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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080465
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
B25J19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193825
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】栃木 偉伸
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CT05
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY34
3C707HS27
3C707HT23
3C707HT25
3C707HT26
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上させることができるロボットを提供する。
【解決手段】ロボット1に、電力の供給によって発熱するモータM1、移動制限部B1及び制御基板C1を含む発熱源と、内部に空間S2を形成するアーム部320と、アーム部320によって形成された空間又は当該空間と連通する空間に露出するように配置され、発熱源とアーム部320とを連結して、発熱源の熱を熱伝導によってアーム部320に伝達させると共に、発熱源の熱をアーム部320によって形成された空間に放散させる第1カバー部310Aと、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給によって発熱する発熱源と、
内部に空間を形成するアーム部と、
前記アーム部によって形成された空間又は当該空間と連通する空間に露出するように配置され、前記発熱源と前記アーム部とを連結して、前記発熱源の熱を熱伝導によって前記アーム部に伝達させると共に、前記発熱源の熱を前記アーム部によって形成された空間に放散させる放熱部と、を備えた
ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記放熱部は、前記発熱源を収容する収容部を含み、
前記収容部によって形成される空間と前記アーム部によって形成された空間とが連通している
ことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記アーム部は、前記収容部に連結される連結部と、前記連結部に対して前記収容部とは反対の位置に配置され、前記連結部よりも外形が大きい本体部と、を有する
ことを特徴とする請求項2記載のロボット。
【請求項4】
前記アーム部は、内面から内方に向けて突出する突出部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項5】
前記アーム部を移動可能に支持するベース部を備え、
前記発熱源は、前記アーム部を前記ベース部に対して移動させる駆動源を含む
ことを特徴とする請求項2記載のロボット。
【請求項6】
前記発熱源は、前記駆動源を制御する制御基板を含む
ことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項7】
前記放熱部は、前記制御基板と前記収容部とを連結する連結部材を含む
ことを特徴とする請求項6記載のロボット。
【請求項8】
前記駆動源の駆動力を前記ベース部と前記アーム部との間で伝達する伝達部を備え、
前記駆動源は、回動する回動軸を有し、
前記ベース部は、前記アーム部を前記ベース部に対して回動可能に支持しており、
前記伝達部は、前記ベース部に対する前記アーム部の回動量が前記回動軸の回動量よりも小さくなるように、前記駆動源の駆動力を伝達する
ことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項9】
前記発熱源は、第1状態と、前記第1状態とは異なる第2状態と、の間で切換わり、前記第1状態において前記ベース部に対する前記アーム部の移動を許容し、前記第2状態において前記ベース部に対する前記アーム部の移動を制限する移動制限部を有する
ことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸方向におけるモータの両端部をロボットの構造体と接触させている産業用ロボットが開示されている(特許文献1参照)。この産業用ロボットは、モータの発生熱をモータの両端部からロボットの構造体へ伝導させることで、モータを効果的に冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-323286号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ロボットにおいては、動作速度及び可搬重量を向上させるため、更なる放熱性の向上が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、放熱性を向上させることができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットは、電力の供給によって発熱する発熱源と、内部に空間を形成するアーム部と、アーム部によって形成された空間又は当該空間と連通する空間に露出するように配置され、発熱源とアーム部とを連結して、発熱源の熱を熱伝導によってアーム部に伝達させると共に、発熱源の熱をアーム部によって形成された空間に放散させる放熱部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発熱源の熱を熱伝導によってアーム部へ伝達させると共に、発熱源の熱をアーム部によって形成された空間に放散させることで、放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るロボットを示す正面図である。
図2】実施の形態1に係る第1駆動部310の構成の一部を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る制御基板のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図4】実施の形態1に係る制御基板のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図5】実施の形態1に係る第2リンクを示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る制御基板及び基板保持部を示す拡大図である。
図7】実施の形態2に係る第2リンクを示す断面図である。
図8】実施の形態3に係るロボットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
先ず、図1を参照して、実施の形態1に係るロボット1の構成について説明する。図1は、実施の形態1のロボット1を示す正面図である。ロボット1は、複数のリンクが接続されて、隣接するリンク間に関節が形成されているロボットである。例えば、ロボット1は、支持面Fに支持されている基台100と、第1リンク200と、第2リンク300と、第3リンク400と、を備えている。
【0010】
第1リンク200は、基台100に対して移動可能に支持されている。例えば、第1リンク200は、基台100に対して所定の仮想軸線L1を中心に回動可能に支持されている。基台100と第1リンク200との間には、関節J1が形成されている。
【0011】
第2リンク300は、第1リンク200に対して移動可能に支持されている。例えば、第2リンク300は、第1リンク200に対して仮想軸線L1と交差する方向に沿って配置された所定の仮想軸線L2を中心に回動可能に支持されている。第1リンク200と第2リンク300との間には、関節J2が形成されている。
【0012】
第3リンク400は、第2リンク300に対して移動可能に支持されている。例えば、第3リンク400は、第2リンク300に対して仮想軸線L2と交差する方向に沿って配置された所定の仮想軸線L3を中心に回動可能に支持されている。第2リンク300と第3リンク400との間には、関節J3が形成されている。
【0013】
第2リンク300は、第1駆動部310と、アーム部320と、第2駆動部330と、を有している。第1駆動部310は、第1リンク200に対して第2リンク300を移動させるモータM1と、第1リンク200に対する第2リンク300の移動を制限する移動制限部B1と、モータM1及び移動制限部B1の動作を制御する制御基板C1と、を有している。また、第2駆動部330は、第2リンク300に対して第3リンク400を移動させるモータM2と、第2リンク300に対する第2リンク300の移動を制限する移動制限部B2と、モータM2及び移動制限部B2の動作を制御する制御基板C2と、を有している。なお、モータM1及びモータM2は、実施の形態1において、駆動源を構成する。
【0014】
次に、図2を参照して、制御基板C1及び制御基板C2が行う制御について説明する。図2は、実施の形態1に係る第1駆動部310の構成の一部を示すブロック図である。制御基板C1は、電源部(不図示)からの電源の供給を受けて動作し、モータM1の動作を制御するモータ制御部C1aと、移動制限部B1の動作を制御する移動制限部制御部C1bと、を有している。例えば、モータ制御部C1aは、主制御部(不図示)からの制御信号、及びモータM1の回動位置を検知するエンコーダ(不図示)から入力された信号に応じて電力をモータM1に供給することで、モータM1の回動量(回動角度)を制御する。なお、モータM1は、ステッピングモータであってもよく、モータ制御部C1aは、ステッピングモータであるモータM1にパルス信号を出力することでモータM1の回動量を制御してもよい。モータM1の詳細については、後述する。
【0015】
移動制限部制御部C1bは、移動制限部B1を制御することにより、モータM1による第1リンク200に対する第2リンク300の移動を制限する。例えば、移動制限部制御部C1bは、移動制限部B1への電力を断接することにより、移動制限部B1を、第1リンク200に対する第2リンク300の移動を許容する第1状態と、第1リンク200に対する第2リンク300の移動を制限する第2状態と、を切換える。移動制限部B1の詳細については、後述する。
【0016】
同様に、制御基板C2は、電源部(不図示)からの電源の供給を受けて動作し、モータM2の動作を制御するモータ制御部C2aと、移動制限部B2の動作を制御する移動制限部制御部C2bと、を有している。モータ制御部C2a及び移動制限部制御部C2bの詳細は、モータ制御部C1a及び移動制限部制御部C1bと同様であるため、説明書を省略する。
【0017】
次に、図3及び図4を参照して、制御基板C1のハードウェア構成について説明する。図3は、制御基板C1のハードウェア構成の一例を示す図であり、図4は、制御基板C1のハードウェア構成の他の例を示す図である。制御基板C1は、プリント配線板C11(図5参照)と、プリント配線板C11に実装された各種電子部品と、を有している。例えば、図3に示すように、制御基板C1は、プリント配線板C11に実装されたプロセッサC1A及びメモリC1Bと、I/OポートC1Cと、を有し、メモリC1Bに格納されるプログラムをプロセッサC1Aが読み出して実行するように構成されている。
【0018】
また、例えば、図4に示すように、制御基板C1は、専用のハードウェアである処理回路C1Dと、I/OポートC1Cと、を有している。処理回路C1Dは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらの組み合わせによって構成される。制御基板C1の各機能は、これらプロセッサC1A又は専用のハードウェアである処理回路C1Dがプログラムを実行することによって実現される。なお、制御基板C2のハードウェア構成は、制御基板C1と同様であるため、説明を省略する。
【0019】
次に、図1図5及び図6を参照して、第2リンク300の詳細について説明する。図5は、実施の形態1に係る第2リンク300を示す断面図である。上述したように、第2リンク300は、第1駆動部310と、アーム部320と、第2駆動部330と、を有している。
【0020】
第1駆動部310は、第1リンク200に対して移動可能に支持されている。アーム部320は、一端が第1駆動部310に連結されて支持されている。第2駆動部330は、アーム部320の他端に連結されて支持されていると共に、第2駆動部330に対して移動可能となるように第3リンク400を支持している。このように構成されて、第1駆動部310、アーム部320及び第2駆動部330は、一体で第1リンク200に対して移動可能、かつ一体で第3リンク400に対して移動可能となっている。言い換えると、第1駆動部310、アーム部320及び第2駆動部330は、第1リンク200に対して移動可能に支持されていると共に、第3リンク400に対して移動可能に支持されている。また、言い換えると、第1リンク200は、第1駆動部310を介してアーム部320を移動可能に支持している。具体的には、第1リンク200は、第1駆動部310を介してアーム部320を回動可能に支持している。なお、第1リンク200は、実施の形態1において、ベース部を構成する。
【0021】
第1駆動部310は、上述したモータM1、移動制限部B1及び制御基板C1に加えて、第1リンク200と第1駆動部310との間でモータM1の回動を減速して伝達する減速部D1と、第1カバー部310Aと、主制御部、制御基板C1、モータM1及び移動制限部B1を電気的に接続する配線C12と、を有している。
【0022】
第1カバー部310Aは、主カバー311と、副カバー312と、基板保持部313と、を有している。主カバー311は、内部に空間S1を形成しており、モータM1、移動制限部B1、制御基板C1及び減速部D1を空間S1に収容して保護すると共に、アーム部320に連結されている。なお、主カバー311は、実施の形態1において、収容部を構成する。また、主カバー311は、モータM1、移動制限部B1、減速部D1及び基板保持部313を保持している。言い換えると、主カバー311は、モータM1、移動制限部B1及び減速部D1とアーム部320とを連結している。
【0023】
副カバー312は、空間S1の一部が開閉可能となるように、主カバー311に着脱可能に保持されている。例えば、副カバー312は、制御基板C1に対向して配置されている。例えば、作業者は、制御基板C1の点検や修理を行う際に副カバー312を主カバー311から取り外すことで、制御基板C1にアクセスすることが可能となる。
【0024】
また、基板保持部313は、制御基板C1と主カバー311とを連結することにより、制御基板C1を保持している。言い換えると、制御基板C1は、基板保持部313及び主カバー311を介してアーム部320と連結されている。また、言い換えると、基板保持部313は、主カバー311を介して制御基板C1とアーム部320とを連結している。また、言い換えると、第1カバー部310Aは、制御基板C1とアーム部320とを連結している。
【0025】
例えば、基板保持部313は、主カバー311に連結して保持されている主カバー保持部313aと、内面311bから突出するように形成された突出部313bと、を有して、主カバー保持部313aと突出部313bとが一体的に形成されている。主カバー保持部313aは、主カバー311の内面311bに密着する状態で、ねじ等の締結具f1によって主カバー311に保持されている。突出部313bは、板状に形成されており、両面のそれぞれの少なくとも一部が空間S1に露出するように配置されている。例えば、突出部313bは、ねじ等の締結具f2によって制御基板C1と密着する状態で、制御基板C1を保持している。なお、基板保持部313は、実施の形態1において、連結部材を構成する。
【0026】
モータM1は、ステータM11と、ステータM11に対して仮想軸線L2を中心に回動するロータM12と、ロータM12に保持されて、仮想軸線L2に沿うように配置された回動軸M13と、を有する。ステータM11は、第1リンク200に対し、主カバー311と一体的に移動するように、主カバー311に保持されている。例えば、ステータM11は、外周面M11aが主カバー311の内面311aに接着されることで、主カバー311に連結して保持されている。回動軸M13は、ステータM11に対してロータM12と一体的に回動する。このように構成されて、モータM1は、供給された電力を駆動力に変換し、ステータM11に対して回動軸M13を回動させる。
【0027】
減速部D1は、モータM1からの動力が入力される入力軸部D11と、主カバー311に連結して保持されているカバー保持部D12と、第1リンク200に連結して保持されている第1リンク保持部D13と、を有している。例えば、カバー保持部D12は、外周面D12aと主カバー311の内面311aとが密着するように、ねじ等の締結具(不図示)によって主カバー311に連結して保持されている。また、例えば、第1リンク保持部343は、第1リンク200に対してねじ等の締結具f3によって連結して保持されている。
【0028】
カバー保持部D12は、入力軸部D11及び第1リンク保持部D13を、仮想軸線L2を中心に回動可能に支持している。言い換えると、第1リンク保持部D13は、カバー保持部D12及び入力軸部D11を、仮想軸線L2を中心に回動可能に支持している。入力軸部D11は、モータM1の回動軸M13と一体的に仮想軸線L2を中心に回動する。モータM1からの駆動力によって、回動軸M13がカバー保持部D12に対して回動すると、第1リンク保持部D13は、カバー保持部D12に対する回動軸M13の回動量よりも小さい回動量で、カバー保持部D12に対して回動する。言い換えると、減速部D1は、カバー保持部D12に対する第1リンク保持部343の回動量が、カバー保持部D12に対する入力軸部D11の回動量、即ち回動軸M13の回動量よりも小さくなるように、主カバー311と第1リンク200との間で、モータM1の駆動力を伝達する。
【0029】
また、言い換えると、減速部D1は、第1リンク200に対するアーム部320の回動量が、モータM1のステータM11に対する回動軸M13の回動量よりも小さくなるように、第1リンク200とアーム部320との間で、モータM1の駆動力を伝達する。また、言い換えると、減速部D1は、第1カバー部310A及びアーム部320と第1リンク200との間で、モータM1の回動を減速して伝達する。例えば、減速部D1は、ウェーブジェネレータとしての入力軸部D11と、サーキュラスプラインとしてのカバー保持部D12と、フレクスプラインとしての第1リンク保持部D13と、を有する波動歯車機構である。なお、減速部は、これに限らず、遊星歯車機構、ウォームギヤ機構、他の歯車機構、リンク機構、これらの組合せ等であってもよい。減速部D1は、実施の形態1において、伝達部を構成する。
【0030】
移動制限部B1は、電力の供給を受けて作動し、第1状態と、第1状態とは異なる第2状態と、の間で切換わる。移動制限部B1は、第1状態において第1リンク200に対する第1カバー部310Aの移動を許容し、第2状態において第1リンク200に対する第1カバー部310Aの移動を制限する。言い換えると、移動制限部B1は、第1状態において第1リンク200に対するアーム部320の移動を許容し、第2状態において第1リンク200に対するアーム部320の移動を制限する。
【0031】
例えば、移動制限部B1は、摩擦式の電磁ブレーキである。具体的には、移動制限部B1は、主カバー311に連結して保持されているステータB11と、回動軸M13に保持されて回動軸M13と一体的に回動する回動板B12と、ステータB11と回動板B12との間に配置され、主カバー311に対して仮想軸線L2に沿って移動可能な摩擦板B13と、ステータB11に対して摩擦板B13を回動板B12に向けて付勢する付勢部材B14と、を有している。ステータB11及び回動板B12は、主カバー311に対して仮想軸線L2に沿う方向に移動しないように保持されている。例えば、ステータB11は、外周面B11aと主カバー311の内面311aとが密着するように、ねじ等の締結具(不図示)によって主カバー311に連結して保持されている。また、摩擦板B13は、第1カバー部310Aに対して仮想軸線L2を中心に回動しないように保持されている。
【0032】
移動制限部B1は、ステータB11に電力が供給されている状態で不図示のコイルによって磁力を発生させ、ステータB11が付勢部材B14の付勢力に抗して摩擦板B13を吸引して、摩擦板B13と回動板B12との間に間隙を形成する第1状態となる。図5は、第1状態である移動制限部B1を示している。また、移動制限部B1は、ステータB11に電力が供給されていない状態で、付勢部材B14の付勢力によって摩擦板B13が回動板B12に押圧され、摩擦板B13と回動板B12との間の摩擦力によって回動軸M13の回動を制限する第2状態となる。
【0033】
制御基板C1は、モータM1及び移動制限部B1の動作を制御する。詳しくは、制御基板C1は、ロボット1の稼働時において、移動制限部B1に電力を供給して移動制限部B1を第1状態とする一方、モータM1に電力を供給してモータM1に駆動力を発生させる。
【0034】
アーム部320は、第1駆動部310に連結される第1連結部321と、第2駆動部330に連結される第2連結部325と、第1連結部321及び第2連結部325の間を繋ぐ本体部323と、を有している。言い換えると、アーム部320は、第1駆動部310に連結される第1連結部321と、第2駆動部330に連結される第2連結部325と、第1連結部321に対して第1駆動部310とは反対の位置かつ第2連結部325に対して第2駆動部330とは反対の位置に配置された本体部323と、を有している。
【0035】
例えば、第1連結部321は、第1連結部321の端面321aが主カバー311の外面311cに密着するように、ねじ等の締結具f4によって主カバー311に連結されている。例えば、アーム部320は、図5に示すA方向に沿って配置され、両端が開放する筒状に形成されており、内部に空間S2を形成している。主カバー311の第1連結部321が連結する部分には、開口311dが形成されており、空間S1と空間S2とは、開口311dを介して連通している。第2連結部325の構成は、第1連結部321と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
図1に示すように、第2駆動部330は、モータM2と、移動制限部B2と、制御基板C2と、モータM2の回動を減速して伝達する減速部D2と、第2カバー部330Aと、主制御部、制御基板C2、モータM2及び移動制限部B2を互いに電気的に接続する配線(不図示)と、を有している。モータM2、移動制限部B2、制御基板C2、減速部D2、第2カバー部330A及び配線の構成は、モータM1、移動制限部B1、制御基板C1、減速部D1、第1カバー部310A及び配線C12と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
上述したように、モータM1、モータM2、移動制限部B1、移動制限部B2、制御基板C1及び制御基板C2は、電力が供給されるため、電力を消費しながら発熱する。また、減速部D1及び減速部D2は、例えば、歯車同士の摩擦熱等、動作する際の摩擦熱によって発熱する。言い換えると、第2リンク300は、モータM1、モータM2、移動制限部B1、移動制限部B2、減速部D1、減速部D2、制御基板C1及び制御基板C2を含む発熱源を有している。また、発熱源の発熱によって発熱源自身の温度が上昇すると、モータM1及びモータM2の最大トルクの低下による可搬重量の低下、モータM1及びモータM2の動作速度の低下、移動制限部B1及び移動制限部B1の吸引力の低下による動作不良、制御基板C1及び制御基板C2に実装されている電子部品の動作不良や処理速度の低下等が発生する場合がある。このため、実施の形態1に係るロボット1は、上記発熱源からの熱の効率的な放散、即ち放熱が可能な構成としている。以下、実施の形態1に係るロボット1の放熱を行う構成について説明する。
【0038】
第1カバー部310A、アーム部320及び第2カバー部330Aは、熱伝導性が良好な材質によって形成されている。例えば、第1カバー部310A、アーム部320及び第2カバー部330Aは、常温における熱伝導率が1以上である材質によって形成されている。好ましくは、第1カバー部310A、アーム部320及び第2カバー部330Aは、常温における熱伝導率が90以上である材質によって形成されている。例えば、第1カバー部310A、アーム部320及び第2カバー部330Aは、鋼、亜鉛合金、アルミニウム合金等の金属材料によって形成されている。これにより、ロボット1は、第1カバー部310A又は第2カバー部330Aに、直接又は間接的に連結されている発熱源の熱を熱伝導によって、第1カバー部310A、アーム部320及び第2カバー部330Aに効率的に放散可能となっている。なお、第1カバー部310Aは、全ての部分が熱伝導性が良好な材質によって形成されているものに限らず、第1カバー部の一部、例えば、副カバーが合成樹脂等、熱伝導率が低い材質で形成されているものであってもよい。
【0039】
図6は、実施の形態1に係る制御基板C1及び基板保持部313を示す拡大図である。制御基板C1と基板保持部313との間には、熱伝導部材Nが挟持されている。例えば、熱伝導部材Nは、熱伝導シート、熱伝導グリス、熱伝導ペースト等の熱伝導性が高い部材からなり、制御基板C1において発生した熱を効率的に基板保持部313へ伝達する。また、例えば、プリント配線板C11の熱伝導部材Nが当接する側の面C11aには、電子部品C13が実装されており、熱伝導部材Nは、電子部品C13及び基板保持部313に当接するように配置されている。言い換えると、熱伝導部材Nは、電子部品C13及び基板保持部313に挟まれるように配置されている。
【0040】
例えば、電子部品C13は、制御基板C1を構成する電子部品のうち、制御基板C1の動作中に最も高い温度になる電子部品、制御基板C1の動作中における温度と部品の許容温度との差が最も小さい電子部品、発熱からの保護が重要である電子部品等である。具体的には、電子部品C13は、IC、プロセッサ、MOSFET等、である。制御基板C1において発生した熱は、熱伝導部材N、基板保持部313、主カバー311及びアーム部320に熱伝導によって伝達される。
【0041】
また、制御基板C1において発生した熱は、制御基板C1の表面、主カバー311の内面、基板保持部313の表面及びアーム部320の内面を介して、空間S1及び空間S2の空気に伝達される。言い換えると、主カバー311及び基板保持部313は、制御基板C1の熱を、空間S1及び空間S2に放散させている。このように、主カバー311及び基板保持部313は、制御基板C1において発生した熱を空間S1及び空間S2の空気に伝達するためのヒートシンクとして機能している。
【0042】
図5に示すように、モータM1のステータB11、移動制限部B1のステータB11及び減速部D1のカバー保持部D12は、主カバー311に密着するように保持されている。このため、モータM1、移動制限部B1及び減速部D1において発生した熱は、ステータB11、ステータB11及びカバー保持部D12から主カバー311を介して熱伝導によってアーム部320に伝達される。また、モータM1、移動制限部B1及び減速部D1において発生した熱は、モータM1、移動制限部B1及び減速部D1の表面と、第1カバー部310Aの内面と、アーム部320の内面と、によって、空間S1及び空間S2の空気に伝達される。言い換えると、第1カバー部310Aは、モータM1、移動制限部B1及び減速部D1の熱を、空間S1及び空間S2に放散させている。なお、第1カバー部310Aは、実施の形態1において、発熱源の熱を空間に放散させる放熱部を構成する。
【0043】
アーム部320は、アーム部320の内面から内方に向けて突出し、空間S2に露出する突出部326を有している。突出部326は、例えば、板状に形成された複数の突出部326a、326b、326c、326d、326e、326f、326g、326hを有している。アーム部320は、突出部326a~326hを有していることにより内面側の表面積を拡大し、空間S2の空気の熱をアーム部320に効率的に伝達可能としている。なお、突出部326a~326hは、アーム部320の第1連結部321及び第2連結部325の近傍に配置されて、アーム部320の補強を兼ねていてもよい。突出部326a~326hは、アーム部320の補強を兼ねる場合、少なくとも一部が、アーム部320の外形が変化する部分に配置されていることが望ましい。
【0044】
また、アーム部320は、本体部323の外形が第1連結部321及び第2連結部325の外形よりも大きい。例えば、アーム部320は、本体部323のA方向(長手方向)と交差するB方向における外形の寸法P1が、B方向における第1連結部321の外形の寸法P2及びB方向における第2連結部325の外形の寸法P3よりも大きい。これにより、アーム部320は、本体部の外形が第1連結部及び第2連結部の外形と同じ場合又は第1連結部及び第2連結部の外形よりも小さい場合と比較して、内面側の表面積を拡大し、空間S2の空気の熱をアーム部320に効率的に伝達可能にすると共に、外面側の表面積を拡大し、アーム部320の熱を外気へ効率的に伝達可能としている。
【0045】
なお、実施の形態1に係る本体部323の外形の寸法P3は、アーム部320が取付けられる部分における第1カバー部310Aの外形の寸法P4と同じ寸法となるように設定されている。これにより、放熱性を向上させつつ外観を良好とすることができる。また、第2駆動部330において発生した熱をアーム部320及び外気へ効率的に伝達可能とする構成は、第1駆動部310において発生した熱をアーム部320及び外気へ効率的に伝達可能とする構成と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
このように、実施の形態1に係るロボット1は、電力の供給によって発熱するモータM1、移動制限部B1及び制御基板C1を含む発熱源と、内部に空間S2を形成するアーム部320と、空間S2と連通する空間S1に露出するように配置され、発熱源とアーム部320とを連結して、発熱源の熱を熱伝導によってアーム部320に伝達させると共に、発熱源の熱を空間S2に放散させる第1カバー部310Aと、を備えている。これにより、実施の形態1に係るロボット1は、発熱源の熱をアーム部320及び空間S2に効率的に放散させることが可能となり、放熱性を向上させることができる。
【0047】
また、実施の形態1に係るロボット1は、第1カバー部310Aに連結される第1連結部321と、第1連結部321に対して第1カバー部310Aとは反対の位置に配置され、第1連結部321よりも外形が大きい本体部323と、を有するアーム部320を備えているので、アーム部320内の空間S2の空気の熱をアーム部320へ効率的に伝達させることが可能となり、放熱性を向上させることができる。
【0048】
また、実施の形態1に係るロボット1は、内面から内方に向けて突出する突出部326a~326hを有するアーム部320を備えているので、アーム部320内の空間S2の空気の熱をアーム部320へ効率的に伝達させることが可能となり、放熱性を向上させることができる。
【0049】
なお、実施の形態1において、アーム部320は、A方向に沿って筒状に形成されているが、これに限定されない。アーム部は、内部に空間を形成するものであればよく、例えば、L字状に屈曲するように形成されたものであってもよいし、箱状に形成されたものであってもよいし、中空の球状に形成されたものであってもよく、多様な形状が考えられる。
【0050】
また、実施の形態1において、アーム部320は、本体部323の外形が、アーム部320の端部である第1連結部321及び第2連結部325の外形よりも大きくなるように形成されているが、アーム部320の端部よりも長手方向の内方に外形の小さい部分、例えば、図5に示す寸法P5となる部分が存在していてもよく、端部よりも長手方向の内方に、少なくとも端部よりも外形の大きい部分が形成されていればよい。
【0051】
また、実施の形態1において、発熱源は、モータM1、移動制限部B1、減速部D1及び制御基板C1を含んでいるが、これに限定されない。発熱源は、これら含むものに限定されず、熱源は、これらいずれか1つのみを含むものであってもよいし、他の発熱する構成からなるものであってもよい。
【0052】
また、実施の形態1において、制御基板C1及び制御基板C2は、主カバー311に連結して保持されている主カバー保持部313aと、内面311bから突出するように形成された突出部313bと、を有する基板保持部313を介して主カバー311に連結されているが、これに限定されない。制御基板は、アーム部へ熱伝導によって熱を伝達可能にアーム部に直接又は間接的に連結されていればよく、例えば、制御基板は、図5に示すL字状の基板保持部以外の形状の部材を介して主カバーに保持されていてもよいし、主カバーに直接保持されていてもよい。
【0053】
また、実施の形態1において、モータM1、移動制限部B1、減速部D1及び制御基板C1は、第1カバー部310Aに連結して保持されているが、これに限定されない。発熱源は、アーム部に直接又は間接的に連結され、かつアーム部によって形成された空間又は当該空間と連通する空間に露出するように配置されていればよく、例えば、発熱源は、アーム部によって形成された空間に直接露出するように配置されていてもよいし、発熱源の一部がアーム部、第1リンク、第3リンク等第1カバー部以外の構成に直接的に連結して保持されていてもよい。
【0054】
実施の形態2.
以下、図7を参照して、実施の形態2について説明する。実施の形態2に係るロボット2では、発熱源の一部であるモータのステータが、第1リンクに保持されている。実施の形態2に係るロボット2は、実施の形態1に係るロボット1に対して、モータの配置が異なるが、他の構成については実施の形態1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0055】
第1リンク500と、第1リンク500に対して移動可能に支持されている第2リンク600と、を備えている。第1リンク500は、第1リンク200に対して第2リンク300を移動させるモータM3を有している。モータM3は、ステータM31と、ステータM31に対して仮想軸線L2を中心に回動するロータM32と、ロータM32に保持されて、仮想軸線L2に沿うように配置された回動軸M33と、を有する。ステータM31は、第1リンク500のベース部501に、ねじ等の締結具f6によって連結して保持されている。
【0056】
モータM3は、主カバー311によって形成された空間S1に露出するように配置されている。このため、モータM3において発生した熱は、空間S1から開口311dを介して空間S2に放散される。
【0057】
実施の形態3.
以下、図8を参照して、実施の形態3について説明する。実施の形態3に係るロボット3は、実施の形態1に係るロボット1に対して、アーム部の形状が異なるが、他の構成については実施の形態1と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0058】
実施の形態3に係るロボット3は、第1リンク200と、第1リンク200に対して移動可能に支持されている第2リンク700と、を備えている。第2リンク700は、第1駆動部310と、アーム部720と、第2駆動部330と、を有している。アーム部720は、第1カバー部310Aに連結される連結部721と、連結部721に対して第1カバー部310Aとは反対の位置に配置され、連結部721よりも外形が大きい本体部725と、を有している。本体部725は、アーム部720の外方に向けて突出する突出部726を有している。例えば、突出部726は、複数の板状部からなる。アーム部720は、突出部726を有していることにより、外面側の表面積を拡大し、アーム部720の熱を効率的に外気へ放散することが可能となっている。
【0059】
なお、上述したいずれの実施の形態においても、ロボットは、発熱源と第1カバー部及び第2カバー部とは、直接連結されているものに限定されない。ロボットは、発熱源の熱をアーム部へ伝達可能であればよく、例えば、発熱源と第1カバー部及び第2カバー部との間に、熱伝導シート、熱伝導グリス、熱伝導ペースト、接着剤等が介在していてもよい。特に、形状の精度が低い部品を他の部品に連結させる際、部品間にこれらを介在させることにより、部品間に隙間が形成されることを抑制して熱を伝達させやすくすることができる。例えば、基板保持部と主カバーとの間に熱伝導グリスを介在させることで、主カバー保持部に反りが発生している場合でも、主カバー保持部と主カバーとの間に隙間が形成されることを抑制することができる。また、発熱源と第1カバー部及び第2カバー部との間に接着剤が介在して、発熱源が接着剤によって第1カバー部及び第2カバー部に連結して保持されていてもよい。また、発熱源が、上述した以外の他の構成部品を介して第1カバー部及び第2カバー部に連結されていてもよいし、第1カバー部、アーム部及び第2カバー部が、一体的に形成されていてもよい。
【0060】
なお、本発明は、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3 ロボット
200、500 第1リンク(ベース部)
310A 第1カバー部(放熱部)
330A 第2カバー部(放熱部)
311 主カバー(収容部)
313 基板保持部(連結部材)
320、720 アーム部
326a~326h 突出部
B1、B2 移動制限部(発熱源)
C1、C2 制御基板(発熱源)
D1、D2 減速部(連結部)
M1、M2、M3 モータ(発熱源、駆動源)
M13、M23、M33 回動軸
S1 空間
S2 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8