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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008074
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】搬送装置及び水耕栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20230112BHJP
   A01G 9/00 20180101ALI20230112BHJP
【FI】
A01G31/04 A
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111334
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋康
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直也
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314NA05
2B314NA13
2B314PD07
2B327NA10
2B327NE01
2B327TA22
2B327TC04
2B327TC13
(57)【要約】
【課題】電動ドライバー等の回転動力を利用することで、連接する搬送物を容易に下流側に移動させることのできる搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送方向に連接する複数の搬送物を搬送する搬送装置であって、前記搬送装置の上流側又は下流側に設けられ、前記搬送物を前記搬送方向に変位させる搬送物変位機構を有し、前記搬送物変位機構は、ネジ機構と、前記連接する搬送物の上流側又は下流側と当接する当接部と、を備え、前記当接部は、前記ネジ機構により前記搬送方向に変位する、搬送装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に連接する複数の搬送物を搬送する搬送装置であって、
前記搬送装置の上流側又は下流側に設けられ、前記搬送物を前記搬送方向に変位させる搬送物変位機構を有し、
前記搬送物変位機構は、
ネジ機構と、
前記連接する搬送物の上流側又は下流側と当接する当接部と、を備え、
前記当接部は、前記ネジ機構により前記搬送方向に変位する、
搬送装置。
【請求項2】
前記ネジ機構は、前記搬送方向に沿って延びる回転軸を中心に回転し、
前記当接部は、前記ネジ機構の回転に伴って前記回転軸の軸方向に沿って前記上流側又は前記下流側に移動する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ネジ機構は、
前記回転軸を中心に回転し、螺旋状部を備える棒状体と、
前記棒状体が回転可能に挿通され、前記棒状体の螺旋状部と係合する係合部を具備するベース部と、を備え、
前記当接部は、前記ベース部と接続される、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送物が、前記搬送方向に略直交する幅方向に幅を有するプレートであり、
前記当接部は、前記棒状体に対して回転可能に設けられ、前記幅方向に延びる、
請求項1~3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送物が、前記幅方向に並んで搬送される複数のプレートであり、
前記当接部は、前記複数のプレートに当接し、
前記搬送物変位機構は、前記複数のプレートを前記搬送方向に同時に変位させる、
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送物変位機構は、前記搬送方向の上流側に設けられ、
前記当接部は、前記搬送方向の上流側で前記搬送物と当接し、
前記当接部は、前記搬送方向に突出し前記搬送物の上方に位置する、上方突出部を備える、
請求項1~5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送物変位機構は、前記搬送方向の下流側に設けられ、
前記当接部は、前記搬送方向の下流側で前記搬送物と当接し、
前記当接部は、前記搬送方向の下流側に向かって前記搬送物と係止する係止部を備える、
請求項1~5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送物が水耕栽培用プレートであり、
請求項1~7のいずれかに記載の搬送装置を有する、
水耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培用プレートなどの搬送物を搬送する搬送装置及び水耕栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物工場等で用いる水耕栽培用プランターは、矩形状の養液槽と、多数の保持孔に植物を保持して養液槽の上方に支持される栽培用プレートと、を備え、栽培用プレートの下方に出る根を養液に浸けて植物を栽培する。栽培用プレートは、搬送方向の上流側から養液槽上に載置され、植物の成長とともに養液槽上を上流側から下流側に移動し、収穫時期に養液槽の下流側から取り外される。栽培用プレートは、養液槽上を移動する際、搬送方向の前方及び後方から他の栽培用プレートと連結され、前後に連なった複数のプレートは、新たなプレートが載置されると、一体として下流側へ押し出される。
【0003】
しかし、上流側から下流側まで連結されたプレートを押し出すことは、栽培物の重量や栽培物の根と栽培槽との抵抗を考慮すると、作業者にとって大きな負荷である。
【0004】
そこで、例えば特許文献1(特許第6830713号公報)は、栽培用プレートの下側を通る紐状体で栽培用プレートを長手方向の一端側に引き寄せるための引き寄せ具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6830713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の引き寄せ具では、作業者が紐状体を引っ張る際に、生育した栽培物の重量や、栽培物の根と栽培槽との抵抗により、作業者の負荷が今なお大きい。また、栽培用プレート以外の搬送物を搬送方向に連結しながら搬送する場合にも、作業者の負荷は大きい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電動ドライバー等の回転動力を利用することで、連接する搬送物を容易に下流側に移動させることのできる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
搬送方向に連接する複数の搬送物を搬送する搬送装置であって、
前記搬送装置の上流側又は下流側に設けられ、前記搬送物を前記搬送方向に変位させる搬送物変位機構を有し、
前記搬送物変位機構は、
ネジ機構と、
前記連接する搬送物の上流側又は下流側と当接する当接部と、を備え、
前記当接部は、前記ネジ機構により前記搬送方向に変位する、
搬送装置、を提供する。
ここで、前記ネジ機構は、前記搬送方向に沿って延びる回転軸を中心に回転し、前記当接部は、前記ネジ機構の回転に伴って前記回転軸の軸方向に沿って前記上流側又は前記下流側に移動してもよい。
【0009】
このような構成を有する本発明の搬送装置では、電動ドライバー等の回転動力をネジ機構に作用させると、当接部が搬送方向に変位し、これに伴って連接する搬送物が搬送方向に変位する。したがって、回転動力を利用することで、連接する搬送物を容易に搬送することが可能である。
【0010】
本発明の搬送装置においては、前記ネジ機構は、前記回転軸を中心に回転し、螺旋状部を備える棒状体と、前記棒状体が回転可能に挿通され、前記棒状体の螺旋状部と係合する係合部を具備するベース部と、を備え、前記当接部は、前記ベース部と接続されることが好ましい。ここで、螺旋状部は、螺旋状の突条部又は溝部の両方の態様を含むものとする。また、係合部は、螺旋状の溝部又は突条部の両方の態様を含むものとする。
【0011】
このような構成を有する本発明の搬送装置によれば、ネジ機構が、棒状体及びベース部を含むという簡易な構成であり、低コストで製造可能である。
【0012】
また、本発明の搬送装置においては、前記搬送物が、前記搬送方向に略直交する幅方向に幅を有するプレートであり、前記当接部は、前記棒状体に対して回転可能に設けられ、前記幅方向に延びることが好ましい。
【0013】
このような構成を有する本発明の搬送装置によれば、棒状体の回転に関わらず当接部をプレートに対して一定の位置関係を保つことができるから、搬送物の安定的な変位が可能となる。また、当接部と搬送物との当接面積が大きい状態で搬送物を押圧し又は引っ張ることが可能である。
【0014】
また、本発明の搬送装置においては、前記搬送物が、前記幅方向に並んで搬送される複数のプレートであり、前記当接部は、前記複数のプレートに当接し、前記搬送物変位機構は、前記複数のプレートを前記搬送方向に同時に変位させることが好ましい。
【0015】
このような構成を有する本発明の搬送装置によれば、幅方向に並ぶ複数のプレートを同時に搬送でき、効率的である。例えば、搬送物が水耕栽培用プレートの場合、幅方向に隣合うプレートの間での植物同士の擦れによる損傷を抑止することができる。
【0016】
また、搬送装置においては、前記搬送物変位機構は、前記搬送方向の上流側に設けられ、前記当接部は、前記搬送方向の上流側で前記搬送物と当接し、前記当接部は、前記搬送方向に突出し前記搬送物の上方に位置する、上方突出部を備えることが好ましい。
【0017】
このような構成を有する本発明の搬送装置によれば、搬送物が当接部によって上流側から下流側に押圧されるときに、上方突出部により、プレートの搬送方向の停滞によって生じる、上方向への変位を抑制することができる。
【0018】
あるいは、本発明の搬送装置においては、前記搬送物変位機構は、前記搬送方向の下流側に設けられ、前記当接部は、前記搬送方向の下流側で前記搬送物と当接し、前記当接部は、前記搬送方向の下流側に向かって前記搬送物と係止する係止部を備えてもよい。
【0019】
このような構成を有する本発明の搬送装置によれば、ネジ機構が、棒状体及びベース部を含むという簡易な構成で、搬送物の搬送を実現できる。
【0020】
また、本発明は、前記搬送物が水耕栽培用プレートであり、請求項1~7のいずれかに記載の搬送装置を有する水耕栽培装置をも提供する。
【0021】
このような構成を有する本発明の水耕栽培装置によれば、回転動力を利用することで、育成した栽培物の重量や根の抵抗に関わらず連接する水耕栽培用プレートを容易に搬送することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電動ドライバー等の回転動力を利用することで、連接する搬送物を容易に下流側に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る搬送装置(水耕栽培装置)1の概略を示す正面図である。
図2】搬送装置(水耕栽培装置)1の側面図及び部分拡大図である。
図3】搬送物変位機構5の概略を示す上面図及び側面図である。
図4】搬送物変位機構5が搬送物(水耕栽培用プレート)3を搬送する状態の一例を示す上面図及び側面図である。
図5】搬送物変位機構5が搬送物(水耕栽培用プレート)3を搬送する状態の他の例を示す上面図及び側面図である。
図6】搬送物の一例としての水耕栽培用プレート3の斜視図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8図6のB-B線断面図である。
図9】連結された水耕栽培用プレート3の斜視図である。
図10】水耕栽培用プレート3の連結機構の詳細を示す断面図である。
図11】水耕栽培用プレート3の連結過程を示す、図7に対応する断面図である。
図12】水耕栽培用プレート3の連結過程を示す、図8に対応する断面図である。
図13】プレート変位手段(リフト手段)6の概略図である。
図14】プレート変位手段(リフト手段)6の詳細図である。
図15】プレート変位手段(リフト手段)6による水耕栽培用プレート3の持ち上げの説明図である。
図16】第1実施形態の変形例において用いられる搬送物変位機構15の上面図及び側面図である。
図17】第2実施形態において用いられる搬送物変位機構25の上面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る搬送装置の代表的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではなく、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて大小や長短の比率や数量を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0025】
ここでは、搬送装置の一例として、水耕栽培用プレートを搬送する水耕栽培装置を挙げるが、本発明は水耕栽培装置に限られるものではない。第1実施形態では、水耕栽培用プレートを上流側から押圧するタイプの水耕栽培装置を説明し、第2実施形態では、水耕栽培用プレートを下流側から引っ張るタイプの水耕栽培装置を説明する。
【0026】
説明の便宜上、Z軸を鉛直方向に、X軸を搬送物の搬送方向に、Y軸をX軸及びZ軸に直交する方向に、それぞれ取ることとする。また、Z軸方向を上下方向、Y軸方向を幅方向と言うことがある。搬送方向の手前側を上流側、奥側を下流側と言うことがある。
【0027】
1.第1実施形態
1-1.搬送装置の概要
図1図12を参照して、第1実施形態に係る搬送装置を説明する。
【0028】
第1実施形態において、搬送装置1は、搬送方向Xに連接する複数の水耕栽培用プレート3(以下、単にプレート3という。)を搬送する。各プレート3には植物9が植栽されており、植物9の生育とともに上流側から下流側へ移動ないし変位する。
【0029】
搬送装置1は、植物9の栽培エリアVを形成する略直方体状の本体2と、植物9を保持するプレート3と、植物9の根部に養液を供給する長尺状又は樋状の水槽4と、プレート3を搬送方向Xに変位させる(即ち、プレート3の位置を変えて移動させる)搬送物変位機構5を有する(図1参照)。搬送装置1は更に、プレート変位手段(リフト手段)6、植物9に光を照射する照明装置(図示せず)と、栽培エリアV内の空気を排出するファン(図示せず)と、を含んでいてもよい。
以下、本体2、搬送物変位機構5、プレート3、リフト手段6の順に詳細に説明する。
【0030】
1-2.本体2
本体2は、栽培エリアVを形成するフレーム21(支柱及び梁)と、プレート3の支持及び搬送方向Xへのスライドを補助するプレート搬送機構(ローラー)22と、を含む(図2(A)及び(B)参照)。フレーム21の上方に水槽4が支持され、プレート3はローラー22の補助の下で水槽4の上方をスライドする。
【0031】
ローラー22は、プレート3の下方に設けられた、搬送方向Xに並ぶ複数の回転体(例えばコロコンローラー)として構成される。後述するように、かかる回転体に対応して、プレート3は、プレート3の幅方向Yの移動規制機構38を備えている。
【0032】
図1に示すように、本体2は、搬送方向Xにおけるフレーム21の外側に、プレート3を載置又は回収するためのトレイ23,24を有してもよい。
【0033】
1-3.搬送物変位機構5
搬送物変位機構5は、本体2の上流側に設けられ、搬送方向Xに連なる複数のプレート3を一体として上流側から下流側に変位させる(図4及び図5参照)。また、搬送物変位機構5は、幅方向Yに並ぶ(又は隣り合う)複数のプレート3をまとめて下流側に変位させることが可能である。
【0034】
図3図5に示すように、搬送物変位機構5は、ネジ機構51と、連接するプレート3の上流側と当接する当接部52と、を備える。
【0035】
ネジ機構51は、搬送方向Xに沿って延びる回転軸Aを中心に回転する部材である。具体的には、ネジ機構51は、回転軸Aを中心に回転し、螺旋状部53Aを備える棒状体53と、棒状体53が回転可能に挿通され、棒状体53の螺旋状部53Aと係合する係合部54Aを具備するベース部54と、を備える(図3(A),(B)参照)。つまり、ネジ機構51は、棒状体53の回転に伴って、棒状体53とベース部54との相対的な位置関係を変えることができる。本実施形態では、棒状体53の搬送方向Xにおける位置が固定されており、棒状体53の回転に伴って、係合部54Aが螺旋状部53Aと係合しながら棒状体53に沿って移動する。
【0036】
かかるネジ機構51としては、例えば、既知のボールねじや滑りネジ等を用いることができる。ボールねじは、ねじ軸とナット(スライダ)と間でボールが転がり運動を行うことで、ねじ軸の回転に伴ってナットがねじ軸に沿ってスライドする。本実施形態では、棒状態がねじ軸に、ベース部54がナットに対応する。
【0037】
ここで、棒状体53の螺旋状部53Aは、螺旋状の突条部でもよいし溝部でもよい、つまり、雄ネジでも雌ネジでもよい。また、棒状体53の上流側の先端53Bには、電動ドライバー等の回転する先端部との連結機構(孔や溝など)が設けられている。
【0038】
このように、当接部52は、棒状体53に対して回転可能に設けられている。また、当接部52は、ベース部54に接続されており、ネジ機構51により搬送方向Xに変位乃至は移動する。すなわち、当接部52は、電動ドライバー等の回転動力によるネジ機構51の回転(正回転)に伴って、ベース部54とともに、回転軸Aの軸方向に沿って上流側から下流側に移動する。また、ネジ機構51を逆回転させることで、当接部52は下流側から上流側に移動することができる。
【0039】
本実施形態では、図4及び図5に示すように、当接部52は、搬送方向Xの上流側でプレート3と当接する。
また、当接部52は、搬送方向Xに突出しプレート3の上方に位置する、上方突出部55を備える(図4(B)参照)。すなわち、当接部52がプレート3を接触したときに、プレート3の上流側の端部が上方に持ち上げられることがあり、その場合に、プレート3の上流側の端部が上方突出部55に接触し、プレート3の持ち上がりを規制することができる。
【0040】
また、当接部52は、搬送方向Xに突出しプレート3の下方に位置する、下方突出部56を備える(図4(B)参照)。搬送物として、プレート3の上流側の端部がプレート3の下端よりも上方に位置するプレート3が採用される場合に(図7及び図8参照)、下方突出部56がプレート3の上流側の端部の下方に入り込むことで、プレート3の下流側の先端が持ち上がることなく安定的にプレート3を搬送できる(図4(B)及び図5(B)参照)。したがって、本実施形態では、当接部52は、側面視において略コの字型ないし略C字型をなす。
【0041】
例えば図3(A)に示すように、当接部52は幅方向に延びている。つまり、当接部52は、幅方向Yに広がりを持つ接触面57を有する。かかる構造は、幅方向Yに幅を有するプレート3との接触面積を増加させ、プレート3を安定的かつ安全(プレート3を破壊せず)に押すことに適している(図4(A)及び図5(A)参照)。この接触面57は、プレート3の幅方向Yの中央部を含む所定の範囲でプレート3に接触することが好ましい。それゆえ、搬送物変位機構5は、搬送方向Xに連結された複数のプレート3を搬送方向Xに同時に変位させることができる。
【0042】
当接部52は、略水平に保持され、プレート3の端面と対向する。例えば、接触面57は、搬送方向Xと略直交する(YZ面に略平行である)とともに、面自体が幅方向Yに長く広がっている。これにより、当接部52とプレート3への当接が良好に可能となる。
【0043】
更に、当接部52は、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3に当接する(図4(A)及び図5(A)参照)。つまり、上述した接触面57は、幅方向Yに隣り合うプレート3と同時に接触するように、幅方向Yに広がりを持つ。かかる構造により、幅方向Yに隣り合うプレート3を効率的に搬送できるとともに、特に、プレート3を超えて延びた植物9の葉がプレート3の移動により損傷することを抑制できる。
【0044】
接触面57は、幅方向Yに隣り合うプレート3ごとに設けられてよいし、幅方向Yに並ぶプレート3を1つの接触面57で対応してもよい。また、接触面57は、プレート3の安定的な搬送の観点から、それぞれのプレート3の幅方向Yの中央部を含む所定の範囲で対応のプレート3に接触することが好ましい。それゆえ、搬送物変位機構5は、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3(又はプレート群)を搬送方向Xに同時に変位させることができる。
【0045】
搬送物変位機構5は、少なくともプレート3の変位時には、搬送装置1の本体2に固定されることが好ましい。図3に示すように、搬送物変位機構5は、本体2のフレーム21(例えば梁や棚の間)に架け渡されている。また、搬送物変位機構5は、変位動作中に動かないように、フレーム21の間に介在する規制板(規制部)58を有する。すなわち、規制板58は、上流側又は下流側のフレーム21に接触することで、搬送物変位機構5の意図しない搬送方向Xの移動を規制する。規制板(規制部)58により、搬送物変位機構5をフレーム21に載置するだけで、容易に設置することができる。なお、規制部58としては板状の部材に限られない。
【0046】
1-4.プレート3
上述のとおり、プレート3は、搬送方向Xに連接された状態で、下流側にも上流側にも一体で変位可能である。かかる一体的な変位を可能にするべく、プレート3は、板体31、係合片32、係合凹部33、斜面部34、逃し部35及びリブ36,37を含む一体成型品として製作されてよい(図6参照)。
以下、これら構成要素を順に説明することとする。
【0047】
板体31は略矩形状であり(ただし、この形状に限られない)、植物9を保持するための孔(植物保持孔)31A及び通気孔31Bを有する(図6参照)。板体31は、成長した植物9を保持した板体31を持ち上げた際に生じ得る板体31の撓み及び割れを抑制するべく、板体31の剛性を高めるための段差(板体31から上方又は下方に設けられた補強部)31Cを有してもよい。
【0048】
係合片32は、板体31の一方側(例えば前側又は後側)から立ち上がるように設けられた部材であり、本実施形態では板体31の1つの辺Lから立ち上がる。図9に例示するように、係合片32は、他のプレート3の係合凹部33に係合して、前後のプレート3同士を連結する。
【0049】
図6に示すように、係合片32は、係合凹部33との係合の容易さ及び係合片32に生じる衝撃及び引張力の分散の観点から、辺Lのほぼ全幅に沿って配置され、略同じ高さを有することが好ましいが、これに限られない。図7及び図8に示すように、係合片32は、他のプレート3による衝撃(又は押圧力)や牽引力(又は引張力)に耐えられるように、板体31との間にリブ36を有する。
【0050】
図6に示すように、斜面部34は、係合片32よりも板体31の一方側に配置される部材であり、本実施形態では係合片32から外側(前方)に突出する。図12に示すように、斜面部34は、他のプレート3の係合凹部33(後壁33B)に接触することで他のプレート3を持ち上げ、係合片32の係合凹部33への係合、つまりプレート3同士の連結を容易にする。また、図9に示すように、斜面部34は、連結時に、他のプレート3の逃し部35に入り込んで他のプレート3との左右方向の位置ズレを抑制する役割をも果たす。
【0051】
図10に示すように、斜面部34は、板体31の外側(前方)に向かって板体31の上方から下方に傾斜している。斜面部34の傾斜角、つまり、斜面部34の斜面と板体31との間の角度αは、連結過程で要する力の抑制あるいは滑らかな連携の観点から、20°≦α≦50°であることが好まく、なかでも25°≦α≦45°であることが更に好ましい。
【0052】
図6に示すように、斜面部34は、係合片32の幅方向(辺に略平行な方向)の一部分を占めるように配置されることが好ましい。斜面部34の幅を係合片32の幅よりも狭めることで、連結過程において斜面部34と係合凹部33との間で生ずる摩擦力を抑え、比較的小さな力でプレート3同士を連結可能となる。
【0053】
係合凹部33は、一方側に対向する他方側から立ち上がるように設けられた部材であって、他のプレート3の係合片32を下方から受け入れる(図11参照)。本実施形態では、係合凹部33は、辺Lとは反対側の辺Mから立ち上がる。係合凹部33は、他のプレート3の係合片32を下方から受け入れることができれば特に制限無く種々の形状を有していてよく、したがって受部とも換言できる。この受部である係合凹部33は、本実施形態では凹状の窪みで構成されているが、更に貫通した開口(貫通孔)等でもよい。
【0054】
図10に示すように、係合凹部33は、略U字状の断面を有しており、少なくとも部分的に対向する前壁33A及び後壁33Bを含む。図11に示すように、前壁33Aと後壁33Bの間に他のプレート3の係合片32が入り込むことで、係合凹部33に対する係合片32の前後方向の移動が規制され、前後のプレート3が連結されることになる。
【0055】
図10に戻って、後壁33Bの下端Qは、前壁33Aの下端Rよりも上方にある。したがって、係合凹部33(後壁33Bの下端Q)が他のプレート3の斜面部34と接触しながら斜面部34を登り切ろうとするとき、前壁33Aの下部(つまり後壁33Bと対向していない部分)は、係合片32と対向又は接触する(図11参照)。これにより、前側のプレート3が後側のプレート3に乗り上げることを防止することができる。
【0056】
なお、前壁33Aと係合片32とは幅方向に部分的に対向していてもよい。つまり、係合凹部33及び係合片32が幅方向に分割されて係合部位が複数構成されていて、斜面部34を乗り越える後壁33Bを備える(逃し部35を有し、前壁33Aを備えない)一の係合部位と、それぞれ対向する前壁33A、後壁33Bを備える他の係合部位と、を有する形態であってもよい。当該形態であっても、一の係合部位の後壁33Bが斜面部34を登り切ろうとするときに、他の係合部位の前壁33Aが係合片32と対向又は接触することで、プレート3の乗り上げを防止することができる。
【0057】
図10に示すように、前壁33Aの下端Rは、後壁33Bの下端Qから斜面部34の斜面と略平行に引いた線Nと前壁33Aとの交点Sよりも下方にあることが好ましい。これにより、前後のプレート3が勢いよく衝突しても、前側のプレート3が後側のプレート3に乗り上げることを防止することができる。
【0058】
また、後壁33Bの下端は、斜面部34の下端Pよりも上方にある。そのため、プレート3が近づくと、後壁33Bの下端Qは、他のプレート3の斜面部34と斜面の半ばで接触することになる(図11(B)参照)。したがって、係合凹部33が他のプレート3の斜面部34を登り切るまでの時間又は係合までの時間が短くて済み、プレート3と他のプレート3を容易かつ簡便に連結できる。
【0059】
図6に示すように、係合凹部33は、辺Mのほぼ全幅に沿って形成され、略同じ高さを有する。したがって、プレート3間の連結が辺Mにわたって幅広く行われて、係合片32及び係合凹部33の間に生じる押圧力又は引張力が幅方向に分散される。したがって、部材の厚みを薄くすることができ、製造コストの低減に資する。
【0060】
更に、係合凹部33は、板体31との間にリブ37を有していてもよく、これにより、係合凹部33は、他のプレート3との衝突による衝撃や他のプレート3からの引張力に対する耐久力をより向上することができる。
【0061】
図9及び図12に示すように、逃し部35は、連結時に斜面部34を逃したり収容したりする窪みであり、係合凹部33において斜面部34に対応する位置に配置されている。逃し部35は、連結時に斜面部34に対向するように、下方に開口している。あるいは、逃し部35は、斜面部34を挿通することができる、前壁33Aに設けられた開口や切り欠き等であってもよい。なお、係合凹部33において前壁33Aと後壁33Bとの間隔を広げることで、斜面部34と前壁33Aが干渉しないように構成し、係合凹部33が逃し部35の機能を兼ねることも可能である。
【0062】
そして、図2(B)に示すように、プレート3は、ローラー22に対応して、移動規制機構38を備えている。本実施形態では、移動規制機構38は、プレート3の下部に設けられて搬送方向Xに延びる突条部として構成される。この突条部がローラー22と係止する、つまり側面同士が接触することで、プレート3が搬送時に幅方向Yにずれることが規制される。
【0063】
1-5.プレート変位手段(リフト手段)6
搬送装置1は、プレート3の連結を自動で解除する機構を備えてもよく、その一例として上述したリフト手段6が挙げられる。すなわち、図13図15に示すように、搬送装置1は、下流側へのプレート3の搬送に伴ってプレート3を支持面Tから上方に変位させるプレート変位手段ないしリフト手段6を有してもよい。
【0064】
図14に示すように、リフト手段6は、所定の厚みを有し、三角形状の上側部分(上延部)61及び矩形状の下側部分62で構成された略ホームベース状の板状体である。このリフト手段6は、上側部分61に、搬送方向Xに沿って上方に昇るように傾斜する傾斜部63と、傾斜部63に連続して、搬送方向Xに沿って下方に下降するように傾斜する傾斜部64と、を有している。傾斜部63と傾斜部64のなす角度は適宜選択できるが、鈍角であるのが好ましい。また、傾斜部63と傾斜部64との接続箇所は、角張っていてもよいし、丸みを帯びていてもよい。
【0065】
また、リフト手段6の下側部分62は、切欠きないしスリット65,66を有する。切欠き65,66には、ローラー22の支軸22Aが挿通される(図13参照)。
【0066】
具体的には、第一の切欠き65は、略L字状をなしており、下側部分62の下端から上向きに切欠かれた鉛直方向切欠き部65Aと、鉛直方向切欠き部65Aから上流側に向かって切欠かれた搬送方向切欠き部65Bで形成することができる。また、第二の切欠き66は、下側部分62の下流側の側部から上流側に向かって切欠かれた搬送方向切欠き部Uで形成することができる。
【0067】
リフト手段6を下方に変位させることで、ローラー22の支軸22Aが鉛直方向切欠き部65Aに挿入される。次いで、リフト手段6を下流側に変位させることで、ローラー22の支軸22Aが搬送方向切欠き部Uに挿入され、安定して取り付けることが可能となる。
【0068】
ここで、図15に示すように、上延部61の傾斜部63は、リフト手段6が搬送装置1に装着された状態で、プレート支持面Tよりも上方に位置する部分から、プレート支持面Tのやや下方(又は略同じ高さ位置)まで延設されている。即ち、傾斜部63の最高地点と最低地点とはプレート支持面Tを跨ぐように位置する。
【0069】
したがって、リフト手段6を搬送装置1に装着することで、プレート3が上流側から下流側に搬送されてきた際、リフト手段6の上延部61によってプレート3の下面が支持され、プレート3の下流側端部が上方に確実に変位させることができ、プレート3の回収作業が容易となる。
【0070】
また、傾斜部64が搬送方向Xに向かって下降するように傾斜することで、プレート3を傾斜部64に当接させながら下方に滑らせることができるため、リフト手段6を通過する際のプレート3への衝撃を抑制し、プレート3の破損を防ぐことができる。
【0071】
なお、リフト手段6は、例えば樹脂や金属等のある程度の剛性を有する材料で形成されていればよく、なかでも樹脂成形品で構成されているのが好ましい。
【0072】
リフト手段6により、回収作業が容易になるとともに、パネル全体の重量減少によるプレート変位工程の容易化につながる。ただし、プレート3同士の連結は人の手で解除してもよい。
【0073】
1-6.搬送方法
上述した搬送装置1を用いて、プレート3を搬送方向Xに変位させる手順、つまり植物9の育成手順を説明する。
【0074】
前提として、搬送物変位機構5が本体2の上流側に予め固定されていることとする。ただし、搬送物変位機構5は、恒久的に本体2に固定されていてもよいし、以下の作業の際に本体2に一時的に取り付けられてもよいものとする。
【0075】
工程Aにおいて、電動ドライバー等の手段により棒状体53を回転させることで、当接部52を搬送方向Xに変位させ、当接部52の変位によりプレート3を変位させる。かかる作業により、最も下流側に位置するプレート3が、本体2の最も下流側又はトレイ24に押し出される。
【0076】
次いで、工程Bにおいて、搬送方向Xの最も下流側のプレート3を回収する。併せて、工程Cにおいて、搬送方向Xの上流側に新たなプレート3を追加する。このとき、追加したプレート3を、先ほど変位させたプレート3の上流側に押し込んで連結させてもよい。
【0077】
このようにすることで、植物9は、成長とともに上流側から下流側に移動し、収穫時期に最も下流側に配置されることとなる(図1参照)。そして、工程A~工程Cを繰り返し行うことで、新たな植物9の載置、育成及び成長した植物9の回収を実施する。なお、どの工程から始まるかは任意である。
【0078】
1-7.第1実施形態の効果
第1実施形態に係る搬送装置1では、電動ドライバー等の回転動力を利用することで、連接するプレート3を容易に搬送することが可能である。すなわち、搬送物変位機構5におけるネジ機構51が、棒状体53及びベース部54を含むという簡易な構成であるから、コストを抑えつつ簡易に、重量のあるプレート3を下流側に搬送することができる。この点、連続式では導入コストがかかるという欠点がある。
【0079】
また、棒状体53の回転に関わらず当接部52をプレート3に対して一定の位置関係を保つことができるから、プレート3の安定的な変位が可能となる。しかも、当接部52とプレート3との当接面積が大きい状態でプレート3を押圧することが可能である。
【0080】
更に、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3を同時に搬送でき、効率的である。特に、プレート3では、幅方向Yに隣り合うプレート3の間での植物9同士の擦れによる損傷を抑止することができる。
【0081】
また、プレート3が当接部52によって上流側から下流側に押圧されるときに、上方突出部55により、プレート3の搬送方向Xの停滞によって生じる、上方向への変位を抑制することができる。
【0082】
1-8.変形例
次いで、図16を参照して、第1実施形態の変形例に係る搬送装置を説明する。
【0083】
変形例に係る搬送装置は、第1実施形態と同じく本体2、プレート3及び水槽4を含み、第1実施形態とは異なる搬送物変位機構15を有する。したがって、以下、搬送物変位機構15を中心に、この変形例を説明する。
【0084】
搬送物変位機構15は、第1実施形態における搬送物変位機構5と同じく、本体2の上流側に設けられ、搬送方向Xに連なる複数のプレート3を一体として上流側から下流側に変位させる。また、搬送物変位機構15は、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3をまとめて下流側に変位させることが可能である。
【0085】
具体的には、搬送物変位機構15は、ネジ機構151と、連接するプレート3の上流側と当接する当接部152と、を備える。
【0086】
ネジ機構151は、搬送方向Xに沿って延びる回転軸A1を中心に回転する部材である。具体的には、ネジ機構151は、回転軸A1を中心に回転し、螺旋状部153Aを備える棒状体153と、棒状体153が回転可能に挿通され、棒状体153の1螺旋状部153Aと係合する係合部154Aを具備するベース部154と、を備える。つまり、ネジ機構151は、棒状体153の回転に伴って、棒状体153とベース部154との相対的な位置関係を変えることができる。この変形例では、ベース部154が本体2の上流側のフレーム21(梁、棚等)に固定されており、棒状体153の回転に伴って、棒状体153が、螺旋状部153Aにおいてベース部154の係合部154Aと係合しながら、搬送方向Xに変位する。
【0087】
この変形例でも、棒状体153の螺旋状部153Aは、螺旋状の突条部でもよいし溝部でもよい。また、棒状体153の上流側の先端153Bには、電動ドライバー等の回転する先端部との連結機構(孔や溝など)が設けられている。
【0088】
当接部152は、棒状体153を介してベース部154に接続されており、ネジ機構151により搬送方向Xに変位する。すなわち、当接部152は、ベアリング159を介して棒状体153の下流側の先端に回転自在に連結されており、電動ドライバー等の回転動力による棒状体153の回転に伴って、棒状体153の下流側の先端とともに搬送方向Xに移動する。
【0089】
この変形例においても、当接部152は、搬送方向Xの上流側でプレート3と当接する。また、当接部152は、第1実施形態の当接部52と同じく、上方突出部155、下方突出部156及び接触面157を備え、側面視において略コの字型ないし略C字型をなしていてもよい。
【0090】
また、当接部152は幅方向Yに延びていてもよいし、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3に当接してもよい。
【0091】
搬送物変位機構15は、少なくともプレート3の変位時には、本体2に固定されることが好ましい。例えば、図示するように、搬送物変位機構15は、ベース部154を介して本体2のフレーム21に固定され、変位動作中に動かないように規制されている。
【0092】
変形例に係る搬送装置を用いた搬送方法は、第1実施形態に係る搬送装置1による搬送方法と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
2.第2実施形態
図17を参照して、第2実施形態に係る搬送装置を説明する。
【0094】
2-1.搬送装置の構成
第2実施形態に係る搬送装置は、第1実施形態と同じく、本体2、プレート3、水槽4を含み、第1実施形態とは異なる搬送物変位機構25を有する。したがって、以下、搬送物変位機構25を中心に第2実施形態を説明する。
【0095】
搬送物変位機構25は、本体2の下流側に設けられており、搬送方向Xに連なる複数のプレート3を一体として上流側から下流側に変位させる。また、搬送物変位機構25は、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3をまとめて下流側に変位させることが可能である。
【0096】
搬送物変位機構25は、ネジ機構251と、連接するプレート3の下流側と当接する当接部252と、を備える。
【0097】
ネジ機構251は、搬送方向Xに沿って延びる回転軸A2を中心に回転する部材である。具体的には、ネジ機構251は、回転軸A2を中心に回転し、螺旋状部253Aを備える棒状体253と、棒状体253が回転可能に挿通され、棒状体253の螺旋状部253Aと係合する係合部254Aを具備するベース部254と、を備える。つまり、ネジ機構251は、棒状体253の回転に伴って、棒状体253とベース部254との相対的な位置関係を変えることができる。第2実施形態では、ベース部254が本体2の下流側のフレーム21(梁等)に固定されており、棒状体253の回転に伴って、棒状体253が、螺旋状部253Aにおいてベース部254の係合部254Aと係合しながら、搬送方向Xに変位する。
【0098】
第2実施形態でも、棒状体253の螺旋状部253Aは、螺旋状の突条部でもよいし溝部でもよい。また、棒状体253の下流側の先端253Bには、電動ドライバー等の回転する先端部との連結機構(孔や溝など)が設けられている。
【0099】
当接部252は、棒状体253を介してベース部254に接続されており、ネジ機構251により搬送方向Xに変位する。すなわち、当接部252は、ベアリング259を介して棒状体253の上流側の先端に回転自在に連結されており、電動ドライバー等の回転動力による棒状体253の回転(正回転)に伴って、棒状体253の上流側の先端とともに上流側から下流側に移動する。ネジ機構251を逆回転させることで、当接部252は下流側から上流側に移動することができる。尚、第1実施形態と同様に、当接部252が棒状体253を介さずベース部254と接続されており、当接部252はベース部254とともに、ネジ機構251の回転に伴って、移動するようにしてもよい。
【0100】
第2実施形態において、当接部252は、搬送方向Xの下流側に向かって搬送物と係止する係止部260を備える。係止部260は、側面視において下向きの略コの字型ないし略C字型をなし、その先端260Aにおいて、プレート3の下流側から立ち上がる係合凹部33に引っ掛かる。すなわち、係止部260の先端260Aにおける下流側の面(内面)が、係合凹部33の上流側の面に接触することで、当接部252の下流側への変位に伴って、プレート3が下流側へ引っ張られることになる。
【0101】
当接部252は、幅方向Yに一定の幅を持つように延びることで、プレート3の係合凹部33との接触面積を増やし、プレート3を安全にかつ安定的に変位させることができる。また、当接部252は、幅方向Yに並ぶ複数のプレート3に当接することで、幅方向Yに並ぶ複数列のプレート群をまとめて変位させてもよい。
【0102】
搬送物変位機構25は、少なくともプレート3の変位時には、本体2の下流側に固定されることが好ましい。例えば、図示するように、搬送物変位機構25は、ベース部254を介して本体2の下流側のフレーム21に固定され、変位動作中に動かないように規制されている。
【0103】
2-2.搬送方法
第2実施形態に係る搬送装置を用いて、プレート3を搬送方向Xに変位させる手順を説明する。
【0104】
前提として、搬送物変位機構25が本体2の下流側に恒久的に又は一時的に固定されていることとする。併せて、最も下流側に位置するプレート3の係合凹部33に搬送物変位機構25の当接部252を係止させておく。
【0105】
工程AAにおいて、電動ドライバー等の手段により棒状体253を回転させることで、当接部252を搬送方向Xに変位させ、当接部252の変位によりプレート3を変位させる。かかる作業により、最も下流側に位置するプレート3が、下流側に引き寄せられる。
【0106】
次いで、工程BBにおいて、最も下流側のプレート3を回収する。併せて、工程Cにおいて、上流側に新たなプレート3を追加する。
【0107】
そして、工程AA~工程CCを繰り返し行うことで、新たな植物9の載置、育成及び成長した植物9の回収を実施する。なお、どの工程から始まるかは任意である。
【0108】
第2実施形態においても、簡易な構成の搬送物変位機構25で、コストを抑えつつ簡易に、重量のあるプレート3を下流側に搬送することができる。
【0109】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更後の態様(変形例)も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0110】
搬送装置は、水耕栽培装置以外にも、搬送方向に連接する複数の搬送物を搬送する用途に利用することができる。例えば、各種プレートの搬送装置、各種梱包容器の搬送装置、パレット等の各種運搬容器の搬送装置、等として利用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 搬送装置(水耕栽培装置)
2 本体
3 搬送物(水耕栽培用プレート)
5,15,25 搬送物変位機構
51,151,251 ネジ機構
52,152,252 当接部
53,153,253 棒状体
54,154,254 ベース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17