(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080653
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】カードリーダ及びクリーニングカード
(51)【国際特許分類】
G06K 7/04 20060101AFI20230602BHJP
G06K 13/06 20060101ALI20230602BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20230602BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20230602BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
G06K7/04
G06K13/06 Z
G06K19/06
G06K7/00 021
G06K7/08 040
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194118
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 宗政
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和人
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA07
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別すること。
【解決手段】搬送路140は、挿入カードが搬送される通路である。端面検知センサ160は、搬送路140における挿入カードの移動方向と平行な、挿入カードの端面を検知する。搬送ローラ120は、端面検知センサ160による検知結果に基づいて挿入カードを検知すると、搬送路140に沿って挿入カードを移動させる。制御装置130は、端面検知センサ160による検知結果に基づいて挿入カードの端面の形状を検出することにより、挿入カードが、情報を記録する情報記録カード、及び搬送路140のクリーニングのためのクリーニングカードのいずれであるかを判定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入カードが搬送される通路である搬送路と、
前記搬送路における前記挿入カードの移動方向と平行な、前記挿入カードの端面を検知する端面検知センサと、
前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードを検知すると、前記搬送路に沿って前記挿入カードを移動させる搬送部と、
前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードの端面の形状を検出することにより、前記挿入カードが、情報を記録する情報記録カード、及びクリーニングのためのクリーニングカードのいずれであるかを判定する判定部と、
を備えるカードリーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカードリーダであって、
前記判定部によって前記挿入カードが前記情報記録カードであると判定された場合、前記挿入カードからのデータの読み取り及び前記挿入カードへのデータの記録の少なくともいずれかを行い、前記判定部によって前記挿入カードが前記クリーニングカードであると判定された場合、前記挿入カードを用いたクリーニング動作を行う制御部、
を備えるカードリーダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカードリーダであって、
前記端面検知センサは、前記挿入カードの前記搬送路への挿入時に前記端面により押下される押下スイッチである、
カードリーダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記搬送路のうち前記端面検知センサよりも奥側に設けられ、前記搬送路における前記挿入カードの位置を検知するカード位置検知用センサを備え、
前記判定部は、前記カード位置検知用センサによる検知結果と、前記端面検知センサによる検知結果と、に基づいて、前記挿入カードが前記情報記録カード及び前記クリーニングカードのいずれであるかを判定する、
カードリーダ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの端面は、前記移動方向と平行な前記情報記録カードの端面と異なる形状を有する、
カードリーダ。
【請求項6】
請求項5に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの端面は、複数の切り欠き部を有する、
カードリーダ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの第1端面及び第2端面は、それぞれ前記移動方向と平行な前記情報記録カードの各端面と異なる形状を有し、
前記端面検知センサは、前記第1端面を検知する第1端面検知センサと、前記第2端面を検知する第2端面検知センサと、を含む、
カードリーダ。
【請求項8】
情報を記録する情報記録カードを挿入可能なカードリーダの搬送路に挿入可能なクリーニングカードであって、
前記搬送路における移動方向と平行な端面が、前記移動方向と平行な前記情報記録カードの端面と異なる形状を有する、
クリーニングカード。
【請求項9】
請求項8に記載のクリーニングカードであって、
前記移動方向と平行な端面が、複数の切り欠き部を有する、
クリーニングカード。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のクリーニングカードであって、
前記移動方向と平行な第1端面及び第2端面が、それぞれ前記移動方向と平行な前記情報記録カードの各端面と異なる形状を有する、
クリーニングカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダ及びクリーニングカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automated Teller Machine)等の取引端末装置に設けられ、磁気カードの磁気ストライプに記憶された磁気データの読み取り等を行うるカードリーダが知られている。
【0003】
特許文献1には、カードをローラで搬送するカード処理装置において、搬送物の搬送状態の変化に応じてモータの上限トルクを切り替え、搬送異常が発生しても駆動し続ける高出力のモータを使用した場合でも、出力トルクの上限値を機構全体における最小値に制限することなく、高い搬送能力と搬送機構や搬送物の保護との両立を図ることが記載されている。特許文献2には、特定形状のインサートスキマー等の異物がカードリーダの内部に挿入されたことを検知することが可能なカードリーダが記載されている。
【0004】
特許文献3には、所定の位置に光透過部又は穴が設けられたクリーニングカードを用い、その光透過部又は穴を検知することによって挿入されたカードをクリーニングカードと判定し、クリーニングカードであると判定した場合に、カードを所定位置に係止しつつ、カード搬送手段を一定時間継続駆動するカードリーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-026432号公報
【特許文献2】特開2019-219825号公報
【特許文献3】特開2001-067631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、カードリーダに挿入されたカードが、磁気カード等の情報記録カードと、カードリーダのクリーニング用のクリーニングカードと、のいずれであるかを簡易な構成で判別することができなかった。
【0007】
例えば、挿入されたクリーニングカードを情報記録カードと誤判定すると、クリーニングカードに対してデータ読み取り等を行ってエラーが発生する等の事態に繋がる。また、挿入された情報記録カードをクリーニングカードと誤判定すると、情報記録カードを用いてクリーニング動作を行ってしまい、情報記録カードCを汚損させる等の事態に繋がる。
【0008】
特許文献3には、クリーニングカードの所定の位置に設けられた光透過部又は穴を用いてクリーニングカードの判別を行うために、内部に発光部と受光部とを具備したフォトセンサをカードリーダに設ける構成となっており、カードリーダの構成が複雑化するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様のカードリーダは、挿入カードが搬送される通路である搬送路と、前記搬送路における前記挿入カードの移動方向と平行な、前記挿入カードの端面を検知する端面検知センサと、前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードを検知すると、前記搬送路に沿って前記挿入カードを移動させる搬送部と、前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードの端面の形状を検出することにより、前記挿入カードが、情報を記録する情報記録カード、及びクリーニングのためのクリーニングカードのいずれであるかを判定する判定部と、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様のクリーニングカードは、情報を記録する情報記録カードを挿入可能なカードリーダの搬送路に挿入可能なクリーニングカードであって、前記搬送路における移動方向と平行な端面が、前記移動方向と平行な前記情報記録カードの端面と異なる形状を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】カードリーダ910の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】カードリーダ910の内部機構を示す模式図(その1)である。
【
図3】カードリーダ910の内部機構を示す模式図(その2)である。
【
図4】情報記録カードCの搬送状態Sを特定する方法を説明する図である。
【
図5】カードリーダ910のクリーニングに用いられるクリーニングカードCCの一例を示す図である。
【
図6】搬送路140へのクリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図(その1)である。
【
図7】搬送路140へのクリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図(その2)である。
【
図8】制御装置130による挿入カードの判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】クリーニングカードの他の一例を示す図である。
【
図10】クリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160,165のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図(その1)である。
【
図11】クリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160,165のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図(その2)である。
【
図12】
図10,
図11に示した例における端面検知センサ160,165のON/OFF状態の変化のタイムチャートを示す図(その1)である。
【
図13】
図10,
図11に示した例における端面検知センサ160,165のON/OFF状態の変化のタイムチャートを示す図(その2)である。
【
図14】クリーニングカードのさらに他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(構成概要)
以下、本発明の搬送機構、情報処理媒体、及び搬送方法の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態のカードリーダ及びクリーニングカードは、情報記録媒体である情報記録カードに記録されたデータの読み取りや、情報記録カードへのデータの記録を行う媒体処理装置であり、例えばATM(Automatic Teller Machine)やキャッシュディスペンサ、キオスク端末、流通POS(Point of sale system)端末、入退出管理端末、各種IDカード端末など、カードの記録情報を処理する上位装置に組み込まれて使用される。
【0016】
また、本実施形態に用いられる情報記録カードは塩化ビニル製であり、0.7~0.8[mm]厚の長方形のカードである。情報記録カードには電子データが記録されるICチップが内蔵されており、情報記録カードの一方の面にはICチップの端子が露出している。また、情報記録カードの他方の面には磁気データが記録される磁気ストライプが貼着されている。情報記録カードは、これらICチップ及び磁気ストライプのうち、いずれか一方のみを備えるものであってもよい。
【0017】
(機能構成)
図1は、カードリーダ910の機能構成を示すブロック図である。本実施形態のカードリーダ910の機能は、主に、搬送物である情報記録カードCを搬送する搬送機構100、及び情報記録カードCの記録情報を処理する情報処理部200により構成されている。
【0018】
カードリーダ910の外部I/F(Interface)190には上位装置900が接続されており、カードリーダ910は上位装置900との間でコマンドやデータの送受信を行う。カードリーダ910と上位装置900との接続には、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルや、いわゆるRS-232Cに対応した接続ケーブルなどを用いることができる。
【0019】
搬送機構100はDCモータ110を駆動源としており、DCモータ110の動作はカードリーダ910の制御部である制御装置130により管理されている。DCモータ110にはエンコーダ111が搭載されており、そのパルス信号(エンコーダパルス)は、DCモータ110の駆動回路115と制御装置130にフィードバックされる。また、駆動回路115及び制御装置130には電源回路170から電力が供給されており、制御装置130は電源回路170及び駆動回路115によりDCモータ110に印加された電圧値を常時監視している。
【0020】
本例の制御装置130は、一般的なマイクロコントローラ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、又は論理回路により構成されている。制御装置130は、中央処理装置であるCPU130aと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの記憶装置であるメモリ130bと、駆動回路115を介してDCモータ110の回転数を制御するPWM(Pulse Width Modulation)コントローラ130dとを有している。なお、PWMコントローラ130dは、CPU、FPGA、CPLDに含まれる場合もある。メモリ130bには、搬送機構100の監視や駆動、情報記録カードCの信号処理など、カードリーダ910全体の動作を制御するプログラムである制御プログラム130cがロードされている。
【0021】
情報記録カードCが搬送される通路である搬送路140には、三組の搬送ローラ120と4基のフォトセンサ(後述のフォトセンサ151~154)によって構成されるカード位置検知用センサ150、端面検知センサ160、及び情報処理部200が設けられている。
【0022】
搬送ローラ120は、搬送路140に沿って情報記録カードCを進退させる搬送部である。搬送ローラ120の各組はそれぞれ、情報記録カードCを挟み込んで送り出す一対の回転体であり、DCモータ110の駆動力により回転する駆動ローラ120aと、これら駆動ローラ120aの回転又は情報記録カードCの摺動に追従して回転する従動ローラ120bと、により構成されている。
【0023】
カード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160は、制御プログラム130cとともに、搬送路140における情報記録カードCの位置及び搬送方向である搬送状態Sを特定する搬送状態特定手段Dを構成している。カード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160は、情報記録カードCが搬送路140上の所定位置に到達したことを検知する検知器である。
【0024】
情報処理部200は、制御プログラム130cとともに、情報記録カードCに記録された情報の読み取り処理、又は情報記録カードCへの情報の書き込み処理の少なくともいずれか一方を実行する。本実施形態の情報処理部200は、磁気ヘッド210及びIC接点ブロック220を備えている。磁気ヘッド210は、情報記録カードCの磁気ストライプに接触・摺動することによって磁気データの読み書きを行う。IC接点ブロック220は、情報記録カードCのICチップ端子に接触して電子データの読み書きを行う。
【0025】
(物理構成)
図2及び
図3は、カードリーダ910の内部機構を示す模式図である。
図2はカードリーダ910の側面視断面図である。
図3はカードリーダ910の平面視断面図である。なお、以下の説明において「上」及び「下」とは、
図1及び
図2に描かれた座標軸表示のZ軸における上下方向を意味している。また、カードリーダ910について、「前」とは、同座標軸表示のX1側、「後ろ」とはX2側をそれぞれ意味しており、「幅」とは、同座標軸表示のY軸方向における寸法を意味している。
【0026】
カードリーダ910の搬送路140はカードリーダ910の前後方向に延びている。カードリーダ910の前面には、搬送路140に連通された挿入口141が設けられている。搬送路140の通路幅は、搬送路140の両脇に設けられた一対の側板であるガイド部142により定められている。搬送路140の通路幅は情報記録カードCの幅と略同一であり、これにより情報記録カードCの幅方向への傾きが阻止される。
【0027】
搬送ローラ120は、搬送路140の前側から後ろ側に向かって順に配置された、第1ローラ121、第2ローラ122、及び第3ローラ123により構成されている。第1ローラ121は駆動ローラ121a及び従動ローラ121bからなり、これらは挿入口141の直後に配置されている。第2ローラ122は駆動ローラ122a及び従動ローラ122bからなり、これらは搬送路140の前後方向における略中央に配置されている。第3ローラ123は駆動ローラ123a及び従動ローラ123bからなり、これらは第2ローラ122から搬送路140の後端までの範囲の中央よりもやや後端側に配置されている。なお「駆動ローラ120a」とは駆動ローラ121a,122a,123aの総称であり、「従動ローラ120b」とは従動ローラ121b,122b,123bの総称である。
【0028】
DCモータ110の駆動力を駆動ローラ120aに伝達する動力伝達部材は、歯付ベルト131,132を含んでいる。DCモータ110の出力はまず、歯付ベルト131を介して、駆動ローラ122aを支持する軸体126に設けられた歯車部である大径歯車部126bに伝達される。軸体126には大径歯車部126bよりも小さな径の歯車部である小径歯車部126aも設けられており、小径歯車部126aは大径歯車部126bの回転に連動して回転する。駆動ローラ121aを支持する軸体125、及び駆動ローラ123aを支持する軸体127にもそれぞれ歯車部125a,127aが設けられている。駆動ローラ122aの軸体126の小径歯車部126aと、駆動ローラ121a及び駆動ローラ123aの軸体125,127の歯車部125a,127aとは、歯付ベルト132で連結されており、これらは互いに連動して回転する。駆動ローラ122aの前後には歯付ベルト132のテンショナー134,135が配置されており、これにより歯付ベルト132には一定の張力が付与されている。
【0029】
なお、従動ローラ121bを支持する軸体128と、従動ローラ122bを支持する軸体129にもそれぞれ歯車部128a,129aが設けられており、これら歯車部128a,129aは歯付ベルト133により連結されている。従動ローラ121bの軸体128は、カードリーダ910の筐体外に設けられた手回しハンドル128cに連続しており、これら手回しハンドル128cや従動ローラ121b,122bの動力伝達機構は、カードリーダ910から手動で情報記録カードCを排出するときに用いられる。
【0030】
このように、搬送機構100の駆動ローラ121a,122a,123aはいずれも、単一のDCモータ110により駆動される。
【0031】
搬送路140内には、情報記録カードCが搬送路140内の所定位置に到達したことを検知する検知器であるカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160が設けられている。端面検知センサ160は挿入口141に配置されている。カード位置検知用センサ150は4基のフォトセンサ151~154からなり、フォトセンサ151は第1ローラ121付近に、フォトセンサ152,153は第2ローラ122付近に、フォトセンサ154は第3ローラ123付近にそれぞれ配置されている。
【0032】
端面検知センサ160はレバー部161及びスイッチ部162を備えており、レバー部161の操作によりスイッチ部162のON/OFF状態が機械的に切り替えられる押下スイッチ(スイッチレバー)である。レバー部161はその一部が搬送路140内に張り出しており、情報記録カードCが挿入口141に差し込まれると、情報記録カードCによりレバー部161が搬送路140外に押し出される。これによりスイッチ部162の状態がONに切り替えられ、情報記録カードCの存在が検知される。
【0033】
カード位置検知用センサ150は、不図示の発光素子である発光ダイオードと、受光素子であるフォトセンサ151~154の組み合せからなる光学式センサであり、情報記録カードCに発光ダイオードの出射光が遮られることにより情報記録カードCの到達を検知する。なお、搬送状態特定手段Dとして使用可能な検知器はこれらには限られず、例えば磁気センサや超音波センサを用いても可能である。ただし、磁気センサは装置内の磁気環境の影響を受けやすく、超音波センサは温度や湿度の影響を受けやすいという制約に注意する必要がある。
【0034】
搬送路140内にはまた、情報処理部200である磁気ヘッド210及びIC接点ブロック220が設けられている。磁気ヘッド210は搬送路140の下面側に配置されており、情報記録カードCの磁気ストライプに対して下方から接触する。IC接点ブロック220は搬送路の上面側に配置されており、情報記録カードCのICチップ端子に対して上方から接触する。また、挿入口141には、情報記録カードCの磁気情報から情報記録カードCが適正なカードであるか不正なカードであるかを判別する磁気ヘッドであるプリヘッド211が配置されている。なお、これら情報処理部200やプリヘッド211によっても情報記録カードCの存在を特定することが可能であるため、これらを搬送状態特定手段Dの一部として用いることも可能である。
【0035】
端面検知センサ160によりその存在が確認された情報記録カードCは、プリヘッド211により磁気データが検査され、適正なカードと判断されたときにのみ、挿入口141に設けられた不図示のシャッタが開放される。これによりDCモータ110すなわち搬送機構100が始動し、情報記録カードCが搬送ローラ120により搬送路140内に引き込まれ、情報処理部200が情報記録カードCに記録された情報の読み取り、又は情報記録カードCへの情報の書き込みを行う。この間、情報記録カードCの搬送状態Sは搬送状態特定手段Dにより監視されている。また、このとき搬送ローラ120は、情報処理部200で処理可能な一定の速度で情報記録カードCを搬送する。情報の読み取り又は書き込みの完了後、情報記録カードCは搬送ローラ120により挿入口141から排出される。
【0036】
なお、カードリーダ910は、上記物理構成の他にも、不図示の種々の機械部品や電気部品を備えている。
【0037】
(搬送状態特定機能)
図4は、情報記録カードCの搬送状態Sを特定する方法を説明する図である。本実施形態では、端面検知センサ160及びフォトセンサ151~154の出力値を制御プログラム130cで監視することにより情報記録カードCの搬送状態Sを特定する。なお、上でも述べたように、本実施形態における「搬送状態S」とは、搬送路140における情報記録カードCの位置及び搬送方向を意味している。
【0038】
ここで、情報記録カードCの「搬送方向」には「順方向」及び「逆方向」の二種類がある。「順方向」とは、情報記録カードCが挿入口141から搬送路140内に引き込まれる方向である。「逆方向」とは、搬送路140内の情報記録カードCが挿入口141から排出される方向である。
図4はこのうち、「順方向」の例を示している。「順方向」及び「逆方向」の判断は、制御プログラム130cがDCモータ110を回転させる方向で特定することが可能である。また、実行しようとする搬送処理の種類(例えば情報記録カードCの引き込み処理や排出処理など)に応じて予め特定しておくこともできる。
【0039】
また、本実施形態においては、情報記録カードCの「位置」を、情報記録カードCと各搬送ローラ120との相対位置に基づいて区別している。より具体的には、本実施形態における情報記録カードCの「位置」の種類は、各搬送ローラ120が情報記録カードCの搬送主体となる範囲に応じて、第1ローラ121の位置、第2ローラ122の位置、及び第3ローラ123の位置に区別される。
【0040】
情報記録カードCが挿入口141に差し込まれると、情報記録カードCにより端面検知センサ160がON状態に切り替えられ、これにより情報記録カードCの存在が検知される。そして、挿入口141に配置されたプリヘッド211により情報記録カードCが適正であることが確認されると、不図示のシャッタが開放され、搬送路140内への情報記録カードCの引き込みが開始される。このとき情報記録カードCは第1ローラ121の位置にある(
図4の(a))。
【0041】
第1ローラ121が情報記録カードCを搬送路140内に引き込むにつれ、第1ローラ121付近に配置されたフォトセンサ151が情報記録カードCの到達を検知する。このときも情報記録カードCは第1ローラ121の位置にある(
図4の(b))。
【0042】
情報記録カードCが第2ローラ122付近に配置されたフォトセンサ152に到達すると、情報記録カードCの搬送主体が第1ローラ121から第2ローラ122に切り替わったものと判断する(
図4の(c))。そして、第2ローラ122を搬送主体として情報記録カードCが第3ローラ123に向かって送り出される(
図4の(d),(e))。
【0043】
その後、フォトセンサ154が情報記録カードCの到達を検知し、情報記録カードCがフォトセンサ153から離れたときに、情報記録カードCの搬送主体が第2ローラ122から第3ローラ123に切り替わったものと判断する(
図4の(f))。
【0044】
情報記録カードCの搬送状態Sを特定する方法としては、この他にも、例えば情報記録カードC投入後のDCモータ110の回転数をカウントしたり、時間を計測したりして搬送状態Sの変化を推測することも可能である。一方、本実施形態では、搬送路140に端面検知センサ160やフォトセンサ151~154が配置されていることにより、情報記録カードCの実際の搬送状態Sを制御装置130にフィードバックできるため、情報記録カードCの搬送状態Sをより高い精度で特定することが可能である。
【0045】
(クリーニングカード)
図5は、カードリーダ910のクリーニングに用いられるクリーニングカードCCの一例を示す図である。クリーニングカードCCは、情報記録カードCと同様の0.7~0.8[mm]厚の長方形のカードである。ただし、クリーニングカードCCは、情報記録カードCのICチップ及び磁気ストライプに代えて、搬送路140内の各部品をクリーニング(清掃)するための構成を有する。
【0046】
搬送路140内の各部品とは、例えば、磁気ヘッド210、IC接点ブロック220、搬送ローラ120などである。例えば、クリーニングカードCCのうち、搬送路140内に搬送された際にこれらの各部品と接する部分には、搬送路140内の部品の汚れを自身に転写させる素材が形成されている。これにより、クリーニングカードCCを用いたクリーニング動作を行い、搬送路140内の各部品をクリーニングすることができる。
【0047】
クリーニングカードCCを用いたクリーニング動作は、例えば、搬送路140内でクリーニングカードCCを往復搬送することで、搬送路140内の部品の汚れをクリーニングカードCCに転写させる動作である。また、クリーニングカードCCを用いたクリーニング動作は、これに限らず、搬送ローラ120に位置にクリーニングカードCCを固定しながら搬送ローラ120を回転させることで搬送ローラ120の汚れをクリーニングカードCCに転写させる動作であってもよい。また、クリーニングカードCCを用いたクリーニング動作は、クリーニングカードCCを磁気ヘッド210やIC接点ブロック220に接触させながらクリーニングカードCCを細かく往復運動させることで磁気ヘッド210やIC接点ブロック220の汚れをクリーニングカードCCに転写させる動作であってもよい。また、クリーニングカードCCを用いたクリーニング動作は、これらに限らず、各種のクリーニング動作とすることができる。
【0048】
クリーニングカードCCの厚み方向から見たクリーニングカードCCの4つの端面のうち、クリーニングカードCCの搬送路140への挿入方向に平行な2つの端面(長手方向の端面)を第1端面E1及び第2端面E2とする。クリーニングカードCCの第1端面E1には、互いに間隔を有する2つの切り欠き部51,52が形成されている。
【0049】
すなわち、クリーニングカードCCの第1端面E1は、情報記録カードCには無い特有形状を有する。制御装置130は、カード挿入の検知のために設けられた端面検知センサ160による検知結果を用いて、搬送路140に挿入されたカードの端面がこの特有形状を有するか否かを判定することで、搬送路140に挿入されたカードが情報記録カードC及びクリーニングカードCCのいずれであるかを判定する。
【0050】
ここで、第1端面E1のうち、クリーニングカードCCの先端がカード位置検知用センサ150に達した時点で端面検知センサ160に達する位置を基準位置aとする。また、第1端面E1のうち切り欠き部51の位置(例えば中心位置)を凹部bとする。凹部bは、クリーニングカードCCの挿入時に端面検知センサ160によって検出される1番目の凹部である。また、第1端面E1のうち切り欠き部51と切り欠き部52との間の位置(例えば中心位置)を凸部cとする。凸部cは、クリーニングカードCCの挿入時に端面検知センサ160によって検出される1番目の凸部である。
【0051】
また、第1端面E1のうち切り欠き部52の位置(例えば中心位置)を凹部dとする。凹部dは、クリーニングカードCCの挿入時に端面検知センサ160によって検出される2番目の凹部である。また、第1端面E1のうち、切り欠き部52と、クリーニングカードCCにおける挿入方向と反対側の端部と、の間の位置を凸部eとする。凸部eは、クリーニングカードCCの挿入時に端面検知センサ160によって検出される2番目の凸部である。
【0052】
また、基準位置aから凸部cまでの距離を距離fとする。基準位置aから凸部cまでの距離fの範囲は、クリーニングカードCCの挿入時に1番目の凹凸(凹部bと凸部c)を検出する範囲となる。また、基準位置aから凸部eまでの距離を距離gとする。基準位置aから凸部eまでの距離gの範囲は、クリーニングカードCCの挿入時に2番目の凹凸(凹部dと凸部e)を検出する範囲となる。
【0053】
(各スイッチのON/OFF状態の切り替わり)
図6及び
図7は、搬送路140へのクリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図である。
図6,
図7においては、搬送路140におけるカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160を模式的に示している。
【0054】
クリーニングカードCCが搬送路140内に存在している間、カード位置検知用センサ150を構成するフォトセンサ151~154の少なくともいずれかがクリーニングカードCCを検知する(
図4参照)。すなわち、フォトセンサ151~154の少なくともいずれかがクリーニングカードCCを検知している状態が、クリーニングカードCCが搬送路140内に存在している状態であり、この状態をカード位置検知用センサ150のON状態と称する。また、フォトセンサ151~154のいずれもクリーニングカードCCを検知していない状態が、クリーニングカードCCが搬送路140内に存在していない状態であり、この状態をカード位置検知用センサ150のOFF状態と称する。
【0055】
また、
図3に示した端面検知センサ160のレバー部161がクリーニングカードCCの端面によってスイッチ部162に押し込まれている状態を端面検知センサ160のON状態と称する。また、端面検知センサ160のレバー部161がクリーニングカードCCの端面によってスイッチ部162に押し込まれていない状態を端面検知センサ160のOFF状態と称する。
【0056】
ところで、カード位置検知用センサ150は、搬送路140のうち端面検知センサ160よりも奥側(挿入口141の反対側)に設けられたセンサである。したがって、クリーニングカードCCの端面の凹凸によって端面検知センサ160のON/OFF状態が切り替わっている間、カード位置検知用センサ150の検知結果に基づいて、搬送路140内にクリーニングカードCCが存在しているか否かを判定することができる。
【0057】
図6に示すように、クリーニングカードCCが搬送路140へ挿入される前は、端面検知センサ160はOFF状態となっている(
図6の(A))。クリーニングカードCCが挿入口141から搬送路140へ挿入されると、まず、クリーニングカードCCの端面によって端面検知センサ160の先端が押し込まれ、端面検知センサ160はON状態となる(
図6の(B))。
【0058】
さらにクリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、クリーニングカードCCの先端がカード位置検知用センサ150(具体的にはフォトセンサ151)に達し、カード位置検知用センサ150がON状態(カードを認識した状態)になる(
図6の(C))。さらにクリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、クリーニングカードCCの凹部bに端面検知センサ160の先端が入り、端面検知センサ160はOFF状態(
図6の(D))となる。
【0059】
図7に示すように、さらにクリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、クリーニングカードCCの凸部cに端面検知センサ160の先端が押し込まれ、端面検知センサ160はON状態(
図7の(E))となる。さらにクリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、クリーニングカードCCの凹部dに端面検知センサ160の先端が入り、端面検知センサ160はOFF状態(
図7の(F))となる。
【0060】
さらにクリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、クリーニングカードCCの凸部eに端面検知センサ160の先端が押し込まれ、端面検知センサ160はON状態(
図7の(G))となる。
【0061】
このように、クリーニングカードCCが搬送路140へ挿入されると、カード位置検知用センサ150がON状態になった状態で、端面検知センサ160がON状態、OFF状態、ON状態、OFF状態、ON状態と変化する。
【0062】
(制御装置130による処理)
図8は、制御装置130による挿入カードの判定処理の一例を示すフローチャートである。制御装置130は、カード位置検知用センサ150がON状態になると、すなわち搬送路140へのカード挿入を検出すると、搬送路140へ挿入されたカード(以下、「挿入カード」と称する。)が情報記録カードC及びクリーニングカードCCのいずれであるかを判定する判定処理として、例えば
図8に示す処理を実行する。
【0063】
まず、制御装置130は、端面検知センサ160がOFF状態であるか否かを判断する(ステップS801)。ステップS801の処理は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定して、クリーニングカードCCの凹部bが端面検知センサ160の位置まで来たことを検出するb検出処理である。
【0064】
ステップS801において、端面検知センサ160がOFF状態でない場合(ステップS801:No)は、制御装置130は、挿入カードの搬送距離が距離f(基準位置aから凸部cまでの距離)を超えたか否かを判断する(ステップS802)。挿入カードの搬送距離が距離fを超えていない場合(ステップS802:No)は、制御装置130は、ステップS801へ戻る。
【0065】
挿入カードの搬送距離は、挿入カードがカード位置検知用センサ150に達した時点(すなわち基準位置aが端面検知センサ160に達した時点)から搬送路140において挿入カードが搬送された距離である。例えば、挿入カードの搬送距離は、端面検知センサ160がOFF状態からON状態になってからの搬送ローラ120の駆動量又は駆動時間によって算出される。
【0066】
ステップS802において、挿入カードの搬送距離が距離fを超えた場合(ステップS802:Yes)は、挿入カードには凹部bが設けられていないと判断することができる。この場合、制御装置130は、挿入カードが情報記録カードCであると判定し(ステップS803)、一連の判定処理を終了する。
【0067】
ステップS801において、端面検知センサ160がOFF状態である場合(ステップS801:Yes)は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定すると、クリーニングカードCCの凹部bが端面検知センサ160の位置まで来たと判断することができる。この場合、制御装置130は、端面検知センサ160がON状態であるか否かを判断する(ステップS804)。ステップS804の処理は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定して、クリーニングカードCCの凸部cが端面検知センサ160の位置まで来たことを検出するc検出処理である。
【0068】
ステップS804において、端面検知センサ160がON状態でない場合(ステップS804:No)は、制御装置130は、挿入カードの搬送距離が距離fを超えたか否かを判断する(ステップS805)。搬送距離が距離fを超えていない場合(ステップS805:No)は、制御装置130は、ステップS804へ戻る。
【0069】
ステップS805において、搬送距離が距離fを超えた場合(ステップS805:Yes)は、挿入カードには凸部cが設けられていないと判断することができる。この場合、制御装置130は、異常状態と判定し(ステップS806)、一連の判定処理を終了する。異常状態とは、例えば、挿入カードが割れカードや不正カードなどの異常なカードである状態である。
【0070】
ステップS804において、端面検知センサ160がON状態である場合(ステップS804:Yes)は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定すると、クリーニングカードCCの凸部cが端面検知センサ160の位置まで来たと判断することができる。この場合、制御装置130は、端面検知センサ160がOFF状態であるか否かを判断する(ステップS807)。ステップS807の処理は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定して、クリーニングカードCCの凹部dが端面検知センサ160の位置まで来たことを検出するd検出処理である。
【0071】
ステップS807において、端面検知センサ160がOFF状態でない場合(ステップS807:No)は、制御装置130は、挿入カードの搬送距離が距離g(基準位置aから凸部eまでの距離)を超えたか否かを判断する(ステップS808)。搬送距離が距離gを超えていない場合(ステップS808:No)は、制御装置130は、ステップS807へ戻る。
【0072】
ステップS808において、搬送距離が距離gを超えた場合(ステップS808:Yes)は、挿入カードには凹部dが設けられていないと判断することができる。この場合、制御装置130は、ステップS806へ移行して異常状態と判定する。
【0073】
ステップS807において、端面検知センサ160がOFF状態である場合(ステップS807:Yes)は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定すると、クリーニングカードCCの凹部dが端面検知センサ160の位置まで来たと判断することができる。この場合、制御装置130は、端面検知センサ160がON状態であるか否かを判断する(ステップS809)。ステップS809の処理は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定して、クリーニングカードCCの凸部eが端面検知センサ160の位置まで来たことを検出するe検出処理である。
【0074】
ステップS809において、端面検知センサ160がON状態でない場合(ステップS809:No)は、制御装置130は、挿入カードの搬送距離が距離gを超えたか否かを判断する(ステップS810)。搬送距離が距離gを超えていない場合(ステップS810:No)は、制御装置130は、ステップS809へ戻る。
【0075】
ステップS810において、搬送距離が距離gを超えた場合(ステップS810:Yes)は、挿入カードには凸部eが設けられていないと判断することができる。この場合、制御装置130は、ステップS806へ移行して異常状態と判定する。
【0076】
ステップS809において、端面検知センサ160がON状態である場合(ステップS809:Yes)は、挿入カードがクリーニングカードCCであると仮定すると、クリーニングカードCCの凸部eが端面検知センサ160の位置まで来たと判断することができる。この場合、制御装置130は、挿入カードがクリーニングカードCCであると判定し(ステップS811)、一連の判定処理を終了する。
【0077】
また、制御装置130は、
図8の判定処理中に、カード位置検知用センサ150がOFF状態になると、異常状態と判定して処理を終了する。この場合の異常状態とは、例えば、挿入カードが搬送路140に正常に取り込まれていない状態である。このような状態として、例えば、挿入カードの先端のみが挿入口141に繰り返し抜き差しされている状態があげられる。
【0078】
このような状態では、挿入カードの抜き差しの繰り返しによって端面検知センサ160がON状態とOFF状態に切り替わるため、端面検知センサ160の検知結果のみではクリーニングカードCCが挿入されたと誤判定される。これに対して、制御装置130によれば、カード位置検知用センサ150がOFF状態になると異常状態と判定することで、このような誤判定を抑制することができる。
【0079】
(クリーニングカードの他の形態)
図9は、クリーニングカードの他の一例を示す図である。
図9に示すように、クリーニングカードCCは、第1端面E1の切り欠き部51,52に加えて、第2端面E2に、互いに間隔を有する2つの切り欠き部53,54が形成されていてもよい。切り欠き部53,54は、クリーニングカードCCの挿入方向と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心として、切り欠き部51,52に対して線対称に形成されている。
【0080】
これにより、クリーニングカードCCの挿入方向(
図9の横方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心としてクリーニングカードCCを反転(裏表反転)させて挿入口141へ挿入しても、制御装置130は、
図8に示した処理によって挿入カードがクリーニングカードCCであると判定することができる。
【0081】
また、
図9に示すクリーニングカードCCを用いる場合、カードリーダ910に、挿入カードの両側の端面(例えばクリーニングカードCCの第1端面E1及び第2端面E2)を検知できるように、端面検知センサ160に加えて端面検知センサ165を設けてもよい。詳細な図示は省略するが、端面検知センサ165は、
図3に示したカードリーダ910において、ガイド部142の一方に設けられた端面検知センサ160と同様の端面検知センサを、ガイド部142の他方にも設けることによって実現することができる。
【0082】
(2つの端面検知センサのON/OFF状態の切り替わり)
図10及び
図11は、クリーニングカードCCの挿入時のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160,165のON/OFF状態の切り替わりの一例を示す図である。
図10,
図11においては、搬送路140におけるカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160,165を模式的に示している。
【0083】
図10,
図11の例では、搬送路140の両側に端面検知センサ160,165が設けられており、
図9に示したように第1端面E1及び第2端面E2に切り欠き部51~54を有するクリーニングカードCCを搬送路140へ挿入する場合について説明する。また、搬送路140におけるクリーニングカードCCの移動方向において、端面検知センサ165は端面検知センサ160と同じ位置に設けられているとする。
【0084】
この場合のカード位置検知用センサ150及び端面検知センサ160のON/OFF状態の切り替わりは、
図6,
図7に示した例と同様である。さらに、端面検知センサ165のON/OFF状態の切り替わりも、端面検知センサ165のON/OFF状態の切り替わりと同様に遷移する。
【0085】
(端面検知センサ160,165のON/OFF状態の変化)
図12及び
図13は、
図10,
図11に示した例における端面検知センサ160,165のON/OFF状態の変化のタイムチャートを示す図である。
図12,
図13において、センシングデータ1201,1202は、それぞれ端面検知センサ160,165による検知結果の変化である。
【0086】
図12は、
図10,
図11に示した例と同様にクリーニングカードCCを搬送路140に挿入した場合を示している。
図12の各タイミングに付した(A)~(G)は、
図10,
図11の(A)~(G)の各状態となるタイミングを示している。
図13は、
図10,
図11に示した例において、クリーニングカードCCに代えて情報記録カードCを搬送路140に挿入した場合を示している。
【0087】
センサタイミングtR1,tR2,tR3,tR4,tR5,tR6は、端面検知センサ160によるセンシングデータ1201の切り替わりタイミングである。例えば、センサタイミングtR1は、端面検知センサ160が最初にOFF状態からON状態に切り替わったタイミング(クリーニングカードCCの先端が端面検知センサ160に達したタイミング)である。センサタイミングtR2は、端面検知センサ160が最初にON状態からOFF状態に切り替わったタイミング(クリーニングカードCCの凹部bが端面検知センサ160に達したタイミング)である。センサタイミングtL1,tL2,tL3,tL4,tL5,tL6は、端面検知センサ165によるセンシングデータ1202の切り替わりタイミングである。
【0088】
例えば、制御装置130は、センシングデータ1201,1202に基づいて、下記の(1)式~(5)式が全て成立する場合に、挿入カードがクリーニングカードCCであると判定する。また、制御装置130は、上記の(1)式のみが成立し、かつ(2)式~(5)式が成立する場合に、挿入カードが情報記録カードCであると判定する。
【0089】
(timR1>Th_timR1)and(timL1>Th_timL1)and(|tR1-TL1|<Th_RL1) …(1)
【0090】
(timR2>Th_timR2)and(timL2>Th_timL2)and(|tR2-TL2|<Th_RL2) …(2)
【0091】
(timR3>Th_timR3)and(timL3>Th_timL3)and(|tR3-TL3|<Th_RL3) …(3)
【0092】
(timR4>Th_timR4)and(timL4>Th_timL4)and(|tR4-TL4|<Th_RL4) …(4)
【0093】
(timR5>Th_timR5)and(timL5>Th_timL5)and(|tR5-TL5|<Th_RL5) …(5)
【0094】
ただし、Th_timR1,Th_timR2,Th_timR3,Th_timR4,Th_timR5は、センサ判定時間の所定の閾値である。Th_timL1,Th_timL2,Th_timL3,Th_timL4,Th_timL5は、センサ判定時間の所定の閾値である。|a-b|は、(a-b)の絶対値である。Th_RL1,Th_RL2,Th_RL3,Th_RL4,Th_RL5は、端面検知センサ160,165のON状態の差分時間の所定の閾値である。
【0095】
図12,
図13の例では、timR1は、センサタイミングtR1とセンサタイミングtR2との間の期間の時間となっているが、timR1は、センサタイミングtR1の後にカード位置検知用センサ150がON状態となったタイミング(
図10の(C))と、センサタイミングtR2と、の間の期間の時間としてもよい。同様に、
図12,
図13の例では、timL1は、センサタイミングtL1とセンサタイミングtL2との間の期間の時間となっているが、timL1は、センサタイミングtL1の後にカード位置検知用センサ150がON状態となったタイミング(
図10の(C))と、センサタイミングtL2と、の間の期間の時間としてもよい。
【0096】
(クリーニングカードのさらに他の形態)
図14は、クリーニングカードのさらに他の一例を示す図である。
図4に示すように、クリーニングカードCCは、
図9に示した切り欠き部51~54に加えて、第2端面E2に切り欠き部55,56が形成され、第1端面E1に切り欠き部57,58が形成されていてもよい。
【0097】
切り欠き部55,56は、クリーニングカードCCの厚み方向(
図14の奥行方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心として、切り欠き部51,52に対して点対称に形成されている。切り欠き部57,58は、クリーニングカードCCの厚み方向(
図14の奥行方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心として、切り欠き部53,54に対して点対称に形成されている。
【0098】
これにより、クリーニングカードCCの厚み方向(
図14の奥行方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心としてクリーニングカードCCを反転(前後反転)させて挿入口141へ挿入しても、制御装置130は、
図8に示した処理によって、又は
図12,
図13において説明した処理によって、挿入カードがクリーニングカードCCであると判定することができる。
【0099】
また、
図14の例では、切り欠き部57,58は、クリーニングカードCCの挿入方向及びクリーニングカードCCの厚み方向と直交する方向(
図14の縦方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心として、切り欠き部51,52に対して線対称に形成されている。また、切り欠き部55,56は、クリーニングカードCCの挿入方向及びクリーニングカードCCの厚み方向と直交する方向(
図14の縦方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心として、切り欠き部53,54に対して線対称に形成されている。
【0100】
これにより、クリーニングカードCCの挿入方向及びクリーニングカードCCの厚み方向と直交する方向(
図14の縦方向)と平行なクリーニングカードCCの中心線を中心としてクリーニングカードCCを反転(裏表反転)させて挿入口141へ挿入しても、制御装置130は、
図8に示した処理によって、又は
図12,
図13において説明した処理によって、挿入カードがクリーニングカードCCであると判定することができる。
【0101】
このように、クリーニングカードCCは、クリーニングカードCCの中心に対して対称な複数の切り欠き部を有するようにしてもよい。これにより、クリーニングカードCCを挿入する際のクリーニングカードCCの前後や裏表が異なっていても、クリーニングカードCCをクリーニングカードとして正しく判定することができる。
【0102】
また、
図14に示したクリーニングカードCCにおいて、切り欠き部53,54と切り欠き部55,56を省いたり、切り欠き部51,52と切り欠き部57,58を省いたり、切り欠き部53,54と切り欠き部57,58を省いたり、切り欠き部51,52と切り欠き部55,56を省いたりした構成としてもよい。
【0103】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカードリーダ910では、カードの挿入を検知して挿入カードを搬送するための端面検知センサ160による検知結果を用いて、挿入カードの第1端面E1の形状を検出し、挿入カードが情報記録カードC及びクリーニングカードCCのいずれであるかを判定することができる。これにより、クリーニングカードCCの判別のために新たにセンサを設けなくても、既存の端面検知センサ160を用いて情報記録カードCとクリーニングカードCCの判別が可能になる。すなわち、簡易な構成で情報記録カードCとクリーニングカードCCを判別することができる。
【0104】
また、カード位置検知用センサ150の検知結果に基づいて搬送路140内に挿入カードが存在しているか否かを判別できるため、例えばカード先端の抜き差しの繰り返しによって端面検知センサ160の検知結果が切り替わっている状態と、挿入カードの端面に設けられた凹凸によって端面検知センサ160の検知結果が切り替わっている状態と、を判別することができる。このため、挿入カードがクリーニングカードCCであるか否かをより正確に判定することができる。また、カード位置検知用センサ150は、挿入カードの位置検知用に設けられた既存のセンサであるため、新たにセンサを設けなくても、情報記録カードCとクリーニングカードCCをより正確に判別することができる。
【0105】
情報記録カードCとクリーニングカードCCをより正確に判別できることで、例えば挿入されたクリーニングカードCCを情報記録カードCと誤判定してクリーニングカードCCに対してデータ読み取り等を行ってエラーが発生する等の事態を抑制することができる。また、挿入された情報記録カードCをクリーニングカードCCと誤判定して情報記録カードCを用いてクリーニング動作を行ってしまい、情報記録カードCを汚損させる等の事態を抑制することができる。
【0106】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0107】
例えば、端面検知センサ160,165が、挿入カードの搬送路140への挿入時に挿入カードの端面により押下される押下スイッチ(機械式センサ)である場合について説明したが、端面検知センサ160,165は、フォトセンサ151~154のように、光学式センサであってもよい。また、カード位置検知用センサ150は、端面検知センサ160,165のように押下スイッチ(機械式センサ)であってもよい。
【0108】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0109】
(1)
挿入カードが搬送される通路である搬送路と、
前記搬送路における前記挿入カードの移動方向と平行な、前記挿入カードの端面を検知する端面検知センサと、
前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードを検知すると、前記搬送路に沿って前記挿入カードを移動させる搬送部と、
前記端面検知センサによる検知結果に基づいて前記挿入カードの端面の形状を検出することにより、前記挿入カードが、情報を記録する情報記録カード、及びクリーニングのためのクリーニングカードのいずれであるかを判定する判定部と、
を備えるカードリーダ。
【0110】
(1)のように構成すると、カードの挿入を検知して挿入カードを搬送するための端面検知センサによる検知結果を用いて、挿入カードの端面の形状を検出し、挿入カードが情報記録カード及びクリーニングカードのいずれであるかを判定することができる。これにより、クリーニングカードの判別のために新たにセンサを設けなくても、既存のセンサを用いて情報記録カードとクリーニングカードの判別が可能になる。すなわち、簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別することができる。
【0111】
(2)
(1)に記載のカードリーダであって、
前記判定部によって前記挿入カードが前記情報記録カードであると判定された場合、前記挿入カードからのデータの読み取り及び前記挿入カードへのデータの記録の少なくともいずれかを行い、前記判定部によって前記挿入カードが前記クリーニングカードであると判定された場合、前記挿入カードを用いたクリーニング動作を行う制御部、
を備えるカードリーダ。
【0112】
(2)のように構成すると、簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別し、情報記録カードが挿入された場合は情報記録カードからのデータの読み取りや情報記録カードへのデータの記録を行い、クリーニングカードが挿入された場合はクリーニングカードを用いたクリーニング動作を行うことができる。
【0113】
(3)
(1)又は(2)に記載のカードリーダであって、
前記端面検知センサは、前記挿入カードの前記搬送路への挿入時に前記端面により押下される押下スイッチである、
カードリーダ。
【0114】
(3)のように構成すると、挿入カードの端面の形状を容易に検出することができる。
【0115】
(4)
(1)から(3)のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記搬送路のうち前記端面検知センサよりも奥側に設けられ、前記搬送路における前記挿入カードの位置を検知するカード位置検知用センサを備え、
前記判定部は、前記カード位置検知用センサによる検知結果と、前記端面検知センサによる検知結果と、に基づいて、前記挿入カードが前記情報記録カード及び前記クリーニングカードのいずれであるかを判定する、
カードリーダ。
【0116】
(4)のように構成すると、カード位置検知用センサの検知結果に基づいて搬送路内に挿入カードが存在しているか否かを判別できるため、例えばカード先端の抜き差しの繰り返しによって端面検知センサの検知結果が切り替わっている状態と、挿入カードの端面に設けられた凹凸によって端面検知センサの検知結果が切り替わっている状態と、を判別することができる。このため、挿入カードがクリーニングカードであるか否かをより正確に判定することができる。また、カード位置検知用センサは、挿入カードの位置検知用に設けられた既存のセンサであるため、新たにセンサを設けなくても、挿入カードがクリーニングカードであるか否かをより正確に判定することができる。
【0117】
(5)
(1)から(4)のいずれか1項に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの端面は、前記移動方向と平行な前記情報記録カードの端面と異なる形状を有する、
カードリーダ。
【0118】
(5)のように構成すると、カードの挿入を検知して挿入カードを搬送するための端面検知センサによる検知結果を用いて、挿入カードが情報記録カード及びクリーニングカードのいずれであるかを容易に判定することができる。
【0119】
(6)
(5)に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの端面は、複数の切り欠き部を有する、
カードリーダ。
【0120】
(6)のように構成すると、例えば端面の1か所が欠けている情報記録カードをクリーニングカードと判定してしまう誤判定を抑制することができる。
【0121】
(7)
(5)又は(6)に記載のカードリーダであって、
前記移動方向と平行な前記クリーニングカードの第1端面及び第2端面は、それぞれ前記移動方向と平行な前記情報記録カードの各端面と異なる形状を有し、
前記端面検知センサは、前記第1端面を検知する第1端面検知センサと、前記第2端面を検知する第2端面検知センサと、を含む、
カードリーダ。
【0122】
(7)のように構成すると、挿入カードがクリーニングカードであるか否かをより正確に判定することができる。
【0123】
(8)
情報を記録する情報記録カードを挿入可能なカードリーダの搬送路に挿入可能なクリーニングカードであって、
前記搬送路における移動方向と平行な端面が、前記移動方向と平行な前記情報記録カードの端面と異なる形状を有する、
クリーニングカード。
【0124】
(8)のように構成すると、カードリーダにおいて、カードの挿入を検知して挿入カードを搬送するための端面検知センサによる検知結果を用いて、挿入カードの端面の形状を検出し、挿入カードが情報記録カード及びクリーニングカードのいずれであるかを判定することができる。これにより、クリーニングカードの判別のためにカードリーダに新たにセンサを設けなくても、既存のセンサを用いて情報記録カードとクリーニングカードの判別が可能になる。すなわち、簡易な構成で情報記録カードとクリーニングカードを判別することができる。
【0125】
(9)
(8)に記載のクリーニングカードであって、
前記移動方向と平行な端面が、複数の切り欠き部を有する、
クリーニングカード。
【0126】
(9)のように構成すると、例えば端面の1か所が欠けている情報記録カードをクリーニングカードと判定してしまう誤判定を抑制することができる。
【0127】
(10)
(8)又は(9)に記載のクリーニングカードであって、
前記移動方向と平行な第1端面及び第2端面が、それぞれ前記移動方向と平行な前記情報記録カードの各端面と異なる形状を有する、
クリーニングカード。
【0128】
(10)のように構成すると、挿入カードがクリーニングカードであるか否かをより正確に判定することができる。
【符号の説明】
【0129】
51~58 切り欠き部
100 搬送機構
110 DCモータ
111 エンコーダ
115 駆動回路
120 搬送ローラ
120a,121a,122a,123a 駆動ローラ
120b,121b,122b,123b 従動ローラ
121 第1ローラ
122 第2ローラ
123 第3ローラ
125~129 軸体
125a,127a,128a,129a 歯車部
126a 小径歯車部
126b 大径歯車部
128c 手回しハンドル
130 制御装置
130a CPU
130b メモリ
130c 制御プログラム
130d PWMコントローラ
131~133 歯付ベルト
134,135 テンショナー
140 搬送路
141 挿入口
142 ガイド部
150 カード位置検知用センサ
151~154 フォトセンサ
160,165 端面検知センサ
161 レバー部
162 スイッチ部
170 電源回路
200 情報処理部
210 磁気ヘッド
211 プリヘッド
220 IC接点ブロック
232C RS-
900 上位装置
910 カードリーダ
1201,1202 センシングデータ
E1 第1端面
E2 第2端面