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特開2023-80529アレイ型超音波映像装置および超音波画像表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080529
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】アレイ型超音波映像装置および超音波画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
G01N29/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193923
(22)【出願日】2021-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黛 高明
(72)【発明者】
【氏名】北見 薫
(72)【発明者】
【氏名】郡司 浩行
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AC10
2G047BA03
2G047BB06
2G047BC07
2G047CA01
2G047DB02
2G047DB03
2G047DB14
2G047EA09
2G047GB02
2G047GF15
2G047GG09
2G047GG35
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】アレイ型超音波映像装置の被検体の反射波の超音波映像表示を高速化する。
【解決手段】超音波振動子22の所定数の連続する素子により形成される振動子群22Sを順次選択して順次超音波ビームを出射するアレイ型超音波映像装置において、振動子駆動信号と受信信号を接続する振動子群を形成する素子を選択する選択部61を備え、振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、選択部に指示して第1グループの振動子群により超音波ビームを出射した後に、選択部に指示して第2グループの振動子群により超音波ビームを出射し、その後に、選択部に指示して第1グループの振動子群を選択して反射超音波を受信した後に、選択部に指示して第2グループの振動子群を選択して反射超音波を受信し、表示部に同一波形に重ねずに表示するようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置において、
振動子群が受信した前記反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、
振動子駆動信号と前記受信信号を接続する前記振動子群を形成する前記素子を選択する選択部と、
前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、
前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射し、その後に、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信するように前記選択部に指示する制御部と、
前記信号処理部による受信信号の処理結果を、表示部に同一波形に重ねずに表示する画像生成部と、
を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記画像生成部は、第1グループの振動子群が前記反射超音波を受信した時刻と第2グループの振動子群が前記反射超音波を受信した時刻との時間差分ずらして、前記信号処理部による受信信号の処理結果を表示する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、第1グループの振動子群により超音波ビームを出射した後に、前記第1グループの振動子群の超音波に干渉しない距離だけ離隔した位置の第2グループの振動子群の超音波ビームを出射する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、第1グループの振動子群により超音波ビームを出射した後に、前記第1グループの振動子群の超音波に干渉しない距離だけ離隔した位置の第2グループの振動子群の超音波ビームを出射すると共に、前記第1グループの振動子群と前記第2グループの振動子群とを交互に、前記第1グループと前記第2グループのそれぞれで振動子群を順次選択する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項5】
請求項3に記載のアレイ型超音波映像装置において、さらに、
前記振動子群の素子で受信した反射超音波の受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部でデジタル信号に変換した反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、を備え、
前記選択部により選択された第1グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号は、前記AD変換部でデジタル変換され、前記信号処理部で、デジタル変換した受信信号が処理されると共に、
前記選択部により選択された第2グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号は、前記AD変換部でデジタル変換され、前記信号処理部で、デジタル変換した受信信号が処理される
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記信号処理部は、前記選択部により選択された第1グループまたは第2グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号をデジタル変換した受信信号を、画像化するための開始タイミングと終了タイミングとを横軸の時間軸として設定し、縦軸に許容最大振幅を設定したゲートに画像化処理をする
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項7】
アレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置の超音波画像表示方法であって、
前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、
第1グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射した後に、第2グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射し、その後に、第1グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信した後に、第2グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信し、
第1グループの振動子群の反射超音波の受信信号と第2グループの振動子群の反射超音波の受信信号とを、表示部に同一波形に重ねずに表示する、
ことを特徴とする超音波画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ型超音波映像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体(被検体)の集積度が高まるにつれ、被検体内部の界面における剥離を探傷する時間の短縮化、つまり高速探傷が求められている。その一つの方法として、電子的に複数の超音波振動子の動作を切り替えるアレイ型超音波映像装置による探傷方法が知られている。しかしながら、被検体である半導体の更なる高集積化等に対応するため、更なる探傷の高速化が求められている。
【0003】
特許文献1には、複数の超音波振動子を直線状に配置し、その内所定個数の素子系列を選択し、それぞれに位相調整された電圧パルスを与えて集束超音波ビームを発生し、該選択を順次切替え、超音波ビームを走査して得られるエコーを移動平均処理することにより散乱ノイズを軽減し、SN比を向上させる発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-153847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、単一振動子よりは短時間での検査が可能と記載されているが、それ以上の記述はなく、高速化についても記載されていない。
アレイ型超音波映像装置が短時間で被検体の超音波映像を表示するための方法は、電子的な走査時間の短縮や、超音波受信信号の処理時間の短縮などがある。近年の集積回路技術の発達により、処理時間の高速化は可能である。一方、電子的な走査には、超音波の送受信に要する時間が必要であり、物理的な限界がある。
【0006】
本発明の目的は、被検体の反射波の超音波映像表示を高速化する超音波映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のアレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置は、振動子群が受信した前記反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、振動子駆動信号と前記受信信号を接続する前記振動子群を形成する前記素子を選択する選択部と、前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射し、その後に、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信するように前記選択部に指示する制御部と、前記信号処理部による受信信号の処理結果を、表示部に同一波形に重ねずに表示する画像生成部と、を備えるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアレイ型超音波映像装置によれば、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループの振動子群と後半領域に超音波ビームを出射する第2グループの振動子群とが、所定の順序に並行して超音波ビームの走査を行うので、被検体の反射波の超音波映像表示の高速化を簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のアレイ型超音波映像装置の構成図である。
図2】実施形態のアレイ型超音波映像装置の斜視図である。
図3】アレイ型超音波映像装置の選択部の詳細を説明する機能ブロック図である。
図4A】振動子群22Sの送信超音波ビームの出射位置を説明する図である。
図4B】振動子群22Sの送信超音波ビームのつぎの出射位置を説明する図である。
図4C】振動子群22Sの送信超音波ビームのさらにつぎの出射位置を説明する図である。
図5】送信超音波ビームの出射と反射超音波の受信のタイミングと、スイッチの選択状態を説明する図である。
図6】反射超音波の受信信号の処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態のアレイ型超音波映像装置1の構成図である。
【0011】
アレイ型超音波映像装置1は、超音波の送受信を行うアレイプローブ20と、このアレイ型超音波映像装置1を統括制御して超音波映像を表示する映像表示装置50と、アレイプローブ20との間で電気信号を入出力する送受信装置60とを備えている。アレイ型超音波映像装置1は更に、アレイプローブ20を機械的に走査するX軸スキャナ71およびY軸スキャナ72と、アレイプローブ20を高さ方向に調整または走査するZ軸スキャナ73と、X軸スキャナ71およびY軸スキャナ72、Z軸スキャナ73を制御するメカ制御装置70とを備えている。
【0012】
アレイプローブ20は、X軸スキャナ71、Y軸スキャナ72およびZ軸スキャナ73に支えられて、水槽90に満たされた水91に浸漬され、超音波振動子22が被検体95に対向するように配置される。これによりアレイプローブ20は、被検体95の構成部材の層間に形成される界面などの超音波画像を撮像する。
【0013】
アレイプローブ20は、このアレイプローブ20の走査位置を検知するエンコーダ21と、電気信号と超音波信号とを相互に変換する超音波振動子22を備えている。超音波振動子22は、複数の素子がアレイ状に連続的に配設されたフェーズドアレイ超音波振動子であり、被検体95に送信超音波(超音波ビーム)を出射して、この被検体95から反射された反射超音波を受信する。
【0014】
映像表示装置50は、アレイプローブ20の走査位置を制御する走査制御部51と、超音波の送受信タイミングを制御する制御部52と、超音波画像を生成する画像生成部53とを備えている。
【0015】
送受信装置60は、選択部61と、AD変換部62と、信号処理部64、振動子信号生成部65とを備えている。
【0016】
選択部61は、超音波振動子22の複数の素子の中の所定数の連続する素子から成り送信超音波ビームを出射する振動子群22Sを選択する。
選択された振動子群22Sには、素子毎に振動子信号生成部65で生成された位相が異なる振動子駆動信号が供給され、振動子群22Sから集束した超音波ビームが出射する。
選択された振動子群22Sから出射した送信超音波ビームは、被検体95の探傷すべき界面で反射して反射超音波となり、選択され振動子群22Sによって受信され、受信信号に変換される。
【0017】
AD変換部62は、この振動子群22Sが変換した受信信号を、素子毎の距離差による遅延補償と合成を行うと共にデジタル変換する。
信号処理部64は、AD変換部62が変換したデジタルの受信信号を信号処理して、画像生成部53に出力する。つまり、信号処理部64は、振動子群22Sが受信した、被検体95の探傷すべき界面からの反射超音波を信号処理する。
【0018】
走査制御部51は、メカ制御装置70(スキャナ)と入出力可能に接続されている。走査制御部51は、メカ制御装置70とX軸スキャナ71とY軸スキャナ72とZ軸スキャナ73によってアレイプローブ20の走査位置を制御すると共に、メカ制御装置70からアレイプローブ20の現在の走査位置情報を受信する。
【0019】
メカ制御装置70の出力側は、X軸スキャナ71、Y軸スキャナ72およびZ軸スキャナ73に接続されている。メカ制御装置70には、アレイプローブ20のエンコーダ21の出力側が接続されている。メカ制御装置70は、エンコーダ21の出力信号によって、アレイプローブ20の走査位置を検知し、X軸スキャナ71、Y軸スキャナ72およびZ軸スキャナ73によって、アレイプローブ20が指示された走査位置になるように制御する。メカ制御装置70は、走査制御部51からアレイプローブ20の制御指示を受けると共に、アレイプローブ20の走査位置情報を応答する。
【0020】
制御部52は、走査制御部51から取得したアレイプローブ20の走査位置情報に基づいて、送受信装置60に動作指令信号を出力する。この動作指令信号は、選択部61と振動子信号生成部に出力される。制御部52は、この動作指令信号により、振動子群22Sの選択と、振動子群22Sからの送信超音波(超音波ビーム)の出射と反射超音波の受信を制御する。
【0021】
超音波振動子22を構成する各素子は、圧電膜の両面にそれぞれ電極が取り付けられており、ZnO、セラミックス、フッ素系共重合体などで構成される。超音波振動子22を構成する各素子は、両電極間に電圧が印加されることにより、当該圧電膜から送信超音波を出射する。更に超音波振動子22を構成する各素子は、当該圧電膜が受信したエコー波(反射超音波)を、前記両電極間に発生する電圧である受信信号に変換する。
【0022】
選択部61は、超音波振動子22の素子が受信した反射超音波の受信信号をAD変換部62に中継する。
そして、AD変換部62が、アナログの受信信号をデジタル変換する。
【0023】
信号処理部64は、所定期間の超音波振動子22の受信信号を信号処理して、反射超音波の振幅情報または時間情報を、画像生成部53に出力する。
詳しくは、信号処理部64は、振動子群22Sに対応する素子の反射超音波の受信信号をAD変換部62でデジタル変換した受信信号を、画像化するための開始タイミングと終了タイミングとを横軸の時間軸として設定し、縦軸に許容最大振幅を設定したゲートに画像化処理をする。
【0024】
画像生成部53は、信号処理部64の出力信号に基づいて、被検体の超音波画像を生成するものである。
【0025】
図2は、アレイ型超音波映像装置1の斜視図である。
ここでは、アレイ型超音波映像装置1の一部として、X軸スキャナ71と、Y軸スキャナ72と、Z軸スキャナ73と、アレイプローブ20のみが示されている。
【0026】
Y軸スキャナ72は、X軸スキャナ71を±Y方向(奥行方向)に移動させるものである。X軸スキャナ71は、アレイプローブ20を±X方向(左右方向)に移動させるものである。Z軸スキャナ73は、アレイプローブ20を±Z方向(高さ方向)に調整するか、または移動させるものである。
【0027】
アレイプローブ20は、先端部に複数の素子がY方向に配設された超音波振動子22(図1)を備え、更にエンコーダ21を備えている(図1)。アレイプローブ20は、水槽90に満たされた水91に浸漬され、被検体95の上部Z方向に所定の距離を於いて対向するように配置されている。アレイプローブ20と被検体95の距離は、Z軸スキャナ73によって調整される。
【0028】
アレイ型超音波映像装置1の超音波振動子22は、複数の素子のうちの所定数の素子から成る振動子群22Sを駆動して順に超音波ビームを出射して、Y方向の走査を行う。本明細書では、超音波振動子22の超音波ビームの走査を電子スキャンと記す。
【0029】
アレイ型超音波映像装置1は、超音波振動子22の電子スキャンを行いながら、X軸スキャナ71により、被検体95の走査面の±X方向(左右方向)にアレイプローブ20を移動し、走査面の±X方向の端部で、Y軸スキャナ72により、被検体95の走査面のY方向にアレイプローブ20(X軸スキャナ71)を電子スキャンの走査幅分移動する。
これにより、アレイ型超音波映像装置1は、アレイプローブ20による被検体95の走査面の2次元走査を行い、被検体95の超音波映像を撮像する。
【0030】
図3は、図1で説明した実施形態のアレイ型超音波映像装置1の選択部61の詳細を説明する機能ブロック図である。
選択部61は、スイッチ部611と振動子ドライバ612から構成する。
【0031】
振動子ドライバ612は、スイッチ部611からの振動子駆動信号を増幅するアンプと、超音波振動子22が受信した反射超音波の受信信号を増幅するアンプが組み合わされ、超音波振動子22の素子に一対一で接続されている。
【0032】
スイッチ部611は、チャンネル制御部6111と複数のマルチプレクサ6112を備える。
チャンネル制御部6111は、超音波ビームを出射する振動子群22S(チャンネル)および反射超音波を受信する振動子群22S(チャンネル)をマルチプレクサ6112に指示する。
【0033】
マルチプレクサ6112は、チャンネル制御部6111のチャンネル指示に基づいて、振動子信号生成部65で生成された位相が異なる複数の振動子駆動信号を、チャンネルに対応する振動子ドライバ612にそれぞれ接続すると共に、チャンネル指示に基づいて、チャンネルに対応する振動子ドライバ612の反射超音波の受信信号を、AD変換部62に接続する。なお、図3では、複数チャンネル分のマルチプレクサを一つのブロックとして図示している。
【0034】
以上により、選択部61は、超音波振動子22の複数の素子から、振動子群22Sを選択して超音波ビームを出射すると共に、反射超音波を受信する振動子群22Sを選択する。
なお、詳細は後述するが、チャンネル制御部6111は、超音波振動子22の素子が配列する方向(Y方向)の前半領域と後半領域の領域について、並行して送信超音波ビームを出射し反射超音波を受信して電子スキャンを行うように、プロセッサがプログラムを実行することによって所定の周期でチャンネルを順次指示する。
【0035】
図3において、スイッチ部611で振動子信号生成部65に接続され、振動子ドライバ612を介して、位相制御された振動子駆動信号が入力された7つの素子は、それぞれ超音波を出射し、所定の焦点位置(被検体95の表面や第一層95aと第二層95bとの界面までの距離)に集束する送信超音波ビームを生成する。つまり、送信超音波ビームを生成する7の素子が、振動子群22Sになる。
【0036】
被検体95の表面や第一層95aと第二層95bとの界面で反射した反射超音波は、送信超音波ビームを出射した振動子群22Sのそれぞれの素子で受信され、反射超音波の受信信号は、振動子ドライバ612を介して、スイッチ部611で接続されたAD変換部62に通知される。
【0037】
上述を言い換えると、選択部61は、超音波振動子22の複数の素子の中から、所定数の連続する素子(本実施形態では連続した7つの素子)から成り送信超音波ビームを出射する振動子群22Sを選択する。選択された振動子群22Sから出射した送信超音波ビームは、被検体95の探傷すべき界面で反射して反射超音波となり、選択された振動子群22Sによって受信され、受信信号に変換される。
そして、選択部61は、選択した振動子群22Sの受信信号をAD変換部62に通知する。
【0038】
詳しくは、選択部61は、スイッチ部611のチャンネル指示により、超音波振動子22の素子(1)~素子(7)を接続して振動子群22S(1)を選択し、超音波振動子22の素子(2)~素子(8)を接続して振動子群22S(2)を選択する。
【0039】
送受信装置60(制御部52)は、制御部52の動作信号指令により、振動子信号生成部65の振動子駆動信号の位相を制御し、振動子ドライバ612の動作を制御すると共に、スイッチ部611のチャンネルの選択を制御する。これにより、制御部52は、超音波振動子22の素子から、位置が素子分異なる振動子群22Sを順に選択し、送信超音波ビームの出射と反射超音波の受信を制御して、超音波振動子22の電子スキャンを行う。
なお、図3では、振動子群22Sが7つの素子から構成される場合について説明したが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0040】
つぎに、実施形態のアレイ型超音波映像装置1の電子スキャンにおける振動子群22Sの送信超音波ビームの照射位置を、図4A~4Cにより説明する。
実施形態のアレイ型超音波映像装置1では、電子スキャンする領域である超音波振動子22の素子が配列する方向(Y方向)の前半領域と後半領域の領域について、並行して送信超音波ビームを出射し反射超音波を受信して電子スキャンを行う。
【0041】
実施形態のアレイ型超音波映像装置1は、1つの送信超音波ビームの出射を、1つの振動子群22Sにより行う。以下の説明では、送信超音波ビームの照射位置を、振動子群22Sの位置として説明する。
【0042】
なお、図4A~4Cでは、振動子群22Sを連続する7素子で構成し、26素子からなる超音波振動子22を例に説明する。したがって、振動子群22S(1)~22S(10)の送信超音波ビームの出射が電子スキャンの前半領域に対応し、振動子群22S(11)~22S(20)の送信超音波ビームの出射が電子スキャンの後半領域に対応する。
【0043】
ちなみに、前記のように素子の数は26(素子(1)~素子(26))であり、振動子群の数は20(振動子群22S(1)~振動子群22S(20))である。つまり、振動子群22S(1)は端(左端)から数えて1番目~7番目の素子から成り、振動子群22S(2)は同2番目~8番目の素子からなり、振動子群22S(3)は同3番目~9番目の素子から成り、・・・、振動子群22S(19)は同19番目~25番目の素子から成り、最後に、振動子群22S(20)は同20番目~26番目の素子から成る。なお、前半領域の振動子群は、振動子群22S(1)~振動子群22S(10)であるが、前半領域の素子としては、左端から数えて1番目~16番目までである(素子(1)~素子(16))。一方、後半領域の振動子群は、振動子群22S(11)~振動子群22S(20)であるが、後半領域の素子としては、左端から数えて11番目~26番目までである(素子(11)~素子(26))。
【0044】
図4Aに示すように、送受信装置60(制御部52)は、まず、選択部61により振動子群22S(1)を選択して、送信超音波ビームを出射する。そして、少なくとも、振動子群22S(1)の出射した送信超音波ビームと反射超音波が干渉しない距離だけ離隔した位置の振動子群22S(11)をつぎに選択して送信超音波ビームを出射する。振動子群22S(1)と振動子群22S(11)の送信超音波ビームの出射タイミングについては図5により後述する。
【0045】
そして、送受信装置60は、振動子群22S(1)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知する。その後、制御部52は、振動子群22S(11)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知し、図4Bに示す送信超音波ビームの出射を行う。
【0046】
図4Bで、送受信装置60は、まず、選択部61により振動子群22S(2)を選択して、送信超音波ビームを出射する。そして、少なくとも、振動子群22S(2)の出射した送信超音波ビームと反射超音波が干渉しない距離だけ離隔した位置の振動子群22S(12)をつぎに選択して送信超音波ビームを出射する。
【0047】
そして、送受信装置60は、振動子群22S(2)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知する。その後、制御部52は、振動子群22S(12)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知し、図4Cに示す送信超音波ビームの出射を行う。
【0048】
図4Cで、送受信装置60は、まず、選択部61により振動子群22S(3)を選択して、送信超音波ビームを出射する。そして、少なくとも、振動子群22S(3)の出射した送信超音波ビームと反射超音波が干渉しない距離だけ離隔した位置の振動子群22S(13)をつぎに選択して送信超音波ビームを出射する。
【0049】
そして、送受信装置60は、振動子群22S(3)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知する。その後、制御部52は、振動子群22S(13)を選択して、反射超音波を受信して受信信号を、AD変換部62に通知する。
【0050】
送受信装置60は、振動子群22S(4)~22S(10)、振動子群22S(14)~22S(20)についても、同様に、送信超音波ビームの出射と反射超音波を受信とを制御する。これにより、実施形態のアレイ型超音波映像装置1は、電子スキャンする領域の前半領域と後半領域の領域に並行して送信超音波ビームを出射し反射超音波を受信して電子スキャンを行う。
【0051】
つぎに、振動子群22Sの送信超音波ビームの出射と反射超音波の受信のタイミングと、選択部61のスイッチの選択状態を図5により説明する。
図5は、図4A~4Cの振動子群22S(1)、22S(2)、22S(3)、22S(11)、22S(12)、22S(13)の入出力波形と、スイッチ部611の選択状態の時間変化を示す図である。
【0052】
まず、送受信装置60(制御部52)は、図4Aの振動子群22S(1)が送信超音波ビームW1を出射するために、チャンネル制御部6111が振動子群22S(1)を選択するようにスイッチ部611を設定する。図5のスイッチ選択指示の[n]は、振動子群22S(n)の選択を示す。そして、振動子群22S(1)により送信超音波ビームW1を出射する。
【0053】
送受信装置60(制御部52)は、送信超音波ビームW1の出射を終えると、図4Aの振動子群22S(11)を選択するようにスイッチ部611を設定し、振動子群22S(11)により送信超音波ビームW11を出射する。ここで、振動子群22S(11)の位置は、振動子群22S(1)の送信超音波ビームW1と干渉しない位置とする。以後の送信超音波ビームW12、W13…も同様である。
【0054】
送信超音波ビームW1と送信超音波ビームW11とは干渉しないので、同時に出射することもできるが、同時に送信超音波ビームを照射した場合には、反射超音波を同時に受信することになるため、受信信号の選択回路と、2系統のAD変換部62と信号処理部64を設ける必要がある。
【0055】
このため、実施形態のアレイ型超音波映像装置1では、送受信装置60は、送信超音波ビームW1と送信超音波ビームW11とを順次出射するようにし、反射超音波を順次処理する。これにより、AD変換部62と信号処理部64の増設を不要としている。
【0056】
送受信装置60は、送信超音波ビームW11の出射を終えると、振動子群22S(1)を選択するようにスイッチ部611を設定し、反射超音波R1を受信する。受信した受信信号は、AD変換部62に通知する。
【0057】
送受信装置60は、反射超音波R1の受信を終えると、振動子群22S(11)を選択するようにスイッチ部611を設定し、反射超音波R11を受信する。受信した受信信号は、AD変換部62に通知する。
【0058】
図4Aに示した超音波が干渉しない位置関係にある振動子群22S(1)と22S(11)を、図5で示すように、送信超音波ビームW1と送信超音波ビームW11とを順次出射することで、振動子群22S(1)の超音波の送受信の後に、振動子群22S(11)の超音波の送受信を順次行う場合に比べて、短時間に受信信号を取得することができる。
【0059】
詳細には、送受信装置60は、送信超音波ビームW1の出射終了後、送信超音波ビームW11の出射終了が反射超音波R1の受信前になる範囲で、送信超音波ビームW11の出射を行う。より詳細には、スイッチ部611の切替え時間を含めて、送信超音波ビームW11の出射を行う。
【0060】
送受信装置60は、反射超音波R11の受信を終えると、図4Bに示した振動子群22S(2)が送信超音波ビームW2を出射するために、チャンネル制御部6111が振動子群22S(2)を選択するようにスイッチ部611を設定する。そして、振動子群22S(2)により送信超音波ビームW2を出射する。
【0061】
この際、電子スキャンが一定のタイミングで行われるように、送信超音波ビームW1、W2、W3…の出射間隔が一定になるようにタイミング調整する。これにより、超音波ビームの照射位置のバラツキを抑え、反射超音波の位置精度を保つ。
【0062】
ところで、振動子群22S(11)の位置は、振動子群22S(1)の出射する送信超音波ビームW1と干渉しない位置とすることを説明したが、振動子群22S(11)に対する振動子群22S(2)の位置は、送信超音波ビームW2の出射が反射超音波R11の受信後となるため、超音波の干渉を考慮する必要はない。以後の送信超音波ビームW3…の出射も同様である。
【0063】
送受信装置60(制御部52)は、送信超音波ビームW2の出射を終えると、図4Bの振動子群22S(12)を選択するようにスイッチ部611を設定し、振動子群22S(12)により送信超音波ビームW12を出射する。
【0064】
送受信装置60は、送信超音波ビームW12の出射を終えると、振動子群22S(2)を選択するようにスイッチ部611を設定し、反射超音波R2を受信する。受信した受信信号は、AD変換部62に通知する。
【0065】
送受信装置60は、反射超音波R2の受信を終えると、振動子群22S(12)を選択するようにスイッチ部611を設定し、反射超音波R12を受信する。受信した受信信号は、AD変換部62に通知する。
【0066】
送受信装置60は、反射超音波R12の受信を終えると、図4Cに示した振動子群22S(3)が送信超音波ビームW3を出射するために、チャンネル制御部6111が振動子群22S(3)を選択するようにスイッチ部611を設定する。そして、振動子群22S(3)により送信超音波ビームW3を出射する。
【0067】
送受信装置60(制御部52)は、送信超音波ビームW3の出射を終えると、図4Cの振動子群22S(13)を選択するようにスイッチ部611を設定し、振動子群22S(13)により送信超音波ビームW13を出射する。
【0068】
以後の反射超音波R3、R13の受信も上記と同様に行う。更に、振動子群22S(4)、22S(14)、22S(5)、22S(15)、22S(6)…の順に、送信超音波ビームの出射と反射超音波の受信を繰り返して電子スキャンを行う。
【0069】
これにより、実施形態のアレイ型超音波映像装置1は、電子スキャンする領域である超音波振動子22の素子が配列する方向(Y方向)の前半領域と後半領域の領域について、並行して送信超音波ビームを出射し反射超音波を受信して電子スキャンを行う。
【0070】
反射超音波の受信信号の処理について、図6により説明する。
図6は、超音波振動子22と選択部61とAD変換部62と信号処理部64と画像生成部53における受信信号の流れを示す図である。
【0071】
超音波振動子22の素子が配列する方向(Y方向)の前半領域と後半領域の領域について、前半領域に送信超音波ビームを出射する第1グループの振動子群22S(22S(1)、22S(2)、22S(3)…)と、後半領域に送信超音波ビームを出射する第2グループの振動子群22S(22S(11)、22S(12)、22S(13)…)は、図4A~4C、図5で説明した順に、送信超音波ビームを出射し、反射超音波を受信する。
【0072】
図5で説明したように、第1グループの振動子群22Sから出射する送信超音波ビームW1、W2、3…と、第2グループの振動子群22Sから出射する送信超音波ビームW11、W12、13…とは、所定のタイムラグがある。このため、第1グループの振動子群22Sが受信する反射超音波R1、R2…と第2グループの振動子群22Sが受信する反射超音波R11、R12…も同じタイムラグが生じる。
このため、超音波振動子22の素子が出力し、選択部61に入力される第1グループの振動子群22Sの受信信号と第2グループの振動子群22Sの受信信号にも同じタイムラグが生じている。
【0073】
選択部61は、図5で説明したタイミングで、第1グループの振動子群22Sまたは第2グループの振動子群22Sを選択するようにスイッチ部611を設定し、反射超音波を受信し、受信した受信信号をAD変換部62に通知する。
したがって、図6に示すように、AD変換部62は、選択部61から、第1グループの振動子群22Sの受信信号と第2グループの振動子群22Sの受信信号とが連続して入力され、受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。また、AD変換部62は、振動子群22Sの素子毎の距離差による遅延補償と合成を行うと共にデジタルに変換する。
【0074】
信号処理部64は、AD変換部62でデジタル変換した第1グループの振動子群22Sの受信信号と第2グループの振動子群22Sの受信信号とを、連続して処理する。
【0075】
AD変換部62と信号処理部64は、電子スキャンする領域の前半領域と後半領域の領域について、並行して出射した送信超音波ビームの反射超音波の受信信号を、連続した受信信号として、1つのAD変換部62と信号処理部64で処理できる。
【0076】
更に、画像生成部53は、信号処理部64で連続処理した第1グループの振動子群22Sの受信信号と第2グループの振動子群22Sの受信信号と処理信号を、表示部において同一波形上に重ねずに表示する。
より詳しくは、画像生成部53は、第1グループの振動子群22Sの振動子群22Sが反射超音波を受信した時刻と第2グループの振動子群22Sの振動子群22Sが反射超音波を受信した時刻との時間差分ずらして、信号処理部64による受信信号の処理結果を表示する。
これにより、受信超音波を正常な信号であるマスター超音波と照合する際、同時に2つの受信超音波を照合することができる。また、2か所の照合を容易に行うことができる。
【0077】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0078】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0079】
各実施形態において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 アレイ型超音波映像装置
20 アレイプローブ
21 エンコーダ
22 超音波振動子
22S 振動子群
50 映像表示装置
51 走査制御部
52 制御部
53 画像生成部
60 送受信装置
61 選択部
611 スイッチ部
612 振動子ドライバ
62 A/D変換部
64 信号処理部
65 振動子信号生成部
70 メカ制御装置
71 X軸スキャナ
72 Y軸スキャナ
73 Z軸スキャナ
90 水槽
91 水
95 被検体
95a 第一層
95b 第二層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置において、
振動子群が受信した前記反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、
振動子駆動信号と前記受信信号を接続する前記振動子群を形成する前記素子を選択するようにマルチプレクサで構成した選択部と、
前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、
前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射し、その後に、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信するように前記選択部に指示する制御部と、
前記信号処理部による受信信号の処理結果を、表示部に同一波形に重ねずに表示する画像生成部と、
を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記画像生成部は、第1グループの振動子群が前記反射超音波を受信した時刻と第2グループの振動子群が前記反射超音波を受信した時刻との時間差分ずらして、前記信号処理部による受信信号の処理結果を表示する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、第1グループの振動子群により超音波ビームを出射した後に、前記第1グループの振動子群の超音波に干渉しない距離だけ離隔した位置の第2グループの振動子群の超音波ビームを出射する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、第1グループの振動子群により超音波ビームを出射した後に、前記第1グループの振動子群の超音波に干渉しない距離だけ離隔した位置の第2グループの振動子群の超音波ビームを出射すると共に、前記第1グループの振動子群と前記第2グループの振動子群とを交互に、前記第1グループと前記第2グループのそれぞれで振動子群を順次選択する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項5】
請求項3に記載のアレイ型超音波映像装置において、さらに、
前記振動子群の素子で受信した反射超音波の受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部でデジタル信号に変換した反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、を備え、
前記選択部により選択された第1グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号は、前記AD変換部でデジタル変換され、前記信号処理部で、デジタル変換した受信信号が処理されると共に、
前記選択部により選択された第2グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号は、前記AD変換部でデジタル変換され、前記信号処理部で、デジタル変換した受信信号が処理される
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記信号処理部は、前記選択部により選択された第1グループまたは第2グループの振動子群に対応する素子の反射超音波の受信信号をデジタル変換した受信信号を、画像化するための開始タイミングと終了タイミングとを横軸の時間軸として設定し、縦軸に許容最大振幅を設定したゲートに画像化処理をする
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項7】
アレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置の超音波画像表示方法であって、
前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、
第1グループの振動子群に対応する素子をマルチプレクサにより選択して超音波ビームを出射した後に、第2グループの振動子群に対応する素子をマルチプレクサにより選択して超音波ビームを出射し、その後に、第1グループの振動子群に対応する素子をマルチプレクサにより選択して反射超音波を受信した後に、第2グループの振動子群に対応する素子をマルチプレクサにより選択して反射超音波を受信し、
第1グループの振動子群の反射超音波の受信信号と第2グループの振動子群の反射超音波の受信信号とを、表示部に同一波形に重ねずに表示する、
ことを特徴とする超音波画像表示方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のアレイ状に連続的に配設された複数の素子から成る超音波振動子の所定数の連続する素子により形成される振動子群を順次選択して超音波ビームを出射し、前記振動子群が被検体からの反射超音波を受信するアレイ型超音波映像装置は、振動子群が受信した前記反射超音波の受信信号を処理する信号処理部と、振動子駆動信号と前記受信信号を接続する前記振動子群を形成する前記素子を選択するようにマルチプレクサで構成した選択部と、前記振動子群を、超音波ビームの照射領域の前半領域に超音波ビームを出射する第1グループと超音波ビームの照射領域の後半領域に超音波ビームを出射する第2グループに分け、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して超音波ビームを出射し、その後に、前記選択部に指示して第1グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信した後に、前記選択部に指示して第2グループの振動子群に対応する素子を選択して反射超音波を受信するように前記選択部に指示する制御部と、前記信号処理部による受信信号の処理結果を、表示部に同一波形に重ねずに表示する画像生成部と、を備えるようにした。