(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080496
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】車両用フロントグリル装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20230602BHJP
B60R 19/52 20060101ALI20230602BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20230602BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20230602BHJP
【FI】
G01S7/03 246
B60R19/52 K
F21S43/20
F21W104:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193876
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥村 晃司
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AF03
5J070AK39
(57)【要約】
【課題】レーダ装置の検出精度を確保しつつ意匠性を向上できる車両用フロントグリル装置を提供する。
【解決手段】車両用フロントグリル装置14は、車両11の前部に搭載されるとともにミリ波を車両11の前方に向けて送信するミリ波レーダ装置12のミリ波の経路内に配置される。車両用フロントグリル装置14は、ミリ波の経路内に配置されるグリル本体16と、グリル本体16に対して車両11の後方側から可視光を照射する発光モジュール17とを備える。グリル本体16には、加飾部21が部分的に設けられるとともに可視光が透過するベースパネル20が配置される。ベースパネル20及び発光モジュール17は、ミリ波透過性を持っている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に搭載されるとともに電磁波を前記車両の前方に向けて送信するレーダ装置の前記電磁波の経路内に配置される車両用フロントグリル装置であって、
前記電磁波の経路内に配置されるグリル本体と、前記グリル本体に対して前記車両の後方側から可視光を照射する発光モジュールとを備え、
前記グリル本体には、加飾部が部分的に設けられるとともに前記可視光が透過するベースパネルが配置され、
前記ベースパネル及び前記発光モジュールは、電磁波透過性を持つことを特徴とする車両用フロントグリル装置。
【請求項2】
前記グリル本体は、前記電磁波の経路内に配置される上部領域と前記上部領域の下側に位置する下部領域とを有し、
前記上部領域には、前記加飾部が部分的に設けられ、
前記下部領域には、開口部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロントグリル装置。
【請求項3】
前記下部領域には、前記加飾部が部分的に配置され、
前記上部領域及び前記下部領域は、互いに隣接しており、
前記加飾部は、前記上部領域及び前記下部領域の両方にわたって同一のパターンを形成していることを特徴とする請求項2に記載の車両用フロントグリル装置。
【請求項4】
前記上部領域は、前記車両の左右のヘッドランプ同士の間の位置にあって左右の前記ヘッドランプと隣接しており、
前記発光モジュールは、前記上部領域の全体にわたって前記可視光を照射するように配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用フロントグリル装置。
【請求項5】
前記加飾部は、電磁波透過性を持つことを特徴とする請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の車両用フロントグリル装置。
【請求項6】
前記ベースパネルには、前記可視光を遮断する光遮断部と、前記可視光を拡散させる光拡散部とが設けられていることを特徴とする請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の車両用フロントグリル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロントグリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用フロントグリル装置として、例えば特許文献1に記載のフロントグリルが知られている。このフロントグリルは、ミリ波透過性を持つ透明な樹脂材料によって構成されるとともに車幅方向に延びるように形成されたラジエータグリル本体を有している。ラジエータグリル本体における車幅方向の中央部には、平板部が設けられている。
【0003】
ラジエータグリル本体の平板部は、自動車の車体前部に搭載されたミリ波レーダ装置の車体前側にミリ波レーダ装置と対向して配置されている。ミリ波レーダ装置は、自車両と前方車両との距離や相対速度を測定するために、車体前方へ向けてミリ波を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、特許文献1のようなフロントグリルに対して、上述したミリ波透過性を持たせることに加えて、光らせるといった機能を持たせることが望まれている。すなわち、ミリ波透過性を持つフロントグリルの意匠性の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両用フロントグリル装置は、車両の前部に搭載されるとともに電磁波を前記車両の前方に向けて送信するレーダ装置の前記電磁波の経路内に配置される車両用フロントグリル装置であって、前記電磁波の経路内に配置されるグリル本体と、前記グリル本体に対して前記車両の後方側から可視光を照射する発光モジュールとを備え、前記グリル本体には、加飾部が部分的に設けられるとともに前記可視光が透過するベースパネルが配置され、前記ベースパネル及び前記発光モジュールは、電磁波透過性を持つことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、発光モジュールからグリル本体に対して可視光を照射することで、グリル本体を発光させることができる。このため、グリル本体の意匠性を向上できる。加えて、ベースパネル及び発光モジュールは、電磁波透過性を持つため、レーダ装置による電磁波の送受信を妨げない。したがって、レーダ装置の検出精度を確保しつつ意匠性を向上できる。
【0008】
上記車両用フロントグリル装置において、前記グリル本体は、前記電磁波の経路内に配置される上部領域と前記上部領域の下側に位置する下部領域とを有し、前記上部領域には、前記加飾部が部分的に設けられ、前記下部領域には、開口部が配置されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、発光モジュールから上部領域に対して可視光を照射することで、上部領域を発光させることができる。このため、グリル本体の意匠性を向上できる。加えて、下部領域における開口部を介して車両の内部のラジエータに空気を供給できるので、空気によるラジエータに対する冷却性を確保できる。したがって、上部領域においてグリル本体の意匠性を向上しつつ下部領域においてラジエータに対する冷却性を確保できる。
【0010】
上記車両用フロントグリル装置において、前記下部領域には、前記加飾部が部分的に配置され、前記上部領域及び前記下部領域は、互いに隣接しており、前記加飾部は、前記上部領域及び前記下部領域の両方にわたって同一のパターンを形成していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、上部領域の意匠と下部領域の意匠とを合わせることができるので、グリル本体全体としての意匠性をより一層高めることができる。
上記車両用フロントグリル装置において、前記上部領域は、前記車両の左右のヘッドランプ同士の間の位置にあって左右の前記ヘッドランプと隣接しており、前記発光モジュールは、前記上部領域の全体にわたって前記可視光を照射するように配置されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、発光モジュールの可視光によって上部領域が全体的に発光するようにグリル本体を構成することで、ヘッドランプの光と上部領域の光とで連続した光による意匠を表現できる。
【0013】
上記車両用フロントグリル装置において、前記加飾部は、電磁波透過性を持つことが好ましい。
この構成によれば、加飾部がレーダ装置による電磁波の送受信を妨げないので、レーダ装置の検出精度をより一層向上できる。
【0014】
上記車両用フロントグリル装置において、前記ベースパネルには、前記可視光を遮断する光遮断部と、前記可視光を拡散させる光拡散部とが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、光遮断部及び光拡散部の形状を調整することで、発光モジュールから供給される可視光によってグリル本体の上部領域に可視光による文字や模様などを浮かび上がらせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、レーダ装置の検出精度を確保しつつ意匠性を向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態における車両用フロントグリル装置が搭載された車両の正面図である。
【
図5】変更例の車両用フロントグリル装置の要部を示す断面図である。
【
図6】別の変更例の車両用フロントグリル装置が搭載された車両の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、上記車両用フロントグリル装置の一実施形態を図面に従って説明する。以下の記載に関しては、車両の前進方向を前方とするとともに後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味するとともに、車幅方向は車両の左右方向を意味するものとする。
【0018】
図1~
図3に示すように、車両11の前部には、電磁波におけるミリ波を、車外のうちの前方へ向けて送信するレーダ装置の一例としての前方監視用のミリ波レーダ装置12が搭載されている。ミリ波レーダ装置12は、ミリ波を車両11の前方へ向けて送信するとともに、車外の物体に当たって反射されたミリ波を受信する機能を有している。ミリ波とは、波長が1mm~10mmであって周波数が30GHz~300GHzである電波をいう。車両11におけるミリ波レーダ装置12の後方には、ラジエータ13が配置されている。
【0019】
<車両用フロントグリル装置14>
図1~
図3に示すように、車両11におけるミリ波レーダ装置12の前方には、車両用フロントグリル装置14が車体に取り付けられた状態で配置されている。すなわち、車両用フロントグリル装置14は、車両11におけるミリ波レーダ装置12から送信されるミリ波の経路内に配置されている。車両用フロントグリル装置14は、車両11の前端部に設けられた左右のヘッドランプ15同士の間の位置に配置された矩形板状のグリル本体16と、グリル本体16に対して車両11の後方側から可視光を照射する発光モジュール17とを備えている。
【0020】
<グリル本体16>
図1~
図3に示すように、グリル本体16は、表面(意匠面)が車両11の前方を向くとともに裏面が車両11の後方を向くように、起立した状態で配置されている。グリル本体16は、ミリ波レーダ装置12のミリ波の経路内に配置される上部領域18と、上部領域18の下側に位置する下部領域19とを有している。上部領域18及び下部領域19は、グリル本体16における上下方向の中央部を境に互いに隣接している。
【0021】
<上部領域18>
図1~
図3に示すように、上部領域18は、車両11の前部に備えられたインナーグリル27に支持されている。上部領域18は、車両11の左右のヘッドランプ15同士の間の位置にあって左右のヘッドランプ15と隣接している。上部領域18には、矩形状をなすベースパネル20が配置されている。ベースパネル20は、ミリ波(電磁波)及び可視光の両方が透過する樹脂材料によって構成される。すなわち、ベースパネル20は、ミリ波透過性(電磁波透過性)を持つとともに可視光透過性を持つ例えばポリカーボネートなどの透明な樹脂材料によって構成される。
【0022】
ベースパネル20をポリカーボネートによって構成する場合には、ベースパネル20の前面に保護用のハードコート層(図示略)を設ける必要がある。また、ベースパネル20をPMMA(ポリメタクリル酸メチル)や共重合ポリカーボネートによって構成する場合には、ベースパネル20の前面に保護用のハードコート層(図示略)を設ける必要がない。
【0023】
図2~
図4に示すように、ベースパネル20の前面(意匠面)には、部分的に加飾部21が設けられている。すなわち、ベースパネル20の前面には、一例として正方形状をなす複数の加飾部21が等間隔で格子状に並ぶように設けられている。加飾部21は、ベースパネル20の前面のほぼ全体にわたって設けられている。加飾部21は、例えばホットスタンプ(金属箔を熱転写する技術)によってベースパネル20の前面に設けられる。加飾部21は、ミリ波透過性(電磁波透過性)を持つインジウムなどの金属材料によって構成される。加飾部21は、ミリ波及び可視光を透過させる。
【0024】
ベースパネル20の後面の中央部には、可視光を拡散させる光拡散部22が部分的に設けられている。この場合、光拡散部22は、一例として「TG」の文字を楕円で囲んだマーク23を形成している。ベースパネル20の前面におけるマーク23と対応する部分には、加飾部21は設けられていない。
【0025】
ベースパネル20の後面における光拡散部22以外の部分には、可視光を遮断する光遮断部24が設けられている。光遮断部24の後面全体には、光拡散部22が設けられている。光遮断部24の後面全体に設けられた光拡散部22は、上記マーク23を形成する光拡散部22と一体に形成されている。光拡散部22は、例えば白色の光拡散材の粒子が分散された樹脂材料によって構成される。
【0026】
光拡散部22を構成する樹脂材料としては、例えば共重合ポリカーボネートが用いられる。光拡散材を構成する材料としては、例えば酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられる。光遮断部24を構成する材料としては、例えば黒色の顔料が含有されることにより黒色に着色されたポリカーボネートなどの樹脂材料が用いられる。したがって、光遮断部24及び光拡散部22は、共にミリ波透過性(電磁波透過性)を持っている。
【0027】
<発光モジュール17>
図2~
図4に示すように、発光モジュール17は、上部領域18の中央部における光拡散部22の後面に設けられている。すなわち、発光モジュール17は、上部領域18とミリ波レーダ装置12との間に配置されている。つまり、発光モジュール17は、ミリ波レーダ装置12から送信されるミリ波の経路内に配置されている。発光モジュール17は、前側が開口するとともに後側を底壁とした有底四角箱状をなすハウジング25と、ハウジング25内に配置された複数の光源26とを備えている。
【0028】
ハウジング25は、例えばミリ波透過性(電磁波透過性)を持つ樹脂材料によって構成される。光源26は、例えばLED(発光ダイオード)によって構成される。発光モジュール17は、グリル本体16の上部領域18の中央部に可視光を照射するように配置されている。すなわち、発光モジュール17は、光源26の光が上部領域18におけるマーク23のある中央部を照らすように配置されている。
【0029】
<下部領域19>
図1~
図3に示すように、下部領域19には、インナーグリル27の一部を構成する矩形枠状のフレーム31が配置されている。フレーム31は、内側に矩形状の開口部28を有している。フレーム31の内側には、格子状に延びる樹脂製の支持部材29が設けられている。支持部材29の各交点部分には、一例として立方体状をなす樹脂製のブロック部30が設けられている。ブロック部30の各面は、ベースパネル20の前面の加飾部21と大きさ及び形状が同じになっている。
【0030】
複数のブロック部30は、ベースパネル20の前面の複数の加飾部21と縦横のピッチが同じになるように配置されている。各ブロック部30の前面には、ベースパネル20に形成された加飾部21と同一の加飾部21が形成されている。この場合、複数の加飾部21は、上部領域18及び下部領域19の両方にわたって同一の格子状のパターンを形成している。つまり、上部領域18及び下部領域19には、加飾部21が部分的に配置されている。
【0031】
<車両用フロントグリル装置14の作用>
次に、車両用フロントグリル装置14の作用について説明する。
図3に示すように、ミリ波レーダ装置12からミリ波が送信されると、この送信されたミリ波は、車両用フロントグリル装置14を透過する。車両用フロントグリル装置14を透過したミリ波は、先行車両及び歩行者等を含む車両11の前方の物体に当たって反射する。この反射したミリ波は、再び車両用フロントグリル装置14を透過した後、ミリ波レーダ装置12によって受信される。
【0032】
ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波に基づき、上記物体の認識や、車両11と上記物体との距離及び相対速度等の検出が行われる。この場合、ミリ波レーダ装置12によって送受信されるミリ波の経路内にある発光モジュール17、光拡散部22、光遮断部24、ベースパネル20、及び加飾部21は、全てミリ波透過性(電磁波透過性)を持っている。このため、車両用フロントグリル装置14は、ミリ波レーダ装置12によるミリ波の送受信を妨げない。したがって、ミリ波レーダ装置12による検出精度が向上される。
【0033】
また、車両用フロントグリル装置14は、グリル本体16の上部領域18及び上部領域18に設けられた発光モジュール17を、ミリ波レーダ装置12と対向させてミリ波を透過させるミリ波透過部として機能させている。このため、ミリ波レーダ装置12の高さをグリル本体16の上部領域18に合わせることで、ミリ波レーダ装置12の設置位置を地面から500mm~700mmの高さに設定し易くなる。因みに、ミリ波レーダ装置12は、一般に、地面から500mm~700mmの高さに設置することで、車外の物体の検出に対してより高いパフォーマンスを発揮することが知られている。
【0034】
また、発光モジュール17から上部領域18におけるマーク23のある中央部に可視光が照射されると、光拡散部22は可視光を拡散して透過させる一方、光遮断部24は可視光を遮断する。このため、グリル本体16を前側(意匠面側)から見た場合、マーク23だけが光って見える。これに加えて、グリル本体16の複数の加飾部21は、上部領域18及び下部領域19の両方にわたって同一の格子状のパターンを形成している。このため、グリル本体16の意匠性をより一層向上できる。
【0035】
さらに、車両11の特に走行中には、グリル本体16の下部領域19における開口部28を介して車両11の内部のラジエータ13に空気が十分に供給されるので、空気によるラジエータ13に対する冷却性を確保できる。
【0036】
このように、車両用フロントグリル装置14は、ミリ波を透過させる機能、グリル本体16の意匠性を向上する機能、及びラジエータ13に対する冷却機能の3つの機能を発揮することができる。したがって、車両用フロントグリル装置14の多機能化を実現できる。
【0037】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)車両用フロントグリル装置14は、車両11の前部に搭載されるとともにミリ波を車両11の前方に向けて送信するミリ波レーダ装置12のミリ波の経路内に配置される。車両用フロントグリル装置14は、ミリ波の経路内に配置される上部領域18と上部領域18の下側に位置する下部領域19とを有したグリル本体16と、グリル本体16に対して車両11の後方側から可視光を照射する発光モジュール17とを備える。上部領域18には、加飾部21が部分的に設けられるとともに可視光が透過するベースパネル20が配置される。下部領域19には、開口部28を有したフレーム31が配置される。ベースパネル20及び発光モジュール17は、ミリ波透過性を持っている。
【0038】
この構成によれば、発光モジュール17から上部領域18に対して可視光を照射することで、上部領域18を発光させることができる。このため、グリル本体16の意匠性を向上できる。また、下部領域19における開口部28を介して車両11の内部のラジエータ13に空気を供給できるので、空気によるラジエータ13に対する冷却性を確保できる。さらに、ベースパネル20及び発光モジュール17は、ミリ波透過性を持つため、ミリ波レーダ装置12によるミリ波の送受信を妨げない。このため、ミリ波レーダ装置12の検出精度を向上できる。したがって、グリル本体16の意匠性の向上、ラジエータ13に対する冷却性の確保、及びミリ波レーダ装置12の検出精度の向上を実現できる。すなわち、車両用フロントグリル装置14の多機能化を実現できる。
【0039】
(2)車両用フロントグリル装置14において、下部領域19には加飾部21が部分的に配置され、上部領域18及び下部領域19は互いに隣接しており、加飾部21は上部領域18及び下部領域19の両方にわたって同一のパターンを形成している。
【0040】
この構成によれば、上部領域18の意匠と下部領域19の意匠とを合わせることができるので、グリル本体16全体としての意匠性をより一層高めることができる。
(3)車両用フロントグリル装置14において、加飾部21は、ミリ波透過性を持っている。
【0041】
この構成によれば、加飾部21がミリ波レーダ装置12によるミリ波の送受信を妨げないので、ミリ波レーダ装置12の検出精度をより一層向上できる。
(4)車両用フロントグリル装置14において、ベースパネル20には、可視光を遮断する光遮断部24と、可視光を拡散させる光拡散部22とが設けられている。
【0042】
この構成によれば、光遮断部24及び光拡散部22の形状を調整することで、発光モジュール17から供給される可視光によってグリル本体16の上部領域18に可視光による文字や模様などを浮かび上がらせることができる。上記実施形態では、光遮断部24を黒色の背景として光拡散部22でマーク23が形成されている。このため、グリル本体16の上部領域18に可視光によって光るマーク23を浮かび上がらせることができる。
【0043】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・
図5に示すように、車両用フロントグリル装置14において、ベースパネル20を樹脂フィルムによって構成されたベースパネル40に変更してもよい。この場合、マーク23を形成する光拡散部22、マーク23の背景を形成する光遮断部24、及び複数の加飾部21は、ベースパネル40に含まれている。ベースパネル40は、保護用のハードコートとしての機能を有している。ベースパネル40は、例えば、後面に発光モジュール17が設けられる矩形板状に形成された光拡散部22の前面に貼り付けられる。このようにすれば、車両用フロントグリル装置14をより容易に製造できる。
【0045】
・
図6に示すように、車両用フロントグリル装置14は、電気自動車に搭載する場合、下部領域19を省略してもよい。
・発光モジュール17は、上部領域18の全体にわたって可視光を照射するように配置してもよい。このようにすれば、発光モジュール17の可視光によって上部領域18が全体的に発光するようにグリル本体16を構成することで、左右のヘッドランプ15の光と上部領域18の光とで連続した光による意匠を表現できる。
【0046】
・グリル本体16の上部領域18は、必ずしも左右のヘッドランプ15と隣接させる必要はない。
・光拡散部22及び光遮断部24は、省略してもよい。
【0047】
・加飾部21は、必ずしもミリ波透過性(電磁波透過性)を持つ必要はない。
・下部領域19には、必ずしも加飾部21を配置する必要はない。
・グリル本体16における上部領域18及び下部領域19は、必ずしも互いに隣接している必要はない。すなわち、例えば、グリル本体16における上部領域18と下部領域19との間に中部領域(図示略)を設けてもよい。
【0048】
・グリル本体16における上部領域18と下部領域19との割合は、適宜変更してもよい。
・加飾部21は、必ずしも上部領域18及び下部領域19の両方にわたって同一のパターンを形成している必要はない。すなわち、加飾部21は、上部領域18及び下部領域19でそれぞれ異なるパターンを形成してもよい。
【0049】
・加飾部21はベースパネル20の後面に設けてもよい。
・加飾部21の形状は、例えば円形や星形など、任意に変更してもよい。
・グリル本体16に形成される加飾部21の数や配置は、適宜変更してもよい。
【0050】
・レーダ装置が送信及び受信する電磁波には、ミリ波の他に、赤外線等の電磁波が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
11…車両
12…レーダ装置の一例としてのミリ波レーダ装置
13…ラジエータ
14…車両用フロントグリル装置
15…ヘッドランプ
16…グリル本体
17…発光モジュール
18…上部領域
19…下部領域
20,40…ベースパネル
21…加飾部
22…光拡散部
23…マーク
24…光遮断部
25…ハウジング
26…光源
27…インナーグリル
28…開口部
29…支持部材
30…ブロック部
31…フレーム