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特開2023-80704容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080704
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20230602BHJP
   B67C 3/24 20060101ALN20230602BHJP
【FI】
B65G47/86 B
B67C3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194187
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】茂木 俊香
(72)【発明者】
【氏名】岩本 捷平
【テーマコード(参考)】
3E079
3F072
【Fターム(参考)】
3E079AB01
3F072AA07
3F072GF04
3F072KC02
3F072KC09
(57)【要約】
【課題】容器を受け渡す場合の容器の姿勢が安定する容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法を提供する。
【解決手段】受取り側の容器グリッパX2の把持部10において、把持部10の垂直方向の把持厚さTを調節できる厚さ調節部30を備えてある容器グリッパX、容器受渡し位置において、上流側のスターホイールにおける受渡し側の容器グリッパX1から下流側のスターホイールにおける受取り側の容器グリッパX2へと容器20を受け渡す容器搬送装置において、受取り側の容器グリッパX2において厚さ調節部30を備えてある容器搬送装置、および、上流側のスターホイールにおける受渡し側の容器グリッパX1から、厚さ調節部30を備えた下流側のスターホイールにおける受取り側の容器グリッパX2へと容器20を受け渡す容器搬送方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を受け渡す容器搬送装置において前記容器の受取り側で前記容器の首部を把持可能となる把持部を備えた容器グリッパであって、
前記把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えてある容器グリッパ。
【請求項2】
前記厚さ調節部を着脱可能な別部材としてある請求項1に記載の容器グリッパ。
【請求項3】
前記厚さ調節部が、前記把持部の下面から前記容器の肩部に至るまでの厚さを有するように構成してある請求項1または2に記載の容器グリッパ。
【請求項4】
前記厚さ調節部が、前記容器の肩部の外面に沿った形状を有するように構成してある請求項1~3の何れか一項に記載の容器グリッパ。
【請求項5】
回転可能に設けられた回転体と、当該回転体の外周に設けて容器を把持する容器グリッパと、を備えたスターホイールを複数備え、隣接する上流側のスターホイールと下流側のスターホイールとが接近した容器受渡し位置において前記容器を受け渡す容器搬送装置であって、
前記容器の受取り側の容器グリッパにおいて、前記容器の首部を把持可能となる把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えてある容器搬送装置。
【請求項6】
回転可能に設けられた回転体と、当該回転体の外周に設けて容器を把持する容器グリッパと、を備えたスターホイールを複数備え、隣接する上流側のスターホイールと下流側のスターホイールとが接近した容器受渡し位置において前記容器を受け渡す容器搬送方法であって、
前記上流側のスターホイールにおける受渡し側の容器グリッパから、前記容器の首部を把持可能となる把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えた前記下流側のスターホイールにおける受取り側の容器グリッパへと前記容器を受け渡す容器搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の受渡しに用いられる容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を搬送するため、複数のスターホイールによって構成された容器搬送装置が用いられており、このようなスターホイールには回転体の外周に、容器を把持する複数の容器グリッパが設けてある。隣接する上流側のスターホイールと下流側のスターホイールとが接近した受渡し位置において、上流側のスターホイールの容器グリッパから下流側のスターホイールの容器グリッパへと容器を受け渡すように構成してある。
【0003】
特許文献1には、容器が首部を有するボトル形の容器であり、当該首部を把持する容器グリッパを備える容器搬送装置が記載してある。
【0004】
容器グリッパは一対の把持片を備え、当該一対の把持片が相対的な移動により開閉自在に構成してある容器の把持部を備える。一対の把持片が開状態であるときには、把持部において容器の首部の出し入れが可能となり、一対の把持片が閉状態であるときには、前記首部が把持可能となる。これにより、前記受渡し位置において、上流側のスターホイールにおける受渡し側の容器グリッパから下流側のスターホイールにおける受取り側の容器グリッパへと容器を受け渡すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-184295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記受渡し位置において容器を受け渡す場合、受取り側の容器グリッパは、受渡し側の容器グリッパが把持する容器の首部の位置より下方の位置を把持する。下流側のスターホイールは上流側のスターホイールの回転方向と反対側の回転方向に回転しており、受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパより容器の首部を把持すると、受取り側の容器グリッパが容器の首部を受渡し側の容器グリッパより引き抜くことができる。
【0007】
このとき、図7に示したように、例えば受取り側の容器グリッパx2における把持片11が薄板状(厚みは5~20mm程度)で、容器20の首部の長さが比較的長く設定してある場合、当該把持片11の厚さおよび容器20の首部22の長さの組み合わせが不適切となり、受渡し側の容器グリッパx1が把持する首部の位置を支点として受取り側の容器グリッパx2の側(矢印側)に容器20が傾いたままとなり、不安定な姿勢となることがある。この状態で下流の工程(液体を充填する工程,キャップを装着する工程など)を行うと、液体の充填不良やキャップの装着不良が起こり得る。このように受渡し位置において容器を受け渡す(受け取る)場合、容器の姿勢はできるだけ垂直な状態であるのが望ましい。
【0008】
従って、本発明の目的は、容器を受け渡す場合の容器の姿勢が安定する容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る容器グリッパは、容器を受け渡す容器搬送装置において前記容器の受取り側で前記容器の首部を把持可能となる把持部を備えた容器グリッパであって、その第一特徴構成は、前記把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えた点にある。
【0010】
本構成によれば、厚さ調節部は、容器の首部の形状(長さ)に応じて、厚さ調節部の厚さを様々に設定することができる。即ち、厚さ調節部を備えることにより、把持部の垂直方向の把持厚さを種々の厚さに調節できる。従って、本構成によれば、容器の首部の形状(長さ)に応じて厚さ調節部の厚さを設定し、把持部において容器の首部と接する厚さ(幅)である把持厚さを調節できる。そのため、本構成によれば、厚さ調節部によって把持厚さおよび容器の首部の長さの組み合わせが適切になるように設定できるため、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させることができる。
【0011】
よって、容器受渡し位置において、受取り側の容器グリッパが容器を把持したとき、および、受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパから容器を引き抜いたときに、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させた状態で把持部が容器の首部を挟むように把持する状態とすることができるため、容器が傾き難くなる。そのため、本構成では、容器受渡し位置において容器を受け取る際の容器の姿勢をできるだけ垂直な状態を維持して安定させることができる容器グリッパを供することができる。
【0012】
本発明に係る容器グリッパの第二特徴構成は、前記厚さ調節部を着脱可能な別部材とした点にある。
【0013】
本構成により、既設の把持部に厚さ調節部を装着することができる。
【0014】
本発明に係る容器グリッパの第三特徴構成は、前記厚さ調節部が、前記把持部の下面から前記容器の肩部に至るまでの厚さを有するように構成した点にある。
【0015】
本構成によれば、容器の首部の形状(長さ)に応じて、把持部の下面から首部および肩部の境界まで達するように厚さ調節部の厚さを設定することができる。そのため、容器グリッパおよび容器の接触面積をより増加させることができ、容器受渡し位置において容器を受け取る際の容器の姿勢をより安定させることができる。
【0016】
本発明に係る容器グリッパの第四特徴構成は、前記厚さ調節部が、前記容器の肩部の外面に沿った形状を有するように構成した点にある。
【0017】
本構成によれば、容器の首部の形状(長さ)や肩部の外面形状に応じて、把持部の下面から肩部の何れかの外面まで達するように厚さ調節部の厚さを設定することができる。そのため、容器グリッパおよび容器の接触面積をより一層増加させることができ、容器受渡し位置において容器を受け取る際の容器の姿勢をより一層安定させることができる。
【0018】
本発明に係る容器搬送装置の特徴構成は、回転可能に設けられた回転体と、当該回転体の外周に設けて容器を把持する容器グリッパと、を備えたスターホイールを複数備え、隣接する上流側のスターホイールと下流側のスターホイールとが接近した容器受渡し位置において前記容器を受け渡す容器搬送装置であって、前記容器の受取り側の容器グリッパにおいて、前記容器の首部を把持可能となる把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えた点にある。
【0019】
本構成によれば、受取り側の容器グリッパにおいて厚さ調節部を備えることにより、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させることができる。よって、容器受渡し位置において、受取り側の容器グリッパが容器を把持したとき、および、受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパから容器を引き抜いたときに、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させた状態で把持部が容器の首部を挟むように把持する状態とすることができるため、容器が傾き難くなる。そのため、本構成では、容器受渡し位置において容器を受け取る際の容器の姿勢をできるだけ垂直な状態を維持して安定させることができる容器搬送装置を供することができる。
【0020】
本発明に係る容器搬送方法の特徴構成は、回転可能に設けられた回転体と、当該回転体の外周に設けて容器を把持する容器グリッパと、を備えたスターホイールを複数備え、
隣接する上流側のスターホイールと下流側のスターホイールとが接近した容器受渡し位置において前記容器を受け渡す容器搬送方法であって、前記上流側のスターホイールにおける受渡し側の容器グリッパから、前記容器の首部を把持可能となる把持部の垂直方向の把持厚さを調節できる厚さ調節部を備えた前記下流側のスターホイールにおける受取り側の容器グリッパへと前記容器を受け渡す点にある。
【0021】
本構成によれば、受取り側の容器グリッパにおいて厚さ調節部を備えることにより、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させることができる。よって、容器を受け渡す際に、受取り側の容器グリッパが容器を把持したとき、および、受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパから容器を引き抜いたときに、容器グリッパおよび容器の接触面積を増加させた状態で把持部が容器の首部を挟むように把持する状態とすることができるため、容器が傾き難くなる。そのため、本構成では、容器を受け取る際の容器の姿勢をできるだけ垂直な状態を維持して安定させることができる容器搬送方法を供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態の容器グリッパを示す平面図である。
図2】実施形態の容器グリッパを示す分解斜視図である。
図3】実施形態の容器搬送装置の要部を示す概略図である。
図4】実施形態の容器の概略図である。
図5】容器受渡し位置において受取り側の容器グリッパが容器を把持したときを示す概略図である。
図6】受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパから容器を引き抜いた直後の概略図である。
図7】従来の容器搬送装置において、受取り側の容器グリッパが受渡し側の容器グリッパから容器を引き抜くときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~6に示したように、本発明の容器グリッパXは、容器20を受け渡す容器搬送装置Yにおいて容器20の受取り側で容器20の首部22を把持可能となる把持部10を備えた容器グリッパXであって、把持部10の垂直方向の把持厚さTを調節できる厚さ調節部30を備える。
【0024】
また、本発明の容器搬送装置Yは、回転可能に設けられた回転体41と、当該回転体41の外周に設けて容器20を把持する容器グリッパXと、を備えたスターホイール40を複数備え、隣接する上流側のスターホイール40Aと下流側のスターホイール40Bとが接近した容器受渡し位置Pにおいて容器20を受け渡す容器搬送装置Yであって、容器20の受取り側の容器グリッパX2において、容器20の首部22を把持可能となる把持部10の垂直方向の把持厚さTを調節できる厚さ調節部30を備える。
【0025】
また、本発明の容器搬送方法は、前記容器搬送装置Yにおいて、上流側のスターホイール40Aにおける受渡し側の容器グリッパX1から、容器20の首部22を把持可能となる把持部10の垂直方向の把持厚さTを調節できる厚さ調節部30を備えた下流側のスターホイール40Bにおける受取り側の容器グリッパX2へと容器20を受け渡す。
【0026】
容器グリッパXは、相対的な移動により開閉自在に配設してある一対の把持片11(11A,11B)を有し、開状態時には容器20の首部22が出し入れ可能となり、閉状態時には首部22を把持可能となる把持部10を備える。また、容器グリッパXは、容器20を受渡す受渡し側の容器グリッパX1、および、容器20を受取る受取り側の容器グリッパX2を備える。
【0027】
当該把持部10における一対の把持片11(11A,11B)は、回転体41に取付けられた軸42を支点として、一対の把持片11の一端12に設けられたばね座に間装されたばね(図外)の付勢により、他端(把持端)13において、一対の把持片11で首部22を挟むようにして首部22を把持可能となるように構成してある(閉状態)。把持片11に取付けられたカムフォロワー(図外)が固定カム(図外)と係合することにより、前記ばねのばね力に抗して一対の把持片11の解放が行われ、容器20の首部22が出し入れ可能となるように構成してある(開状態)。
【0028】
容器搬送装置Yにおいてスターホイール40は、通常複数備えてあり、その設置数は特に限定されるものではない。本実施形態における図面では、隣接する2つのスターホイール40A,40Bのみを図示する。
【0029】
容器搬送装置Yでは、上流側のスターホイール40Aにおける受渡し側の容器グリッパX1から下流側のスターホイール40Bにおける受取り側の容器グリッパX2へと容器20を受け渡す。上流側のスターホイール40Aには複数の受渡し側の容器グリッパX1が備えてあり、下流側のスターホイール40Bには複数の受取り側の容器グリッパX2が備えてある。容器グリッパX1および容器グリッパX2の設置数は特に限定されるものではない。
【0030】
スターホイール40A,40Bは一つの駆動手段(図外)によって連動しながら駆動しており、例えばスターホイール40Aは反時計回りに回転し、スターホイール40Bは時計回りに回転し、隣接する上流側のスターホイール40Aと下流側のスターホイール40Bとが接近した容器受渡し位置Pにおいて容器20の受渡しを行うように構成してある。
【0031】
容器搬送装置Yは、例えば容器20に液体を充填する充填装置(図外)や、容器20にキャップを装着するキャッパ(図外)を設けて構成してあるが、このような態様に限定されるものではない。
【0032】
容器20は、例えば樹脂製の容器やガラス製の容器などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。本実施形態では樹脂製の容器を使用する場合について説明する。樹脂製の容器20は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形法などの公知の成形法によって製造することができる。
【0033】
当該容器20は、図4に示したように、内容物の注出口となる口部21と、当該口部21に連設する首部22と、当該首部22に連設する肩部23と、当該肩部23に連設する胴部24と、当該胴部24に連設して胴部24の下端を閉塞する底部25と、を備える。
【0034】
口部21は、上端が開口する円筒で構成される部分であり、内容物の注出口として機能する。口部21の外周面には雄ネジ部21aが形成されており、図示しないキャップが着脱自在に螺合固定され、繰り返し密栓及び開放できる態様とすればよい。
【0035】
首部22は、口部21に連設する円筒で構成される部分であり、本実施形態では、雄ネジ部21aの下端から肩部23の上端に至るまでを首部22とする。内容物によって、当該首部22の長短は適宜設定することができる。本実施形態では、長めの首部22を有する容器20の態様について説明する。このとき、首部22の長さは例えば11~15mm程度とするのがよいが、この範囲に限定されるものではない。首部22の下端は前記円筒が拡径し始める部分である。
【0036】
首部22において、受渡し側の容器グリッパX1は首部22の上側22a(サポートリング22cの上方)を把持し、受取り側の容器グリッパX2は、受渡し側の容器グリッパX1が把持する容器の首部の位置(上側22a)より下側22b(サポートリング22cの下方)を把持する。
【0037】
肩部23は、その上端から下方に向けて連続して拡径し、略円錐状に構成される部分である。肩部23の縦断面形状は、容器外側に凸となる緩やかな円弧とするのがよいが、このような態様に限定されるものではない。
【0038】
胴部24は、肩部23の下部末端に接続する略筒状の部位であり、底部25は、胴部24の下部末端に接続して胴部24の下端を閉塞する部位である。
【0039】
容器20に充填される内容物(液体)としては、特に限定されるものではなく、例えば、飲料水、茶、果汁、コーヒー、ココアなどの清涼飲料水、アルコール飲料、乳飲料などの飲料や、スープなどの液体食品、ソースや醤油などの液体調味料といったものが挙げられる。また容器20の内容量についても特に限定されるものではなく、充填する内容物の種類等に応じて、数百ミリリットル単位の比較的小容量のものから、数リットル単位の比較的大容量のものに至るまで任意に適用して良い。
【0040】
本発明では、受取り側の容器グリッパX2の把持部10において、当該把持部10の垂直方向の把持厚さTを調節できる厚さ調節部30を備える。
【0041】
本実施形態では、厚さ調節部30は把持片11とは着脱可能な別部材とした場合について説明する。また、厚さ調節部30は一対の把持片11(11A,11B)のそれぞれに備えることができる。一対の把持片11(11A,11B)のそれぞれに装着する厚さ調節部30(30A,30B)は、同様の形状(対称となる形状)および厚さを有するように構成すればよい。しかし、このような態様に限定されず、厚さ調節部30(30A,30B)の厚さを異ならせるように構成してもよい。
【0042】
受取り側の容器グリッパX2において、一対の把持片11はその断面視においてその把持端13の厚さが把持片11の一端12の側より薄くなるように構成することがある。断面視において把持端13の厚さをt1、厚さ調節部30の厚さをt2とした場合、把持厚さTは把持端13の厚さt1および厚さ調節部30の厚さt2を足したものとなる。
【0043】
厚さ調節部30は、把持片11に装着するためのボルト51、および、装着する際に位置決めする位置決めピン52によって把持片11に装着するとよい。ボルト51は例えばリーマボルトなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。位置決めピン52は、把持片11と一体に形成してもよいし、別部材であってもよい。このようにボルト51および位置決めピン52によって把持片11に装着することで、ボルト1本で厚さ調節部30を把持片11に位置ズレすることなく装着することができる。
【0044】
把持片11には、ボルト51が挿通するボルト穴11a、および、位置決めピン52が挿通するピン穴11bを設ける。このように既設の一対の把持片11にボルト穴11aおよびピン穴11bを設けることで、既設の一対の把持片11に厚さ調節部30を装着することができる。
【0045】
厚さ調節部30の形状は、把持片11および厚さ調節部30を重ねたときに当該把持片11の把持端13の形状に対応(略一致)した形状を有するように構成すればよい。当該把持端13において容器20の首部22を把持する把持部位11cは、容器20の首部22を把持したときに当該首部22を確実に把持できるように、上面視で首部22の外縁に沿った円弧の形状を呈する。そのため、厚さ調節部30は、上面視で前記把持部位11cに略一致した円弧の形状を呈する調節部把持部位31を有するように構成するとよい。これにより、把持片11および厚さ調節部30を重ねて厚さ調節部30を把持片11に装着したときには、把持部位11cおよび調節部把持部位31が上面視で一致するように装着できる。
【0046】
従って、一対の把持片11(11A,11B)のそれぞれに厚さ調節部30(30A,30B)を上記のように装着し、この状態で一対の把持片11(11A,11B)が容器20の首部22を挟むように把持すれば、把持片11および厚さ調節部30(把持部位11cおよび調節部把持部位31)によって、首部22を確実に把持することができる(図5)。
【0047】
また、本実施形態では、一つの厚さ調節部30を把持片11の把持端13の下面に装着する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、複数の厚さ調節部30を装着する態様であってもよいし、把持片11の先端側に装着する態様や、把持端13の上面に装着する態様や、把持端13の上面および下面に装着する態様であってもよい。把持片11の先端側に装着する態様では、例えば把持端13の部分が無い状態の把持片11の先端側に厚さ調節部30を装着する態様とすることができる。このとき、把持厚さTは厚さ調節部30の厚さt2に等しい。
【0048】
厚さ調節部30は、容器20の首部22の形状(長さ)に応じて、厚さ調節部30の厚さt2を様々に設定することができる。即ち、厚さ調節部30を備えることにより、把持部10の垂直方向の把持厚さTを種々の厚さに調節できる。従って、本構成によれば、容器20の首部22の形状(長さ)に応じて厚さ調節部30の厚さt2を設定し、把持部10において容器20の首部22と接する厚さ(幅)である把持厚さTを調節できる。そのため、本構成によれば、厚さ調節部30によって把持厚さTおよび容器20の首部22の長さの組み合わせが適切になるように設定できるため、容器グリッパX2(把持部位11cおよび調節部把持部位31)および容器20の接触面積を増加させることができる。
【0049】
よって、容器受渡し位置Pにおいて、受取り側の容器グリッパX2が容器20を把持したとき(図5)、および、受取り側の容器グリッパX2が受渡し側の容器グリッパX1から容器20を引き抜いたとき(図6)に、容器グリッパX2および容器20の接触面積を増加させた状態で一対の把持片11(11A,11B)が容器20の首部22を挟むように把持する状態とすることができるため、容器20が傾き難くなる。そのため、容器受渡し位置Pにおいて容器を受け取る際の容器20の姿勢をできるだけ垂直な状態を維持して安定させることができる。
【0050】
一対の把持片11および厚さ調節部30は、同一の材料で構成してもよいし、異なる材料で構成してもよい。これらの材料は、例えばステンレスやアルミニウムなどの金属材料とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
厚さ調節部30は、把持部10の下面から容器20の肩部23に至るまでの厚さt2を有するように構成することができる。即ち、厚さ調節部30は、把持部10の下面から首部22および肩部23の境界まで達するように厚さ調節部30の厚さt2を設定することができる。このとき、調節部把持部位31は、首部22の外面(円柱状)に沿った形状とすることができる。
【0052】
従って、本構成によれば、容器20の首部22の形状(長さ)に応じて、把持部10の下面から首部22および肩部23の境界まで達するように厚さ調節部30の厚さt2を設定することができる。そのため、容器グリッパX2(把持部位11cおよび調節部把持部位31)および容器20の接触面積をより増加させることができ、容器受渡し位置Pにおいて容器20を受け取る際の容器20の姿勢をより安定させることができる。
【0053】
厚さ調節部30は、容器20の肩部23の外面に沿った形状を有するように構成することもできる。即ち、調節部把持部位31は、肩部23の何れかの外面に沿った形状とすることができる。また、厚さ調節部30は、把持部10の下面から肩部23の何れかの外面の位置まで達するように厚さ調節部30の厚さt2を設定することができる。例えば調節部把持部位31は、肩部23の外面(略円錐状,テーパー状)に沿った形状とすることができる。
【0054】
従って、本構成によれば、容器20の首部22の形状(長さ)や肩部23の外面形状に応じて、把持部10の下面から肩部23の何れかの外面まで達するように厚さ調節部30の厚さt2を設定することができる。そのため、容器グリッパX2(把持部位11cおよび調節部把持部位31)および容器20の接触面積をより一層増加させることができ、容器受渡し位置Pにおいて容器20を受け取る際の容器20の姿勢をより一層安定させることができる。
【0055】
[別実施形態1]
上述した態様では、容器20の首部22の形状(長さ)に応じて、厚さ調節部30の厚さt2を様々に設定して把持部10の垂直方向の把持厚さTを種々の厚さに調節することについて説明した。しかし、このような態様に限定されず、例えばボルト51の垂直方向の長さを様々に設定することにより、当該把持厚さTを種々の厚さに調節してもよい。このとき、厚さ調節部30は部材30A,30Bだけでなく、ボルト51も含まれる。
【0056】
即ち、本構成では、把持片11のボルト穴11aにボルト51を挿通させ、把持片11と離間した状態となるように部材30A,30Bのそれぞれをボルト51によって装着する。これにより、容器20の首部22の形状(長さ)に応じてボルト51の垂直方向の長さを設定すれば、把持部10において容器20の把持厚さTを調節できる。尚、本構成において把持厚さTは、把持部10の上面から部材30A(30B)の下面までの厚さのことである。
【0057】
そのため、本構成によれば、厚さ調節部30(30A,30B,ボルト51)によって把持厚さTおよび容器20の首部22の長さの組み合わせが適切になるように設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、容器の受渡しに用いられる容器グリッパ、容器搬送装置および容器搬送方法に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
X(X1,X2) 容器グリッパ
Y 容器搬送装置
P 容器受渡し位置
T 把持厚さ
10 把持部
11(11A,11B) 一対の把持片
20 容器
22 首部
23 肩部
30 厚さ調節部
40(40A,40B) スターホイール
41 回転体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7