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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080645
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/02 20060101AFI20230602BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A47J41/02 101Z
A47J41/02 102B
B65D81/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194098
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】池口 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【テーマコード(参考)】
3E067
4B002
【Fターム(参考)】
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC03B
3E067BC03C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA04
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE56
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA12
4B002AA02
4B002BA07
4B002BA15
4B002BA22
4B002BA31
4B002BA60
4B002CA32
(57)【要約】
【課題】断熱性を向上させることができる、二重容器を提供することを目的としている。
【解決手段】樹脂製の内容器及び樹脂製の外容器を備えた二重容器であって、前記内容器は、内容器本体を有し、前記内容器本体は、前記外容器の内側に配置され、且つ、前記内容器本体の外面と前記外容器の内面との間には、空間が形成され、前記二重容器は、前記空間を追加的に減圧可能に構成されている、二重容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の内容器及び樹脂製の外容器を備えた二重容器であって、
前記内容器は、内容器本体を有し、
前記内容器本体は、前記外容器の内側に配置され、且つ、前記内容器本体の外面と前記外容器の内面との間には、空間が形成され、
前記二重容器は、前記空間を追加的に減圧可能に構成されている、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記内容器及び前記外容器は、別体であり、
前記内容器は、突出部を更に有し、
前記突出部は、前記内容器の径方向であって前記内容器の外側に突き出すように形成され、且つ、前記外容器に支持される、二重容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
中蓋を更に備え、
前記中蓋は、係合蓋部と、挿入筒部とを有し、
前記係合蓋部は、前記外容器及び前記内容器の上部に被せられ、且つ、前記外容器の外面に係合可能に構成され、
前記挿入筒部は、前記外容器の外面と前記係合蓋部とが係合している状態において、前記内容器に挿入されている、二重容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記内容器は、環状リブを更に有し、
前記環状リブは、前記内容器本体の外面に形成されている、二重容器。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の二重容器であって、
弁部材を更に備え、
前記弁部材は、前記外容器に設けられ、且つ、開閉することで前記空間を追加的に減圧可能である、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内容物が収容される容器本体を備え、容器本体が、内容体と外容体を有している二重容器が開示されている。特許文献1の二重容器は、内容体と外容体との間には断熱層としての空間が形成されており、外気と内容物との間の断熱性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-047593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の二重容器には、断熱層としての空間が形成されているが、空間内には空気が存在しているため、その分、断熱性が損なわれてしまう、という課題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、断熱性を向上させることができる、二重容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、樹脂製の内容器及び樹脂製の外容器を備えた二重容器であって、前記内容器は、内容器本体を有し、前記内容器本体は、前記外容器の内側に配置され、且つ、前記内容器本体の外面と前記外容器の内面との間には、空間が形成され、前記二重容器は、前記空間を追加的に減圧可能に構成されている、二重容器が提供される。
【0007】
本発明によれば、二重容器が、内容器本体の外面と外容器の内面との間の空間を減圧可能に構成されているため、当該空間内に存在する空気を減らすことができ、断熱性を向上させることができる。また、内容器及び外容器は樹脂製であるが、内容器及び外容器の構成樹脂がガスを透過する材料で構成されている場合、当該空間の気圧が少しずつ増加し得るが、本発明では、当該空間を追加的に減圧可能であるため、このような条件であっても、断熱性を向上させることができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記内容器及び前記外容器は、別体であり、前記内容器は、突出部を更に有し、前記突出部は、前記内容器の径方向であって前記内容器の外側に突き出すように形成され、且つ、前記外容器に支持される、二重容器が提供される。
好ましくは、中蓋を更に備え、前記中蓋は、係合蓋部と、挿入筒部とを有し、前記係合蓋部は、前記外容器及び前記内容器の上部に被せられ、且つ、前記外容器の外面に係合可能に構成され、前記挿入筒部は、前記外容器の外面と前記係合蓋部とが係合している状態において、前記内容器に挿入されている、二重容器が提供される。
好ましくは、前記内容器は、環状リブを更に有し、前記環状リブは、前記内容器本体の外面に形成されている、二重容器が提供される。
好ましくは、弁部材を更に備え、前記弁部材は、前記外容器に設けられ、且つ、開閉することで前記空間を追加的に減圧可能である、二重容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る二重容器100の正面斜視図である。
図2図2は、図1に示す二重容器100の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す二重容器100の垂直端面図である。
図4図4Aは、外容器2の正面斜視図であり、図4Bは、図4Aに示す外容器2の垂直断面図である。
図5図5Aは、内容器1の正面斜視図であり、図5Bは、図5Aに示す内容器1の垂直断面図である。
図6図6Aは、中蓋3の正面斜視図であり、図6Bは、図6Aに示す中蓋3の垂直断面図である。
図7図7は、図3に示す領域Aの拡大図であって、弁部材5の説明図である。
図8図8は、変形例に係る弁部材5の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面中の一点鎖線は、各種形状のうち曲率半径が変化する部分を示したものである。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
図1及び図2に示すように、二重容器100は、内容器1と、外容器2と、中蓋3と、外蓋4と、弁部材5とを備えている。また、内容器1を外容器2内に配置した状態において、内容器1と外容器2との間には、空間Spが形成されている。二重容器100は、空間Spを追加的に減圧可能に構成されている。
【0012】
追加的に減圧可能とは、密閉空間である空間Spを形成した後に、ユーザーが、減圧手段(例えば、吸引ポンプ)を操作することで空間Sp内の空気を排出し、当該排出した状態の空間Spの気圧を維持できることを指す。具体的には、ユーザーが、内容器1及び外容器2を組み立て(内容器1を外容器2内に配置し)、且つ、外容器2に弁部材5を取り付け、密閉空間である空間Spを形成する。そして、ユーザーが、弁部材5を開状態とし、吸引ポンプ(図示省略)で密閉空間である空間Sp内の空気を排気した後、弁部材5を閉状態とする。これにより、空間Spが減圧された状態を維持することができる。このように、二重容器100は、密閉空間である空間Spを形成した後に、空間Spを減圧可能であり、追加的な減圧が可能な構成となっている。
なお、ユーザーが、更に減圧することを望む場合には、再び、弁部材5を開状態として吸引ポンプで空間Sp内の空気を排気すればよい。これにより、ユーザーは空間Spの減圧度合いを適宜調整することができる。
【0013】
なお、内容器1と外容器2とを分離する場合には、空間Sp内が大気圧になっている方が好ましい。この場合には、ユーザーが弁部材5を開状態とすることで、空間Sp内の気圧を容易に上昇させることができる。
【0014】
内容器1、外容器2、中蓋3及び外蓋4は、射出成形で製造することができる。なお、内容器1は、インジェクションブロー成形で製造してもよいが、肉厚差が生じやすいので、射出成形で製造することが好ましい。
【0015】
<内容器1>
図2図3図5A及び図5Bに示すように、内容器1は、内容物を貯留可能に構成された有体筒状部材であり、透明の樹脂で構成されている。内容器1の内容量は、例えば、200~300mlとすることができるが、特にこの容量に限定されるものではない。内容器1は、内容器本体1Aと、突出部1Bと、環状リブ1Cとを備えている。
【0016】
内容器本体1Aは、筒状(実施形態では円筒状)の胴部1A1と、底部1A2とを備えている。胴部1A1には、環状リブ1Cが接続されている。胴部1A1は、円筒状に形成され、上下方向に平行に延びている。底部1A2は、胴部1A1の下端部に接続されている。また、底部1A2は、椀状に形成され、外容器2の後述する底部2A2及び弁部材5に対向している。
【0017】
なお、内容器本体1Aの肉厚は、例えば3(mm)であるが、これに限定されるものではない。内容器本体1Aの肉厚(mm)は、具体的には例えば、1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
突出部1Bは、内容器1の径方向であって内容器1の外側に突き出すように形成されており、また、突出部1Bは、環状(実施形態では円環状)に形成されている。また、突出部1Bは、外容器2に支持される部分である。突出部1Bの上面には、パッキン6Bが載置され、突出部1Bの下面には、パッキン6Aが設けられている。内容器1が外容器2内に収容されている状態において、内容器1のうち突出部1Bの部分のみが、外容器2にパッキン6Aを介して支持され、内容器1のうちのその他の部分は、外容器2に接触していない。実施形態において、突出部1Bは、内容器本体1A(胴部1A1)の上端部に接続されている。
【0019】
環状リブ1Cは、胴部1A1の上部側及び下部側にそれぞれ1つずつ形成されている。環状リブ1Cは、胴部1A1の周方向に環状(実施形態では円環状)に形成されている。環状リブ1Cは、胴部1A1の外面(外周面)に形成されている。環状リブ1Cが形成されていることで、内容器1の破損を抑制することができる。ここで、例えば、空間Spが減圧されていない状態で使用される場合も想定されるが、このような場合、空間Spの気圧が内容器1内の気圧より高くなる可能性がある。このような場合、内容器1が凹む方向に圧力が加わり、内容器本体1Aの破損を誘発しやすいが、環状リブ1Cが内容器本体1Aに形成されていることで、内容器本体1Aの破損を効果的に抑制することができる。
【0020】
<外容器2>
図2図4Bに示すように、外容器2は、内容器1とは別体であり、内容器1から分離可能に構成されている。このため、二重容器100は清掃性が向上している。また、外容器2は、内容器1とは別体であるため、内容器1及び外容器2のうちの一方が破損した場合、当該一方のみを交換すればよく、二重容器100は利便性が高められている。
【0021】
外容器2は、内容器1を収容可能に構成された有体筒状部材であり、透明の樹脂で構成されている。二重容器100は、内容器1及び外容器2の両方が透明であるため、ユーザーは、内容物を二重容器100の外側から確認することが可能である。外容器2は、外容器本体2Aと、支持部2Bと、係合部2Cとを備えている。
【0022】
外容器本体2Aは、筒状(実施形態では円筒状)の胴部2A1と、底部2A2とを備えている。なお、底部2A2には、弁部材5を取り付けるための開口部2A3(図4B参照)が形成されており、当該開口は弁部材5によって閉塞されている。胴部2A1の外周面には、係合部2Cが形成されている。また、胴部2A1は、円筒状に形成され、上下方向に平行に延びている。また、外容器2の胴部2A1の開口部(内容器1を挿入する部分)の近傍及び内容器1の胴部1A1の開口部(内容物の投入口)の近傍には、縮径形状(肩部)が形成されておらず、胴部2A1及び胴部1A1のいずれも、上下方向に平行に延びている(直線状に延びている)ので、ユーザーは、内容器1を外容器2から容易に挿抜することができ、分解及び組立てが容易である。底部2A2は、胴部2A1の下端部に接続されている。底部2A2は、上に凸をなすように形成されており、内容器1の底部1A2に対向している。
【0023】
なお、外容器本体2Aの肉厚は、例えば3(mm)であるが、これに限定されるものではない。外容器本体2Aの肉厚(mm)は、具体的には例えば、1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
図3に示す空間Spは、内容器1と外容器2との間に形成されている。内容器1が外容器2内に収容された状態において、突出部1B、支持部2B及びパッキン6Aの間に隙間がなくなり、空間Spが密閉された空間(閉空間)となる。この空間Spは、内容器本体1Aの外面と、外容器本体2Aの内面との間に形成されている。より具体的には、空間Spは、内容器本体1Aの外面と、突出部1Bの下面と、外容器本体2Aの内面と、に囲われるように形成されている。空間Sp内の空気は、弁部材5を介して排出される。
【0025】
支持部2Bは、外容器2の径方向であって外容器2の外側に突き出すように形成されており、また、支持部2Bは、環状(実施形態では円環状)に形成されている。支持部2Bは、パッキン6Aが載置可能に構成されており、パッキン6Aを介して突出部1Bを支持する。実施形態において、支持部2Bは、外容器本体2A(胴部2A1)の上端部に接続されている。
【0026】
係合部2Cは、中蓋3に係合可能に構成されている。実施形態において、係合部2Cは、中蓋3と螺合するように螺旋状に形成されている。
【0027】
<中蓋3>
図2図3図6A及び図6Bに示すように、中蓋3は、内容器1及び外容器2とは別体であり、内容器1及び外容器2から分離可能に構成されている。中蓋3は、内容器1及び外容器2の上部に被せるように取り付けられる。中蓋3は、係合蓋部3Aと、挿入筒部3Bとを備えている。
【0028】
図3に示すように、係合蓋部3Aは、内容器1及び外容器2の上部に被せられ、且つ、外容器2の外面に係合可能に構成されている。係合蓋部3Aは、上面部3A1と、筒部3A2と、係合部3A3とを備えている。
【0029】
図6A及び図6Bに示すように、上面部3A1は、平板状に形成されており、上面部3A1の内縁は、挿入筒部3Bに接続され、上面部3A1の外縁は、筒部3A2に接続されている。上面部3A1の下面には、パッキン6Bが設けられている。上面部3A1の下側には、パッキン6B、突出部1B、パッキン6A及び支持部2Bが配置されている。このため、中蓋3の係合部3A3が外容器2の係合部2Cに係合させられると、上面部3A1が、パッキン6B、突出部1B及びパッキン6Aを、支持部2Bに押し付ける。これにより、パッキン6Aが潰れるように変形して空間Spの気密性が確保され、また、パッキン6Bが潰れるように変形して内容器1内の空間の気密性が向上する。つまり、ユーザーが中蓋3を外容器2に取り付ける作業がなされることで、空間Spの気密性及び内容器1内の空間の気密性の両方が確保される。
【0030】
図3及び図6Bに示すように、筒部3A2は、筒状に形成されている。そして、ユーザーが、筒部3A2の外周面を把持して回転力を加えることで、中蓋3(係合部3A3)と外容器2(係合部2C)との係合が解除され、中蓋3が外容器2から取り外される。
係合部3A3は、筒部3A2の内周面に形成されている。係合部3A3は、外容器2の係合部2Cに係合可能に構成されている。係合部3A3は、外容器2と螺合するように螺旋状に形成されている。
【0031】
図3に示すように、挿入筒部3Bは、外容器2の係合部2Cと係合蓋部3Aの係合部3A3とが係合している状態において、内容器1に挿入されている。挿入筒部3Bは、筒状(実施形態では円筒状)に形成され、内容器1内に連通するように設けられている。挿入筒部3Bは、上筒部3B1と、係合部3B2と、下筒部3B3とを備えている。
【0032】
図6Aに示すように、上筒部3B1は、上面部3A1から上に突き出るように設けられており、上筒部3B1の外周面には、係合部3B2が形成されている。
係合部3B2は、外蓋4に係合可能に構成されている。実施形態において、係合部3B2は、外蓋4と螺合するように螺旋状に形成されている。
図3に示すように、下筒部3B3は、上面部3A1から下に突き出るように設けられており、下筒部3B3は、内容器1の胴部1A1の上部に挿入可能に構成されている。下筒部3B3が胴部1A1に挿入されている状態において、好ましくは、胴部1A1の内周面と下筒部3B3の外周面とが接触している。これにより、内容器1の内部及び挿入筒部3Bの内部からなる空間の気密性が向上している。下筒部3B3は、外周面の全周において、胴部1A1の内周面と接触していてもよいが、これに限定されるものではなく、例えば、下筒部3B3を胴部1A1から挿抜しやすいように、一部に隙間が形成されていてもよい。
【0033】
実施形態において、下筒部3B3の肉厚は、上筒部3B1の肉厚よりも薄い。
上筒部3B1の肉厚は、例えば3(mm)であるが、これに限定されるものではない。上筒部3B1の肉厚(mm)は、具体的には例えば、1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
下筒部3B3の肉厚は、例えば1.5(mm)であるが、これに限定されるものではない。下筒部3B3の肉厚(mm)は、具体的には例えば、0.8,0.9,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0034】
<外蓋4>
図2及び図3に示すように、外蓋4は、挿入筒部3Bの開口を閉塞するように構成されている。外蓋4は、椀状に形成されており、外蓋4の内周面には、係合部4Aが設けられている。係合部4Aは、上筒部3B1の係合部3B2と螺合するように螺旋状に形成されている。また、外蓋4には、パッキン6Cが着脱可能に取り付けられている。
【0035】
<弁部材5>
図3及び図7に示すように、弁部材5は、逆止弁で構成されている。つまり、弁部材5は、二重容器100外(高圧側の空間)の空気が空間Sp内(低圧側の空間)へ流入することを防止する機能を有する。なお、ユーザーが、弁部材5に吸引ポンプ(図示省略)を取り付けて吸引操作をすると、弁部材5が開状態となり、空間Sp内の空気が排気される。実施形態において、弁部材5は、以下の構成である。
【0036】
図7に示すように、弁部材5は、ボディ5Aと、弁体5Bと、スプリング5Cとを備えている。
ボディ5Aは、開口部2A3に挿入されることで、外容器2に取り付けられている。実施形態では、ボディ5Aは、開口部2A3に圧入されることで外容器2に取り付けられており、弁部材5は、外容器2から分離可能に構成されている。なお、ボディ5Aは、例えば、開口部2A3の内周面と螺合することで、外容器2に取り付けられていてもよい。ボディ5Aは、吸引穴5A1と、配置面部5A2と、弁座5A3とを有する。吸引穴5A1は、ボディ5Aを上下方向に貫通するように形成されている。配置面部5A2上には、スプリング5Cの下端部が配置されている。弁座5A3は、弁体5Bが配置されている。吸引ポンプが吸引穴5A1に取り付けられて吸引操作がなされた場合には、弁体5Bが弁座5A3の位置から下方に移動し、弁体5Bの外側面と弁座5A3との間に隙間が形成され、空間Sp内の空気が排気される。
【0037】
弁体5Bは、ボディ5Aの内側に設けられ、且つ、上下方向に移動自在に設けられている。弁体5Bは、ボディ5Aの吸引穴5A1を閉塞する機能を有する。弁体5Bの先端には係合部5B1が形成されている。係合部5B1には、スプリング5Cの上端部が配置されている。
スプリング5Cは、下端部が配置面部5A2に設けられ、上端部が係合部5B1に設けられている。スプリング5Cは、弁体5Bを上方向に付勢する機能を有する。スプリング5Cの作用によって、弁体5Bが吸引穴5A1を閉塞する。
【0038】
このように、二重容器100は、弁部材5を備えることで、空間Spを減圧可能に構成されている。このため、二重容器100は、空間Sp内に存在する空気を減らすことができ、二重容器100の断熱性を向上させることができる。また、内容器1及び外容器2は樹脂製であるが、内容器1及び外容器2の構成樹脂がガスを透過する材料で構成されている場合、空間Sp内の気圧が少しずつ増加し得るが、二重容器100は、空間Spを追加的に減圧可能であるため、空間Sp内の気圧が上昇して断熱性が損なわれても、再び、断熱性を向上させることができる。
【0039】
ここで、空間Spが大気圧の場合(以下の場合1)と、空間Spが減圧された場合(以下の場合2)とで、内容器1内の内容物の温度に差が生じることを確認したので説明する。
場合1及び場合2に共通する内容は次の通りである。つまり、内容器1内に内容物として0℃の水を150g入れた。また、内容器1内にサイズが30mm~40mm程度の立方体状の氷を100g入れた。その後、外蓋4を閉めた。外蓋4を閉めた段階で、内容物の温度の測定を開始した。
場合1では、空間Spを大気圧(1気圧)とし、場合2では、空間Spを0.05気圧まで減圧させた。
場合1では、測定開始から2時間が経過したあたりで温度上昇し始めるのに対し、場合2では、2時間40分程度が経過したあたりで温度上昇し始めるのを確認した。そして、場合1では、3時間半が経過すると約8℃まで温度が上昇したのに対し、場合2では、同じ約8℃まで温度が上昇するのに4時間半かかり、両者の差が1時間程度まで拡大していることを確認した。この差は、更に時間が立つほどに拡大していった。このように、実施形態に係る二重容器100は、空間Spを減圧することが可能に構成されており、保冷性を向上させることができる。
【0040】
<パッキン6A~6C>
図2及び図3に示すパッキン6A~6Cは、樹脂製の環状部材である。
パッキン6Aは、突出部1Bと支持部2Bとの間に介在するように設けられている。パッキン6Aは、空間Spの気密性を向上させている。
パッキン6Bは、中蓋3の上面部3A1の下面と内容器1の突出部1Bの上面との間に介在するように設けられている。パッキン6Bは、内容器1内の内容物が中蓋3と内容器1との間の隙間から流出することを防止している。
パッキン6Cは、中蓋3の挿入筒部3Bの上端部と外蓋4の下面との間に介在するように設けられている。パッキン6Cは、内容器1内の内容物が中蓋3と外蓋4との間の隙間から流出することを防止している。
【0041】
<各部材の構成樹脂等について>
内容器1及び外容器2は、リサイクルしやすいように、例えばPET樹脂で構成することができる。また、内容器1及び外容器2は、トライタン(TRITAN:登録商標)樹脂で構成することもできる。
【0042】
<その他実施形態>
実施形態では、弁部材5が図7に示す構成を備えているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すような構成を備えるものであってもよい。図8において、弁部材5のボディ5Aは、2部品(第1部品51及び第2部品52)を備えている。第1部品51は、開口部2A3に圧入されて、外容器2に取り付けられている。また、第1部品51の内側には、球形の弁体5B及びスプリング5Cが配置されている。第2部品52は、第1部品51に着脱自在に係合しており、第2部品52の上面には、配置面部5A2が設けられている。吸引穴5A1は、第1部品51の中央部及び第2部品52の中央部を連通するように形成されている。スプリング5Cは、第2部品52の配置面部5A2上に設けられ、球形の弁体5Bを付勢している。
【0043】
実施形態では、弁部材5が、弾性部材(スプリング5C)を備えるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、弾性部材を備えていなくてもよい。弁部材5は、例えば、把持可能なコックを有し、ユーザーが手でコックをひねることで弁体が開閉する機構を備えるものであってもよい。このような形態であっても、二重容器100は追加的に減圧可能である。つまり、ユーザーは、内容器1及び外容器2を組み立て、且つ、外容器2に弁部材5を取り付け、且つ、弁部材5をひねって閉状態とし、空間Spを密閉空間とする。その後、吸引ポンプを弁部材5に取り付け、弁部材5のコックを開いて開状態とし、吸引ポンプを操作することで空間Sp内の空気を排出することができる。そして、ユーザーが望む程度まで空間Spの減圧が完了した後に、ユーザーが、弁部材5のコックをひねり、閉状態とする。これにより、空間Spは再び密閉状態となり、空間Spの減圧された状態は維持される。
【0044】
内容器1の内面及び外面のうちの少なくとも一方には、ガスバリア層が形成され、また、外容器2の内面及び外面のうちの少なくとも一方にも、ガスバリア層が形成されていていてもよい。このガスバリア層は、内容器1や外容器2を構成する樹脂よりも、ガスバリア性の高い素材で構成され、例えば、DLCコーティングで形成した層で構成することができる。内容器1及び外容器2にガスバリア層が形成されていることで、内容器1及び外容器2自体をガスが透過することを抑制することができ、空間Spの気圧が上昇して、断熱性が損なわれることを抑制することができる。
【0045】
突出部1Bは、内容器本体1Aの上端部に接続されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。突出部1Bは、内容器本体1Aの上端部よりも下方に接続されていてもよい。
また、支持部2Bは、外容器本体2Aの上端部に接続されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。支持部2Bは、外容器本体2Aの胴部2A1の内周面の上端部よりも、下方の位置に環状に形成されていてもよい。
【0046】
係合部2C、係合部3A3、係合部3B2及び係合部4Aは、螺合する構造を備えるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、爪構造で係合する形態であってもよい。
【0047】
なお、実施形態では、環状リブ1Cは、外容器2(後述する外容器本体2Aの内面)に接触していないが、これに限定されるものではない。外気と内容物との間の断熱性は損なわれるが、例えば、環状リブ1Cの周縁の一部又は全体が、外容器2に接触していてもよい。環状リブ1Cの周縁の全体が外容器2に接触する場合には、環状リブ1Cに開口が形成されていることが好ましい。これにより、空間Spが上下に分割されても、上下の空間Spが互いに連通するので、円滑に空間Spを減圧することが可能である。
【0048】
実施形態では、パッキン6A~パッキン6Cを備えた二重容器100を一例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、部材間の密着性を確保できるのであれば、パッキン6A~パッキン6Cを備えていなくてもよい
【符号の説明】
【0049】
1 :内容器
1A :内容器本体
1A1 :胴部
1A2 :底部
1B :突出部
1C :環状リブ
2 :外容器
2A :外容器本体
2A1 :胴部
2A2 :底部
2A3 :開口部
2B :支持部
2C :係合部
3 :中蓋
3A :係合蓋部
3A1 :上面部
3A2 :筒部
3A3 :係合部
3B :挿入筒部
3B1 :上筒部
3B2 :係合部
3B3 :下筒部
4 :外蓋
4A :係合部
5 :弁部材
5A :ボディ
5A1 :吸引穴
5A2 :配置面部
5A3 :弁座
51 :第1部品
52 :第2部品
5B :弁体
5B1 :係合部
5C :スプリング
6A :パッキン
6B :パッキン
6C :パッキン
100 :二重容器
Sp :空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8