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特開2023-80617パルミチン酸エチルを含有するアルコール飲料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080617
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】パルミチン酸エチルを含有するアルコール飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/04 20190101AFI20230602BHJP
【FI】
C12G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194056
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄大
(72)【発明者】
【氏名】長田 知也
(72)【発明者】
【氏名】圖師 あかね
(72)【発明者】
【氏名】芳原 和希
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LH11
4B115LP01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、アルコール飲料におけるアルコール感を低減することである。
【解決手段】パルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンを用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するアルコール飲料。
【請求項2】
リモネンの含有量が1~50ppmであり、パルミチン酸エチルの含有量が1~100ppmである、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
リモネンの含有量が10~50ppmである、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
カプサイシンの含有量が1~100ppmであり、パルミチン酸エチルの含有量が1~100ppmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
カプサイシンの含有量が10~100ppmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項6】
アルコール含有量が1~9v/v%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
炭酸ガスを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
容器詰め飲料である、請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項9】
アルコール飲料におけるアルコール感を低減する方法であって、
当該アルコール飲料がパルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するように、原料を混合する工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルミチン酸エチルを含有するアルコール飲料、具体的には、パルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するアルコール飲料、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール飲料においては、アルコールが有する刺激感などのアルコール感がしばしば問題となる。そのような問題を解決するための方法がいくつか知られている。例えば、特定の糖類を用いる方法(特許文献1)、及び2,6-ノナジエノールを用いる方法(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-193602号公報
【特許文献2】特開2019-201566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、アルコール飲料におけるアルコール感を低減することである。より詳細には、本発明の課題は、アルコール飲料のアルコール刺激を低減させる、及び/又はアルコール飲料にまろやかさを付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アルコール飲料においてパルミチン酸エチルを用いると、アルコール感を低減させることが可能であることを見出した。また、本発明者らは、パルミチン酸エチルに加えてリモネン及び/又はカプサイシンを用いると、さらにアルコール感を低減することができる可能性があることを見出した。
【0006】
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
(1)パルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するアルコール飲料。
(2)リモネンの含有量が1~50ppmであり、パルミチン酸エチルの含有量が1~100ppmである、(1)に記載の飲料。
(3)リモネンの含有量が10~50ppmである、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4)カプサイシンの含有量が1~100ppmであり、パルミチン酸エチルの含有量が1~100ppmである、(1)~(3)のいずれか一項に記載の飲料。
(5)カプサイシンの含有量が10~100ppmである、(1)~(4)のいずれか一項に記載の飲料。
(6)アルコール含有量が1~9v/v%である、(1)~(5)のいずれか一項に記載の飲料。
(7)炭酸ガスを含む、(1)~(6)のいずれか一項に記載の飲料。
(8)容器詰め飲料である、(1)~(7)のいずれか一項に記載の飲料。
(9)アルコール飲料におけるアルコール感を低減する方法であって、
当該アルコール飲料がパルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するように、原料を混合する工程を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、アルコール飲料において、アルコール感を低減させることができる。具体的には、アルコール飲料のアルコール刺激を低減させる、及び/又はアルコール飲料にまろやかさを付与することができる。
【0008】
本明細書における「アルコール刺激」とは、アルコールに起因して得られる、舌や喉にピリピリと刺すような刺激を意味する。また、アルコール飲料に関して「まろやかさを付与する」とは、アルコール刺激がマイルドになることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の、パルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するアルコール飲料、及び関連する方法について、以下に説明する。
なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppm」は、重量/容量(w/v)のppmを意味し、これは「mg/L」と同義である。
【0010】
(パルミチン酸エチル)
本発明の飲料はパルミチン酸エチルを含有する。その含有量は、好ましくは1~100ppm、より好ましくは1~50pm、より好ましくは10~50ppmである。
【0011】
本発明において、パルミチン酸エチルは、アルコール感を低減させることができる。パルミチン酸エチルは、これまで、ワックス様の臭いを有することが知られていた。そのような臭いを有する物質がアルコール感を低減させることができるという事実は、驚くべきことであった。
【0012】
なお、パルミチン酸エチルの含有量は、GC-MS、GC、HPLC法などの公知のいずれの方法で測定してもよい。以下に、GC分析法の典型例を示す。
<GC分析法>
試料となる飲料を以下の条件にて、ガスクロマトグラフィー分析(GC)に供する。GCの分析条件は以下のとおり。
GC装置:Agilent Technologies GC 6890N
GCオーブン温度条件:40℃(5min)→10℃/min→230℃(10min)
カラム:HP-ULTRA2(J&W社製)内径0.32mm、長さ50m、膜厚0.52μm
スプリット比:15:1
入口温度:250℃
検出器:FID
試料気化用ガス種類:ヘリウム
検出器温度:260℃
注入量:2μl
同定と定量:ピーク保持時間により成分および濃度の同定を行う。
標準物質:パルミチン酸エチル
(リモネン)
本発明の飲料がリモネンを含有する場合、その含有量は、好ましくは1~50ppm、より好ましくは10~50ppm、より好ましくは30~50ppmである。
【0013】
本明細書において「リモネン」との用語はd-リモネンを意味する。本発明において、リモネンはパルミチン酸エチルと共にアルコール感を低減させることができる。
なお、リモネンの含有量は、GC-MS、HPLC法などの公知のいずれの方法で測定してもよい。以下に、GC-MSの典型的な分析条件を示す。
【0014】
<GC-MS分析条件>
試料となる飲料を以下の条件にて、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)に供する。GCの分析条件は以下のとおり。
GC装置:Agilent Technologies GC-MSD
GCオーブン温度条件:40℃(5分)-6℃/min-240℃
質量分析(MS)条件
四重極設定値:150
イオン源設定値:230
面積値算出条件
トータルイオンモード
質量(LOW):35
質量(HIGH):550
カラム:DB-WAXETR 60m、内径320μm、膜厚0.25μm
試料前処理条件:試料80μLと内部標準物質(デカン酸メチルエステル20ppm
アルコール水溶液)20μLを20mLスクリューキャップバイアル瓶中で混合
ダイナミックヘッドスペース条件
装置:ゲステル社MPS
吸着剤:TENAX
試料気化温度:80℃
試料気化用ガス供給量:3000ml
試料気化用ガス供給速度:100ml/min
試料気化用ガス種類:窒素
ピーク保持時間:MSの解析によって成分および濃度の同定を行う。
標準物質:リモネン
なお、リモネンを含有する本発明の飲料は、以下に記載するカプサイシンを含有してもよいし、含有しなくてもよい。
【0015】
(カプサイシン)
本発明の飲料がカプサイシンを含有する場合、その含有量は、好ましくは1~100ppm、より好ましくは10~100ppm、より好ましくは50~100ppmである。カプサイシンを含有する本発明の飲料は、リモネンを含有してもよいし、含有しなくてもよい。
【0016】
本発明において、カプサイシンはパルミチン酸エチルと共にアルコール感を低減させることができる。
なお、カプサイシンの含有量は、GC-MS、HPLC法などの公知のいずれの方法で測定してもよい。
【0017】
(アルコール)
本発明の飲料は、アルコールを含有する飲料、すなわちアルコール飲料である。本明細書に記載の「アルコール」との用語は、特に断らない限りエタノールを意味する。
【0018】
本発明の飲料のアルコール度数は、1~9v/v%、好ましくは3~9v/v%、さらに好ましくは5~9v/v%である。アルコール度数が前記の範囲にあると、アルコール感が低減されやすくなる。
【0019】
本明細書においては、飲料のアルコール度数は、公知のいずれの方法によっても測定
することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には
、飲料から濾過又は超音波によって必要に応じて炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を水蒸気蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
【0020】
本発明の飲料には、アルコールをどのような手段で飲料に含有させてもよいが、典型的には、本発明の飲料は蒸留酒を含有し、それによってアルコールを含有する。当該蒸留酒は、その原料や製造方法によって限定されない。当該蒸留酒としては、例えば、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ(例えば、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット)、ニュートラルスピリッツ、リキュール類、焼酎が挙げられる。好ましくは、当該蒸留酒は、ウィスキー、ブランデー、又はニュートラルスピリッツである。
【0021】
本発明のアルコール飲料の種類は特に限定されないが、好ましくは、ハイボール、チューハイ(酎ハイ)、カクテル、サワーなどである。「ハイボール」、「チューハイ」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、水と蒸留酒と炭酸とを含有する飲料を意味する。ハイボール、チューハイは、さらに果汁を含有してもよい。また、「サワー」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、スピリッツと、柑橘類などの酸味のある果汁と、甘味成分と、炭酸とを含有する飲料を意味する。「カクテル」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、ベースとなる酒に果汁等を混ぜて作られたアルコール飲料を意味する。
【0022】
(炭酸ガス)
本発明の飲料は、炭酸ガスを含んでもよい。炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料に付与することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーター等のミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。
【0023】
本発明の飲料が炭酸ガスを含有する場合、その炭酸ガス圧は、特に限定されないが、好ましくは0.7~4.5kgf/cm、より好ましくは0.8~2.8kgf/cmである。本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA-500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。本明細書においては、特に断りがない限り、炭酸ガス圧は、20℃における炭酸ガス圧を意味する。
【0024】
(果汁又は野菜汁)
本発明の飲料は、果汁及び/又は野菜汁を含有してもよい。果汁は、果実を搾汁して得られる果汁をそのまま使用するストレート果汁、あるいは濃縮した濃縮果汁のいずれの形態であってもよい。また、透明果汁、混濁果汁を使用することもでき、果実の外皮を含む全果を破砕し種子など特に粗剛な固形物のみを除いた全果果汁、果実を裏ごしした果実ピューレ、或いは、乾燥果実の果肉を破砕もしくは抽出した果汁を用いることもできる。野菜汁も、上記の果汁と同様の形態で用いることができる。
【0025】
果汁の種類は、特に限定されないが、例えば、柑橘類(オレンジ、うんしゅうみかん、グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼす等)、仁果類(りんご、なし、など)、核果類(もも、梅、アンズ、スモモ、さくらんぼ、など)、しょうか類(ブドウ、カシス、ブルーベリー、など)、熱帯、亜熱帯性果実類(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、ライチ、など)、果実的野菜(いちご、メロン、スイカ、など)の果汁が挙げられる。これらの果汁は、1種類を単独使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、野菜汁の種類は、例えば、トマト汁、コーン汁、かぼちゃ汁、ニンジン汁等が挙げられ、野菜汁は、1種類を単独使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、果汁と野菜汁を組み合わせてもよい。
【0026】
本発明の飲料における果汁の含有量は、特に限定されないが、典型的には、果汁率に換算して0~100w/w%、又は10w/w%未満である。
本発明では、飲料中の「果汁率」を、飲料100ml中に配合される果汁配合量(g)を用いて下記換算式によって計算することとする。また濃縮倍率を算出する際はJAS規格に準ずるものとし、果汁に加えられた糖質、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
【0027】
果汁率(w/w%)=<果汁配合量(g)>×<濃縮倍率>/100mL/<飲料の密度>×100
本発明の飲料における野菜汁の含有量は、特に限定されないが、典型的には、0~100w/w%、又は10w/w%未満である。ここで、野菜汁の含有量は、上記の果汁率に換算した果汁の含有量に準じて求める。
【0028】
(他の成分)
本発明における飲料には、他にも、本発明の効果を損なわない限り、飲料に通常配合する添加剤、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、クエン酸、品質安定剤等を配合することができる。
【0029】
(容器詰め飲料)
本発明の飲料は、容器詰めの形態で提供することができる。容器の形態には、缶等の金属容器、ペットボトル、紙パック、瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない。例えば、本発明の飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、飲料を殺菌して容器に充填する方法を通じて、殺菌された容器詰め製品を製造することができる。
【0030】
(方法)
本発明は、別の側面ではアルコール飲料の製造方法である。当該方法は、当該アルコール飲料がパルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとを含有するように、原料を混合する工程を含む。当該原料には、リモネン又はリモネンを含有する材料(果汁、香料など)及び/又はカプサイシン又はカプサイシンを含有する材料(果汁、香料など)と、パルミチン酸エチル又はパルミチン酸エチルを含有する材料と、水と、必要に応じて他の原料とが含まれる。他の原料は、飲料に関する上記記載から自明である。また、当該方法は、当該飲料中のリモネンの含有量を1~50ppmに調整する工程、及び当該飲料中のパルミチン酸エチルの含有量を1~100ppmに調整する工程を含んでもよいし、又は当該飲料中のカプサイシンの含有量を1~100ppmに調整する工程、及び当該飲料中のパルミチン酸エチルの含有量を1~100ppmに調整する工程を含んでもよい。この方法は、アルコール飲料におけるアルコール感を低減することができるため、別の側面では、アルコール飲料におけるアルコール感を低減する方法でもある。
【0031】
飲料中のパルミチン酸エチルとリモネン及び/又はカプサイシンとの含有量を調整する方法は、当該飲料に関する上の記載から自明である。そのタイミングも限定されない。例えば、上記工程を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、工程の順番を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また、上記成分の含有量の好ましい範囲は、飲料に関して上記した通りである。さらに、追加的な他の成分の具体例や量も、飲料に関して上記した通りである。
【0032】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書における数値範囲は、その端点、即ち下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2」により表される範囲は、1及び2を含む。
【実施例0033】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(官能試験方法)
後述の各試験例で得られたサンプル飲料を専門パネル4名が飲用し、アルコール刺激(ピリピリとした刺激)、まろやかさ、総合評価について10段階で評価し、平均値を求めた。
【0034】
なお、各評価は、以下の基準にしたがった。
アルコール刺激(ピリピリとした刺激):
10 ピリピリとした刺激を非常に強く感じる
8 ピリピリとした刺激を強く感じる
6 ピリピリとした刺激を感じる
4 ピリピリとした刺激をあまり感じられない
2 ピリピリとした刺激を感じられない
0 ピリピリとした刺激を全く感じられない
まろやかさ:
10 まろやかさを非常に強く感じる
8 まろやかさを強く感じる
6 まろやかさを感じる
4 まろやかさをあまり感じられない
2 まろやかさを感じられない
0 まろやかさを全く感じられない
総合評価:
お酒としての総合的な香りや味わい(アルコール飲料を飲んだ時に感じる酒類特有の甘味、苦味、複雑味、重量感および刺激感などによって構成される複合的な味わい)の評価を10段階で評価した。
【0035】
10 とても良い
8 良い
6 やや良い
4 わずかに良い
2 良くない
0 全く良くない
なお、評価の個人差を少なくするために、各パネラーは、各スコアに対応する標準サンプルを使用して、各スコアと味との関係の共通認識を確立してから評価試験を実施した。
【0036】
(試験例1)
アルコール含有量が5v/v%であるアルコール水溶液(対照:サンプルNo.1)に種々の量のパルミチン酸エチルを添加してサンプル飲料を調製し(サンプルNo.2~5)、その効果を確認した。さらに、種々の量のリモネンを追加して、その効果を確認した(サンプルNo.6~17)。結果を以下に示す。パルミチン酸エチルがアルコール感を低減させることが示された。また、リモネンを追加すると、さらにアルコール感が低減されることが示された。
【0037】
【表1】
【0038】
次いで、アルコール含有量が9v/v%であるアルコール水溶液(対照:サンプルNo.18)について、上記と同様の実験を実施した。上記と同様の傾向が認められたが、アルコール感の低減幅は、より大きかった。
【0039】
【表2】
【0040】
(試験例2)
クエン酸を用いずに試験例1と同様の実験を行ったところ、試験例1と同様の傾向が認められた。結果を以下に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
(試験例3)
試験例1と同じ試験を、リモネンの代わりにカプサイシンを用いて実施した。
具体的には、アルコール含有量が5v/v%であるアルコール水溶液(対照:サンプルNo.1)に種々の量のパルミチン酸エチルを添加してサンプル飲料を調製し(サンプルNo.2~5)、その効果を確認した。さらに、種々の量のカプサイシンを追加して、その効果を確認した(サンプルNo.6~17)。結果を以下に示す。パルミチン酸エチルがアルコール感を低減させることが示された。また、カプサイシンを追加すると、さらにアルコール感が低減されることが示された。
【0043】
【表4】
【0044】
次いで、アルコール含有量が9v/v%であるアルコール水溶液(対照:サンプルNo.18)について、上記と同様の実験を実施した。上記と同様の傾向が認められたが、アルコール感の低減幅は、より大きかった。
【0045】
【表5】
【0046】
(試験例4)
クエン酸を用いずに試験例3と同様の実験を行ったところ、試験例3と同様の傾向が認められた。結果を以下に示す。
【0047】
【表6】