(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000807
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】洗浄装置を有するロボットシステム及びこのロボットシステムの動作方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/16 20060101AFI20221222BHJP
A47L 15/24 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B25J9/16
A47L15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101832
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】521270063
【氏名又は名称】日本国民食株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103067
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真澄
(72)【発明者】
【氏名】下薗 邦宏
【テーマコード(参考)】
3B082
3C707
【Fターム(参考)】
3B082AA08
3C707AS02
3C707AS15
3C707JS02
3C707LS00
3C707LV01
3C707LV12
3C707MT01
3C707MT02
3C707NS02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンテナに格納された食器籠をロボット装置に設けられた一種類の把持ハンドにより迅速に取り出して搬送コンベアに載せること。
【解決手段】ロボットシステム100は、第1のコンテナ30が基準位置に停止状態で、把持ハンド50hは把持状態で、食器籠20を押して食器籠20を停止する第1のステップと、把持ハンド50hの先端部を食器籠20から離す第2のステップと、把持ハンド50hを食器籠20の幅よりも広く開放する第3のステップと、把持ハンド50hの把持部50aを開放状態で、食器籠20の被把持部に移動する第4のステップと、食器籠20の被把持部を把持すると共に、食器籠20を把持した第1のコンテナ30から取り出して搬送コンベア40に載せる第5のステップと、を備え、第1のステップから第5のステップまで順に実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
残渣が付着された食器を収納すると共に、両側面に設けられた被把持部を有する食器籠と、第1のコンテナに格納された前記食器籠の被把持部を把持したり、開放したりする第1の把持部を有する第1の把持ハンドを備えると共に、第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを動作する第1のロボット装置と、
前記食器籠を載せると共に、搬送指令信号に基づいて前記食器籠を搬送する搬送コンベアと、
前記食器籠が搬送する搬送路に設けられると共に、搬送された前記食器及び前記食器籠を洗浄する洗浄装置と、
前記第1のロボット装置、前記搬送コンベア、前記洗浄装置を制御する制御装置と、を備えた洗浄装置を有するロボットシステムであって、
前記第1のコンテナは、前記食器籠を載せる平坦な載置部と、この載置部の前方が開放されており、後方には前記食器籠の後端部を止める係止部と、前記食器籠の両側面部を前後方向に案内する一対のガイド部と、を有しており、
前記制御装置には、前記第1のコンテナが基準位置に停止状態で、前記第1のコンテナに載せられた前記食器籠の前方部に第1の把持ハンドの先端部が当接する開始位置、前記食器籠の被把持部を把持する把持位置、前記第1の把持ハンドを移動して前記食器籠を開放して前記搬送コンベアに載せる開放位置が予め教示された位置情報を記憶する教示記憶手段と、
前記教示記憶手段から読み出した前記位置情報に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せる前記第1の制御指令信号を生成して発生する第1の制御指令生成手段と、を備え、
前記第1の制御指令生成手段は、前記第1のコンテナの開放された側から前記第1の把持ハンドを把持した状態にして、前記第1のコンテナに格納された前記食器籠の前面を前記第1の把持ハンドの先端部により、押して前記一対のガイド部の間を前記食器籠が摺動移動し、前記食器籠の後方端部を前記係止部に当接して前記食器籠を停止する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドの前記先端部を前記食器籠の前面から離す前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドを前記食器籠の幅よりも広く開放する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドを開放した状態で、前記第1の把持部を前記被把持部に移動する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドにより前記食器籠の前記被把持部を把持すると共に、前記食器籠を把持した状態で前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せた後、前記第1の把持ハンドを開放する前記第1の制御指令信号を生成して発生する、
ことを特徴とする洗浄装置を有するロボットシステム。
【請求項2】
残渣が付着された食器を収納すると共に、両側面に設けられた被把持部を有する食器籠と、第1のコンテナに格納された前記食器籠の被把持部を把持したり、開放したりする第1の把持部を有する第1の把持ハンドを備えると共に、第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを動作する第1のロボット装置と、
前記食器籠を載せると共に、搬送指令信号に基づいて前記食器籠を搬送する搬送コンベアと、
前記食器籠が搬送する搬送路に設けられると共に、搬送された前記食器及び前記食器籠を洗浄する洗浄装置と、
前記第1のロボット装置、前記搬送コンベア、前記洗浄装置を制御する制御装置と、を備えた洗浄装置を有するロボットシステムであって、
前記第1のコンテナは、前記食器籠を載せる平坦な載置部と、この載置部の前方が開放されており、後方には前記食器籠の後端部を止める係止部と、前記食器籠の両側面部を前後方向に案内する一対のガイド部と、を有しており、
前記制御装置には、前記第1のコンテナが基準位置に停止状態で、前記第1のコンテナに載せられた前記食器籠の前方部に第1の把持ハンドの先端部が当接する開始位置、前記食器籠の被把持部を把持する把持位置、前記第1の把持ハンドを移動して前記食器籠を開放して前記搬送コンベアに載せる開放位置が予め教示された位置情報を記憶する教示記憶手段と、
前記教示記憶手段から読み出した前記位置情報に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せる前記第1の制御指令信号を生成して発生する第1の制御指令生成手段と、を備え、
前記第1のコンテナが基準位置に停止している状態で、前記第1のコンテナの開放された側から、前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを把持した状態で、前記第1のコンテナに格納された前記食器籠の前面を前記第1の把持ハンドの先端部により、押して前記一対のガイド部の間を前記食器籠が摺動移動し、前記食器籠の後方端部を前記係止部に当接して前記食器籠を停止する第1のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドの前記先端部を前記食器籠の前面から離す第2のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを前記食器籠の幅よりも広く開放する第3のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを開放した状態で、前記第1の把持部を前記被把持部に移動する第4のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠の前記被把持部を把持すると共に、前記食器籠を把持した状態で前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せた後、前記第1の把持ハンドを開放する第5のステップとを備え、
前記第1のステップから前記第5のステップまで順に実行する、
ことを特徴とする洗浄装置を有するロボットシステムの動作方法。
【請求項3】
前記第3のステップ及び前記第4のステップの代わりに、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを上方に移動した後、前記第1の把持部を前記食器籠の前記被把持部に移動する代替ステップを備え、
前記第1、第2のステップ、前記代替ステップ、前記第5のステップまで順に実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置を有するロボットシステムの動作方法。
【請求項4】
洗浄された前記食器籠を搬送して、前記食器籠が予め定められた位置に搬送されたことを検知して検知信号を発生する検知手段と、
前記食器籠を開放及び把持可能な第2の把持ハンドを有すると共に、前記第2の把持ハンドを動作する第2のロボット装置と、
前記検知信号に基づいて、前記搬送コンベアを停止した後、前記第2の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら移動して第2のコンテナに格納する前記2の制御指令信号を生成して発生する第2の制御指令生成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置を有するロボットシステム。
【請求項5】
前記第1のコンテナに複数の前記食器籠が横に並べて載せられており、
前記第1のロボット装置は、前記第1の把持ハンドを横に並べて複数有しており、
前記第1の制御指令生成手段は、さらに、複数の前記第1の把持ハンドを同期してX、Y、Z軸方向に移動すると共に、複数の前記第1の把持ハンドの開放及び把持を独立して動作する前記第1の制御指令信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の洗浄装置を有するロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等が入れられた食器籠をコンテナに格納した状態において、ロボット装置の把持ハンドにより食器籠を取り出して搬送コンベアに載せると共に、搬送する搬送路に設けられた洗浄装置により食器籠内の食器を洗浄する、洗浄装置を有するロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のロボットシステムが知られている。このロボットシステムは、容器のコンテナへの格納、コンテナからの取り出しを行うロボット装置と、コンテナを搬送する搬送ロボットとを有しており、容器のコンテナへの格納、取り出し前に、容器に関する情報、コンテナに関する情報を含むデータを取得するデータ取得部と、データを記憶するデータ記憶部と、容器のコンテナへの格納、取り出し前に、データに基づいてコンテナの選定及びアクセス位置へのロボットへの制御指令信号を生成している。
【0003】
上記ロボットシステムは、容器のコンテナへの格納、取り出しを行うための制御指令信号に基づいて、コンテナのアクセス位置への搬送を行うためのタスクの実行を搬送ロボットに指令し、容器のコンテナへの格納、取り出しを行うためのタスクの実行を操作ロボットに指令するロボット制御部と、容器の位置及び状態、容器の周囲環境を識別するための撮像センサを備える。撮像センサは、ロボットシステムの各ユニットが実行するタスクにおける作業位置の画像、各位置における容器の画像を取得できる。
【0004】
このロボットシステムによれば、容器のコンテナへの格納、取り出し前に、容器及びコンテナのそれぞれに関する情報を撮像センサにより把握し、それらの情報を含むデータに基づいて作成等される制御指令信号に基づくタスクが実行される。よって、容器のコンテナへの格納、取り出す操作を効率的かつ円滑に実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、学校給食に食事を食器で提供する給食センターでは、喫食が完了した食器には残渣が付着しており、この食器等を洗浄して保管するに際して多くの人数で、食器の洗浄、運搬等の重労働の作業が行われている現状がある。
【0007】
このため、発明者は、上記特許文献1などを参考にして、残渣が付着した食器等を迅速に洗浄して、次の食事の提供に備えるために、食器等を保管するロボットシステムを創出したのである。このロボットシステムは、残渣付きの食器等が第1のコンテナに無造作に積み付けられた状態で、第1のロボット装置の第1の把持ハンドにより食器等を取り出して、搬送コンベアに載せて、この食器等が搬送コンベアにより搬送し、洗浄装置を通過することにより、残渣付きの食器等が洗浄されて、清潔な状態になった食器等が得られる自動化システムである。
【0008】
しかしながら、発明者は、給食では、茶碗、小皿、大皿、箸、スプーン等が使われることから、残渣が付着した大皿などを個々に第1のコンテナから取り出そうとすると、ロボット装置のエンドエフェクタの種類が増えると共に、食器の識別ために高精度な撮像センサ等が必要となり得る。しかも、この撮像センサが大皿等及びコンテナを撮像して、制御装置が撮像情報に基づいての大皿等の位置、形状等を得るために画像処理などをして、ロボット装置などの制御指令信号を生成しなければならず、高性能な処理速度を有する演算処理部等が必要となり、ロボットシステムが複雑化し得るという課題を見出したのである。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、食器を収納する食器籠を有し、コンテナに格納された食器籠をロボット装置に設けられた一種類の把持ハンドにより迅速に取り出して搬送コンベアに載せることで、食器等を撮像する撮像センサを不要にして簡易にロボット装置の制御指令信号を生成できる。しかも、ロボット装置のエンドエフェクタを簡易な一種類の把持ハンドにすることにより、食器籠に収められた残渣付きの食器を洗浄装置により洗浄できる、洗浄装置を有するロボットシステム及びこのロボットシステムの動作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る洗浄装置を有するロボットシステムは、残渣が付着された食器を収納すると共に、両側面に設けられた被把持部を有する食器籠と、第1のコンテナに格納された前記食器籠の被把持部を把持したり、開放したりする第1の把持部を有する第1の把持ハンドを備えると共に、第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを動作する第1のロボット装置と、
前記食器籠を載せると共に、搬送指令信号に基づいて前記食器籠を搬送する搬送コンベアと、
前記食器籠が搬送する搬送路に設けられると共に、搬送された前記食器及び前記食器籠を洗浄する洗浄装置と、
前記第1のロボット装置、前記搬送コンベア、前記洗浄装置を制御する制御装置と、を備えた洗浄装置を有するロボットシステムであって、
前記第1のコンテナは、前記食器籠を載せる平坦な載置部と、この載置部の前方が開放されており、後方には前記食器籠の後端部を止める係止部と、前記食器籠の両側面部を前後方向に案内する一対のガイド部と、を有しており、
前記制御装置には、前記第1のコンテナが基準位置に停止状態で、前記基準位置に停止状態で第1のコンテナに載せられた前記食器籠の前方部に第1の把持ハンドの先端部が当接する開始位置、前記食器籠の被把持部を把持する把持位置、前記第1の把持ハンドを移動して前記食器籠を開放して前記搬送コンベアに載せる開放位置が予め教示された位置情報を記憶する教示記憶手段と、
前記教示記憶手段から読み出した前記位置情報に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せる前記第1の制御指令信号を生成して発生する第1の制御指令生成手段と、を備え、
前記第1の制御指令生成手段は、前記第1のコンテナの開放された側から前記第1の把持ハンドを把持した状態にして、前記第1のコンテナに格納された前記食器籠の前面を前記第1の把持ハンドの先端部により、押して前記一対のガイド部の間を前記食器籠が摺動移動し、前記食器籠の後方端部を前記係止部に当接して前記食器籠を停止する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドの前記先端部を前記食器籠の前面から離す前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドを前記食器籠の幅よりも広く開放する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドを開放した状態で、前記第1の把持部を前記被把持部に移動する前記第1の制御指令信号を生成して発生し、
さらに、前記第1の把持ハンドにより前記食器籠の前記被把持部を把持すると共に、前記食器籠を把持した状態で前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せた後、前記第1の把持ハンドを開放する前記第1の制御指令信号を生成して発生する、
ことを特徴とするものである。
【0011】
このような洗浄装置を有するロボットシステムによれば、第1のコンテナが基準位置に停止している状態で、教示記憶手段から読み出した位置情報に基づいて第1の制御指令生成手段が生成して発生した第1の制御指令信号により、第1の把持ハンドを把持した状態で、第1のコンテナの開放された側から、第1のコンテナに格納された食器籠の前面を第1の把持ハンドの先端部により、押して一対のガイド部の間を食器籠が摺動移動し、食器籠の後方端部を係止部に当接して食器籠を停止する。次に、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンドの先端部を食器籠の前面から離す。その後、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンドを食器籠の幅よりも広く開放する。次に、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンドを開放した状態で、第1の把持ハンドの第1の把持部を食器籠の被把持部に移動する。その後、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンドにより食器籠の被把持部を把持すると共に、食器籠を把持した状態で第1のコンテナから取り出して搬送コンベアに載せた後、第1の把持ハンドを開放する。
【0012】
これにより、第1のコンテナに格納された残渣が付着された食器を入れた食器籠を第1の把持ハンドにより取り出して、搬送コンベアに食器籠を搬送して食器及び食器籠が洗浄装置を通過することにより、清潔な食器等を得ることができる。
さらに、第1のコンテナ内で前後方向が不揃いな食器籠を第1の把持ハンドの先端部で押して、食器籠を基準位置に移動した後、第1の把持ハンドにより食器籠の被把持部を把持して第1のコンテナから食器籠を取り出して、搬送コンベアに載せる。したがって、食器籠の形状、第1のコンテナ、第1のコンテナへの食器籠の格納位置を撮像センサ等により撮像することなく、第1の制御指令生成手段が教示記憶手段に記憶された位置情報に基づいて第1の制御指令信号により第1の把持ハンドを用いて、格納された食器籠を把持して搬送コンベアに載せる。したがって、第1のコンテナ等を撮像センサにより撮像することなく、第1のロボット装置に設けられた一種類の第1の把持ハンドにより簡易迅速に食器籠を搬送コンベアに載せることができる。
さらに、第1の把持ハンドにより食器籠を第1のコンテナから取り出す際に、第1のコンテナ内での第1の把持ハンドの上下方向の移動が抑制されるので、第1のコンテナの高さを抑制できる。
【0013】
ここで、一つの食器籠には、多数種類の食器として小皿、大皿、スプーン、茶碗、箸をすべて収納しても良いし、二つ以上の組み合わせの食器を収納しても良い。さらに、食器の種類に対応して、複数の食器籠でも良い。食器籠は、上部が開放されており、側面部に第1の把持ハンドが把持するための被把持部を有しており、食器が収納できて、洗浄装置からの洗浄水及び洗剤が食器籠に収納された食器を洗浄できるように、適度な貫通形状を有している。なお、食器には、残渣が付着しているが、残渣には、食べ残し(残飯)も含む。
【0014】
第2の発明に係る洗浄装置を有するロボットシステムの動作方法は、残渣が付着された食器を収納すると共に、両側面に設けられた被把持部を有する食器籠と、第1のコンテナに格納された前記食器籠の被把持部を把持したり、開放したりする第1の把持部を有する第1の把持ハンドを備えると共に、第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを動作する第1のロボット装置と、
前記食器籠を載せると共に、搬送指令信号に基づいて前記食器籠を搬送する搬送コンベアと、
前記食器籠が搬送する搬送路に設けられると共に、搬送された前記食器及び前記食器籠を洗浄する洗浄装置と、
前記第1のロボット装置、前記搬送コンベア、前記洗浄装置を制御する制御装置と、を備えた洗浄装置を有するロボットシステムであって、
前記第1のコンテナは、前記食器籠を載せる平坦な載置部と、この載置部の前方が開放されており、後方には前記食器籠の後端部を止める係止部と、前記食器籠の両側面部を前後方向に案内する一対のガイド部と、を有しており、
前記制御装置には、前記第1のコンテナが基準位置に停止状態で、前記第1のコンテナに載せられた前記食器籠の前方部に第1の把持ハンドの先端部が当接する開始位置、前記食器籠の被把持部を把持する把持位置、前記第1の把持ハンドを移動して前記食器籠を開放して前記搬送コンベアに載せる開放位置が予め教示された位置情報を記憶する教示記憶手段と、
前記教示記憶手段から読み出した前記位置情報に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せる前記第1の制御指令信号を生成して発生する第1の制御指令生成手段と、を備え、
前記第1のコンテナが基準位置に停止している状態で、前記第1のコンテナの開放された側から、前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを把持した状態で、前記第1のコンテナに格納された前記食器籠の前面を前記第1の把持ハンドの先端部により、押して前記一対のガイド部の間を前記食器籠が摺動移動し、前記食器籠の後方端部を前記係止部に当接して前記食器籠を停止する第1のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドの前記先端部を前記食器籠の前面から離す第2のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを前記食器籠の幅よりも広く開放する第3のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを開放した状態で、前記第1の把持部を前記被把持部に移動する第4のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠の前記被把持部を把持すると共に、前記食器籠を把持した状態で前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せた後、前記第1の把持ハンドを開放する第5のステップとを備え、
前記第1のステップから前記第5のステップまで順に実行する、
ことを特徴とするものである。
【0015】
これにより、第1のコンテナに格納された残渣が付着された食器を入れた食器籠を第1の把持ハンドにより取り出して搬送コンベアに食器及び食器籠が洗浄装置を通過することにより、清潔な食器等を得ることができる。
ことにより、清潔な食器等を得ることができる。
さらに、第1のコンテナ内で前後方向が不揃いな食器籠を第1の把持ハンドの先端部で押して、食器籠を基準位置に移動した後、第1の把持ハンドにより食器籠の被把持部を把持して第1のコンテナから食器籠を取り出して、搬送コンベアに載せる。したがって、食器籠の形状、第1のコンテナ、第1のコンテナへの食器籠の格納位置を撮像センサ等により撮像することなく、第1の制御指令生成手段が教示記憶手段に記憶された位置情報に基づいて第1の制御指令信号により第1の把持ハンドを用いて、格納された食器籠を把持して搬送コンベアに載せる。したがって、第1のロボット装置に設けられた一種類の第1の把持ハンドにより簡易迅速に食器籠を搬送コンベアに載せることができる。
【0016】
ここで、一つの食器籠には、多数種類の食器として小皿、大皿、スプーン、茶碗、箸、トレイをすべて収納しても良いし、二つ以上の組み合わせの食器を収納しても良い。さらに、食器の種類に対応して、複数の食器籠でも良い。食器籠は、上部が開放されており、側面部に第1の把持ハンドが把持するための被把持部を有しており、食器が収納できて、洗浄措置からの洗浄水が食器籠に収納された食器を洗浄できるように、適度な貫通形状を有している。なお、食器には、残渣が付着しているが、残渣には、食べ残し(残飯)も含む。
【0017】
第3の発明に係る洗浄装置を有するロボットシステムの動作方法は、前記第3のステップ及び前記第4のステップの代わりに、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを上方に移動した後、前記第1の把持部を前記食器籠の前記被把持部に移動する代替ステップを備え、
前記第1、第2のステップ、前記代替ステップ、前記第5のステップまで順に実行する、
ことを特徴とするものである。
【0018】
このロボットシステムの動作方法は、前記第1のコンテナが基準位置に停止している状態で、前記第1のコンテナの開放された側から、前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを把持した状態で、前記第1のコンテナに格納された前記食器籠の前面を前記第1の把持ハンドの先端部により、押して前記一対のガイド部の間を前記食器籠が摺動移動し、前記食器籠の後方端部を前記係止部に当接して前記食器籠を停止する第1のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドの前記先端部を前記食器籠の前面から離す第2のステップと、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドを上方に移動した後、前記第1の把持部を前記食器籠の前記被把持部に移動する代替ステップを備え、
前記第1の制御指令信号に基づいて前記第1の把持ハンドにより前記食器籠の前記被把持部を把持すると共に、前記食器籠を把持した状態で前記第1のコンテナから取り出して前記搬送コンベアに載せた後、前記第1の把持ハンドを開放する第5のステップとを備え、
前記第1、第2のステップ、前記代替ステップ、前記第5のステップまで順に実行する。
これにより、第2の発明と同様の効果を奏する。
【0019】
第4の発明に係る洗浄装置を有するロボットシステムは、洗浄された前記食器籠を搬送して、前記食器籠が予め定められた位置に搬送されたことを検知して検知信号を発生する検知手段と、
前記食器籠を開放及び把持可能な第2の把持ハンドを有すると共に、前記第2の把持ハンドを動作する第2のロボット装置と、
前記検知信号に基づいて、前記搬送コンベアを停止した後、前記第2の把持ハンドにより前記食器籠を把持しながら移動して第2のコンテナに格納する前記2の制御指令信号を生成して発生する第2の制御指令生成手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
このようなロボットシステムによれば、検知手段からの検知信号に基づいて搬送コンベアを停止した後、第2の制御指令信号に基づいて第2のロボット装置の第2の把持ハンドにより清潔な食器籠を把持して第2のコンテナに格納する。これにより、洗浄装置により洗浄されて清潔な食器籠を第2のコンテナに格納する。これにより、清潔な食器を提供する体制が整うことになる。
【0021】
第5の発明に係る洗浄装置を有するロボットシステムは、前記第1のコンテナに複数の前記食器籠が横に並べて載せられており、
前記第1のロボット装置は、前記第1の把持ハンドを横に並べて複数有しており、
前記第1の制御指令生成手段は、さらに、複数の前記第1の把持ハンドを同期してX、Y、Z軸方向に移動すると共に、複数の前記第1の把持ハンドの開放及び把持を独立して動作する前記第1の制御指令信号を生成する、
ことを特徴とするものである。
【0022】
このようなロボットシステムによれば、第1の制御指令信号に基づいて第1のコンテナに格納された横に並べて配置された複数の食器籠を第1のロボット装置に設けられた複数の第1の把持ハンドにより、同時に、取り出して搬送コンベアに載せることができる。これにより、第1のコンテナに格納された複数の食器籠を取り出して、搬送コンベアに載せるので、作業効率が向上する。しかも、第1の把持ハンドの開放及び把持を独立して動作できるので、食器籠の横方向の大きさが異なっても、複数の第1の把持ハンドにより適切に把持できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、食器を収納する食器籠を有し、コンテナに積み付けられた食器籠をロボット装置に設けられた一種類の把持ハンドにより迅速に取り出して搬送コンベアに載せることで、食器等を撮像する撮像センサを不要にして簡易にロボット装置の制御指令信号を生成できる。しかも、ロボット装置のエンドエフェクタを簡易な一種類の把持ハンドにすることにより、食器籠に収められた残渣付きの食器を洗浄装置により洗浄できる、洗浄装置を有するロボットシステム及びこのロボットシステムの動作方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施の形態のロボットシステムに用いるトレイに載せられた小皿、箸等の平面図である。
【
図2】
図1に示す食器を収納する食器籠の斜視図(a)、被把持を側面に有する側面図(b)、平面図(c)である。
【
図3】
図2に示す食器籠を格納すると共に、食器籠を取り出す第1のコンテナの正面図(a)、側面図(b)である。
【
図4】本発明の一実施の形態を示し、
図1及び
図2の食器、食器籠を洗浄する、洗浄装置を有するロボットシステムの全体平面図である。
【
図5】
図4に示すロボットシステムの第1のコンテナ、第1のロボット装置、搬送コンベアの側面図である。
【
図6】
図4に示す食器籠が搬送して停止位置に達したことを検知する検知器の配置を示す側面図である。
【
図7】
図4に示すロボットシステムにおいて、第1のコンテナから取り出す動作手順を示し、第1の把持ハンドの先端部により食器籠を押す平面図(a)、第1の把持ハンドの先端部を開放状態で食器籠の被把持部に移動する平面図(b)、第1の把持ハンドにより食器籠を把持する平面図(c)である。
【
図8】
図4に示す洗浄装置を有するロボットシステムの全体動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図8に示すステップS103のサブルーチンにおける第1の把持ハンドの動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図4に示す洗浄装置を有するロボットシステムの全体動作を示すタイムチャートである。
【
図11】本発明の他の実施形態を示す二つの把持ハンドを有するロボット装置の平面図(a)、正面図(b)である。
【
図12】本発明の他の実施形態を示し、
図4に示すロボットシステムにおいて、第1のコンテナから取り出す動作手順を示し、第1の把持ハンドの先端部により食器籠を押す平面図(a)、第1の把持ハンドを上方に移動する正面図(b)、第1の把持ハンドを開放状態で食器籠の被把持部に移動する平面図(c)、第1の把持ハンドにより食器籠を把持する平面図(d)である。
【
図13】
図12に示す第1の把持ハンドの動作を示し、
図8に示すステップS103のサブルーチンにおける第1の把持ハンドの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態となる洗浄装置を有するロボットシステムは、給食センターに用いられており、洗浄対象となる食器器群が収納された食器籠が第1のコンテナに格納されており、第1のロボット装置によって第1のコンテナから取り出された食器籠が搬送コンベアに載せられて食器籠が搬送していながら洗浄装置により食器籠及び食器を洗浄するものである。したがって、食器群、食器籠、第1のコンテナを順に説明した後に、ロボットシステムを説明する。
【0026】
図1おいて、給食に用いられ食器群1は、トレイ3の上に載せられた小皿5、大皿7、スプーン9、箸11、茶碗13を有している。いま、食事が提供され喫食が終わると、食器群1に残渣が付着し、この食器群1を収納可能な
図2に示す食器籠20が第1のコンテナに格納されている。
【0027】
図2おいて、食器籠20は、上部が開放され開放部20eを有する箱状に形成されており、上下に設けられた四本の上下枠20aと、上下枠20aに連結固定される四角状の天枠20c、底枠20dとを有しており、上下枠20aには、棒部材20yが一定の間隔で立設しており、棒部材20yどうしの間で一定の空間を形成しており、底枠20dには底板20tが設けられており、底板20tには、多数の孔20iが形成されている。これは、食器籠20に収納された食器群1に洗浄水及び洗剤を充分に行きわたると共に、収納された小皿3等が食器籠20から落ちることを防ぐためである。食器籠20には、左右の側面20cの中央部には被把持部20hが設けられている。なお、食器籠20の開放部20eを開閉する網目形状の蓋が設けられている(図示せず)。
【0028】
図3おいて、第1のコンテナ30は、箱形状で下端部に設けられたローラ30rで移動可能に形成されると共に、前面が開放しており、底板30a、天板30sと連結された二つの側板30c、後方には、係止部としての後方板30mが設けられている。二つの側板30cどうしを連結する三つの棚板30kが設けられており、第1のコンテナ30の棚板30kには、突状で一対のガイド部30gが前方ら後方板30mまで設けられ、一対のガイド部30gの間を前後方向に案内して食器籠20が載置できるように形成されている。なお、棚板30kが平坦な載置部に相当する。なお、第1のコンテナ30のローラ30rをロックするロック機構30Lが設けられ、第1のコンテナ30の前面を開閉する扉が設けられている(図示せず)。
【0029】
図4及び
図5において、ロボットシステム100は、残渣が付着された食器群1を収納した食器籠20を第1のコンテナ30に格納しており、食器籠20の両側面の被把持部20hを開放及び把持可能な第1の把持ハンド50hを有すると共に、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hを動作する第1のロボット装置50を備えている。ロボットシステム100は、第1のコンテナ30から取り出した食器籠20を第1の把持ハンド52を矢印R1のように回転して載せると共に、搬送指令信号に基づいて食器籠20を搬送する搬送コンベア40を有しており、食器籠20の搬送路に設けられ、搬送された食器籠20に収納された食器群1を洗剤と洗浄水とにより洗浄する洗浄装置60を有している。なお、第1の把持ハンド50hの先端部には、第1の把持部50aが設けられている。
【0030】
さらに、
図4及び
図6において、ロボットシステム100は、洗浄された食器籠20を搬送し、食器籠20が予め定められた停止位置に搬送されたことを検知して停止検知信号を発生する光電センサから成る検知器70を有している。搬送コンベア40の終端部には、食器籠20を強制的に止めるストッパー部材40tが立設されている。そして、搬送コンベア40の終端部付近には、食器籠20の被把持部20hを開放及び把持可能な第2の把持ハンド220hを有する第2のロボット装置220を備え、食器籠20を把持した第2の把持ハンド220hを矢印R2のように回転して、洗浄された清潔な食器群1を収納した食器籠20を第2のコンテナ230に格納するように形成されている。なお、第2のコンテナ230は、第1のコンテナ30と同一の形状となっている。第2の把持ハンド220hには、第1の把持部220aが設けられている。
【0031】
図4において、制御装置80には、オンにより運転を開始し、運転を継続すると共に、オフにより運転を停止する運転スイッチ79が接続されている。制御装置80には、第1のコンテナ30に載せられた食器籠20の前方部に第1の把持ハンド50hの先端部が当接するX軸、Y軸、Z軸上の第1の開始位置、食器籠20の被把持部20hを把持するX軸、Y軸、Z軸の第1の把持位置、第1の把持ハンド50hを移動して食器籠20を開放して搬送コンベア40に載せるX軸、Y軸、Z軸上の第1の開放位置が教示装置90から予め教示されて第1の位置情報が記憶された教示記憶部81を有している。
【0032】
教示記憶部81には、搬送コンベア40に載せられた食器籠20の停止するX軸、Y軸、Z軸上の停止位置、食器籠20の被把持部20hを把持するX軸、Y軸、Z軸の第2の把持位置、第2の把持ハンド220hを開放して搬送コンベア40に格納するX軸、Y軸、Z軸上の第2の開放位置が教示装置90から予め教示されて第2の位置情報が記憶されている。
【0033】
制御装置80には、教示記憶部81から読み出した第1の位置情報により第1のコンテナ30に格納された食籠20の被把持部20hを第1のロボット装置50の第1の把持ハンド52により把持しながら第1のコンテナ30から取り出して、矢印R1のように第1の第1の把持ハンド52を回転して、搬送コンベア40に載せる第1の制御指令信号を生成し発生する第1の制御指令生成部82を有している。
【0034】
制御装置80には、搬送コンベア40を駆動制御する搬送指令信号を生成して発生すると共に、検知器70の検知信号の入力により停止信号を発生する搬送指令生成部84を有し、食器籠20が洗浄装置60に入るタイミングで、洗剤及び洗浄水を発生するための洗浄指令信号を生成して発生する洗浄指令信号生成部86を有しており、教示記憶部81から読み出した第2の位置情報により搬送コンベア40に停止していた食器籠20の被把持部20hを第2のロボット装置220の第2の把持ハンド220hにより把持しながら、矢印R2のように第2の把持ハンド220hを回転して、第2のコンテナ230に食器籠20を格納する第2の制御指令信号を発生する第2の制御指令生成部88を有している。
【0035】
図7(a)において、第1の制御指令生成部82は、第1のコンテナ30の開放された側から第1の把持ハンド50hを把持した状態にして、第1のコンテナ30に格納された食器籠50の前面を第1の把持ハンド50hの先端部により、矢印Aに示すように押して第1のコンテナ30に棚板30aに設けられた一対のガイド部30gの間を食器籠20が後方へ摺動移動し食器籠20の後方端部を係止部としての後
方板30mに当接して食器籠20を停止する第1の制御指令信号を生成して発生する(第1のステップ)。
【0036】
図7(b)において、第1の制御指令生成部82は、矢印Bに示すように第1の把持ハンド50hの先端部を食器籠20の前面から離す第1の制御指令信号を生成して発生した後(第2のステップ)、矢印Dに示すように、点線で描いた第1の把持ハンド50hを食器籠20の幅よりも広く開放する第1の制御指令信号を生成して発生した後(第3のステップ)、矢印Eに示すように1の把持ハンド50hを開放した状態で、第1の把持ハンド50hの第1の把持部50aを食器籠20の被把持部20hに移動する第1の制御指令信号を生成して発生する(第4のステップ)。
【0037】
図7(c)において、第1の制御指令生成部82は、矢印Fに示すように第1の把持ハンド50hにより食器籠20の被把持部20hを把持すると共に、食器籠20を把持した状態で第1のコンテナ30から取り出して搬送コンベア40に載せた後、第1の把持ハンド50hを開放する第1の制御指令信号を生成して発生する(第5のステップ)。第1の位置指令生成部82は、第1のステップから第5のステップの順序にて第1の制御指令信号が発生するように形成されている。
【0038】
搬送指令生成部84は、第1のコンテナ30から第1の把持ハンド50hにより食器籠20を取り出して、搬送コンベア40に載せるタイミングで、第1の搬送指令信号を発生して搬送コンベア40を第1の搬送速度により走行すると共に、食器籠20が洗浄装置60に入るタイミングで、第1の搬送速度よりも遅い第2の搬送速度により搬送する第2の搬送指令信号を発生するように形成されており、検知器70からの検知信号が入力されると、搬送コンベア40を停止する搬送停止信号を発生するように形成されている。
【0039】
上記のように構成されたロボットシステムの動作を主として
図4~
図10を用いて説明する。
図8は、
図1に示す洗浄装置を有するロボットシステムの全体動作を示すフローチャート、
図9は、
図8に示すステップS103のサブルーチンにおける第1の把持ハンドの動作を示すフローチャート、
図10は、
図1に示す洗浄装置を有するロボットシステムの全体動作を示すタイムチャートである。
【0040】
いま、第1のコンテナ30に蓋をした食器籠20が格納されていて、第1のコンテナ30を移動して基準位置に停止し、第1のコンテナ30の正面の扉を開放して、ロック機構30Lによりロックした状態で、運転スイッチ79を
図10に示す時間t0でオンすると(ステップS101)、第1の制御指令生成部82から発生した第1の制御指令信号に基づいて第1のロボット装置50の把持ハンド50hを動作して、第1のコンテナ30に格納されている食器籠20を取り出して搬送コンベア40に載せる(ステップS103)。すなわち、第1のロボット装置50は、第1の制御指令信号に基づいて第1のコンテナ30の開放された側から、第1の把持ハンド50hを把持した状態で、第1のコンテナ30に格納された食器籠20の前面を第1の把持ハンド50hの先端部により、
図7(a)に示す矢印Aのように押して第1のコンテナ30の一対のガイド部30gの間を食器籠20が後方へ摺動移動し、食器籠20の後方端部を第1のコンテナ30に後
方板30mに当接して食器籠20を停止する(ステップS201、第1のステップ)。
【0041】
第1のロボット装置50は、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hの先端部を
図7(b)に示す矢印Bのように食器籠20の前面から離す(ステップS203、第2のステップ)。次に、第1のロボット装置50は、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hを
図7(b)に示す矢印Dのように食器籠20の幅よりも広く開放する(ステップS205、第3のステップ)。第1のロボット装置50は、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hを開放した状態で、第1の把持ハンド50hの第1の把持部50aを
図7(b)に示す矢印Eのように食器籠20の被把持部20hに移動する(ステップS207、第4のステップ)。
【0042】
次に、第1のロボット装置50は、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hにより
図7(c)に示すように食器籠20の被把持部20hを第1の把持ハンド20hを把持すると共に、食器籠20を把持した状態で第1のコンテナ30から取り出して搬送コンベア40に載せた後、第1の把持ハンド50hを開放する(ステップS209、第5のステップ)。制御装置80の搬送指令生成部84が
図10に示す第1のタイミングとなる時間t1で、第1の搬送指令信号を発生し、搬送コンベア40に入力すると、搬送コンベア40が第1の搬送速度により食器籠20を搬送する(ステップS105)。
【0043】
搬送指令生成部84は、食器籠20が搬送されて洗浄装置60に入る
図10に示す第2のタイミングとなる時間t2で、第1の搬送速度により遅い第2の搬送速度により走行する第2の搬送指令信号を生成して発生して搬送コンベア40に入力すると、搬送コンベア40が第2の搬送速度により食器籠20を搬送する(ステップS107)と、その直後に、制御装置80の洗浄指令生成部86が洗浄指令信号を発生し、洗浄装置60に入力すると、洗浄装置60から洗剤と洗浄水を噴射して食器籠20及び食器群1を洗浄する(ステップS107)。
【0044】
食器籠20が搬送されて洗浄装置60に出る
図10に示す第3のタイミングとなる時間t3で、搬送指令生成部84は、第1の搬送速度により搬送する第1の搬送指令信号を搬送コンベア40に入力すると、搬送コンベア40が第1の搬送速度により食器籠20を搬送する(ステップS111)。食器籠20が予め定められた位置に到達すると、検知器70が時間t4で、停止検知信号を発生して搬送指令生成部84に入力する。搬送指令生成部84が搬送停止指令信号を搬送コンベア40に入力して搬送コンベア40を停止する(ステップS115)。
【0045】
次に、制御装置80の第2の制御指令生成部88は、検知器70からの検知信号に基づいて、
図10に示す時間t5で、第2の制御指令信号を生成して発生し、第2のロボット装置220の第2の把持ハンド220hにより食器籠20の被把持部20hを把持しながら移動して第2のコンテナ230に食器籠20を格納する(ステップS117)。これにより、第1のコンテナ30に格納された食器籠20が第1のロボット装置50の第1の把持ハンド50hにより取り出されて搬送コンベア40に載せられて、食器籠20を搬送しながら洗浄装置60により洗浄されて清潔な状態で、食器籠20が搬送コンベア40の停止位置まで移動すると、第2のロボット装置220の第2の把持ハンド220hにより食器籠20が第2のコンテナ230に格納される。これにより、次に、食事の提供するために清潔な食器群1収納した食器籠20が第2のコンテナ230に格納される。
【0046】
本実施の形態のロボットシステムによれば、第1のコンテナ30は、前方が開放されており、食器籠20を載せる平坦な載置部としての棚板30k、後方には食器籠20の後端部を止める係止部としての後方板30mと、食器籠20の両側面部を案内する一対のガイド部30gと、を有しており、制御装置80は、第1のコンテナ30の開放された側から第1の把持ハンド50hを把持した状態にして、第1のコンテナ30に格納された食器籠20の前面を第1の把持ハンド80hの先端部により、押して一対のガイド部30gの間を食器籠20が摺動移動し、食器籠20の後方端部を係止部に当接して食器籠20を停止する第1の制御指令信号を生成して発生した後、第1の把持ハンド20hの先端部を食器籠20の前面から離す第1の制御指令信号を生成して発生した後、第1の把持ハンド50hの第1の把持部50aを食器籠20の幅よりも広く開放する第1の制御指令信号を生成して発生し、さらに、第1の把持ハンド20hを開放した状態で、第1の把持ハンド50hを食器籠20の被把持部20hに移動する第1の制御指令信号を生成して発生した後、第1の把持ハンド50hにより食器籠20の被把持部20hを把持すると共に、食器籠20を把持した状態で第1のコンテナ30から取り出して搬送コンベア40に載せた後、第1の把持ハンド50hを開放する第1の制御指令信号を生成して発生する。
【0047】
これにより、第1のコンテナ30に格納された残渣が付着された食器群1を入れた食器籠20を第1の把持ハンド50hにより取り出して搬送コンベア40に載せて残渣付きの食器群1を収めた食器籠20が洗浄装置60を通過することにより、清潔な食器群1及び食器籠20を得ることができる。さらに、第1のコンテナ内で前後方向が不揃いな食器籠20を第1の把持ハンド50hの先端部で押して、食器籠20を基準位置に移動した後、第1の把持ハンド50hにより食器籠20の被把持部20hを把持して第1のコンテナ30から食器籠20を取り出して、搬送コンベア40に載せる。これにより、一種類の把持ハンド50hにより迅速に食器籠20を搬送コンベア40に載せることができる。食器籠20、第1のコンテナ30の形状、食器籠20の格納位置等を撮像センサ等により検出を不要として簡易な制御装置80を得ることができる。
【0048】
実施の形態2.
本発明の他の実施の形態を
図11によって説明する。
図11中、
図4と同一符号は同一部分を示す。
図11は、他の実施形態を示すロボット装置の平面図(a)、正面図(b)である。本ロボット装置150は、第1の把持ハンド50h、150hを二つ有しており、制御装置80の第1の制御指令生成部82は、高さ方向が同一で、横に並べて設けられた二つの第1の把持ハンド50h、150hを同期してX、Y、Z軸方向に移動すると共に、複数の第1の把持ハンド50h、150hの開放及び把持を独立して動作する第1の制御指令信号を生成するように形成されている。
【0049】
これにより、第1のコンテナ30に二つの食器籠20が横方向に並べて載せられていると、第1の制御指令信号によりロボット装置150が有する二つの第1の把持ハンド50h、150hによりそれぞれの食器籠20を取り出すことができる。したがって、第1のコンテナ30に格納された食器籠20を取り出して搬送コンベア40に載せる作業効率が向上する。しかも、二つの第1の把持ハンド50h、150hの開放及び把持を独立して動作できるので、食器籠20の横方向(幅)の大きさが異なっても、複数の第1の把持ハンド50h、150hにより適切に把持できる。
【0050】
実施の形態3.
本発明の他の実施の形態を
図12及び
図13によって説明する。
図13中、
図9と同一符号は同一部分を示す。本実施の形態のロボットシステムは、実施形態1における第3のステップ及び第4のステップの代わりに、第1の制御指令信号に基づいて第1の把持ハンド50hを上方に移動した後、第1の把持ハンド50hの第1の把持部50aを食器籠20の被把持部20hに移動する代替ステップを備え、第1、第2のステップ、代替ステップ、第5のステップまで順に実行する、ものである。
【0051】
第1のコンテナ30が基準位置に停止している状態で、ロボットシステムは、第1の制御指令信号に基づいて、第1のコンテナ30の開放された側から、第1の把持ハンド50hを把持した状態で、
図12(a)に示す矢印aのように、第1のコンテナ30に格納された食器籠20の前面を第1の把持ハンド50hの先端部により、押して一対のガイド部30gの間を食器籠20が摺動移動し、食器籠20の後方端部を係止部30mに当接して食器籠20を停止する第1のステップを実行した後、第1の把持ハンド50hの先端部を食器籠20の前面から離す第2のステップを実行する。
【0052】
ロボットシステムは、第1の制御指令信号に基づいて
図12(b)に示す矢印dのように、第1の把持ハンド50hを上方に移動した後、第1の把持ハンド50hの第1の把持部50aを
図12(c)示す矢印eのように、食器籠20の被把持部20hに移動する代替ステップを備え、第1の把持ハンド20hを開放して食器籠20の被把持部20hに移動した後、第1の把持ハンド20hが食器籠20の被把持部20hを把持すると共に、
図12(d)示す矢印fのように、食器籠20を把持した状態で、矢印gのように第1のコンテナ30から取り出して搬送コンベア40に載せた後、第1の把持ハンド50hを開放する第5のステップを順に実行する。
【0053】
本実施の形態におけるロボットシステムは、上記第1、第2のステップ、代替ステップ、第5のステップまで順に実行することにより、実施の形態1の効果を奏する。
【0054】
本発明は、上記発明の実施の形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。例えば、上記実施の形態では、一つの食器籠20には、多数種類の食器群1として小皿3、大皿5、スプーン7、茶碗11、箸9、トレイ3をすべて収納したが、食器籠20には、二つ以上の組み合わせの食器を収納しても良い。さらに、小皿3等の食器の種類に対応して、専用の食器籠20を設けても良い。専用の食器籠20のため、各食器を入れ易くなる。また、食器籠20は網目形状の蓋付きで説明したが、蓋が無くても良い。
【0055】
さらに、洗浄装置60に食器籠20が入ると、搬送コンベア40を第1の搬送速度よりも遅い第2の搬送速度により搬送したが、搬送指令生成部84は、搬送停止指令信号を発生して搬送コンベア40を停止した後、洗浄指令生成部86から洗浄指令信号を発生して洗浄装置60から洗浄水等を噴射して食器籠20及び食器群1の洗浄が完了するタイミングで、搬送コンベア40を再起動して第1の搬送速度により搬送しても良い。搬送コンベア40を一時的に停止するので、省電力となる。
【0056】
上記実施の形態では、第1のコンテナ30から食器籠20を第1の把持ハンド50hにより取り出して食器籠20を搬送コンベア40に載せた後、搬送コンベア40を搬送したが、搬送コンベア40が搬送している際に、1の把持ハンド50hにより取り出して食器籠20を搬送コンベア40に載せても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 食器群、20 食器籠、20h 被把持部、30 第1のコンテナ、30g ガイド部、40 搬送コンベア、50 第1のロボット装置、50a 第1の把持部、50h 第1の把持ハンド、60 洗浄装置、70 検知器、80 制御装置、81 教示記憶部(表示記憶手段)、82 第1の制御指令生成部(第1の制御指令生成手段)、84 搬送指令生成部(搬送指令生成手段)、86 洗浄指令生成部(洗浄指令生成手段)、88 第2の制御指令生成部(第2の制御指令生成手段)、100 ロボットシステム、220 第2のロボット装置、220a 第2の把持部、220h 第2の把持ハンド、230 第2のコンテナ。