IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ファルテックの特許一覧

<>
  • 特開-車両用外装部品 図1
  • 特開-車両用外装部品 図2
  • 特開-車両用外装部品 図3
  • 特開-車両用外装部品 図4
  • 特開-車両用外装部品 図5
  • 特開-車両用外装部品 図6
  • 特開-車両用外装部品 図7
  • 特開-車両用外装部品 図8
  • 特開-車両用外装部品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080575
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】車両用外装部品
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20230602BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193999
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歩
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA31
3K339BA03
3K339BA22
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA01
3K339EA05
3K339EA06
3K339FA20
3K339GA01
3K339GB01
3K339GB06
3K339GB11
3K339GB21
3K339GC02
3K339HA01
3K339JA23
3K339JA26
3K339KA06
3K339KA07
(57)【要約】
【課題】自動運転中であることを簡易な構成にて周囲に対して明確に表示可能な車両用外装部品を提供する。
【解決手段】車両に搭載される車両用イルミネーション装置1であって、前方に向けて光を射出する光源ユニット3と、光源ユニット3の前方に配置されると共に光の一部を透過することで表示を行う透過フィルム部材5とを備え、透過フィルム部材5が、車両が自動運転中であることを表示する運転状況表示領域と、図形模様を表示する図形模様表示領域とを有し、光源ユニット3が、運転状況表示領域と図形模様表示領域とに向けて個別に光を射出可能であると共に、少なくとも図形模様表示領域に向けて、異なる色調の光を射出可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用外装部品であって、
前方に向けて光を射出する光源ユニットと、
前記光源ユニットの前方に配置されると共に前記光の一部を透過することで表示を行う透過フィルム部材と
を備え、
前記透過フィルム部材は、前記車両が自動運転中であることを表示する運転状況表示領域と、図形模様を表示する図形模様表示領域とを有し、
前記光源ユニットは、
前記運転状況表示領域と前記図形模様表示領域とに向けて個別に前記光を射出可能であると共に、少なくとも前記図形模様表示領域に向けて、異なる色調の光を射出可能である
ことを特徴とする車両用外装部品。
【請求項2】
前記光源ユニットは、
前記運転状況表示領域に向けて光を射出する第1光源部と、
前記図形模様表示領域に向けて複数の色調の光を射出可能な第2光源部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記第2光源部は、第1色調の光を発光する第1発光部と、前記第1色調と異なる第2色調の光を発光する第2発光部とを有し、
前記第1発光部及び前記第2発光部の各々は、直線状に配列されて複数設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の車両用外装部品。
【請求項4】
前記透過フィルム部材は、
透明な基材と、
前記基材に支持されると共に前記光を半透過させる半透過層と、
前記基材に支持されると共に前記表示の内容に応じてパターニングされた遮光層と
を有することを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【請求項5】
前記光源ユニットの前方に配置されると共に前記光を拡散する光拡散部材を備えることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【請求項6】
前記光拡散部材の前記光源ユニットと反対側の面に前記透過フィルム部材が支持されていることを特徴とする請求項5記載の車両用外装部品。
【請求項7】
前記光拡散部材は、前記光源ユニットとの間に空間部が形成されるように、前記光源ユニットと離間して配置されていることを特徴とする請求項5または6記載の車両用外装部品。
【請求項8】
前記光源ユニットを後方から支持するハウジングと、
前記透過フィルム部材及び前記光拡散部材を前方から覆うと共に前記ハウジングに接合されたカバーレンズと
を備えることを特徴とする請求項7記載の車両用外装部品。
【請求項9】
前記光拡散部材が、前記光源ユニットに対向配置される対向部と、前記光源ユニットを側方から囲う囲壁部とを有し、
前記ハウジングが、前記囲壁部と対向する立壁部を有し、
前記囲壁部と前記立壁部との間に配置されるシーリング部材を備える
ことを特徴とする請求項8記載の車両用外装部品。
【請求項10】
前記カバーレンズは、前記囲壁部と前記立壁部との間に挿入されて前記シーリング部材と密着される突出片を有することを特徴とする請求項9記載の車両用外装部品。
【請求項11】
前記カバーレンズの前記透過フィルム部材側の面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項8~10いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【請求項12】
水平方向にて、前記運転状況表示領域を間に挟んで、2つの前記図形模様表示領域が設けられていることを特徴とする請求項1~11いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における自動車の自動運転技術の発展が目覚ましい。今後、特定条件下においてシステムが運転タスクを行うような自動運転を行う自動車や、常にシステムが全ての運転タスクを実施するような自動運転を行う自動車が公道を走行することが想定される。一方で、上述のような自動運転を行う自動車であっても、運転者の意思によって手動運転を行う場合もあると考えられる。また、同一の公道を、自動運転システムを搭載した自動車と、自動運転システムを搭載していない自動車が走行する場合もあると考えられる。このような場合には、自動車が自動運転を行っているか否かを周囲から視認可能にすることが好ましい。例えば、特許文献1には、自動運転を行う自動車に搭載されて、周囲に対して文字情報を表示する自動運転車用情報表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-92980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された自動運転車用情報表示装置は、周囲の交通参加者に向けて様々な文字情報を表示する外部表示装置を備えている。自動運転車用情報表示装置は、車両制御装置の制御の下に表示を行う。しかしながら、このような特許文献1においては、様々な文字情報を状況に応じて選択する複雑な制御が必要となる。また、外部表示装置が、様々な文字情報を表示するため、複雑な構成となる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、自動運転中であることを簡易な構成にて周囲に対して明確に表示可能な車両用外装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、車両に搭載される車両用外装部品であって、前方に向けて光を射出する光源ユニットと、上記光源ユニットの前方に配置されると共に上記光の一部を透過することで表示を行う透過フィルム部材とを備え、上記透過フィルム部材が、上記車両が自動運転中であることを表示する運転状況表示領域と、図形模様を表示する図形模様表示領域とを有し、上記光源ユニットが、上記運転状況表示領域と上記図形模様表示領域とに向けて個別に上記光を射出可能であると共に、少なくとも上記図形模様表示領域に向けて、異なる色調の光を射出可能であるという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記光源ユニットが、上記運転状況表示領域に向けて光を射出する第1光源部と、上記図形模様表示領域に向けて複数の色調の光を射出可能な第2光源部とを備えるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記第2光源部が、第1色調の光を発光する第1発光部と、上記第1色調と異なる第2色調の光を発光する第2発光部とを有し、上記第1発光部及び上記第2発光部の各々は、直線状に配列されて複数設けられているという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3いずれかの態様において、上記透過フィルム部材が、透明な基材と、上記基材に支持されると共に上記光を半透過させる半透過層と、上記基材に支持されると共に上記表示の内容に応じてパターニングされた遮光層とを有するという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記光源ユニットの前方に配置されると共に上記光を拡散する光拡散部材を備えるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、上記光拡散部材の上記光源ユニットと反対側の面に上記透過フィルム部材が支持されているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第5または第6の態様において、上記光拡散部材が、上記光源ユニットとの間に空間部が形成されるように、上記光源ユニットと離間して配置されているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、上記光源ユニットを後方から支持するハウジングと、上記透過フィルム部材及び上記光拡散部材を前方から覆うと共に上記ハウジングに接合されたカバーレンズとを備えるという構成を採用する。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第8の態様において、上記光拡散部材が、上記光源ユニットに対向配置される対向部と、上記光源ユニットを側方から囲う囲壁部とを有し、上記ハウジングが、上記囲壁部と対向する立壁部を有し、上記囲壁部と上記立壁部との間に配置されるシーリング部材を備えるという構成を採用する。
【0016】
本発明の第10の態様は、上記第9の態様において、上記カバーレンズが、上記囲壁部と上記立壁部との間に挿入されて上記シーリング部材と密着される突出片を有するという構成を採用する。
【0017】
本発明の第11の態様は、上記第8~第10いずれかの態様において、上記カバーレンズの上記透過フィルム部材側の面に凹凸部が設けられているという構成を採用する。
【0018】
本発明の第12の態様は、上記第1~第11いずれかの態様において、水平方向にて、上記運転状況表示領域を間に挟んで、2つの上記図形模様表示領域が設けられているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、光源ユニットから射出された光が透過フィルム部材を透過することによって、運転状況表示領域に自動運転中であることが表示され、図形模様表示領域に図形模様が表示される。また、本発明においては、光源ユニットが、運転状況表示領域と図形模様表示領域とに向けて個別に光を射出可能である。このため、本発明によれば、運転状況表示領域における表示の有無を、図形模様表示領域における表示の有無と切り離して選択可能である。さらに、本発明においては、光源ユニットが、図形模様表示領域に向けて、異なる色調の光を射出可能である。このため、図形模様表示領域における表示の色調を変更することができる。このような本発明によれば、運転状況表示領域における表示の有無と、図形模様表示領域における表示の色調との組み合わせを制御する簡素な構成によって、車両が自動運転中であること、自動運転が解除されること、自動運転が行われていないこと等を周囲に向けて知らせることが可能となる。つまり、本発明によれば、運転状況表示領域への光の射出と、図形模様表示領域への光の射出とを制御する簡素な構成にて周囲に対して明確に車両の状態を知らせることができる。したがって、本発明によれば、自動運転中であることを簡易な構成にて周囲に対して明確に表示可能な車両用外装部品となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置が設けられた車両の模式的な背面図である。
図2】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置の模式的な正面図である。
図3】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置の模式的な分解斜視図である。
図4図2のA-A断面図である。
図5図2のB-B断面図である。
図6】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置が備える光源ユニットを前方から見た模式的な正面図である。
図7】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置が備える透過フィルム部材を前方から見た模式的な正面図である。
図8】本発明の第1実施形態における車両用イルミネーション装置が備える透過フィルム部材の模式的な断面図である。
図9】本発明の第2実施形態における車両用イルミネーション装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用外装部品の一実施形態について説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の車両用イルミネーション装置1(車両用外装部品)が設けられた車両100の模式的な背面図である。この図に示すように、本実施形態の車両用イルミネーション装置1は、例えば、車両100の背面に設けられた2つのリアランプ101の間に配置されている。本実施形態においては、車両用イルミネーション装置1は、車両100の後方に位置する車両、自転車及び歩行者に対して、車両100が自動運転モード中であるか、手動運転モード中であるか、これらのモードの切替中であるかを表示可能である。
【0023】
なお、車両用イルミネーション装置1を設ける位置は、車両100の背面に限定されるものではない。車両用イルミネーション装置1は、車両100の前面や側面に設置することも可能である。また、車両用イルミネーション装置1は、車両100の上面に設置することも可能である。
【0024】
図2は、車両用イルミネーション装置1の模式的な正面図である。図3は、車両用イルミネーション装置1の模式的な分解斜視図である。また、図4は、図2のA-A断面図である。図5は、図2のB-B断面図である。
【0025】
なお、図2等に示すように、車両用イルミネーション装置1は、水平方向に直線状に延伸する長尺形状に形成されている。このような車両用イルミネーション装置1の設置姿勢は特に限定されるものではない。
【0026】
ただし、以下の説明においては、説明の便宜上、車両用イルミネーション装置1が延伸する方向を幅方向と称する。また、後述するハウジング2とアウタレンズ6とが配列される方向(車両用イルミネーション装置1の厚さ方向)を前後方向と称する。また、前後方向において、ハウジング2が配置される側を後側とし、アウタレンズ6が配置される側を前側とする。また、幅方向及び前後方向と直交する方向を上下方向と称する。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の車両用イルミネーション装置1は、ハウジング2と、光源ユニット3と、インナレンズ4(光拡散部材)と、透過フィルム部材5と、アウタレンズ6(カバーレンズ)とを備えている。また、図4及び図5に示すように、車両用イルミネーション装置1は、シーリング部材7(図3においては不図示)を備えている。
【0028】
ハウジング2は、光源ユニット3、インナレンズ4、透過フィルム部材5、及びアウタレンズ6を直接的あるいは間接的に支持する部材である。ハウジング2は、例えば樹脂の射出成形によって形成されている。このようなハウジング2は、例えば、不図示の車体固定ブラケット等が固定され、車体固体ブラケットを介して車体に接続されている。車両用イルミネーション装置1は、ハウジング2が車体に対して固定されることで、車体に取り付けられている。
【0029】
図4及び図5に示すように、ハウジング2は、基部2aと、立壁部2bとを有している。基部2aは、光源ユニット3やインナレンズ4が固定される板状の部位である。この基部2aは、表裏面を前後方向に向けて配置されている。基部2aの前側の面は、光源ユニット3及びインナレンズ4の取付面である。つまり、ハウジング2は、光源ユニット3及びインナレンズ4を後方から支持している。
【0030】
立壁部2bは、基部2aの縁部から前方に向けて突出された壁部である。この立壁部2bは、基部2aの全周に亘って基部2aの縁部に対して設けられている。前側から見て、このような立壁部2bに囲まれた領域に、光源ユニット3、インナレンズ4、透過フィルム部材5及びシーリング部材7が配置されている。また、立壁部2bは、図3及び図4に示すように、アウタレンズ6の取付部として用いられる。
【0031】
さらに、立壁部2bは、インナレンズ4の後述する囲壁部4bに対して幅方向あるいは上下方向から対向している。これらの立壁部2bと囲壁部4bとの間には、シーリング部材7を配置する隙間が設けられている。
【0032】
光源ユニット3は、前方に向けて光を射出するユニットであり、不図示の制御装置に電気的に接続されている。なお、光源ユニット3は、ハウジング2等に設けられた不図示の開口を挿通する不図示のケーブルによって、制御装置と接続されている。このような光源ユニット3は、制御装置の制御の下に、光を射出する。
【0033】
図6は、光源ユニット3を前方から見た模式的な正面図である。この図に示すように、光源ユニット3は、回路基板3aと、中央発光部3b(第1光源部)と、側方発光部3c(第2光源部)とを備えている。回路基板3aは、中央発光部3b及び側方発光部3cに対して電気的に接続された配線層を有するプリント基板である。この回路基板3aは、ハウジング2の基部2aの前側の面に固定されている。
【0034】
中央発光部3bは、前方から見て、透過フィルム部材5の後述する運転状況表示領域R1と重なるように配置されており、運転状況表示領域R1に向けて光を射出可能である。この中央発光部3bは、例えば、面発光するLED(Light Emitting Diode)灯体からなる。このような中央発光部3bは、例えばターコイズ色の色調の光を射出する。
【0035】
側方発光部3cは、本実施形態において2つ設けられている。これらの側方発光部3cは、幅方向(すなわち水平方向)にて、中央発光部3bを間に挟んで配置されている。各々の側方発光部3cは、前方から見て、透過フィルム部材5の後述する図形模様表示領域R2と重なるように配置されており、図形模様表示領域R2に向けて光を射出可能である。
【0036】
このような側方発光部3cは、複数のLED素子(第1色調LED素子3d及び第2色調LED素子3e)によって形成されている。各々の側方発光部3cは、1つの第1色調LED素子3dと1つの第2色調LED素子3eとが隣接配置されたLED素子対3fを複数備えている。
【0037】
第1色調LED素子3d(第1発光部)は、例えば中央発光部3bと同じ色調の光を射出するLED素子である。つまり、中央発光部3bがターコイズ色の色調の光を射出する場合には、第1色調LED素子3dは、ターコイズ色の色調の光を射出する。ただし、第1色調LED素子3dが射出する光は、中央発光部3bと異なる色調の光であってもよい。
【0038】
第2色調LED素子3e(第2発光部)は、第1色調LED素子3dと異なる色調の光を射出するLED素子である。例えば、第1色調LED素子3dがターコイズ色の色調の光を射出する場合、第2色調LED素子3eは、黄色の色調の光を射出する。
【0039】
このような第1色調LED素子3dと第2色調LED素子3eを有する側方発光部3cは、第1色調LED素子3dのみを発光させた場合と、第2色調LED素子3eのみを発光させた場合とで、異なる色調の光を射出する。つまり、側方発光部3cは、図形模様表示領域R2に向けて、異なる色調の光を射出することが可能である。
【0040】
また、LED素子対3fは、図6に示すように、幅方向に直線状に配列されて複数設けられている。各々のLED素子対3fは、前方から見て、図形模様表示領域R2の後述する開口部5c1と重なるように配置されている。つまり、本実施形態においては、図形模様表示領域R2の後述する開口部5c1も幅方向に配列されて複数設けられており、各々の開口部5c1に合わせるように、LED素子対3fが配置されている。
【0041】
このような中央発光部3bと側方発光部3cとは、個別に光を射出可能である。つまり、不図示の制御装置の制御の下、中央発光部3bのみを発光させたり、側方発光部3cのみを発光させたり、中央発光部3b及び側方発光部3cを同時に発光させたりすることができる。なお、本実施形態においては、中央発光部3bから射出される光の色調が1つのみであるが、中央発光部3bから複数の色調の光を射出するようにしても良い。
【0042】
このような本実施形態の光源ユニット3は、運転状況表示領域R1と図形模様表示領域R2とに向けて個別に光を射出可能であると共に、少なくとも図形模様表示領域に向けて、異なる色調の光を射出可能である。
【0043】
図2に戻り、インナレンズ4は、光源ユニット3の前方に配置されており、光源ユニット3から射出された光を拡散させる光拡散部材である。インナレンズ4は、光源ユニット3から射出されて後方から入射した光を拡散して前方に向けて射出する。
【0044】
インナレンズ4は、図4及び図5に示すように、対向部4aと、囲壁部4bとを有している。対向部4aは、光源ユニット3に前方から対向配置された板状の部位である。この対向部4aは、表裏面を前後方向に向けて配置されており、前方から見て光源ユニット3の全体を覆うように配置されている。また、対向部4aは、光源ユニット3に対して隙間を空けて配置されている。これによって、インナレンズ4と光源ユニット3との間には、空間部Kが形成されている。つまり、インナレンズ4は、光源ユニット3との間に空間部Kが形成されるように、光源ユニット3と離間して配置されている。
【0045】
囲壁部4bは、対向部4aの縁部から後方に向けて突出した壁部である。この囲壁部4bは、対向部4aの全周に亘って設けられている。囲壁部4bは、光源ユニット3を側方から囲っている。囲壁部4bの先端部は、ハウジング2の基部2aの前側の面に固定されている。
【0046】
また、前方から見て、囲壁部4bは、ハウジング2の立壁部2bの内側に配置されている。この囲壁部4bは、上述のようにハウジング2の立壁部2bに対して隙間を空けて配置されている。この隙間には、シーリング部材7が充填されている。つまり、囲壁部4bの外壁面は、シーリング部材7と密着されている。
【0047】
透過フィルム部材5は、光源ユニット3の前方に配置されており、光源ユニット3から射出された光の一部を透過させることで表示を行うものである。なお、ここで言う表示とは、外部から視認可能な文字情報や図形模様等を形成することを意味する。
【0048】
図7は、透過フィルム部材5を前方から見た模式的な正面図である。この図に示すように、透過フィルム部材5には、運転状況表示領域R1と、図形模様表示領域R2とが設けられている。運転状況表示領域R1は、車両100が自動運転中であることを表示するための領域である。
【0049】
また、図形模様表示領域R2は、図形模様を表示するための領域である。つまり、本実施形態において、透過フィルム部材5は、車両100が自動運転中であることを表示する運転状況表示領域R1と、図形模様を表示する図形模様表示領域R2とを有している。
【0050】
本実施形態においては、運転状況表示領域R1に対して、自動運転中であることを示す表示として「AUTO」の文字情報が表示される。また、本実施形態においては、図形模様表示領域R2に対して、上下方向に対して傾斜した複数のスリット状の模様が表示される。
【0051】
なお、運転状況表示領域R1の表示は「AUTO」に限られるものではない。車両100が自動運転中であることを周囲から認識できる表示情報であれば良い。また、図形模様表示領域R2に表示される図形模様も、傾斜したスリット状の模様に限られるものではない。
【0052】
運転状況表示領域R1には、光源ユニット3の中央発光部3bから射出された光が運転状況表示領域R1を透過することによって、「AUTO」の文字情報が表示される。一方で、光源ユニット3の中央発光部3bから光が射出されていない場合には、「AUTO」の文字情報は表示されない。
【0053】
また、図形模様表示領域R2には、光源ユニット3の側方発光部3cから射出された光が図形模様表示領域R2を透過することによって、スリット状の図形模様が表示される。一方で、光源ユニット3の側方発光部3cから光が射出されていない場合には、スリット状の図形模様は表示されない。
【0054】
なお、光源ユニット3の側方発光部3cは、発光する第1色調LED素子3d及び第2色調LED素子3eを選択することによって、異なる色調の光を射出することができる。このため、図形模様表示領域R2に表示される図形模様も、発光する第1色調LED素子3d及び第2色調LED素子3eに応じて色調を変化させることが可能である。
【0055】
例えば、車両100が自動運転中である場合には、運転状況表示領域R1にて「AUTO」の文字情報を表示し、図形模様表示領域R2にて図形模様を「AUTO」の文字と同一の色調に表示する。また、車両100が手動運転中である場合には、運転状況表示領域R1にて「AUTO」の文字情報を表示せず、図形模様表示領域R2にて図形模様を自動運転中と異なる色調で表示する。
【0056】
また、例えば、手動運転中から自動運転へ切り替える場合には、運転状況表示領域R1にて「AUTO」の文字情報を表示し、図形模様表示領域R2の図形模様を外側から「AUTO」の文字情報に向かって流れるようにかつ「AUTO」の文字と同一の色調に表示する。このような場合には、例えば第1色調LED素子3dを幅方向の外側から内側に向けて順次点灯させる。
【0057】
また、例えば、自動運転中から手動運転へ切り替える場合には、運転状況表示領域R1にて「AUTO」の文字情報を表示せず、図形模様表示領域R2の図形模様を内側から外側に向かって流れるようにかつ自動運転中と異なる色調に表示する。このような場合には、例えば第2色調LED素子3eを幅方向の内側から外側に向けて順次点灯させる。
【0058】
図8は、透過フィルム部材5の模式的な断面図である。この図に示すように、透過フィルム部材5は、基材5aと、スモーク透過インク層5b(半透過層)と、黒インク層5c(遮光層)と、バインダ層5dとを有している。これらの基材5a、スモーク透過インク層5bと、黒インク層5c及びバインダ層5dは、積層されている。
【0059】
基材5aは、透明なフィルム層であり、スモーク透過インク層5b、黒インク層5cを支持している。このような基材5aは、例えばポリエチレンテレフタレートによって形成されている。このような基材5aは、透過フィルム部材5の最も前側に配置されている。
【0060】
スモーク透過インク層5bは、基材5aの後側の面の全面に形成されており、光量の一部を透過する半透過層である。つまり、スモーク透過インク層5bは、基材5aに支持されると共に光を半透過させる層である。本実施形態においては、スモーク透過インク層5bは、例えば黒色に近い色調の色を有している。
【0061】
このようなスモーク透過インク層5bは、後述する開口部5c1を有する黒インク層5cの前方に配置されている。黒インク層5cの開口部5c1を光源ユニット3から光が透過していない場合には、スモーク透過インク層5bは、黒インク層5cの開口部5c1を前方から見て隠す。このため、光源ユニット3からの光が射出されていない場合には、外部からは、スモーク透過インク層5bの色が透過フィルム部材5の全面において視認される。
【0062】
黒インク層5cは、基材5aに対してスモーク透過インク層5bを介して支持されている。この黒インク層5cは、遮光性を有した遮光層である。黒インク層5cは、文字情報が表示される部位や、図形模様が表示される部位を除いた部位に形成されている。つまり、黒インク層5cは、文字情報が表示される部位や、図形模様が表示される部位に応じた開口部5c1を有するようにパターニングされている。
【0063】
より具体的には、運転状況表示領域R1においては、黒インク層5cは、「AUTO」の文字に一致した開口部5c1を有するようにパターニングされている。また、図形模様表示領域R2においては、黒インク層5cは、幅方向に直線状に配列されたスリット状の複数の開口部5c1を有するようにパターニングされている。
【0064】
スモーク透過インク層5bは、スモーク透過インク層5bの形成材料であるインクを印刷法によって基材5aの後側の面に印刷することによって形成することができる。また、黒インク層5cは、黒インク層5cの形成材料であるインクを印刷法によってスモーク透過インク層5bに積層するように印刷することによって形成することができる。例えば、スクリーン印刷法を用いることによって、開口部5c1を有する黒インク層5cを容易に形成することができる。
【0065】
バインダ層5dは、黒インク層5cの後側に設けられている。このバインダ層5dは、透過フィルム部材5を外部の部材に対して貼付するための接着層である。このバインダ層5dは、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂によって形成されている。このようなバインダ層5dは、光を透過可能に形成されている。例えばバインダ層5dは、光を透過可能な材料で形成されている。また、例えばバインダ層5dは、光を透過可能な膜厚で形成されている。
【0066】
本実施形態においては、図4及び図5に示すように、透過フィルム部材5は、インナレンズ4の外側表面(対向部4aの前側面及び囲壁部4bの外側面)に貼付されている。つまり、本実施形態においては、インナレンズ4の光源ユニット3と反対側の面に透過フィルム部材5が貼付されている。
【0067】
例えば、アウタレンズ6の内側表面(光源ユニット3側の面)に透過フィルム部材5を貼付することも可能である。ただし、アウタレンズ6の内側表面は、アウタレンズ6の外側表面と比較すると不図示の突起等が設けられている場合がある。このため、アウタレンズ6の内側表面とインナレンズ4の外側表面とを比較すると、インナレンズ4の外側表面の方が、凹凸が少ない。このため、透過フィルム部材5をインナレンズ4の外側表面に貼付することで、透過フィルム部材5を歪みなく貼付することが可能となる。
【0068】
アウタレンズ6は、透過フィルム部材5及びインナレンズ4を前方から覆うと共にハウジング2に接合されたカバー部材である。このアウタレンズ6は、着色透明の樹脂によって形成されており、少なくとも光源ユニット3から射出された光の一部を前方側に透過可能に形成されている。
【0069】
アウタレンズ6は、縁部6aがハウジング2との当接部として用いられる。アウタレンズ6の縁部6aは、図4及び図5に示すように、端面が後方に向けられている。この縁部6aの端面は、ハウジング2の立壁部2bの先端面に対して当接されている。例えば、アウタレンズ6は、不図示の係止爪を有しており、係止爪をハウジング2に係止することによってハウジング2に接合される。このようにアウタレンズ6がハウジング2に接合された場合に、縁部6aの端面は、ハウジング2の立壁部2bの先端面に対して当接される。なお、アウタレンズ6に係止爪を設けずに、接着剤等を介して、縁部6aの端面をハウジング2の立壁部2bの先端面に対して接合しても良い。
【0070】
また、アウタレンズ6は、突出片6bを有している。突出片6bは、図4及び図5に示すように、アウタレンズ6の内側表面から後方に向けて突出して設けられている。縁部6aは、後方から見てアウタレンズ6の全周に亘って設けられている。また、突出片6bは、縁部6aに沿って設けられており、縁部6aと同様に後方から見てアウタレンズ6の全周に亘って設けられている。このような突出片6bは、後方から見た場合に、縁部6aの内側に配置されている。
【0071】
図4及び図5に示すように、突出片6bは、ハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間に前方から挿入されている。このような突出片6bは、先端部がシーリング部材7に対して埋没されており、シーリング部材7に対して密着されている。
【0072】
この突出片6bは、ハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間に挿入されることによって、隙間の容積を減少させる。例えば、車両用イルミネーション装置1を組み立てる場合には、ハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間に変形可能な状態のシーリング部材7を配置し、その後にアウタレンズ6をハウジング2に対して接合する。この際、突出片6bの先端部がシーリング部材7に入り込み、さらに突出片6bがハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間の容積を減少させる。この結果、シーリング部材7は、突出片6bとハウジング2の立壁部2bとの間、及び突出片6bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間に隙間なく充填される。
【0073】
したがって、シーリング部材7が、突出片6b、立壁部2b及び囲壁部4b(囲壁部4bの外表面に透過フィルム部材5が存在する場合には透過フィルム部材5)に密着される。また、シーリング部材7は、ハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間において、ハウジング2の基部2aの前側の表面とも密着される。
【0074】
シーリング部材7は、ハウジング2の立壁部2bとインナレンズ4の囲壁部4bとの間の隙間に配置されている。このシーリング部材7は、ハウジング2とアウタレンズ6との当接面(本実施形態においては、縁部6aと立壁部2bとの当接面)からアウタレンズ6の内部に侵入した水分や外気が透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1及び図形模様表示領域R2や光源ユニット3に到達することを防止する。
【0075】
このようなシーリング部材7は、上述のように、突出片6b、基部2a、立壁部2b、及び囲壁部4bに密着されている。このため、アウタレンズ6の内部に侵入した水分や外気が透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1及び図形模様表示領域R2や光源ユニット3に到達することをより確実に防止する。
【0076】
続いて、このように構成された本実施形態の車両用イルミネーション装置1の動作の一例について説明する。なお、以下に説明する本実施形態の車両用イルミネーション装置1の動作の主体は、車両100に搭載された不図示の制御装置である。
【0077】
例えば、車両100が自動運転中である場合には、光源ユニット3の中央発光部3bが点灯される。この結果、中央発光部3bから前方に向けて光が射出される。中央発光部3bから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に後方から入射する。透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に入射した光は、「AUTO」の形状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。この結果、車両用イルミネーション装置1の外部から「AUTO」の文字情報が視認される。
【0078】
また、車両100が自動運転中である場合には、光源ユニット3の側方発光部3cの第1色調LED素子3dが点灯される。この結果、第1色調LED素子3dから前方に向けて中央発光部3bから射出される光と同一の色調の光が射出される。第1色調LED素子3dから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に後方から入射する。
【0079】
透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に入射した光は、スリット状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。この結果、車両用イルミネーション装置1の外部からスリット状の図形模様が視認される。
【0080】
したがって、車両100が自動運転中である場合には、本実施形態の車両用イルミネーション装置1において、「AUTO」の文字情報と、スリット状の図形模様とが同一の色調にて外部から視認可能となる。
【0081】
次に、例えば、車両100が手動運転中である場合には、光源ユニット3の中央発光部3bが消灯された状態を維持される。この結果、中央発光部3bから前方に向けて光が射出されず、透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に、「AUTO」の文字情報は表示されない。
【0082】
また、車両100が手動運転中である場合には、光源ユニット3の側方発光部3cの第2色調LED素子3eが点灯される。この結果、第2色調LED素子3eから前方に向けて中央発光部3bから射出される光と異なる色調の光が射出される。第2色調LED素子3eから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に後方から入射する。
【0083】
透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に入射した光は、スリット状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。この結果、車両用イルミネーション装置1の外部からスリット状の図形模様が自動運転中と異なる色調で視認される。
【0084】
したがって、車両100が手動運転中である場合には、本実施形態の車両用イルミネーション装置1において、「AUTO」の文字情報が表示されず、スリット状の図形模様が自動運転中と異なる色調にて外部から視認可能となる。
【0085】
次に、例えば、手動運転中から自動運転へ切り替える場合には、光源ユニット3の中央発光部3bが点灯される。この結果、中央発光部3bから前方に向けて光が射出される。中央発光部3bから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に後方から入射する。透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に入射した光は、「AUTO」の形状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。この結果、車両用イルミネーション装置1の外部から「AUTO」の文字情報が視認される。
【0086】
また、手動運転中から自動運転へ切り替える場合には、光源ユニット3の側方発光部3cの第1色調LED素子3dが幅方向の外側から内側向けて順次点灯される。第1色調LED素子3dからは、前方に向けて中央発光部3bから射出される光と同一の色調の光が射出される。第1色調LED素子3dから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に後方から入射する。
【0087】
透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に入射した光は、スリット状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。第1色調LED素子3dが幅方向の外側から内側向けて順次点灯されるため、車両用イルミネーション装置1の外部からスリット状の図形模様が「AUTO」の文字に向けて流れるように視認される。
【0088】
したがって、手動運転中から自動運転へ切り替える場合には、本実施形態の車両用イルミネーション装置1において、「AUTO」の文字情報と、「AUTO」の文字情報に向けて流れるようなスリット状の図形模様とが同一の色調にて外部から視認可能となる。
【0089】
次に、例えば、自動運転中から手動運転へ切り替える場合には、光源ユニット3の中央発光部3bが消灯された状態を維持される。この結果、中央発光部3bから前方に向けて光が射出されず、透過フィルム部材5の運転状況表示領域R1に、「AUTO」の文字情報は表示されない。
【0090】
また、自動運転中から手動運転へ切り替える場合には、光源ユニット3の側方発光部3cの第2色調LED素子3eが幅方向の内側から外側向けて順次点灯される。第2色調LED素子3eからは、前方に向けて中央発光部3bから射出される光と異なる色調の光が射出される。第2色調LED素子3eから射出された光は、インナレンズ4で拡散された後、透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に後方から入射する。
【0091】
透過フィルム部材5の図形模様表示領域R2に入射した光は、スリット状に形成された開口部5c1を通過し、アウタレンズ6の外部に射出される。第2色調LED素子3eが幅方向の内側から外側向けて順次点灯されるため、車両用イルミネーション装置1の外部からスリット状の図形模様が中央部から外側に向けて流れるように視認される。
【0092】
したがって、手動運転中から自動運転へ切り替える場合には、本実施形態の車両用イルミネーション装置1において、「AUTO」の文字情報が表示されず、内側から外側に向けて流れるようなスリット状の図形模様が自動運転中と異なる色調にて外部から視認可能となる。
【0093】
以上のような本実施形態の車両用イルミネーション装置1は、車両100に搭載される。車両用イルミネーション装置1は、光源ユニット3と、透過フィルム部材5とを備えている。光源ユニット3は、前方に向けて光を射出する。透過フィルム部材5は、光源ユニット3の前方に配置されると共に光の一部を透過することで表示を行う。また、透過フィルム部材5は、車両100が自動運転中であることを表示する運転状況表示領域R1と、図形模様を表示する図形模様表示領域R2とを有している。また、光源ユニット3が、運転状況表示領域R1と図形模様表示領域R2とに向けて個別に光を射出可能であると共に、少なくとも図形模様表示領域R2に向けて異なる色調の光を射出可能である。
【0094】
本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、光源ユニット3から射出された光が透過フィルム部材5を透過することによって、運転状況表示領域R1に自動運転中であることが表示され、図形模様表示領域R2に図形模様が表示される。また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、光源ユニット3が、運転状況表示領域R1と図形模様表示領域R2とに向けて個別に光を射出可能である。
【0095】
このため、本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、運転状況表示領域R1における表示の有無を、図形模様表示領域R2における表示の有無と切り離して選択可能である。さらに、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、光源ユニット3が、図形模様表示領域R2に向けて、異なる色調の光を射出可能である。このため、図形模様表示領域R2における表示の色調を変更することができる。
【0096】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、運転状況表示領域R1における表示の有無と、図形模様表示領域R2における表示の色調との組み合わせを制御する簡素な構成によって、車両100が自動運転中であること、自動運転が解除されること、自動運転が行われていないこと等を周囲に向けて知らせることが可能となる。
【0097】
つまり、本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、運転状況表示領域R1への光の射出と、図形模様表示領域R2への光の射出とを制御する簡素な構成にて周囲に対して明確に車両100の状態を知らせることができる。したがって、本実施形態の車両用イルミネーション装置1は、自動運転中であることを簡易な構成にて周囲に対して明確に表示可能な車両用イルミネーション装置1となる。
【0098】
さらに、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、透過フィルム部材5によって情報や図形模様等の表示を行っている。このため、透過フィルム部材5を変更することによって、表示する情報や図形模様等を容易に変更することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、光源ユニット3が、中央発光部3bと、側方発光部3cとを備えている。中央発光部3bは、運転状況表示領域R1に向けて光を射出する。側方発光部3cは、図形模様表示領域R2に向けて複数の色調の光を射出可能である。
【0100】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、光源ユニット3が、中央発光部3bと、側方発光部3cとを備えている。このため、これらの中央発光部3bと、側方発光部3cとを個別に制御することによって、運転状況表示領域R1における表示の有無と、図形模様表示領域R2における表示の色調との組み合わせを容易に制御することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、側方発光部3cが、第1色調の光を発光する第1色調LED素子3dと、第1色調と異なる第2色調の光を発光する第2色調LED素子3eとを有している。また、第1色調LED素子3d及び第2色調LED素子3eの各々は、直線状に配列されて複数設けられている。
【0102】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、第1色調LED素子3dと第2色調LED素子3eとを選択的に点灯させることで、図形模様表示領域R2に向けて複数の色調の光を射出することが可能となる。
【0103】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、透過フィルム部材5が、基材5aと、スモーク透過インク層5bと、黒インク層5cとを有している。基材5aは、透明である。スモーク透過インク層5bは、基材5aに支持されると共に光を半透過させる。黒インク層5cは、基材5aに支持されると共に表示の内容に応じてパターニングされている。
【0104】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、パターニングされた黒インク層5cに設けられた開口部5c1を介して光が透過することで、黒インク層5cのパターンに応じた表示を容易に行うことが可能となる。また、スモーク透過インク層5bを備えるため、光源ユニット3からの光が照射されていない領域は、黒インク層5cの開口部5c1の有無に関わらず、スモーク透過インク層5bの色に均一に視認される。このため、光源ユニット3が点灯していない状態での車両用イルミネーション装置1の意匠性を向上させることが可能となる。
【0105】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、インナレンズ4を備えている。インナレンズ4は、光源ユニット3の前方に配置されると共に光を拡散する。このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、光源ユニット3から射出された光がインナレンズ4によって拡散されるため、車両用イルミネーション装置1から射出される光が均一化される。このため、車両用イルミネーション装置1の周囲の者が光源ユニット3を点光源として認識することを抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、インナレンズ4の光源ユニット3と反対側の面に透過フィルム部材5が支持されている。アウタレンズ6の内側表面とインナレンズ4の外側表面とを比較すると、インナレンズ4の外側表面の方が、凹凸が少ない。このため、透過フィルム部材5をインナレンズ4の外側表面(インナレンズ4の光源ユニット3と反対側の面)に貼付することで、透過フィルム部材5を歪みなく貼付することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、インナレンズ4が、光源ユニット3との間に空間部Kが形成されるように、光源ユニット3と離間して配置されている。このため、光源ユニット3からインナレンズ4までの距離を、光源ユニット3にインナレンズ4が密着されている場合よりも長く確保することができる。したがって、光源ユニット3から射出された光が放射状に広がった後にインナレンズ4に入射される。このため、インナレンズ4を透過する光の照度をさらに均一化することが可能となる。
【0108】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、ハウジング2とアウタレンズ6とを備えている。ハウジング2は、光源ユニット3を後方から支持する。アウタレンズ6は、透過フィルム部材5及びインナレンズ4を前方から覆うと共にハウジング2に接合されている。
【0109】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、光源ユニット3及び透過フィルム部材5がハウジング2とアウタレンズ6とによって囲まれた空間内に収容される。このため、外部の水分や空気が光源ユニット3や透過フィルム部材5に接触することを抑止することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、インナレンズ4が、光源ユニット3に対向配置される対向部4aと、光源ユニット3を側方から囲う囲壁部4bとを有している。また、ハウジング2が、囲壁部4bと対向する立壁部2bを有している。さらに、本実施形態の車両用イルミネーション装置1は、囲壁部4bと立壁部2bとの間に配置されるシーリング部材7を備えている。
【0111】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、インナレンズ4の囲壁部4bを外側から囲うようにシーリング部材7が配置される。このため、囲壁部4bの内部に配置された光源ユニット3に対して、外部の水分や空気が侵入することをより確実に防止することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、アウタレンズ6が、突出片6bを備えている。突出片6bは、囲壁部4bと立壁部2bとの間に挿入されてシーリング部材7と密着される。このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1によれば、シーリング部材7が突出片6bと密着されるために、シーリング部材7のシール性をさらに向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態の車両用イルミネーション装置1においては、水平方向にて、運転状況表示領域R1を間に挟んで、2つの図形模様表示領域R2が設けられている。このため、自動運転中であることを示す文字情報の両側に図形模様を表示することができる。このような車両用イルミネーション装置1によれば、自動運転中であることを示す文字情報を周囲に対してより目立たせることが可能となる。
【0114】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図9を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0115】
図9は、本実施形態の車両用イルミネーション装置1Aの模式的な断面図である。この図に示すように、本実施形態の車両用イルミネーション装置1Aにおいては、アウタレンズ6の内側表面に対して、凹凸部6cが設けられている。この凹凸部6cは、複数の凹部6dが隙間なく上下方向及び幅方向に配列されることによって形成されている。各々の凹部6dの形状は、前方から見て四角状のスクエア形状であってもよいし、前方から見て六角状のハニカム形状であってもよい。なお、複数の凸部を上下方向及び幅方向に配列することによって凹凸部6cを形成しても良い。
【0116】
このような本実施形態の車両用イルミネーション装置1Aにおいては、光源ユニット3から射出されて透過フィルム部材5を透過した光や、アウタレンズ6の外部から車両用イルミネーション装置1Aに入射した外光が、凹凸部6cによって様々な方向に反射あるいは屈折される。
【0117】
以上のような本実施形態の車両用イルミネーション装置1Aは、アウタレンズ6の透過フィルム部材5側の面に凹凸部6cが設けられている。このため、車両用イルミネーション装置1Aを目立たせることが可能となり、周囲に対して、自動運転中であるか否かの情報をより確実に伝達することが可能となる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0119】
例えば、上記実施形態においては、光源ユニット3の中央発光部3bが単一色の光を射出する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光源ユニット3の中央発光部3bが複数の色調の光を射出可能とすることもできる。
【0120】
また、例えば、上記実施形態においては、透過フィルム部材5が単一の運転状況表示領域R1と、2つの図形模様表示領域R2とを有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の運転状況表示領域R1を備える構成を採用することも可能である。また、単一の図形模様表示領域R2を備える構成を採用することも可能である。また、3つ以上の図形模様表示領域R2を備える構成を採用することも可能である。
【0121】
また、上記実施形態においては、第1色調LED素子3dと第2色調LED素子3eとを備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の色調の光を射出可能なLED素子を設置する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0122】
1……車両用イルミネーション装置(車両用外装部品)、1A……車両用イルミネーション装置(車両用外装部品)、2……ハウジング、2a……基部、2b……立壁部、3……光源ユニット、3a……回路基板、3b……中央発光部(第1光源部)、3c……側方発光部(第2光源部)、3d……第1色調LED素子(第1発光部)、3e……第2色調LED素子(第2発光部)、3f……LED素子対、4……インナレンズ(光拡散部材)、4a……対向部、4b……囲壁部、5……透過フィルム部材、5a……基材、5b……スモーク透過インク層(半透過層)、5c……黒インク層(遮光層)、5c1……開口部、5d……バインダ層、6……アウタレンズ(カバーレンズ)、6a……縁部、6b……突出片、6c……凹凸部、6d……凹部、7……シーリング部材、100……車両、K……空間部、R1……運転状況表示領域、R2……図形模様表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9