(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080502
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】受注管理方法及び受注管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230602BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193884
(22)【出願日】2021-11-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】516216483
【氏名又は名称】干場 健太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】干場 健太朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB54
(57)【要約】
【課題】 依頼主から預かる作業対象物の管理ミスを抑制できる。
【解決手段】 受注管理方法は、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業の作業識別情報を管理データベースに登録する受注ステップと、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名、前記作業の作業識別情報、及び、前記作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷する印刷ステップと、前記宛名の印刷物を用いて、前記作業識別情報及び前記梱包指示情報が印刷された印刷物と共に、包丁を包装するための包装体を前記依頼主に発送する発送ステップと、前記包装体に包装されていた包丁と、前記包装体に包装されていた前記作業識別情報の印刷物とを撮影する作業前撮影ステップと、撮影された前記包丁及び前記作業識別情報の画像データに基づいて、撮影された包丁の画像データを前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業前登録ステップとを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業を識別するための作業識別情報を管理データベースに登録する受注ステップと、
印刷装置が、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名、依頼された前記作業を識別する作業識別情報、及び、前記作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷する印刷ステップと、
前記宛名の印刷物を用いて、前記作業識別情報及び前記梱包指示情報が印刷された印刷物と共に、包丁を包装するための包装体を前記依頼主に発送する発送ステップと、
カメラが、前記包装体に包装されていた包丁と、前記包装体に包装されていた前記作業識別情報の印刷物とを撮影する作業前撮影ステップと、
コンピュータが、撮影された前記包丁及び前記作業識別情報の画像データに基づいて、撮影された包丁の画像データを前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業前登録ステップと
を有する受注管理方法。
【請求項2】
カメラが、作業が行われた後の前記包丁と、前記作業識別情報の印刷物とを撮影する作業後撮影ステップと、
撮影された作業後の前記包丁及び前記作業識別情報の画像データに基づいて、撮影された作業後の包丁の画像データを前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業後登録ステップと
をさらに有する請求項1に記載の受注管理方法。
【請求項3】
前記作業識別情報は、二次元コードとして印刷物に印刷されており、
前記作業前登録ステップにおいて、撮影された前記作業識別情報の二次元コードに基づいて、前記作業識別情報を特定し、特定された作業識別情報に関連付けて、撮影された包丁の画像データが前記管理データベースに登録される
請求項1に記載の受注管理方法。
【請求項4】
前記印刷ステップにおいて、前記作業識別情報の二次元コードが、依頼主用の印刷媒体と、前記包装体に包丁と同封するための印刷媒体とにそれぞれ印刷され、
コンピュータが、前記依頼主用の印刷媒体に印刷された二次元コードに基づいて依頼主の端末から要求された場合に、前記管理データベースから、前記二次元コードに対応する作業識別情報に基づいて画像データを読み出し、読み出された画像データを依頼主の端末に表示させる閲覧ステップ
をさらに有する請求項3に記載の受注管理方法。
【請求項5】
前記印刷ステップにおいて、複数の包丁に対する作業が依頼された場合に、複数の包丁それぞれに対する作業を識別するための複数の作業識別情報と、複数の包丁それぞれを包装するための複数の内袋を指定する情報が含まれた梱包指示情報とが印刷され、
前記発送ステップにおいて、複数の包丁に対する作業が依頼された場合に、前記印刷物及び前記包装体と共に、包丁の本数に対応する枚数の内袋が発送される
請求項1に記載の受注管理方法。
【請求項6】
コンピュータが、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業を識別するための作業識別情報を管理データベースに登録する受注ステップと、
印刷装置が、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名、及び、前記作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷する印刷ステップと、
前記宛名及び前記梱包指示情報が印刷された印刷物と共に、包丁を包装するための包装体と、前記作業識別情報が書き込まれた情報記録媒体とを前記依頼主に発送する発送ステップと、
携帯端末が、前記包装体に包装されていた包丁を撮影すると共に、前記包装体に包装されていた前記情報記録媒体から作業識別情報を読み取る作業前撮影ステップと、
コンピュータが、前記携帯端末により撮影された前記包丁の画像データを、前記携帯端末により読み取られた前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業前登録ステップと
を有する受注管理方法。
【請求項7】
包丁、及び、この包丁に対する作業を識別するための作業識別情報が撮影された画像データに基づいて、前記作業識別情報を特定する識別情報特定部と、
前記画像データを、前記識別情報特定部により特定された作業識別情報と、作業の段階とに関連付けて管理データベースに登録する登録部と、
作業を依頼した依頼主の端末から受信した作業識別情報に応じて、前記管理データベースから、前記作業識別情報に対応する画像データ及び作業の段階を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部により抽出された画像データ及び作業の段階を、前記依頼主の端末に返信する返信部と
を有する受注管理装置。
【請求項8】
包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業の作業識別情報を前記管理データベースに新規登録する受注部と、
前記受注部により登録された作業識別情報と、前記作業の依頼主の宛名情報を情報媒体に出力する情報出力部と
をさらに有し、
前記登録部は、前記識別情報特定部により特定された作業識別情報を前記管理データベースで探索し、発見された作業識別情報に関連付けて、前記画像データと、作業の段階とを前記管理データベースに登録する
請求項7に記載の受注管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受注管理方法及び受注管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、受け付けられた預かり物に対して物件識別コードを付与し、前記物件識別コードにより作業工程を管理するコンピュータと、前記物件識別コードに対応して前記コンピュータにより作成され、前記預かり物の属性情報を含む情報データが登録された第1の記憶手段と、前記預かり物のクリーニング処理前とクリーニング処理後の画像が前記物件識別コードに関連付けられて記憶された第2の記憶手段とを備え、閲覧者又は前記預かり物を預けた顧客は、端末装置から前記第1の記憶手段及び前記第2の記憶手段にアクセスして、前記第1の記憶手段に登録された情報データを検索条件として前記クリーニング処理前画像と前記クリーニング処理後画像を抽出できることを特徴とするクリーニング情報提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、依頼主から預かる作業対象物の管理ミスを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る受注管理方法は、コンピュータが、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業を識別するための作業識別情報を管理データベースに登録する受注ステップと、印刷装置が、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名、依頼された前記作業を識別する作業識別情報、及び、前記作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷する印刷ステップと、前記宛名の印刷物を用いて、前記作業識別情報及び前記梱包指示情報が印刷された印刷物と共に、包丁を包装するための包装体を前記依頼主に発送する発送ステップと、カメラが、前記包装体に包装されていた包丁と、前記包装体に包装されていた前記作業識別情報の印刷物とを撮影する作業前撮影ステップと、コンピュータが、撮影された前記包丁及び前記作業識別情報の画像データに基づいて、撮影された包丁の画像データを前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業前登録ステップとを有する。
【0006】
好適には、カメラが、作業が行われた後の前記包丁と、前記作業識別情報の印刷物とを撮影する作業後撮影ステップと、撮影された作業後の前記包丁及び前記作業識別情報の画像データに基づいて、撮影された作業後の包丁の画像データを前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業後登録ステップとをさらに有する。
【0007】
好適には、前記作業識別情報は、二次元コードとして印刷物に印刷されており、前記作業前登録ステップにおいて、撮影された前記作業識別情報の二次元コードに基づいて、前記作業識別情報を特定し、特定された作業識別情報に関連付けて、撮影された包丁の画像データが前記管理データベースに登録される。
【0008】
好適には、前記印刷ステップにおいて、前記作業識別情報の二次元コードが、依頼主用の印刷媒体と、前記包装体に包丁と同封するための印刷媒体とにそれぞれ印刷され、コンピュータが、前記依頼主用の印刷媒体に印刷された二次元コードに基づいて依頼主の端末から要求された場合に、前記管理データベースから、前記二次元コードに対応する作業識別情報に基づいて画像データを読み出し、読み出された画像データを依頼主の端末に表示させる閲覧ステップをさらに有する。
【0009】
好適には、前記印刷ステップにおいて、複数の包丁に対する作業が依頼された場合に、複数の包丁それぞれに対する作業を識別するための複数の作業識別情報と、複数の包丁それぞれを包装するための複数の内袋を指定する情報が含まれた梱包指示情報とが印刷され、前記発送ステップにおいて、複数の包丁に対する作業が依頼された場合に、前記印刷物及び前記包装体と共に、包丁の本数に対応する枚数の内袋が発送される。
【0010】
好適には、コンピュータが、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業を識別するための作業識別情報を管理データベースに登録する受注ステップと、印刷装置が、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名、及び、前記作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷する印刷ステップと、前記宛名及び前記梱包指示情報が印刷された印刷物と共に、包丁を包装するための包装体と、前記作業識別情報が書き込まれた情報記録媒体とを前記依頼主に発送する発送ステップと、携帯端末が、前記包装体に包装されていた包丁を撮影すると共に、前記包装体に包装されていた前記情報記録媒体から作業識別情報を読み取る作業前撮影ステップと、コンピュータが、前記携帯端末により撮影された前記包丁の画像データを、前記携帯端末により読み取られた前記作業識別情報に関連付けて前記管理データベースに登録する作業前登録ステップとを有する。
【0011】
また、本発明に係る受注管理装置は、包丁、及び、この包丁に対する作業を識別するための作業識別情報が撮影された画像データに基づいて、前記作業識別情報を特定する識別情報特定部と、前記画像データを、前記識別情報特定部により特定された作業識別情報と、作業の段階とに関連付けて管理データベースに登録する登録部と、作業を依頼した依頼主の端末から受信した作業識別情報に応じて、前記管理データベースから、前記作業識別情報に対応する画像データ及び作業の段階を抽出する情報抽出部と、前記情報抽出部により抽出された画像データ及び作業の段階を、前記依頼主の端末に返信する返信部とを有する。
【0012】
好適には、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業の作業識別情報を前記管理データベースに新規登録する受注部と、前記受注部により登録された作業識別情報と、前記作業の依頼主の宛名情報を情報媒体に出力する情報出力部とをさらに有し、前記登録部は、前記識別情報特定部により特定された作業識別情報を前記管理データベースで探索し、発見された作業識別情報に関連付けて、前記画像データと、作業の段階とを前記管理データベースに登録する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、依頼主から預かる作業対象物の管理ミスを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は、包丁研ぎサービスの注文から作業完了までの流れを示し、(B)は、包丁研ぎサービスにおける依頼主と作業者との間のやり取りを示す図である。
【
図2】受注管理システム1のハードウェア構成を例示する図である。
【
図3】受注管理サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。
【
図4】受注管理サーバ2の機能構成を例示する図である。
【
図5】管理データベース560に登録される情報を例示する図である。
【
図6】包装箱600及びその同封物を例示する図である。
【
図7】全体の流れを示す全体シーケンス(S10)を例示する図である。
【
図8】受注管理サーバ2による工程管理処理(S20)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、本発明がなされた背景を説明する。
図1(A)は、包丁研ぎサービスの注文から作業完了までの流れを示し、
図1(B)は、包丁研ぎサービスにおける依頼主と作業者との間のやり取りを示す。
図1に例示するように、包丁研ぎサービスでは、依頼主が、作業者のウェブサイトで包丁研ぎの作業を依頼する。作業者は、この依頼(注文)に応じて、包丁(作業対象物)を梱包するための包装箱を依頼主に発送する。依頼主は、包装箱に包丁を梱包して、作業者宛てに発送する。作業者は、依頼主から送られてきた包装箱から、包丁を取り出し研ぎ作業を行って依頼主に送り返す。
このように、注文から作業完了までの間に、依頼主の関与が存在し、作業者が作業対象物(包丁)を直接管理することができない工程が含まれている。そのため、作業対象物(包丁)の管理ミスが発生する可能性がある。例えば、依頼主が包装箱に入れる包丁の本数を勘違いする場合がある。また、注文順に包丁が送られてくる訳ではなく、注文順に作業ができず、管理が難しい。
【0016】
そこで、本実施形態の受注管理システム1では、作業を識別する作業識別情報に関連付けた状態で、包丁の包装箱を依頼主に送付し、作業識別情報に関連付けた状態で、包装箱を送り返してもらう。より具体的には、本受注管理システム1では、作業識別情報が印刷された印刷物を、包丁を返送するための包装箱と共に依頼主に送付し、送付された包装箱に、作業対象となる包丁と、作業識別情報が印刷された印刷物とを同封して作業者に送り返してもらう。さらに、送り返してもらった包丁と、作業識別情報が印刷された印刷物とを関連付けた状態で、包丁に対する作業を行い、作業が完了した包丁を依頼主に送付する。また、本受注管理システム1では、作業の前後に、作業の対象物である包丁と、作業識別情報が印刷された印刷物を同時に撮影して、依頼主に閲覧可能な状態にする。
【0017】
図2は、受注管理システム1のハードウェア構成を例示する図である。
図2に例示するように、受注管理システム1は、受注管理サーバ2と、複数の携帯端末4とを含み、これらはローカルエリアネットワーク74(LAN74)を介して互いに接続している。また、依頼主が操作する依頼主端末8は、インターネット70を介して、受注管理サーバ2にアクセスし、作業の発注処理や作業状況の確認処理を行うことができる。
受注管理サーバ2は、後述する受注管理プログラム5(
図4)が動作するコンピュータ端末であり、依頼主端末8からの発注を受け付ける受注処理、受注した作業を管理する管理処理、及び、依頼主端末8からの照会要求に応じる照会処理を行う。
携帯端末4は、カメラ等の撮影機能が内蔵されたコンピュータ端末であり、作業を行う作業者が操作する。本例では、依頼主から送付された包丁(包装箱に包装された状態)を受け入れる受入れ作業者が操作する携帯端末4Aと、作業が完了した包丁を依頼主に送付する出荷作業者が操作する携帯端末4Dとが含まれている。なお、本例では、説明の便宜上、受入れ作業者や出荷作業者等を区別しているが、本発明の「作業者」は、これらの作業者を含む抽象的な概念であり、例えば、複数の作業者によるチームであってもよいし、工場などの作業現場全体であってもよい。
【0018】
図3は、受注管理サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、受注管理サーバ2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び、入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、
図4の受注管理プログラム5)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0019】
図4は、受注管理サーバ2の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、受注管理サーバ2には、受注管理プログラム5がインストールされていると共に、管理データベース560(管理DB560)が構成されている。受注管理プログラム5は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、受注管理サーバ2にインストールされる。
受注管理プログラム5は、受注部500、工程管理部505、情報出力部510、識別情報取得部515、画像データ取得部520、識別情報特定部525、印刷部530、登録部535、情報抽出部540、及び、返信部545を有する。
なお、受注管理プログラム5の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0020】
受注管理プログラム5において、受注部500は、依頼主から、包丁に対する作業の依頼を受け付け、依頼された作業を識別するための作業識別情報を管理データベース560に登録する。作業識別情報は、例えば、作業依頼の受付順に付与されるシリアル番号である。本例の受注部500は、インターネット70を経由して、依頼主端末8から、依頼する作業の内容を示す発注データを受信し、受信した発注データを作業識別情報に関連付けて管理データベース560に登録する。発注データには、例えば、作業対象となる包丁の本数、種類、サイズ、並びに、依頼主の氏名及び住所等が含まれている。
【0021】
工程管理部505は、作業者が操作する携帯端末4からの情報に基づいて、管理データベース560に登録されている作業の工程を更新する。作業の工程には、例えば、作業対象物の受け入れが完了した受入済み状態、作業対象物に対する作業を開始した作業開始状態、作業対象物に対する作業が終了した作業終了状態、及び、作業対象物を依頼主宛てに出荷した出荷済み状態が含まれる。
【0022】
情報出力部510は、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名情報、依頼された作業を識別する作業識別情報、及び、作業の対象となる包丁の梱包指示情報を出力する。情報出力部510の出力先は、紙媒体等への印刷物であってもよいし、RFIDなどの記録媒体であってもよいし、メール添付等による依頼主端末8であってもよいし、運送業者の運送物管理システムであってもよい。本例の情報取得部510は、受け付けた作業依頼の依頼主の宛名情報、依頼された作業を識別する作業識別情報、及び、作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷部530に出力してプリンタ(不図示)に印刷させる。作業識別情報は、例えば、QRコードなどの二次元コードとして紙媒体に印刷される。なお、情報出力部510は、依頼された作業の作業識別情報を、RFIDなどの情報記録媒体に書き込んでもよい。
【0023】
識別情報取得部515は、携帯端末4を介して、作業の各段階で作業識別情報を取得する。本例の識別情報取得部515は、作業対象物の受入れ時に包装箱600の外側に表示されたQRコードを受入れ作業者の携帯端末4Aが読み取ると、読み取られたQRコードに基づいて、受け入れた作業対象物の作業識別情報を特定する。同様に、本例の識別情報取得部515は、作業対象物の出荷時に包装箱600の外側に表示されたQRコードを出荷作業者の携帯端末4Dが読み取ると、読み取られたQRコードに基づいて、出荷される作業対象物の作業識別情報を特定する。
【0024】
画像データ取得部520は、携帯端末4を介して、包丁、及び、この包丁に対する作業を識別するための作業識別情報を撮影し、撮影された画像データを取得する。本例の画像データ取得部520は、携帯端末4を介して、開梱された包装箱600に載せられた包丁、及び、この包装箱600の内側に表示されたQRコード(作業識別情報)を作業開始前及び作業終了後に撮影し、撮影された画像データを取得する。
【0025】
識別情報特定部525は、画像データ取得部520により取得された画像データに基づいて、作業識別情報を特定する。本例の識別情報特定部525は、作業開始前に撮影された画像データに含まれるQRコードに基づいて、作業が開始される作業対象物の作業識別情報を特定し、作業終了後に撮影された画像データに含まれるQRコードに基づいて、作業が終了した作業対象物の作業識別情報を特定する。
【0026】
印刷部530は、情報出力部510から出力される情報の全部又は一部を印刷する。本例の印刷部530は、受注部500が依頼主端末8から発注データを受信し、受信した発注データを作業識別情報に関連付けて管理データベース560に登録すると、情報取得部510から出力された情報に基づいて、依頼主の宛名、作業識別情報を示すQRコード、及び、作業の対象となる包丁の梱包指示情報をプリンタに印刷させる。
【0027】
登録部535は、画像データ取得部520により取得された画像データを、識別情報特定部525により特定された作業識別情報と、作業の段階とに関連付けて管理データベース560に登録する。登録される画像データは、取得された画像データ全体でもよいし、QRコードの領域が削除された一部の画像領域であってもよい。本例の登録部535は、画像データ取得部520が作業開始前に撮影された画像データを取得すると、取得された画像データ(作業開始前の包丁を撮影した画像)を、作業識別情報及び作業開始状態に関連付けて管理データベース560に登録し、画像データ取得部520が作業終了後に撮影された画像データを取得すると、取得された画像データ(作業終了後の包丁を撮影した画像)を、作業識別情報及び作業終了状態に関連付けて管理データベース560に登録する。
【0028】
情報抽出部540は、依頼主端末8から受信した作業識別情報に応じて、管理データベース560から、作業識別情報に対応する画像データ及び作業の段階を抽出する。
返信部545は、情報抽出部540により抽出された画像データ及び作業の段階を、依頼主端末8に返信する。このように、作業の依頼主は、作業識別情報に基づいて、依頼した作業の段階と、包丁の画像(作業開始前及び作業終了後)を閲覧することができる。
【0029】
図5は、管理データベース560に登録される情報を例示する図である。
図5に例示するように、管理データベース560には、作業の進捗状況を示す「工程」と、作業を依頼した依頼主の宛先情報である「宛先」と、作業対象物を受け入れた日である「受入日」及び作業開始日と、作業開始前に撮影された画像データである「作業前写真」と、作業終了日及び出荷日と、作業終了後に撮影された画像データである「作業後写真」とを、作業識別情報である受注ID及び包丁IDに関連付けて登録する。なお、本例では、受注ID及び包丁IDを作業識別情報としているが、これに限定されるものではなく、作業を受注単位で管理する場合には、受注IDを作業識別情報としてもよいし、作業を包丁単位で管理する場合には、包丁IDを作業識別情報としてもよい。
【0030】
図6は、包装箱600及びその同封物を例示する図である。包装箱600は、本発明に係る包装体の一例である。
図6に例示するように、依頼主から作業の依頼を受け付けると、作業対象物である包丁を入れるための包装箱600と、この包丁を入れる内袋610と、包丁の梱包方法を指示する梱包指示書620と、依頼主が保管する閲覧控え630とが、依頼主の下に送付される。内袋610は、刃物の搬送に伴う危険を抑制するためのものであると共に、錆抑制機能のある袋体であり、その外面に包丁識別コード612(包丁IDの二次元コード)が表示されている。内袋610は、依頼された作業対象物(包丁)の本数に応じた枚数だけ同封される。内袋610の枚数によって、梱包すべき包丁の本数を依頼主に示唆することができる。
梱包指示書620は、情報出力部510により出力された梱包指示情報及び作業識別情報の二次元コード(受注識別コード622)が印刷された印刷物であり、包装箱600の送付準備を行う作業者に対する指示書として機能すると共に、依頼主が包丁を包装箱600に梱包する際の案内書として機能する。
閲覧控え630は、情報出力部510により出力された作業識別情報(受注ID)及び受注管理サーバ2のURLが含まれた二次元コード(アクセスコード632)が印刷された印刷物であり、依頼主端末8により受注管理サーバ2にアクセスして、依頼した作業の進捗状況や、研ぎ作業前後の包丁の写真を確認する際に使用される。
これら包装箱600及び同封物は、情報出力部510により出力された宛先情報に従って、依頼主の下に送付される。
なお、本例では、包丁識別コード612が内袋610に表示されているが、包丁識別コード612を直接、包丁に貼り付けてもよい。
【0031】
図7は、全体の流れを示す全体シーケンス(S10)を例示する図である。
図7に例示するように、ステップ100(S100)において、依頼主は、依頼主端末8を操作して、受注管理サーバ2にアクセスし、包丁研ぎの作業を依頼する発注データを送信する。
ステップ105(S105)において、受注管理サーバ2は、依頼主端末8から発注データを受信すると、依頼された作業の識別情報である発注IDを生成し、生成された発注IDと、受信した発注データとを互いに関連付けて管理データベース560に登録する。
【0032】
ステップ110(S110)において、受注管理サーバ2は、依頼主の宛名情報、作業の受注IDを示す二次元コード、包丁識別コード612、及び、作業の対象となる包丁の梱包指示情報を印刷部530に出力して印刷させる。これにより、依頼主への宛名ラベルに加えて、
図6の梱包指示書620、閲覧控え630、及び内袋610が作成される。
ステップ115(S115)において、印刷された宛名ラベルを使用して、
図6の包装箱600、梱包指示書620、閲覧控え630、及び内袋610が送付される。
【0033】
ステップ120(S120)において、依頼主は、送付されてきた梱包指示書620に従って、作業対象物である包丁を内袋610で包み、内袋610に包まれた包丁を包装箱600に梱包する。閲覧控え630は、依頼主の下に残し、作業の進捗情報を閲覧する際に使用される。
ステップ125(S125)において、包装箱600は、作業者に返送される。
【0034】
ステップ130(S130)において、受入れ作業者は、携帯端末4Aを操作して、包装箱600の外側に貼付された受注IDの二次元コードを読み取り、包丁の受入処理を行う。受注管理サーバ2は、携帯端末4Aにより読み取られた受注IDに基づいて、この受注IDに対応する作業を受入済み状態に更新する。
ステップ135(S135)において、開梱作業者は、包装箱600を開梱し、携帯端末4Bにより、包装箱600の内側に貼付された受注IDの二次元コード、内袋610、及び包丁(作業前)を撮影する。受注管理サーバ2は、携帯端末4Bにより撮影された受注IDの二次元コード、包丁識別コード612、及び包丁の画像データに基づいて、この受注ID及び包丁識別コード612に対応する作業を作業開始状態に更新し、撮影された画像データを作業開始前に関連付けて管理データベース560に登録する。
【0035】
ステップ140(S140)において、研ぎ作業者は、研ぎ作業が終了した包丁を包装箱600に載せて携帯端末4Cにより撮影する。受注管理サーバ2は、携帯端末4Cにより撮影された受注IDの二次元コード、包丁識別コード612及び包丁の画像データに基づいて、この受注ID及び包丁識別コード612に対応する作業を作業終了状態に更新し、撮影された画像データを作業終了後に関連付けて管理データベース560に登録する。
ステップ145(S145)において、出荷作業者は、研ぎ作業が終了した包丁を内袋610に包み、内袋610に包まれた包丁を包装箱600に梱包して、包装箱600の外側に貼付された受注IDの二次元コードを、携帯端末4Dで読み取る。受注管理サーバ2は、携帯端末4Dにより読み取られた受注IDに基づいて、この受注IDに対応する作業を出荷済み状態に更新する。
ステップ150(S150)において、作業が終了した包丁を梱包した包装箱600は、依頼主に返送される。
【0036】
図8は、受注管理サーバ2による工程管理処理(S20)を説明するフローチャートである。
図8に示すように、ステップ200(S200)において、受注管理サーバ2の工程管理部505(
図4)は、受注部500により登録された作業(受注データ)の進捗状況を作業識別情報(受注ID)に関連付けて管理する。
【0037】
工程管理部505は、識別情報取得部515により受注IDが最初に読み取られるまで待機し(S200:No)、初めて受注IDが読み取られた場合に、S205の処理に移行する(S200:Yes)。なお、受注IDが最初に読み取られるタイミングは、包装箱600が送付されてきた後で、包装箱600の外側に貼付された受注識別コード622が携帯端末4Aにより読み取られたときである。
ステップ205(S205)において、工程管理部505は、識別情報取得部515により読み取られた受注IDに関連付けられている作業の工程(
図5の管理データベース560に登録されている工程情報)を、受入済み状態に更新する。
【0038】
ステップ210(S210)において、工程管理部505は、識別情報特定部525により受注IDが最初に特定されるまで待機し(S210:No)、初めて受注IDが特定された場合に、S215の処理に移行する(S210:Yes)。なお、識別情報特定部525により受注IDが特定されるタイミングは、包装箱600が開梱された状態で、包装箱600の内側に貼付された受注識別コード622と、包装されていた包丁とを携帯端末4Bにより撮影し、撮影された画像データから識別情報特定部525により受注IDが特定されるときである。
ステップ215(S215)において、工程管理部505は、識別情報特定部525により特定された受注IDに関連付けられている作業の工程を、作業開始状態に更新する。
【0039】
ステップ220(S220)において、工程管理部505は、識別情報特定部525により同一の受注IDが二度目に特定されるまで待機し(S220:No)、同一の受注IDが二度目に特定された場合に、S225の処理に移行する(S220:Yes)。なお、識別情報特定部525により同一の受注IDが特定されるタイミングは、研ぎ作業が終了した包丁を包装箱600の上に載せた状態で、携帯端末4Cにより撮影された後である。
ステップ225(S225)において、工程管理部505は、識別情報特定部525により特定された受注IDに関連付けられている作業の工程を、作業終了状態に更新する。
【0040】
ステップ230(S230)において、工程管理部505は、識別情報取得部515により同一の受注IDが二度目に読み取られるまで待機し(S230:No)、同一の受注IDが二度目に読み取られた場合に、S235の処理に移行する(S230:Yes)。なお、受注IDが二度目に読み取られるタイミングは、研ぎ作業が完了した包丁が包装箱600に梱包された後で、包装箱600の外側に貼付された受注識別コード622が携帯端末4Dにより読み取られたときである。
ステップ235(S235)において、工程管理部505は、識別情報取得部515により読み取られた受注IDに関連付けられている作業の工程を、出荷済み状態に更新する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態における受注管理システム1によれば、依頼主から預かる作業対象物(包丁)の管理ミスを抑制できる。具体的には、作業の受注段階から作業済みの包丁を出荷する段階まで、作業識別情報(受注ID)に関連付けて作業対象物(包丁)が管理されるため、作業の進捗及び作業対象物の所在を容易に特定することができる。また、受注IDを示す受注識別コード622が印刷された梱包指示書620を、包装箱600と共に依頼主に送付することにより、受注IDと関連付けた状態で、包丁の梱包状態を定型化できるため、包装箱600を開梱する際の管理ミスを減らすことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 受注管理セット
2 受注管理サーバ
4 携帯端末
5 受注管理プログラム
600 包装箱
622 受注識別コード