触媒の焼結(シンタリング)を抑制することができるため、金属含有触媒の活性を長期間に渡って保つことができる。従って、反応温度は600℃以下であることが好ましく、500℃以下であることがより好ましい。反応効率を向上するため、反応器の内部は大気圧よりも高い圧力に加圧されていても良い。
【0046】
<反応器、触媒複合体、気体分離膜の製造方法>
本発明の反応器は、その製造方法は特に限定されないが、触媒複合体と気体分離膜を収納する製造方法(以下、製造方法1という)でもよく、気体分離膜と触媒担体を収納した反応器を作製後に反応器内へ金属含有触媒ないしその原料を投入して触媒担体に金属含有触媒を担持させる製造方法(以下、製造方法2という)でもよい。触媒複合体に確実に触媒を担持させることができるため、製造方法1がより好ましい。
【0047】
反応器内部において触媒複合体と気体分離膜とをより近接して配置させるため、触媒複合体と気体分離膜を収納する際には、ガイドを用いても良い。ガイドとは反応器内部における繊維状の構造体の収納箇所を整理するための治具を指し、例えば、ベッセル内に収納可能な板であって、繊維状の構造体を通すための開口部が格子状に開けられた板等をガイドとして用いることができる。ベッセル内にガイドを収納後、ガイドの各開口部に触媒複合体と気体分離膜を交互に配列して挿入することにより、触媒複合体と気体分離膜とをより近接して配置することができる。ガイドは、触媒複合体と気体分離膜を挿入した後あるいはポッティング部位において触媒複合体と気体分離膜をベッセルに固定した後、取り外しても良い。
【0048】
本発明の触媒複合体は、例えば、炭素繊維、金属線、多孔質アルミナ繊維といった各種の公知の繊維状の構造体を繊維状触媒担体とし、スパッタリング、湿式含浸といった手法で金属含有触媒を担持させることにより製造することができる。湿式含浸による金属含有触媒の担持は、例えば、金属塩や金属微粒子等を溶解ないし分散させた原料液に繊維状触媒担体を含浸させた後、乾燥や焼成処理を施すことで実施できる。触媒複合体の比表面積を10m2/g以上にする方法としては、触媒複合体の繊維径や繊維断面形状を変更する、繊維内部に微粒子を埋め込んだのちにそれを除去する、触媒複合体が炭素繊維を含む場合は賦活処理を施すといった方法が挙げられる。
【0049】
本発明の気体分離膜は、例えば、支持体として機能する、公知の多孔質繊維に対し、炭化可能な樹脂を湿式コーティングした後、炭化することによって製造することができる。炭化可能な樹脂の湿式コーティング方法としては、炭化可能な樹脂を適当な溶媒に溶解させ、得られた溶液をノズルに充填し、ノズル内部に多孔質繊維を通過させる方法が挙げられる。
【実施例0050】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各実施例および比較例における評価は、以下の方法により行った。
【0051】
[評価A]比表面積
各実施例および比較例に用いた触媒複合体について、全自動比表面積測定装置Macsorb HM Model-1210(マウンテック株式会社製)を用いて、BET流動法(吸着ガスN2)により比表面積を測定した。触媒複合体の脱気は100℃で60分間の条件で行った。
【0052】
[評価B]触媒複合体と気体分離膜の配置関係
触媒複合体と気体分離膜が共に繊維状の構造体である反応器について、繊維軸方向と直交する方向に割断した。割断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX-D500)で観察し、触媒複合体に着目した場合に、それに最も近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体の本数を計測し、全ての触媒複合体の数を100%としたときの割合(以下、「第一近接率」)を算出した。触媒複合体に着目した場合に、それに第二近接する繊維状の構造体が気体分離膜となる触媒複合体の本数も同様に計測し、割合(以下、「第二近接率」)を算出した。
【0053】
[評価C]反応器の反応効率、および放熱特性
作製した反応器の触媒複合体は、水素/窒素(体積比1:9)中で適宜活性化した。触媒複合体を活性化した後、反応器の気体入口より水素/二酸化炭素の原料気体(体積比4:1)が連続的に導入された。原料気体の総流量は100sccm/min、反応器内部の圧力は20bar、反応温度は300℃とした。反応器の中空糸膜内部には、掃引気体として窒素を70sccm/minの速度で流通した。気体出口から放出された気体(以下「放出気体」)をGC-TDCによって分析し、以下の式をもって反応効率及びメタン選択性を計算した。また、放熱特性として、反応器における各点の局所的な温度を放射温度計を用いて測定し、反応中における局所的な温度の最高値を評価した。
【0054】
反応効率=(原料気体の二酸化炭素モル濃度―放出気体の二酸化炭素モル濃度)/原料気体の二酸化炭素モル濃度
メタン選択率=放出気体のメタンモル濃度/(放出気体のメタンモル濃度+放出気体の一酸化炭素モル濃度)
(製造例1)
共連続多孔構造を有する繊維状の構造体として、以下の方法で多孔質炭素繊維を作製した。
【0055】
ポリサイエンス社製ポリアクリロニトリル(PAN)(MW15万)10重量部と、シグマ・アルドリッチ社製ポリビニルピロリドン(PVP)(MW4万)10重量部と、富士フイルム和光純薬(株)製ジメチルスルホキシド(DMSO)80重量部を混合し、100℃で撹拌して紡糸原液を調製した。
【0056】
得られた紡糸原液を25℃まで冷却した後、同心円状の三重口金の口金を用いて、内管からDMSO80重量%水溶液を、中管から前記紡糸原液を、外管からDMSO95重量%水溶液をそれぞれ同時に吐出した後、30℃の純水からなる凝固浴へ導き、その後循環式熱風乾燥機により80℃で10分間乾燥して中空糸状の多孔質炭素繊維前駆体を作製した。
【0057】
続いて多孔質炭素繊維前駆体を245℃の電気炉中に通し、空気雰囲気下で2時間加熱して不融化処理を行った。続いて不融化糸を炭化温度700℃で炭化処理して、炭素を主成分とする中空糸状の多孔質炭素繊維(直径0.3mm)を作製した。
【0058】
(製造例2)
紡糸原液の組成をPAN20重量部と、DMSO80重量部としたこと以外は製造例1と同様にして、多孔質構造を有さない繊維状の構造体を作製した。
【0059】
(製造例3)
製造例1で作製した多孔質炭素繊維を、硝酸ニッケル(II)六水和物の10重量%水溶液に含浸した後、蒸発乾固した。得られた複合体を窒素雰囲気化で500℃、3時間の条件で焼成することにより、多孔質炭素繊維を触媒担体、酸化ニッケルを金属含有触媒とする触媒複合体Aを作製した。触媒複合体Aの比表面積は、115m2/gであった。
【0060】
(製造例4)
製造例2で作製した繊維状の構造体に対し、製造例3と同様の処理を施すことにより、触媒複合体Bを作製した。触媒複合体Bの比表面積は、1.0m2/gであった。
【0061】
(製造例5)
製造例1で作製した多孔質炭素繊維を支持体とし、前記紡糸原液をコート液としてノズルコート法により支持体表面にコーティングし、水洗・乾燥を経て分離層前駆体の配置された多孔質繊維を得た。このとき支持体とコーティングノズルとのギャップは25μmであった。
【0062】
その後、得られた前駆体を酸素雰囲気下で250℃、30分間加熱し、不融化処理を行った。その後窒素雰囲気下にて800℃で20分間加熱し炭化処理を行い、炭素を主成分とする分離層を備えた中空糸状気体分離膜を得た。
【0063】
[実施例1]
長さ10cm、外径φ6mm、肉厚1mmのステンレス製パイプの壁面に気体入口、気体出口としてφ1mmの穴を開け、反応器用ベッセルを作製した。
【0064】
作成した反応器用ベッセルに対し、格子状に穴を開けたガイドを通し、製造例3で得た触媒複合体20本と、製造例5で得た気体分離膜20本とを、触媒複合体と気体分離膜とが互いに交互になり、さらにベッセルの最長方向と同一方向に配列するように挿入した。エポキシ樹脂系接着剤でステンレス製パイプ内面に束ねた触媒を固定化することで反応器を作製した。
【0065】
本反応器の第一近接率は100%、第二近接率は85%であり、反応効率は95%、メタン選択率は90%であった。温度の最高値は345℃であった。
【0066】
[実施例2]
ガイドを用いず、触媒複合体と気体分離膜を無作為に挿入したこと以外は実施例1と同様にして反応器を作製した。
【0067】
本反応器の第一近接率は50%、第二近接率は50%であり、反応効率は95%、メタン選択率は90%であった。温度の最高値は360℃であった。
【0068】
[比較例1]
触媒複合体として市販の製品であるMETH134(アルミニウム担持ニッケル酸化物。非繊維状。)をバルクとして使用したこと以外は実施例2と同様にして反応器を作製した。
【0069】
本反応器の反応効率は70%、メタン選択率は90%であった。温度の最高値は450℃であった。
【0070】
[比較例2]
触媒複合体として製造例4で得た触媒複合体20本を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応器を作製した。
【0071】
本反応器の反応効率は65%、メタン選択率は90%であった。温度の最高値は405℃であった。