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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080646
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】エネルギマネジメントシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230602BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230602BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230602BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/10
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
H02J3/14 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194101
(22)【出願日】2021-11-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウォシュレット
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】宮緒 ディフェイ
(72)【発明者】
【氏名】竹野 和彦
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB21
5G064DA07
5G066KA04
5G066KD01
5L049AA22
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザのQOLを低下させることなく、エネルギ利用を適切に管理することができるエネルギマネジメントシステムを提供する。
【解決手段】エネルギマネジメントシステム10は、エネルギを利用している利用機器およびその利用量を含む、ユーザの空間行動データを取得する空間行動データ取得部11と、空間行動データに基づいて、所定の状態とは異なる利用量を利用した利用機器を特異エネルギ利用機器として抽出する抽出部13と、特異エネルギ利用機器に基づいて、ユーザの生活項目を特定する生活特定部14と、生活項目に基づいて、特異エネルギ利用機器のうち所定の特異エネルギ利用機器を節電対象機器として判定する節電判定部15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギを利用している利用機器およびその利用量を含む、ユーザの空間行動データを取得する空間行動データ取得部と、
前記空間行動データに基づいて、所定の状態とは異なる利用量を利用した利用機器を特異エネルギ利用機器として抽出する抽出部と、
前記特異エネルギ利用機器に基づいて、ユーザの生活項目を特定する生活特定部と、
前記生活項目に基づいて、前記特異エネルギ利用機器のうち所定の特異エネルギ利用機器を節電対象機器として判定する節電判定部と、
を備えるエネルギマネジメントシステム。
【請求項2】
前記所定の状態は、過去における利用機器の利用量であり、
前記抽出部は、所定条件を満たした前記利用量の利用機器を特異エネルギ利用機器として抽出する、
請求項1に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項3】
前記ユーザの空間行動データに基づいて当該ユーザの滞在空間を判断する空間行動判断部をさらに備え、
前記生活特定部は、
前記ユーザの前記滞在空間における特異エネルギ利用機器に基づいて、前記生活項目を特定する、
請求項1または2に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項4】
前記生活特定部は、
前記ユーザの滞在空間における特異エネルギ利用機器に加えて、他の空間における特異エネルギ利用機器に基づいて、前記生活項目を特定する、
請求項3に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項5】
前記生活特定部は、
前記滞在空間にける前記特異エネルギ利用機器を重要度の高い順に並べ、そのあとに、前記他の空間における前記特異エネルギ利用機器を重要度の高い順に並べ、
上位の所定数の特異エネルギ利用機器に基づいて、生活項目を特定する、
請求項4に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項6】
前記節電判定部は、前記滞在空間に応じて、前記特異エネルギ利用機器を節電対象機器として判定する、
請求項3~5のいずれか一項に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項7】
停止禁止機器を定義する停止禁止機器テーブルを備え、
前記節電判定部は、前記停止禁止機器テーブルに基づいて、節電対象機器としての前記特異エネルギ利用機器を判定する、
請求項6に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項8】
前記節電判定部は、ユーザの現在の行動とユーザの日常行動との特異性判定結果に基づいて、前記特異エネルギ利用機器を判定する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項9】
前記節電判定部は、前記特異性判定結果に基づいて、現在の行動は異常であると判断すると、滞在空間における前記特異エネルギ利用機器を節電対象と判断しない、
請求項8に記載のエネルギマネジメントシステム。
【請求項10】
前記節電判定部は、さらに、他の空間における特異エネルギ利用機器を節電対象と判断する、
請求項9に記載のエネルギマネジメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギの利用を管理するエネルギマネジメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人住宅や集合住宅へのHEMS(Home Energy ManagementSystem)、オフィスなどのビル・工場へのBEMS(Building and EnergyManagement System)の導入が進んでいる。こうした導入による利用電気またはガスなどのエネルギ利用量をモニタに表示する「見える化」が進み、今後のカーボンニュートラルへの貢献が期待されている。特許文献1においては、生活者にとって受け入れやすい省エネアドバイスを提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―197904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では省エネのためにユーザの行動を変えるよう要請している。したがって、ユーザの行動に制限をかけており、QOL(Quality of Life)を低下させる恐れがある。
【0005】
そこで、上述の課題を解決するために、本発明は、ユーザのQOLを低下させることなく、エネルギ利用を適切に管理することができるエネルギマネジメントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエネルギマネジメントシステムは、エネルギを利用している利用機器およびその利用量を含む、ユーザの空間行動データを取得する空間行動データ取得部と、前記空間行動データに基づいて、所定の状態とは異なる利用量を利用した利用機器を特異エネルギ利用機器として抽出する抽出部と、前記特異エネルギ利用機器に基づいて、ユーザの生活項目を特定する生活特定部と、前記生活項目に基づいて、前記特異エネルギ利用機器のうち所定の特異エネルギ利用機器を節電可能機器として判定する節電判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ユーザのQOLを低下させることなく、エネルギ利用を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のエネルギマネジメントシステム10の機能構成を示すブロック図である。
図2】家20の具体例を示す図である。
図3】ベクトル変換から履歴データベース12に記憶するまでの処理を模式的に示した図である。
図4】生活特定部14の機能構成を示すブロック図である。
図5】生活特定テーブル14aの具体例を示す図である。
図6】生活項目算出部144および節電判定部15の処理を模式的に示した図である。
図7】重要度テーブルの具体例を示す図である。
図8】本開示におけるエネルギマネジメントシステム100の動作を示すフローチャートである。
図9】節電対象の判定処理を示す図である。
図10】特異性判定を考慮して節電対象の判定処理を示す図である。
図11】本開示の一実施の形態に係るエネルギマネジメントシステム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
図1は、本開示のエネルギマネジメントシステム10の機能構成を示すブロック図である。図に示される通り、エネルギマネジメントシステム10は、空間行動データ取得部11、履歴データベース12、抽出部13、生活特定部14、節電判定部15、制御命令部17、および通信部16を含んで構成されている。
【0011】
このエネルギマネジメントシステム10は、ネットワークを介して、家20に配置されている電気機器21、インフラ22、および空間センサ40と通信して、使用電力量、インフラの使用量、および人の滞在位置を取得する。
【0012】
家20は、例えば、図2に示される部屋を有している。すなわち、家20は、リビングダイニングルーム、和室、寝室、トイレ、バスルーム等を有する。これら各部屋には、電気機器21、インフラ22、および空間センサ40が配置されている。インフラ22は、水道およびガスを利用する機器を示す。空間センサ40は、電気機器21およびインフラ22の使用量を検知するセンサ、および人の空間位置および空間環境などを検知するセンサである。そのほか、空間センサ40は、例えば人感センサとしてもよく、ユーザが部屋に滞在している場合にその存在を検知するセンサとしてもよい。
【0013】
空間行動データ取得部11は、ネットワークを介して、電気機器21、インフラ22、および空間センサ40から各種データを空間行動データとして取得する部分である。空間行動データには、部屋の識別子と、空間センサ40により検出されたセンサデータとを含む。これらセンサデータは、電気機器21の利用電力量、インフラ22に対する利用量(水道およびガスの利用量)、空間環境情報および人の滞在の有無を示す。この空間行動データ取得部11は、定期的にこれら行動データを取得する。
【0014】
空間行動データ取得部11は、行動データを取得する際、まとめて時系列ごとのベクトルに変換して、履歴データベース12に記憶する。
【0015】
図3は、そのベクトル変換から履歴データベース12に記憶するまでの処理を模式的に示した図である。空間センサ40は、空間位置検知部41、電力利用検知部42、ガス利用検知部43、水道利用検知部44、および空間環境検知部45を含んで構成されている。
【0016】
空間位置検知部41は、ユーザを検知するセンサである。人感センサ等で構成され、各部屋に配置されている。
【0017】
電力利用検知部42は、各部屋に配置されている電気機器が利用した電力を検知するセンサである。電力利用検知部42は、部屋、対象となる電気機器、および利用した電力を検知する。
【0018】
ガス利用検知部43は、各部屋に配置されているガス機器(インフラ22に相当)が利用したガス量を検知するセンサである。ガス利用検知部43は、部屋、対象となるガス機器、利用したガス量を検知する。
【0019】
水道利用検知部44は、各部屋に配置されている水道機器(インフラ22に相当)が利用した水道量を検知するセンサである。水道利用検知部44は、部屋、対象となる水道機器、および利用した水道量を検知する。
【0020】
空間環境検知部45は、各部屋における温度および湿度を示す空間環境を検知するセンサである。
【0021】
空間行動データ取得部11は、これら各センサから取得したセンサ値をベクトルデータに変換する。以下詳細処理である。
【0022】
空間位置検知部41はA(tall)、電力利用検知部42はB(tall)、ガス利用検知部43はC(tall)、水道利用検知部44はD(tall)、および空間環境検知部45はE(tall)をそれぞれセンサ値として出力する。なお、tallは、各センサにおける検出時刻であり、全時間帯を示している。空間行動データ取得部11は、それら各時間帯のセンサ値を行動データとして取得して、時系列ごとのベクトルに変換する。図3(b)は、その変換を模式的に示している。センサ値A(t)は、時間帯tallのうちの一の時刻tのセンサ値である。ほかB(t)~E(t)も同様である。空間行動データ取得部11は、時系列順にベクトルデータを生成して、履歴データベース12に記憶する。
【0023】
履歴データベース12は、空間行動データを履歴データとして記憶する部分である。上記した通り、履歴データベース12は、ベクトルに変換された空間行動データを記憶する。図3(c)は、履歴データベース12が記憶しているベクトルデータを示している。例えば履歴データベース12は、2021年10月1日9時のベクトルデータとして、[a9:00,9:00,9:00,9:00,9:00]を記憶する。
【0024】
抽出部13は、履歴データベース12を参照して、各機器(電気機器21およびインフラ22)おける利用電力、利用ガス、利用水道のうち特異エネルギおよびその機器を特定する部分である。例えば、各過去1週間の平均値より所定の閾値以上の電力を利用した電気機器、所定閾値以上ガスを利用したガス機器、所定の閾値以上水道を利用した水道機器があった場合に、その機器を特定する。上記平均値は、抽出部13が算出することにしているが、これに限るものではなく、あらかじめ設定した値としてもよいし、他の手段が算出してもよい。
【0025】
生活特定部14は、履歴データベース12に記憶されている空間行動データと、抽出部13が抽出した特異エネルギ利用機器とに基づいて、ユーザの生活項目を特定する。すなわち、生活特定部14は、履歴データベース12の直近の空間行動データに基づいて、ユーザが滞在している空間(部屋およびその部屋における詳細位置)、ユーザが利用している機器の利用電力、ガス利用量、水道利用量、および各部屋の空間環境に基づいてユーザの生活項目を特定する。例えば、生活特定部14は、ユーザが寝室にいて、電気がついていない場合には、生活項目:ユーザは睡眠していると判断する。また、例えば、生活特定部14は、仕事部屋にいて、電気がついているなどの場合(特異エネルギ利用である場合)には、生活項目:仕事中と判断する。
【0026】
より詳細には、生活特定部14は、在室判定部141と、機器利用判定部142と、インフラ利用判定部143と、生活項目算出部144とのそれぞれの機能を備え、上記の通り生活項目を特定する。図4は、その機能構成を示すブロック図である。図に示される通り、在室判定部141は、部屋Aセンサ、部屋Bセンサ、部屋Cセンサ、キッチンセンサ、洗面所センサ、風呂場センサ、WICセンサからの情報に基づいて、ユーザがどの部屋にいるか判定する。部屋Aセンサ、風呂場センサなどは、図3における空間位置検知部41に相当する。
【0027】
機器利用判定部142は、部屋Aのテレビ、部屋Aのポット、部屋Bのコーヒメーカ、キッチンの冷蔵庫、洗面所の照明、風呂場の換気扇、WICの照明等の利用判定を行う。すなわち、機器利用判定部142は、各機器において電力が使用されていた場合には、それら機器が使用されていたと判定する。
【0028】
インフラ利用判定部143も同様に、各インフラの利用判定を行う。インフラ利用判定部143は、部屋Aの水道の利用量、部屋Bの水道の利用量等を判定する。
【0029】
生活項目算出部144は、在室判定部141、機器利用判定部142、およびインフラ利用判定部143における判定結果の組み合わせから、生活項目を算出する部分である。本開示において、生活項目とは、炊飯、睡眠、仕事、および食事などを想定するが、それ以外の生活項目を含むものとする。
【0030】
生活利用特定部は、在室判定部141、機器利用判定部142,インフラ利用判定部143から、ユーザの滞在空間を判断して、特異エネルギ利用機器を考慮して、生活項目を特定する。
【0031】
ここで、生活項目の算出について、より詳細に説明する。生活特定部14は、在室判定部141の在室判定結果と、機器利用判定部142およびインフラ利用判定部143による判定結果とに基づいて、滞在空間を判定し、抽出部13が特定した特異エネルギ利用機器とから生活項目を算出する。
【0032】
在室判定部141は、ユーザの滞在している部屋およびその部屋における詳細な空間位置(以降、滞在空間とする)を判定する。在室判定部141は、ユーザの滞在空間の滞在確率を、各センサ等に基づいて算出する。そして、在室判定部141は、滞在している部屋における滞在空間の詳細名称を特定する。ユーザの滞在空間の滞在確率は、複数ある空間位置検知部41の人感センサの検知強度に基づいて求められる。例えば、一つの部屋にはいくつかの空間位置検知部41が配置されており、検知強度が強ければ確率が高くなるよう、求められる。また、在室判定部141は、機器利用判定部142、インフラ利用判定部143の利用状態をみて、どの空間にいるのかその確率を調整できる。在室判定部141は、これら確率が所定値以上である場合に、ユーザはどこにいるのか判定する。
【0033】
例えば、仕事部屋にはいくつかの空間位置検知部41が配置されている。在室判定部141は、当該空間位置検知部41の検知結果(検知強度)とそのほかの情報とに基づいて、ユーザは仕事部屋のデスクにいることを判定する。
【0034】
つぎに、生活特定部14は、抽出部13が抽出した特異エネルギ利用をした電気機器21・インフラ22を、滞在空間と、それ以外の空間とに分別する。例えば、滞在空間として仕事部屋のデスクとした場合に、そのデスクに配置されている照明、PC、デスクの照明、およびTVなどが特異エネルギを利用した電気機器21である場合、生活特定部14は、それら電気機器21を滞在空間における特異エネルギ利用の電気機器21(特異エネルギ利用機器)とする。一方で、生活特定部14は、他の空間における各機器として、トイレウォシュレット、廊下照明、24時間換気、ポッド、冷蔵庫、洗濯機、キッチン換気扇を特異エネルギ利用の電気機器21として区別する。インフラ22についても同様に扱う。
【0035】
つぎに、生活特定部14は、検知した滞在空間の電気機器21・インフラ22のうち、重要度が高い電気機器21・インフラ22を順に抽出する。重要度が高くない電気機器21・インフラ22については、省略してもよいし、その後に重要度に従って続けるように列に並べて抽出してもよい。
【0036】
例えば、生活特定部14は、滞在空間である仕事部屋のデスクにおける重要度の高い電気機器21・インフラ22として、PC、デスクの照明、エアコン、TV、スピーカ、を順に並べ、それ以外の空間における機器として、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明、24時間換気、冷蔵庫、洗濯機、キッチン換気扇を並べて抽出する。図9(a)は、その具体例を示している。
【0037】
なお、部屋(または滞在空間でもよい)ごとに、その部屋における電気機器21およびインフラ22の重要度があらかじめ定義されている重要度テーブル15aが用意されている。図5は、その具体例を示す図である。図では省略しているが、重要機器欄には、機器ごとに重要度も併せて記憶されている。この重要度は、重要の程度を示しており、高中低というように3段階に分けてもよいし、あらかじめ定めた数値で対応付けてもよい。例えば、仕事部屋においては、重要度は、PCおよび照明の重要度を「高」とし、エアコンを「中」する。
【0038】
生活特定部14は、抽出した各機器から上位5つ(任意)に基づいて、生活特定テーブル14aを参照して、生活項目を特定する。図6は、生活特定テーブルの14a具体例である。図に示される通り、生活特定テーブルは、生活項目と、利用機器とが対応付けられている。生活特定部14は、生活特定テーブル14aを参照して、利用機器が一致する生活項目をユーザの生活項目として判定する。なお、完全一致する必要はなく、生活特定テーブル14aに記述されている機器が、抽出した上位所定個(例えば5つ)の電気機器21・インフラ22を含んでいる場合、それに対応する生活項目を、今のユーザの生活項目として判定する。
【0039】
例えば、生活特定部14は、生活特定テーブル14aに記述されている電気機器21等が、抽出した5つの機器(PC、エアコン、照明・・・)を含んでいる場合に、それに対応する生活項目として「仕事中」を判定する。生活特定部14は、滞在部屋が仕事部屋であり、PC等の仕事機器等が特異エネルギを出していることから、仕事中であると判断することができる。なお、各機器に重み値をつけておき、その重み値を加算して所定値以上となったか否かに基づいた判定を行ってもよい。
【0040】
ほかの事例として生活特定部14は、滞在部屋がリビングルームであり、TVが特異エネルギを利用している場合には、生活項目は、TV視聴中であると判定する。
【0041】
節電判定部15は、生活特定部14により特定された生活項目、および履歴データベース12から読み出した電気機器21およびインフラ22の利用量から、重要度の低い電気機器21およびインフラ22を算出し、節電対象を判定する部分である。
【0042】
図7は、生活項目算出部144および節電判定部15の処理を模式的に示した図である。図に示される通り、生活項目算出部144は、空間位置検知部41、電力利用検知部42等の各検知部に基づいて、ユーザの生活項目を算出する。生活項目算出部144は、TV視聴、炊飯等のうち、いずれかの生活項目を算出することになる。
【0043】
節電判定部15は、電気機器21およびインフラ22の各利用量、並びに生活項目から重要度が低い機器を算出し、それに基づいて節電対象を判定する。
【0044】
より詳細には、節電判定部15は、生活項目、特異エネルギ利用した電気機器21、インフラ22、および滞在空間の特異エネルギから、節電対象を判定する。
【0045】
節電判定部15は、全体的に重要度が高く、停止禁止の電気機器21およびインフラ22が設定されている場合には、それら電気機器21等については、節電対象から除外する。例えば、冷蔵庫、24時間換気システム、ガス検知センサなどは、重要度が高いと設定され、また停止禁止機器と設定されている場合には、節電判定部15は、これら機器については、節電対象から除外する。これら停止禁止機器は、あらかじめ節電非対象テーブル(図示せず)に登録されている。
【0046】
上記の例でいうと、節電判定部15は、生活特定部14において抽出した、PC(仕事機器)、デスクの照明、エアコン(仕事部屋)、ポッド、照明、TV、スピーカ、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明、24時間換気、冷蔵庫、洗濯機、キッチン換気扇(図9(a)参照)から、冷蔵庫、24時間換気システム、ガス検知センサを除外して、節電対象として、PC(仕事機器)、デスクの照明、エアコン(仕事部屋)、ポッド、照明、TV、スピーカ、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明を抽出する(図9(b)参照)。
【0047】
そして、節電判定部15は、さらに、重要な機器を除外したポッド、照明、TV、スピーカ、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明を節電対象として判定する(図9(c)参照)。
【0048】
なお、節電判定部15は、ユーザの滞在空間の特異性を判定することにより、節電対象をさらに絞り込んでもよい。すなわち、節電判定部15は、ユーザの行動が、ユーザの日常行動とはかけ離れて、異常であると判断すると、滞在空間において重要度の低い電気機器21およびインフラ22を節電対象と判定しない。一方で、節電判定部15は、滞在空間以外の他の空間における重要度が高い電気機器21・インフラ22以外を節電対象と判定する。例えば、上記の例でいうと節電判定部15は、滞在空間特異性判定において異常である場合には、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明を節電対象と判定して抽出する(図10(c)参照)。
【0049】
ユーザの行動が異常である場合には(いつもと異なる場合)、その滞在空間で特別に何かをしたいと考えられ、その場合には、それら機器を節電対象とすることは好ましくない。
【0050】
また、節電判定部15は、ユーザの行動が、ユーザの日常行動とはだいたい同じようであり、異常ではないと判断すると、重要度の高い5つ(任意)の電気機器21およびインフラ22以外の電気機器21およびインフラ22を節電対象として判定する。
【0051】
上記の例でいうと、節電判定部15は、ユーザの滞在空間の特異性判定として、ユーザ行動は異常ではないと判定すると、重要度の高い5つ(任意)の電気機器21およびインフラ22以外のTV、スピーカ、空気洗浄機、トイレウォシュレット、廊下照明を節電対象として判定する(図10(d)参照)。
【0052】
日常の行動と同じ行動をユーザがとったか否かは、以下の処理により判定できる。
【0053】
節電判定部15は、あらかじめ用意された日常行動モデルに基づいて、特異性を判定する。
【0054】
この日常行動モデルは、以下の処理を事前に行うことにより得られるものであり、日常の滞在空間および滞在時間を対応付けた対応テーブルである。
【0055】
モデル学習時においては、学習部(図示せず)は、履歴データベース12の参照して、ユーザの移動軌跡から頻繁に滞在する空間(滞在空間)を同定する。移動軌跡は、空間位置検知部41の検知結果に基づく。そして、次に同定された滞在空間における滞在開始時刻と滞在時間とに着目して、日常行動をモデル化する。モデル化とは、時間と滞在空間とをマッピングした対応テーブルを生成することを意味する。
【0056】
そして、節電判定部15は、日常行動モデルを参照して、履歴データベース12の直近のユーザ行動が、日常行動モデルで示される行動と違うか否かを判定する。例えば、日常行動モデルで示されている時間単位おけるユーザの滞在空間および移動軌跡と、履歴データベース12におけるユーザの行動との、時間単位における違いに基づいて、異常スコアを求め、そのスコアがあらかじめ設定していた基準値と比較することで、異常であるか否かを判定する。異常スコアは、時間単位における一致する数の合計に基いてもよいし、新しいデータと過去時系列モデルとの乖離度から算出してもよい。後者の算出方法として例えば、対数損失や、k近傍法などがある。日常行動モデルは主に時系列モデルを想定しており、ARIMA(Autoregressive integrated moving average:自己回帰和分移動平均)モデルなどが代表例である。異常であると判断する閾値によって異常であるかを判定するが、閾値も全体確率の任意の値を超えないよう常に変更する。
【0057】
そして、節電判定部15は、時間ごとに異常でない場合は5つ(任意数)の重要度高い機器以外の停止を実施するか、もしくはユーザに承認依頼をし、許可されれば停止する。
【0058】
また、節電判定部15は、異常な場合は、その生活項目に必要な、その他の機器を停止しない。
【0059】
通信部16は、電気機器21、ガス・水道などのインフラ22、および空間位置・環境などを検知する空間センサ40と通信を行うための通信モジュールである。例えば、有線通信であっても、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。空間行動データ取得部11は、通信部16を用いて行動データを取得する。
【0060】
制御命令部17は、節電判定部15において判定された重要度低い機器を元に、重要度の低い機器およびインフラを停止する命令を電気機器21およびインフラ22に送信して、制御する部分である。
【0061】
つぎに、本開示におけるエネルギマネジメントシステム100の動作について説明する。図8は、その動作を示すフローチャートである。
【0062】
各部屋における空間センサ40が起動状態となる(S11)。そして、空間行動データ取得部11は、各空間センサ40が検出したセンサ値である空間行動データを定期的に取得する(S12)。空間行動データ取得部11は、取得した空間行動データをベクトルデータに変換して履歴データベース12に記憶する(S13)。
【0063】
その後、所定タイミング(例えば、所定時刻ごとに)において、抽出部13は、特異エネルギを出している電気機器21等を特定しする。すなわち、抽出部13は、履歴データベース12を参照して、過去1週間の各機器における利用エネルギの平均値を算出して、それに基づいて、所定閾値以上のエネルギ利用している電気機器21等を、特異エネルギを出している電気機器21等として特定する(S14)。
【0064】
つぎに、生活特定部14は、履歴データベース12に基づいて生活項目を特定する(S15)。生活特定部14は、履歴データベース12のうち、空間位置検知部41が検知したデータである滞在空間と、電力利用検知部42等の電気機器21およびインフラ22の利用データ(特異エネルギ)とに基づいて生活項目を特定する。例えば、生活特定部14は、ユーザが仕事部屋のデスクにいて、仕事機器であるPCおよびデスクの照明がついているなどで特異エネルギを出している電気機器21であることを特定した場合は、生活項目を「仕事中」と特定する。
【0065】
節電判定部15は、滞在空間の特異性判定を行い、日常行動と異なっているか否かを判断する(S16)。
【0066】
節電判定部15は、生活項目と、電気機器21・インフラ22の利用量うち特異エネルギ利用をした電気機器21・インフラ22と、特異性判定結果とに基づいて、節電対象となる電気機器21およびインフラ22を判定する(S17)。
【0067】
通信部16は、節電判定部15において判定された節電対象となる電気機器21およびインフラ22に対して、その電源をオフとするよう制御信号を送信することにより、QOLを保つ最適制御を行う(S18)。この送信制御は、制御命令部17による制御に従って行われる。また、通信部16は、それらの停止(停止機器)と停止時間による削減量とを電力会社もしくはRA(リソースアグリゲーター)へ送信して、その応答を待ってから、各機器への節電処理のための制御信号を送ってもよい。一定時間応答がない場合には、節電処理のための制御信号を送ってもよい。
【0068】
つぎに、本開示におけるエネルギマネジメントシステム100の作用効果について説明する。本開示におけるエネルギマネジメントシステム100において、空間行動データ取得部11は、エネルギを利用している利用機器である電気機器21・インフラ22およびその利用量(例えば、電力量、ガス量、水道量)を含むユーザの空間行動データを取得する。抽出部13は、空間行動データに基づいて、所定の状態(例えば過去1週間の平均値)とは異なる利用量(例えば、平均値以上を利用している特異エネルギ)を利用した利用機器(電気機器21・インフラ22)を特異エネルギ利用機器として抽出する。
【0069】
また、生活特定部14は、特異エネルギ利用機器に基づいて、ユーザの生活項目を特定する。そして、節電判定部15は、特定した生活項目に基づいて、抽出した特異エネルギ利用機器を節電可能機器として判定する。
【0070】
この開示によれば、生活項目に応じて、特異エネルギを利用した電気機器21等を節電対象と判定することができる。したがって、生活項目に応じた節電を可能としたことから、ユーザが意図して利用していない電気機器21、インフラ22を節電対象とすることができる。したがって、ユーザの行動に制限をかけず、またQOLを低下させることを防止して節電を可能にする。なお、本開示において、エネルギの利用とは、エネルギの消費を含む。
【0071】
例えば、本来の生活から特に変わった利用が生じた際に、それは本当に必要な利用であるのか、寝ながらTV、エアコン、または照明がつけっぱなしであるかなどを判断することで、電気機器21等のオンオフ制御を可能にする。また、生活項目を特定することで、生活におけるそれら電気機器21・インフラ22の重要度を検知し、生活項目からQOLへの影響度が小さい電気機器21・インフラ22の利用を停止することができる。
【0072】
また、本開示のエネルギマネジメントシステム100において、生活特定部14(在室判定部141)は、ユーザの空間行動データに基づいて当該ユーザの滞在空間を判断する空間行動判断部として機能している。そして、生活特定部14は、ユーザの滞在空間における特異エネルギ利用機器に基づいて、生活項目を特定する。
【0073】
滞在空間における特異エネルギを利用する電気機器21等により生活項目を特定でき、それに従った節電判定を可能にする。
【0074】
ユーザが滞在している滞在空間およびそこでの生活項目によって、重要な電気機器21等は異なる。本開示において、滞在空間に応じて、特異エネルギ利用機器を判定することで、ユーザのQOLを低下させることなく、節電を可能にする。
【0075】
また、本開示において、生活特定部14は、ユーザの滞在空間における特異エネルギ利用機器に加えて、他の空間における特異エネルギ利用機器に基づいて、生活項目を特定する。
【0076】
ユーザの滞在空間以外の他の空間における特異エネルギ利用機器に基づいて生活項目を特定することで、複雑なユーザの行動に従った、生活項目を特定できる。ユーザは常に移動していることから、一義的に滞在空間における特異エネルギ利用機器のみをみてしまうと、正確な生活項目を判断できない場合がある。
【0077】
生活特定部14は、滞在空間にける特異エネルギ利用機器を重要度の高い順に並べ、そのあとに、前記他の空間における前記特異エネルギ利用機器を重要度の高い順に並べ、上位の所定数の特異エネルギ利用機器に基づいて、生活項目を特定する。
【0078】
このように重要度の高い順に特異エネルギ利用機器を並べて、その上位の機器に基づいた判断を行うことで、重要度の低い機器を除外した正確な判断を行うことができる。上位の機器には、滞在空間に関連のない機器を含んでいる場合があるが、他の空間の機器もユーザの生活項目(行動)に影響を及ぼす場合がる。よって、他の空間の機器を考慮することもでき、より正確な生活項目の判定を行うことができる。
【0079】
節電判定部15は、滞在空間に応じて、特異エネルギ利用機器を節電対象機器として判定する。滞在空間ごとに、節電対象は変わることから、適切な判断を行うことができる。
【0080】
また、このエネルギマネジメントシステム100は、停止禁止機器を定義する節電非対象テーブル(停止禁止機器テーブル)を備える。節電判定部15は、節電非対象テーブルテーブルに基づいて、節電対象機器としての特異エネルギ利用機器を判定する。
【0081】
ユーザの行動にかかわらず、節電対象とすることが妥当ではない機器が存在する。例えば、冷蔵庫等である。こういったものについては、仮に特異エネルギ利用機器と判断され、さらにユーザの生活項目に対して重要なものではないと判断されたとしても、節電対象としない。
【0082】
節電判定部15は、ユーザの現在の行動とユーザの日常行動との特異性判定結果に基づいて、特異エネルギ利用機器を判定する。日常行動は、行動モデルに基づいて判断でき、いつもと異なる行動をした場合には、重要ではない特異エネルギ利用機器であっても、節電対象とすることが好ましくない場合がある。
【0083】
例えば、節電判定部15は、特異性判定結果に基づいて、現在の行動は異常であると判断すると、滞在空間における特異エネルギ利用機器を節電対象と判断しない。
【0084】
そして、その一方で、節電判定部15は、他の空間における特異エネルギ利用機器を節電対象と判断する。
【0085】
このような処理により、ユーザのQOLを低下させることなく、節電処理を行うことができる。
【0086】
上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェアおよびソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0087】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0088】
例えば、本開示の一実施の形態におけるエネルギマネジメントシステム100は、本開示のエネルギマネジメント方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図11は、本開示の一実施の形態に係るエネルギマネジメントシステム100のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のエネルギマネジメントシステム100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0089】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。エネルギマネジメントシステム100のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0090】
エネルギマネジメントシステム100における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002およびストレージ1003におけるデータの読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0091】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の空間行動データ取得部11、抽出部13、生活特定部14、節電判定部15などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0092】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003および通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、空間行動データ取得部11、抽出部13、生活特定部14、節電判定部15は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0093】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係るエネルギマネジメント方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0094】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002およびストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0095】
通信装置1004は、有線ネットワークおよび無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)および時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の通信部16などは、通信装置1004によって実現されてもよい。この通信部16は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0096】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005および出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0097】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0098】
また、エネルギマネジメントシステム100は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0099】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0100】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0101】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0102】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0103】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0104】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく修正および変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0105】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0106】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)および無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術および無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0107】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0108】
なお、本開示において説明した用語および本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネルおよびシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0109】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0110】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)および情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネルおよび情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0111】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0112】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0113】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0114】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブルおよびプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域および光(可視および不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0115】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0116】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0117】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」およびそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0118】
本開示において、例えば、英語でのa, anおよびtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0119】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10…エネルギマネジメントシステム、11…空間行動データ取得部、12…データベース、履歴データベース、13…抽出部、14…生活特定部、15…節電判定部、16…通信部、17…制御命令部、20…家、21…電気機器、22…インフラ、40…空間センサ、41…空間位置検知部、42…電力利用検知部、43…ガス利用検知部、44…水道利用検知部、45…空間環境検知部。
図1
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図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11